音盤狂日録


5月31日(火)

 

アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
トゥビン;交響曲第4・7番(ALBA)
来る6月5日(日)、京都フィロムジカ管の定期で演奏される第4番「抒情」を聴いたことがない・音盤も持っていないことに気づき、急遽ノルディックサウンド広島さんにお願いして、↓のセットと同時に送っていただいたもの。
トゥビンの交響曲はネーメ・ヤルヴィの尽力で音盤界に普及したところがあるが、ノルディックサウンド広島のNewsletter No.44に詳述されているように、いま聴くとすれば、ヴォルメル盤が第一の選択となろう。
1998年9月(第4番)・2000年3月(第7番)に、タリンのエストニア・コンサート・ホールで録音された。
ヒゥーゴ・アルヴェーン(指揮) オルフェイ・ドレンガル ほか
"OD Antiqua"(CAPRICE)
CAPRICEレーベルの "Collector's Classics" シリーズは、その内容といい、充実したブックレットといい、まことに素晴らしいディスクの数々。
今回、名門男声合唱団オルフェイ・ドレンガル(今秋来日予定、東京大阪)のSP録音・放送録音の集成(CD4枚組)が発売された。
中にステーンハンマル;スヴァーリエが含まれているからには買わざるべからず、ノルディックサウンド広島さんにオーダーしたもの。
しかも、上記ステーンハンマルを含む大半の音源は、作曲家として著名なアルヴェーンの指揮というので興味津々。
最も古いものは1907年、年代の下るものは1957年の録音である。「スヴァーリエ」は1939年11月28日の演奏会のライヴ音源だった。
聴いてみたところ、かなり遅いテンポによる、非常にロマンティックな表現だったので少々吃驚。もっともアルヴェーンは1872年生まれだから、例えばメンゲルベルクと1歳違い、世代的には当然のアプローチかもしれない。

5月28日(土)

 

アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド・ナショナル管
シベリウス;交響曲第1・7番(CHANDOS)
ギブソンのシベリウス;交響曲全集は、現在、CD3枚に収められた廉価盤が流通しているが、初発時にはLPでのリリースと同じカプリングでCD4枚に割り振られていた。
廉価盤3枚の方は架蔵済みだが、当初の形態でも揃えたい…と思っていたところ、eBayに1・7番が安価で出品されていたので落札したもの。
まだデジタル録音が珍しかった1982年、グラスゴーでの収録。
渡邉暁雄(指揮) 日本フィル
シベリウス;管弦楽曲集 & グリーグ;組曲「ペール・ギュント」(日KING、LP)
渡邉先生のシベリウス録音、聴かざるべからずと某オークションで落札したもの。
シベリウス作品では交響詩「フィンランディア」「トゥオネラの白鳥」「悲しきワルツ」、グリーグは第1・第2組曲を収録している。
どこかで見たような気がしていたが、数年前に「キング秘蔵名盤シリーズ」でCD化された音源だった。
当盤は、番号からすると初発時のLPなので、結果オーライということだろう。
ジャケットには記載がないが、上記CDに関するデータによれば、1967年5月東京厚生年金会館での録音。

5月26日(木)

 

久しぶりにコンサートへ。
3年前広島響とのショスタコーヴィッチ;Vn協第1番の名演を聴いた、アルヴェ・テレフセンが再来日してのコンサート・ツアー、最終日の神戸公演@松方ホールである。
普段だと平日に神戸まで出かけることは厳しいのだが、幸い、この週の後半は本業が都合をつけやすい時期になったのと、チケットをお譲りくださる方がいらっしゃったのとで、聴きに行くことができた。
 
このホールは、6年前かぶとやま響を聴いて以来。
ウィーン・フィルのラルス・ストランスキー(Hrn)が独奏と指揮で客演し、フォルカーさんがエキストラ出演されたりという演奏会だったことを思い出す。
 
今日は1階が8〜9割の入り。2階は客を入れなかったのだろうか。
ただしさる音楽鑑賞団体の催しだったので、楽章間で拍手が起こるなど、ちょっと残念。
 
曲目は、
ベートーヴェン;Vnソナタ第7番
スヴェンセン;ロマンス
ブル;ポラッカ・ゲッリエラ
ヌールハイム & テレフセン;独奏Vnのためのカデンツァ
ラヴェル;ツィガーヌ
後半はピアノ三重奏の編成で
グリーグ;アンダンテ・コン・モート
ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲第2番
というもの。
共演はホーヴァル・ギムゼ(P)、ヤン・エリク・グスタフソン(Vc)。
ギムゼ(1966年生れ)は録音も出ており、これからのノルウェーを代表するであろうピアニスト、またグスタフソン(1970年生れ)も力量充分の名手とのこと。
 
ステージに登場したテレフセン、髪の毛はすっかり白いのだが、無造作に弾き始めたヴァイオリンには年齢の陰などさらになく、立派の一言に尽きる音楽。
1曲目のベートーヴェンは、第1楽章から古典の格調と、憧れや愁いといった情感の横溢とが両立していて感嘆三嘆。
「アダージョ・カンタービレ」の第2楽章では、木質の音色による優しい子守歌に、ただただ聴き惚れるのみ
暗い情熱に満ちた終楽章も、聴き応え充分。
独墺派の正統からは少し外れた音楽づくりだと感じたが、それこそが「北欧の香り」(パンフレットから)という所以だろう。
 
続くスヴェンセンは、元来管弦楽伴奏の作品だが、これはギムゼのピアノが素晴らしく、前奏では漆黒の宇宙にまたたく星の神秘的な輝きを思わせた。
独奏の旋律は題名どおりのロマンティックな歌ふしなので、そちらがちょっと聴き劣るほど。
もちろんテレフセンにとっては手の内に入った小品、文字通りの北欧の抒情を堪能できた。
 
初めて聴くブル作品は、技巧的なショーピース(ちょっとパガニーニの楽曲を連想させる)。
これも鮮やかに弾ききった。
 
テレフセンに献呈されたVn協のカデンツァを独立させたヌールハイム & テレフセン作品は、ヴァイオリンの音の諸相を描き尽くそうとしたような多種多彩なテクニックの連発。
ヴァイオリンでは足りないのか、足でリズムを踏んだり口を鳴らしたり(笑)、という多彩さ。
 
前半の白眉はラヴェルで、まさに完璧。
鈍色(にびいろ)がかったヴァイオリンの音色から、フランス系ヴァイオリニストとはまったく違った音楽が展開された。
 
後半から登場したチェリスト、グスタフソンは、まず巨体に圧倒され(チェロが小さく見える)、ついで朗々たる音色と完璧な技巧に舌を巻いた。
未完に終わったP三重奏曲の第1楽章となるはずだったグリーグ作品、なるほどピアノ・トリオとしては少し書法に問題がある感じがした。
三重奏曲というより、ピアノと「8本の弦を持つ弦楽器」のための二重奏曲という趣。
とはいえ、ちりばめられたグリーグの旋律美やピアノのグランドマナーには聴くべきものがあり、埋もれてしまうには惜しい音楽と思われた。
 
結論から言えば最も素晴らしかったのは最後のショスタコーヴィッチ
寂寥感漂う第1楽章、力感たっぷりの第2楽章を経て、第3楽章冒頭のピアノの凄まじい響き!
弔鐘を思わせる和音の連打なのだが、その中から滲み出る色彩感に圧倒された。ギムゼ、やはり素晴らしいピアニスト。
それを受けるチェロの濡れた音色もまた素晴らしい。
更に圧倒されたのは終楽章で、泣き笑いの行進がやがて号泣となり、そして涙も凍る終結に到達する
合奏の力強さ、緊密さ、とにかくショスタコーヴィッチの音楽だけを感じさせる没我の演奏だった。
もうアンコールは聴きたくないくらいだったが、聴衆も盛り上がっており、第2楽章が2割増くらいの超高速で演奏された。これはさすがにヴァイオリンも乱れ気味。

 

アンドラーシュ・シフ(P) ヨーロッパ室内管
バッハ;P協集(DECCA)
ずっと買いそびれていたシフのバッハ;協奏曲集が某オークションに安価で出ていたので落札。
収録曲はBWV1052〜58の7曲、CD2枚組。
1989年1月、ウィーン・コンツェルトハウスでの録音だから、ざっと15年ほども買いそびれていたわけである(汗)。
2台P・3台Pの協奏曲集の方は、ピーター・ゼルキンブルーノ・カニーノらが参加していることもあって、新譜の時に買っていたのだが。
ラファエル・ウォルフィッシュ(Vc) チャールズ・マッケラス(指揮) ロンドン響
ドヴォルザーク;Vc協 ほか(CHANDOS)
某オークションを見ていたら、マッケラスの未架蔵盤に気がつき、落札したもの。
この人のチェコ音楽録音は聴き逃しづらいものだ。
カプリングはドホナーニ;コンチェルトシュトゥック
1988年7月、ロンドンの聖ユダ教会での録音。
ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc) パーヴェル・ギリロフ(P)
「美しい夕暮れ」(Orfeo)
昨年の逝去以来、慌てて蒐集しているペルガメンシチコフの小品集を某オークションで見つけ、落札。
フランス系の楽曲で固められており、表題作のドビュッシーに加え、サン・サーンスラヴェルフォーレのポピュラー小品と、比較的録音の珍しいイベール(マレシャル編);物語から4曲(金の亀を使う女水晶の籠年老いた乞食白い小さなろば)を収録している。
1994年3月の録音。

5月25日(水)

先だってルクー;VnソナタのSP録音について情報をくださった方から、今度はP四重奏曲のSP録音について、貴重な情報を頂戴した。
Vnはもちろんアンリ・コック、そのほかジャン・ロジスター(記念コンクールが開催されるほどの人だったようだ)、リド・ロジスター(Vc)、シャルル・ファン・ランケル(P)という演奏者による1932年頃の録音で、フランス・ポリドールからの発売だったとのこと。
 
たびたびの御厚意に、あらためて心から感謝を申し上げたい。<(_ _)>

 

桐山建志(Vn) 前田りり子(Fl) 市瀬礼子(Gamb) 平井み帆(Cem)
「ラ・フェート・ギャラント」(BRAIN MUSIC)
某オークション桐山氏が参加した録音が安価で出ていたので落札。
収録曲は、テレマン;パリ四重奏曲第1・6番マレ;パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘ラモー;クラヴサン合奏曲第1番
2000年5〜6月、田園ホール・エローラでの録音。

5月23日(月)

 

アレクサンダー・ギブソン(指揮) スコットランド室内管
ヘンデル;水上の音楽(CHANDOS)
蒐集中の指揮者の1人、ギブソンの未架蔵音源が某オークションに出ていたので落札したもの。
クリュザンダー版に準拠した全曲盤ということだが、演奏のスタイルは長年の演奏伝統に従っている、とライナーノートにある。
1985年1月、グラスゴー・シティ・ホールでの録音。
ガリー・ベルティーニ(指揮) シュトゥットガルト放送響 ほか
ドビュッシー;カンタータ「放蕩息子」・「選ばれた乙女」(Orfeo)
先だって亡くなったベルティーニを追悼して。
彼の訃報を六国峠@ドクター円海山の音楽診療室さんが取り上げられた折りに、
マーラー指揮者としてその論説や活動の世評は高いが、反面氏はフランス式のメソードの音楽教育も受けており、ドビュッシー〜ラヴェルそしてメシアンのフランス音楽にもめっぽう明るい指揮者である
と指摘され、マーラー以外のレパートリーでの名盤として必須のものとして当盤を挙げておられた。
以来、どうにかして聴かねばと思っていたところ、某オークションに出品されたので落札したもの。
歌手の顔ぶれもジェシー・ノーマンホセ・カレーラスディートリヒ・フィッシャー・ディースカウ(以上「放蕩息子」)、イレアナ・コトルバシュグレンダ・モーリス(以上「選ばれた乙女」)という凄さ。
1981年8〜9月、シュトゥットガルトのヴィラ・ベルクでの録音。Orfeoレーベル草創期の音源である。
イザベル・ファウスト & クリスチャン・テツラフ(Vn) ほか
モーツァルト;P三重奏曲第3番 & P四重奏曲第1番 ほか(EMI)
本業上の必要があって閉店間際の書店に駆け込む…筈が、まず隣の輸入音盤店へ(苦笑)。
欲しいものは色々あったが(当然)、貯まっているポイントで交換できる範囲に留めておこうということで、標記2人の「必須」ヴァイオリニストを擁する当盤だけをレジへ持参。
例のハイムバッハ室内音楽祭のライヴ盤で、2003・2004年の音楽祭の記録から。
正確には、ファウストが参加したP四重奏曲のみが2003年6月、あとはすべて2004年5〜6月の収録。
標記のP三重奏曲以外に、ベルク;Pソナタ(弦楽六重奏版)シェーンベルク;室内交響曲第1番が含まれており、それぞれテツラフが参加している。
シェーンベルク作品には、その他にもシャローン・カム(Cl)、マリー・ルイーズ・ノイネッカー(Hrn)、アルバン・ゲルハルト(Vc)、河原泰則(Cb)といった名奏者が参加した上に、ダニエル・ハーディングが指揮しているという豪華版。

5月20日(金)

 

ロジャー・ノリントン(指揮) シュトゥットガルト放送響
メンデルスゾーン;交響曲第1・5番(hänssler)
久しぶりに(!)音盤屋に立ち寄ると、新譜があれこれ出ていたりワゴンセールをやっていたりと大弱り。
とりあえず大好きな「宗教改革」をノリントンが録音したものが出ていたので購入。
2004年9月にシュトゥットガルト・リーダーハレでライヴ録音されたもの。
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル ほか
ムソルグスキー(ラヴェル編);「展覧会の絵」(DGG)
DGGの紙ジャケット "Musik...Sprache der Welt" シリーズの新譜が出ており、中にマルケヴィッチが1枚含まれていたので購入。
ムソルグスキーは以前"CENTENARY COLLECTION"シリーズで出ていたが、音質的には幾分向上しているようだ。
1953年2月、ベルリンのイエズス・クリストゥス教会でのモノラル録音。
カプリングはR・コルサコフ;序曲「ロシアの復活祭」・序曲「五月の夜」・組曲「金鶏」で、久しぶりにCDで復活した(以前仏DGGがCD化したことがある)。
なお、コルサコフはラムルー管とのステレオ録音(1957年11月、1958年6月)。
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮) エストニア国立響 ほか
グリーグ;劇音楽「ペール・ギュント」(抜粋)(Virgin)
CD市場での存在感がすっかり親父殿を追い抜いてしまった感のあるパーヴォ・ヤルヴィの新譜が出ていたので購入。
台詞のない抜粋盤なのが少し残念だが、全20曲、独唱(Br、Sop、M-S)・合唱入りの充実した内容である。
2004年9月、エストニア・タリンのエストニア・コンサート・ホールでの録音。
Telarcのドビュッシーも早く聴きたいのだが、そちらはなぜか見当たらず。
ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)
シューベルト;Pソナタ全集(TRANSART)
2、3年前に出たとき1万円近い値付けにひるんでいた8枚組セットが6千円強に値下げされていたので、思わず購入(汗)。
2001年8月・2002年7月、フランス・ランスのフラヌリ音楽祭でのライヴ録音。
以前出たベートーヴェン全集同様、第4のペダル"The harmonic pedal"を備えた特製のスタインウェイを使用しているとのこと。
ピエール・モントゥー(指揮) ローマ歌劇場管 ほか
ヴェルディ;歌劇「ラ・トラヴィアータ」(全曲)(TESTAMENT)
白髭翁モントゥーが遺したオペラ全曲盤3種の中で、唯一、未CD化であったものが、ようやく覆刻されたので早速購入。
米RCA音源で、LPは架蔵済み。
1956年6月、ローマでの録音で、主要な歌手は
ヴィオレッタ:ロザンナ・カルテリ
アルフレード:チェーザレ・ヴァルレッティ
ジェルモン:レナード・ウォレン
という顔触れ。
演奏はまさしく気韻生動、見事な音楽だが、残念ながら少し音の古さを感じる。弦楽合奏など非常に硬い。
フィルアップにウォレンのアリア3曲、こちらの指揮はモントゥーではない。
安倍圭子(マリンバ)
「マリンバ・セレクションズ III」(DENON)
某オークション柴田南雄作品の未架蔵音源を含むCDが出品されていたので落札したもの。
1969年に作曲された「マリンバのための<像>」という7分半ほどの曲で、同年に安倍が初演している。
録音は1976年1月、LPからの覆刻盤である。
その他、三木稔八村義夫石井真木らの作品を収録。

5月19日(木)

 

ポール・パレー(指揮) デトロイト響
シューマン;交響曲第3番(米Mercury、LP)
先日読了した福島章恭『交響曲CD 絶対の名盤』(毎日新聞社)に、非常に気になる記述があった。
シューマンの項でパレーとデトロイト響の全集が推薦盤に挙げられているのだが、「敢えて、私はモノーラル盤を推したい。(略)圧倒的な音の迫力であり圧力である。屈強の戦士の如き!(略)その唸り声や歌声とともに指揮台の上で炎上するパレーの姿が目の前に浮かび上がってくる。」と書かれている。
氏の推測によれば、モノラル盤はステレオ録音のテープから落とされたものではなく別系統のマイクで(しかも指揮者の頭上近くで)収録されたのではないか、とのことである。
斉諧生がパレーを聴き始めたのはバーゲンで売られていたステレオ録音のモノラル盤で、彼に惚れ込むにつれて順次ステレオ盤(最近では英プレス盤)に買い換えつつあるのだが、そう言われてみると、やはり聴かずにはいられない。
eBayで捜していると案の定、引っかかったので落札したもの。
たしかに音にゴリゴリした力強さがあり、第1楽章再現部以降では「エイ、エイ」という指揮者の唸り声、第3楽章冒頭では指揮者の歌声が聴こえる。ステレオ盤は美しいバランスを誇る優秀録音だが、指揮者の声は聴こえない。
…さあ困った、モノラル盤を蒐集し直さないといけない…(激汗)。

5月17日(火)

 

ダイアン・キャロル(Vo) アンドレ・プレヴィン(P) ほか
「ポーギーとベス」(英LONDON、LP)
eBayで面白そうなLPを見つけた。
プレヴィンのピアノ・トリオに女性歌手が加わっての「ポーギーとベス」名歌集、ジャケットもなかなか可憐でよろしい(題字がみうらじゅんの書き文字みたいだ)。
ヴォーカルのダイアン・キャロルはどちらかというと映画・テレビで活躍した人らしく、プレヴィンが音楽を担当した映画「ポーギーとベス」(シドニー・ポワチエ主演、1959年)にもクララ役で出演している。当盤もマルC1959年なので、あるいは映画撮影と前後して録音されたものであろうか。
原盤は米United Artists Recordsだが英プレス盤が安価で出ていたので落札。安いのは傷だらけなのと、モノラル盤(ステレオがありそうな年代だ)のせいか。

5月16日(月)

 

ミクローシュ・ペレーニ(Vc) リコ・サッカーニ(指揮) ブダペシュト・フィル ほか
チャイコフスキー;ロココ変奏曲 ほか(BPO Live)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんの掲示板で、リリース情報をお教えいただいたもの。
狂喜して急遽オーダー、1週間ほどで到着。送料を含めても1,260円ほどだった。
2001年9月17・18日、ブダペシュトのハンガリー国立歌劇場でのライヴ録音とのこと。見学したのは10年ほども前になるが、実に美しいオペラハウスだったことを思い出す。
ちょっとラジオ的な録り方だが、ともかくペレーニ師の音は奇麗にしっかり収録されているので嬉しい限り。
カプリングは(収録時間的にはメインの筈だが)ドヴォルザーク;Vc協、ソリストはタチアナ・レモコヴァなる人、ブックレットにも紹介が無く、どういう奏者なのか不詳。
こちらは1995年1月30日のライヴ。
ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ハーグ・フィル
ハイドン;交響曲第45・55番(独DGG、LP)
以前、オッテルローの記事につけていただいたコメントの中で「忘れがたい名演」の一つに挙げられていたのがハイドンの「告別」「校長先生」。
ずっと捜していたところMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
1960年代初めの録音であろうか。

5月13日(金)

 

ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮) ベルリン・フィル
ベルリオーズ;幻想交響曲 ほか(Philips)
オッテルローの名を世界の好楽家に知らしめたのが、1951年6月のベルリンで録音された当盤。
フィリップス(というか米EPIC)が「レーディアル・サウンド」(Radial Sound、「放射的音響」?)というキャッチ・コピーで売り出した、LP初期のリリースである。
日本でも「録音の優秀なことでは群を抜くレコード(略)従来レコードでほとんど充分に再現されなかった分野が活き活きと出ている」と録音が評価されるとともに、
彼の気違いじみた表現により全楽章を通じて不気味なほどはげしく激動するマニアックな感情を聴くと、これこそアヘンに酔いしびれた悪夢の幕切れにふさわしい音楽だという気がする」と、オッテルローの解釈が評判になったりしたそうだ。
既にステレオ再録音(ハーグ・フィル)は架蔵しているが、やはりこちらも聴いてみたいと思い、某オークションで落札したもの。
同時期に録音されたワーグナー;ジークフリート牧歌をフィルアップ。
なお、当CDの発売時にClassical CD  Information & Reviewsにレビューが掲載されている。
アレクサンドル・クニャーゼフ(Vc) ミハイル・ヴォスクレセンスキー(P)
ショパン;Vcソナタ ほか(TRITON)
このところ蒐集しているチェリストの一人、クニャーゼフの未架蔵盤を某オークションで落札。
標記ショパンのほかブラームス;4つの厳粛な歌(Vc編)シューマン;幻想小曲集をカプリングしている。
シューマンは1995年、他は1987年、モスクワでの録音。
ライナーノートによれば、これが日本での実質的なデビュー盤であったとのこと。

5月11日(水)

 

アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
トゥビン;交響曲第11番(未完)・悲歌 ほか(KOCH)
ALBAレーベルに交響曲全集を完成しているヴォルメルのトゥビン録音がeBayに出ていたので落札したもの。
いつもお世話になっているノルディックサウンド広島さんによれば、第11番は第1楽章だけの未完の作品で(約9分弱)、父ヤルヴィの依頼により、エストニアの作曲家カリヨ・ライドがオーケストレーションを完成したものとのこと。
またカプリングの「悲歌」(約2分半)も、Vn・Vc各2本用の作品をライドが弦楽合奏用に編曲したものである。
したがってCDのメインは、そのライド作曲のストックホルム交響曲(第2番)で、これが35分強を占めている。
(それなのにジャケット表にはトゥビンの名前しか印刷されていない。多少疑問)
1990年4月から1992年1月にかけ、エストニアのタリン放送会館で録音されたもの。
マルティン・ハーゼルベック(指揮) ウィーン・アカデミー
バッハ;ブランデンブルク協(全曲)(NOVALIS)
このところ新録音をあまり見かけないブランデンブルクだが、これは1988年5・11月にウィーンで録音された盤。
たしか国内盤も出ていて、評判はあまりパッとしなかったと記憶しているが、できれば輸入盤で聴きたいと思っていたもの。
なかなか見かけなかったのだが、ようやく(!)eBayで見つけ(しかも安価)、落札した。
チェンバロはハーゼルベック自身が担当しているほか、Vnはイシュトヴァン・ケルテス(第1・4番)、ペーター・シューツ(第5番)といった人たち。
(なお、曲によってグナー・レツボルが加わっている。)
アリシア・デ・ラローチャ(P) レナード・スラトキン(指揮) セントルイス響
ラヴェル;P協・左手P協 ほか(BMG)
知人から拝領したCD。なぜかラローチャのピアノには縁遠かったので、有り難いかぎり。
協奏曲2曲に加え、高雅で感傷的なワルツソナチネをカプリングしている。
協奏作品は1991年4月、セントルイスのパウエル・シンフォニー・ホール、独奏作品は1991年8・11月、ニューヨークのアメリカ文芸アカデミー・インスティチュートでの録音。
宇野功芳(指揮) 跡見学園女子大合唱団 ほか
「創立30周年記念盤」(跡見学園女子大合唱団自主製作)
宇野師が常任指揮者を務めておられた跡見学園女子大合唱団との自主製作盤が某オークションに出品されていたので落札。
ジャケットは手作りっぽいものだが、CD-Rではなく、JASRACのシールも貼付されており、きちんとしたCDである。
収録曲は高田三郎;水のいのちモーツァルト;歌劇「魔笛」(抜粋)など宇野師の十八番ぞろい。
もちろん同曲異演5種を数える(!)レーガー;マリアの子守歌も含まれている。
1991〜96年の7回の演奏会からの集成で、ピアノはいずれも宮下恵美

5月10日(火)

 

ヴァルター・ヴェラー(指揮) BBC響 ほか
R・シュトラウス;メタモルフォーゼン ほか(BBC music magazine)
ウィーン出身の指揮者ヴェラーが振る独墺系音楽は聴いておきたいところ、eBayに「メタモルフォーゼン」が出ていた。
元来好きな曲である上、弦楽合奏曲ならば、元ウィーン・フィルのコンサートマスターの手腕が更に活きる筈と、落札したもの。
カプリングはクリスティーネ・ブリューワー(Sop)が独唱するR・シュトラウスの管弦楽歌曲など。
2001年12月・2002年2月、ロンドンのBBCスタジオでの録音。

5月9日(月)

当ページをごらんいただいた方から、アンリ・コック(Vn)によるルクー;VnソナタのSP録音についての情報を頂戴した。
それによれば、1930又は32年の録音で、日本ポリドールからの発売。
ピアノはシャルル・ファン・ランケルというから、仏LUMEN盤LPとは別録音ということになる。
 
御厚意に、あらためて感謝の意を記しておきたい。<(_ _)>

 

ハワード・シェリー(P) ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) フィルハーモニア管
ガーシュウィン;「ラプソディ・イン・ブルー」・P協 ほか(CHANDOS)
トルトゥリエの未架蔵盤がeBayに出品されていたので落札。
出品者はオーストラリアの人だったのだが、届いたCDにはタスマニア響のチケットが挟んであり、ジャケットにはシェリーのサイン(献辞つき(苦笑))が入っていた。
どうやら1999年8月14日に同響に客演してガーシュウィンを演奏した折りに購入されたものらしい。
「ラプソディ〜」はグローフェ版、更にラプソディ第2番をカプリング。
1992年2月、ロンドンの聖ユダ教会での録音。
ジュネーヴQ ほか
アリアーガ;弦楽四重奏曲第3番 ほか(ex libris)
偏愛の作曲家の一人アリアーガの未架蔵盤がeBayに出品されていたので落札。
弦楽四重奏曲3曲の中では比較的録音機会の少ない第3番だけに貴重である。
ジュネーヴQはスイス・ロマンド管のメンバーからなる団体で、1966年から活動しているとのこと。
Fl2本を加えてカンビーニ;協奏交響曲第3番・二重奏曲第5番を演奏している。
1984年6月、スイス・ルトリー教会での録音。
オフェリー・ガイヤール(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第3・4・5番(ambroisie)
以前中古盤で第1集を入手したガイヤールのバッハ、意外に第2集の出物がなく、途方に暮れていたが、ようやくeBayで安い出品があり、落札したもの。
2001年6月、シャトー・ド・コロワでの録音。

5月6日(金)

 

ベラ・コヴァーチュ(Cl) ベラ・ドラホシュ(Fl) ヤーノシュ・ローラ(指揮) フランツ・リスト室内管
モーツァルト;Cl協・Fl協第2番(HUNGAROTON)
最近蒐集しているリスト室内管の未架蔵盤が某オークションに安価で出品されていたので落札。
ここも(オッテルローなどと同様)結構な数の音源があるようだ。。。(汗)
録音データは明記されていないが、マルPは1986年、PCM DIGITALの表記があるDENON盤CD。

5月4日(休)

 

ゾルタン・コチシュ(P) ほか
バルトーク;ミクロコスモス(Philips)
コチシュによるバルトークのピアノ独奏曲録音は、第4巻まで買っていたのだが、第5巻からは買いそびれていた。
このところ彼のドビュッシーなどを買い揃える中で、バルトークの残りも気になっている。近々、全7巻がセット物で出るらしいが、それで買い直すわけにもいかない。
幸い先日eBayで第5巻「ミクロコスモス」が出品されたので落札したもの。
CD2枚組に全153曲が収録されている。1997年7・10月、ハンブルクのフリードリヒ・エーベルト・ハレでの録音。
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮) モンテヴェルディ合唱団 ほか
モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(DECCA)
「ヴェスペレ」は愛惜佳曲書にも掲載した、バッハ以前の音楽でもっとも好きな曲。
ガーディナーはDGG(ARCHIV)への再録音が決定盤扱いになっているが、これは1974年1月、ロンドンで録音した旧盤に当たるもの。
国内盤LPで架蔵しているが、輸入盤CD(2枚組)がeBayに出品されていたので落札したもの。
器楽合奏にはフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルデヴィッド・マンロウ・リコーダー・アンサンブルが参加している。
30年前、古楽演奏としては時代遅れかもしれないが、貴重な記録として聴いておきたい。
ただしマニフィカトは1種類のみ。

5月3日(祝)

 

ピエール・モントゥー(指揮) ボストン響
ストラヴィンスキー;ペトルーシュカ & ヒンデミット;組曲「いとも高貴なる幻想」 ほか(VAI、DVD)
休日出勤の帰途音盤屋に寄ると、発売を待ちわびていたモントゥーの指揮映像が並んでいたので、購入。
1959年1月20日、ハーヴァード大・サンダース劇場でのライヴ収録とのこと。そのためだろう、画質はあまり高くない。
しかしながらモントゥーの矍鑠たる指揮ぶりを確認できるのは楽しい限り。
標記2曲以外にブラームス;悲劇的序曲を収録している。
シモン・ゴールトベルク(Vn) リリー・クラウス(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ第5・9番(オーパス蔵)
先日ブラームスの覆刻CDを購入したゴールトベルク、SP録音のベートーヴェンの覆刻CDが出ていたので、これもやはり購入せざるべからず。
第5番「スプリング」は、1936年春の来日時に日本で録音されたもの。第9番「クロイツェル」は同年12月にロンドンで録音。
覆刻の音質は、さすがオーパス蔵、実に生々しく、音に力がある。
シモン・ゴールトベルク(指揮) オランダ室内管 ほか
「オランダ室内管 1955〜1985」(蘭nko自主製作、LP)
某オークションに、オランダ室内管の自主製作ライヴ録音LPが出品されていた。
標記ゴールトベルクのみならずヴィレム・ファン・オッテルローの音源も含まれているというので落札したもの。
ゴールトベルクの演奏では、ハイドン;交響曲第1番オネゲル;交響曲第2番ミヨー;春の協奏曲
いずれも「シモン・ゴールトベルク メモリアルファンドCD制作実行委員会」による自主製作CDに含まれている音源であろうが、やはり貴重で嬉しい。
オッテルローでは、C.P.E.バッハ;シンフォニア第15番 ニ長調フランセ;小管弦楽のためのセレナードを収録している。
LP4枚組で、それ以外ではデヴィッド・ジンマンアントニー・ロス・マルバミヨーが指揮している。
なお作曲家が振っているのは、自作「世界の創造」(1970年4月)。

平成16年8月15日(日): 「提琴列伝」に和波孝禧を掲載。
平成16年1月4日(日): 「作曲世家」にルクー・ディスコグラフィを追加。
平成15年8月24日(日): 倭匠列伝指揮者・宇野功芳を掲載。
平成15年8月24日(日): 50万件アクセスを記念して、ページデザインを全面改訂。
平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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