音盤狂日録


6月30日(月): 

 

ウィーン・フィル ほか
「20世紀の音楽」 vol.1(andante)
andanteからリリースされた、ウィーン・フィルの20世紀音楽集成第1巻。
1951年から1985年に及ぶ、楽友協会大ホールでのライヴ録音である。
大急ぎで発売元からWeb通販で購入したのは(代金45ドル+送料17ドル、62ドル(約7,300円))、
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」(全曲)
という大物(!)が含まれているため。
これは1952年4月26日の演奏。
ブックレットの記事によると、ウィーンの放送局「ロート・ヴァイス・ロート(赤・白・赤)」が、ウィーン・フィルの演奏会を楽友協会大ホールから生中継しており、その指揮者としてマルケヴィッチを招いたという。また、この年のザルツブルク音楽祭でも同じプログラムを演奏したらしい。
音楽祭の記録を調べてみると、確かに、1952年8月27日、フェストシュピールハウスで、次のような演奏会を開いている。
シューベルト;交響曲第3番
ベートーヴェン;P協第4番(クラウディオ・アラウ)
ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」
ついでながら、翌年8月26日にも登場、このときは
プロコフィエフ;古典交響曲
デュカス;魔法使いの弟子
ブリテン;青少年のための管弦楽入門
チャイコフスキー;交響曲第4番
というプログラムであった。
 
さて、この指揮者の「ハルサイ」は、これで8つ目の全曲録音ということになる。
いきなりFgがつまずいたり危なっかしいところもあるが、いつものマルケヴィッチらしい、シャープな追い込みが聴ける。演奏終了と同時に、拍手大喝采である。
音質は、残念ながら、いかにも古い放送録音という感じ。
歪みがなく聴きやすい音ではあるが、レンジやダイナミクスの幅が狭く、音が遠い。
 
いつも参照するオットー・シュトラッサーの著書『栄光のウィーン・フィル』にマルケヴィッチは登場せず、この厳格で知られる指揮者が、この練習嫌いで有名なオーケストラと、どのような関係を持ったかは、残念ながら記されていない(笑)。
なお、同書によると、ウィーン・フィルが初めて「春の祭典」を演奏したのは1923〜24年のシーズン、フランツ・シャルクの指揮だったとのこと。大変なスキャンダルになったが、それは作品のせいだけではなく、自分たちの演奏も「けっして非の打ち所のないというものではなかったから」だったそうな(シャルクの指揮も相当怪しかったらしい)。
1932〜33年のシーズンにクレメンス・クラウスと再演したときには、指揮者が楽譜の拍子を演奏しやすいように書き換えたこともあって、初演のような騒ぎにはならなかったとか。
 
他の指揮者と収録曲は、年代順に、
エルネスト・アンセルメ
オネゲル;交響曲第5番(1951年12月2日)
ラファエル・クーベリック
ヤナーチェク;シンフォニエッタ(1955年3月3日)
カール・ベーム
ベルク;「酒」
シェーンベルク;「ペレアスとメリザンド」(以上1969年6月1日)
エーリヒ・ラインスドルフ
フランツ・シュミット;交響曲第2番(1983年10月29日)
ズビン・メータ
ウェーベルン;パッサカリア(op.1) & 6つの小品(op.6)(1983年12月3日)
ベルナルト・ハイティンク
ヴェレシュ;プロスペローの呪文(1985年2月24日)
 
アリ・ラシライネン(指揮) ノルウェー放送管
「春のさざめき − 北欧管弦楽小品集」(FINLANDIA)
音盤屋に立ち寄ると、北欧音楽ファンには何とも魅力的な小品集が出ていたので購入。
ラシライネンとノルウェー放送管は、この前に買ったグリーグ;組曲「ペール・ギュント」が良かったので、今回も期待したい。
収録曲は、
シンディング;春のさざめき(一般には「春のささやき」と呼ばれているピアノ曲の管弦楽編)
スヴェンセン;ロマンス(Vn曲としても有名)
グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」抜粋
シベリウス;春の歌
アッテルベリ;組曲第3番よりヴィジョン
ディーリアス;春初めてのカッコウを聞いて
など14曲。北欧三国の作曲家と、ノルウェーに縁の深いディーリアスを収めているところが渋い選び方である。
2002年2月4〜8日、オスロでの録音。
 
カールマーン・ベルケシュ(Cl) ミクローシュ・ペレーニ(Vc) ゾルターン・コチシュ(P)
ベートーヴェン;Cl三重奏曲 & ブラームス;Cl三重奏曲(HUNGAROTON)
ペレーニの未架蔵CDが出ていたので、一二もなく購入。
といっても新録音ではなく、1980年6月に収録されたアナログ音源で(LP架蔵済み)、久しぶりに再プレスされたものらしい。
 
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn) カール・ゼーマン(P)
シューベルト;Vnソナチネ第1・3番 & シューマン;Vnソナタ第1番(独DGG、LP)
1953年頃のモノラル録音、シューベルトはステレオ再録音しているが(ピアノはヴァルター・クリーン)、シューマンは確か唯一の録音なので貴重。
曲が第2番だったら、なお良かったのだが…とは望蜀か。
某オークションに出品されていたもので、ジャケットに難があったためか格安で落札できた。そういう事情でもないと、なかなか貧書生には手が出せない(汗)。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn) ジャック・ルヴィエ(P)
「有名小品集」(仏ARION、LP)
カントロフの録音はなるべく集めるようにしているところ、存在さえ知らなかった小品集が某オークションに出ていたので落札。
録音データは明記されていないが、マルPは1975年。ヴァイオリニスト30歳頃のものということになる。
収録曲は、
タルティーニ;悪魔のトリル
ルクレール;タンブーラン
パガニーニ;カンタービレ
ヴィニャフスキ;スケルツォとタランテラ
サン・サーンス;序奏とロンド・カプリチオーソ
プーランク;無窮動
バルトーク;ルーマニア民族舞曲
シマノフスキ;アレトゥーザの泉
彼の端正な美音はバロック〜前古典期の作品に良く合うので、タルティーニに期待高し。

6月29日(日): 

 

高関健(指揮) 大阪センチュリー響
松平頼則;主題と変奏 ほか(NAXOS)
高関 & センチュリー響の録音とあらば聴き逃すべからず、直ちに購入。
「主題と変奏」はピアノ(ここでは野平一郎)と管弦楽のための作品(1951年)で、カラヤンが指揮した唯一の日本人作品として知られている。
雅楽と新古典派、更には十二音音楽を結びつけた作風とのこと(片山杜秀の丁寧な解説による)。
カプリングは、ダンス・サクレとダンス・フィナル(1959)、左舞(1958)、右舞(1957)の3曲を、舞楽の伝統的な上演形式に則って、ひとかたまりに配列したもの。
なお、作曲者(1907〜2001)は、水戸徳川家の分家の出身(旧子爵)ながら、早くに生家が落魄し、彼の清貧は楽壇で伝説と化しているそうな。
氏の晩年を、いつだったかNHKがドキュメンタリー番組で取り上げていたのだが、見落としたのは心残り。
 

 昨日の演奏会の情報を演奏会出没表に追加。


6月28日(土): 

 ドレスデン・フィル@京都コンサート・ホールを聴く。指揮はギュンター・ヘルヴィヒ

今日はオール・ベートーヴェン・プロで、
序曲「エグモント」
P協第5番「皇帝」
交響曲第3番「英雄」
というもの。
ピアノ独奏は、フレディ・ケンプ
 
ぎっしり満員とまではいかないにせよ、まとまった空席も見当たらず、8〜9割の入り。
あるいはケンプ君人気か。ロビーでのCD販売も、ほとんどが彼の独奏盤(BIS)で、女性を中心に、よく売れていた。
 
序曲の冒頭、ヘルヴィヒが振り下ろした棒からやや遅れて、ずっしりとした低音が響いてきた。
ステージに向かって左側、3階のバルコニー席に位置し、Vc・Cbが正面に当たることも幸いしたか。
 
弦合奏の編成は15-12-12-10-8、中型ながら、これだけの低音は滅多と聴いたことがない。
その低音の上に、弦の和音が分厚く載ってくる。
ドイツの伝統的音楽観の忠実な音化であろう。
がっしりした弦合奏主体の響きで、堂々たる「エグモント」を堪能した。
 
協奏曲は、冒頭のカデンツァから、既にケンプの音楽づくりの特質が明らかになった。
基本的な骨組みにおいてはドイツ音楽の語法を維持しつつ、細部の処理に当たっては、新鮮さとも、未熟さともとれるような、フレッシュな感性や自由な勢いを重視した動きを見せる。
 
ffで、やや楽器の鳴りが不足するように感じられたが(楽器の問題の可能性あり)、mp以下の音量における柔らかな音色は極めて美しい。
音楽づくりにおいても、英雄的な側面は後退し、快活な賑やかさが前面に出る。
プログラム所収のインタビューで、ピアニスト自身が
(僕は)いつもロマンティックでハッピーな暖かい音楽を目指しています。ベートーヴェンがこの作品で表現したかった感情は、まさしくそういうものだと思います。
と語っているとおりといえば、そのとおりの演奏だったが、斉諧生的には食い足りないものが残った。
また、木管がソロを吹いているときに、ピアノの音量を極端に落とすのには吃驚した。
たしかに管の旋律はよく聴こえるが、ピアノの音型との絡み合いが十全には表出されなくなってしまう。
 
オーケストラは、序曲同様、がっしりした音楽づくり。
ピアノとは正反対の方向だったが、そうやって「枠」をきっちり作ってやった方が、独奏者が自由に振る舞っても形が崩れないという意味では、良かったかもしれない。
弦合奏は、各パートでプルトを1つ程度、縮小していたが、やはりドイツ的な美しさ。
なんとも質実、木質感の強い響き。
昨週のハンガリー国立フィルの弦合奏の方が、暖かみ・色彩感を帯びている。
とりわけ第2楽章冒頭、弱奏のしっとりした美しさには感じいった。
 
メインの交響曲では、弦の人数を元に戻し、木管楽器を各4人に重複させる伝統的なスタイル。
とりたてて書くことを見つけるのが難しいほどの、オーソドックスにもオーソドックスを貫いたベートーヴェン演奏となった。
弦合奏主体のバランス、第1楽章提示部の反復なし、コーダのTrpは主題を吹ききる「修正主義」。
 
とはいえ、燃え上がらない・静かに白熱することもない・火花が飛び散る瞬間もない「英雄」というのは、困ったものである。
下司の勘繰りかもしれないが、11日間で10回のコンサートをこなすツアーの10日目ということが影響しているのかもしれない。
 
盛んな拍手喝采に答えてアンコールは2曲。
ウェーバー;「オベロン」序曲
ブラームス;ハンガリー舞曲第5番

 

エフゲニー・ムラヴィンスキー(指揮) レニングラード・フィル
ショスタコーヴィッチ;交響曲第10番(VICTOR)
1989年末、前年に亡くなったムラヴィンスキーのライヴ録音が大量に発売された。
当時、ベートーヴェンの交響曲等を優先したため購入できなかったショスタコーヴィッチが、某オークションに出品されていたので落札。
これも工藤さんのコメントは、
異常な完成度を持った、緊張感あふれる名演。(略)早目のテンポの中に漂う尋常ではない厳しさが、曲の格調を一層高めている。
と、星5つ、満点の必聴盤。
1976年3月3日、レニングラードにおけるライヴ録音である。なお、同じ月の31日の演奏が、BMGから出ていたらしい。
 
トビアス・リングボリ(Vn) ニクラス・ヴィレーン(指揮) イェヴレ響
アウリン;Vn協第2番 ほか(STERLING)
以下3点はノルディックサウンド広島から届けていただいたもの。
アウリンの作品は、4つの水彩画愛惜佳曲書に掲げているところ。
しかしながら、このCDについては、曲目がマイナーなこともあって、当初、購入を見合わせるつもりだった。
ところが、いつも日曜日の更新を楽しみにしているNORDIC FOREST 北欧のクラシック音楽@小林さんのコメントを拝読して、ぜひ聴きたくなり、オーダーしていたもの。
同じ作曲家のVnと管弦楽のための演奏会用小品ゴットランド舞曲集スウェーデン舞曲集をカプリング。
2002年5・9月、スウェーデンのイェヴレ・コンサート・ホールでの録音。
 
ホルズル・アウスケルソン(指揮) ハトルグリーム教会モテット合唱団 ほか
デュリュフレ;レクイエム ほか(Thorofon)
アイスランド・レイキャヴィークの教会で、教会付きの合唱団が、教会のオルガン伴奏で歌ったデュリュフレ。
北欧の合唱団には、清澄な響きを有する団体が多く、ここでもそれに期待してオーダーしたもの。
オルガンのための組曲 (op.5)をカプリングしている。
両曲ともオルガニストはハンフリート・ルッケという人。
1996年10月の録音。
 
エヴァ・ブーリン(指揮) スヴァンホルム・シンガーズ
「スヴァンホルム・シンガーズ」(自主製作)
先月24日にコンサートを聴いた合唱団の自主製作盤。
彼らの自主製作CDは2枚あり、後の方はステーンハンマル;スヴァーリエを収めていることから、出たときに買っておいた。
この1枚目(1999年録音)は見送っていたのだが、実演で感銘を受けたアルヴェーン;夕べ等を含むので、ぜひ手元に置きたいとオーダーしたもの。
その他、ヴィカンデル;すずらんの王様オルソントルミスニューステットら北欧の作品と、プーランク;アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り等を収めている。
指揮のブーリンは、有名なテノール歌手セト・スヴァンホルムの娘で、この合唱団の創設者である。
なお、彼らについては、ノルディックサウンド広島のWebpageに詳しい記事がある。
現在、来日中で、今月22日まで各地で演奏会を行うことになっている。素晴らしい合唱なので、ぜひお聴きいただくよう、お薦めしたい。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) アンサンブル
ストラヴィンスキー;兵士の物語(米Philips、LP)
マルケヴィッチの代表盤の一つながら、これまでCDしか架蔵していなかったところ、輸入盤LPが某オークションに出品されていたので落札してみた。
歌詞対訳のブックレットが付属しているというので、かなり早い時期の盤ではないかと期待していたところ(録音は1962年)、その点はまずまずのようだが、肝心のプレスがアメリカ盤だったので、がっかり。出品者に質問して確認すべきだった(反省)。
まあ、ジャケットの印刷が、コクトーのパステル(?)のタッチを生き生きと再現できていて美しく、多少、慰めになる。
 
浦川宜也(Vn) ヘアマン・ウールホーン(P)
ブラームス;Vnソナタ第3番 & バルトーク;無伴奏Vnソナタ(日TRIO、LP)
浦川氏の比較的初期の録音が某オークションに出品されていたので落札した。
彼の中欧的な音色や、がっしりした音楽づくりは、斉諧生の好むところだ。特に、この時期には日本人による演奏が珍しかったバルトーク作品に期待している。
1975年10月、川口市民会館ホールにおける録音で、エンジニアは菅野沖彦氏。
「エクス・ジャン・ベッカー」と名のある銘器グァルネリ(1732年)を使用している。
 

6月27日(金): 

 

ジョルジュ・エネスコ(指揮) コンセール・コロンヌ管 ほか
エネスコ;ルーマニア狂詩曲第1・2番 & 十重奏曲(米VARESE SARABANDE、LP)
このところ蒐集しているエネスコの自演盤をArs Antiquaのカタログで見つけ、オーダーしたもの。
コロンヌ管は狂詩曲のみ、十重奏曲はフランス国立放送管の木管奏者による。
1951年、パリで米Remingtonレーベルのために録音された音源を、1978年頃に米VARESE SARABANDEが再発した盤である。
いずれも作曲者が自作を指揮した貴重な演奏であり、モノラルながら音の状態も良く、大いに期待したい。
 
アール・ワイルド(P) ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮) ロイヤル・フィル
ラフマニノフ;P協全集(米Reader's Digest、LP)
録音から40年近く経つが、今なお決定盤との評価が高いワイルドの全集。
CDは米Cheskyから出ており、第2番だけは架蔵している。
そちらで残り3曲を揃えようかと思っていたら、オリジナルのLP4枚組をArs Antiquaのカタログで見つけ、CDよりも安いくらいだったのでオーダーしたもの。
協奏曲4曲とパガニーニ狂詩曲交響詩「死の島」を収めている。美麗ブックレット付き。
 
アルトゥール・バルサム(P) ヘンリー・スヴォボダ(指揮) コンサート・ホール響
マルティヌー;P、Timpと弦楽のための二重協(米Concert Hall、LP)
愛惜佳曲書に掲げたマルティヌー作品の未架蔵盤をArs Antiquaのカタログで見つけたのでオーダーしたもの。
ミルシテインらとの共演で有名なバルサムが独奏を務めているのも珍しい。
真っ赤な盤で(たしか埃が付着しないとか何とか、特別な材質という触れ込みだったはず)、限定3,000枚中の2,184番と記されている。
録音データは明記されていないが、モノラル録音。作曲者の紹介に没年(1959年)が書かれていないのと、盤のつくりから見て、1950年代初め頃までのものだろう。
 
新プラハ・トリオ
ルクー;P三重奏曲(白DUCHESNE、LP)
ルクーの未架蔵音源がArs Antiquaのカタログに出ていたのでオーダー、目出度く入手できて嬉しいかぎりである。
ライナーノートが仏語のみなので、しかとは読みとれないが、演奏者らは団体名のとおりプラハの音楽院でスメタナQアントニン・コホウトに学んだようだ。
チェコのというか、東欧の演奏家によるルクーは珍しいのではないか。
1987年7月にベルギーの音楽祭に参加した折りに録音したもの。
 
アール・ワイルド(P)
ラフマニノフ;歌曲編曲集(英dell'Arte、LP)
ピアニストがラフマニノフの歌曲12曲をピアノ独奏用に自ら編曲し演奏したもの。
1982年7月にニューヨークでアナログ収録されたもの。ボールドウィンのピアノを用いているとか。
この盤については、畏友かとちぇんこさんから教わった。
御自身のWebpageにヴォカリーズ(ピアノ版)を聴くこの3枚!として書いておられるが、「絶品」とのこと。
ずっとCDを捜していたところ、先日、Ars AntiquaのカタログでLPを見つけ、祈るような気持ちでオーダー、運が良かったのか、入手することができた。
なお、「ヴォカリーズ」のピアノ独奏用編曲は3種あるそうで、比較論究したWebpageもある。
 
ウノ・フェルンクヴィスト(Ten) ほか
「オペラ、バラードとセレナード」(瑞PROPHONE、LP)
フェルンクヴィストは1928年生まれ、ユッシ・ビョルリンクニコライ・ゲッダがいなくなった後、1960年代のストックホルム王立歌劇場で重要な役割を果たしたリリック・テノールとのこと。
プッチーニ;「ラ・ボエーム」ヴェルディ;「リゴレット」R・シュトラウス;「薔薇の騎士」等のアリアや北欧の歌曲が収録されている。
もちろん、ステーンハンマルの作品が含まれているのでオーダーしたもの。
「バラード」(歌曲集「歌と唄」より)
「金と緑の森を」(4つのスウェーデンの歌 (op.16)より)
の2曲が、スティグ・ヴェステルベリ(指揮) ストックホルム・フィルによる伴奏で、歌われている(1961年12月8日録音)。
前者はCDで架蔵しているが(Bluebell)、後者は初めて入手する音源なので嬉しいかぎり。
Ars Antiquaから。

6月25日(水): 

 

ペーター・マーク(指揮) ローザンヌ室内管 ほか
モーツァルト;交響曲第41番 ほか(SKC)
某オークションでマークの珍しい盤が出品されていたので落札したもの。
1987年9月16日、スイス・ローザンヌで開催された、ソウル五輪開幕1年前の記念イベントのライヴ録音である(ローザンヌはIOCの本部所在地)。
彼のモーツァルト演奏を見過ごすわけにはいかない。ARTSレーベルから出たパドヴァ室内管との後期交響曲集を、中古音盤堂奥座敷の第2回試聴会で取り上げたことが思い出される。
韓国出身でジュリアード音楽院在籍中という Hae-Jung Kim 嬢の独奏による、ベートーヴェン;P協第3番をカプリング。
 
ネヴィル・マリナー(指揮) ASMF
ドヴォルザーク;弦楽セレナード & グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」(英Argo、LP)
1970年頃、マリナーとASMF(日本の業界では「アカデミー室内管」という不可思議な呼称が通用していた)にとって、かなり早い時期の録音である。
LP時代から両曲の代表盤の一つに数えられてきた演奏で、夙に国内廉価盤LPを購入し聴いてきた。
ところが、最近なんとなく疎遠になってしまった。LPは実家に置いたままだし、CDは、英DECCAから出たことがあったかなかったか、ともかく架蔵していない。
某オークションで見かけたのを機に落札、再び手元に置くこととした。

 演奏会出没表を更新。


6月24日(火): 

 スヴァンホルム・シンガーズ@京都コンサート・ホール(小)を聴く。指揮はソフィア・ソーダベルグ・エーベルハルト

この団体は、スウェーデン・ルンド大学のOBを中心に結成された、無伴奏男声合唱。
プログラムによると、メンバーは20〜27歳とのこと。
公式Webpage(日本語のページあり!)のメンバー表には23名が掲載されているが、今日のステージに登場したのは22名だった。
 
以前、自主製作CDをノルディックサウンド広島から購入したことがある。もちろんステーンハンマル作品を収録していたため。
今日のロビーでも、そのCDを販売していた。
ただし招聘元が国内製作したもので、「見上げてごらん夜の星を」がボーナストラックとして追加されている。アルバムのコンセプトが、「ロマンティックな歌によるヨーロッパ一周」なので、これは蛇足と言わざるを得ないだろう…。
 
演奏曲目は全部で24曲。
もっとも午後7時開演で、本プロ終了は8時半だったから、1曲平均3分程度。
演奏順に概ね次の3つに分類できる。
北欧の合唱曲 … 9曲
グリーグ;歌い手の挨拶
パルムグレン;かまどのそばの船乗り
アルヴェーン;海辺の夜明け、夕べ
ルンドヴィーク;おまえの両手の上に頭を垂れた
クーラ;森の王へ、ヘンテリ
シベリウス;フィンランディア讃歌
エクレーヴ;朝
 
各国の有名歌曲 … 7曲
赤とんぼ、見上げてごらん夜の星を(日本)
シェナンドー、ジェリコの戦い(アメリカ)
ダニー・ボーイ(アイルランド)
ジニー・ドム(スロヴァキア)
カリンカ(ロシア)
 
スウェーデンの古謡・民謡 … 8曲
ベルマン;最愛の兄弟、あやめは決して、私たちはとてもゆっくり行く
美しき水晶、娘は輪に入る、エステルランドへ、ダーラナの娘の踊り、山の牧舎の歌
 
曲として最も聴き応えがあったのは、北欧の合唱曲。
中でもパルムグレンからルンドヴィークまでの4曲の、静謐な抒情美には感銘を受けた。
フィンランディア讃歌は、フィンランドの団体の歌唱とは起伏の付け方など趣を異にし、聴いていて、やや違和感あり。
ひとくちに北欧とくくられるが、やはり隣の国の愛国歌は歌いづらいものなのか。
逆に、「スウェーデン、スウェーデン、あなたの国、愛する国」という歌詞(訳はプログラムによる)を持つエクレーヴ作品は、実に熱のこもった歌い上げで感動的だった。
 
合唱は前評判どおり、またCDで聴けるとおり、非常に優れたもの。
スウェーデンの男声合唱団では、かつてエーリク・エーリクソンが率いたオルフェイ・ドレンガー(http://www.od.se/)が著名だが、それに優るとも劣らぬ美しさ。
特に低音の安定したピッチと軽やかな音の伸びは言語に絶し、どんなオーディオでも再現不可能ではないか…と感じられた。
 
もちろん、ポピュラー曲集も見事な出来。
団員がホールの壁際にぐるりと客席を取り囲むように立ち、指揮者ともども歌い上げたシェナンドーなど、感動的な響きであった。
 
アンコール1曲目は、なんと日本語で歌われた、「いい湯だな」
実に堂に入った歌いぶりで(ジェスチャー含む)、客席から手拍子が沸く受けっぷり。
2曲目はクーラ;ロンド
これがまた、パフォーマンス入りの愉快な曲で、それを見事に演じ、歌った。
最後はハーレ;マドリガルという静かな美しい曲で、締め。
実は、内心、ステーンハンマル;スヴァーリエを期待していたのだが…。
 
まだ来日したばかりで、京都公演が2回目のコンサート。
スケジュール表によれば、まだあと1月近く滞日して、全国を公演して廻る様子。
ぜひぜひ、足をお運びいただきたいと思う。
 
残念だったのは、音楽以外の部分。
主催者がVOLVOのディーラーで、そこの社員が会場運営を担当し、聴衆の大半が顧客とおぼしい人々(合唱関係者は、かなり少なかった)。
マナーに問題がある客が何人かいたのと、演奏中に遅刻客を入れたのには閉口した。
 
ピアニッシモの最中に靴音を立てられては…(号泣)。

 

エマニュエル・クリヴィヌ(指揮) フィルハーモニア管
モーツァルト;交響曲第25・40番(DENON)
このところマイナー・レーベルでの地味な仕事が評価を高めつつあるクリヴィヌ。
DENONでの録音が入手しづらくなっているのは残念、某オークションでモーツァルトの両ト短調が出ていたので落札したもの。
1988〜89年、ロンドンでの録音。第40番の使用楽譜は、一般的な第2稿(Cl入り)。
 
ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響
ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番「革命」(VICTOR)
1975年4月、フェドセーエフがロジェストヴェンスキーの跡を襲って間もない頃の録音である。
いつもショスタコーヴィッチといえば参考にする工藤さんのコメントは、
全体に漂うすさまじいまでの気合いの入り方が、有無を言わさぬ説得力を持つ。特に金管楽器と打楽器の無節操な強奏には、生理的な快感を禁じ得ない。
と、星4つ半の高評。
実は、少し前に中古音盤店で見つけていたのだが、その時は手を出さずにいた。
上記のコメントを拝読して、これは買わざるべからずと、再び赴いて購入したもの。
 
ダニイール・シャフラン(Vc) アントン・ギンズブルク(P)
ベートーヴェン;Vcソナタ全集(Aulos)
シャフランの覆刻CD、昨日購入したものを試聴してみたところ悪くなかったので、更に2点を追加購入。
1971年録音、5曲のソナタだけで、変奏曲等はカプリングされていない。
 
ダニイール・シャフラン(Vc) アントン・ギンズブルク(P)
「有名小品集」(Aulos)
ラフマニノフ;ヴォカリーズを含んでおり、Vcソナタの名演を思えば買わざるべからず。
そのほか、サン・サーンス;白鳥シューマン;トロイメライからシュニトケ;アレグロ(「古風な組曲」より)まで、総計16曲を収録している。
録音データは何も記されていない。
ディスコグラフィによれば、上記ラフマニノフには1989年1月10日のライヴ音源があるとされているが、演奏ノイズ・聴衆ノイズや拍手は聞こえないので、別音源かもしれない。

6月23日(月): 

 

アンリ・メルケル(Vn) ピエロ・コッポラ(指揮) パドルー管
サン・サーンス;Vn協第3番 & ラロ;スペイン交響曲 ほか(OPUS蔵)
いつも行く音盤屋でワゴン・セールをやっており、OPUS蔵やAltus等が多数並んでいた。
興味を惹かれたものをすべて買っていてはキリがないので(苦笑)、他のレーベルからあまり出ていない往年のフランスの名人を1枚だけ購入。
メルケルは1897年生れ1967年没、18世紀に遡れる音楽家の家系の出で、パリ・オペラ座やパリ音楽院管のコンサートマスターを務め、1939年にはポール・パレーと共にニューヨーク・フィルに出演したという。
その時の曲目が、ここで聴けるサン・サーンスの第3協奏曲だったとのこと、どうしてパレーと録音してくれなかったのか(コンセール・コロンヌ管が使えたはず)、ちょっと恨めしい。
サン・サーンスが1935年、ラロが1932年の録音で、後者は全5楽章を演奏している。これは古い時代のものとしては珍しい。昔は慣例として第3楽章「間奏曲」がカットされていたのである。
サン・サーンス;死の舞踏(フィリップ・ゴーベール(指揮) パリ響)をフィルアップ。
 
ダニイール・シャフラン(Vc) フェリックス・ゴットリープ(P) ほか
シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ & フランク;Vcソナタ & ドビュッシー;Vcソナタ(Aulos)
音盤屋の棚にふと目をやって驚愕した。
シャフランのCDが、いっぱい並んでいる!
Aulosなる韓国のレーベルで、露メロディアから独占ライセンスを得ているという。
ブックレットがハングル文字だけなので詳細はわからないが、写真の説明から察するに、オリジナル・マスターテープを供与されて、入念なマスタリングを行った…ということらしい。
聴いたかぎりでは、まずまず美しい音質で入っている。少し磨き上げすぎでは…と思わないでもないが(ピアノの音が薄っぺらい気味もある)、オリジナルのLPは架蔵していないので断言はできない。
ともあれ、満足できる音質であり、リリースを歓迎したい。
とりあえず2点を購入。
標記3曲はいずれも名曲、就中シューベルトは愛惜の曲にして、ラフマニノフで聴いたシャフランの骨太の歌いこみが発揮されれば、凄いことになるだろう。
フランクとドビュッシーは、アントン・ギンズブルクがピアノを弾いている。
シューベルトは1978年、他は1970年の録音。
 
ダニイール・シャフラン(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Aulos)
シャフランの覆刻、続く。
1969〜74年にかけて録音されたバッハ、買わざるべからず。
時を同じくしてDoremiレーベルからも覆刻されており、音質の比較に興味はあるが、残念ながらそちらにまで手を出す余裕はない…。
 

6月22日(日): 

 ハンガリー国立フィル@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。指揮は小林研一郎

今日の曲目は
ベートーヴェン;交響曲第5番
チャイコフスキー;交響曲第5番
というもの。
いかにも「コバケン」という曲目である。
今回の来日公演15回のうち、チャイコフスキーは今日の大阪公演のみ。
ゾルタン・コチシュの指揮でドビュッシーバルトークが聴きたかった気もするが、それはまた次回を期待することとしよう。
 
プログラミングの甲斐(?)あってか、客席はほぼ満員に近い入りであった。
 
演奏の方も、小林の「運命」・「チャイ五」なら、かくあらんと期待したとおりの展開、非常に楽しめた。
特に、彼が重視する、オーケストラ全体が一つの響きに溶け合うということについて、今日のハンガリー国立フィルの弦合奏は理想的であろう
なかんずくヴィオラ以下の中低弦に関しては、編成は10-8-6と中型ながら、シンフォニー・ホールを豊かに満たす素晴らしい響き。
さすがペレーニを生んだ国である。
 
ベートーヴェンは、やや速めのイン・テンポを基本にした端正な造型で、上記のズシリとした豊かな響きで客席を陶酔させた。
とりわけ楽曲終結の和音連打では、全休符の間にホール自慢の残響が見事に立ちのぼる、至福の瞬間。
 
その中で、斉諧生が耳を奪われたのは第2楽章107〜113小節。
通常、十六分音符で流麗に主題を変奏する第1Vnを中心に、低弦のピツィカートや木管の合いの手が絡む…というバランスで演奏される部分である。
ここで指揮者は第1Vnを抑えて第2Vnの対旋律を浮き上がらせた。
 
ここには、こんな美しいメロディが潜んでいたのか…!
 
演奏時間にすれば、ごくわずかながら…
「時よ止まれ」「音よ過ぎ去るな」と命じたいような、美しい瞬間だった。
 
演奏が終わるやブラヴォーの嵐、指揮者も各首席奏者と握手して廻るなど、終演時のような雰囲気になった。
 
端正に造型されたベートーヴェンに対し、休憩後のチャイコフスキーは、かなりテンポを動かし、情緒的な響きを作りあげる演奏となった。
 
第1楽章冒頭、Clの運命主題を彩った低弦の陰翳の濃かったこと!
作曲者が付した "pesante e tenuto sempre" 指定の見事な音化。
ハンガリー国立フィルの弦の素晴らしさに、あらためて感じ入った。
 
主部の盛り上がりや、コーダでの加速・減速を自在に織り交ぜた煽りたては、「コバケン」の独擅場。
そして、楽章終結では、Fg・Vc・Cbが、暗い暗い嘆きの歌を呻き果てる…。
 
第2楽章は、冒頭の巧いHrnソロから、終結、消え入るようなClまで(pppp指定)、間然とするところない出来映え。
ただ、斉諧生の好みとしては、弱音で一貫させてもらいたかった。
渾身の力を込めた弦のピツィカートで導かれる再現部では、Vnが歌う主題が繰り返されるところ(120小節以下)、譜面では "sostenuto" 指定、ここで大きく減速させて、哀切さを際立たせる。
 
第3楽章でも、やや遅めのテンポとレガート気味のイントネーションをとり、優雅なワルツというより、はかない夢のような雰囲気を醸し出した。
 
終楽章は、クライマックスでHrnがベルアップしたり、指揮者がTrpやTrbに向かって客席を指さしてみせるなど(「もっと音に伸びを!」の意味だろう)、盛り上げること盛り上げること…!
全般にHrnを強奏させ、音楽にアクセントをあたえていたのが目立った。まれに煩わしく感じる瞬間もなくはなかったが、だいたいにおいて演奏効果を上げていたといえるだろう。
 
全休符の後のコーダの入りでは指揮棒を振らず両手を拡げたまま、オーケストラに進行を委ねたのも、彼らしく、微笑ましかった。
 
盛んな拍手(いきなり立ち上がって喝采する人も何人か見られた)のあと、お決まり(笑)のスピーチに続いて、アンコールは4曲!
バッハ;G線上のアリア
「ダニーボーイ」
ブラームス;ハンガリー舞曲第5番
ベルリオーズ;ラコッツィ行進曲
 
「ダニーボーイ」で、最初にメロディを奏でたVa以下の素晴らしい豊潤な響きと、それがppの第1Vnへ引き継がれたときの限りない哀切さ!
コバケンのもと、色々なオーケストラで幾度となく聴いた曲だが、弦合奏の美しさに関しては、今日のハンガリー国立フィルがベストではあるまいか。
 
弦合奏ばかり褒めてしまったが、木管・金管も、佳い音色と積極的な表現で、非常に聴き映えのするオーケストラである。
 
それにしても、まだツアー4日目、明日も東京で演奏会というのに、こんな大サービスでよいのかしら…と少し申し訳ない気分。
さすがに「ラコッツィ」の前には指揮者もそのあたりの詫び言を口にしていたが、「(リハーサルはしていないけれども)うまくいきましたら、皆様、どうぞ総立ちで…」と、いつもの彼らしい持っていき方。
最後は指揮者の促しで、全楽員が四方に向かって「一同礼」。
 
そうそう、いつも愛読しているケイコのねむぜてぃ日記の主も、指揮者の指名で御起立、紹介されておられた。

6月21日(土): 

 休日のこととて、次々に荷物がやってくる。

バルトークQ
バルトーク;弦楽四重奏曲全集(CANYON)
弦楽四重奏は苦手なジャンルだが、以前、中古音盤堂奥座敷バルトーク;弦楽四重奏曲第4番を取り上げた際(ログは未公開)、この曲が好きになった。
このハンガリーの古参団体、LP期にERATOへ全集を録音しており名盤として有名だが、これは1991年6月、来日時に6日間で一気に収録されたもの(富山県・入善コスモホール)。
フルプライスのCD3枚組で、手を出しかねていたところ、某オークションで格安に入手できた。
民族的な共感に満ちた演奏を期待している。
 
茂木大輔(指揮) ほか
「オーケストラ人間的楽器学 Vol.8」(LIBRO)
茂木氏が企画・指揮・解説した「オーケストラ人間的楽器学コンサート」というシリーズのライヴCDを某オークションで落札。
これで8点中、6点が揃ったことになる。
この最終夜は「繊細 vs 豪快」と題され、前半がObで、茂木自身の独奏(その間の指揮は斎藤真知亜)、後半はTrbで、独奏は神谷敏
2000年3月4日、三鷹市芸術文化センターでの収録。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル ほか
モーツァルト;交響曲第38番「プラハ」・「戴冠式ミサ」(独DGG、LP)
マルケヴィッチのベルリン録音のうち、廉価再発盤でしか架蔵していなかった「プラハ」の、DGG盤が某オークションで出ていたので落札したもの。
とはいえ、これも再発盤で、ジャケットやレーベルの記載から、レコード頒布会のために作られたものと知れる。オリジナルは交響曲第34番とのカプリングのはず。
あるいは、ミサ曲同様、単独の10インチ盤が初出かもしれない。
今週火曜日に購入したCDと聴き比べてみたが、音質的にはやはりLPが優れる。マスタリングの加減か、CDの音色はやや硬質、高域に毛羽だったような、きつさが感じられる。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) コンセール・ラムルー管
グノー;交響曲第2番 & ビゼー;組曲「子どもの遊び」(仏DGG、LP)
これもCD化されたばかりだが、オリジナルとおぼしいLPを某オークションで落札したもの。
これまで、かなり粗悪な廉価盤しか架蔵していなかったので、デュフィの「オーケストラ」を装画にした美しいジャケットを見るにつけて、嬉しいかぎり。
こちらの方は、CDの音質も悪くない。モーツァルトとは、マスターテープの保存状態に差があったのだろうか。
 
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮) モスクワ放送響 ほか
マーラー;交響曲第4番 & スクリャービン;交響曲第3番(蘇MELODYA、LP)
昨年5月にウィーンまで聴きに出かけたフェドセーエフのマーラー、録音はこの第4番だけではなかったか。
1980年4月の録音で、1983年7月に国内盤LPも出ている。
さっぱり話題にならなかったはずだが、宇野功芳師が高く評価しておられ、何かのベスト盤選びの企画で、第3位に挙げておられたと記憶する。
実は国内盤のライナーノートも師の執筆で、先だって発売された『わが魂のクラシック』(平林直哉編、青弓社)に収録されている。曰く、
細かい対旋律やハーモニーのすみずみにまで神経が通わされ、純粋な耽美とでもいえそうなニュアンスが全編にみなぎっている。(略)これだけ颯爽と進めながら、心弾むような愉しいメルヘンの世界を現出させた演奏はいままでに決してなかった。」(第1楽章)
木管にしろ、弦のピッチカートにしろ、それらが次々とチャーミングに顔を出しては消えてゆく愉しさは、これこそマーラー、と絶讃したい。」(第2楽章)
スコアにないポルタメントをつけた歌い方、遥かな世から聴こえてくるような音色、それは戦前のSPでワルターとウィーン・フィルがいつも聴かせてくれた感触ではないか! それが1980年代のモスクワ放送交響楽団によって再現されるとは…。」(第3楽章)
この稿を書きながら聴いているが、師の言葉どおり、速いテンポにのって冴えた表現が目くるめくように次々と出現する。まことに長年の渇が癒された。
某オークションで落札したもの。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) フィルハーモニア管 ほか
プロコフィエフ;「ピーターと狼」 & ブリテン;青少年のための管弦楽入門(英EMI、LP)
マルケヴィッチは、標記2曲を2回ずつ、スタジオ録音している(ブリテンにはライヴ録音等が更に2回ある)。
「ピーター〜」は、新録音に当たるパリ管盤しか架蔵していなかったところ、旧盤がMikrokosmosのカタログに安価で出ていたのでオーダー。
1950年録音、ナレーターはウィルフレッド・ピックルスという人。詳細は不明だが、Webを検索した感じだと、第2次大戦後のイギリスで、ラジオのパーソナリティとして人気があった俳優…ということらしい。
再発盤ではあるが、当面、これで良しとしなければ…。
なお、ブリテン作品は作曲者の盟友ピーター・ピアースの語りで、こちらは架蔵済み。
 
ファウスト・ザドラ(P) カルロ・ゼッキ(指揮) ルーマニア放送響
モーツァルト;P協第17番 ほか(ルーマニアELECTRECORD、LP)
名匠ゼッキのモーツァルト録音、協奏曲伴奏といえども聴かざるべからず。
この組合せでは、前に第23番も入手している。
録音データ不詳ながら、ステレオ収録なのは間違いなさそう。
フィルアップはP独奏でモーツァルト;Pソナタ第10番
Mikrokosmosから。
 
モーリス・アラール(Fg) ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮) カメラータ・アカデミカ・モーツァルテウム・ザルツブルク ほか
モーツァルト;Fg協・Hrn協第2番(仏Le Club Français du Disque、LP)
独特の愉悦感があるパウムガルトナーのモーツァルト演奏は、かねて愛聴しているところ。
未架蔵の管楽器協奏曲集が、Mikrokosmosのカタログに安価で出ていたので、オーダーしたもの。
アラールはフランス式バソンの名手で、ステレオ期にイーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) コンセール・ラムルー管とのDGG録音もあった。
Hrn独奏はルイ・ベルナールという人である。
10インチ盤、モノラル。
 
ダニイール・シャフラン(Vc) アルヴィド・ヤンソンス(指揮) レニングラード・フィル ほか
ハイドン;Vc協第2番 & ボッケリーニ;Vc協(蘇MELODYA、LP)
ラフマニノフ;Vcソナタ聴き比べ以来、シャフランは端倪すべからざるチェリストとして蒐集を図っている。
Mikrokosmosのカタログに安価で出ていたハイドンほかをオーダーしたところ、父ヤンソンスまで出てきてくれたので大喜び。
ただし、ヤンソンスはボッケリーニ(グリュッツマッヒャー編曲版)だけで、ハイドンの付けはネーメ・ヤルヴィ(指揮) ソヴィエト国立響
ステレオ収録だが、録音データ等は不詳。
 
フョードル・ルザーノフ(Vc) アレクサンドル・ラザレフ(指揮) ソヴィエト国立響
ラロ;Vc協 ほか(蘇MELODYA、LP)
シャフラン同様、ラフマニノフ;Vcソナタ聴き比べの中で高く評価したルザーノフのLPがMikrokosmosのカタログに安価で出ていたのでオーダーしたもの。
標記ラロ作品に、サン・サーンス;アレグロ・アパッシオナートフォーレ;エレジーをフィルアップ。
 
カリーネ・ゲオルギアン(Vc) アラム・ハチャトゥリアン(指揮) モスクワ放送響 ほか
ハチャトゥリアン;コンチェルト・ラプソディ集(日VICTOR、LP)
以前聴いたブラームスのCD等が良かったゲオルギアン、公式Webpageのディスコグラフィにあったハチャトゥリアン作品が気にかかっていたところ、某オークションで国内盤LPが安く出品されていたので落札したもの。
3曲あるコンチェルト・ラプソディから、Vcのための作品とPのための作品をカプリングした、作曲者自演盤で、後者の独奏はニコライ・ペトロフ
1975年6月・モスクワでの録音。
若き日のゲオルギアンの技巧の冴えに期待している。
 
エデ・バンダ(Vc) カルロ・ゼッキ(P)
バッハ;Vcソナタ第1番 & ドビュッシー;Vcソナタ(洪MHV、LP)
ゼッキの指揮盤・室内楽盤は心して蒐集しているところ、ミクローシュ・ペレーニの最初の先生、バンダとの共演盤がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
バンダはタートライQのメンバーでもあった。
10インチ盤。
 
トリエステ・トリオ
モーツァルト;P三重奏曲 K.502  & ラヴェル;P三重奏曲(独DGG、LP)
これもMikrokosmosから。
トリエステ・トリオには、アメデオ・バルドヴィーノ(Vc)が参加していた筈、彼の室内楽演奏を是非聴いてみたい…と思ってオーダーしたのだが、届いてみれば、チェリストは別人だった。(涙)
バルドヴィーノのバイオによると、彼がこの団体に加入したのは1962年とのこと、これはおそらく、それ以前の録音ならん。
 
ヴィクトル・ピカイゼン(Vn)
パガニーニ;奇想曲 (全曲)(蘇MELODYA、LP)
ピカイゼンは、最近でこそ名前を耳にしなくなったが、LP時代にはダヴィード・オイストラフの高弟として、また1958年の第1回チャイコフスキー・コンクールの第2位入賞者として、そこそこの知名度があった。
少し前に、バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータの全曲盤LPを入手し、正統的な演奏の立派さに感心したことがある。
彼の「カプリース」全曲がMikrokosmosのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
LP2枚組にゆったり収められている。録音データ不詳だがステレオ盤。
 
ハンス・ロスバウト(指揮) パリ音楽院管 ほか
モーツァルト;歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」(仏fnac、LP)
現代音楽の十字軍として有名なロスバウトだが、斉諧生的には、ハイドンなどの古典派演奏において生命感に溢れた音楽を紡ぎ出す指揮者として重要である。
この1957年のエクス・アン・プロヴァンス音楽祭ライヴ録音は、その好例といえる名演で、既にCDでは架蔵しているが、ぜひLPでも…と思い、某オークションで落札したもの。
fnacのLPは造りも良く、ロスバウト・コレクションとしても持っておきたい、ということもある(汗)。
なお、主な独唱者は、
フィオルディリージ;テレサ・シュティッヒ・ランダル
ドラベッラ;テレサ・ベルガンサ
フェランド;ルイジ・アルヴァ
グリエルモ;ロランド・パネライ
といった当たり役揃い。
指揮者がコンティヌオも弾くスタイルをとっている。
 
エーリク・エーリクソン(指揮) ストックホルム室内合唱団
ステーンハンマル;3つの無伴奏合唱曲 ほか(独EMI、LP)
Mikrokosmosのカタログには "Skandinavische Volkslieder" というアルバム・タイトルだけが掲載されていた。
北欧の素朴な民謡旋律を楽しもうというつもりでオーダーしたところ、届いてみれば、標記ステーンハンマル作品が収録されていたので吃驚。
この北欧音楽随一の美しい無伴奏曲、エーリクソンの指揮盤は3種が確認できているが、スウェーデン放送合唱団を指揮したものは古いモノラル録音だし、録音が新しいCDはフランスの団体だったりするので、是非このEMI盤で聴きたいと念願していた。
まったく思いがけず手元に転がり込んできてくれたことに、心から喜び、感謝したい。
その他、ヴィカンデル;すずらんの王様ペッテション・ベリエル;8つの合唱曲 op.11等が含まれている。
録音データは明記されていないが、マルPは1972年と表示されている。

 この間届いたCD・LPの情報を、ステーンハンマル 作品表とディスコグラフィマルケヴィッチ・ディスコグラフィに追加。


6月20日(金): 平林直哉『クラシック中毒』(青弓社)が発刊された。『MJ 無線と実験』(誠文堂新光社)連載の単行本化だが、パレーモントゥーティボール・ヴァルガ等、斉諧生偏愛の演奏家たちを取り上げているのが嬉しい。
 ただし疑問が一つ。
 雑誌掲載後の情報が「補足」というページに掲載されているのだが、ヴァルガベートーヴェン;Vn協のCDについて、"Tibor Varga Collection vol.12" と "TUXEDO TUXCD1210 " を「全く別の演奏」とし、後者は「ヴァルガではないと思われる」としているが、斉諧生が聴いた範囲では、まったく別の音質ながら、演奏自体は同一ではないかと思われた。
 この点、更に諸賢の考究を待ちたい。
 
 先月に引き続き、『レコード芸術』7月号に、当「斉諧生音盤志」を取り上げていただきました。前号同様、ペレーニの紹介をいたしております。よろしければ書店で手に取っていただければ幸いです。
 書屋の内景写真など、スピーカーの足下に同誌のバックナンバーが積み上げてあったり、CDがトロ箱(?)に詰めてあったり、まことにお恥ずかしいかぎり…(激汗)。


6月19日(木): 

 

ミヒャエル・ギーレン(指揮) シンシナティ響
ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」(米Vox Cum Laude、LP)
ギーレンの「英雄」は、南西ドイツ放送響を指揮したCD(Intercord、1987年1月録音)とDVD(ドリームライフ、1987年8月収録)がある。
これは1980年10月、その前月に音楽監督に就任したばかりのシンシナティ響と録音したもの。
演奏伝統への拘りが薄いアメリカのオーケストラを振ったときには指揮者のコンセプトがくっきり現れやすいと言われるが、果たしてどのような「エロイカ」になっているのか、興味津々。
とりあえず演奏時間は(15分18秒、13分31秒、5分22秒、9分47秒)で、CD(15分13秒、13分15秒、5分25秒、9分59秒)と大差ない。
某オークションで落札したもの。

6月18日(水): 

 

金昌国(Fl) アンサンブル・オヴ・トウキョウ
バッハ;管弦楽組曲第2番・ブランデンブルク協第4番 ほか(fontec)
1990年の録音。
ブランデンブルク協は好きなので、新譜の時にも気になったCDだが、1曲だけでは中途半端と思い、買わずにいた。
某オークションに出品された画像を見ていると、Vnに小林美恵大林修子@N響・桐山建志等という顔触れ。
これは聴かねばなるまいと落札したもの。
「音楽の捧げ物」よりトリオ・ソナタをフィルアップ。

6月17日(火): 

 

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) ベルリン・フィル & コンセール・ラムルー管 ほか
「完全なる芸術家」(DGG)
DGGの「オリジナル・マスターズ」シリーズの新譜で、マルケヴィッチが出た。
1950年代〜60年代初めにDGGへ遺した音源のうち、これまでCD化されていなかったものを中心に、9枚組という大量のリリース、感涙滂沱となって購入。
収録曲は、
グルック;シンフォニア ト長調
モーツァルト;交響曲第34・35・38番
ベートーヴェン;交響曲第3・6番
シューベルト;交響曲第3番
ブラームス;交響曲第1・4番
グノー;交響曲第2番
チャイコフスキー;交響曲第6番「悲愴」(ベルリン・フィルとの旧録音)
ベートーヴェン;「レオノーレ」序曲第3番・序曲「コリオラン」・「フィデリオ」序曲・序曲「命名祝日」・序曲「献堂式」
ワーグナー;歌劇「ローエングリン」第1幕&第3幕への前奏曲・歌劇「タンホイザー」序曲とバッカナール・ジークフリート牧歌・楽劇「ワルキューレ」よりワルキューレの騎行
ブラームス;悲劇的序曲(モスクワ録音)
ビゼー;組曲「子どもの遊び」
ドビュッシー;交響詩「海」・神聖な舞曲と世俗的な舞曲
チャイコフスキー;幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ハイドン;協奏交響曲 変ロ長調
チマローザ;2本のFlのための協奏曲
ブラームス;「アルト・ラプソディ」(モスクワ録音)
コダーイ;ハンガリー詩篇(モスクワ録音)
更に、マルケヴィッチのインタビュー(1957年8月2日)が付け加えられている。
ここまで来れば、更にニルセン;交響曲第4番ベートーヴェン;序曲「エグモント」(国内盤CDあり)、モーツァルト;戴冠式ミサ(ベルリン・フィルとの旧録)、ヴェルディ;レクイエム(モスクワ録音)を加えて完璧なものにしてもらいたかったとも思う。
…あつかましいか(笑)。
 
ピエール・モントゥー(指揮) 北ドイツ放送響
コンサート・ホール・レーベル録音集(SCRIBENDUM)
モントゥーが最晩年に北ドイツ放送響を指揮してコンサート・ホール・レーベルに遺した音源は、これまで国内ではDENON、海外ではPRELUDIOやその他様々なレーベルから個々ばらばらにCD化されてきた。
今回、これまで入手の難しかったものも含め、CD4枚組となってリリースされたことはまことに喜ばしく、欣喜雀躍して購入。
収録曲は、
モーツァルト;交響曲第35・39番
ベートーヴェン;交響曲第2・4番
ベルリオーズ;幻想交響曲
ワーグナー;「さまよえるオランダ人」序曲・「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
ボロディン;だったん人の踊り
ムソルグスキー;禿山の一夜
チャイコフスキー;幻想序曲「ロミオとジュリエット」
R・コルサコフ;スペイン奇想曲
元来が録音の芳しからぬコンサート・ホール・レーベルだが、今回のリマスタリングはまだしも健闘しており、在来盤よりは鮮明な音質で聴くことができる。
もっとも、この覆刻箱物シリーズの通弊で、次の音源を漏らしているのは遺憾。
チャイコフスキー;交響曲第5番
ワーグナー;「タンホイザー」序曲とヴェーヌスベルクの音楽
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ソヴィエト国立響 ほか
アルヴェーン;交響曲第4番 & ドビュッシー;交響詩「海」(RUSSIAN DISC)
スヴェトラーノフは北欧の作品もよく振った人である。ステーンハンマル;P協第2番アルヴェーン;交響曲第2番は、MUSICA SVECIAEレーベルからCDが出ていた。
それらはスウェーデン放送響との共演なので、オーケストラ側の事情での選曲かと思っていたが、これは手兵ソヴィエト(ロシア)国立響をモスクワで指揮したライヴ盤(1989年2月20日)。
やはり本当に北欧の音楽が好きだったのだな…と感じ入る。
昨年だったか初出時には買いそびれたが、どうしたことか再度入荷したらしく、貴重な記録ゆえ聴き逃すべからずと購入。
このアルヴェーンの代表作については、小林さんのページに、詳細な解説がある。
ドビュッシー;交響詩「海」(1993年2月13日ライヴ)をカプリング。

6月16日(月): 

 久しぶりに「新譜試聴録」を立てる。

スティーヴン・イッサーリス(Vc) スティーヴン・ハフ(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ(Hyperion)
昨今の古楽派奏法ブームの遥か以前から、ガット弦を使用してきたイッサーリス。
その特長を誰よりも生かし、弱音の抒情、高音の蠱惑という点では余人を寄せ付けない。実演で聴けば、堪えられないのではないか。
とりわけ、第2楽章中間部、高く高く2点ト音から2点変イ音まで登りつめる部分や、第3楽章の中間あたり、ffで変ホ音へ降下した直後、ppの三連符を連続させながら音域と歌心を高揚させていく場面での、絶妙の美音と歌い回しに魂を奪われない人は有り得ないのではあるまいか。
その他にも、ヴィブラートを抑えた第1楽章冒頭の神秘的雰囲気や、第4楽章第2主題でルバート、テヌートを生かした不思議なたゆたいなど、そこここにラフマニノフの魅惑の花が咲いている
必ずしも斉諧生好みの音色の持ち主ではないのだが、納得せざるを得ない所以である。
問題は、彼の楽器が出せる音量の限界なのか、あるいは単に録音の加減なのか、強奏部分での音の伸びと、それから生まれる音楽のスケールの膨張が、例えばモルクあたりに及ばないこと。
チェロの密やかさに追随できないピアノともども、当盤をもって同曲のベストと決しきれない理由になっている。
それにしても、彼の演奏に十全に合わせられるピアニストは存在するのだろうか?
 
特筆しておきたいのは、ライナーノートにチェリスト自身が記している第4楽章コーダでのダイナミクスの変更。
ピアノがディミヌエンドする下1点と音を響かせたあと、"Meno Mosso"になってppが指定されるところ、イッサーリスはffで出る。
その直前、"Piu Vivo"部分で大きく盛り上がった気分を受けるには、彼が言うようにffがふさわしかろう。
(その逆を行っているのがヨーヨー・マで、pppまで音量を落とすことで、聴き手の心にffと同じ質量の感動を呼び起こしている。)
この変更については、イッサーリス家に『口伝』があるそうな。
ラフマニノフからこの曲を献呈されたチェリスト・ブランドゥコフによれば、作曲者は楽譜が出版された後になって「やっぱりここはffの方が良かった」と言っていたらしい。
これは、彼の祖父、ユリウス・イッサーリスがブランドゥコフと共演した折りに聞いたのを、彼が子どもの時に祖母とこの曲を練習していて教えられたものとのこと。
なるほどシャフランルザーノフも、ここではpp指定にこだわらずに弾いており、旧ソ連には作曲者に始まる演奏伝統が生きていたことをうかがわせる(ロストロポーヴィッチは楽譜どおりのpp)。
 
フョードル・ルザーノフ(Vc) エフゲニー・スヴェトラーノフ(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ(露MELODYA、LP)
ソヴィエト国立響の首席奏者が、音楽監督・首席指揮者と共演したもの。
一介のオーケストラ団員と軽んじるべからず、ルザーノフは知る人ぞ知る名人上手である。
ここでも、第1楽章冒頭の音色が既にロシアの憂愁を伝え、第1主題のスピード感など舌を巻く。
低音の寂びた音色も佳く、高域の音程も満足のいく精度。
際立つ個性や飛び抜けた表現といったものは見られないが、端正な音楽づくりが好もしい。
特に、ひときわゆったりしたテンポで歌われる第3楽章では、懐旧の情が聴き手の心を温める
十分、この曲の標準たり得る演奏と評価できるだろう。過去にCD化されたこともあるようだが、もっと広く流通し、聴かれることを願いたい。
スヴェトラーノフのピアノも巧い。いわゆる「指揮者のピアノ」に留まるものではなく、指揮者・作曲家としての表現力と、一流のピアニストとしての技術力が、幸福に結合している。
第3楽章冒頭、ピアノの聴かせどころは、テンポが遅いこともあって、訥々とした感じになってしまっているが、もしかしたらレガート奏法だけは苦手だったのかもしれない。
ルザーノフとブラームス;チェロ・ソナタ集のCDもあるヴェデルニコフならば…と思ったりもするが、それではスヴェトラーノフには失礼か。
いっそ、シャフランヴェデルニコフが共演していたなら…と望んでおこう。

 作曲世家に、ラフマニノフ;Vcソナタ聴き比べを追加。過去2回にわたって行った聴き比べに、今日の2種を追加し、文章を整理したものです。


6月15日(日): 

 この間届いたCD・LPの情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


6月14日(土): 

 

マイケル・ダウス(Vn) 岩城宏之(指揮) オーケストラ・アンサンブル金沢
ベートーヴェン;Vn協 ほか(Sony)
OEKの名誉コンサートマスター、ダウスを独奏に立てての1枚。北ドイツ放送響のコンサートマスターも勤めたという人なので、新譜の時から気になっていたところ、安価で某オークションに出品されており落札したもの。
ロマンス第1・2番をフィルアップ、1993年6月に富山県小杉町文化会館での録音。
 
Various Artists
「ポピュラー音楽名曲集」(日リーダーズ・ダイジェスト、LP)
10枚組の大物だが、某オークションでごく安価に落札したもの。
とはいえ斉諧生にとって貴重であるのは、レイボヴィッツ(指揮) ロンドン新響の音源が、まるまるLP2枚分含まれていること。
レイボヴィッツの編曲による4曲
グリーンスリーヴズ
ロンドンデリーの歌
フランク;天使の糧
ドヴォルザーク;ユモレスク
は特に貴重、そのほかにも
バッハ(グノー);アヴェ・マリア
ベートーヴェン;トルコ行進曲(これのみCDあり)
J・シュトラウス2世;喜歌劇「こうもり」序曲
ワルトトイフェル;ワルツ「スケートをする人々」
ボッケリーニ;メヌエット
ショパン;英雄ポロネーズ
ビゼー;ハバネラ
ドリーブ;バレエ音楽「泉」より間奏曲
ファリャ;火祭りの踊り
イッポリトフ・イワノフ;酋長の行列
ディニク(ハイフェッツ);ホラ・スタッカート
R・コルサコフ;熊蜂の飛行
サリヴァン;喜歌劇「軍艦ピナフォア」序曲
ガーシュウィン;組曲「ポーギーとベス」
ガーデ;ジェラシー
と、興味津々の曲目が並ぶ。
リーダーズ・ダイジェストから出ているこうした箱物には、レイボヴィッツの音源が含まれていることがあるらしいのだが、なかなか演奏者の細目までは確認できないことが多く、手が出しにくい。今回は出品者がLP10枚分の収録曲と演奏者を克明に掲載してくださったので、助かった。
とはいえ、まだまだ彼の録音は集め尽くせていないはず。ショパン;ノクターンの存在も報告されており、ぜひ聴いてみたいものである。
 
ユージン・リスト(P) マクシム・ショスタコーヴィッチ(指揮) モスクワ放送響 ほか
ショスタコーヴィッチ;P協第1・2番(蘇MELODYA、LP)
見れば集めているショスタコーヴィッチの第1P協奏曲の未架蔵盤が某オークションに出品されていた。
いつものように工藤さんのコメントを確認すると、
第1番堅実な技巧で演奏された名演。(略)特に終楽章の猛烈なスピード感は、まさにこの曲の本質をついている。カデンツァも壮絶。
第2番ソロ、オーケストラ共に尋常ならざる勢いに満ちた名演。(略)手に汗を握りながら最後まで聴き通してしまう。
と、ともに星5つ(満点)の高評。
これは聴き逃すべからずと落札したもの。
 
クレオ・レーン(Vo) エルガー・ハワース(指揮) ナッシュ・アンサンブル
シェーンベルク;「月に憑かれたピエロ」 ほか(日RCA、LP)
ジャズ・ヴォーカリスト、クレオ・レーンが録音したシェーンベルク。
玉木正之『音楽は嫌い、歌が好き』(毎日新聞社、1994年)に、このLPが紹介されており、
ジャジーなクレオの歌い方が、現代歌曲を身近なものに感じさせてくれる名盤
というコメントに興味を惹かれ、ずっと気になっていた。
CD化されていないのだろうか、長く見ることがなかったのだが、ふと某オークションで発見、落札したもの。
アイヴズの歌曲3曲をフィルアップ、1974年6月のロンドン録音。
指揮者ハワースは、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルで活躍していた人(元来はTrp奏者)。PJBEで「展覧会の絵」の編曲を指揮した盤があったが、あれはまだ聴かれているのだろうか?

6月13日(金): 

 

Various Artists
「女性作曲家 −失われた伝統の発見−」(Leonarda)
CD2枚組に、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンから現代アメリカの作曲家まで、25人の41曲を収録している。
もちろん、リリー・ブーランジェの作品を収録しているので、レーベルから直接購入したもの。
「夜想曲」・「春の朝に」の2曲を、FlとPの組合せで演奏している。(キャサリン・フーバー(Fl) ヴァージニア・イースキン(P))
どうやら同じ題名の書籍のために、既存音源や新録音を集成して作ったアルバムの模様。

6月11日(水): 

 

廻由美子・野平一郎(P) 佐野恭一・安江佐和子(Perc)
バルトーク;2台のPと打楽器のためのソナタ ほか(VICTOR)
VICTOR自慢のXRCD2盤、クラシックではライナーミュンシュなどステレオ初期の名録音の覆刻が多数リリースされているが、これは1997年の新録音を同技術でマスタリングしたもの。
店頭でもたびたび見かけて気になっていたものだが、某オークションで安価に出品されていたので落札してみた。
少し試聴してところ、まことに鮮烈きわまりない音であり、演奏もシャープで素晴らしい。
打楽器の一部に真空管式のマイク・アンプを用いているのも、オーディオ的には面白いところだ。
ストラヴィンスキー;2台P協ケージ;エクスペリエンスをカプリングしている。
1997年5月、彩の国さいたま芸術劇場での録音。

6月10日(火): 

 

ゾルタン・コチシュ(指揮) ハンガリー国立フィル ほか
ドビュッシー;(忘れられた)映像 & ラヴェル;クープランの墓 ほか(HUNGAROTON)
今月下旬から来日公演を行うハンガリー国立フィル、その記念ということでもなかろうが、新録音が出ていた。
一部を除いて音楽監督コチシュ自らが管弦楽編曲を施しているのにも興味を惹かれて購入。
ドビュッシー;スコットランド風行進曲
同;スティリー風タランテラ舞曲(ラヴェル編)
同;忘れられた小唄(ユリア・ハイネージィ(Sop))
同;忘れられた映像(第2曲「サラバンド」はラヴェル編)
ラヴェル;古風なメヌエット
同;クープランの墓(ラヴェル編の組曲に「フーガ」・「トッカータ」を追加)
「スコットランド〜」と「古風な〜」には作曲者自身の編曲もあるから、真っ向から挑戦しているわけである。
また、「クープランの墓」では、ラヴェル本人が管弦楽化しなかった2曲を取り上げたところも、意気壮んといえよう。
2001年9・10月及び2002年9月の録音。

6月9日(月): 

 

ティボール・ヴァルガ(Vn) ミラン・ホルヴァート(指揮) ザグレブ・フィル ほか
ベートーヴェン;Vn協 ほか(TUXEDO)
ヴァルガの未架蔵盤…と思って購入したが、"Tibor Varga Collection"で架蔵済みでガッカリ。
ただし音質的には、Collection盤がモノラル的で曇った音色なのに対し、こちらはステレオで明晰な音色。もっとも、かなり高域を強調しており少々不自然ではある。
 
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob) イタリア合奏団
マルチェッロ;Ob協 ニ短調 ほか(DENON)
シェレンベルガーの美音は愛惜已まないところ、未架蔵盤が某オークションに出品されていたので落札したもの。
近年の来日公演では不調の噂も聞くが、当盤は1987年の録音、明るく滑らかな音色が堪能できよう。
標記マルチェッロ作品のほか、ヴィヴァルディ;ヘ長調・ニ長調アルビノーニ;ニ長調・ト短調サンマルティーニ;変ホ長調の、計6曲を収めている。
 
スティーヴン・イッサーリス(Vc) スティーヴン・ハフ(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ & フランク;Vcソナタ ほか(Hyperion)
録音情報に接して以来鶴首していたイッサーリスの新録音が店頭に並び始めたというので、寸暇を盗んで音盤屋へ赴く。
とりわけ、この人の柔らかな美音にラフマニノフのロマンティシズムは最適かもしれない。期待高し。
ラフマニノフ・フランクの小品各2曲ずつをフィルアップしている。
前者は前奏曲op.2-1・東洋風舞曲op.2-2、後者には歌唱(レベッカ・エヴァンス(Sop))を加えて歌曲「風の精」・「天使の糧」
2002年8月、ロンドンでの録音。

6月8日(日): 

 先日届いたCDの情報を、逸匠列伝 ユッシ・ヤラスに追加。なお、ヤラスには、北欧の現代音楽やオペラのアリア集などの録音がある旨、御教示をいただきました。ついては、当面、掲載の対象をシベリウスに限定し、「ディスコグラフィ (シベリウス編)」といたします。

 音盤狂昔録平成15年5月分を追加。
 5月31日の演奏会データを演奏会出没表に追加。


6月7日(土): 

 

ネッロ・サンティ(指揮) 読売日響
メンデルスゾーン;交響曲第4番 & ブラームス;交響曲第1番(MEISTER MUSIC)
サンティは1931年イタリア生れ。先月下旬、N響に客演し、聴衆の評価もさることながら、楽員から圧倒的な支持を集めたらしい。
そういえば、見た感じも過去にN響と深い関係のあった指揮者に似ている気がする。体格はマタチッチ、目つきはスウィトナー、顎の肉づきはスヴェトラーノフ
そういえば、前に読響とのCDがあった…と思い出しているところへ、某オークションに出品されていたので落札してみた。
1999年4月12・26日、サントリー・ホールでのライヴ。このレーベルの特色である、ゲアール製マイクロフォンによる、ワンポイント録音。

6月6日(金): 

 

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮) フランス国立リル管 ほか
ビゼー;交響曲「ローマ」・カンタータ「クロヴィスとクロティルド」(apex)
贔屓の指揮者JCCがビゼーの珍しい作品を録音したもの。
特にカンタータは作曲家がローマ大賞を受けた作品で、長く埋もれていたところ、1988年の生誕150年を記念して蘇演された。これは、そのメンバーによる世界初録音。
元来はERATO音源であるが、廉価再発されたのを機に購入。
カンタータの歌唱に、モンセラート・カバリエ(Sop)という大物を起用しているのが目を惹く。
 
ヴァレリー・アファナシェフ(P) ウベール・スダーン(指揮) ザルツブルク・モーツァルテウム管
ベートーヴェン;P協第3・5番(OEHMS)
曲者ピアニスト、アファナシェフが「皇帝」を録音したとなると、グレン・グールド以来の名演を期待したくなるが、共演者がグールドと違って、あまり曲者らしくない顔触れになっている。
もっとも演奏時間をグールド(括弧書き)と比較すると、第1楽章;22分40秒(22分0秒)、第2楽章;9分16秒(9分22秒)、第3楽章;11分43秒(11分15秒)となるから、意外にスダーンもストコフスキーに負けていないのかもしれない。
第3番も同様に比較すると、第1楽章;18分53秒(17分14秒)、第2楽章;11分57秒(10分49秒)、第3楽章;10分04秒(9分26秒)となっている。
もちろんCDは各曲1枚ずつの2枚組、第3番は2001年12月、第5番は2002年6月、ともにザルツブルク・モーツァルテウム大ホールでの録音である。
 
バーバラ・ボニー(Sop) マイケル・ボール(Ten) バリー・ワーズワース(指揮) ロイヤル・フィル ほか
バーンスタイン;「ウェスト・サイド・ストーリー」(ハイライト)(IMG)
バーバラ・ボニーがマリアを歌う!
1993年1月、ロンドンにおける録音で、おそらく実際の舞台上演とは無関係に、CDのためだけに収録されたものであろう。
トニーを歌うマイケル・ボールは、日本ではあまり知られていないが、ミュージカルを中心に活躍し、イギリスでは国民的人気を誇っているスター歌手とのこと。
以前、ワーズワースが指揮したRVW作品集(Argo)に感心して、彼のCDをあれこれ捜していたときに、この盤の存在を知った。
長らく捜していたのだが、英国系の通販サイトでもずっと品切れだったところ、Amazon.co.uk Marketplaceで入手できた。
このシステムは初めて利用するが、個人や営業者が中古品を出品したりオークションにかけたりするサイトで、日本でいえばEasy Seekが似ているような感じだ。ただし、代金の収納をAmazon.co.ukが代行するところが異なる。
これはCD1枚分の抜粋盤だが、実は、近々、2枚組の全曲盤が出るらしい。ちょっと損をしたような気分だ(苦笑)。
 
(附記) 「2枚組の全曲盤が出るらしい」と書いたが、どうやら全曲盤ではなく、同じハイライト盤らしい。一安心である(苦笑)。

6月5日(木): 

 

ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
シューベルト;交響曲第8番 ほか(Altus)
マタチッチ & N響のライヴ盤の続編が出ていたので3枚とも購入。いずれも1973年と1975年の来日公演の記録で、指揮者は70歳代半ば、まさに円熟といっていい時期である。
これは、1973年12月27日、NHKホールで開かれた「青少年のためのプロムナード・コンサート」という演奏会のライヴ録音である。
収録曲は、標記の「未完成」交響曲以外に、
ビゼー;組曲「カルメン」第1番・「ファランドール」(「アルルの女」より)
ゴドヴァッツ;交響的コロ舞曲
後者は指揮者の母国クロアチアの作曲家(1895〜1982)による1926年の作品で、アンコールとして演奏されたもの。
ライナーノートによると、当日の演奏曲目には、更にワーグナー;「さまよえるオランダ人」序曲、「タンホイザー」序曲、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲が含まれていたという。
ぜひ、別な日の演奏と合わせ、ワーグナー・アルバムとして発売してもらいたい。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
ブラームス;交響曲第3番・悲劇的序曲(Altus)
マタチッチのライヴ2枚目。
交響曲は1973年12月5日、序曲は1975年11月19日、いずれもNHKホールでの演奏。
 
弘中孝(P) ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮) NHK響
チャイコフスキー;交響曲第5番 & モーツァルト;P協第20番(Altus)
マタチッチのライヴ3枚目。
1975年11月19日、NHKホールにおける録音で、上記のブラームス;悲劇的序曲と合わせ、一夜の演奏会を構成していた。
ブックレットに弘中氏が回想を寄せているが、指揮者が本番中に鼻をかんだ(!)のを良く憶えておられるそうである。いかにもおおようなマタチッチらしい逸話といえよう。
 
ウラディミール・ゴルシュマン(指揮) セントルイス響
モーツァルト;交響曲第38番 & シベリウス;交響曲第7番(米RCA、LP)
以下はArs Antiquaから届いたLP。
これはシベリウスの後期交響曲の未架蔵盤として、買わざるべからずとオーダーしたもの。
ゴルシュマンというと、LP初期にポピュラー名曲の指揮や協奏曲の伴奏に重宝された人…という印象だったが、シベリウスの最後の交響曲を指揮しているとは、少し意外な感じがした。もっとも、近現代曲の録音も多い人なので、その点ではつながるが。
盤の造りはLP初期のものだが、音の感じ等からすると、録音されたのはSP末期ではなかろうか。
 
フェルナン・クイネ(指揮) ベルギー国立管 ほか
ジョンゲン;組曲第3番 & アプシル;P協・「ルクーを讃えて」(英LONDON、LP)
ベルギーの作曲家の作品を集めた1枚、「ルクー」の名があるからには入手せざるべからず。
その「ルクーを讃えて」は、1939年の作、約6分の管弦楽曲で、ラヴェル風の華麗なオーケストレーションの中に、哀悼の趣を漂わせている。
作者のアプシルは1893年生れ、録音当時には現存していたが、1974年没。サキソフォンのための曲が、吹奏楽方面で愛奏されているようだ。
同じ面に入っているP協(1938年)は3楽章からなり、独奏者はアンドレ・デュモルティエ(原綴 Dumortier )。解説文にはフローラン・シュミットの名やフォーレ;バラードラヴェル;左手P協が言及されているが、仏語のため、読み解くことができない(汗)。
最近関心を持っているジョンゲンの作品がカプリングされているのも嬉しい。
「管弦楽のための第3組曲」は1930年の作曲、「前奏曲−序曲」・「サラバンド」・「メヌエット」・「終曲−ディヴェルティメント」の4楽章からなる。快活な佳曲のようだ。
 
リン・トゥン(指揮) グランドティトン音楽祭管
ストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」 & バルトーク;弦楽器・打楽器とチェレスタのための音楽(米RCA、LP)
見れば集めている曲の一つ、バルトーク;「弦チェレ」の未架蔵盤がカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
グランドティトンは、アメリカ西部・ワイオミング州にある山塊の名称で、雄大な自然美ゆえに国立公園に指定されている。
いまWebを検索していて教えられたのだが、名作西部劇『シェーン』の舞台になっているのがこの土地で、ラスト・シーンでアラン・ラッドが馬を駆ってゆく先に聳えているのがグランドティトンの山々なのだそうである。
グランドティトン音楽祭は、山麓のティトン村のフェスティヴァル・ホールを本拠に、7〜8月の6週間にわたって、全米のオーケストラや室内楽団体、音楽大学から優れた奏者を集めて行われるという。
このディスクは1975年の音楽祭の記録で、メンバー表も掲載されている。知った名前はあまり無いのだが、鈴木秀太郎氏(Vn、当時ケベック響コンサートマスターとのこと)のほかに「エトー・トシヤ」というVn奏者の名がある。所属団体名は書かれていないのだが、江藤俊哉大先生御本人であろうか?
音楽祭の音楽監督を兼ねる指揮者、Ling Tung 氏については、ジャケットには記載がない。
なお、この音楽祭は、現在大植英次を音楽監督に実施されているようである(公式Webpage参照)。
 
ブダペシュト・ストリングス
グリーグ;「ホルベアの時代から」 & ブリテン;シンプル・シンフォニー ほか(洪VIDEO VOX、LP)
標記2曲はいずれも大好きな曲、愛惜佳曲書に掲げたとおりである。
更にレスピーギ;古代舞曲とアリア第3組曲をカプリング、まさに見逃すべからざる1枚である。
1989年、ブダペシュトでのデジタル録音。CDでも出ているのだろうか?
 
ミリアム・フリード(Vn) ルネ・デフォッセ(指揮) ベルギー放送響 ほか
シベリウス;Vn協 & ショーソン;詩曲(白DECCA、LP)
1971年のエリザベート王妃国際コンクールの第1位を記念して製作されたLP。たしか廉価盤でも再発されたことがあるはず。
シベリウス演奏としては有名なものなので、オーダーしてみた。
同年5月17日のライヴ録音だが、この日が本選だったのか、受賞記念演奏会だったのかは、この盤には明記されていない。
コンクールの50周年記念盤のページによると、"Final"とあるから、本選の演奏ということになる。
なお、フィルアップのショーソン作品は、ピアノ伴奏による。
 
ヤープ・ファン・ツヴェーデン(Vn) ロナルド・ブロウティガム(P)
ブラームス;Vnソナタ第1〜3番(蘭GLOBE、LP)
蒐集しているヴァイオリニスト、ツヴェーデンの未架蔵盤を見つけたのでオーダー。
収録データは明記されていないが、マルPは1983年、その頃の録音であろう。
 
ミハーイ・ブレディチェアヌ(指揮) ルーマニア国立歌劇場管 ほか
エネスコ;歌劇「オイディプス」(羅ELECTRECORD、LP)
このところエネスコを聴き続けているが、畢生の大作「オイディプス」の全曲盤が安く出ていたのでオーダー。
LP4枚組で、ルーマニア語歌唱による。モノラル盤だが、1964年録音というから、ステレオ盤が存在するものと思われる。たしかCDになっているはず。
指揮者の名前は原綴 "Brediceanu" 、発音には自信なし。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮) スペイン放送響 ほか
「サルスエラ・アンソロジー」(西Philips、LP)
マルケヴィッチのスペイン時代の遺産の一つ。音源としては架蔵しているが、オリジナルと思われる2枚組が安価でカタログに出ており(盤の状態はよろしくない)、美麗ブックレット付きというのでオーダーしてみた。
たしかに充実したものが付属していたが、問題はスペイン語だけということである(苦笑)。

6月4日(水): 

 

シャルル・デュトワ(指揮) ほか
オネゲル;交響的詩篇「ダヴィデ王」(ERATO)
先だってJCC盤(EMI)を購入した「ダヴィデ王」、同時期にデュトワ盤が某オークションに出品されていたので、併せて入手したもの。
1971年5月、パリで録音されたというから、デュトワ35歳頃の仕事である。
器楽陣には、ピエール・ピエルロ(Ob)、ポール・オンニュ(Fg)、ジョルジュ・バルボトゥー(Hrn)、ジャック・ルヴィエ(P)など、名のあるフランス系奏者が連なっている。
 
セクステット・オヴ・オーケストラ・USA
クルト・ワイルの世界(RCA)
ジョン・ルイス(P)が、クラシックとジャズの融合を目指して1961年に結成した団体、オーケストラ・USAからピックアップしたメンバーが演奏する、ワイルの名曲集。
ここでの演奏者には、ルイスのほか、コニー・ケイ(Drums)やエリック・ドルフィー(サキソフォンほか)の名が見える。
「三文オペラ」から「マック・ザ・ナイフ」ほか3曲、「マハゴニー市の興亡」から「アラバマ・ソング」ほか3曲、「ハッピー・エンド」「ビルバオ・ソング」を収録し、また、3曲については別テイクも含まれている。
1964年1月及び1965年6月のニューヨーク録音。

6月3日(火): 

 

チョン・ミュンフン(指揮) ウィーン・フィル
ドヴォルザーク;交響曲第6・8番(DGG)
気になる指揮者チョン・ミュンフンが、ウィーン・フィルを振ったというので、新譜の時から気になっていた1枚。
出た時に、他に買う物があって、やり過ごしたまま買いそびれていたのだが、今回、某オークションで安く出ていたので落札したもの。
 
スピロス・サッカス(Br) シルヴィオ・グァルダ(Perc) ほか
クセナキス;「オレステイア」(naive)
今年2月22日に、全曲版の日本初演を聴きに行った作品。作品の来歴等は、そちらを御参照いただきたい。
ともかく「怖くない」音楽、東方教会聖歌ふうの歌ふしが面白く、CDを聴いてみたいと思い、Crotchetにオーダーしてみた。
しばらく品切れになっていたようで、ずいぶん時間がかかったが、ともかく標記の歌手・打楽器奏者で、「本来の演奏速度」による「カッサンドラ」を楽しんでみたい。
1987年10月、ストラスブールでの録音。

6月1日(日): 

 

京都フィロムジカ管弦楽団第13回定期演奏会@京都府長岡京記念文化会館を聴く。
指揮はイヴ・ラフォンテーヌ
この団体は、初めて接するアマチュア・オーケストラ。
指揮者はカナダ出身、「東京芸術大学で指揮を学んだはじめての外国人」なのだそうである。
 
今日の曲目は、
シューマン;序曲「マンフレッド」
プロコフィエフ;古典交響曲
ニルセン;交響曲第3番「ひろがり」
というもの。
お目当てはもちろん、珍しい北欧作品、ニルセン。
このオーケストラも、過去の演奏会には、かなり凝った曲目が並ぶ、「こだわり」の集団のようだ。
客席にも、北欧音楽MLのメンバーが参集、中には北海道からの遠征組も。
 
響きにもう一つまとまりのなかったシューマン、かなり危うかったプロコフィエフと、前半を聴くかぎりでは不安だった(暴言お許しを)。
 
ところがニルセンは、打って変わった好演に驚愕することになった。
力感あふれる第1楽章に始まり、抒情美の花咲く、全曲の白眉第2楽章を経て、堂々たる第4楽章に至るまで、充実した響きと意欲的な音楽づくりに、ただただ感激。
 
第2楽章のヴォカリーズ(SopとBr)は、下手舞台上で歌っていたが、これは舞台裏(袖)から遥けく響いてくる趣を求めたかった。
 
アンコールは、歌手に本来の活躍の場をということからか、モーツァルト;歌劇「魔笛」より「パパパの二重唱」
 
次回演奏会の曲目が、また凄い。
パリー;交響的変奏曲
モーツァルト;交響曲第31番「パリ」
RVW;交響曲第3番「田園交響曲」
12月7日(日)は、また馳せ参じねば。

 

イヴァン・フィッシャー(指揮) ブダペシュト祝祭管
シューベルト;交響曲第9番(洪HUNGAROTON、LP)
贔屓のコンビ、I・フィッシャーとブダペシュト祝祭管のLPが某オークションに出ていたので落札したもの。
1984年12月23・26・27日、リスト音楽院におけるライヴで、デジタル録音。
CDでも見かけたような気がする。「デジタルはCDで」が原則であるが、まあ、よい。(^^;
 
ジャック・フランシス・マンゾーネ(Vn) ジャン・クロード・カサドシュス(指揮) フランス放送室内管
ハイドン;Vn協集(仏DECCA、LP)
これも贔屓の指揮者、JCCことカサドシュスの指揮盤がオークションに出ていたので落札したもの。
ト長調イ長調ハ長調の3曲を演奏している。
イ長調作品には「メルケル・コンツェルト "Melker Konzert" 」と特記されているが、詳細不明。
ヴァイオリニストは1944年生れ、ライナーノートがフランス語だけなので、略歴が今ひとつよく判らないのだが、シェリングに師事したとか1967年にパリ管創設に際しソロVn奏者として採用された又は独奏者として共演したとかいった内容のようだ。
最近は指揮者として活動しているようで、フレデリク・プラッシーと、同じ作曲家の協奏曲で共演したCDがある。
録音データは不明だが、マルP1976年とのこと。

平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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