音盤狂日録


7月31日(木): 宮城谷昌光 『クラシック 私だけの名曲 1001曲』(新潮社)を買ってきた。
 この『晏子』『重耳』など中国古代もので知られる作家は、実はまともに読んだことがない。史料は極めて限定されているのに、あんな大部な小説を書くなんてどうも胡散臭い…と読まず嫌いになっている。
 唯一架蔵しているのは、クラシック音楽を取り上げた前作『クラシック千夜一曲』(集英社新書)である。10曲を取り上げ、曲の紹介と聴き比べを行ったものだが、ミヨー;プロヴァンス組曲を含めるあたり、珍しい。
 今回は無慮1,001曲を1曲1頁で紹介している…ということは、全部で1,000頁を超えているわけで、ちょっとした辞書のような大著である(使用紙も薄手のもの)。
 帯に曰く、

敬愛する作曲家はアルビノーニとドイツの3B、ビゼーとミヨー、そしてプーランク。指揮者ならミュンシュとトスカニーニ、チェリビダッケ、またピアニストのユボーも忘れてはならない。

 と、ややユニークな取り上げ方をしているのが目を惹く。
 中を開いてみるとますますユニークで、交響曲がいきなり芥川也寸志;交響曲第1番(飯守泰次郎(指揮) 新交響楽団、fontec)から始まのに吃驚。
 以下、アルヴェーンアンタイルアーノルドアリアーガバラキレフバントックときて、ようやくベートーヴェンに至る。
 ベートーヴェンでも第1・2・5・6番しか採用せず、別宮貞雄ベンジャミン(斉諧生にとっては未知のオーストラリア人作曲家)と続いていく。
 その一方、ハイドンモーツァルトは皆無、オペラ・歌曲・合唱曲も一切排除されている。何か考えがあるらしい。
 斉諧生的には、

パレー;交響曲第1番
ポール(指揮) スコティッシュ・ナショナル管(RR)
ステーンハンマル;交響曲第1・2番
ヤルヴィ(指揮) ヨェーテボリ響(BIS)
マルケヴィッチ;イカロスの飛翔
リンドン・ギー(指揮) アーンヘム・フィル(MARCO POLO)
リリー・ブーランジェ;Vn小品3曲
メニューイン(Vn) カーゾン(P)(EMI)
ルクー;P四重奏曲
ガブリエルQ(LYRINX)

といった作品を取り上げているのが嬉しいかぎり。
 また、演奏家としても、パレーマルケヴィッチが高く評価されており、端倪を許さぬ書物と感じ入った。
 もちろん、個々のセレクションに異論がないわけではないが、

原稿を書きはじめるまえにCDは二千ほどあったが、書き終えたときには六千になっていた。(序文より)

という著者の打ち込みようには、まこと共感せずにはいられない。ぜひ手に取っていただければと願う。

 

ローレンス・フォスター(指揮) モンテカルロ・フィル
エネスコ;組曲第1〜3番・ルーマニア狂詩曲第1・2番 ほか(ERATO)
以前、自伝を読んで以来、作曲家としてのエネスコに、あらためて注目している。
数か月前、あれこれ音盤を蒐集したおりに見つけた、この指揮者のインタビュー(木下健一氏による)で、
(組曲第3番は)天才的な作品だから、是非やりたいな。この作品の郷愁的な情感が素晴らしい。モルダヴィ川面の光、教会や古いルーマニアの風景…、涙が出るくらい美しい。
と語っているのを読んで、ぜひ、聴いてみたいと思っていた。
少し前にリリースされた廉価盤2枚組の作品集がJPCのカタログに残っていたのでオーダーしたもの。
標記5曲以外に、ルーマニア詩曲(op.1)、Vcのための協奏交響曲(独奏;フランコ・マッジョ・オルムソウスキ)を収録している。
録音は1983〜84年。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送響 ほか
ムソルグスキー(ラヴェル編);展覧会の絵 ほか(Berlin Classics)
御存知ケーゲルの代表盤の一。
もちろんCDで架蔵済みだが、今回、"ETERNA COLLECTION" という紙ジャケットのシリーズで出たことから買い直してみたもの。
これまでの経験では、このシリーズ、僅かながら音質が向上しているのである。
聴き比べてみたところ、やはり、音が良くなっている。旧盤は、音場が狭く、弦合奏の高音に硬さが見られるようだ。
見たところ、原盤番号も同一で、同じマスターを使用しているような感じなので、違いが出るのは不思議。製盤技術が向上したということなのだろうか?
 
ラヴァルド・スコウ・ラーセン(Vn & 指揮) ザルツブルク室内ソロイスツ
ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110a ほか(Coviello)
JPCのカタログで、蒐集しているショスタコーヴィッチ作品(バルシャイ編)の未架蔵盤を見つけたのでオーダーしてみた。
この団体は、ラーセンが1991年に結成したもので、彼を含めメンバーの多くはシャンドール・ヴェーグに薫陶を受けたとのこと。
また、1992〜95年にはボリス・ベルキンが芸術監督を務めていたらしい。
カプリングは、シューベルト;弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」を、ラーセンによる弦楽合奏版で演奏したもの。
2000年8月、ドイツ・キームガウ(バイエルン州)のフェスティーヴォ・アシャウにおけるライヴ録音。
 
ノモスQ クラウス・ケンパー(Vc)
シューベルト;弦楽五重奏曲(Coviello)
これも蒐集しているシューベルト作品をJPCのカタログで見つけたので、オーダーしてみたもの。
ノモスQは、アンサンブル・モデルンヨーロッパ室内管に所属していた弦楽器奏者たちが1984年に結成、1988年から、この四重奏団の活動に専念しているとのこと。
1999年10月8日のライヴ録音と記されているが、会場等は明記されていない。
 
レメイ・コルテス・アヤツ(P)
モンポウ;P作品集 Vol.1(PAVANE)
先だって、間違って第2集を買ってしまったアヤツのモンポウ、こんどは正しく「歌と踊り」第6番を含んでいる第1集をJPCにオーダーした。
収録曲は、「歌と踊り」第1〜6番「町はずれ」「子どもの情景」前奏曲第5・8番
録音は第2集(1998年4月)より随分早く、1987年12月。
 
ゲルデイ・ヤールダーニ(Cb) ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ヤーノシュ・アーチュ(指揮) ブダペシュト室内響 ほか
ボッテジーニ;Cb作品集 Vol.4(HUNGAROTON)
ペレーニ師の新譜、JPCで見つけ、勇んでオーダーしたのはよいが、品物が届くころには日本の音盤屋の店頭にも並んでいた…という笑えないお話し。
ヤールダーニは1957年ブダペシュト生れ、ウィーンでルートヴィヒ・シュトライヒャーに学び、あちこちのアンサンブルやイタリアのオーケストラで演奏した後、故国のリスト音楽院等で教職にあるとのこと。
ペレーニ師が演奏しているのは、VcとCbの二重奏曲(1851年作曲、純粋なデュオではなく管弦楽付き)という2楽章12分ほどの曲。
技術的には至難の曲を、楽しそうに演奏している…と、既に聴かれた方から御感想をメールで頂戴した。
その他、協奏的大二重奏曲ロッシーニの歌曲による幻想曲ClとCbの二重奏曲「恋の情熱」などという曲を収録している。
2002年3・6月、フンガロトン・スタジオにおける録音。
 
スティーヴン・スタッブス(指揮) トラジコメディア & コンチェルト・パラティーノ ほか
モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り ほか(ATMA)
これまた蒐集しているモンテヴェルディ作品の新録音をJPCのカタログで見つけ、ヨシヨシとオーダーしたもの。
声楽の各パートを最小限の人数(ソプラノ2、カウンター・テノール1、ハイ・テノール1、テノール2、バス・バリトン3)で歌っているところが特徴のようだ。
スタッブズはリュート奏者としても著名だが、彼とポール・オデットが率いるトラジコメディア(弦楽器と通奏低音)とブルース・ディッキーほかのコンチェルト・パラティーノ(コルネットとトロンボーン)が、器楽パートを受け持っている。
曲の最後を飾るマニフィカトは七声の派手な方だけを演奏しており(もっとも編成が小さいので聴感上は地味)、シャイデマンという17世紀ドイツの作曲家のオルガン作品4曲をフィルアップしている。
録音は2002年9月、オランダ・ライデンにて。

7月30日(水): 

 

尾高忠明(指揮) 紀尾井シンフォニエッタ東京
レスピーギ;古代舞曲とアリア第3組曲 & R・シュトラウス;メタモルフォーゼン ほか(新日鐵文化財団)
某オークションに出品されていた非売品CDを落札。
この、名手揃いのアンサンブルが、標記2曲(好きな作品である)を演奏しているからには聴かざるべからず。
ハイドン;交響曲第7番「昼」をカプリング。
ハイドンが1997年7月12日、シュトラウスが同年12月28日、レスピーギは1998年2月14日の、もちろん紀尾井ホールでのライヴ収録である。
 
コリン・デイヴィス(指揮) バイエルン放送響
チャイコフスキー;弦楽セレナード & ドヴォルザーク;弦楽セレナード(Philips)
好きなドヴォルザーク作品の未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
デイヴィスの、というよりバイエルン放送響の弦楽セクションの響きに期待大。
とはいえ、ミュンヘンでのデイヴィスの仕事が忘れられがちなのは気の毒ではなかろうか。
ドヴォルザークが1986年10月、チャイコフスキーが翌年1月、それぞれミュンヘン・ヘルクレスザールでの録音。

7月29日(火): 

 

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
プロコフィエフ;バレエ組曲「ロメオとジュリエット」 ほか(CANYON)
フェドセーエフの未架蔵盤が某オークションに出ていたので落札したもの。
録音の多い人だが、ここ10年くらいの音楽は聴き逃せないと思っており、CANYONレーベルのものはなるべく入手しておきたい。
標記作品は7曲を抜粋して演奏している。中でも「タイボルトの死」で、どんな強烈で凄まじいクライマックスが築かれているか、楽しみだ。(^^)
組曲「三つのオレンジへの恋」組曲「キージェ中尉」をカプリング。
1993年8月29〜31日、モスクワ音楽院大ホールでの録音。

7月28日(月): 

 

Various Artists
『武満徹全集 第2巻』(小学館)
武満徹全集の第3回発売分が音盤店に入荷したとの連絡があったので引き取る。
今回は器楽曲・合唱曲を集成したCD11枚組で、10枚が器楽曲に割かれ、合唱曲は最後の1枚にすべて収まっている。
幅広く音源が集められているが、この全集のための新録音としては、
クロス・ハッチ(1982年) 岩城宏之(マリンバ) 加藤恭子(ヴィブラフォン)
十一月の霧と菊の彼方から(1983年) アーヴィン・アルディッティ(Vn) 河合祝子(P)
アントゥル・タン(1986年) ガレス・ハルス(Ob) アルディッティQ
夢みる雨(1986年) 高橋悠治(Cem)
リタニ(1950/89年) 木村かをり(P)
ギターのための小品(1991年) 鈴木大介(G)
ギターのための12の歌(1974/77年)、ラスト・ワルツ(1983年) 荘村清志(G)
「12の歌」のうち9曲が新録音(残りは東芝EMI音源)。
手づくり諺(1987年)、明日ハ晴レカナ、曇リカナ(1985年) 岩城宏之(指揮) 東京混声合唱団
 
ミシェル・ルティエク(Cl) レジ・パスキエ(Vn) ブルーノ・パスキエ(Va) アルト・ノラス(Vc) ほか
ペンデレツキ;六重奏曲 ほか(NAXOS)
なんとNAXOSからノラス師匠の新譜が出るというので吃驚、待ちかねて買ってきたもの。
2001年6月、フィンランド・ナーンタリでの録音というから、師匠主宰の音楽祭と関連して収録されたものだろうか。ライヴではなさそうだが。
オール・ペンデレツキ・プロで、師匠が出演しているのはCl四重奏曲(1993年)、ディヴェルティメント(1994年)、六重奏曲(2000年)。
とりわけ「ディヴェルティメント」は無伴奏Vc曲で師匠の妙技が満喫できる。平成10(1998)年11月に、東京・武蔵野市民文化会館小ホールで実演を聴いた曲であり、感慨深い。現時点では、ノラスのソロを聴いた唯一の曲なのだから…。
なお、Cl奏者の名前は原綴 "Michel Lethiec"、よく見る名前だが、その度に片仮名表記が異なっているような気がする(苦笑)。標記は当盤の帯に従ったもの。

7月27日(日): 

 

デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) フランス国立放送管 ほか
ドビュッシー;歌劇「ペレアスとメリザンド」(仏BARCLAY、LP)
アンゲルブレシュトが遺した録音の中で、早くから非常に有名であったもの。長く垂涎していたところ、某オークションに出品されたので、思い切って落札した。
1963年3月12日、シャンゼリゼ劇場におけるライヴ録音。
DISQUES-MONTAIGNE盤が、ちょうど1年前、1962年3月13日の「ドビュッシー生誕100年記念・第2回ドビュッシー・フェスティヴァル」での収録とされている。企画上、何らかのつながりがあったのかもしれない。
歌手は、メリザンドは両盤ともミシュリーヌ・グランシェで共通しているが、ペレアスとゴローは人が変わっている。
1962年のペレアスはジャック・ジャンセンだが、当盤ではカミーユ・モラーヌ。ゴローはミシェル・ルーからジャック・マルスになっている。
音質は非常に良好、こちらもCDにならないものだろうか。
 
エンリコ・マイナルディ(Vc) カルロ・ゼッキ(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ第1・2番(洪RADIOTON、LP)
ペレーニ師の師匠に当たるマイナルディのチェロを聴いていくことは、ペレーニ師の音楽を理解していく上でも必要ではないかと考えている。
1964年12月8日、音楽院(としか書かれていないが、おそらくリスト音楽院だろう)大ホールでのライヴ。1950〜60年代、この2人のイタリア人音楽家は、しばしばハンガリーに客演していたとのこと。
ハンガリー放送が収録した音源を1989年にLP化したもので、モノラルながら非常に良好な音質である。
ソナタ第1番にはペレーニとゼッキのLPもあり、師弟で同じ人と共演しているのも面白い。
先だって海外通販のカタログに出ていたが入手できず口惜しい思いをしていたところ、某オークションで落札できたので嬉しいかぎり。

 今日届いたLPの情報を、アンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。


7月26日(土): 

 

クリストフ・ヘンケル(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(LYRINX)
abeillemusique.comでLYRINXレーベルのセールを行っており、価格(20%引き)以上に品揃えが魅力的。中でも未架蔵だったヘンケルのバッハを購入。
この人は、同じレーベルのベートーヴェン(ピアノはプリュデルマシェ)を聴いて感心したことがあり、あれこれ音盤を蒐集している。
以前、第6番の旧録音(1981年頃)をLP(EMI)で入手しているが、これは1990年の全曲録音である。
 
ジェニー・アベル(Vn)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番 ほか(独PODIUM、LP)
以下はArs Antiquaから届いたLP。
少しずつ音盤を蒐集しているアベルのバッハがカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
1984年9月16日のライヴ。デジタル録音とのことだが、CD化されているのだろうか?
片面はポーランドの作曲家バチェヴィッツの作品に割かれている。すなわち、
無伴奏Vnソナタ(1958年)、4つの奇想曲(1968年)、ポーランド奇想曲(1950年)、奇想曲第2番(1952年)
 
浦川宜也(Vn) ヘルマン・ウールホーン(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ第5番 & フランク;Vnソナタ(日TRIO、LP)
浦川氏のLPは先だってブラームス;Vnソナタ第3番 & バルトーク;無伴奏Vnソナタを入手したばかりだが、同時に録音された別な曲目の盤がカタログに出ていたのでオーダー。
前の盤同様、1975年10月、川口市民会館ホールにおける録音で、エンジニアは菅野沖彦氏、「エクス・ジャン・ベッカー」と名のある銘器グァルネリ(1732年)を使用している。
なお、ベートーヴェンは数年後にフランツ・ルップと全曲録音を果たしており、また、フランクは1997年に岡本美智子と共演したCDがある(ともにfontec)。
 
アメデオ・バルドヴィーノ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第6番(チェコSupraphon、LP)
以前、fontecからリリースされた全曲盤が素晴らしかったバルドヴィーノのバッハ。それ以前に単独で録音された第6番を見つけたのでオーダー。
fontec盤CDは1989〜90年の録音だったが、こちらは10インチ盤LPでジャケットのつくりも簡素というか粗悪というか(苦笑)、かなり昔のものだろう。
なお、やなーちぇくさんによるバルドヴィーノのページによれば、これ以外の曲にも単独の録音が存在するとのこと。
また捜さねば…。
 
ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc) アナトール・ウゴルスキ(P)
ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(蘇MELODYA、LP)
ショスタコーヴィッチのチェロ・ソナタは見れば買っている愛惜の作品だが、いつも参考にさせていただいている工藤さんのレビューを見ていると、星5つという最高の評価を与えられた盤がある。
それがペルガメンシチコフ盤(1974年録音)で、
チェロ、ピアノ共にスケールの大きい表現意欲に満ちた、名演。(略)和声の微妙なうつろいが骨太の音色で美しく描き出されており、ともすればリズムと旋律の面白さばかりが強調される中で独特の魅力を持っている。
とのこと。
これは聴かざるべからずとずっと捜していたところ、ようやくカタログに出てきたのを見つけ、オーダーしたもの。
カプリングはストラヴィンスキー;イタリア組曲
共演者が、西側に姿を現す前のウゴルスキというのも面白い。1942年生れらしいから、まだ32歳という若き日の録音ということになる。

7月25日(金): 

 

小林研一郎(指揮) チェコ・フィル
ブルックナー;交響曲第7番(EXTON)
小林研一郎のブルックナー録音第2弾が出ていたので購入。通常のCDとSACDのハイブリッド・ディスクである。
2003年4月24〜26日の「セッション & ライヴ」収録とのこと。ライヴ録音をベースに一部修正を加えたものであろうか。静謐美に満ちた曲趣ゆえ、それがふさわしかろう。

7月24日(木): 

 

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) アルスター管
ドビュッシー;「映像」・「遊戯」・「カンマ」(CHANDOS)
息子トルトゥリエの指揮盤は、かねて蒐集しているところ。
もともとはドビュッシーとラヴェルを取り混ぜたカプリングで発売されていたが、不評だったのか、作曲家別、各4枚ずつにカプリングし直されたものが広く流通しているようだ。
ベストに数えている「道化師の朝の歌」をはじめラヴェルは既に全録音(CD4枚分)を揃えているが、ドビュッシーは、多少評価が低く、あとまわしになっていて、まだCD1枚半分しか架蔵していない。
某オークションで未架蔵盤が廉価で出ていたので落札したもの。
1989〜90年、ベルファストのアルスター・ホールにおける録音である。
 
ケント・ナガノ(指揮) リヨン歌劇場管
ミヨー;「屋根の上の牡牛」・「世界の創造」 ほか(ERATO)
大仰な題名のわりに、素っとぼけた味わい(ジャズの影響大)を持つ「世界の創造」は大好きな曲。
未架蔵のナガノ盤が某オークションに廉価で出ていたので落札したもの。
Hp協(独奏はフレデリク・カンブルラン)をカプリング。
1992年1月、リヨンでの録音。
 
モーリス・アラール(Fg) イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) コンセール・ラムルー管 ほか
モーツァルト;Fg協 ほか(DGG)
マルケヴィッチがDGGに遺したステレオ録音のうち、まだCD化されていないと思って嘆いていたFg協が、廉価盤で出ていたことに気がつき、慌ててamazon.deにオーダーしたもの。
フランス式バソンの名手アラールが聴けることでも重要な1枚である。
カール・ライスター(Cl) ラファエル・クーベリック(指揮) ベルリン・フィル
モーツァルト;Cl協 & ウェーバー;Cl協第1番
をカプリング。
 
ヴェロニカ・クラナイス(Fl) マルグリット・ツィンマーマン(P)
Fl & P曲集(SALTO)
amazon.deを検索していたら、リリー・ブーランジェ;春の朝にの未知の音源を発見したので、慌ててオーダーしたもの。
それ以外は知らない名前ばかりだが、バーバラ・ヘラー(1936年生)など、主に20世紀の女性作曲家の作品を収録したアルバムで、アルト・フルートやバス・フルート用の曲、あるいはP独奏曲も含まれている。
ライナーノートによると、クラナイスは子どもの頃から演奏活動を行っており、来日したこともあるらしい。
1997年6月、カッセルでの録音。
 
シャロン・マブリー(M-S) ローズマリー・プラット(P)
「女性作曲家作品集」(CAPSTON)
Web上の知人から、リリー・ブーランジェディスクを見つけましたとお知らせいただいた。
オンラインでオーダーできるようになっていたので(普通のアンケート・フォームでセキュアがかかっていないのだが、それは不問)、直ちにオーダーしたもの。
比較的録音の少ない「期待」「映像」「ユリシーズの帰還」の3曲の歌曲と、P独奏の「明るい庭で」が含まれている。
ブーランジェ以外では、CD2枚組にパラディス;シシリエンヌクララ・シューマンといった定番から、現代アメリカの作家まで、14曲を収録している。
1980年代に録音された3枚のLPを覆刻したものと記されているが、詳細の録音データは明らかでない。
 
Various Artists
「デビュー」(CAVALLI)
これもamazon.deを検索していて見つけたリリー・ブーランジェの未架蔵音源。
歌曲集「空のひらけたところ」から第7曲「こんど会うとき」・第8曲「あなたはぼくを」を、コルネリア・オレンディ(M-S)とマティアス・ヴィーリヒ(P)という人が演奏している。
アルバム全体としては、ケルン高等音楽院ヴッパータール分校の女子学生8人が、ファニー・ヘンゼルクララ・シューマンレベッカ・クラークといったおなじみの名前から、まったく未知の作家まで、女性作曲家13人の歌曲31曲を演奏したという、少し妙なもの。
2001年11月、ヴッパータールでの録音。

7月23日(水): 

 

ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) フィルハーモニア管
R・コルサコフ;交響組曲「シェヘラザード」 ほか(DENON)
先だってWeb上の知人から教えていただいたCD。カントロフの音盤には気を付けているはずなのに、見落としていたのである。
以来、店頭で捜していたのだが見つからず、あれあれと思っていたところ、幸い廉価再発されたので購入。
1989年4月の録音、国内盤の初出は1991年1月とのこと。
ムソルグスキー(R・コルサコフ編);禿山の一夜をフィルアップ。

7月21日(祝): 

 

塩川悠子(Vn) ラファエル・クーベリック(指揮) バイエルン放送響
ドヴォルザーク;交響曲第7番・Vn協(Orfeo)
クーベリックのライヴは聴き逃せないと思っているところ、ドヴォルザークの後期交響曲3曲の新譜が登場。
3枚とも欲しいところだが、とりあえず塩川さんの独奏が聴ける1枚のみ購入してみた。
彼女の使用楽器は、この指揮者から特に貸与された、彼の父親でSP期の名人ヤン・クーベリック遺愛のストラディヴァリだったのである。
交響曲は1978年4月2日、協奏曲は1979年11月2日、いずれもミュンヘン・ヘルクレスザールでの収録。

 昨日のライヴを演奏会出没表に追加。


7月20日(日): 

 「天神祭展奉納コンサート 『天空の響き』 」と銘打たれた、一噌幸弘のライヴ@OAPタワー・スカイプラザを聴く。

会場は、大阪市内の高層ビル最上階の展望フロアで、地上180mとのこと。
遥かに生駒山を見渡し、大阪空港(伊丹)を発着する旅客機が往来する窓を背に、仮設ステージが組まれていた。
やがて日が沈むと(開演は午後6時30分)、大阪東郊の夜景が美しく演奏者の背後を彩った。
 
パイプ椅子をぎっしり二百数十ほども並べた客席は、ほぼ満杯。思いの外、高齢の女性が多く、ジャズ・ファンなどは居心地の悪い思いをしていた様子であった。
 
メンバーは、一噌と、太田惠資(Vn)、吉野弘志(Cb)。
アルバム「リーヤリ」(ビクター伝統文化振興財団)でのトリオ。
 
曲目も、上記CDとほぼ同一で、
「獅子」(古典曲)
「ふきあげ、ふきかえし」(以上、能管独奏)
「落石覚悟」(笛とCb)
「リーヤリ」
「すいすい」
「田楽幻想」
「つの笛即興曲」
「ズウター」(以上トリオ)
というもの。
1曲目以外は、すべてアルバムに収録された一噌のオリジナル曲。
 
一噌の笛をステージで聴くのは初めて、能楽系の笛を聴くのも初めて。
強奏時に発せられる裂帛の気合は満堂を圧して凄まじく、弱奏時の優しい風合いは懐かしく人の心を癒す。
PA使用がやや煩わしくもあったが、能管・田楽笛・篠笛・リコーダー(ソプラノ・ソプラニーノ)・ゲムスホルンを取っ替え引っ替え吹きに吹く一噌の響きを、約1時間半、堪能させてもらった。
ワキの二人もそれぞれ巧者で、特に吉野のスピード感溢れるリズム・ワークに感心した。
 
リコーダーを吹かせても、さすが全日本コンクールの覇者だけあって(当時17歳)、ピンと張った音色、揺らぎのないピッチ、誠に見事なもの。
思うに、一度、ルネサンス舞曲あたりを披露してもらいたいところ。
演奏者本人はバッハ;Flソナタを篠笛で演奏することを試みていると語っていたが、バロックよりも、ルネサンスかそれ以前の、ときに土臭ささえ感じる音楽の方が、ユーラシア大陸を通底する要素を浮彫にして興趣深いのではなかろうか。
 
それにしても、両手にソプラノとソプラニーノを持ち、2本同時に吹いてなお音楽に狂いがないのには舌を巻いた。
 
なお、22日(火)から25日(金)まで、NHK・BS-hiの「公園通りで会いましょう」という番組で一噌の特集を組むとのこと。ぜひ一見いただきたいと思う。
 
以下は余談。
曲間ごとに一噌が喋るのだが、その駄洒落たるや、水際だった吹奏とは裏腹のひどさ(笑)。
「(能管は)漆が塗ってあるので、うるしい(うるさい)音がします。」
「そちらがエレクトリック・ヴァイオリン、こちらは…生(なま)ヴァイオリン。焼いてませんよね?」
「エレクトリック・ヴァイオリンは五弦、ウッド・ベースは四弦(よげん)。…ノストラダムスの大『四弦』」
 
頭を抱え、天を仰いで嘆息した。

 

リシャール・ガリアーノ七重奏団
「ピアソラ・フォーエヴァー」(Dreyfus)
ピアソラは自作自演で聴くのが大原則だが、当代の演奏家で作曲者の塁を摩する人としては、まずこのガリアーノに指を屈すべきであろう。
バンドネオンに比してアコーディオンは音が軽く、一般の演奏では気が抜けてしまう。
ガリアーノは、ピアソラ独特の突っかかるようなリズムを、アコーディオンの機動力を活かして更に切れ味鋭く再現し、微塵も不満を感じさせないと言ってもいいだろう。
とりわけトラック7に収録された「リベルタンゴ」のテーマによる即興演奏の見事さには圧倒される。
国内盤も出ているが、輸入盤を捜していたところ、今日立ち寄った音盤屋で見つけることができた。

7月19日(土): 

 

オットー・クレンペラー(指揮) ベルリン・フィル
ベートーヴェン;交響曲第6番「田園」 ほか(TESTAMENT)
このところTESTAMENTからはカンテルリデゾルミエールペーター・マークなど陸続と注目盤がリリースされ、とてもフォローしきれない。
このクレンペラー晩年のライヴも当面は見送るつもりでいたところ、Classical CD Information & Reviewsさんが「空前絶後の凄絶な名演が刻み込まれた,傾聴すべき録音」と最大級の讃辞を呈しておられ、これは聴かずばなるまいと腹をくくらされた。
しかも「田園」のリハーサル(約44分も!)の和訳が初回限定で添付されているとなると、ワゴンセールか何かで安く出るのを待つわけにもいかない(涙)。
あちこちの音盤店で見比べて、最も安かった店舗で購入した。
バッハ;管弦楽組曲第3番モーツァルト;交響曲第29番という、指揮者十八番の2曲をカプリングしたCD2枚組。
バッハにはバイエルン放送響との名演もあり(1957年9月27日、Orfeo)、比較が楽しみである。
1964年5月31日、ベルリン・フィルハーモニーでの収録。
 
オレグ・カエターニ(指揮) ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5・6番(ARTS)
イーゴリ・マルケヴィッチの蒐集から派生して、子息カエターニの音盤も見れば買うようになってしまった(苦笑)。
それでも曲が曲だけに、ちょっと期待してみたい。
第5番が2001年1月、第6番が2002年1月、それぞれミラノ・オーディトリアムにおけるライヴ録音。
 
ロリン・マゼール(指揮) モンテ・カルロ・フィル ほか
「クラシック・エイド」(Sony Classical)
1986年9月30日、ジュネーヴで開かれた「国連難民援助チャリティ・コンサート」をライヴ収録したもの。CDの印税も、国連難民高等弁務官事務所に支払われるという。
演奏会全体を仕切っているのは標記のとおりマゼールだが、実は、エサ・ペッカ・サロネンフランク・ペーター・ツィンマーマンが参加している。
ツィンマーマンはパガニーニ;カプリス第24番を独奏し、
サロネンは、
モーツァルト;Flと管弦楽のためのアンダンテ K.315(独奏;ジャン・ピエール・ランパル)
ロドリーゴ;アランフエス協 第2楽章(独奏;ナルシソ・イエペス)
を指揮しており、この2人の蒐集には欠かせない。
とはいうものの、この種のチャリティものは、著作権の関係等もあるのだろう、いちど出たきりで廃盤になってしまうので、存在は知っていたが入手は諦めていた。
ところが、あるところにはあるもので、某オークションに出品されているのを見つけ、幸いにも落札できた。
その他、アンネ・ゾフィー・ムタータイスの瞑想曲クレーメルクプコヴィッチ;スーヴニール等が含まれており、なかなか貴重なアルバムである。
 
エーリク・エーリクソン(指揮) エーリク・エーリクソン室内合唱団 ほか
バッハ;ロ短調ミサ(Proprius)
合唱の神様、エーリクソンが手兵を指揮したバッハ。
元来はVanguardレーベル(オランダの方)から、マタイヨハネの両受難曲と一緒に出ていたが、全部は買い切れず、最も好きなマタイだけを架蔵してきた。
このレーベルに移って再発されたのは見ていたが、やはり買いそびれていたところ、今日立ち寄った音盤屋で比較的安価な値付けになっていたので、とりあえずミサ曲のみ購入。
バーバラ・ボニー(Sop)、モニカ・グループ(A)という独唱の顔触れもポイントである。
管弦楽はドロットニングホルム・バロック・アンサンブル
1992年11月7〜8日、ストックホルムはベールヴァルド・ホールでのライヴ録音。

7月18日(金): 

 

ウェイン・マーシャル(Org) アンドルー・リットン(指揮) ダラス響
コープランド;Org交響曲 ほか(Delos)
マーシャルは、ビッグバンドの指揮盤やガーシュウィンのP独奏盤など(いずれもVirgin)、好きな演奏家である。
某オークションをあれこれ検索していたら、これまで気づいていなかったコープランドの出世作があったので落札したもの。
組曲「赤い子馬」劇場のための音楽をカプリング。

7月17日(木): 

 

エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) バンベルク響
ブラームス;交響曲全集(DENON)
このところ収集しているクリヴィヌの指揮盤、DENONに残した大物の一つを某オークションで落札。
フランス系の指揮者が、ドイツ的な上にもドイツ的なオーケストラを振って、どういう結果になっているか、楽しみにしている。
1992年7月〜93年7月にかけての録音。

7月16日(水): 

 

トーマス・ファイ(指揮) ハイデルベルク響
ハイドン;交響曲第94・104番 ほか(hänssler)
このコンビは、あまり話題になってはいないが、古楽系アプローチでは屈指の組合せではなかろうか。
前に買ったベートーヴェン;交響曲第1・2番は、実にアグレッシヴで面白い演奏だった。
今回、このハイドンの傑作2曲が某オークションに安く出品されていたので落札してみたもの。
ベートーヴェン同様、「金管楽器とティンパニはピリオド楽器」と特記されている。
ブックレットには「ハイドン没後200年の2009年までに交響曲全集を録音する予定」と書かれているが、続巻は出ているのだろうか? 見たことがないように思う。
録音年月は明記されていないが、マルPは1999年。序曲「アチスとガラテア」をフィルアップ。
 
アンタル・ドラティ(指揮) ワシントン・ナショナル響
ワーグナー;「ニーベルンクの指環」管弦楽曲集(DECCA)
ドラティは好きな指揮者だし、ワーグナーも得意な人、その「指環」抜粋(1975年録音)は聴き逃せないものだが、なぜか輸入盤ではCD・LPとも見かけたことがない。
某オークションで国内盤CDが出品されており、そろそろ潮時かと思って落札したもの。
収録曲は、「ワルハラへの神々の入城」「ワルキューレの騎行」「ヴォータンの告別と魔の炎」「森のささやき」「夜明けとジークフリートのラインへの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」「ブリュンヒルデの自己犠牲」
アナログ期の録音ゆえ、CD時代になってからのものより曲数がやや少ないのは残念。
 
フランツ・アマン(Vc) ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ第5番 & ブラームス;Vcソナタ第2番(PILZ)
某オークションに出品されていた、未知のチェリストのCDを落札してみた。サヴァリッシュが付き合っていることと、名品揃いの曲目に惹かれたもの。
ライナーノートの記述とWebで検索した結果をまとめると、アマンは1938年ドイツ・バイエルン生れ、ピエール・フルニエらに師事し、20歳でミュンヘン・フィルチャイコフスキー;ロココ変奏曲を共演してデビュー。
1969年からバイエルン国立歌劇場管の首席奏者を務めたというから、サヴァリッシュが共演しているのも頷ける。
1986年以来、たびたび来日しており、特に北海道で演奏する機会が多いようだ。
当盤はバイエルン放送局の製作にかかるもので、録音データは不詳だがマルPは1994年となっている。
 
トーマス・ベックマン(Vc) ヨハネス・セルノータ & 松下佳代子(P)
チャップリン;Vc小品集(JARO)
某オークションで落札したもの。
喜劇王チャップリン(「〜王」という綽名の付け方も死語になった)の作曲というと「ライムライト」のテーマが有名だが、それ以外にも多数の音楽を作っている。
もっとも、本人は楽譜が書けなかったらしく(また書こうともせず)、ピアノでメロディを弾いてみせて傍らに控えた(本職の)ピアニストが記譜するといったやり方だったそうである。
彼の未発表作品に、"Oh! That Cello" というVc曲がある。1917年、「この自分では決してうまく弾けなかった楽器へ敬意を表して」(ブックレット解説より)作曲したものということである。(同名のWebpageは有名だ。)
この曲との出会いから、チャップリンの音楽に関心を持ったチェリストが、前後24曲を録音したもの。元来は別々に発売された2枚のCDを、国内盤では組物にまとめている。
気分の晴れないときのイージー・リスニングに好適かも…と思って落札してみた。
聴いてみると、どうもVcの音色・音程が好みではなく、音楽としてもメロディはともかくピアノ・パートが単調すぎる。あまり愛聴に堪えるものではなさそうだ(残念)。
 
ミハイル・プレトニョフ(P) ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
チャイコフスキー;交響曲第6番「悲愴」・P協第1番(Pioneer、LD)
フェドセーエフにチャイコフスキーの交響曲全曲の映像(LD)があるのは知っていたが、入手不可能なものと諦めかけていたところ、某オークションに「悲愴」が出品されていたので落札したもの。
プレトニョフの演奏姿が見られるのも嬉しい。
1990年、フランクフルト・アルテオーパーでの収録。

7月15日(火): 読者の方から御指摘をいただいた。
 同曲異演聴き比べ バッハ;無伴奏チェロ組曲のページで、長谷川陽子盤について、

あるいは日本人の女性チェリストとしても初のものかもしれない。

と記していたのだが、藤原真理盤(DENON)が先行して出ている、とのこと。
 藤原盤は、先だって廉価再発された折りに購入しているので、遅くともその時に気づいていなければならないはずで、迂闊千万、誠にお恥ずかしいかぎり。
 さっそく訂正するとともに、従来の誤りについてのお詫びと、御教示いただいたことへの御礼を申し上げたい。

 

ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) アラン・プラーネス(P)
モーツアルト;Vnソナタ全集(日DENON、LP)
カントロフの音盤蒐集の上で大きな穴になっていたのが、DENONへデジタル初期(1975〜78年)に録音した、モーツァルト;Vnソナタ。
まだ技術の安定していない頃というのが祟ったか、いちどCD化されたものの、広く流通することがなかった。
某オークションにLP6枚がまとめて出品されたので、千載一遇の好機と落札したもの。
気品と純粋な心やさしさと現代感覚は、かつての名盤、ゴールドベルク・クラウス以来のもの」(中村稔『ヴァイオリニストの系譜』音楽之友社)
との評価、さもありなんと思ってきたが、いよいよ実際に聴いて確認できるのが楽しみである。

7月14日(月): 

 

ヤン・スティグメル(Vn) クリスチャンサン室内管
ハイドン;Vn協集(INTIM MUSIK)
北欧の注目Vn奏者、スティグメルの新譜がSwedish Music Shopに出ていたのでオーダーしたもの。
ハイドンのVn協は、あまり有名な曲ではないし実演にかかることも少ないが(斉諧生はまだ聴いたことがない)、音楽の愉しみに溢れた佳曲である。
ここではイ長調、ハ長調、ト長調の3曲を演奏している。
2002年5・8月の録音。
 
ニッポン・オクテット
ベートーヴェン;七重奏曲(JAL)
某オークションで落札したもの。
「JALクラシックの夕べ」と題された、1988年7月8日、サントリー・ホールでの演奏会のライヴ録音である。収録はNHK、CDの製造はビクター音産とのこと。
さほど好きな曲ではないのだが、第1Vnが安永徹、Cbが河原泰則、この両者のファンとしては入手せざるべからず。
その他、深井碩章(Va)、山下泰資(Vc)、鈴木豊人(Cl)、猶井正幸(Hrn)、小山昭雄(Fg)といった錚々たる実力派が揃っている。
 
ダン・ラウリン(Rec)
「リコーダー・グラフィティ」(INTIM MUSIK)
BISで活躍しているラウリンの初期録音(1991年3月)をSwedish Music Shopにオーダーしたもの。
ルネサンス・バロックの諸作品と現代作品を織り交ぜた、彼らしい選曲で、曲によってはシンセサイザーや打楽器を加えている。
古い方では、ルネサンス舞曲「イスタンピータ・ゲッダ」ファン・エイクバッハ;ガヴォット(無伴奏Vc組曲第5番より)などを、
新しい方では、増本伎共子;牧歌石井真木;ブラック・インテンションアンドリーセン;エンデなどを演奏している。
増本・石井の作品は、後にBISに再録音しているようだ。

7月13日(日): 

こんな夢を見た。
 
生け簀の中に、黒い小魚が2尾、元気よく泳いでいる。
少し大ぶりの金魚のような姿態である。
 
生け簀の番人によると、この魚は、ストラヴィンスキーの音楽なのだという。
世界中で演奏されるストラヴィンスキーの音楽は、この生け簀から出ていくのだという。
 
「蓋をしておきませんとね、飛んでいくんでさあ」
 
……魚が飛ぶのかい、だって現に蓋がしてないじゃないか……
と言う間もなく、魚は黒い蝶に姿を変えて、飛び回りだした。
 
ひらり、ひらり。
 
慌てて手に持っていた扇子で蝶を追う。
……水の中に、押し戻さねば……
 
するりと身をかわす蝶。
 
と、勢い余って、はたき落としてしまった。
……死んでやしまいか?!
 
幸い、再び元気に泳ぎだしたようである。
古びた木の板で蓋をして、その場を立ち去った。
 

 読者から御教示いただいた情報を、マルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。


7月12日(土): 

 MikrokosmosからLPが届いた。

オイゲン・ヨッフム(指揮) ベルリン・フィル
ハイドン;交響曲第88・98番(独DGG、LP)
第88番が1961年10月、第98番が1962年5月のステレオ録音。
よく朝比奈隆が「三河以来の旗本みたいな連中」と形容した、フルトヴェングラー時代の古参楽員が多く残っていた頃のベルリン・フィルの演奏は、なるべく聴いておきたいと思っている(もちろんカラヤン以外の指揮者で。)。
ヨッフムの棒、曲は名作「V字」(=第88番。最近この愛称は使われなくなったようだ)、オーダーせざるべからず。
いわゆるチューリップ・ラベルではあるが、ジャケット隅に「5/66」と刷られている。1966年頃に再発された盤であろうか。
なお、ヨッフムがDGGに録音したハイドンには、ロンドン・フィルとの「ロンドン・セット」12曲がある。
そちらは夙に4枚組CDが出ており架蔵しているが、先だって、この2曲と第91番(バイエルン放送響)を加えた5枚組で再発された。
 
ズビン・メータ(指揮) イスラエル・フィル
ドヴォルザーク;交響曲第7番(英DECCA、LP)
1968年6月、このコンビでヨーロッパ演奏旅行を実施した際、ロンドンのキングズウェイ・ホールで録音された…と、ジャケット裏の解説にある。
どこかで宇野功芳師が、この演奏を褒めていたのを見かけて以来、ずっと気にかけていたのだが、なかなか本国でCD化されず(日本盤やオーストラリア盤は見たことがある)、LPを捜していたもの。
ようやくめぐり逢ったのでオーダー。上記のような、特定の機会に製作されたレコードゆえに再発されにくかったのだろうか?
さて、その宇野師の文章を捜しているのだが、見つからない。もしかして記憶違いだったか? (苦笑)
ときにメータ32歳、ジャケット表のポートレートも、瑞々しくエキゾティックな美男子ぶりを示している。
余談ながら、いしかわじゅんの漫画で、登場人物(男)が登場人物(若い女性)に「キミの好みは何某(失念)かズビン・メータ!」と突っ込んでいるシーンを見かけた記憶がある。
 
ポール・パレー(指揮) デトロイト響
シベリウス;交響曲第2番(米Mercury、LP)
パレーの未架蔵盤を比較的安価で見つけたのでオーダーしたもの。既にCD化されており、そちらはもちろん架蔵済み。
もっとも、演奏自体は、パレーらしい快演ではあるものの、シベリウスとしては怪演というほかない代物だが…(苦笑)。
1959年1月17日の録音。
 
ジャン・フルネ(指揮) チェコ・フィル
ドビュッシー;「イベリア」・「春のロンド」 & ファリャ;組曲「三角帽子」第2番(チェコSupraphon、LP)
1965年2月、壮年期のフルネがチェコに客演して製作した一連の録音から。これ以外にはドビュッシー;「海」・「夜想曲」フランク;「プシシェ」・交響詩集(プラハ響)があった。
かつてCD化されたことがあるが、意外に見かけない盤ではなかろうか。
中欧のオーケストラを指揮していることで、かえって名匠フルネの楽曲把握が赤裸々に顕れるのではないかと期待してオーダーしたもの。
幸い、紅いレーベルでオリジナルに近い様子、状態の良い盤であった。
 
ロナルド・トーマス(指揮) ボーンマス・シンフォニエッタ
ブリテン;フランク・ブリッジ変奏曲 & シンプル・シンフォニー ほか(英RCA、LP)
好きなブリテンの弦楽合奏作品を収めた盤が出ていたのでオーダーしたもの。
前奏曲とフーガ op.29をフィルアップ。
1977年7・10月の録音で、エンジニアがブライアン・カズンズ。後にCHANDOSレーベルを起こす人物であり、この演奏も現在は同レーベルからCD化されている。
もちろんアナログ音源ゆえ、LPで入手できたのは幸い。美しい弦楽の響きが楽しめる。
 
チャールズ・グローヴズ(指揮) ロイヤル・フィル
ディーリアス;「北国のスケッチ」・「生命の踊り」・「夏の歌」(英EMI、LP)
グローヴズの暖かい音楽はかねて好むところ、彼のディーリアス演奏とあらば、ぜひ聴いておきたく、オーダーしたもの。
また「夏の歌」は、ケン・ラッセルが監督した作曲家の伝記映画のタイトルにもなった美しい曲であり、縁のエリック・フェンビーが解説を執筆している。
1970年代半ば、当時EMIが採用していたクオドラフォニック・エンコード盤。この方式のLPは、ときにくぐもった音質になることもあるが、当盤はさほどデメリットを感じさせない出来。
 
カルロ・ゼッキ(指揮) モスクワ・フィル
ウェーバー;「オベロン」序曲 & ヴェルディ;「シチリア島の夕べの祈り」序曲 ほか(蘇MELODYA、LP)
ゼッキの管弦楽名曲集、このイタリアの隠れた名指揮者の録音は見逃せないのでオーダー。
キリル文字の解読には自信がないが(汗)、
コレッリ;合奏協奏曲
シューベルト;ハンガリー行進曲
ウェーバー;「オベロン」序曲
ヴェルディ;「シチリアの晩祷」序曲
バルトーク;エレジー
を収録している模様。
メロディアの粗悪な紙袋に入っているが、盤の状態は悪くない。
 
ハインツ・ボンガルツ(指揮) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管
バッハ;ブランデンブルク協第3・5番(羅ELECTRECORD、LP)
旧東独のベテラン指揮者によるブランデンブルク協奏曲、古楽派と対照的な重厚なバッハが聴けるのではないかと期待してオーダーしたもの。
ルーマニア盤だが、おそらくETERNA音源であろう。全曲録音の一部か、これだけなのかは不明。この2曲の組合せだと、後者の可能性も高い。
第5番のソリストは、ゲルハルト・ボッセ(Vn)、ハインツ・ヘルチュ(Fl)、ハンス・ピシュナー(Cem)。
きれいな盤で、後年の再発かと思われる。
 
エマニュエル・クリヴィヌ(Vn) クリスチャン・イヴァルディ
フランク;Vnソナタ & ドビュッシー;Vnソナタ(仏L'ESCARGOT、LP)
クリヴィヌがヴァイオリニストとして活動していた1970年代終わり頃の録音。
前にCDを見かけたことがあるのだが、買いそびれたまま入手不可能(?)になって、地団駄踏んでいた。
3年ほど前に、同じ組合せのバルトーク;Vnソナタ第1・2番(仏L'ESCARGOT)のLPを架蔵したが、ようやく本命のフランス物を見つけ、勇んでオーダー、目出度く落手できたもの。
 
ジョージ・アイザック(Vc) マーティン・ジョーンズ(P)
ディーリアス;Vcソナタ & プロコフィエフ;Vcソナタ ほか(英Argo、LP)
ディーリアスでは管弦楽・声楽曲が多く録音され、室内楽作品は比較的珍しかろう。
この曲も、ジュリアン・ロイド・ウェッバー盤(Philips)とキース・ハーヴェイ盤(Unicorn、LP)くらいしか架蔵していない。
ともあれ、この作家の録音は、すべてとは言わないが、なるべく聴いておきたいのでオーダー。
P独奏で、ディーリアス;3つの前奏曲・5つのピアノ小品をフィルアップ。

 今日届いたLPの情報を、パレー・ディスコグラフィに追加。


7月11日(金): 

 

ヤン・フォーグラー(Vc) ヘルムート・ブラニー(指揮) ドレスデン歌劇場管合奏団
ハイドン;交響曲第50・94番 & Vc協第2番(Dresdner Compact Disc)
斉諧生御贔屓のチェリストの一人、ドイツ系奏者としては第一に指を屈したいフォーグラーの未架蔵盤を某オークションで落札したもの。
公式Webpageのディスコグラフィに掲載されており、ずっと捜していたのだが、店頭等では見つからなかったもの。
オーケストラは、原綴 "Dresdner Kapellsolisten" 、1994年にシュターツカペレ・ドレスデンの若手奏者により結成されたとのこと。当盤は1994年9月の録音と記されているので、デビュー直後(?)に収録されたことになろう。
ブックレットに記されているメンバー(総計30人)のほとんどは、現在も歌劇場管のメンバー表に名を連ねており、指揮者もCb奏者として所属している。
 
ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vn) マリア・デ・ラ・パウ(P) ポール・トルトゥリエ(Vc)
サン・サーンス;P三重奏曲 & ラヴェル;P三重奏曲(EMI)
トルトゥリエ親子による室内楽録音、LPでは架蔵しているがCDは未架蔵だったところ、某オークションで見かけたので落札したもの。
ラヴェル作品には、息子トルトゥリエが自分で管弦楽編曲した指揮盤もあり(CHANDOS)、東京でも実演を披露している。
1978年9月の録音。
トルトゥリエのP三重奏録音といえば、チョン・キョンファ(Vn) プレヴィン(P)とのメンデルスゾーン & シューマンがあったが(EMI)、LPもCDも見かけない。気になっている盤の一つである。
 
今井信子(Va) ハリス・ゴールドスミス(P)
ブラームス;Vaソナタ第1・2番 ほか(CANYON)
今井さんのヴィオラは高く評価しているところ、名演といわれるブラームスが某オークションに出ていたので落札したもの。
1989年6月、ニューヨークでの録音で、プロデューサー & エンジニアをRCAで活躍したマックス・ウィルコックスが勤めているのが目を惹く。
ピアニストだけによる小品3曲(op.76-2、op.116-4、op.118-1)をフィルアップ。
なお、彼女のブラームスは、CHANDOSに旧盤(1987年2月録音)がある。
 
藤森亮一(Vc) カール・アンドレアス・コリー(P)
「パストラル」(MEISTER MUSIC)
斉諧生が毎日巡回するWebpageの一つが藤森氏の日記で、この人には関心を持っているのだが、彼の録音はバッハ;無伴奏も含め、ろくに聴いたことがない(汗)。
小品集が某オークションに安価で出品されていたので落札してみた。
フルニエの編曲によるコラール集をはじめ、バッハの小品を収めたものゆえ、「お試し」には好適か。
バッハの高貴さを、どう再現してくれているか、楽しみである。
1999年8月・2000年8月に、このレーベルが誇るデ・ゲアール製マイクを用いて録音された。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) シドニー響
ハイドン;交響曲第92番「オックスフォード」(独TELEFUNKEN、LP)
国内の通販業者から10インチ盤1枚が届く。
シュミット・イッセルシュテット得意のハイドンの未架蔵音源、ディスコグラフィにも記載していなかった音源なので、狂喜乱舞、手の舞い足の踏むところを知らず。
ディスコグラフィには、この組合せで第102番を掲載してきたが、それはそれで音源が存在するのか、原資料の誤記で、実はこの第92番なのか、未詳。
1950年代初め(?)のモノラル録音で、客席ノイズが聞こえるところもあり、ライヴ収録かもしれない。録音データは明記されていない。
また、オーケストラがドイツ・ツアーでもしたときに共演の機会があったのか、シュミット・イッセルシュテットがオーストラリアに客演したのか、それも不明。
シドニー響の公式Webpageには、1950年代のヨーロッパ演奏旅行に関する記事はない。1974年にオッテルローと8週間の欧州楽旅をともにしたことは特記されているのだが…。

 今日届いたLPの情報を、イッセルシュテット・ディスコグラフィに追加。


7月8日(火): 

 

菅きよみ(Fl) 鈴木秀美(指揮) オーケストラ・リベラ・クラシカ
ハイドン;交響曲第14・53番 & モーツァルト;Fl協第2番(TDK)
OLCの新譜が出ていたので購入。これで第5弾ということになる。
2003年5月2日、東京・浜離宮朝日ホールでの収録。
 
ミヒャエル・ギーレン(指揮) 南西ドイツ放送響
マーラー;交響曲第1番 ほか(hänssler)
hänssler レーベルから出ているギーレンのマーラーは、以前、Intercord レーベルから出ていた音源の再発があったりしてややこしいが、この第1番は2002年6月11〜13日にフライブルクのコンツェルトハウスで収録された新録音。
彼の新録音を聴き逃すことはできないので購入。文字どおり「スコアを透かし彫りにする」ような「巨人」が、どう響くか、楽しみである。
アイヴズ;「暗闇のセントラル・パーク」・「答のない質問」をフィルアップ。こちらは1995年2月、バーデン・バーデンのハンス・ロスバウト・スタジオでの録音。
 
ミシェル・ダルベルト(P) ジョン・ネルソン(指揮) アンサンブル・オーケストラ・ド・パリ
モーツァルト;P協第22・25番(BMG)
先だって国内盤が出たばかりの(録音は2000年8〜9月で、輸入盤は早くに出ていたはず)、ダルベルトのモーツァルトが中古音盤屋に並んでいた。
ダルベルトのピアノもさることながら、アメリカ出身のベテラン、ネルソンの棒に期待して購入。

7月7日(月): 

 

マレク・ヤノフスキ(指揮) フランス放送フィル
ルーセル;交響曲全集(BMG)
ルーセルの交響曲は、フランス近代楽ファンとして見逃すことができない。
未架蔵の全集盤が某オークションに出ていたので落札したもの。
1993〜94年の録音。
 
イェフディ・メニューイン(指揮) イギリス弦楽管
バルトーク;弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽 & ディヴェルティメント(Nimbus)
作曲者と親交のあったメニューインのバルトーク録音を某オークションで購入。
特にディヴェルティメントは、バース音楽祭管盤(EMI)やポーランド室内管盤(MUZA)もある十八番なので、大いに期待したいところである。
1986年12月の録音。

7月6日(日): 

 この間に入手したCD・LPの情報を、ステーンハンマル 作品表とディスコグラフィパレー・ディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィペレーニ・ディスコグラフィに追加。

 音盤狂昔録平成15年6月分を追加。


7月5日(土): 

 

ヘンリク・シェリング(Vn) チャールズ・ライナー(P)
「リサイタル」(仏RCA、LP)
シェリングがRCAに録音した小品集を某オークションで見つけ、落札した。
収録曲は、ヴィターリ(シャルリエ編);シャコンヌタルティーニ(クライスラー編);悪魔のトリルなど、擬バロックの有名曲を中心に、シューマン;予言の鳥ヴィニャフスキ;スケルツォ・タランテラ等を添えている。
1959年1〜3月にニューヨークで収録されたもので、ステレオ音源なのだが、当盤はモノラル。しかも昨年にCDで覆刻されており、そちらは架蔵済み。ちょっと勿体ない買い物になってしまった。(汗)
慌てて付け加えておくが、演奏自体はヴァイオリニスト壮年期の充実したものである。

7月4日(金): 

 

コンセルトヘボウ管 ほか
「放送用ライヴ録音集成 vol.1 1935〜1950」(Q DISC)
CD13枚組の大物、しかも、完成時には全6巻となるらしい。
すなわち、この第1巻は1935〜50年、あとは各巻10年刻みで5巻50年分、2000年までの放送用録音の集大成に発展するとのこと。
収録曲・演奏者の詳細は公式Webpage又はキング・インターナショナルのページを参照されたいが、斉諧生的には、
ポール・パレー(指揮)
R・シュトラウス;交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(1940年1月18日)
が最重要。この指揮者にとって同曲唯一の録音であり、シュトラウスも他には「7つのヴェールの踊り」(Mercury)しか残されていない。
 
また、このオーケストラと親密な関係のあったピエール・モントゥーの音源が多いのも嬉しい。
ベルリオーズ;序曲「ベンヴェヌート・チェッリーニ」
サン・サーンス;P協第4番(ロベール・カサドシュス)
ドビュッシー;交響詩「海」
フランク;交響詩「エオリッドたち」(以上、1939年10月12日)
ウェーバー;P小協奏曲(リリー・クラウス、1939年10月19日)
アンドリーセン;Org協(作曲者独奏、1950年11月1日)
 
その他、
カール・シューリヒト(指揮)
マーラー;大地の歌(1939年10月5日、Archiphon盤より僅かながら音が生々しい)
エイドリアン・ボールト(指揮)
エルガー;変奏曲「エニグマ」(1940年2月29日)
ゲオルク・クーレンカンプフ(Vn) ヴィレム・ファン・オッテルロー(指揮)
レーガー;Vn協(1944年1月16日)
ラファエル・クーベリック(指揮)
ショスタコーヴィッチ;交響曲第7番(1950年2月9日)
エーリヒ・クライバー(指揮)
ベートーヴェン;交響曲第5番(1950年4月28日、DECCAへのスタジオ録音は1953年9月)
など、興味深い音源満載である。
これはJPCから購入した。約56ユーロ(約7,570円)だったから、国内店頭価格の5〜6割程度で、送料を入れてもなお割安。
もっとも、ここはオーダーから発送まで、また更に到着まで、けっこう日数がかかることがある。今回も、約2月半近くを要した。
 
ミヒャエル・エルクスレーベン(Vn) ミヒャエル・ショーンヴァント(指揮) ベルリン響 ほか
ストラヴィンスキー;Vn協 & シェーンベルク;Vn協(Berlin Classics)
この1960年ドレスデン生れのヴァイオリニストは、前にショスタコーヴィッチ;Vn協第1番ほかのCDを買っており、この盤も気になっていながら買いそびれていた。
先だってJPCに安価で掲載されたのを機にオーダーしたもの。
シェーンベルクは、クラウス・ペーター・フロール(指揮)による。
録音は、ストラヴィンスキーが1994年4月、シェーンベルクが1989年6月。
 
ヴィリー・ボスコフスキー(Vn) リリー・クラウス(P)
モーツァルト;Vnソナタ集 第1・2巻(EMI & 新星堂)
各CD3枚組、定価の合計9,000円のものだが、某オークションで格安落札したもの。
ヴァイオリニスト・ピアニストともに興味を惹かれる人で、かねて店頭で見かけては手を出しかねて嘆息していたから、嬉しいことである。
讃仰者の多いクラウスがピアノを弾いているわりには話題にならないのが不思議だ。ボスコフスキーにウィンナ・ワルツのイメージが濃くて損をしているのだろうか。
1954〜57年のモノラル録音。
 
バルナバーシュ・ケレメン(Vn) タマーシュ・ヴァーシャリ(P)
ブラームス;Vnソナタ第1〜3番(HUNGAROTON)
このところ指揮者としての活動が目立つヴァーシャリがピアノで付き合っているのに興味を惹かれ、JPCにオーダーしてみたもの。
ヴァイオリニストは1978年ブダペシュト生れ、エステル・ペレーニに師事し、1997年のヨーゼフ・シゲティ・ヴァイオリン・コンクールや1999年のザルツブルク・モーツァルト・コンクールで上位入賞したとのこと。
ハンガリーの弦の伝統を受け継ぐ、渋く暖かい音楽を期待している。
2002年3月21〜24日、フンガロトン・スタジオでの録音。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) 聖チェチリア音楽院管・合唱団
ダラピッコラ;「囚われ人の歌」(仏VSM、LP)
あまり知られていないがマルケヴィッチの重要な遺産であるダラピッコラ録音。
2年ほど前に入手しているのだが、既架蔵品は盤面の状態が良くなく盛大なノイズが入る。
このほど、状態の良さそうな盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
期待どおりノイズも少なく、愛聴に堪えるものであった。

7月3日(木): 

 

マリス・ヤンソンス(指揮) ロンドン響
マーラー;交響曲第6番(LSO自主製作)
こんなに安くていいのだろうかと思わされるほどの、お買得価格で流通しているLSO自主製作盤。
このところ食指の動くものがなかったのだが、今回は、マーラーの中でも好きな第6番、しかもSIMAXに本拠を移して質の高いCDを連発しているヤンソンスの指揮である。
試聴機に入っていたので少し聴いてみたが、力強い演奏で良い感じゆえ、購入するに決した。
2002年11月27〜28日、ロンドン・バービカンでのライヴ録音(技師は名手トニー・フォークナー)。
 
スヴィヤトスラフ・リヒテル(P) ボロディンQ ほか
フランク;P五重奏曲 ほか(YEDANG)
見つければ買っているフランクの五重奏曲が、YEDANGから出た。しかも同曲のベストではないかと考えているPhilips盤と同じ演奏者。
もしや同じ音源では…と懸念しないでもなかったが、ともかく買わざるべからず。
データとしては、YEDANG:1988年12月5日、Philips:1981年12月 となっているが、念のため聴き比べてみると、演奏ノイズの入り方など、明らかに異なる(Philips盤もライヴ)。
音質も悪くなく、もしかしたらベスト盤候補になるかもしれない。
ドヴォルザーク;テルツェット(ヴィクトル・ピカイゼン & イーゴリ・オイストラフ(Vn) ミロスラフ・ルジン(Va)、1983年4月23日録音)をカプリング。
 
ベンジャミン・ブリテン(指揮) イギリス室内管 ほか
モーツァルト;レクイエム(BBC LEGENDS)
BBC LEGENDS の新譜が数点、店頭に並んでいた。
スヴェトラーノフなどにも興味を惹かれるが、とりあえずブリテンのモーツァルトは聴き逃せないので、これのみ購入。
DECCAに録音した交響曲やカーゾンとのP協奏曲など、自作自演に匹敵する価値を持つ名演である。
1971年6月20日、オールドバラ音楽祭でのライヴ録音で、
ヘザー・ハーパー(Sop)、アルフレダ・ホジソン(M-S)
ピーター・ピアース(Ten)、ジョン・シャーリー・カーク(Bs)
オールドバラ音楽祭合唱団
の歌唱による。
比較的新しい録音にもかかわらず、モノラル収録で、音質的にも優れていると言えないのが残念。
ライナーノートによると、部分的にブリテンがオーケストレーションを変更(加筆)しているらしい。
その筆者(ドナルド・ミッチェル)がブリテンと交わした会話(インタビュー)の録音(約26分、1969年2月)をフィルアップ。

7月2日(水): 

 

マルク・スーストロ(指揮) ボン・ベートーヴェンハレ管 ほか
ベートーヴェン;交響曲第3番 ほか(MDG)
先だって購入したドビュッシー & ラヴェルの佳かったコンビで、このオーケストラの表芸ベートーヴェンの録音があるというのに吃驚、某オークションで落札したもの。
1996年8月22日のライヴ録音。スーストロの首席指揮者就任は前年秋というから、就任1年の成果を問うたものだろうか。
CD2枚組で、もう1枚には
コンソルティウム・クラシクムによるHrn六重奏曲 op81b
ライプツィヒQによる弦楽四重奏曲 op.14-1
パルナッスス・トリオによるP三重奏曲 op.11
といった珍しい曲を収める。
 
ウルフ・セーデルブルム(指揮) サヴォリンナ・オペラ音楽祭管 ほか
モーツァルト;歌劇「魔笛」(サヴォリンナ・オペラ音楽祭自主製作)
斉諧生最愛のオペラの未架蔵盤が某オークションに出品されており、いそいそと落札したもの。
湖上の古城で開催される、高名な音楽祭でのライヴ録音(1997年7月)で、舞台ノイズも盛大に入っている(例えば、第1幕冒頭の大蛇退治ではピストル(?)の鋭い発射音が聞こえる)。
フィンランド語歌唱により、歌手もマッティ・サルミネン(ザラストロ)、トム・クラウゼ(弁者)以外は知らない名前が並んでいる。
もしかしたら、この音源の一部は、BIS-373〜74に収録されているのかもしれない。

平成15年5月24日(日): 「逸匠列伝」にユッシ・ヤラスを掲載。
平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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