音盤狂日録


9月29日(日): 

 府民ホール「アルティ」で、加藤知子(Vn)、店村眞積(Va)、原田禎夫(Vc)、加藤洋之(P)の面々による室内楽演奏会を聴く。
 「メセナの神髄コンサート」と銘打たれて入場料は900円、完売満席の盛況であった。

今日の曲目は
ヘンデル(ハルヴォルセン編);パッサカリア(Vn、Va)
三浦則子;「光あるうち、進め」(Vn、Vc)
ベートーヴェン;セレナード(Vn、Va、Vc)
ブラームス;ピアノ四重奏曲第1番
というもの。
三浦作品は主催者(22世紀クラブ)による委嘱作品で世界初演。
 
ヘンデルの冒頭、VnとVaの音程が微妙にずれていて、ちょっと汚い響きになってしまい、ガッカリ。
それぞれの音は美しい。特に店村さんの中低音は、ふっくらした暖かい音色で、素晴らしかった。これでオルガン的に、協和した響きが得られれば、文句なしだったのだが。
この曲を実演で聴くのは確か初めて、お二人の掛け合いやアンサンブルを楽しませていただいた。
 
初演の三浦作品は、作曲者による前説つき。
長い持続音を『光の筋』と捉え、それが生成消滅を繰り返しながら、発展していく。スル・ポンティチェロ(駒の近くで弾く)やスル・タスト(指板の上で弾く)などの奏法でニュアンスの変化をつけた。」(要旨)
とのこと。
まあ、そのような作品であった。
 
ベートーヴェンでは、音程も落ち着き、見事に調和したアンサンブルを堪能。
原田さんは、東京Qの伝説的奏者だが、音色といいボウイングといい、さすがに素晴らしい。店村さんとは音色のマッチングもよく、美しい低音の響きに、加藤さんのVnが映えていた。
 
休憩を挟んだブラームスが、本日の圧巻。
暗い情熱が凝集した、見事な音楽。
第1楽章冒頭から、寂しげな秋の風情が漂い、これはと思わせた。
弦三者の楽器の鳴りっぷり、カロリーの高い響きも素晴らしい。
 
中では第3楽章が白眉の出来で、VnやVaのスケールの大きな熱っぽい歌い上げには感銘を受けた。
第4楽章も緊張感に満ちた音楽が突進する趣。分厚い響きに圧倒された。
 
アンサンブルも緊密、この組合せで録音してくだされば…と思わずにはいられなかった。
ピアノはもう少しドイツ風の音・音楽を持つ人の方が良いかもしれないが。
 
アンコールはシューマン;P四重奏曲第3楽章。これも名演。
柔らかい音色でブラームスとの違いがくっきりと描き出され、シューマンの優しさ、抒情が胸に沁みた。

 演奏会終了後に大阪へ出て、2点ほど購入。

鈴木秀美(指揮) オーケストラ・リベラ・クラシカ
C.P.E.バッハ;シンフォニア ハ長調 & ハイドン;交響曲第43番 & モーツァルト;交響曲第29番 ほか(TDK)
このところ日本でも古楽器オーケストラが続々と誕生しているが、これは鈴木秀美さんが帰国を機に旗揚げした新しい団体。
メンバー20名弱の基幹はバッハ・コレギウム・ジャパンあたりと共通しているとのことだが、Vcに古川展生の名があったり管楽器(Ob、Hrn)が全員外国人だったりするのが目を惹く。
活動の中心はハイドン、特に等閑視されがちな初期・中期の作品に置く予定とのことで、この盤でも「マーキュリー」の前後に2人の古典派作曲家が配されている。
今年5月7日、東京・浜離宮朝日ホールでのライヴ録音。
当日のアンコール、マルデレ;シンフォニア ニ長調 より第1楽章という珍しいものも収められている。
 
タウノ・ハンニカイネン(指揮) シンフォニア・オヴ・ロンドン
シベリウス;交響曲第5番・「カレリア」組曲(EMI)
「EMI幻の名盤」と銘打ったシリーズ、かつて「北欧の抒情」シリーズとして国内盤CDが発売されていたが、リマスタリングされての発売を慶びたい。
リマスターの効果はそれなりに感じられ、音が幾分生々しく力強くなっている。
また、交響曲だけは輸入盤CDでも出ていたが、それと比べても音質は優れている。
1959年1月14日、ロンドンでの録音。
先に発売された交響曲第2番と合わせて、今回のリリースを契機にハンニカイネンのシベリウス演奏が再評価されることを願いたい。
他の交響曲も、もし放送用録音か何かで遺っているのであれば、是非聴きたいものだ。
せめて、どこか、メロディアに録音した交響曲第4番4つの伝説曲をCD覆刻してくれないものか。

 今日の演奏会の情報を演奏会出没表に追加。


9月28日(土): 

 電網四方八通路に新規サイトを少し追加。


9月25日(水): 

 

ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn&指揮) ウィーン・フィル
モーツァルト;Vn協第5番・セレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 ほか(Salzburger Festspiele)
1973年8月4日、ザルツブルク・モーツァルテウムでのライヴ録音。以前、ひるでさんのディスコグラフィによれば、amadeoレーベルから出ていた音源のようだ(斉諧生未架蔵)。
ヴァイオリニストにとっては、1930〜40年代にコンサートマスターを務めた古巣との共演で、モーツァルト録音としては、おそらく唯一のもの。
彼が1960年代にDGGで録音した協奏曲全集がベルリン・フィルとだったのは、ウィーン・フィルが当時DECCA専属だった関係だろうが、誠に惜しまれる。
標記2曲以外に
ディヴェルティメント K.138
アダージョ K.261
ロンド K.269
ロンド K.373
を収録。
 
鈴木秀美(Vc) 小島芳子(P)
「ロマンス」(BMG)
古楽器奏者の筈の鈴木氏が近現代のVc小品19曲を集成したアルバムを出すというので驚いた。もっともピアノは1892年頃、パリで作られたエラールだから、それなりに筋は通したということだろう。
フォーレ;夢のあとにエルガー;愛の挨拶といった定番も含まれているが、ヴェルクマイスター;歌の情景外山雄三;こもりうた等の未知の作家、未知の楽曲多数を収めている。
 
一噌幸弘(能管) ほか
「東京ダルマガエル」(VICTOR)
一噌(いっそう)幸弘のデビューCDにして既に幻の名盤となった「東京ダルマガエル」、長年探索していたのだが、ようやく復活するとの情報を、先月、公式Webpageで発見。
直ちにメールでオーダーしていたところ、本日配送された(代金は同封の用紙で郵便振替)。
ジャケット・デザインは変更されているが、山下洋輔(P)、坂田明(サキソフォン)、渡辺香津美(G)等をゲストに招いたセッションでの、鮮やかな音楽が甦っている。
録音は1990年12月、オリジナルはKINGレーベルだったが、今回の発売元はビクター伝統文化振興財団である(公式Webpageは更新が滞っている様子で、まだ当盤の情報が掲載されていないようだ)。

9月24日(火): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮) ウィーン・フィル
モーツァルト;交響曲第41番 & ベートーヴェン;交響曲第3番(Orfeo)
Orfeoのザルツブルク音楽祭ライヴ・シリーズの新譜が並んでいたので関心あるもの数枚を購入。
これはCD2枚組に1971年8月13日祝祭大劇場での演奏会を収録したもの。クーベリックのライヴ、しかもウィーン・フィルとあらば聴き逃せない。
 
ゲルハルト・ヘッツェル(Vn) ロリン・マゼール(指揮) ウィーン・フィル ほか
モーツァルト;ディヴェルティメント K.247 & バルトーク;Vn協第2番(Orfeo)
ヘッツェルの没後10年を記念したリリース。彼がザルツブルク近郊のさほど険しからぬ山道で不慮の事故に遭ったという報せに驚愕してから、もうそんなになるのかと感慨深い。
バルトークは1984年8月19日ザルツブルク祝祭大劇場で、モーツァルトは1983年8月4日モーツァルテウムでのライヴ録音。
バルトークには1991年のスタジオ録音もあったが、そちらはアダム・フィッシャー(指揮) ハンガリー国立響の付け(Nimbus)。
モーツァルトはウィーン室内アンサンブルとしての演奏で、ルドルフ・シュトレンク(Va)、アーダルベルト・スコチッチ(Vc)、ブルクハルト・クロイトラー(Cb)、フォルカー・「御神体」・アルトマン(Hrn)等が参加、行進曲 K.248を前置して演奏している。
 
アーロン・ロザンド(Vn) シーモア・リプキン(P) マイアミQ
ショーソン;P、VnとSQの協奏曲 & フランク;Vnソナタ(AUDIOFON)
先日、東京で買い損ねた1枚が京都で見つかったので購入。
特にショーソンは見れば買うようにしている曲なので、嬉しい限り。
録音日時は明記されていないがマルP・Cは1995年とある。
 
ナタン・ミルシテイン(Vn) ユージェニオ・バニョリ(P)
グラズノフ;Vn協 & ベートーヴェン;Vnソナタ第9番 ほか(Orfeo)
ミルシテイン全盛期のライヴ録音、モノラルながら音質も極上。
標記2曲以外にヴィヴァルディ;Vnソナタ イ長調バッハ;無伴奏Vnパルティータ第1番を収めている。
グラズノフはミルシテイン十八番の曲だが、協奏曲をピアノ伴奏でリサイタルにかけるスタイルは、いまやまったく跡を絶ってしまった。
 
オーギュスタン・デュメイ(Vn) マリア・ジョアン・ピリス(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ全集(DGG)
このデュオの実演に接することを念願しつつ、なかなか果たせないでいるのだが、新譜のベートーヴェン全集が出たので購入。
早速、畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが美しい讃辞を綴っておられる。→ここを押して
それにしても妙な紙ケースで、出し入れしづらく(傷が付きそう)、棚に収めにくい(変形しそう)。改善を求めたい。
1997〜2002年、ロンドンとポルトガルでの録音。

9月22日(日): 

 久しぶりに電網四方八通路を更新、新規サイトを追加。


9月20日(金): 十字屋三条本店の「中古CD・輸入CD掘出し市」に出かけると、4階の楽譜売場で「輸入楽譜全点20%引き」セールも実施中。あれこれ欲しい譜面は多いのだが、
 ドビュッシー;Vcソナタ(DURAND)

のみに止める。

 上記「中古CD・輸入CD掘出し市」で数点購入(@400〜900円)。このセールは23日(祝)まで。

ジェイムズ・レヴァイン(指揮) フィラデルフィア管
マーラー;交響曲第9番(BMG)
また昔話で恐縮だが、斉諧生がクラシックを聴き始めたLP末期、1980年前後にマーラー;交響曲全集といえば、バーンスタイン旧盤(Sony Classical)かショルティ盤(DECCA)が「お約束」。
彼らに次ぐ世代では、アバドメータ、そしてレヴァインが録音を重ねつつあり、中でもレヴァインに一頭地を抜く存在感があった。(注;テンシュテットは全集録音の直前)
ところが彼の全集は未完に終わり、いまや、マーラー指揮者としてレヴァインに期待する人は(失礼ながら)ほとんどいないだろう。隔世の感がある。
この第9番(と第5番)は、当時オーマンディの長い治世で全盛を誇っていたフィラデルフィア管を起用したということもあって、ひときわ評価の高い録音だった。
LPは架蔵していたと思うが(現在は手許にない)、久しぶりにCDを見かけたので、聴き直してみようと購入。
1979年1月の録音。
 
ヨエル・レヴィ(指揮) アトランタ響
ヒンデミット;交響曲「画家マティス」 ほか(Telarc)
愛好する標記交響曲の未架蔵盤が新品格安でワゴンに入っていたので購入。
「いとも高貴な幻想」ウェーバーの主題による交響的変容をカプリング。
1989年2・4月の録音。
 
ルートヴィヒ・ヘルシャー(Vc) クルト・ラップ(P)
サン・サーンス;Vcソナタ第2番 & ラフマニノフ;Vcソナタ(BAYER)
1907年生れ・1996年没という、ドイツの老匠ヘルシャーの音盤があり、好きなラフマニノフが入っているので購入。
モノラル期の録音だろうと思っていたら、ブックレットには1976年録音と記されていたので吃驚。
単純計算で69歳、録音活動があり得ない年齢ではないが、主な共演相手がアーベントロートフルトヴェングラーエリー・ナイギーゼキングというチェリストだから、とてもステレオ盛期の録音があろうとは思っていなかった。
 
ウラディーミル・トンハー(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1・2番 ほか(CROWN)
中古格安でバッハ;無伴奏の未架蔵盤が出ていたので購入。
トンハーは1941年モスクワ生れ、グバイドゥリーナ作品の演奏で知られている人とのこと。この盤にも彼女の10の前奏曲が収められている。
更に、トンハーのために書かれた高橋悠治;石をフィルアップ。
1995年5〜6月、東京での録音。
その後、第3・5番がリリースされている。これも安く手に入らないものだろうか(笑)。
 
ホアキン・アチュカロ(P)
ラヴェル;P作品集(ensayo)
スペインの至宝ピアニストの未架蔵盤が、申し訳ないような格安価格で出ていたので購入。
録音は1999年9月、収録曲は
前奏曲ソナチネ亡き王女のためのパヴァーヌ水の戯れ高雅で感傷的なワルツ夜のガスパール
アチュカロといえば、もちろん、かとちぇんこさんのWebpageを御参照ください→ここを押して
また、先日こういう頁も見つけました。→ここを押して
 
ミシェル・ピクマル(指揮) シテ管
デュリュフレ;レクイエム ほか(NAXOS)
蒐集している標記作品の未架蔵盤が中古格安で出ていたので購入。
1994年6・10月パリ録音。ずいぶん長い間、買いそびれていたわけだ。
この曲で問題になる楽譜は、1961年の室内オーケストラ版を用いている(詳しいWebpageは→ここを押して)。
グレゴリオ聖歌の主題による4つのモテット主の祈り(以上合唱曲)、アランの名による前奏曲とフーガスケルツォ(以上Org曲)をカプリング。
 
古澤巌(Vn) セルジオ&オダイル・アサド(G)
「出会い」(Sony)
先日この3人のブラジル音楽集を掘り出したばかり、更に初共演アルバムが中古格安で出ていたのでラッキーと購入。
「ニュー・シネマ・パラダイス」「シンドラーのリスト」等、映画音楽15曲が収められている。
1999年3月29・30日、ブリュッセルでの録音。その模様や3人の出会いなどについては、→ここを押して

9月18日(水): 

 

ヤン・パスカル・トルトゥリエ(指揮) アルスター管
ドビュッシー;小組曲・子供の領分 ほか(CHANDOS)
中古音盤屋でトルトゥリエの未架蔵盤を見つけた。
ビュッセル編の「小組曲」とカプレ編の「子供の領分」、前者は好きな曲だし、後者の録音は比較的珍しいので(デュトワ盤(DECCA)もあるが)、購入。
1989年の録音、カプリングはラヴェル;「クープランを偲んで」・「高雅で感傷的なワルツ」
この組合せがオリジナルだが、既にラヴェルだけ・ドビュッシーだけで、各4枚ずつのCDになっている。ラヴェルの方はすべて架蔵しているので、この2曲についてはダブることになり、ちょっと勿体ないことになってしまった。

9月17日(火): 

 日帰りで東京出張。用務終了後に音盤屋に立ち寄る。意想外の散財となってしまった(汗)。

デヴィッド・モントゴメリー(指揮) イエナ・フィル
ベールヴァルド;交響曲全集(ARTE NOVA)
北欧音楽史上最初のシンフォニストといっていいベールヴァルド、特にその交響曲第3番「サンギュリエール」は愛聴するところ。
見つけ次第購入してきたつもりが、どうしたことか見落としたのか買いそびれたのか、未架蔵盤があったので買わざるべからず。
モントゴメリーは…と書こうとしてブックレットを一読して吃驚、この人、「かの伝説的指揮者ルネ・レイボヴィッツの最後の弟子」とある。
1996年4月、イエナ(旧東独、大学とツァイス社の街)での録音。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して。現在の首席指揮者はアンドレイ・ボレイコ
 
エフゲニー・スヴェトラーノフ(指揮) ロシア国立響
ラフマニノフ;交響曲・管弦楽曲全集(CANYON)
「御大」スヴェトラーノフ最良の音盤と喧伝されつつ(→ここを押して)、なかなか店頭に出回らないラフマニノフ全集を見つけてしまった。
国内盤レギュラープライス4枚組、ちょっと大きな出費になるが、滔々たるロシア・ロマンティシズムを満喫せんものと決心して購入(これで@1,500円くらいで廉価再発されようものなら大変だ)。
交響曲3曲のほか、交響詩「死の島」交響的舞曲ヴォカリーズ等、管弦楽曲7曲を収録している。
1995年10月、モスクワでのスタジオ録音。
 
ギュンター・ヘルヴィヒ(指揮) ザールブリュッケン放送響
マーラー;交響曲第6番(Berlin Classics)
元来マーラーには関心が薄い斉諧生だが、この曲は聴き比べ以来、めぼしい新譜は見逃せないようになってしまった。
音盤屋店頭に、このところ徐々に巨匠の風格を帯びてきている感のあるヘルヴィヒの指揮盤が出ていたので購入。
彼は、LP時代には音盤も少なく、ハイドンのスペシャリストくらいの薄い認識しかなかったものだ。
現在、マイケル・スターンの跡を襲って、このオーケストラの首席指揮者に就任している。
1999年11月26日、ザールブリュッケン・コングレスハレでのライヴ録音。
 
アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
トゥビン;交響曲第2・5番(ALBA)
 
アルヴォ・ヴォルメル(指揮) エストニア国立響
トゥビン;交響曲第3・6番(ALBA)
先だって息子ヤルヴィの第5番(Teralc)を購入したトゥビン、来月16日には広島響が日本初演を果たす第3番も耳にしておきたいと思っていたところ、捜していたヴォルメル盤が店頭に並んでいた。
悲しく痛ましい民族の抵抗の精神を強く表している」(大束省三『北欧音楽入門』)という第3番と、息子ヤルヴィとの聴き比べも意識しつつ第5番の2枚を購入。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
リチャード・カップ(指揮) フィルハーモニア・ヴィルトゥオージ
マルタン;小協奏交響曲 ほか(ESS.A.Y)
蒐集しているマルタン作品の未架蔵盤を発見したので購入。
この曲は、たしか吉田秀和氏の著書で「十二音音楽でこんなに美しい曲が書けるとは云々」と紹介されていたのがきっかけで聴き始めたと記憶している。
LP時代にはマリナー盤(EMI)くらいしか入手できなかったのだが、最近ではそこそこ録音が行われているようだ。
独奏はヴィクトリア・ドレイク(Hp)、アンソニー・ニューマン(Cem)、クローディア・ホカ(P)。
7管楽器の協奏曲Flのバラードをカプリング。前者のソリストには「さとう・あつこ」「ぐんじ・まや」といった日本人名が見える。
1990年、ニューヨーク・スイス協会の援助により録音されたとのこと。
 
スヴィヤトスラフ・リヒテル(P) スタニスラフ・ヴィスロツキ(指揮) ワルシャワ・フィル ほか
ラフマニノフ;P協第2番 ほか(DGG)
このところアシュケナージの録音を3点とも買ったラフマニノフ、これまた押しも押されもせぬ大名盤にもかかわらず、これまで聴いたことがなかった(汗)、リヒテル盤を購入。
長く代表盤とされ、宇野功芳師も「身も世もない定めなき情感と切なさはきわめて不健康ではあるが、この秋雨に濡れた抒情こそラフマニノフであり、それをリヒテルは心ゆくまで体現しているのだ。」と讃辞を呈しておられたのだが(『協奏曲の名曲・名盤』講談社現代新書)、なにぶん骨の髄からのマイナー好みゆえ、食わず嫌いで敬遠してきたのである。
1959年4月、ワルシャワでの録音。
"THE ORIGINALS"シリーズで再発されたもので、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン響とのチャイコフスキー;P協第1番をカプリング。
これまた押しも押されもせぬ超有名録音、クラシック音楽に接するようになってから20有余年、未聴だったと言えば、あきれられるに相違なかろう…。
 
ルーベン・アハロニアン(Vn) サミュエル・フリードマン(指揮) ロシア・フィル
プロコフィエフ;Vn協第1・2番 ほか(ARTE NOVA)
学生時代にチョン・キョンファ盤を聴いてから大好きな曲になっているプロコフィエフの第1協奏曲の未架蔵盤を見つけたので購入。先日、クラシック招き猫に好演との投稿があり、それ以来、捜していたもの。
アハロニアンは1947年ラトヴィア・リガ生れというから、クレーメルとは同郷で同い年になる。
モスクワ音楽院でヤンケレヴィッチコーガンに学び、1974年のチャイコフスキー・コンクールで第2位入賞したという。
生地はともかく姓からは作曲者と同じアルメニア系であることは明々白々。共感に溢れた演奏を期待したい。
無伴奏Vnソナタ op.115イリーナ・カンディンスカヤ(P)との5つの旋律をカプリング。
 
レジ・パスキエ(Vn) エーリヒ・ベルゲル(指揮) ブダペシュト響
バルトーク;Vn協第2番 & ベルク;Vn協(VALOIS)
ずっと蒐集しているパスキエの未架蔵盤を見つけたので購入。先日フランスの通販サイトにオーダーした際には品切れで入荷しなかったので、嬉しいことだ。
パスキエは、フランスのヴァイオリニストとしては線が太い人なので、これらの曲に向いているのではないか、と思う。
先日ブラームス;交響曲全集を買った実力派ベルゲルが付けているのにも心惹かれる。
1992年9月、ブダペシュトでの録音。
 
武久源造(指揮&Cem) コンヴェルスム・ムジクム
バッハ;協奏曲集 第2巻(ALM)
その暖かい音色、はつらつとした音楽に惹かれ、ずっと買ってきている武久さんの新譜が出ていた。貯まっていた音盤店のサービス・ポイントを活用して購入。
バッハのコーヒーハウス・コンサートより」と副題が付されており、1729年以降、作曲家がライプツィヒのコーヒーハウスでの演奏会にかけたのではないかと推測されるプログラムを盛り込んだ1枚。
半音階的幻想曲とフーガBWV.903
Cem協第1番 ニ短調BWV.1052
Cem協第5番 ヘ短調BWV.1056
Ob&Vn協 ハ短調BWV.1060a(桐山建志(Vn)、尾崎温子(Ob))
を収録、ヘ短調協奏曲ではフォルテピアノを独奏楽器に用いている。
いつもながら浩瀚な自筆のライナーノートは、コーヒー受容史の蘊蓄も含んで見事なもの、巻末には独奏者3人がコーヒー・カップを傾ける姿まで(笑)。
 
フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn) ジークフリート・パルム(Vc) ラインベルト・デ・レーウ(指揮) ASKO&シェーンベルク・アンサンブル ほか
リゲティ;Vn協 & Vc協 ほか(TELDEC)
FPZ待望の新譜、買わざるべからず。
リゲティ作品はサシュコ・ガヴリーロフ教授がブーレーズ盤(DGG)で録音しており、師弟競演ということになる。
DGG盤ではVc協を新進ジャン・ギアン・ケラスが弾いていた。当盤では、戦後ドイツで同時代作品を一手に引き受けてきた感のあるベテラン、パルムだから、老若の組み合わせがちょうどひっくり返っているわけだ。
標記2曲の他に「時計と雲」「笛・太鼓・フィドルで」をカプリング。
後者では、HUNGAROTONレーベルのケージ作品集で好演していたハンガリーのアマディンダ・パーカッション・グループが登場するのも嬉しい。彼らの公式Webpageは→ここを押して
それにしても、FPZには、もっと盛んに録音してほしいもの。バッハ;無伴奏ベートーヴェンブラームスのVnソナタも、手つかずなのだから…。
 
アーロン・ロザンド(Vn) シーモア・リプキン(P)
R・シュトラウス;Vnソナタ & グリーグ;Vnソナタ第3番 & サン・サーンス;Vnソナタ第1番(AUDIOFON)
 
アーロン・ロザンド(Vn) ジョン・カヴェッリ(P)
レスピーギ;Vnソナタ & シベリウス;Vnソナチネ & ウォルトン;Vnソナタ(AUDIOFON)
 
アーロン・ロザンド(Vn) ジョン・カヴェッリ(P)
ブルッフ;「コル・ニドライ」 & ブロッホ;「バール・シェム」・Vnソナタ第1番 ほか(AUDIOFON)
 
アーロン・ロザンド(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタ第1番・パルティータ第2番 ほか(AUDIOFON)
アメリカの実力派ヴァイオリニスト、ロザンドのCDが並んでいた。このレーベルは活動停止とも伝えられており、もしかすると最後の入手機会かと思うと、4点とも買ってしまった(苦笑)。
最後の無伴奏曲集は、以前、LPで入手しているのだが、もはや「〜喰らわば皿まで」の気分である(汗)。
なお、Vn奏者の公式Webpageは→ここを押して
 
アラン・ムニエ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第1〜3番(HARMONIC RECORDS)
 
アラン・ムニエ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第4〜6番(HARMONIC RECORDS)
バッハ;無伴奏の未架蔵盤、何度か見かけているものだが、このレーベルも入手が難しくなりそうな様子なので、購入に踏み切った。
2枚組のセットもあるはずだが、入手したものはバラ2枚。
録音は前半3曲が1992年2月、後半3曲は1994年1月。シャルラン方式のダミーヘッドとB&Kのマイクを使って自然な音像・音色・雰囲気を再現しているという。

9月15日(日): 

 昨日届いたLP・SPの情報をアンゲルブレシュト・ディスコグラフィパレー・ディスコグラフィに追加。


9月14日(土): 古書通販サイトabebooks.comでオーダーした洋書が1冊届いた。

Léonie Rosenstiel
"Nadia Boulanger − a life in music"(NORTON)
"The Life and Works of LILI BOULANGER"の著者による、姉ナディアの評伝である。
リリー・ブーランジェの資料収集の一環として外せない著作ゆえ、いずれ入手せねばと思っていたもの。
幅広く、かつ長く活躍した人なので、本文400頁強に及び、索引以外に資料集などは付属していない。
ペーパーバックで再刊されたようだが、敢えてハードカバーを購入。

 MDTAkers MicからCDが、MikrokosmosからLPが届く。

ウラディミール・アシュケナージ(P) アンドレ・プレヴィン(指揮) ロンドン響
ラフマニノフ;P協全集(DECCA)
先だってコンドラシン盤を買ったアシュケナージのラフマニノフ、2回目の録音に当たるプレヴィン盤全集(CD2枚組)をオーダーした。
1970〜71年録音。発売以来、この曲の代表盤として君臨しているといっていい演奏であろう。
 
ウラディミール・アシュケナージ(P) ベルナルト・ハイティンク(指揮) コンセルトヘボウ管
ラフマニノフ;P協全集(DECCA)
アシュケナージのラフマニノフ続く。
1984〜86年に収録された、デジタル再録音盤全集である。
先だってのVcソナタ聴き比べでアシュケナージのピアノに感心したことが発端、それと同時期の録音なので、こちらの期待には最も近いかもしれない。
 
フィリップ・ヒルシュホルン(Vn) エリザベト・レオンスカヤ(P)
ベートーヴェン;Vnソナタ第6番 & ブラームス;Vnソナタ第3番 & プロコフィエフ;Vnソナタ第1番(PAVANE)
1996年、癌のために50歳で亡くなった名ヴァイオリニストのライヴ盤が出ていたのでオーダー。
1993年11月30日、アムステルダム・コンセルトヘボウでの演奏会を当地の放送局が録音していた音源とのこと。音質は極めて良好。
ヒルシュホルンは1946年、ラトヴィア・リガに生まれ、生地とレニングラードで学んだ後、1967年のエリザベト王妃コンクールで優勝してキャリアを築き、ベルギーに定住して演奏と教育両方で活動していた。
CDでは、RICERCARレーベルからルクー;Vnソナタが出ており、追悼盤としてCypresレーベルからコンクール優勝記念リサイタル・ライヴや晩年の協奏曲録音がリリースされたこともある。
 
パブロ・カザルス(Vc) ほか
「カザルス音楽祭−ペルピニャン 1951 III」(Pearl)
ペルピニャン音楽祭の覆刻CD第3巻が出ていたのでオーダー。
2枚組の収録曲は、すべて室内楽曲で、
モーツァルト;Ob四重奏曲
マルセル・タビュトー(Ob)、アイザック・スターン(Vn)、ウィリアム・プリムローズ(Va)、ポール・トルトゥリエ(Vc)
ベートーヴェン;P三重奏曲第2・4・6・7番
アレクサンダー・シュナイダー(Vn)、パブロ・カザルス(Vc)、ユージン・イストミン(P)
斉諧生的には、カザルスの指揮にしか関心がないので、ちょっと残念。
 
パブロ・カザルス(指揮) ペルピニャン音楽祭管ほか
「カザルス音楽祭−ペルピニャン 1951 IV」(Pearl)
ペルピニャン音楽祭の覆刻CD第4巻。
この1枚ものには、カザルスの指揮が含まれている。
モーツァルト;ディヴェルティメント第11番 K.251
ただし、既に仏SonyからCDが出ており、音質は一長一短。Pearl盤は明瞭だが痩せた感じ、Sony盤は幾分ぼやけているが自然な感じ。
それ以上に、前年、1950年プラド音楽祭での
バッハ;Vn協第1番(アイザック・スターン(Vn))
のリハーサル風景約11分間が添えられているのが嬉しい。これはLPで出ていたデータはあるが、未架蔵だった音源。CDでは初めて発売されるものだろう。
残りは
ベートーヴェン;Vcソナタ第2番(カザルス(Vc) ルドルフ・ゼルキン(P))
とVc小品2曲に充てられている。
 
以上5点がMDTから。次の7点はAkers Micからで、
アーヴェ・テレフセン(Vn) カーレ・オルヌング(P)
「セレナード」(Philips)
「北欧のオイストラフ」の異名をとるノルウェーの名ヴァイオリニスト、来月には来日公演の予定もあるテレフセンの、ローカル・リリース盤を大量にオーダー。
1980年1月、オスロで録音された小品集で、
クライスラー;愛の喜び・愛の悲しみ・美しきロスマリン
チャイコフスキー;ただ憧れを知るもののみ
ラフマニノフ;ヴォカリーズ
パラディス;シシリエンヌ
トセッリ;セレナータ
ポンセ;エストレリータ
など全12曲を収めている。
 
アーヴェ・テレフセン(Vn) シグムント・グローヴェン(ハーモニカ) ほか
"Musikken inni oss"(sonet)
これは、むしろハーモニカ奏者のアルバムか。全12曲中9曲がグローヴェンの作曲、残り3曲もノルウェー古謡を彼が編曲したもの…とある。
アルバム・タイトルを自動翻訳サイトにかけてみると、"Music in us" と表示された。
1981年6月オスロでの録音。
 
アーヴェ・テレフセン(Vn) Kjetil Bjerkestrand(Synt) ほか
「パン」(NORSK)
これはテレフセンがシンセサイザー奏者(読みは不詳)と共演したもの。
シューベルト;アヴェ・マリアハルヴォルセンブルの作品など全10曲、うち9曲はBjerkestrandがアレンジしたものを演奏している。
アルバム・タイトルと同名の曲はヤン・ガルバレク(サキソフォン)のオリジナル作品で、ガルバレク自身も演奏に参加している。
1988年6〜8月の録音。
 
アーヴェ・テレフセン(Vn) ニダロス大聖堂少年合唱団 ほか
「クリスマス聖歌集」(NORSKE GRAM)
ノルウェー・トロンヘイムの古い教会の聖歌隊のクリスマス曲集に、テレフセンが客演したもの。合唱団の公式Webpageは→ここを押して
「聖しこの夜」はじめ定番18曲のうち4曲に参加している。
2001年の録音か。
 
シセル・シルシェブー(Vo) ほか
「シセル」(Mercury)
ノルウェーの国民的歌手シセルのCDをまとめてオーダー。
これはデビュー盤(1986年)で、ノルウェーでは30万枚以上の大ヒットを記録したとのことだが、日本ではオリジナルの形態で発売されたことがない。
ガーシュウィン;サマータイムなど12曲を収めている…のだが、他の11曲はノルウェー語でよく判らぬ(汗)。
彼女は1969年生まれだから、発売当時は芳紀17歳。にもかかわらず、しっかりと成熟した歌を聴かせてくれる。
 
シセル・シルシェブー(Vo) ほか
「ソリア・モニア」(Mercury)
シセル3枚目のアルバム(1989年)。これも日本では↑第1作とのベスト盤がパイオニアから発売されたのみ(未架蔵)。
ロジャース/ハマースタイン;すべての山に登れバーンスタイン;サムウエアアメイジング・グレイスなど14曲を収めている。
このうち1曲にアーヴェ・テレフセンが参加しており、それが目当てでオーダーしたもの。
第1作より声に脂がのってきた感じで、本当に美しい。
 
シセル・シルシェブー(Vo) Anders Eljas(指揮) ノルウェー放送管
「シセル・イン・シンフォニー」(Mercury)
シセルの最新アルバム(2001年)。
彼女のテーマ曲ともいえる「心のままに」に始まり、グリーグ;春プッチーニ;私のお父さんファイアー・イン・ユア・ハート(リレハンメル五輪公式テーマ)など14曲を歌っている。
中でもグリーグは弦楽合奏版も愛聴している曲で、まさに感涙ものの歌唱。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
以下はMikrokosmosから届いたLP・SP。
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) シャンゼリゼ劇場管
グリーグ;組曲「ペール・ギュント」(仏DUCRETET-THOMSON、LP)
アンゲルブレシュトの未架蔵盤、TESTAMENTからCD化されていないグリーグが、少し安めの値段でカタログに出ていたのでオーダー。ずっと聴きたかったものなので入手できて嬉しい。
10インチ盤両面に、「朝」「オーゼの死」「アニトラの踊り」「ソルヴェイグの歌」「アラビアの踊り」「山の魔王の宮殿にて」の6曲を収めている。
 
アルト・ノラス(Vc) タパニ・ヴァルスタ(P) ほか
ブラームス;弦楽六重奏曲第1番 & シューマン;P五重奏曲(芬NMF、LP)
ノラス師匠が主宰するナーンタリ音楽祭の記念盤。
1980年に発足した音楽祭に、この年からノキアがスポンサーに就き、レコードを出していくことになった第1号が、このシューマンとブラームスだという。
1984年10月15〜17日にナーンタリ教会で録音された…とあるが、音楽祭は6月に行われるはずなので、これは特別に再度集まってセッションを行った、ということだろう。
他のメンバーはシベリウス・アカデミーの教授連中で、シベリウス・アカデミー四重奏団を組んでFINLANDIAレーベルにシベリウス;弦楽四重奏曲全集ほかを録音している。
ブラームスでの第2Vcはマリア・ノラスというから師匠の御家族か。吾等が長谷川陽子さんは、まだフィンランド留学前なので、ここに加わる由もない。
 
アルト・ノラス(Vc) タパニ・ヴァルスタ(P)
「フィンランドのVc音楽」(独DA CAMERA MAGNA、LP)
ノラス師匠の未架蔵音源を見つけてオーダー、入手できて嬉しい限り。
収録曲は、
シベリウス;マリンコニア
キルピネン;組曲 op.91(抜粋)
ハンニカイネン;アリア op.16-1
ラウティオ;ディヴェルティメント(1955)
ラウタヴァーラ;前奏曲とフーガ op.36
サッリネン;セバスチャン・ナイトの追憶のためのエレジー(1964)
特にシベリウス作品に期待したい。
もっともジャケットにはステレオ表記されているのにディスク本体はモノラル。1971年1月の録音というのに、まだステレオ/モノラル両方でリリースされていたというのは驚き、いずれステレオ盤を探さねば…。
モノラルといっても新しいものなので音質は鮮明、鑑賞にはまったく不足ない。
師匠は1942年生まれだから、まだ30歳に満たない頃の録音。ジャケット表の肖像も若く、眼鏡も掛けておられないので、まるで別人である。(笑)
 
ポール・パレー(指揮) コンセール・コロンヌ管
ベートーヴェン;交響曲第6番 ほか(英Columbia、SP)
SPに手を出すのは控えているのだが、パレーSP期の代表盤の一とあっては見逃さざるべからず。
5枚組で、最終面にはトルコ行進曲(「アテネの廃墟」より)が収められている。
ディスコグラフィによれば、1934年5月22〜25日の録音とのこと。

9月13日(金): 

 

ラルス・フォークト(P) キム・カシュカシアン(Va) ボリス・ペルガメンシチコフ(Vc) ほか
ブラームス;P四重奏曲第1・3番(EMI)
「シュパヌンゲン;ハイムバッハ室内楽音楽祭」のライヴCDである(音楽祭の公式Webpageは→ここを押して)。
ここのライヴは、いつもクリスチャン・テツラフ(Vn)目当てに買うのだが、当盤の曲目に彼は加わっていない。
標記のように贔屓のVa奏者、カシュカシアンが第3番で演奏しているので、購入したもの。
第1番が2001年6月18日、第3番は1999年6月12日の収録。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮) ライプツィヒ放送響 ほか
オルフ;「カルミナ・ブラーナ」(Berlin Classics)
ケーゲルの「カルミナ」の旧盤。リズムの切れ味、音楽の尖り方に関しては、数ある同曲音盤の中でも最右翼、彼の遺産の中でも特筆すべき名演である。
5年ほど前にCDで発売されたことがあり、もちろん架蔵している(番号は「0031202BC」、ブリューゲルか誰かの名画がジャケット)。
今日、"ETERNA COLLECTION" のシリーズ名を付して、オリジナルLPのデザインを復活させ、紙ジャケット仕様でリリースされたものを音盤屋の棚で見つけた(番号は「0032312BC」)。
マルPは旧盤同様1960年だが、マルCが2002年となっており、もしかしてリマスタリングがやり直され音質が向上しているのではないか…と期待をかけて購入。
聴き比べてみたところ、僅かながら新盤の方がレンジが広く優れているように感じられた。マスタリングよりも製盤か何かに差があるのかもしれない。
 
クリスティーン・ケアンズ(M-S) ジョン・ラボック(指揮、P) ほか
「ソングズ・フォー・アレクサンダー」(ASV)
標記演奏者夫妻の愛息アレクサンダーに捧げられたCDで、売上の60%は彼のような自閉症児への理解と援助を目的とする財団に寄付されるというチャリティ盤。有名演奏家多数が賛助出演している。
ラボック夫妻には申し訳ないが、そうした趣旨よりも、共演者にタスミン・リトル(Vn)、スティーヴン・イッサーリス(Vc)の名前があり、この2人の音盤蒐集として購入したもの。
ラボックによるイギリス民謡のアレンジ全19曲をケアンズが独唱し、ゲストが伴奏・助奏を担当する…という趣向。リトルは2曲、イッサーリスは1曲に登場する。
そのほかサイモン・ラトルジョン・リルスティーヴン・コヴァセヴィッチ(以上P)、マリサ・ロブレス(Hp)、ジェイムズ・ゴールウェイ(Fl)、ジョン・ハール(サキソフォン)、イヴリン・グレニー(Perc)、フェリシティ・ロット(Sop)等、綺羅星の如し。

9月12日(木): 

 

ラファエル・ウォルフィッシュ(Vc) & ジョン・ヨーク(P)
ショスタコーヴィッチ;Vaソナタ(Vc編) & シュニトケ;Vcソナタ第1・2番 ほか(black box)
音盤屋の新譜棚から手に取るとジャケット表に "schnittke/shostakovich works for cello & piano" とあり、蒐集しているショスタコーヴィッチ;Vcソナタ op.40の未架蔵盤と思って購入。
帰宅して確かめると、SONATA Op.147 (arr. Daniil Shafran)とあり、遺作VaソナタのVc編曲と知れた。ちょっと落胆したが、これはこれで楽しみである。
op.40の草稿の中から発見されたというモデラートとのみ記された断章と、アダージョ(バレエ組曲第2番より)をフィルアップ。
 
カティア & マリエル・ラベック(P)
ガーシュウィン;パリのアメリカ人 & グレインジャー;「ポーギーとベス」幻想曲(EMI)
ガーシュウィンの、というよりラッセル・ベネット編曲の「交響的絵画」版で愛好している「ポーギー」、2台P版があるというので、前から気になっていたところ、店頭で廉価再発盤を見かけたのを機に購入。
この編曲・演奏については、楽しい連弾の部屋に詳しい。→ここを押して又は→ここを押して
聴く人を幸せな気持ちにしてくれる、それは素敵な1枚。
死ぬ前に、一度は聴いて損はありません。
とのこと、大いに期待。
なおCDには「ADD」と表記されているが、LP初発時にはデジタル録音とされていたし、実際に聴いてみても、いかにもデジタル初期という感じの、ハイ上がりのキラキラ・シャリシャリした音質である(録音は1984年5〜6月)。

9月10日(火): 

 出張先の神戸で、用務終了後に音盤屋を覗いて帰ってきたら、CDが2点、届いていた。

ミシェル・プラッソン(指揮) トゥールーズ・キャピトル管 ほか
フォーレ;管弦楽曲集 Vol.2(EMI)
有名曲組曲「ペレアスとメリザンド」組曲「マスクとベルガマスク」などを収めた第1巻は早くから入手していたのだが、第2巻は買いそびれていた。このCDが出た当時、仏EMI盤は割高だったことを思い出す。
中古格安で見つけたので、思い立って購入。
収録曲は、
劇音楽「カリギュラ」
歌劇「ペネロープ」より前奏曲
バラード & 幻想曲(ジャン・フィリップ・コラール(P))
子守歌(ヤン・パスカル・トルトゥリエ(Vn))
エレジー(ポール・トルトゥリエ(Vc))
など。
久しぶりにオーケストラの公式Webpageに行ってみたら、ほとんど工事中になっていた。残念。
 
伶楽舎
武満徹;秋庭歌一具(Sony)
閑古鳥の部屋で、この新譜が紹介されており、
古い東京楽所盤と比べて格段のうまさ、美しさ。これで、もしかすると以前の盤はもう不要ということになるかも知れない(?)。
と絶讃、これは買わざるべからず。
伶楽舎は、芝祐靖氏が、この曲のより良い演奏を実現するために、宮内庁楽部を退官して結成した団体とのこと。公式Webpageは→ここを押して
以来十数年、繰り返しステージにかけ(海外公演も十数回に及ぶという)、その総仕上げとして、2001年4月30日・5月1日にサントリー・ホールで録音されたもの。
ブックレットには、芝氏自身が、作曲家の回想や曲への思いを、美しい言葉で綴っておられる。
客演の打楽器奏者に山口恭範吉原すみれの名前があるのも目を惹く。
なお、上記閑古鳥の部屋で、ガーディナーリリー・ブーランジェ盤(DGG)についてもコメントがあるのは嬉しい限り。
 
イェフディ・メニューイン(Vn) エイドリアン・ボールト(指揮) BBC響
ブラームス;Vn協 ほか(BBC Music Magazine)
中古音盤屋でBBC Music Magazineの附録CDを発見、中でも若い頃のメニューインの演奏は耳にしておきたいと思い購入。
第1楽章のカデンツァは、よく用いられるヨアヒムクライスラーではなく、恩師エネスコのものを演奏している。
アンコールということだろうか、バッハ;無伴奏Vnパルティータ第3番よりプレリュードがフィルアップされている。
録音は1943年4月5日、もちろん第二次世界大戦の最中。
この年は冬から春にかけて東部戦線や北アフリカ戦線のドイツ軍が降伏、夏にはイタリア上陸作戦が始まった。太平洋方面では日本軍がガダルカナル島から撤退、この演奏から間もない4月18日には山本五十六聯合艦隊司令長官が戦死する。
もちろん日本国内が暗黒時代であったわけではなく、伊福部昭が名作交響譚詩の筆を進めていたのは、この頃だったはずである。
 
マユミ・ザイラー(Vn) 吉野直子(Hp) ほか
「ヴィア・ザルツブルク 名演集 Vol.1」(自主製作)
或る時、ネットサーフしていてヴァイオリニストの公式Webpageに行き当たった。
真っ先にディスコグラフィのページを見ると、吉野直子さんの録音があり、これは入手せざるべからずとメールで問い合わせ(英文)。
何度かのやりとりの結果、郵便局の国際送金で支払い、折り返し届けてもらうことになった。
「ヴィア・ザルツブルク」とは、ヴァイオリニストがカナダ・トロントで主宰しているコンサート・シリーズ。
吉野さんが参加しているのは、
サン・サーンス;HpとVnの幻想曲
ドビュッシー;神聖な舞曲と世俗的な舞曲(ともに2001年5月録音)
その他、
グリーグ;組曲「ホルベアの時代から」より前奏曲
ドヴォルザーク;弦楽四重奏曲第14番より第2楽章
などが収録されている。
ドヴォルザークは、ヴァイオリニストとその姉妹(ミドリ、ナオミ、ユリ)だけで四重奏団を編成している。ちょっと珍しいのではないか。
また、ブラームス;Hrn三重奏曲では仲道郁代さんが演奏していることも特記しておこう。
蛇足ながら、ユニチカ・マスコットガールに選ばれたこともある女性ヴァイオリニストは希生(きお)・ザイラーで、このCDにおける演奏者ではない。
 
…と書いたあとに少し検索してみたら、なんと希生はマユミの異母妹ということが判明した。吃驚。→ここを押して
 
荒井英治(Vn) 木村徹(P)
シューマン;Vnソナタ第1番フランク;Vnソナタ & シマノフスキ;神話 ほか(LIVE NOTES)
旧譜だが、「神話」の全3曲を録音しているのは比較的珍しく、気になって購入したもの。
もちろん、東京フィルのコンサートマスター、モルゴーア四重奏団の第1Vn奏者が、フランクやシューマンで、どのような音楽を聴かせてくれるのかにも期待したい。
1999年9月29日、津田ホールでのライヴ録音。
標記以外にシマノフスキ(バツェヴィッチ編);前奏曲 op.1-1をフィルアップ。
 
ペーター・マーク(指揮) コンセール・コロンヌ管 ほか
モーツァルト;歌劇「イドメネオ」(RODOLPHE)
中古音盤屋の棚で見つけて吃驚。マークのモーツアルト録音!
歌手は、イリア役のテレサ・シュティッヒ・ランダル(Sop)を除き、あまり有名な顔触れではないようだ。
1963年7月23日、エクサンプロヴァンス音楽祭での放送ライヴ、INAの正規音源である。
モノラルで、少しこもった感じがあるが、聴きづらさのない音質。
CD2枚に収まっているのは短縮版を用いたものであろうか。
 
エーリク・エーリクソン(指揮) ザ・リアル・グループ
「ステムニング」(Virgin)
北欧音楽MLで御教示いただいたCD。
妙な名前の団体だが、スウェーデンの声楽アンサンブル。…というか、ジャズやポピュラーで言う「アカペラのコーラス・グループ」。公式Webpageは→ここを押して
元来はストックホルム王立音楽院でクラシック系の教育を受けたメンバー5名からなり、在学中の1984年から活動しているとのこと。
今回、「合唱の神様」エーリク・エーリクソンを迎えて、スウェーデンの愛唱歌曲22曲を録音した。母国ではベストセラーになっているそうだ。
斉諧生的には、ステーンハンマルの2曲、「スヴァーリエ」「後宮の庭園に」を収録しているので、何をおいても入手せざるべからず。
その他、ヴィカンデル;「すずらんの王様」をはじめ、アルヴェーンペッテション・ベリエルらの作品や古謡・讃美歌が歌われている。
録音は超オン・マイク、ポピュラー系の音作りだが、曲といい演奏といい、震えが来るほど美しい。ローカル・リリースのため日本に入ってこないらしいが、非常に勿体ないと思う。
斉諧生はSkivhuggetにオーダー、到着まで1週間かからなかった。
 
シルヴィア・マクネアー(Vo) アンドレ・プレヴィン(P) デヴィッド・フィンク(Db)
ジェローム・カーン;歌曲集(Philips)
中古音盤屋で、ふと目に留めてハッとしたCD。
プレヴィンがピアノを弾いたジャズ・アルバムは買うことにしているのに、これは見落としていた!  録音は1993年9月、翌年11月には国内盤も出ていたのに…。
プレヴィンとフィンクのデュオは、DGGレーベルから出た「ガーシュウィン・ソングブック」からと思っていたが、その前に、この盤があったのだ。
もっともブックレットでフィンクは無視されている。フィル・ラモーンというプロデューサー(そっちの筋では有名な人らしいが)の紹介には1ページを割いているにもかかわらず、である。

 今日届いたCDの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィに追加。


9月8日(日): 古書通販サイトabebooks.comでオーダーした洋書が1冊届いた。

David Schneider
"The San Francisco Symphony"(PRESIDIO)
1936年以来、長くサンフランシスコ響のVn奏者を務めた著者による同響の歴史、というより回想録である。
著者が採用されたときの首席指揮者はピエール・モントゥー、出版された1983年はエド・デ・ワールトの治世。
その間、エンリケ・ホルダヨーゼフ・クリップス小澤征爾が在任している。
もちろん斉諧生としては、モントゥー(在任1936〜52年)に関する記事に期待して、オーダーしたもの。
主な客演指揮者のリスト、演奏旅行の曲目リスト、ディスコグラフィなど資料的にも貴重だろう。

 昨日届いたCDの情報をアンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。

 6日(金)のコンサートを演奏会出没表に追加。


9月7日(土): 

 西宮市を本拠に活動するアマチュア・オーケストラかぶとやま交響楽団第27回定期演奏会@伊丹アイフォニック・ホールを聴く。
 このオーケストラには中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんが参加しておられ、この演奏会でもコンサートマスターを勤められた。

今日の曲目は
チマローザ;序曲「秘密の結婚」
ストラヴィンスキー;組曲「プルチネッラ」
ドヴォルザーク;交響曲第7番
というもの。
このオーケストラとしては「カルト度」の低いプログラムだが(笑)、考えてみると「ドボなな」の実演は、プロ・オーケストラでも珍しいかもしれない。
 
またプロフェッショナルの客演指揮者を招いたのも珍しい。
柳澤寿男氏で、佐渡裕氏のアシスタントを務め、大阪フィル新日フィルなどを指揮しておられるとのことである。
詳しくは→ここを押して
 
チマローザが鳴り始めた瞬間、あっと驚いた。
明晰なリズムの上に、音楽が実にはっきりした方向性を持って流れていく。
元来技術レベルの高い団体だが、更に輝きを増したように感じられた。
 
もちろんアマチュアのことゆえ、音程であるとか管楽器のソロの精度とかに問題がないわけではない。
しかし、音楽から湧き出る生命感という点では、昨日のプロ・オーケストラに勝るとも劣らないのではないか…と思わずにはいられなかった。
 
これはストラヴィンスキードヴォルザークでも同様。
とりわけ後者は、きっちりとした構成・造型の中に、「かぶ響」らしい情熱が盛り込まれ、手に汗握り(会場も暑かったけれど(笑))、演奏時間がことのほか短く感じられる好演となった。
歌い上げるVn、突き上げる低弦、咆哮するHrn(ウィンナ・タイプである)・Trb、ビシビシ打ち込むTimp、編成の小ささをものともしないサウンドに感嘆した。
 
団員諸氏の健闘もさることながら、今日の達成は相当程度、指揮者の手腕に負うものだろう。今後、ぜひ注目したい人である。
師匠譲りの(?)ダイナミックな指揮振りも、見ものだった。
 
例によって、アンコールは無し。
 
次回は平成15年3月1日とのこと、曲目発表を楽しみに待ちたい。(^^)
オーケストラの公式Webpageは→ここを押して

 演奏会終了後に音盤屋で数点購入。また、朝のうちに知人から荷物が届いた。

オットー・クレンペラー(指揮) ベルリンRIAS放送響 ほか
モーツァルト;交響曲第25・38番 & ベートーヴェン;交響曲第2番 ほか(IMG)
店頭に『20世紀の大指揮者』シリーズの新譜が並んでおり、いずれも気になる指揮者ながら、とりあえず2巻のみ購入。
クレンペラーは1950年代のライヴ録音がほとんどで、いずれも正規盤再発ではなく未架蔵音源ばかりなので、買ってみた。
時期的にもまだまだ元気な頃で、小ト短調の冒頭など、これがクレンペラーか…と思う速めのテンポで(笑)、驚かされる。
モーツァルト;交響曲第25番(ベルリンRIAS響、1950年12月20日)
モーツァルト;交響曲第38番(ベルリンRIAS響、1950年12月22・23日)
ベートーヴェン;交響曲第2番(ベルリン放送響、1958年3月29日)
R・シュトラウス;「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(ケルン放送響、1954年10月25日)
ワイル;「小さな三文音楽」より(ベルリン国立歌劇場管、1931年)
ストラヴィンスキー;組曲「プルチネッラ」(バイエルン放送響、1957年9月26日)
ヤナーチェク;シンフォニエッタ(ケルン放送響、1956年2月27日)
SP期のワイルを除けば、録音状態はまずまず良好。中では、最も新しいベートーヴェンがやはり優れており、じゅうぶん音楽を堪能できる。
 
ピエール・モントゥー(指揮) デンマーク放送響 ほか
ヒンデミット;交響曲「画家マティス」 ほか(IMG)
これも『20世紀の大指揮者』シリーズ。
標記ヒンデミットはモントゥーの未発売音源、しかも愛好する曲ゆえ、是非もなく購入。
収録曲は、
ベートーヴェン;交響曲第2番(北ドイツ放送響、1960年10月1日)
ワーグナー;楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死(北ドイツ放送響、1964年2月14日)
ヒンデミット;交響曲「画家マティス」(デンマーク放送響、1962年10月11日)
チャイコフスキー;バレエ音楽「眠りの森の美女」抜粋(ロンドン響、1957年6月3〜6日)
ドビュッシー;夜想曲(ボストン響、1955年8月15日)
ド・リール;ラ・マルセイエーズ(ロンドン響、1962年6月)
ヒンデミット以外は全部スタジオ録音、正規音源の再発だが、(もしかすると)初CD化のもの、入手困難だったものばかりなので歓迎されよう。
お目当てのヒンデミットはモノラル録音で、音質はまずまずといったところ。
ベートーヴェンは既発のFNAC盤より音質が明らかに向上、ドビュッシーはBMG盤よりも力強い音になっている。
 
ベルナルト・ハイティンク(指揮) フランス国立管
マーラー;交響曲第6番(naive)
Philipsを「リストラ」されたと囁かれるハイティンクだが、このところnaiveレーベルからライヴ盤がリリースされ始めた。
第1弾のドビュッシー;歌劇「ペレアスとメリザンド」全曲盤は気になっているが未購入、第2弾のマーラーが出たので買ってみた。
ハイティンクのマーラー・ライヴでは、しばらく前にコンセルトヘボウ管との箱物があり、意外と言っては失礼ながら、好演だった。それには第6・8番と「大地の歌」が含まれていなかったので、今回のリリースは時宜を得たものといえよう。
いま終楽章を少し聴いているが、演奏内容にも期待できそうである。
2001年10月24・27日、シャンゼリゼ劇場での収録。弦合奏の音質がやや薄い感じもするが、これは再生機器の問題かもしれない。
 
タウノ・ハンニカイネン(指揮) シンフォニア・オヴ・ロンドン
シベリウス;交響曲第2番(EMI)
「EMI幻の名盤」と銘打ったシリーズ、輸入盤ではCD化されていたが入手難だったので、まずは国内初発売を慶びたい。
もちろんハンニカイネン(1896年生・1968年没)はフィンランドの名指揮者、CDの帯に「巨匠と呼ぶのは若干ためらわれるものの」とあるのは余計なお世話だろうが、「シベリウスの演奏にかけては第一人者」なのは間違いない。
交響曲録音は3曲しか遺されていないが、第2番は同曲音盤中ベストを争う数枚に含まれるものと考えている。ぜひ御一聴を。
東芝EMIによるリマスタリングは、音をよく掘り起こしている一方、少し綺麗に仕上げてしまった感なしとしない。
1959年1月1日、ロンドンでの録音。ジャケット・デザインはオリジナルLPを写したもの。
 
ヘンリク・シェリング(Vn) マイケル・イサドーア(P)
バッハ;Vnソナタ第3・6番・無伴奏Vnソナタ第1番・無伴奏Vnパルティータ第2番(TDK)
FM東京音源の覆刻シリーズ、続巻は待望のヴァイオリニストたち、買わざるべからず。
シェリングは、1976年4月12日東京文化会館での収録。音の状態は極めて良好。
CD2枚組でアンコールのVnソナタ第1番よりアンダンテも収められており、その直前にシェリングが曲目を告げる声も入っているのはマニア好みだ。(笑)
更にシェリングがバッハについて述べた語りも収録されている。日本語による吹替えは、ヴァイオリニストのナレーションの後に入っており、両者の声がかぶさることはない。
 
ローラ・ボベスコ(Vn) 岩崎淑(P)
ヴェラチーニ;Vnソナタ & ブラームス;Vnソナタ第1番 & ドビュッシー;Vnソナタ ほか(TDK)
早くから知る人ぞ知る存在だったが、1980年に初来日を果たすや、たちまち人気を博したボベスコ。
ちょうど斉諧生がクラシックを聴き始めた頃に当たり、学生の貧乏生活では音盤購入や演奏会通いもままならなかったが、1983年の来日時には、東京響定期でのブラームス;Vn協と東京文化会館小ホールでのリサイタル(2月19日)を聴くことができた。なんともエレガント、チャーミングな演奏だったという強い印象が残っている。
このCDには、その直後、3月2日に都市センターホールで行われたリサイタルのライヴ盤。標記3曲に加えアンコールの小品4曲が収録されている。
ブックレットにピアニストへのインタビューが掲載されており、ヴァイオリニストについての暖かい回想を読むことができるのも、望外の喜びだ。
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮) 放送オペラ管 ほか
ロッシーニ;歌劇「オリイ伯爵」(LE CHANT DU MONDE)
アンゲルブレシュトの珍しい盤を知人から譲っていただいた。
曲も珍しいようだ。このあたりについてはミン吉さんのオペラ御殿に詳しい。
1959年9月21日のモノラル録音。

9月6日(金): 

 ふと思い立って、大阪フィルハーモニー交響楽団いずみホール・コンサートシリーズVol.2を聴く。指揮は若杉弘

今日の曲目は、
J.C.バッハ;シンフォニア op.18-1
バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
ベートーヴェン;交響曲第1番
というもの。
目的は、まずバルトーク作品の実演を聴くこと。好きな曲なのだが、編成の特殊さのためだろう、あまりステージにかかることがないように思う。
若杉さんの実演は久しぶり。1980年代には、京都市響ケルン放送響ドレスデン国立歌劇場管でよく聴いたものだ。彼の音楽にどのような年輪が加わっているか、少し楽しみである。
 
ところがホールはガラガラ、半分以下の入りではなかろうか。
曲目に「ヒキ」がないのだろうか、それともS席7,000円・A席5,000円という値付けがシブチンな大阪人に嫌われたのか。
斉諧生はB席2,000円で入場、舞台右上方バルコニー席2列目に着席。
 
クリスチャン・バッハ作品は、2群のオーケストラのための作品で、「弦チェレ」と舞台配置が共通。そのあたりに目を付けた選曲であろう。
第1Vnから4-4-3-2-1の弦合奏を左右に配置、管楽器はそれぞれの後方に、Cemを左右の奥に置く。
2人の鍵盤奏者は、バルトーク作品でPとチェレスタに移動。
 
もちろん初めて耳にする曲だが、快活・優美な音楽で、弦合奏の丁寧な歌わせ方が光っていた。
ただ、それ以上のものを感じることはできなかったのも事実。こうした古典派音楽(前・古典派だったか?)では、沸き立つような愉悦感、音楽の歓びを感じさせてほしいものだ。
もう少し踏み込めば、そうした音楽づくりが可能な作品に思えたので、これが若杉さんの限界(?)かと、ちょっとガッカリ。
 
バルトークも丁寧な音楽づくりは徹底しており、静かな部分での緊張感はたっぷり。
特に第1楽章冒頭や第3楽章全体は良かった。
その反面、厳しさや激しさには欠ける感が否めない。
強奏時の響きに濁りが出るのもマイナス。
 
なお、Pは客演の小坂圭太、ずいぶん入れ込んで、もっと切れよくもっと激しく…と、逸りたっている様子だったのが面白かった。
 
休憩後のベートーヴェンは、若杉さんらしいオーソドックスなアプローチ。
弦合奏は、第1Vnから8-8-6-4-2の編成で、Vc・Cbを左側にした対向配置。
両端楽章冒頭など、ズッシリした響きが腹の底に届く、いい感じの音。
古楽派のアプローチに色気を見せることもなく、逆に、肥大することもなく、すっきりとして、かつ、端正堅固なベートーヴェン。
しかしながらそれ以上の、ドキドキしたりワクワクしたり、ウットリするような、言い換えれば愉悦感や音楽の歓びは生まれなかった。
このあたりは1曲目の演奏と共通する。
 
残念だったのは、オーケストラに、この3月高関健との演奏会で見せていたような、指揮者の音楽に食いついていく雰囲気が乏しかったこと。白けていたとまでは言わないが…。

9月4日(水): 

 

ポール・アンドレアス・マー(指揮) サーティーン・ストリングス ほか
「忘れられた夢」(CANSONA)
カナダ・オタワの弦楽合奏団の公式Webpageで見つけ、メールを出してオーダーしたCDが届いた。クレジットカード決済。
収録曲がなかなか渋い。
ダウランド(ウォーロック編);舞踊組曲(涙のパヴァーヌなど5曲)
ウォルトン;「やさしき唇に触れて別れなん」(「ヘンリー五世」組曲より)
シベリウス;即興曲
グリーグ;2つの悲しい旋律
ニルセン;ボヘミア・デンマークの民謡
グレツキ;古い様式による3つの小品
など。
アルバムのタイトルは、現代カナダの作曲家ジョン・バージの作品の題名から採られている。

9月3日(火): 

 音盤屋を覗いて帰ってきたら、CDが届いていた。

マルティン・フィッシャー・ディースカウ(指揮) 新ベルリン室内管 ほか
マーラー;アダージェット & バルトーク;ディヴェルティメント(IPPNW)
IPPNW製作のCDのうち、買おうか買うまいか、ずっと迷っていた1枚がワゴンセールに出ていたので、意を決して (大袈裟か(^^;) 購入した。
バルトーク作品は蒐集している曲だし、同レーベルのCD番号「1」を割り当てられているからには、それなりに自信作なのだろうと思いつつ、指揮者は七光り系(?)だし、バーバラ・ヘンドリックス(Sop)が客演しているだけが値打ちかもしれない…と疑って、いつもレジに持参するのを見送ってきたのである。
標記以外にモーツァルト;コンサート・アリア3曲(K.366、K.486、K,528)とドビュッシー;神聖な舞曲と世俗的な舞曲を収める。
1992年2月29日、ベルリン・フィルハーモニーにおける演奏会でのライヴ録音。
 
シモーヌ・ヤング(指揮) ヴィクトリア州立管 ほか
R・シュトラウス;歌曲集(MELBA)
Buywellから届いた1枚。
山崎浩太郎氏が『レコード芸術』8月号で紹介しておられたCDである。
<月光の音楽>の澄んだエロティシズムが、陶然とさせる
とのコメントに心惹かれ、オーダーしたもの。
メインの管弦楽付き歌曲を歌っているのはスティーヴ・デイヴィスリムというテノールだが、そちらへの関心はあまり高くない。(汗)
なお、ブックレット表紙、レーベル面、トレー内側に、オーストラリアの某ホテル所蔵になる名画『クロエ』の図版が掲載されている。
 
ウィーン弦楽六重奏団
シューベルト;弦楽五重奏曲 ほか(EMI)
これも蒐集している曲の未架蔵盤がワゴンセールに出ていたので購入。
第1VnがモザイクQで活躍しているエーリヒ・ヘーバルトなので、期待できそう(他のメンバーは重ならない)。
序曲 D.8をフィルアップ。
1994年9月の録音だがマルPは2001年、ちょっと間が空いている。
 
ミクローシュ・セントヘイ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(HUNGAROTON)
音盤屋で、この曲集の未架蔵盤(新譜?)を見かけたので購入。
ペレーニ師はじめ弦の国、ハンガリーの名手とあらば(リスト音楽院で教職にあるとのこと)、どうしても手を出さずにはいられない。
古楽派ではないようだが(使用楽器はグァルネリ)、ブックレット所収の演奏者の文章によれば、音楽学者の協力を得て演奏慣習をすべて見直した成果とのこと。
2001年9月の録音。
 
アンシ・カルトゥッネン(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲第6番・無伴奏Vnパルティータ第2番 ほか(PETALS)
サロネンとの共演やFINLANDIAレーベルからのベートーヴェン;Vcソナタ全集で知られるチェリストの公式Webpageに掲載されているCDのうち、どうしても気になった1枚をPetals レーベルにオーダーしたもの。
5弦のチェロ・ピッコロを用いて、標記2曲とテレマン;幻想曲第9番(Vnからの編曲)を演奏している。
ブックレット等は付属しておらず、ジャケット裏にWebpageを見よと記されているのみ。

9月1日(日): 

 「斉諧生音盤志」5周年&30万アクセス記念・CDプレゼントの応募・当選状況を掲載。

 音盤狂昔録平成14年8月分を追加。


平成14年5月25日(土):黄金週間中のウィーン旅行の顛末を「維納旅行記」として公開。
平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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