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2006年07月28日(金)

パレーに「萌える」 [求書読書録]

鈴木淳史『萌えるクラシック』(洋泉社新書)
書店の新刊コーナーに鈴木氏の新著が並んでいた。
あまりに際物なタイトルに「萎え」たのだけれども、目次を開くとポール・パレーハンス・ロスバウトといった名前が見えたので、これは買わざるべからずと購入。
この2人が一括されて「クールでドライなものに萌える」という章で扱われているのには失笑を禁じ得ないが、パレーについては
明晰であるためには何でもやってやるぞ、矢でも鉄砲でも持ってこい、といった気迫である。(略)明晰を突き詰めようとして、ここまでやらなければいけない人間の精神力にグッときてしまうのだ。
と、「萌え」の由来を語る。
また、ロスバウトについては
グラモフォン録音のハイドンの交響曲は、その古典的明晰さをたたえた造形美がすばらしい。《オックスフォード》交響曲の終楽章の一糸乱れぬアンサンブル、《ロンドン》交響曲ではメヌエット楽章をテンポを落として周密な音化が計(ママ)られている。
と、いたってまともな評価。
まあ、ギーレンを「ツンデレ」というキーワードで語ってみたりはしているのだが、要するにキャッチーなタイトル優先の企画本で、中味は平凡な「偏愛の演奏家」論。
そのほかでは、アーノンクールチェリビダッケハーディングファイロバートソン(以上指揮者)、クーレンカンプクレーメルサヴァール(以上弦楽器奏者)、エマールシュタイアー(以上鍵盤奏者)など計20人を扱う。

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バルシャイの自編自演全集 [2006年7月]

ルドルフ・バルシャイ(指揮) ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響
ショスタコーヴィッチ(バルシャイ編);室内交響曲全集(BRILLIANT)
バルシャイが自分の編曲を指揮したCDは過去にDGG、Sonyから出ていたが、5曲(弦楽四重奏曲第1・3・4・8・10番)まとめてというのは初めての企画(DGGは第3・4・8・10番、Sonyは第1・3・8番)。
BRILLIANTは覆刻の音質も芳しくないと言われる上、造りが雑なので好みではないが、これはオリジナルになるので買わないわけにはいかない。
今回はHMVへのオーダーで、2枚組800円強という価格。これには文句をつけられない。
2005年、ミラノのヴェルディ・オーディトリアムでのライヴ収録で、客席ノイズが多少耳につくのと録音が幾分ぼってりしているのが難だが、先行の自演盤同様、傾聴すべき彫りの深い演奏。

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イッセルシュテット・パレーと共演したピアニスト [2006年7月]

モニク・アース(P) ほか
「DGG録音全集」(DGG)
DGGの "ORIGINAL MASTERS" の箱物シリーズは魅力的なラインナップで、これも聴きたいもの全部は揃えきれずにいる。
モニク・アースは、ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響ラヴェル;P協ポール・パレー(指揮) フランス国立放送管ラヴェル;P協・左手P協を録音しており、もちろんこの8枚組に含まれている。
音源自体は既に架蔵しているので見送ろうかとも思ったのだが、良好なリマスタリングが施されているという話なので、HMVの「セット物3点以上25%引き」というのに誘われて(苦笑)、オーダーしたもの。
イッセルシュテットとの共演は、1948年の録音ゆえ、あまり向上していない。確かに少し聴きやすくはなっているが…。
一方、パレーとの録音は、既出盤も "THE ORIGINALS" シリーズの良好な音質だが、それを上回り、残響の空気感やピアノのまろやかな美音など、素晴らしい。
更にモーツァルト;P協第14・23番(フェルディナント・ライトナー(指揮) ベルリン・フィル)や、マックス・ロスタル(Vn)とのラヴェル;Vnソナタなども楽しみである。

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ヴェスペレ新録 [2006年7月]

ロバート・キング(指揮) キングズ・コンソート
モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(Hyperion)
LP時代は秘曲に近い存在だった「ヴェスペレ」も、CD期になって一挙にその真価が知られるようになり、大変な数の録音がリリースされている。
この曲は大学時代に宇野功芳師のレコード・コンサートハンス・マルティン・シュナイト盤を聴いて以来のファンなので、買わざるべからずと、HMVへのオーダーにくわえたもの。
当盤は2006年2月にロンドン・ハムステッドの聖ユダ教会で録音されたもので、キングが2004年のプロムスでの上演用に校訂した新しい版に基づくとのこと(その原型は1979年、大学入学前に仕上げていたという)。
このため、CD2枚組の2枚目には7声のマニフィカト6声のマニフィカト「ミサ・イン・イッロ・テンポレ」が入り、その他の楽曲は1枚目に収まりきっている。
秋にはポール・マクリーシュの録音もリリースが予定されており(ARCHIV)、この名作のディスコグラフィはますます多彩になりそうだ。

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2006年07月27日(木)

コバケンのオケコン [2006年7月]

小林研一郎(指揮) チェコ・フィル
バルトーク;管弦楽のための協奏曲 & コダーイ;ガランタ舞曲(EXTON)
小林研一郎のレパートリーにこの2曲が入っているとは知らなかった。解説の平林直哉氏によれば、バルトークは1981年、コダーイは1977年に、ともに都響の定期公演で採り上げているとのこと。
近年流行の精緻なアンサンブルによる演奏も素晴らしいが、コバケン流のパッションを注ぎ込んだ演奏もぜひ聴いてみたい。
もっとも管弦楽がハンガリーの団体であったならという思いも禁じ得ないのだが…。
2006年2月、プラハの「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールでの録音。

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わんぱく王子の大蛇退治 [2006年7月]

本名徹次(指揮) 日本フィル ほか
伊福部昭;交響組曲「わんぱく王子の大蛇退治」 ほか(KING)
音盤店のポイントが貯まったのを機に、長年気に懸かっていたCDをようやく入手。当盤が発売された頃、知人が絶賛していたのである。
1960年代に小学校に通っていた斉諧生にとって東映動画は馴染み深く、『わんわん忠臣蔵』『シンドバッドの冒険』『ガリバーの宇宙旅行』あたりはよく憶えているが、この『わんぱく王子の大蛇退治』は見た記憶がない。
こうして組曲版ながら耳にしてみると、DVDになっている本編を見てみたくなる気がする。伊福部の映画音楽の中でも屈指の傑作に数えられる理由がよくわかった。
所謂「伊福部マーチ」や怪獣の音楽と、神話の子ども向けアニメーションということから来るメルヘン的な要素とが、うまくバランスしているのだ。
これが各種特撮映画のための音楽だと、前者ばかりで辟易させられることもないではない(だから15分ほどに凝縮されたSF交響ファンタジー第1番が良いのだが)。
言うまでもなく素戔嗚の高天原追放や八岐大蛇退治を題材とした映画ゆえ、隣国因幡の神官の子孫である作曲家とは、因縁があり相性が良かったのかもしれない。
カプリングは交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」
2003年8・9月、かつしかシンフォニーヒルズ及び大田区民ホールアプリコで録音された。

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プーレのメンデルスゾーン [2006年7月]

ジェラール・プーレ(Vn) クリストフ・ヘンケル(Vc) ピエール・レアック(P)
メンデルスゾーン;P三重奏曲第1・2番(SAPHIR)
以下2枚はアリアCDさんから。
これは京都フランス音楽アカデミーで数々の優れた実演に接して以来、音盤でも蒐集しているプーレの新譜ゆえ買わざるべからず。
ピアニストは初めて聞く名前だが、チェリストはバッハ;無伴奏プリュデルマシェとのベートーヴェン全集などがある人で、そちらにも期待している。
2004年12月、パリのサル・コルトー(エコール・ノルマル内のコンサートホール)で録音された。

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宇野功芳指揮の独唱盤 [2006年7月]

宇野功芳(指揮) 有山麻衣子(Sop) 佐藤和子(P)
「幻のコンサート」(ORTHO SPECTRUM)
声楽独唱のCDなのに、どうして「指揮」なのか、精神的な指導ということかと思ったら、ブックレット裏の舞台写真では、歌手・ピアニストの左手前に宇野師が立って指揮棒を振っている!
有山さんは跡見学園の中学・高校出身(その頃から合唱部のリーダーだったとか)、進学した跡見学園女子大学で合唱団の常任指揮者を務めていた宇野師と出会い、跡見だけでなくアンサンブル・フィオレッティでも重用された。
最後に収録された「バイレロ」などを聴くとはっきりするが、ヴィブラートの少ない(ほとんど無い)可憐な音色で、まことに宇野師好みという感じがする。
収録曲も宇野師好み、「花嫁人形」などの日本歌曲や小学唱歌に、「マリアの子守歌」などお馴染みの小品、バルバリーナのカヴァティーナやツェルリーナのアリアなどモーツァルト作品、フォーレ;ピエ・イェズ(レクイエムより)など24曲を歌う。
2006年3月18日、ムラマツ・リサイタルホール新大阪でのライヴ録音。例の、少数の客(この時は70人程度)だけを入れての「幻のコンサート」方式である。
ホールの空調による暗騒音が気になるが、「高精度クロックによる超高音質録音」の謳い文句どおり、伸びやかな美声を堪能できる好録音だ。

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2006年07月20日(木)

ヴァントのブルックナー第8ライヴ [2006年7月]

ギュンター・ヴァント(指揮) ミュンヘン・フィル
ブルックナー;交響曲第8番 & シューベルト;交響曲第8番「未完成」(Profil)
Profilレーベルからはフォローしきれないくらい注目盤がリリースされていて、結局ぜんぜん買っていないのだが(苦笑)、この盤についてはClassical CD Information & ReviewsSyuzo's Weblogの記事を拝読して買わざるべからずという気分になり、今日立ち寄った音盤屋で購入。
2000年9月13〜16日、ミュンヘン・ガスタイクでの録音。

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ルクーの未架蔵音源 [2006年7月]

パトリック・デュール(P)
ルクー;Pソナタ・3つの小品 ほか(Duchesne)
eBayに出品されていたルクーの未架蔵音源を落札したもの。
2つのルクー作品は比較的録音の少ない曲である上、カプリングにフランク;前奏曲、フーガと変奏 op.18(愛惜佳曲書掲載)とジョンゲンの小品2曲が収められており、狂喜。
デュール(原綴Dheur、発音は自信なし)はベルギー・リエージュ生まれ、シマノフスキ・コンクールで1位を得、マガロフバドゥラ・スコダフライシャーらに学んだとのこと。
公式Webpageにディスコグラフィがあり、フランク;P曲全集などを録音しているようだ。
1987年、ベルギー・ナミュールのスタジオで録音された。

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2006年07月19日(水)

アパップの無伴奏曲集 [2006年7月]

ジル・アパップ(Vn)
「無伴奏Vn曲集」(Apapaziz)
昨日のコンサートに引き続いて今日はアパップの公式Webpageにオーダーしていた最新盤・無伴奏曲集が到着。
もちろん昨日の会場でも販売していたのだが、行けるかどうかわからなかったので、音盤だけ注文しておいたのだ。送料込みでも会場価格よりわずかに安く買えたので、良しとしよう。
昨日も引用した山尾さんのblog記事にあるとおり、
JSBの曲とイザイ、アイリッシュ・チューンのミックス(本当にシャッフルしたようなミックス! つまり「バッハだったらバッハだけ」なんていうカタログ的な発想ではなく、ポップ・アルバム的発想っていうことです)」で、
バッハの楽章とアイルランド民謡、イザイの楽章などが交互に出てきて、最後をシャコンヌ(バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番)で締める。
バッハでは
ソナタ第1番からプレスト
パルティータ第1番からサラバンドデューブル
ソナタ第2番からアレグロアンダンテ
パルティータ第2番からシャコンヌ
イザイでは
ソナタ第2番第1・2・3楽章
ソナタ第3番(単一楽章全曲)
ソナタ第5番第1・2楽章
更にクライスラー;レシタティーヴォとスケルツォ、アイルランド民謡・アメリカ民謡計5曲
を採り上げ、「シャッフル」している。
録音年月は明記されていないがマルPは2006年、録音場所はカリフォルニア・サンタバーバラのサン・ロック・スクールと書かれている。

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2006年07月18日(火)

怪人アパップ [演奏会出没録]

ジル・アパップ (Vn)
ミリアム・ラファール (アコーディオン)
フィリップ・ノアレ (Cb)
ルドヴィット・コヴァッチ (ツィンバロン)
会場;フェニックスホール
(申し訳ありませんが、取り急ぎ曲目だけ掲載します。)
モーツァルト;アダージョ
クライスラー;序奏とアレグロ
ヴィヴァルディ;『四季』より「春」
(ツィンバロン独奏曲)
ファリャ;「はかなき人生」よりスペイン舞曲
ヴィヴァルディ;『四季』より「夏」
グルック;メロディ
サラサーテ;ツィゴイネルワイゼン
バッハ;無伴奏Vnパルティータより
アイルランド民謡
ヴィヴァルディ;『四季』より「秋」
ブルガリア民謡
ロシア民謡「黒い瞳」(アコーディオン独奏)
パラディス;シシリエンヌ(コントラバス独奏)
ヴィヴァルディ;『四季』より「冬」
第2楽章は、最初に「六甲おろし」で演奏され(ここで手拍子と合唱が起こるところが大阪である!)、そのあと、原曲の旋律で演奏し直された。
(アンコール)R・コルサコフ;熊蜂の飛行
(アンコール)(カントリー・ミュージック?)
CLASSICA山尾好奇堂
水谷川優子

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2006年07月17日(祝)

シュパヌンゲン・ライヴその1 [2006年7月]

フランソワ・ルルー(Ob) クリスティアン・テツラフ(Vn) ほか
モーツァルト;Ob四重奏曲・弦楽五重奏曲第3番 ほか(Avi music)
今月末から英国留学される知人の送別宴を張ることになり、集合場所の某音盤店@大阪梅田へ。
他店には並んでなさそうな、シュパヌンゲン:ハイムバッハ室内楽音楽祭のライヴ盤3点を購入。
この音楽祭の音盤は、これまでEMIからリリースされていたのだが、その関係が切れたのか、今回の2005年ライヴはAvi musicというレーベルから。
音楽祭を主宰するのはピアニストラルス・フォークトだが、斉諧生としては、期待のヴァイオリニスト・テツラフの演奏が聴けるところに眼目がある。
当盤では、テツラフが参加しているのは弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515だけだが、ルルーが独奏するOb四重奏曲、シュテファン・ドールが吹くHrn五重奏曲キアーラ・トネッリ(Fl)や石坂団十郎(Vc)によるFl四重奏曲第1番がカプリングされており、いずれも楽しみである。
2005年6月6〜12日、いずれもハイムバッハ水力発電所にて収録。

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シュパヌンゲン・ライヴその2 [2006年7月]

クリスティアン・テツラフ(Vn) ターニャ・テツラフ(Vc) ラルス・フォークト(P)
シューベルト;P三重奏曲第2番(Avi music)
シュパヌンゲン・ハイムバッハ室内楽音楽祭の2枚目、こちらは1枚たっぷりテツラフの演奏が聴ける。
2005年6月7日のライヴ録音。

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シュパヌンゲン・ライヴその3 [2006年7月]

クリスティアン・テツラフ(Vn) イザベル・ファウスト(Vn) ラルス・フォークト(P) ほか
ブラームス;P五重奏曲・弦楽六重奏曲第2番(Avi music)
標記2曲を各1枚に収録したCD2枚組。
特に六重奏曲ではイザベル・ファウストが第1Vn、テツラフが第2Vnという超豪華な顔ぶれなのがたいへん楽しみである。
2005年6月6・12日のライヴ録音。

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長谷川陽子さんの日本名歌集 [2006年7月]

長谷川陽子(Vc) 寺島陸也(P)
「初恋」(Victor)
我らが長谷川陽子さんの新譜。
なぜかいつも行く駅そばの音盤屋に置いておらず、今日、ようやく購入できた。
タイトルは、越谷達之助作曲の啄木作品(「砂山の砂に腹這ひ初恋の痛みを遠くおもひいづる日」)に由来する。定番的名曲のようだが、恥ずかしながら、斉諧生は初めて聴いた。
そのほか大中寅二;椰子の実成田為三;浜辺の歌山田耕筰;赤とんぼ(ただし林光による変奏曲ヴァージョン)といった古典16曲、
また武満徹;翼BEGIN;涙そうそうワーク;大きな古時計といった最近の作品、
そして現在放送中のNHK連続テレビ小説きらりのテーマ音楽(大島ミチル作曲)を、サントラから収録している。
一般向けのCDということからか、非常に簡単なブックレットで、録音データはおろかピアニストの名前も明記されていない(かろうじて長谷川さんのコメントの中で触れられている)。
御本人のblog記事からすると、2006年3月、秩父ミューズパーク音楽堂での収録らしい。

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皆川達夫先生キリシタン音楽研究集大成 [2006年7月]

皆川達夫(監修・解説)
「洋楽渡来考」(日本伝統文化振興財団)
音盤屋の「音楽史」コーナーの前を通り過ぎようとして驚愕。皆川達夫先生の名前が大書された箱物が、目立つように展示されている。
パッケージには何の説明もなく、『CD & DVD 版 洋楽渡来考』というタイトルのみ。しかも税込12,600円という価格だが、四の五の考えずにレジへ持参する。
皆川先生の南蛮音楽ないしキリシタン音楽研究の集大成であることは明白だし、おそらくこれが決定版となるだろうからである。
詳細は発売元のWebpageを参照されたいが、CD2枚に「サカラメンタ提要」などキリシタン音楽の新録音(演奏は橋本周子(指揮) 聖グレゴリオの家聖歌隊 ほか、2005年録音)と、CD1枚とDVD1枚(約66分)に「生月島の『隠れキリシタン』の『オラショ』」(CDは1975・80年に収録された音源の覆刻、DVDは1990・92年に録画)を収めている。
元来は皆川先生の大著『洋楽渡来考―キリシタン音楽の栄光と挫折』(2004年、日本キリスト教団出版局)を音と映像で補完するものとして視聴するべきものだが、当盤にも約70頁の解説書が附属しており、単独でも理解に困ることはない。

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2006年07月15日(土)

ガブリエル・ミラバッシ2題 [2006年7月]

ガブリエル・ミラバッシ(Cl) セルジオ・アサド(G)
「ベーリョ・レトラート」(EGEA)
ずっと蒐集しているアコーディオン奏者リシャール・ガリアーノに、イタリアのクラリネット奏者ガブリエル・ミラバッシとの共演盤「コロリアージュ」がある(EGEA)。
ガリアーノのCDを集め出した頃、捜しても捜しても見つからず、最後に東京の大型店で発見するまで、ずいぶん苦労させられた。その間の記憶が染みついてしまって、時々、ふと検索してみることがある。
先月末、「ふと検索」してみて、兄アサドとの共演盤があることを知った。少しWWW上を調べてみると、なかなか好評のようである(例えばBOA NOITE!Lush Life)。
アサドのギターなら是非聴いてみたいと、あちこちの通販サイトを捜したが在庫がないようで、エイままよとレーベルの公式Webpageからオーダーしたもの。
アルバムタイトル「ベーリョ・レトラート velho retrato」は「古い肖像画」の意味、トラック6に同名の曲が収録されている。全10曲のうち9曲がセルジオ・アサド、1曲がクラリス・アサド(セルジオの娘)の作品。
1998年9月、イタリア・ペルージャのサン・アゴスティーノ教会での録音。
 
ガブリエル・ミラバッシ(Cl) ギンガ(G)
「グラフィアンド・ベント」(EGEA)
EGEAレーベルにはミラバッシのCDがたくさんあるのだが、すべてオーダーするわけにもいかず、上記「ベーリョ〜」と同様に好評の当盤に絞る(BOA NOITE!VENTO AZUL)。
ギタリスト(作曲家でもある)ギンガ(Guinga)については公式Webpageファン・サイトおけらのたはごとさんによる紹介がある。
2003年9〜10月、ペルージャでの録音。

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マニャールのチェロソナタ [2006年7月]

マーク・ドロビンスキー(Vc) アレクサンドル・ラビノヴィチ(P)
マニャール;Vcソナタ & プーランク;Vcソナタ(仏CALLIOPE、LP)
Vnソナタを愛聴しているマニャールの、珍しいVcソナタの録音(ローラン・ピドゥー盤CDがあるが)を某オークションで見つけたので落札したもの。
1980年の録音である。

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2006年07月13日(木)

古楽団体のブルックナー第1 [2006年7月]

マルティン・ハーゼルベック(指揮) ウィーン・アカデミー
ブルックナー;交響曲第1番 ほか(CAPRICCIO)
ウィーンの古楽団体で、前にNOVALISレーベルからバッハ;ブランデンブルク協などを出していたウィーン・アカデミー(国内盤では「ウィーン・アカデミー合奏団」)が、ブルックナーを演奏している。よほど編成を拡大しているのだろうか。
新譜の時には見送っていたのだが、ウィーンの団体によるブルックナーでもあり、某オークションで安価な出品があり落札したもの。
仕様楽譜はリンツ版(1866年)、ハーゼルベックのオルガン独奏による前奏曲とフーガ ハ短調前奏曲 ハ長調をフィルアップ。
2004年5月16日、ウィーン楽友協会大ホールでのライヴ録音。オルガン作品は2005年6月、ウィーンのホーフブルクカペレでの録音。

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ザンデルリンクのロマンティッシュ [2006年7月]

クルト・ザンデルリンク(指揮) バイエルン放送響
ブルックナー;交響曲第4番(Profil)
ザンデルリンク晩年のライヴ、それもバイエルン放送響を指揮したブルックナーとあらば見逃すべからざるところ。
もっともProfilレーベルのライヴ盤は指揮者の顔ぶれといい曲目といい「嬉しい悲鳴」で、当盤も買いそびれていたところ、某オークションで安価な出品があり落札したもの。
初回発売分は第1楽章冒頭に欠落があったらしいが、現品は修正後の製品らしく、正常である。
ジャケット・ブックレットには「1994年録音」としか書かれていないが、通販サイト等によると11月4日、ミュンヘンのヘルクレスザールでの収録とのこと。

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メルシエのルーセル [2006年7月]

ジャック・メルシエ(指揮) イル・ド・フランス国立管 ほか
ルーセル;組曲「バッカスとアリアーヌ」第1・2番 ほか(BMG)
一時期、BMGからフローラン・シュミット;「サランボー」ドビュッシー;「聖セバスチャンの殉教」といった、比較的珍しいレパートリーを連発して驚喜させてくれたメルシエだが、その後はリリースが止まってしまった(残念)。
未架蔵のルーセルが某オークションで安価な出品があり落札したもの。
カプリングはヴェロニク・ジェンス(Sop)とフランソワ・ルルー(Br)による管弦楽歌曲9曲。
1997年10月、イル・ド・フランス管のオーケストラ・ハウスでの録音。

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ズーンのバッハ [2006年7月]

ジャック・ズーン(Fl) ほか
バッハ;Flソナタ集(EXTON)
コンセルトヘボウ管やボストン響の首席奏者を歴任し、今はヨーロッパに戻ってソロや教職で活躍し、先だってのテレビ放送でルツェルン祝祭管のトップに顔を見せていたジャック・ズーン。
彼が愛奏する木製楽器(しばしば自作するそうな)の落ち着いた美しい音色と、高い技巧、確かな音楽づくりは、かねて愛聴している。
このバッハ;ソナタ集は、国内盤新譜の価格ゆえに買いそびれていたところ、某オークションに安価な出品があり、ようやく購入。
ト短調 BWV.1020ロ短調 BWV.1030イ長調 BWV.1032ハ長調 BWV.1033ホ短調 BWV.1034ホ長調 BWV.1035の6曲を収録している。
通奏低音にはメノ・ヴァン・デルフト(Cem、Org)、フィリップ・ピエルロ(Gamb)らが参加している。
1998年2月、オランダ・ヒルヴェルスムの放送フィル・スタジオでの録音。

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ショルティの2度目の魔笛 [2006年7月]

ゲオルク・ショルティ(指揮) ウィーン・フィル ほか
モーツァルト;歌劇「魔笛」(DECCA)
「魔笛」はずいぶん気をつけて蒐集しているのだが、このショルティ2度目の録音のことはすっかり失念していた(汗)。
もともとショルティのモーツァルトは評判の良くないところへ、歌手が小粒で、さっぱり評判にならなかったのではなかったか。
ザラストロがクルト・モル、タミーノがウーヴェ・ハイルマン、夜の女王がスミ・ジョー、パミーナはルート・ツィーザク。もちろん、それなりに評価の高い人たちなのだろうが…。
今なおショルティの「魔笛」といえば、ドイテコム(夜の女王)の歌唱が有名な1回目の録音(1969年)のことになるのではなかろうか。
ともかく、先日某オークションを見ていて気がつき、慌てて落札したもの。
1990年5・12月、ウィーン・コンツェルトハウス大ホールでの録音。

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2006年07月11日(火)

FPZのプロコフィエフ [2006年7月]

フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn) ほか
プロコフィエフ;Vn作品全集(EMI)
長年の懸案がeBayで解決!
FPZのプロコフィエフは、協奏曲第1番がチャイコフスキー;Vn協と、第2番がシベリウス;Vn協との組合せで出て、ピアノとのソナタ2曲が「5つのメロディ」・「行進曲」をフィルアップして1枚のCDで出た。
これらはその都度、買っていたのだが、数年後にプロコフィエフ作品を集めたCD2枚組が出たとき、「全部持ってるから」と見送ってしまった。
ところが、実は無伴奏Vnソナタ2本のVnソナタが新たに加えられていたのである(後者はFPZの多重録音)。
気がついたのは随分後のことで、その時には店頭から姿を消しており、以来、某オークションでもeBayでも捜し続けてきた。
先だってBrilliantレーベルから廉価再発されたが、そこはやはりオリジナルのEMI盤でないと!
eBayの検索でヒットしても、毎回、Brilliant盤でガックリというのが続いたのだが、先日ようやくEMI盤が見つかり、落札できたもの。諦めないでよかった…。

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2006年07月08日(土)

パレーとWPhの共演記録 [求書読書録]

パレーのコンサート・プログラム
某オークションポール・パレーのコンサート・プログラムが見つかった。
しかも、1946年にウィーン・フィルに客演したときのものである。
現地の古本屋ならもっと安いだろうとは思ったが、この指揮者の貴重な記録であり、思い切って落札した。
1946年9月22日(日)午前11時からの定期演奏会(たぶんこのシーズンの開幕コンサート)で、前日21日午後3時から公開のゲネラルプローベが行われている。会場はもちろん楽友協会大ホール。
1頁目に掲載されている曲目は、
ベートーヴェン;序曲「コリオラン」
シューマン;交響曲第4番
ラヴェル;ラ・ヴァルス
ドビュッシー;「夜想曲」より「雲」・「祭」
R・コルサコフ;スペイン奇想曲
というもの。パレーの十八番づくしである。
この頁の画像はこちらを → クリック (別窓)
2頁目のメンバー表には、コンサートマスターとしてシュナイダーハンボスコフスキーバリリセドラックといった名前が連なっている(当日の「乗り番」奏者ではなく、全楽員の名簿らしい)。
3頁目以降は曲目解説で、残念ながら指揮者の紹介は、無し。

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2006年07月07日(金)

日フィルの自主製作盤 [2006年7月]

渡邉暁雄(指揮) 小林研一郎(指揮) 日本フィル
ベートーヴェン;交響曲第8番 & チャイコフスキー;交響曲第4番(自主製作)
以前は年に1枚程度だった日本フィルの自主製作盤が、次々に出るようになってきた。秋には創立50周年記念として、渡邉先生とのライヴ録音集(全25枚、シベリウス;交響曲全集やニルセン、矢代秋雄など54曲)という大物も予定されている。
今回は、渡邉先生のベートーヴェン(1979年7月4日、東京文化会館)とコバケンのチャイコフスキー(2002年3月30日、横浜みなとみらいホール)。
どちらも買わざるべからざる指揮者、できれば1人1枚で出してほしかったくらいである。
アリアCDさんから。

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ルクーのVnソナタ新譜 [2006年7月]

アンドルー・ハーディ(Vn) ウリエル・ツァショル(P)
「イザイに献呈されたソナタ集」(MUSIQUE EN WALLONIE)
CD4枚組にソナタ8曲を収録した大物セットがアリアCDさんから到着。
有名曲フランクルクー、そしてマニャールヨンゲン(第1番)ヴィエルヌと聴き逃せない佳曲、珍しいサマズィーユ(世界初録音)、ロパルツ(第1番)ラザリというラインアップである。
これだけ並ぶと、やはりイザイは偉大だったと思い知らされる。
独奏者ハーディは、アメリカ・ボルチモア生れ、生地でデビューした後、フォートワース響でコンサートマスターを務め、ヨーロッパに渡ってブリュッセルに住み(現在はベルギー国籍)、独奏・室内楽で活動中とのこと。
録音歴も多いようで、もちろん優れた奏者なのだろうが、ここを純正フランコ・ベルギー派で固められないのは(ピアニストもイスラエル出身)、レーベルの性格からして、ちょっと寂しいものがある。
2005年7〜8月、ブリュッセルのフラジエ・第1スタジオでの録音。

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ウト・ウギのライヴ盤 [2006年7月]

ウト・ウギ(Vn) イ・フィラルモニチ・ディ・ローマ
バッハ;Vn協第1番 & パガニーニ;Vn協第4番 ほか(fone)
前に品切れで再入荷待ちとなっていたウーギのライヴ盤CD(SACDコンパチブル)が、アリアCDさんから届いた。
標記2曲以外に、マスネ;タイスの瞑想曲J.C.バッハ;シンフォニア op.3-1を収録。
2004年11月12日、ローマの聖チェチリア音楽院のオーディトリウム・パルコで録音された。

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2006年07月04日(火)

ルクーのピアノ三重奏新録音 [2006年7月]

P三重奏団「ナルチスとゴルトムント」
ルクー;P三重奏曲 & デ・グレーフ;P三重奏曲(PHAEDRA)
ルクーの佳曲の新録音が出るというので、ノルディックサウンド広島さんからお届けいただいたもの。
団体の名称が長いが、これはヘルマン・ヘッセの名作のタイトル。日本では『知と愛』という訳題が通用している。斉諧生も高校生時代に愛読した一書だ(^^;。
メンバーはWietse Beels(Vn)、Mieke De Lauré(Vc)、Piet Kuijken(P、ヴィーラント・クイケンの子息)。
なお、併録のアルトゥール・デ・グレーフは1862年生れ・1940年没、リストにピアノを学び、グリーグの協奏曲を愛奏して作曲者と親交が篤かった。P三重奏曲は1935年の作。
2005年7月の録音である。

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ルングレンの新譜 [2006年7月]

ヤン・ルングレン(P) ゲオルク・リーデル(Cb)
「ロックロップ」(Gemini)
御贔屓のジャズ・ピアニスト、ルングレンの新譜。上掲盤同様、ノルディックサウンド広島さんからお届けいただいた。
「ロックロップ」とは、スウェーデンの伝統音楽で、放牧場に散らばった牛や羊を呼び寄せる女性の歌声とのこと。
ルングレンが得意とする、シンプルな民謡旋律を素材としたアレンジやオリジナル曲から構成されている(全15曲)。
2005年9月、ノルウェー・オスロのレインボウ・スタジオで録音された。

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2006年07月01日(土)

パレーのワーグナー仏盤 [2006年7月]

ポール・パレー(指揮) デトロイト響
ワーグナー;管弦楽曲集(仏Mercury、LP)
某オークションで落札したパレーのLPが到着。
1960年2月に録音された、序曲「リエンツィ」序曲「さまよえるオランダ人」「マイスタージンガー」第3幕への前奏曲ほか「ワルキューレ」より「魔の炎の音楽」
米盤は架蔵しているが後期プレスのもの。時に英盤以上といわれる仏盤LPの音質が楽しみだ。

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