音盤狂日録


12月30日(月): 年内の更新は今日で最後になります。1年間、御愛顧ありがとうございました。皆様、どうぞよいお年をお迎え下さい。<(_ _)>
 なお、新年最初の更新は…未定です。(^^;

 

諏訪内晶子(Vn) シャルル・デュトワ(指揮) NHK響
チャイコフスキー;交響曲第4番 & 武満徹;弦楽のためのレクイエム ほか(DECCA)
↓28日の項に記した全集特典盤に刺激されて、「弦楽のためのレクイエム」をあれこれ聴きたい気分になり、店頭を捜したところ未架蔵盤が3点ほど見つかったので、買い占め。(^^;
このN響創立75周年記念盤はリリースされたときから気になっていたのだが、輸入盤でと思っていたところ、依然出る気配もないので、これを機に購入。
この曲には日本人指揮者の録音が多いので、デュトワがどう表現するか、興味津々。
標記2曲と、諏訪内さんの独奏で武満徹;遠い呼び声の彼方へ!をカプリング。
 
クリスチャン・リンドベリ(Trb) 尾高忠明(指揮) 紀尾井シンフォニエッタ
武満徹;弦楽のためのレクイエム ほか(BIS)
この曲をこれまで録音してきた指揮者といえば、岩城宏之小澤征爾若杉弘と、生年が昭和7年(岩城)、10年(小澤・若杉)という世代に集中していた。
それから一廻り下に当たる尾高さん(1947年生れ)が、どう表現するか、ぜひ聴いてみたいと購入。
リンドベリの独奏を加えたファンタズマ/カントスII(1994年)、オーケストラのみで雨ぞ降る(1982年)、トゥリー・ライン(1988年)などを収録している。
 
ネクサス(Perc) & カール・シンクレア(指揮) パシフィック響
武満徹;弦楽のためのレクイエム ほか(Sony Classical)
少しネットで調べてみて不思議だったのは、この作品に海外の団体の録音が、ほとんどないこと。
武満の作品中、最も有名なものの一つで、ノヴェンバー・ステップスのように邦楽器を必要とするわけでもなく、いくらでも弦楽アンサンブルのレパートリーに入れられると思うのだが、なぜだろう?
管見の範囲では、これが唯一、入手可能な音盤のようなので、買ってみた。
演奏時間が、小澤盤では7分台のところ、この盤では10分58秒をかけており、どういうふうに響いているのか、興味を惹かれる。
初演団体ネクサスとの共演でフロム・ミー・フロウズ・ホワット・ユー・コール・タイム(1990年)、またトウィル・バイ・トワイライト(1988年)をカプリング。

12月28日(土): 

 

森 正(指揮) NHK響 ほか
武満徹;弦楽のためのレクイエム ほか(小学館)
小学館から武満徹全集特典盤が届いた。
標記の演奏は、初演の翌年(1958年)に、おそらく放送用に録音されたもの(N響全演奏会記録にはデータがない)。
1958年7月13日という日付がブックレットに掲載されているが、録音日なのか放送日なのか、あるいは生放送で両方の日付が一致するのか、明確ではない。
1959年4月に来日したストラヴィンスキーが激賞したのは、この録音で聴ける演奏かもしれないという。
また、それに先だって放送された柴田南雄と武満徹の対談、約4分も収録されており、柴田ファンの斉諧生にとっては嬉しい限り。
対談の収録日は1958年6月8日だった旨、柴田側の記録にあるという。当時、柴田師41歳、作曲家27歳。
後者の声は我々が知る壮年期以降のものとほとんど変わらないが、柴田師の声はアナウンサーと聴き紛うほどに朗々としているので吃驚。
更に映画音楽「白い朝」のための素材(1964年録音)を収める。
 
ダミル・ハミドゥリン(Vc) ゾルタン・ペーター(P)
ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ ほか(自主製作)
先日、何か面白い音盤はないかとマイナー・レーベルの公式Webpageを、あちらこちら見て回っていたときに、Eroica Classical Recordings で見つけたCD。
見れば買っている標記ショスタコーヴィッチ作品に、ラフマニノフ;ヴォカリーズなど小品をカプリングしている。
チェリストの姓は原綴 "Hamidulin" 、やや中近東的な響きがするのにも興味を惹かれた。ラフマニノフなど、独特の節回しを聴くことができるかもしれない、と。
現品でよく見ると、どうやらカザフスタン共和国の出身らしい。生地の音楽学校を出たあと、フョードル・ルザーノフに学び、グネシン音楽院で彼のアシスタントを務めたとか(→ここを押して)。
現在、スロヴェニア・リュブリャーナの国立歌劇場管首席Vc奏者を務めながら、ソロや室内楽、教育活動を行っているとのこと。録音場所もスロヴェニア放送のスタジオと記されている。
ちゃんとしたCDだが、レコード会社の名前等は入っておらず、原盤権は演奏者が保持しているので、自主製作盤だろうと判断する。
 
イェフダ・ハナーニ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Town Hall)
これもEroica Classical Recordings から。この曲集の全曲盤、手を出さずにはいられない。
ハナーニはレナード・ローズパブロ・カザルスに学び、現在はシンシナティ大学音楽学部で教授職にあるとのこと。
録音年月は明記されていないが、マルC・Pは1997年となっている。ノイマンM-49真空管マイクを使用したという。

 ずっと懸案だった、イーゴリ・マルケヴィッチ・ディスコグラフィを作成。
 この人についても、自慢できるようなオリジナルLPはほとんど架蔵していない上、迂闊なことに持っていない音源があったりして、ちょっと恥ずかしいのだが、なにがしかでも御参考になれば幸いである。
 それにしても同曲異演の多い人で、十八番春の祭典は7種類、チャイコフスキー「ロメオとジュリエット」が5種類あったりするのには、あらためて吃驚。


12月27日(金): 

 

アンドレ・クリュイタンス(指揮) パリ・オペラ座管 ほか
ワーグナー;管弦楽曲集 ほか(TESTAMENT)
クリュイタンスというとフランス音楽のスペシャリストというイメージが強いのだろうが、実は、斉諧生にとっては最初に聴いたワーグナーの音盤が彼の指揮だった。
クラシックの世界に足を踏み入れた当初、東芝の廉価盤LPを友人から借りたもので、「マイスタージンガー」前奏曲を一聴して虜になり、毎日のように聴いていた。
まさしくその演奏も今回TESTAMENTから覆刻されているのだが、とりあえず、まだ聴いたことのない演奏が入っている方を買ってきた。
大好きなジークフリートの葬送行進曲が収められているのが、ポイントである。
その他、ジークフリート牧歌森のささやきジークフリートのラインへの旅と、ジークフリートづくしの選曲。
更にウィーン・フィルとのR・シュトラウス;「ドン・ファン」・「火の飢饉」より愛の場面をカプリング。
1958年の録音ながらモノラルというのが惜しまれる。
 
リッカルド・シャイー(指揮) コンセルトヘボウ管 ほか
エッシャー;哀悼の音楽 ほか(NM CLASSICS)
音盤屋のワゴン・セールをチェックしていて、ふと手に取ったディスク。
知らない作曲家だし、シャイーもさほど好きな指揮者というわけでもないのだが、 "Summer Rites at Noon" という曲で広上淳一が第2指揮者としてクレジットされているのに気がついた(二群のオーケストラのための曲なのである)。
広上さんの音盤は全点蒐集と思っており、格安でもあったので購入。
作曲者(1912〜1980)の没後、Jan van Vlijmen という人に委嘱してオーケストレーションが完成した作品の世界初演のライヴ録音とのこと(1988年10月6日)。
代表作の一つとされる標記の曲(1943年、ベイヌム盤もあった)と弦楽のための協奏曲(1948年)の、いずれもライヴ録音をカプリング。
 
ロバート・マン(Vn) レオニド・ハンブロ(P)
バルトーク;Vnソナタ第1・2番(Bartok Records)
『レコード芸術』1月号で、これまで未発表だった第2番の音源がCD化されていることを知り、慌ててレーベルの公式Webpageからオーダーしたもの。
1950年代、コネチカット州サウスポート、ピーコット図書館講堂でのモノラル録音と記載されている。バリバリの頃のロバート・マンのバルトーク演奏、聴き逃すべからず。
モノラルとはいえ鮮烈な音色(特にVn)は、いつもどおりのピーター・バルトーク録音。ブックレットがカラーコピー風なのが残念ではある。
CD17ドル+送料5ドルで邦貨約2,600円。

12月24日(火): 

 

ユージン・フォドア(Vn) グィド・ラメル(指揮) キエフ・フィル
ラロ;スペイン交響曲 & シベリウス;Vn協(Grazioso)
 
ユージン・フォドア(Vn) フィリップ・グリーンバーグ(指揮) バイエルン室内管
ニルセン;Vn協・ロマンス ほか(Grazioso)
先日、何か面白い音盤はないかとマイナー・レーベルの公式Webpageを、あちらこちら見て回っていると、VAIレーベルのサイトにユージン・フォドアのCDが2点掲載されていた。
ハイフェッツの数少ない弟子の一人として知られ、1974年のチャイコフスキー・コンクールで1位無しの2位に入選した人で、RCAレーベルと契約するなど活躍が期待されたものの、大きく伸びることなく、日本では忘れられてしまった。
斉諧生の手元には、1975年にペーター・マークと録音したメンデルスゾーン;Vn協のCDがある(BMG盤)。
特に注目していた人ではないのだが、シベリウスとニルセンという曲目に惹かれてオーダーしてみた。
ニルセン盤には弦楽合奏のための小組曲がフィルアップされている。
なお、フォドアの公式Webpageは→ここを押して

12月23日(祝): 

 外出したついでに音盤屋を覗くと、目的のもの以外にアレコレ見つかったものを購入、帰宅すると海外から更に荷物が届いておりました。(汗)

ジャン・フルネ(指揮) 新日本フィル ほか
フランク;交響曲 & サン・サーンス;交響曲第3番 ほか(ALM)
名匠フルネのライヴCD2枚組、買わざるべからず。
フランク;交響曲(2001年10月10日、オーチャード・ホール)
サン・サーンス;交響曲第3番(室住素子(Org)、2001年10月13日、すみだトリフォニー・ホール)
ダンディ;思い出(詩曲)(2001年10月18・19日、すみだトリフォニー・ホール)
ラヴェル;組曲「クープランの墓」(2001年10月10日、オーチャード・ホール)
特に注目したいのはフランク。
フルネは、ブックレット収録のインタビューで、フランス人以外の指揮者による誤った解釈の演奏が多いことを嘆き、
私は自分の楽譜にありとあらゆる指示を付け加えました。つまり、フランクがそうしたかったのだけれど、しないで終わってしまった指示を、です。(中略)音楽のフレーズ、強弱、雰囲気など全てをです。
と語っている。
かくも絶大な自信を有している解釈、是非、確認してみたい。
 
小林研一郎(指揮) 日本フィル ほか
マーラー;交響曲第2番(EXTON)
2002年7月11・12日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
この指揮者の全ディスク中のベストワンとの呼び声もあり(ライナーノート)、買わざるべからずなのだが、マーラーの中でも苦手な方の曲ゆえ、ちょっと後回しになっていた。
他のCDをレジに持っていったらポイントが満点になり、この機会にと、交換してきたもの。
 
ガリー・ベルティーニ(指揮) 東京都響
マーラー;交響曲第6番(fontec)
ベルティーニ&都響が、横浜と埼玉の会場で、一昨年から取り組んでいるマーラー;交響曲全曲演奏のプロジェクト。
今年で3年目、チクルスの途中ながら、あまりの名演ゆえにCD化が決まったという噂の6番が、店頭に並んでいた。
こちらは好きな方の曲、しかも以前聴き比べでも彼の演奏(EMI盤)を高く評価したところであり、やはり買わざるべからず。
2002年6月30日、横浜みなとみらいホールでのライヴ録音をCD1枚に収める。
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) フランス国立管
ドビュッシー;交響詩「海」 & スクリャービン;法悦の詩(naive)
スヴェトラーノフ晩年のライヴ、買わざるべからず。
ドビュッシーは2001年1月25日、スクリャービンは同月28日の録音である。
海底火山の爆発」(エフゲニー・スヴェトラーノフのページ)とも言われる彼の「海」、これが6つ目の録音になるという得意の(!)曲目だが、本場フランスのオーケストラでどのような響きになっているのか、興味津々。
ジャケット写真は、どうやら嵐の海を行く船の甲板のようだ…。
 
カリーネ・ゲオルギアン(Vc) イアン・マンロ(P)
マルティヌー;Vcソナタ第1〜3番 ほか(Warehouse)
先月買ったブラームスのソナタ集が良かったので、公式Webpageのディスコグラフィにあった2枚を発売元にメールしてオーダー(カードでは決済してくれず郵便局から先方の銀行口座へ送金)。
1998年の録音で、ロッシーニの主題による変奏曲スロヴァキアの主題による変奏曲をフィルアップ。
前者は、来月ミクローシュ・ペレーニが東京のリサイタルで取り上げる曲なので、聴き比べが楽しみである。
 
カリーネ・ゲオルギアン(Vc) マルコ・リッツィ(Vn)
コダーイ;無伴奏Vcソナタ・VnとVcの二重奏曲 ほか(Warehouse)
ゲオルギアンの2枚目。
こちらは2000年の録音で、無伴奏Vcのための奇想曲をフィルアップ。
技術的には非常に高そうな人なので、難曲・無伴奏Vcソナタが楽しみである。
 
ヤン・ルングレン(P) ほか
「パーフィディア」(M & I)
斉諧生はジャズも聴くのだが、そちらまで追究する余裕はないので、最近ではこのピアニストの新譜だけを買っている。
このレーベルでの前2作同様、デンマークのベーシストイエスパー・ルンゴーとドラマーアレックス・リールが共演。
国内製作だが録音はデンマーク・コペンハーゲンのスタジオで行われている(2002年9月)。
演奏・録音・ジャケット、いずれもとても美しい。
なお、レーベルの公式Webpageは→ここを押して

12月22日(日): 

 先日来、入手したCD・LPの情報をステーンハンマル 作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィガラグリ・ディスコグラフィに追加。

 パレーレイボヴィッツガラグリのディスコグラフィを、少し模様替え。

 作曲家・演奏家 生没年 対比年表に、少しだけ追加。


12月20日(金): 

 

ラルフ・ゴトーニ(指揮) イギリス室内管 ほか
モーツァルト;木管協奏曲集(自主製作)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓さんの掲示板で御教示いただいたCD。
オーケストラの創立40周年記念に製作されたものである。公式Webpageは→ここを押して
かつてはブリテンテイトの指揮で数々の名盤を製作した団体だが、このところ古楽系団体の活躍に押されたのか、どうもパッとしない。(大きなお世話か。)
指揮者はフィンランド出身、ピアニストとして著名だった人。2000年9月以来、ここの首席指揮者を務めているという。
収録曲と独奏者(すべて楽員)は、
Fg協 K.191 (ジュリー・プライス)
協奏交響曲 K.297b
Ob協 K.314 (ジョン・アンダーソン)
Hrn協第4番 K.495 (リチャード・ベリー)
どうも自主製作盤には点が甘いのと、K.297bが好きなのとでオーダーしたもの。

12月19日(木): 

 いろいろ荷物が届いた。LPはArs AntiquaMikrokosmosから。

ベルリン放送響 ほか
「ベルリン放送響の75年」(自主製作)
旧東側のベルリン放送響(歴代首席指揮者にアーベントロートレークナーら、現在はマレク・ヤノフスキ)に、CD6枚組の自主製作盤があり、貴重な音源が多数含まれていることは、以前から情報を得ていた。→ここを押して
このWebpageによると「この記念のCDは一般には出しておりません。」ということだったので、入手不可能かと諦めていた。
先日、オーケストラの公式Webpageを見ていて思いだし、ダメモトで問い合わせてみたところ、頒布しているしカードで支払い可能というので、即、オーダーした。
先方に手違いがあったらしく、頼んでから1月半ほどかかったが、ともかく手元に届いて嬉しい限り。
というのも、斉諧生的に重要な3人の指揮者の未架蔵音源が含まれているのである。
ハンス・ロスバウト
ワーグナー;祝典行進曲 (1940年6月5日)
カール・フォン・ガラグリ
ブラームス;交響曲第2番より第3楽章 (1959年4月4〜5日)
イーゴリ・マルケヴィッチ
ドビュッシー;牧神の午後への前奏曲 (1973年5月4日)
その他の指揮者・収録曲については前記のWebpageに詳しいが、何点か摘記すれば、
カレル・アンチェル
ドヴォルザーク;交響曲第8番より第4楽章 (1957年4月23・27日)
アルヴィド・ヤンソンス
グリンカ;「ルスランとリュドミラ」序曲 (1968年11月15日)
ハンス・スワロフスキー
J・シュトラウス;「こうもり」序曲 (1974年5月17日)
ジェフリー・テイト
RVW;「ドナ・ノビス・パーチェム」(抜粋) (1995年5月8日)
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
R・シュトラウス;ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯 (1998年1月26〜27日)
といったところ。
ブックレットも写真満載の充実したもの、これは広く知られてほしいセットである。
 
カロリーナ・マッティン(P)
P愛奏曲集(nosag)
先日、スウェーデンのnosagレーベルの公式Webpageを見ていたら、ステーンハンマル作品を収めた新譜が出ていることに気づき、そのままオンラインで注文したもの。
アルバム・タイトルは "Yours Sincerely" 、バッハリストショパンからモシュコフスキハチャトゥリアン他とともに、
ステーンハンマル;晩夏の夜より第1曲;Tranquillo e soave と第2曲;Poco presto が演奏されている。
ピアニストは1988年生まれというからまだ14歳(ジャケット写真は、とてもそんな年少には見えない)、2002年11月録音とあるので、それこそ出来立てホヤホヤ。
ジャケット表には「父ユーセフ Joseph Martin (1947-2001)の追憶に」という献辞があり、裏面には「このCDの収益はすべてカロリーナ・マッティンの今後の音楽教育の資金とします。」という注意書きがある。また、CD本体にはnosagの番号が無く、原盤権を演奏者が保持している。
何やら製作の経緯に事情がありそうなCDだ。
 
カルロ・ゼッキ(指揮) ルーマニア放送響
モーツァルト;交響曲第27番 ほか(ルーマニアELECTRECORD、LP)
名匠ゼッキのモーツァルト、オーダーせざるべからず。
変ホ長調 K.16ヘ長調 K.75の2曲の初期交響曲をカプリング。
 
カルロ・ゼッキ(指揮) アムステルダム・コンセルトヘボウ管
シューマン;交響曲第3番(米EPIC、LP)
名匠ゼッキのLP、続く。
コンセルトヘボウ管との共演、聴き逃すべからずとオーダー。
録音年月は記されていないが、モノラル収録である(上記モーツァルトはステレオ)。
彼は来年が生誕100年に当たるのだが、LPのCD覆刻や放送録音のリリースなどが行われてくれないものだろうか。
せめて代表盤、チェコ・フィルとの幻想交響曲(Supraphon)だけでもCDになってくれれば、もっと評価されるようになると思う。
 
クルト・ザンデルリンク(指揮) ベルリン響
マーラー;交響曲第9番(独ETERNA、LP)  
クルト・ザンデルリンク(指揮) ベルリン響
マーラー;交響曲第10番(独ETERNA、LP)
ザンデルリンクのマーラーが安価でカタログに出ていたのでオーダー。
かつて国内盤LPで聴いて、その暖かく有機的な響きにいたく感心し、この指揮者を評価し始めるきっかけになった演奏である。
第10番はクックゴルトシュミットによる全曲版を採用している。
両曲とも1979年録音、LP2枚組。
 
パウル・ザッハー(指揮) チューリヒ・コレギウム・ムジクム ほか
委嘱作品集(仏ERATO、LP)
1999年に亡くなったパウル・ザッハーは、20世紀音楽のパトロンとして有名で(スイスの大製薬会社の一族だったとか)、200以上の作品を初演し、100以上の作品を委嘱したという。
委嘱作品の中には既に古典となった名作も多い。ここではそのうち
マルティヌー;P、Timpと弦楽のための二重協奏曲 (1938年)
バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメント (1939年)
オネゲル;交響曲第2番 (1941年)
マルタン;小協奏交響曲 (1944〜45年)
ストラヴィンスキー;協奏曲 ニ調 (1946年)
オネゲル;クリスマス・カンタータ (1953年)
ヘンツェ;弦楽のためのソナタ (1956年)
の7曲を収めている。
マルティヌー、バルトーク、マルタンは見れば買っている作品であり、初演者による貴重な録音ゆえ、是非にとオーダーしたもの。
残念ながらブックレットが失われており、詳細なデータは不明だが、ジャケット裏面には1985年5月及び11月、チューリヒの放送スタジオでのデジタル録音と記されている。
ただし、「クリスマス・カンタータ」のみ、1954年の録音。演奏もコンセール・ラムルー管 ほかによる。
作品は傑作、演奏は委嘱初演した本人、録音も新しいというのに、どうしてCD化されないのだろう? 斉諧生が気づかなかっただけだろうか??
 
ロバート・ラッセル・ベネット(指揮) RCAビクター響
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」 ほか(米RCA、LP)
これは長年の探求盤! 入手できて狂喜乱舞である。
標記の曲は愛惜佳曲書にも掲載した偏愛の作品。総合的にはドラティ(指揮)デトロイト響盤(DECCA)を採るべきだろうが、劇場的(というか芝居小屋的)な味わいでは当盤が優る。
CDや廉価盤LPでは架蔵済みなのだが、初発は優秀録音で有名なLIVING STEREOシリーズ、ぜひオリジナルのステレオLPを聴きたいと念願してきた。
あちこちの音盤屋で尋ねても「見かけませんねえ」と異口同音の返事、通販サイトでも捜しに捜してきた。
ようやくArs Antiquaのカタログに出たので(しかも格安)、即座にオーダーしたもの。
聴きながら書いているのだが、俗に言う「オーディオファイル」の資格十分の優秀録音であり、ぜひ丁寧にCD化して普及してもらいたい演奏である。
バーンスタイン;「ウェスト・サイド物語」よりシンフォニック・ダンスをカプリング。
 
ピナ・カルミレッリ(Vn) 飯守泰次郎(指揮) カペラ・クラシカ
ベートーヴェン;Vn協(独SASTRUPHON、LP)
イ・ムジチのリーダーとして有名なあまりバロックの専門家というイメージが強いカルミレッリだが、本来はオールラウンドなヴァイオリニスト。
彼女のベートーヴェンがカタログに出ていたので…というより実は、飯守氏の仕事に興味を惹かれてオーダーしてみた。
残念ながらモノラル盤。飯守氏がヨーロッパで活動しはじめたのは1960年代末なので、録音自体はステレオの筈なのに…。
 
イヴリー・ギトリス(Vn) クルト・ヴェス(指揮) オーストリア響
パガニーニ;Vn協(米PLYMOUTH、LP)
ギトリスのパガニーニというので聴いてみたくなり、原則として手を出さないことにしている10インチ盤だがオーダーしたもの。
この手のものとしては破格の安値だったが、そのせいか、盤の状態はあまり良くなく、傷・雑音だらけ、強奏に歪みが感じられる。
とはいえ、1950年代初頭のギトリスのこと、独奏は実に切れ味の良い名演。
なお、オーケストラ・パートが聴き慣れた音楽とはずいぶん違う。明記されていないが、ヴィルヘルミによる1楽章版ではなかろうか。
 
ジュリアス・カッチェン(P) イシュトヴァン・ケルテス(指揮) ロンドン響
バルトーク;P協第3番 & ラヴェル;P協(英DECCA、LP)
かねて畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが推奨しておられるカッチェン。
バルトーク、ラヴェルといった曲目に惹かれたのと格安だったのとで、オーダーしてみた。
もっともCD化されているようなので、そちらでもよかったかもしれない。(汗)
 
ギュンター・コーツ(P) ロルフ・クライネルト(指揮) ベルリン放送響 ほか
ショスタコーヴィッチ;P協第1番 ほか(独ETERNA、LP)
これまた偏愛の曲、CDは架蔵しているが、オリジナルのLPで聴いてみたいとオーダー。
ショスタコーヴィッチといえば工藤さん、この盤については
ロシアの音とは全く違うのだが、ソロもオーケストラも非常に美しい音がしている。特にトランペットは素晴らしい。(中略)落ち着いた大人の演奏だが、勢いにも欠けていない。全ての面で理想的な演奏。
と絶讃しておられる。
カプリングは、ヴィトルド・ロヴィツキ(指揮) ベルリン・シュターツカペレによるプロコフィエフ;スキタイ組曲
 
フョードル・ルザーノフ(Vc) エフゲニー・スヴェトラーノフ(P)
ラフマニノフ;Vcソナタ(露MELODYA、LP)
指揮者スヴェトラーノフがピアノを担当していることで有名な盤だが、チェリストも以前ヴェデルニコフとのブラームス;Vcソナタが非常に良かった人なので、かねて捜していた。
何度か見つけては売り切れで入手できなかったので、たいへん嬉しい。(^^)
はやしさんのスヴェトラーノフのページディスコグラフィによれば、1974年録音とのこと。
前記ディスコグラフィに掲載されているCDには「ヴォカリーズ」ほかの小品も収録されているが、当LPはソナタ1曲のみ、また捜さねば…。
 
バリー・グリフィス(Vn) キース・ハーヴェイ(Vc) エリック・パーキン(P) ほか
リリー・ブーランジェ;室内楽曲集 ほか(英Unicorn、LP)
これまた長年の探求盤! 入手できて狂喜乱舞@その2 である。
この盤のことは、以前、市川さん@ディーリアスの世界から御教示いただいた(→ここを押して、下から3つ目の項目)。
作品表とディスコグラフィには、市川さんから頂戴したデータのみを掲載していたが、ようやく音盤現物を確認できた。
全7曲が収録されており、
春の朝に悲しみの夕べに
Vn・Vc・Pによる三重奏編成での演奏という珍しいもの。編曲の経緯等は明記されていない。
明るい庭で古い庭で
P独奏。
夜想曲行列
VnとP。
Harmonies du Soir
「妙なる夕べ」とでも訳せるのだろうか? 聞いたことのない曲名だが、ライナーノートによれば、「ファウストとヘレネ」のアリアをP三重奏編成に編曲したものとある。
カプリングはディーリアス作品で、パーキン独奏による3つの前奏曲ジュリアン・ロイド・ウェッバー(Vc) エリック・フェンビー(P)によるVcソナタ
1981ないし82年のデジタル録音で、ブーランジェ作品の音盤としては、かなり早い時期に属する。
 
ヴェッセリン・パラシュケフォフ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番・ソナタ第3番(独AULOS、LP)
この夏、実演を聴いて感心したパラシュケフォフのバッハが出ていたのでオーダー。
TELOSレーベルの全曲盤とは録音年が違うようだ(TELOS盤は1996年、当盤は1985年頃)。
CD・実演同様の名演を期待したい。
 
ジャニーヌ・ヴュータン(P)
ルクー;Pソナタ ほか(白Pavane、LP)
ルクー作品の録音はオーダーせざるべからず。
この曲の録音は非常に珍しいだろう。実は、現物を見るまで、てっきりVnソナタだろうと思っていた(苦笑)。
1891年2〜3月に作られた曲で、フランクの影響が如実にあらわれているとのこと。
演奏者はヴァイオリニスト・作曲家のアンリ・ヴュータンの子孫だそうだ。パリ音楽院でイヴ・ナットに学び、長く母校で教職にあったという。
御先祖アンリ・ヴュータンとその弟リュシアン・ヴュータンの小品計5曲をカプリング。

12月18日(水): 

 

ブルーノ・ワルター(指揮) ウィーン・フィル ほか
マーラー;「大地の歌」(TAHRA)
ワルターの「大地の歌」はDECCA盤があまりにも有名だが、これはその録音直後に行われた演奏会(1952年5月17日)でのライヴ録音という。
独唱者はもちろんDECCA盤と同一で、ユリウス・パツァーク(Ten)とキャスリーン・フェリアー(A)。2003年が彼女の没後50年に当たり、その記念盤としてのリリースだそうである。
ワルター&ウィーン・フィルのライヴ、しかも「大地の歌」とあらば聴き逃せないので購入。
音質的には、耳障りな雑音や歪みはなく、この時期の放送録音として優れたもの。いくぶんレンジは狭いものの、生々しい音色を聴くことができる。
なお、最近andanteからも同日のライヴとされる音源がリリースされたが、このTAHRA盤とは違う演奏とのこと。しかも音源の真正さについて議論があるらしい。

12月17日(火): 

 

オイゲン・ヨッフム(指揮) ベルリン・フィル & バイエルン放送響
ベートーヴェン;交響曲全集(DGG)
生誕100年も終わりに近づいているヨッフム、記念盤の(おそらく)掉尾を飾るベートーヴェン全集が店頭に並んだので購入。
これは彼が3度録音した全集のうち最初のもの(2つめはコンセルトヘボウ管とのPhilips盤、3つめはロンドン響とのEMI盤)。
オーケストラの振り分けと録音年月は次のとおり。
第1番 バイエルン放送響 (1959年4月)
第2番 ベルリン・フィル (1958年1月)
第3番 ベルリン・フィル (1954年2月)
第4番 ベルリン・フィル (1961年1月)
第5番 バイエルン放送響 (1959年4月)
第6番 ベルリン・フィル (1954年11月)
第7番 ベルリン・フィル (1952年11月)
第8番 ベルリン・フィル (1958年4〜5月)
第9番 バイエルン放送響 (1952年11〜12月)
更に「プロメテウスの創造物」「レオノーレ」第2番「フィデリオ」「アテネの廃墟」の各序曲をフィルアップしたCD5枚組。
特に第8番の演奏については、かつて宇野功芳師が『僕の選んだベートーヴェンの名盤』(音楽之友社)で
ヨッフムのは三枚ある彼のレコードのうち、最も古いものだが、演奏は他の二枚を大きく凌駕している。第一楽章はじつに快い演奏だ。柔かく、明るく、壮麗な響きを主体に、第二テーマの親しみやすい雰囲気や、味の濃いテヌートのリズムなども現われ、何という良い曲だろう、と思わせる。(以下略)」
と絶讃しておられた。
フルトヴェングラーの薫陶を色濃く遺していた時代のベルリン・フィルの味わいも楽しみである。
なお、ブックレットに注記があり、「ドイツ・グラモフォンにとって、一人の指揮者によって録音した、最初のベートーヴェン全集」という。
もっとも初期のDGGのアーティスト名簿はかなり貧相だったから(当時カラヤンはEMI、ベームはDECCA)、もしかしたら人選に窮したあげくの起用だったのかもしれない。
その後カラヤンが看板指揮者になるに及んで、この全集も廃盤となり、まとまっては手に入らない状態が長く続いた。
ヨッフム逝去から15年、各社からかくも盛大に記念盤がリリースされて、生誕100年が祝われるとは、ある意味で指揮者冥利かもしれない。
 
ルドルフ・バルシャイ(指揮) モスクワ室内管
バッハ;フーガの技法(YEDANG)
YEDANGレーベルの新譜が並んでいたが、既発売音源も多いそうなので、あまり食指が動かない。その中で興味を惹かれた1枚を購入。
全曲83分余がCD1枚に収められている。未完の4声フーガには13分半ほどを要しているが、補筆版であろうか?
1969年6月19日の録音とある一方(ただしモノラル)、オーケストレーションが誰の手になるものか等の情報は掲載されていない。
バルシャイのバッハ、さぞ厳格で緊張感に満ちた名演では…と期待している。
…と書いてきて、ふとWebを調べてみると、Classic Cafeさんのバルシャイ・ディスコグラフィに情報が掲載されていた。1970年の録音がLPで出ていたそうである。(汗)
(附記)
aria@Classic Cafeさんから、Le Chant du Monde盤LPについて、お知らせを頂戴しました。
録音は正確には1972年、ステレオ収録で、曲順もYEDANG盤とは異なり、また、オーケストレーションについては、バルシャイ自身による "Realisation" とのことです。
あらためてariaさんに謝意を表します。(12月22日)
 
スペイン放送響・合唱団 ほか
「スペイン放送合唱団の50年」(RTVE)
週末にWebでマルケヴィッチのことを調べていると、未架蔵CDがあることに気づいた。
1960年代後半に在任したスペイン放送響と同合唱団を指揮したヴェルディ;レクイエムの一部が、この2枚組に含まれているという。
あちこち探して、在庫があるというジョヴァンニにオーダーしたところ、早速、配達されたもの。
現品を見ると、マルケヴィッチの演奏は、「ディエス・イレ」の冒頭のみ(「ディエス・イレ〜トゥーバ・ミルム」の部分)、わずか4分弱。(泣)
1970年3月15日の演奏とあるが、あまり立派とは言えないモノラル録音。
とはいえ演奏の方は、オーケストラがついていけないほどの猛スピードによる痛快きわまりないもの、せめて「ディエス・イレ」全部を収めてほしかった。
その他、合唱指揮者による録音や、ナディア・ブーランジェフォーレ;レクイエムマリナーメサイアコミッシオーナマタイ受難曲ゲルト・アルブレヒトドヴォルザーク;スタバト・マーテル等の断片が収録されている。
 
小林研一郎(指揮) 東京響 ほか
三木稔;レクイエム ほか(CAMERATA)
小林研一郎の未架蔵盤を中古屋で見つけたので購入。
1963年に完成された、作曲者の代表作の一つ。1990年3月29日、サントリーホールにおけるライヴ録音で、合唱は初演者でもある東京リーダーターフェル1925という団体。
ミサ通常文ではなく、ポリネシア・マンガヤ島住民の歌謡をもとに、翻案加筆した詩に付曲している。
同じ作曲家のもぐらの物語をカプリング。こちらは堀俊輔の指揮。
コバケン最高傑作との呼び声高い、新譜の「復活」も、そろそろ買わねば…。

12月15日(日): 

 昨日入手したLPの情報をシュミット・イッセルシュテット・ディスコグラフィに追加。


12月14日(土): 

 

アンドルー・マンゼ(Vn) リチャード・エガー(Cem)
コレッリ;Vnソナタ集(HMF)
マンゼ(従来「マンツェ」としていたが、現在通用の表記に従う)の新録音、しかも名曲「ラ・フォリア」を含むとのこと、買わざるべからず。
CD2枚組に作品5の全12曲を収める。
その「ラ・フォリア」を聴いているが、大胆かつ鮮やかな装飾が痛快である。
2002年2月5〜8日、カリフォルニアのスカイウォーカー・サウンドでの録音。
 
ミドリ・ザイラー(Vn) ジョス・インマゼール(Fp)
モーツァルト;Vnソナタ集(ZIG-ZAG)
インマゼールのモーツァルト録音は聴き逃せないし、好きなK.526のVnソナタも含まれているので購入。
CD2枚組にK.376K.377K.379K.380K.454K.481K.526の7曲を収めている。
2000年5月、ベルギーでの録音。
なお、ヴァイオリニストは、現在、京都・日吉町の茅葺き音楽堂に居を構えるピアニストエルンスト・ザイラー氏の娘で、先だってCDを購入したマユミ・ザイラーの妹に当たる。(詳細は→ここを押して)
1999年以来、アニマ・エテルナ管のコンサート・ミストレスを務めているとのこと、インマゼールとの組合せもその関係からと判る。
また、アニマ・エテルナ管の公式Webpageは→ここを押して
この古楽器オーケストラ、先だってヨハン・シュトラウスのアルバムを出したと思ったら、今度はチャイコフスキー;交響曲第4番ほかを録音したらしい!
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
ハイドン;交響曲第101番 & ヒンデミット;ウェーバーの主題による交響的変容(自主製作、LP)
シュミット・イッセルシュテット&北ドイツ放送響の演奏を収めたNDR自主製作盤が一挙に4枚、手に入った。
京都の音盤屋 "La Voce" さんが、どこかの倉庫に眠っていたのを輸入されたとのことで、まったく新品である。
毎年、放送局のPR用か何かのために作成されたものらしく、ジャケット裏には
1964年11月1日現在、NDRの放送範囲には、300〜400万台のラジオと200万台のテレビが設置されています。(中略)NDRは、毎朝、ドイツのソヴィエト地区(注)の視聴者向けの特別TVプログラムを放送しています。
などと記されている(注;旧東ドイツのことであろう)。
また、今年の客演指揮者が列挙された中にベームドラティケルテス等と並んで朝比奈隆氏の名前も見える。
つまり、このディスクは1964年冬に製作されたもので、ディスコグラフィによれば、1964年10月27〜30日の録音とされている。残念ながらモノラル。
イッセルシュテットの指揮ゆえ、生命感に溢れた音楽性豊かなハイドンが期待できそうだ。
なお、かつてCINCINというレーベルからCDが出ていたが、聴き比べてみたところ、どうやら同じ演奏のようである。板起こしかもしれない。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
モーツァルト;交響曲第41番 & R・シュトラウス;ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯(自主製作、LP)
これは1965年製作の盤で、ステレオになっている。
この年の夏、オーケストラはイッセルシュテットとピエール・ブーレーズに率いられて、エディンバラ音楽祭に参加し、「ベルリン・フィルと同等、ヨーロッパ全体でも最上のオーケストラの一つ」と絶讃されたとか。
1965年10月31日に予定された創設20周年記念演奏会に向けて、同じ曲目を録音した模様。ディスコグラフィによれば9月13〜17日の収録とされている。
モーツァルトは指揮者の生誕100年記念盤としてNDRからCD化されたことがあるが、R・シュトラウスは初めて聴くことになる音源なので嬉しい。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
ベートーヴェン;交響曲第1番 & ワーグナー;歌劇「さまよえるオランダ人」序曲 ほか(自主製作、LP)
これは1966年製作。この年の客演指揮者としてクレンペラースメターチェクブーレーズそして朝比奈隆等が挙げられている。
手兵とのベートーヴェンには、ウィーン・フィル盤とはまた違った趣が期待できそうだ。
エック;フランス組曲をフィルアップ。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮) 北ドイツ放送響
R・シュトラウス;組曲「町人貴族」 & ストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」(自主製作、LP)
これは1968年の製作。
ライナーノートによれば、ストラヴィンスキーはハンブルク・ムジークハレでの定期演奏会におけるライヴ録音、シュトラウスは放送局のスタジオで録音したものという。
「火の鳥」は1919年の組曲版による演奏とレーベルに明記されており、これまで「使用楽譜不詳」としてきたディスコグラフィを修正することができる。
また、このLPにはジェズアルド;4つのマドリガルが収められているが、これはヘルムート・フランツ(指揮) 北ドイツ放送合唱団のみによる演奏と判明、ディスコグラフィの修正を要す。

12月11日(水): 

 

Various Artists
『武満徹全集 第1巻』(小学館)
CD12枚組の大物、全5巻揃った暁には55枚に及ぶという。(出版社の公式Webpageは→ここを押して)
映画音楽・舞台作品等も網羅した浩瀚な企画は、まさに壮挙と唱うべし。嚢中乏しき身といえども、豈亦購入せざるべけんや。
第1巻は管弦楽曲集、主な収録曲と演奏は、
弦楽のためのレクイエム・地平線のドーリア
岩城宏之(指揮) オーケストラアンサンブル金沢(DGG)
ノヴェンバー・ステップス
小澤征爾(指揮) サイトウ・キネン・オーケストラ(Philips)
遠い呼び声の彼方へ!
堀米ゆず子(Vn) 若杉弘(指揮) 東京都響(DENON)
夢の縁へ
ジュリアン・ブリーム(G) サイモン・ラトル(指揮) バーミンガム市響(EMI)
虹へ向かって、パルマ
ジョン・ウィリアムズ(G) エサ・ペッカ・サロネン(指揮) ロンドン・シンフォニエッタ(Sony Classical)
など、主要レーベルを網羅し、かつ、
夢窓(1985年)
小澤征爾(指揮) 京都市響(京都信用金庫)
といった自主製作音源を収集し、一部には新録音を加えている。
シーン(1959年)
ルドヴィート・カンタ(Vc) 岩城宏之(指揮) オーケストラアンサンブル金沢(2002年5月、浜離宮朝日ホール)
 
オイゲン・ヨッフム(指揮) ベルリン・フィル
ブルックナー;交響曲第9番(PALEXA)
ヨッフムのブルックナー、聴き逃すべからずと購入。
1977年11月28日、ベルリンでのライヴ録音と記されているが、音源についてのコメントは無し。
音質は上乗のステレオ。
 
イェジー・マクシミウク(指揮) ポーランド室内管
バルトーク;ディヴェルティメント & ブリテン;フランク・ブリッジ変奏曲(MDG)
両方とも蒐集している作品なので、前から気になっていた盤なのだが、なんとなく買いそびれていた。
音盤屋のワゴン・セールに出ていたのを機に購入。貯まっていたサービス・ポイントを利用したので、実質的には出費なし。
1985年の録音。

12月9日(月): 

 

ヴィルヘルム・バックハウス(P) ビルギット・ニルソン(Sop) ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮) ウィーン・フィル
ベートーヴェン;レオノーレ序曲第3番・P協第4番 & ワーグナー;楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死(TDK、DVD)
 
クレア・ワトソン(Sop) フリッツ・ウール(Ten) ヨーゼフ・グラインドル(Bs) ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮) ウィーン・フィル
ワーグナー;楽劇「ワルキューレ」第1幕(TDK、DVD)
先日のシュミット・イッセルシュテットの「フィガロ」に続いて、クナッパーツブッシュの指揮映像がDVDで発売された。
クナッパーツブッシュについてはコアなマニアが多数おられる一方、宇野功芳師あたりの絶讃ぶりに辟易して敬遠する向きも少なくない様子なのだが、彼の指揮姿、特にバイロイト祝祭劇場のピットで「パルジファル」を振った映像を一見されれば、その巨大さを納得されるだろう。
今まで斉諧生がこれを見せた人で驚嘆しなかった人はいない。僅か1分半程度の断片のみにもかかわらず…。
彼の映像が約150分ほども見られるとあっては買わざるべからず。
その素晴らしさについては、既にあちこちのWebpageで語られている(例えば→ここを押して)。
クナ・ファンにはかねて知られた映像で、実は斉諧生も篤志の方から一部をお示しいただいたことがあるが、映像・音声の鮮明さは比べものにならない。
ベートーヴェンほかは1962年5月31日、「ワルキューレ」は1963年5月21日、アン・デア・ウィーン劇場での収録。
大病のあとで上記バイロイトでの映像にこそ及ばないとはいえ、巨大な指揮ぶりは衰えを見せていない。「ワルキューレ」などカメラが歌手を追っているのが、何とも残念だ。
最大の見どころは、おそらく「レオノーレ」第3番の終結間際。
クライマックスで、クナがヌッと立ち上がって左手を頭上に差しかざすと、…オーケストラが爆発する!

12月7日(土): 

 

林峰男(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(EPSON)
林氏のCDには、pavaneレーベルに、黛敏郎;BUNRAKUなどの快演を収めた無伴奏作品集があった。
『レコード芸術』12月号に、氏のバッハの月評が掲載されており、ぜひ聴いてみたいと思ったのだが、店頭では見かけない。
レーベルの公式Webpageから見当をつけて、山野楽器のオンライン・ショップで検索したところヒットしたので、オーダー。
第1〜3番は2000年9月、スイス、ラ・ショー・ド・フォンで、第4〜6番は翌年9月、スイス、ポスビル教会での録音。

 カザルスアンゲルブレシュトシュミット・イッセルシュテットのディスコグラフィを、少し模様替え。

 音盤狂昔録平成14年11月分を追加。


12月6日(金): 

 

小笠原伸子(Vn) 吉井健太郎(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第6番 & コダーイ;二重奏曲 ほか(media CHAPA)
吉井氏は、5月のウィーン旅行で聴いたウィーン響の楽員。
ネットサーフで行き着いたmedia CHAPAのWebpageで見つけ、旅行の記念というわけではないが(笑)、アンケートフォームからオーダーしてみた。
1998年10月23・26日の演奏会でのライヴ録音。コンサートの企画者と演奏者2人は中学校の同級生なのだそうである。
標記2曲以外にバッハ;4つの二重奏曲・「G線上のアリア」を収録している。後者はアンコール曲。
なお、現物はCD-R、音質的にはプライヴェート録音の域を出ない。

12月2日(月): 

 

鈴木秀美(指揮) オーケストラ・リベラ・クラシカ
ハイドン;交響曲第6・7・8番(TDK)
この団体は9月にデビュー盤が出たところだが、既に第2弾が登場。
ハイドンの「朝」「昼」「晩」三部作を一挙に上演しライヴ録音したもの(2002年9月27日、浜離宮朝日ホール)。
前作同様、両Vn8、Va2、Vc2、Cb1、Fl2、Ob2、Hrn2、Fg1という小編成で、音楽のコンチェルタンテな趣を生かしている。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
オイゲン・ヨッフム(指揮) ボストン響
モーツァルト;交響曲第41番 & シューベルト;交響曲第8番(DGG)
ヨッフムの生誕100年ということで、いくつか記念盤とおぼしきリリースがある(それを言うならヨーゼフ・クリップスだって1902年生れなのだが)。
これはヨッフムとボストン響唯一の組合せで、1973年1月26〜27日の録音。
国内盤LPは1981年になってようやくいきなり廉価盤1,300円で発売された。けっこう好評だった記憶があり、確かめてみようと購入。
 
トム・ナイマン(Ten) アイース・ヨアニーデース(指揮) ヴァーサ市立管 ほか
「クリスマスのこころ」(自主製作)
先日ネットサーフしていて、このオーケストラの公式Webpageを見つけた。→ここを押して
1930年代から活動していた、フィンランド西部の街のオーケストラが市立の団体に位置づけられたのが1974年、現在、31名の楽員を抱えているとのこと。
物販のページに自主製作盤が2枚掲載されていたので、メールで申し込んで頒けていただいた。
これはテノール独唱や少年合唱等を配して、クリスマスにちなんだ音楽を16曲、収めている。
バッハ/グノー;アヴェ・マリアバッハの声楽曲も歌われているが、大半はフィンランドの作曲家によるもの。
中ではクーラ;無言歌 op.22-1が美しかった。これは器楽のみ、Vc独奏と管弦楽で演奏されている。
なお、指揮者はキプロス出身のギリシャ人で、1991〜93年に、この団体の首席指揮者に就任していた人。バイオ等は→ここを押して
 
ゲオルギナ・リンドフォルス(Vo) ペルッティ・ペッカネン(指揮) ヴァーサ市立管
「ギリシャ・コンサート」(自主製作)
これはちょっと当てはずれ。
タイトルだけ見て、てっきり、ギリシャ演奏旅行時のライヴ録音だろうと思っていたのだが、届いてみると、ギリシャの古謡や現代ギリシャの作曲家による歌曲や管弦楽曲が入っていた。(苦笑)
かろうじて知っているのはミキス・テオドラキスの名前で、ゾルバの踊りほか6曲。
ペッカネンは、1993〜99年の首席指揮者。左手に指揮棒を持つ珍しい人で、舘野泉氏の演奏会で実演に接したことがある(平成9年5月29日、ザ・シンフォニー・ホール)。

平成14年10月14日(祝): 「名匠列伝」にハンス・シュミット・イッセルシュテットを掲載。
平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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