音盤狂日録


3月31日(日): 

 大阪フィルハーモニー交響楽団京都特別演奏会@京都コンサート・ホールを聴く。指揮は高関健
 加藤知子さんが独奏者として登場されるので、聴かざるべからずと参じてみた。

今日の曲目は
ブラームス;Vn協
ストラヴィンスキー;春の祭典
というもの。
 
ブラームスは実に立派な音楽。
実は「今ヌヴー」のような熱演を期待していたのだが、これは斉諧生の勝手な思い込み。
一点一画をおろそかにせず、じっくりしたテンポと歌を一貫させた、ベートーヴェン寄りのブラームス演奏。これはこれで堪能した。
 
また、春の祭典は、終始、緊張感に満ちた聴き応え十分の好演。
正直申して、失礼なことながら、この曲にはあまり期待していなかった。管弦楽のメカニカルな面での不安や、指揮者の交通整理的な音楽作りを懸念していたのである。
ところがどうして、スコアの十全な再現に加えて(もちろん細かな事故はあったが)、木管の音型の活用やTimpのスパイシーな刺激など、全曲少しも弛みのない演奏となった。
一頃の機械仕掛けのような指揮ぶりも影を潜め、厳しさと熱っぽさを湛えた高関氏の姿にも感心。もちろん指示の明解さは言うまでもない。
30分強があっという間に過ぎ、あらためて曲の素晴らしさを堪能した。
 
熱烈な拍手に応えて、同じ作曲家のサーカス・ポルカをアンコールに演奏。
名演のあとでは蛇足に感じないわけでもなかったが、実演が珍しい作品を聴かせてもらったことに感謝すべきか。

3月30日(土): 

 

フェレンツ・フリッチャイ(指揮)ベルリンRIAS響 ほか
R・シュトラウス;交響詩「ドン・ファン」・「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」・Cl&Fg二重小協奏曲 ほか(DGG)
蒐集している二重小協奏曲の未架蔵盤を中古格安で見つけたので購入。
独奏者はハインリヒ・ゴイザー(Cl)とヴィリ・フークマン(Fg)。ともに当時RIAS響の首席奏者、後年バイロイト祝祭管でも活躍した名手とのこと。
ベルリンRIAS放送局による録音で、当盤(マルP1994年)が初発売だったらしい。
マルギット・ヴェーバー(P)とのブルレスケをカプリング。
なお、「ティル〜」のみベルリン・フィル
 
オスカー・シュムスキー(Vn)アルトゥール・バルサム(P) ほか
レスピーギ;Vnソナタ&ヴィオッティ;Vn協第22番 ほか(BIDDULPH)
尊敬すべきヴァイオリニスト、シュムスキー壮年期の覆刻盤が中古格安で出ていたので購入。
曲目的にも、レスピーギは録音が珍しいしヴィオッティは蒐集対象なので、買わざるべからず。最も後者はP伴奏(ウラディミール・ソコロフ)だが。
ラヴェル;Vn&Vcソナタ(バーナード・グリーンハウス(Vc))、ショパン;夜想曲ヴィニャフスキ;ポロネーズをカプリング。後二者は管弦楽伴奏。
1940年代末〜50年代初の録音。

3月29日(金): 

 

ブルーノ・ワルター(指揮)ウィーン・フィル
ハイドン;交響曲第100番「軍隊」&ワーグナー;ジークフリート牧歌 ほか(OPUS KURA)
非常に美しい音質でCDに復刻されていると評判のオーパス蔵レーベル、気になっているのだが店頭販売価格は結構高め、手を出さずに来た。
今日立ち寄った中古音盤屋で格安のものを見つけ、しめしめと買い求めた。
標記2曲のほか、モーツァルト;ドイツ舞曲J・シュトラウス;皇帝円舞曲マーラー;アダージェットをカプリング。
更にハイドンを別プレス(仏盤)から復刻したものをボーナス盤で付したという凝りよう。
ハイドンをプライザー盤と聴き比べたが、針音が盛大に入ってはいるものの、エネルギー、リアリティ、生き生きとした美しさなど、隔絶している。
SPにはこれだけの音が入っていたのか…と驚かれること必定。
 
タチアナ・タウエル(Hp)エドワード・セロフ(指揮)サンクト・ペテルブルク室内管 ほか
ヒナステラ;Hp協 ほか(kontrapunkt)
蒐集しているヒナステラ作品の未架蔵盤を中古格安で見つけたので購入。
純ロシア製のヒナステラ、少々おっかなびっくりだが、独奏者はムラヴィンスキー時代にレニングラード・フィルのメンバーだったというから、期待できそうだ。
ティシチェンコ;Hp協をカプリング。こちらのソロはイリーナ・ドンスカヤという人。タウエルの弟子らしい。
 
黒田亜樹(P)
「Tango 2000(ミレニアム)」(VICTOR)
このピアニストのピアソラ演奏が素晴らしいと聞いていたので、かねて捜していたところ、中古格安で並んでいたので購入。
アディオス・ノニーノ天使のミロンガアレグロ・タンガービレを自編による拡張バージョンで演奏しているほか、4つの小品 op.3を収録。
ピアソラの師ヒナステラの佳品アルゼンチン舞曲集を入れてくれているのも嬉しい。
更にラ・クンパルシータなど古典的な名作タンゴ3曲を加えている。
なお、ピアニストの公式Webpageは→ここを押して
 
ストックホルム・フィル ほか
1973年 コンサートホール再建記念盤(第1巻)(瑞ORFEUS、LP)
大変なLPを見つけてしまった。
5枚組に含まれている音源(スウェーデン放送局所蔵)が凄い。主なものに限って年代順に挙げると
レオポルト・ストコフスキー バッハ;トッカータとフーガ ニ短調(1939年5月25日)
イェオリ・シュネーフォイクト ステーンハンマル;フローレスとブランセフロール(1943年2月5日)
ヒゥーゴ・アルヴェーン 自作;交響曲第4番(1947年5月7日)
ヴィクトル・デ・サバタ ストラヴィンスキー;夜鶯の歌(1947年9月24日)
カール・フォン・ガラグリ マルタン;小協奏交響曲(1949年2月2日)
フェレンツ・フリッチャイ ルーセンベリ;「マリオネット」序曲(1955年11月16日)
ハンス・シュミット・イッセルシュテット ベールヴァルド;歌劇「ゴルコンダの女王」序曲(1956年10月24日)
トール・マン シベリウス;交響曲第6番(1958年2月21日)
…と、いずれも垂涎ものなのだが、ほとんどが数分程度の断章になっているのは痛惜。
まとまって収録されているのは、次の3曲。
ルイス・クラスナー(Vn)フリッツ・ブッシュ(指揮) ベルク;Vn協(1938年4月20日)
初演者クラスナーによる初演後まもない時期のライヴとして貴重。
音の状態は良好、当時の水準以上だろう。
調べてみたところCDが出たこともあるようだが(→ここを押して)、店頭で見かけた記憶がない。
セーナ・ユリナッチ(Sop)フリッツ・ブッシュ(指揮) R・シュトラウス;4つの最後の歌(1951年5月6日)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮) ほか ブラームス;ドイツ・レクイエム(1948年11月19日)
ブラームスは今では当たり前に入手できる演奏だが(斉諧生は未架蔵)、当盤が初出だったかもしれない。LP2枚にゆったりと収められている。
フルトヴェングラーのせいか、えらく高値だったが(涙)、買わざるべからず。
なお、CD「ストックホルム・フィルの75年」(BIS)のブックレット所収のディスコグラフィには、いずれもデータが掲載されていた。
当盤のタイトルには「第1巻」とあるが、上記ディスコグラフィには続巻の存在を示すデータがない。あるいはストックホルム・フィル以外の演奏家の音源がリリースされたのだろうか。

 今日購入したLPの情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィガラグリ・ディスコグラフィに追加。


3月28日(木): 

 アリアCDからCDが届く。

広上淳一(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィル
ラフマニノフ;交響曲第3番&プロコフィエフ;バレエ音楽「ロミオとジュリエット」(抜粋)(RLPO自主製作)
リリース情報は確かかなり以前から伝えられていたが、一般の小売店には入ってきておらず、RLPOのオンライン・ショップでもオーダーできなかったので(カード情報の入力フォームにバグがあった)、上記通販店にお願いしていたもの。
1999年11月8〜13日、リヴァプール・フィルハーモニック・ホールでの収録。
広上さんのラフマニノフは、日本フィルとの交響曲第2番が出たばかり。自主製作盤で揃うというのも珍しかろう。
なお、「ロミオと〜」では9曲を収録(約32分)。
 
テディ・パパヴラミ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(自主製作)
以前、パガニーニサラサーテ他を収めたCD(HMF)を聴いたパパヴラミ、なかなか切れの良いヴァイオリンに好感を持っていた。
バッハ;無伴奏を自主製作でリリースしたとのこと、興味を惹かれてオーダー。
2000年10月17日に行われた演奏会を収録したもの。この曲を一発ライヴで出すというのも凄い。
なお、パパヴラミは1971年生れ、パリ音楽院ほかでアモイヤルフランチェスカッティムローヴァに学んだ。
HMF盤の解説ではヨルダン出身となっていたが、この盤の公式プロフィールではアルバニアで生まれたとある。

3月27日(水): 

 

ギュヘル・ペキネル&ジュヘル・ペキネル(P)ペーター・ザドロ&シュテファン・ガゲルマン(Perc)
バルトーク;2台のPと打楽器のソナタ&バーンスタイン;シンフォニック・ダンス(ウェストサイド物語より) ほか(TELDEC)
いつも楽しく読み、参考にさせていただいている楽しい連弾の部屋の「今週の1枚」(2002年3月25日付け)で御紹介のあったCD。→ここを押して
ザドロ@元ミュンヘン・フィルが参加した録音は聴き逃せないと購入することにした。
輸入盤に日本語の帯を巻いたものが1,000円で発売されている。安っぽいジャケット・デザインが難だが…。
ザドロが打楽器パートを編曲したバーンスタイン作品も楽しみである。
ガーシュウィン;3つの前奏曲(ストーンによる2台P編曲)をフィルアップ。
当盤は1988年録音、ザドロはアルゲリッチ&フレイレ盤でもバルトーク作品に参加している(DGG、1993年録音)。

3月26日(火): 『ONTOMO MOOK 指揮者とオーケストラ2002』(音楽之友社)を購入。指揮者500人のうちにガラグリレイボヴィッツが選ばれていないのは悲しいが、こういうものは資料本として欠かせない。
 なお、オーケストラの紹介で公式WebpageのURLを掲載していないのは極めて疑問。また、索引が記事の途中に挿入されていることについては、むしろ欠陥商品と断じたい。

 

ギュンター・ヴァント(指揮)北ドイツ放送響
シューベルト;交響曲第5番&ブルックナー;交響曲第4番(BMG)
「ヴァント最後の録音」が発売されていたので購入。ともかく彼のブルックナー録音は聴き逃せない。
ブルックナーは勿論ハース版使用。
2001年10月28〜30日、ハンブルク・ムジークハレでの録音である。
CD2枚組、シューベルトのあとにはインタビュー(約35分)を収録。ドイツ語のやりとりだが、ブックレットに英訳が掲載されている。

3月25日(月): 

 

オーギュスタン・デュメイ&ルノー・カプソン(Vn)ジェラール・コセ(Va)ジャン・ワン(Vc)マリア・ジョアン・ピリス(P) ほか
シューマン;P五重奏曲 ほか(DGG)
『レコード芸術』4月号に、ルノー・カプソンのインタビューが掲載されており、この録音に参加していることがわかったので、彼の(そしてデュメイの)CDは聴いておきたいと購入。
実はピリスがクラウディオ・アバド(指揮)ヨーロッパ室内管と演奏したシューマン;P協がメインの盤。
ところで、上記インタビュー記事で執筆者が
正確な発音はルノー・キャピュソン
と注記しておられるのが、少々気になっている。
原綴は"Renaud Capucon"、カタカナで書く以上「正確な発音」などはあり得ず「カプソン」でも「キャピュソン」でも五十歩百歩と割り切るのか、あるいは少しでも近似値をと後者を採用するのか、悩んでいる。
 
森川浩恵(箏)長谷川陽子(Vc) ほか
「箏-koto-」(VICTOR)
昨日、朝刊に目を通していると、長谷川さんが録音に参加されたCDが出ていることがわかり、慌ててオフ会の帰途に捜したが、立ち寄った音盤店@大阪では品切れ。
今日、京都の音盤店で目出度く入手できた。
箏奏者については公式Webpageがあり(→ここを押して)、プロフィールや日記が公開されている。1985年生れ、16歳の逸材だという。
長谷川さんは沢井忠夫;風の歌の1曲だけに参加(演奏時間約10分)、元来は尺八と箏の合奏だが、大島ミチルによりVcと箏のために編曲されたとのこと。
その他3曲が演奏されているが、すべて沢井の作品で、うち鳥のようには管弦楽編曲となっている。

3月24日(日): 「サロ様城」のオフ会に参加、美酒佳肴と美音名演に酔う。

 

和波孝禧(Vn)北川暁子(P)
邦人Vn作品集(ART UNION)
LP時代にトリオから出ていた音源がCDに復刻された。LPでは架蔵しているが、和波さんの音盤は買わざるべからず。
2枚組に
三善晃;Vnソナタ入野義朗;VnとPのための音楽武満徹;HIKA小倉朗;Vnソナチネ中村太郎;バラード第3番「無明」團伊玖磨;ファンタジア原博;Vnソナタ石井真木;4つのバガテル別宮貞雄;Vnソナタ第1番を収録。
武満作品以外は別録音が1つあるかどうかなので、CD復刻は貴重といえよう。
1978年2月、石橋メモリアル・ホールでの録音。
 
宇野功芳(指揮)日本女声合唱団 ほか
合唱指揮リサイタル「水のいのち」(ART UNION)
1977年5月12日、石橋メモリアル・ホールで行われた演奏会のライヴ録音、和波盤同様トリオから出ていたもの。
LPは架蔵しているが、宇野師の音盤は入手せざるべからず。
A面に「旅愁」ホフマンの舟歌「マリアの子守歌」など小品を7曲、B面にタイトルの高田三郎作品が収められていたが、CDでもその順に入っている。
何度も書いているが、指揮者・宇野功芳の本領は合唱にあり、その最良の成果が、このあたりの録音である。
最近の演奏・録音には、御本人の想いは別として、聴き手として微苦笑を禁じ得ないものもあるだけに、今回の復刻によって師の真価が知られることを喜びたい。
菅野沖彦氏の手になる名録音が、LPには僅かに及ばないものの、きわめて美しく再現されている。
 
宇野功芳(指揮)日本女声合唱団 ほか
合唱指揮リサイタル「故郷を離るる歌」(ART UNION)
上記の盤よりCD番号は後になっているが、収録はそれに先立ち1975年3月11日、師の「第1回合唱指揮リサイタル」の記録である。
これもトリオからLPが出ていたが夙に廃盤となっていて入手できておらず、今回のCD復刻に狂喜乱舞して購入。
中田喜直「ぶらんこ」「ねむの花」「石臼の歌」
磯部俶「犀川」「時無草」「貝殻」
大中恩「菜の花」組曲「月と良寛」
と、アンコールのハレルヤ故郷を離るる歌を収めている。
宇野師には、このあとビクターに3枚のLP録音があり、それらのCD化も大いに期待したい。

 昨日到着したLPの情報をガラグリ・ディスコグラフィに追加。


3月23日(土): ドイツの楽譜通販サイトMusiaから2点到着。両方ともステーンハンマルで、2つのセンチメンタル・ロマンス(Vn+P版)と歌曲集「歌と印象」 op.26
 ここは初めての利用だが、オーダーステータスがWebで見られず、しかも受注メールしか来ないので、ちょっと不便。また、カード会社への請求は"C.F.Peters"名義だったので(Edition Petersの小売部門なのかも)吃驚する羽目になった。
 とはいえ、検索すると、前記以外にもステーンハンマルやリリー・ブーランジェの作品が多数出てくるので、なおオーダー中。

 

カール・フォン・ガラグリ(指揮)ティヴォリ響
ニルセン;交響曲第2番&小組曲(米VOX、LP)
ガラグリの未架蔵盤が安価で見つかったのでオーダーしたもの。
もちろん音源としては国内盤LP等で架蔵済みだが、おそらくオリジナルLPゆえ、入手せざるべからず。
交響曲の標題「四つの気質」を表現したジャケットも魅力的。(→ここを押して)

3月22日(金): 

 

飯守泰次郎(指揮)東京シティ・フィル ほか
ベートーヴェン;交響曲全集(fontec)
CD5枚組の新譜ながら税抜定価4,000円という「バリュー価格」(笑)、しかもサンプラーCDの特典付きで大量陳列。
まだ飯守さんの実演に接したことはないが、これまでのブルックナーのCD等の好演からして、きっと期待できるだろうと思い購入。
いま第8番を聴いているが、きびきびした進行の中、ベートーヴェンらしい力感にも不足しない。
オーケストラは、少し非力かもしれないが、立派な出来を示している。これでライヴ録音(2000年3〜12月及び2001年12月、東京文化会館)というから驚嘆。
使用楽譜は新ベーレンライター版(デル・マー校訂)、第1・第2Vnが対向する古典配置といい、高関健(指揮)大阪センチュリー響の全集盤と同趣向、何かと比較されることになるだろう。
余談だが、誰かマルケヴィッチ校訂版で全集録音してくれないものだろうか。息子オレグ・カエターニに期待しよう。
 
カルロ・ゼッキ(指揮)ワルシャワ・フィル ほか
シューベルト;交響曲第9番 ほか(CD ACCORD)
ワルシャワ・フィル・アルヒーフ・シリーズから名匠ゼッキのライヴ録音、逃すべからずと購入。
1955年3月26日、ワルシャワ・フィルハーモニー・コンサートホールでの収録。モノラルで少し硬く響くが、まず鑑賞には不足ない。
パウル・クレツキの指揮によるモーツァルト;交響曲第39番(1962年5月11〜12日)をカプリング。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ワルシャワ・フィル
ストラヴィンスキー;春の祭典 ほか(CD ACCORD)
これもワルシャワ・フィル・アルヒーフ・シリーズから。
マルケヴィッチの演奏を逃すわけにはいかない、しかも爆発的な演奏という噂も聞こえてきており、期待して購入。
本体は輸入盤だが日本語解説が付されており、宇野功芳師が執筆、
第1部の終曲は真に悪魔的であり、頂点に向かって荒れ狂う迫力はその極に達するのである。(中略)
 練習番号181のあたりは戦争の絨毯爆撃を思わせる。まことに空恐ろしいばかりのクライマックスといってよい。
等と絶讃しておられる。
チャイコフスキー;幻想序曲「ロメオとジュリエット」ブリテン;青少年のための管弦楽入門という、これまたマルケヴィッチ十八番をカプリング。
1962年1月26〜27日の収録とのこと、モノラルながら分離が良く、音の硬さもゼッキ盤より少し改善されており、十分鑑賞に堪える。
 
ロエル・ディールティンス(Vc)ロベール・グロスロー(P)
マルティヌー;Vcソナタ第1〜3番(ACCENT)
以前、バッハ;無伴奏が良かったディールティンス。
捜していたマルティヌーを中古格安で発見、直ちに購入。
録音は1989年9月及び1990年4月。このレーベルから20世紀の音楽が出ているのも珍しい。
 
スティーヴン・クレオバリー(指揮)ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団&イギリス室内管 ほか
デュリュフレ;レクイエム&フォーレ;レクイエム(EMI)
収集しているデュリュフレのレクイエム、買いそびれていたクレオバリー盤を中古格安で発見、しめしめと捕獲。
両曲とも版が問題になるが、デュリュフレは室内管版(第3稿)、フォーレは1893年版(第2稿のラッター校訂版)。このあたりはジュラシック・ページに詳しい。
1988年12月の録音だから、ずいぶん長い間、放っておいたことになる。(汗)

3月21日(祝): 

 本業関係で外出したついでに京都の某音盤店のセールに立ち寄る。

ジョン・バルビローリ(指揮)ニュー・フィルハーモニア管 ほか
マーラー;交響曲第6番 ほか(EMI)
先だってマーラー;交響曲第6番聴き比べを公開したおり、何人かの方からメールを拝領した中で、当盤をお奨めいただいていた。
もちろんLP時代から名演の誉れ高いものゆえ気にかけていたところ、2枚組980円で販売されており、しめしめと購入。
R・シュトラウス;英雄の生涯(こちらはロンドン響)をカプリング。
 
ニコライ・ズナイダー(Vn)マリス・ヤンソンス(指揮)バイエルン放送響
グラズノフ;Vn協&プロコフィエフ;Vn協第2番 ほか(BMG)
現在、来日してN響とツアー中のズナイダーの新譜を購入。
曲目的にはちょっと地味だが、EMIから出たニルセン;Vn協以来、彼も今後が期待できる逸材と見ており、聴き逃せない。
N響の楽員からも好評のようだ。→ここを押して(3月21日の項) →ここを押して(3月22日の項)
 
ユリアン・シトコヴェツキー(Vn)アレクサンドル・ガウク(指揮)モスクワ放送響 ほか
ショスタコーヴィッチ;Vn協第1番 ほか(SYD)
独奏者はドミトリー・シトコヴェツキーの父親だが、息子よりよほど素晴らしいヴァイオリニストだったという。
先頃、プライヴェート音源(?)からの復刻が何枚かリリースされたが、けっこう高い値付けだったので手を出さずにいた。最も気になっていたショスタコーヴィッチが格安でセールに出ていたので購入。
ショスタコーヴィッチといえば例によって工藤さんのコメント。
この清潔感と暖かさを持った正確無比のヴァイオリンは、まさに非凡。やや線は細いものの繊細一辺倒ではなく、音楽のスケールは実に大きい。テンポ設定をはじめとした解釈も文字通り模範的なもの。
と極めて高く評価しておられる。→ここを押して
作曲者の指揮によるハチャトゥリアン;Vn協をカプリング。いずれも1956年の録音とのこと。
 
エミリー・バイノン(Fl)アンドルー・ウェスト(P)
「フランス六人組のFl音楽」(Hyperion)
現在コンセルトヘボウ管の首席奏者を務めるバイノンのアルバム。
プーランク;Flソナタは好きなので聴きたかったのだが、それ以外の曲のマイナーさに買いそびれていたところ、セール品を格安で入手できた。
そのほかデュレミヨーソナチネオーリックタイユフェールオネゲルの小品を収録。
 
ゲオルク・ファウスト&ルートヴィヒ・クヴァント&マルティン・レーア&オラフ・マイニンガー(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(IPPNW)
月曜日にトイチュ盤を買ったIPPNWのバッハ;無伴奏、もう1セットも購入。(^^;
ベルリン・フィルの現・首席奏者4人が6曲を分担して、2夜で全曲を演奏した記録である(2000年6月7・9日)。
受け持ちは、
ファウスト;第1・6番
クヴァント;第2・4番
レーア;第3番
マイニンガー;第5番
1曲だけの2人には弾き映えのする大曲を振り分け、比較的短い第1番に長大至難な第6番を組み合わせ、有名ソリストも手こずる第4番を受け持つ人には出番を2回…という考慮ではないかと推察する。
 

3月19日(火): 

 ワゴン・セールの@500円盤での掘出し物4点。

今井信子(Va)ジャン・レイサム・ケーニック(指揮)ロンドン・フィル
ウォルトン;Va協 ほか(CHANDOS)
今井さんのVaは好きなので、独奏盤はなるべく買うようにしているところ。
当盤は山尾敦史さんの『近代・現代英国音楽入門』(音楽之友社)でもファースト・チョイスに推されているもの。
カプリングは弦楽合奏のためのソナタヒンデミット変奏曲
 
アーヴェ・テレフセン(Vn)フランス・ヘルメルソン(Vc)ハンス・ポルソン(P) ほか
ドビュッシー;Vnソナタ・Vcソナタ ほか(BIS)
テレフセンの未架蔵盤を発見、大あわてで購入。
BIS初期のアナログ録音(1975年)、LPで聴きたいところだが、とりあえずCDで。
標記2曲のほか、シランクスフランソワ・ヴィヨンの3つのバラードビリティスの3つの歌子供の領分を収録。
 
ヘイミッシュ・ミルン(P)
メトネル;Pソナタ「夜の風」 ほか(crd)
このところ斉諧生の近辺でメトネル・ブームが盛り上がっている中、随一のメトネル弾きとされるミルン盤がワゴンに並んでいたので購入。
特に当盤に収録されているop.25-2は、かとちぇんこさんがWebpageのタイトルに掲げておられる曲で、いちど聴きたいと思っていた。↑のように@500円なので幸運を喜ぶ。
ソナタ・トライアード op.11をカプリング。
 
ヘイミッシュ・ミルン(P)
メトネル;Pソナタop.22・op.30 ほか(crd)
ミルン氏のメトネルはcrdレーベルがシリーズで出しており(たしか6、7点あったはず)、そのうち第3集もワゴンに並んでいたので捕獲。
収録曲は
Pソナタ ト短調 op.22
若い人のためのロマンティックなスケッチ op.54
2つのおとぎ話 op.8
3つのおとぎ話 op.17
Pソナタ イ短調 op.30

3月18日(月): 

 

ミクローシュ・ペレーニ(Vc)アンドラーシュ・リゲティ(指揮)ブダペシュト響 ほか
ショプロニ;Vc協第2番 ほか(HUNGAROTON)
土曜日にLPが到着したばかりのペレーニの録音、CD化されたものが新譜で並んでいた。
やや複雑な気分ながら(苦笑)、ペレーニの音盤は買わざるべからず。録音データが判明したのも収穫。
LPとはカプリングが異なり、Vc協第1番が含まれているが、独奏者はラースロー・メゾー
 
オリヴィエ・シャルリエ(Vn)ジェラルド・シャーマン(指揮)BBCフィル
シャーマン;Vn協・管弦楽のための協奏曲(CHANDOS)
シャルリエの新譜、買わざるべからず。
シャーマン(Schurmann)は初めて聞く名前だが、ブックレットのバイオによれば、1924年オランダ領東インド(現在のインドネシア)生れ、第二次大戦では英国空軍に志願し、戦後は主にイギリスやアメリカで活躍しているという。
むしろ映画音楽の分野で高名なようだ。→ここを押して
Vn協は、ルジェロ・リッチの演奏生活50周年記念として書かれ、1978年9月にリヴァプールで初演されたもの。
また管弦楽のための協奏曲は、ピッツバーグ響創立100周年記念の委嘱作品で、1996年にエド・デ・ワールトの手で初演されたとのこと。
 
ゲッツ・トイチュ(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(IPPNW)
昨年秋から年末頃にかけて「核戦争防止国際医師会議」のチャリティ・コンサート関連のCDが大量に出回った。
その中でバッハ;無伴奏Vc組曲の全曲盤が2種あり、どちらも気になったのだが、同時に2組はちょっと気後れして、買いそびれてきた。
某音盤店のポイントが貯まったのを機に、その片方を購入。
トイチュは1941年ルーマニア生れ、1970年からベルリン・フィルの首席奏者を勤めてきた人。60歳を期してバッハの全曲録音に挑んだとか。
古楽器でパオロ・パンドルフォ等とも共演しているそうだが、果たしてどのようなバッハを聴かせてくれるのだろうか。

 今日購入した音盤の情報をペレーニ・ディスコグラフィに追加。


3月17日(日): 

 

ギュンター・ヘルビヒ(指揮)ベルリン響
ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」(Berlin Classics)
気の毒ながら、LP時代以来、地味な印象が拭えないヘルビヒ、生誕70年記念盤ということで、初発売のベートーヴェンがCDで登場(1931年生れ)。
ジャケット表のポートレートに漂う巨匠の風格に惹かれて手に取ったところ、折しも店内に当盤の終楽章が流れており、音楽もなかなかに巨匠風。これはこれは…と購入することにした。
調べてみると、彼はヘルマン・アーベントロートに学び、その強い影響を受けたということなので、独墺系の正統的かつ雄大な「エロイカ」が期待できそうである。
録音自体は1982年6月、ベルリン・クリストゥス教会でのスタジオ録音。指揮者50歳、ベルリン響の首席指揮者時代の終わり頃ということになる。
なお、ヘルビヒはベルリン響離任後、デトロイト響トロント響などのポストを経て、2001年からザールブリュッケン放送響の首席指揮者の地位にある。
 
モーテン・ソイテン(Vc)
バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲) ほか(CLASSICO)
音盤屋でセール中のCDにバッハ;無伴奏を見つけた。
格安価格と「カザルスを思わせる深みのあるバッハ」という惹句につられて(笑)、購入。
もっともポール・トルトゥリエに師事したというから(→ここを押して)、期待できそうだ。
そういえばジャケットの顔写真も、なんとなくミクローシュ・ペレーニに似ているような気がしてきた(爆)。
1951年生れ、デンマークを代表するチェリストとのこと。上記ページには「デンマーク国立放送響の首席チェロ奏者」とあるが、オーケストラの今シーズンの楽員名簿には名前がないので(→ここを押して)、あるいは独立したのだろうか。

3月16日(土): 

 MikrokosmosArs AntiquaからLPが届いた。

タウノ・ハンニカイネン(指揮)モスクワ放送響
シベリウス;悲しきワルツ ほか(蘇MELODYA、LP)
フィンランドの名指揮者ハンニカイネンのシベリウスというので飛びついてオーダー。8インチ盤だが、そんなことに構ってはいられない。
ヤルネフェルト;子守歌
クラミ;テルヘンニエミ 『カレヴァラ』組曲より
をカプリング。
 
カルロ・ゼッキ(指揮)イタリア放送管
コレッリ;合奏協op.6-1&ジェミニアーニ;合奏協op.3-2(米CETRA-SORIA、LP)
少しずつ集めている名匠ゼッキの指揮盤を見つけてオーダーしたもの。
データ不詳だが、モノラル初期の録音製作か。
 
パブロ・カザルス(指揮)プラド音楽祭管 ほか
バッハ;ブランデンブルク協第4・5番(仏Columbia、LP)
カザルスのブランデンブルク協、モノラル旧録音からの1枚。
独奏は、
ユージン・イストミン(P、第5番)
ヨゼフ・シゲティ(Vn、第5番)
アレクサンダー・シュナイダー(Vn、第4番)
ジョン・ウンマー(Fl、第4・5番)
と錚々たる顔ぶれ。
米盤LPも架蔵しているのだが、盤面の状態が非常に悪く、廉価な仏盤を見つけたのでオーダーしてみた。
 
ティボール・ヴァルガ(指揮、Vn)ハンブルク室内管 ほか
バッハ;ブランデンブルク協第4番 ほか(仏Musica et、LP)
蒐集しているヴァイオリニストの一人、ヴァルガの未架蔵LPを見つけたのでオーダー。
表記のブランデンブルクは、おそらく"Tibor Varga Collection"CDの第22巻に収録されているのと同じ音源(1962年録音)。
三重協奏曲BWV1044をカプリング、こちらは初めて聴くもの。
 
アンネローゼ・シュミット(P)ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ドレスデン・フィル
ブラームス;P協第2番(独ETERNA、LP)
ケーゲルの遺産の中で未架蔵だったものをカタログに見つけたのでオーダー。意外に見ない盤である。
1979年、日本コロンビアとの共同製作。最初期のデジタル録音のはずだが、当盤のジャケットには録音方式への言及がない。
 
アーヴェ・テレフセン(Vn)ガリー・ベルティーニ(指揮)スウェーデン放送響
ショスタコーヴィッチ;Vn協第1番(独BASF、LP)
「北欧のオイストラフ」ことテレフセンのショスタコーヴィッチ!
ベリルンド(ベルグルンド)とのCDは架蔵しているが、LP、しかもベルティーニとの共演盤があろうとは… 驚愕してオーダーしたもの。BASFレーベルが短命だったために埋もれてしまったのだろうか。
マルPは1973年、テレフセンも若くメカニカルな面では全盛期といえる頃の録音であろう。大いに期待したい。
ジャケットはヴァイオリニストと作曲者のツー・ショット写真。
彼は、この秋東京響広島響に来演してこの曲を弾く。聴きたいものだが、行くことができるだろうか?
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)アンドラーシュ・リゲティ(指揮)ブダペシュト響 ほか
ショプロニ;Vc協第2番 ほか(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニの未架蔵音源、狂喜してオーダー。
ヨーゼフ・ショプロニ(Soproni,Jozsef)は1930年生まれとのこと、詳しいバイオなどは記されていないが、ハンガリーでは有名な人なのだろうか。Vc協第2番は1984年の作。
交響曲第3番「シンフォニア・ダ・レクイエム」(1980年)をカプリング。
こちらはアダム・メドヴェツキー(指揮)ハンガリー放送響で、イローナ・トコディらが歌っている。
 
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)パーヴェル・ギリロフ(P)
R・シュトラウス;Vnソナタ&ブゾーニ;Vnソナタ第2番(独AULOS、LP)
独墺系の王道ヴァイオリニスト、ガヴリーロフの音盤を集めているところ、未架蔵盤がカタログにあったのでオーダー。
シュトラウス作品は、op.18の若書きながら、近年注目されているし、ブゾーニの曲も面白そうである。
1985年1月のデジタル録音だが、CDは出ているのだろうか?
 
潮田益子(Vn) ほか
チャイコフスキー;憂鬱なセレナード・メロディ ほか(蘇MELODYA、LP)
おそらく潮田さんが1966年のチャイコフスキー・コンクールで第2位に入ったときの記念盤、こういう実力派の音盤は聴いておきたいとオーダー。
標記のほか、
パガニーニ;奇想曲第11番
バルトーク;狂詩曲第1番
外山雄三;Vnソナタ
を収録。外山作品は初めて聴くもの。
 
アルト・ノラス(Vc)タパニ・ヴァルスタ(P、Org)
チェロ小品集(芬finnlevy、LP)
ノラス師匠の名盤のオリジナルLPがカタログにあったのでオーダー、目出度く落手できた。
フレスコバルディ;トッカータ
バッハ;アリア
ラフマニノフ;ヴォカリーズ
シベリウス;ロンディーノ
ヒナステラ;トリステ
など、名品の名演12曲を収める。
そのままCD化されたが、現時点でカタログから消えているのは残念(一部の曲はオムニバスものに収録)。
 
ラルス・ルース(P)
ステーンハンマル;晩夏の夜 ほか(波MUZA、LP)
ステーンハンマルの未架蔵音源を見つけたのでオーダー。
元来は瑞Capriceレーベルから"RIKS LP 20"という番号でリリースされた模様。ポーランド国内でプレスされたのには、何か理由があったのだろうか?
モーツァルト;Pソナタ 変ロ長調 K.570
ほか小品3曲を収録。
 
ビルギット・フィンニレ(A)ダグ・アシャツ(P)
シューマン;「女の愛と生涯」 ほか(蘇MELODYA、LP)
ザンデルリンクマーラー;大地の歌(Berlin Classics)で名前を知っていたフィンニレのリサイタル盤。
おそらく1971年、旧ソ連を演奏旅行した機会に録音されたもの。
片面はシューマンだが、裏面でヴィヴァルディブラームスヴォルフ等の最後に、
ステーンハンマル;「薔薇に」 『牧歌と警句』からの5つの歌 op.8
を歌っているのでオーダー。
 
セーゲル・ファンデルステーネ(Ten)レーフェンテ・ケンデ(P)
リリー・ブーランジェ;歌曲集「空のひらけたところ」(白TERPSICHORE、LP)
ブーランジェ作品の未架蔵盤を見つけたのでオーダー。
マルP1985年、既にCD化されており、そちらは架蔵済み。
CDには"ADD"と表記されているので、アナログ最末期の録音らしい。オリジナルのLPを入手できたことを喜びたい。
不思議なことに、ジャケット裏に「日本及びアジア発売元:フォンテック社」と日本語で記載されている。国内発売された記録はないのだが、あるいは輸入盤扱いで流通していたのだろうか?

 今日到着した音盤の情報をステーンハンマル・作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィペレーニ・ディスコグラフィに追加。


3月14日(木): 

 

イェフディ・メニューイン(指揮)ロイヤル・フィル
ヘンデル;管弦楽曲集第1・2巻(RP Records)
メニューイン晩年の指揮盤の未架蔵音源を見つけたので購入。
ジャケット等にデータの記載がないが、以前、ASVレーベルから発売されていたものを再編集したものであろう。1986年録音のはずである。
第1巻には
水上の音楽
王宮の花火の音楽
「アマリリス」組曲(ビーチャム編)
第2巻には
序曲 ニ短調
The Gods Go a Begging
シバの女王の入場
Handel at Bath
忠実な羊飼い
を収める。
英字表記の2曲は詳細不明、これらもビーチャムあたりの編曲か。

3月12日(火): 

 

トマス・ダウスゴー(指揮)デンマーク国立放送響
ベールヴァルド;交響曲第3・4番ほか(CHANDOS)
北欧音楽を好む斉諧生だが、シベリウスステーンハンマル以外の作曲家については、網羅的に集めることは、あまりしていない。
例外の一つがベールヴァルドの交響曲で、見つければ買い求めている。
最近あちこちのレーベルで活動しているダウスゴーによる新録音が出ていたので購入。4曲の中で最も好きな第3番「サンギュリエール」を含んでいるのが嬉しいところ。
「妖精の踊り」をフィルアップ。
 
岡田博美(P)湯浅卓雄(指揮)アルスター管
矢代秋雄;交響曲・P協(NAXOS)
NAXOSの「日本作曲家選輯」(「輯」の字を使っているところが渋い)で、最も楽しみにしていた1枚がようやく店頭に並んでいたので購入。
何といっても矢代の交響曲は愛惜佳曲書に掲載した曲であり、音盤が出れば買っている。
閑古鳥の部屋でも、演奏内容を高く評価しておられるので、期待したい。
 
レジ・パスキエ(Vn)アラン・ロンバール(指揮)国立ボルドー・アキテーヌ管ほか
ブラームス;交響曲全集・Vn協ほか(FORLANE)
フランス系奏者としては「強い」Vnを弾くパスキエ、前に実演を聴いたときに感心したことがあり、音盤も集めている。
ブラームスの録音があるというので捜していたのだが、交響曲全曲ほかとの5枚組でしか見つからず、いくらなんでも…と控えていた。
今日、帰りがけにふと立ち寄った音盤屋のワゴン・セールで約6割引、廉価盤2枚分くらいの値付けになっており、千載一遇の好機、シメシメと購入。
ロンバールのドイツ音楽というのも面白いかもしれない。どこかで「時々、飛んでもないことをする指揮者」という評を見かけたことがある。
悲劇的序曲・大学祝典序曲・ハイドン変奏曲に加え、Vn&Vcの二重協も含まれている。後者のソリストはロラン・ドガレイユ(Vn)とエティエンヌ・ペクラル(Vc、原綴 Péclard で読みは当て推量)。
全曲、1990年6月の録音とのこと。
 
エディト・ヴォルカルト(Vn)セオドア・ブルームフィールド(指揮)ヴランデレン管
ブラームス;Vn協(René Gailly)
昨日久しぶりに足を止めた音盤屋に、René GaillyのCDが並んでいた。活動停止という情報が流れているレーベルなので、しげしげと見ていると、この盤が目についた。
たしか持っているはずと思って帰宅して調べると、LPがあるがCDは架蔵していない。
久しぶりに聴いてみると、これが素晴らしい。テンションが高いというか音楽に勢いがあるというか、敢えて「小ヌヴー」と喩えてみたいブラームスだった。
CDも欲しくなってしまい、今日、再度、立ち寄って購入。
録音は1983年、LPが出たのは、その翌年くらいか(国内盤扱いで発売されたのが1984年11月)。CDは、ヴァイオリニストが1992年に43歳で亡くなった追悼盤として出たようだ。
めぼしい経歴は1971年のエリーザベト王妃コンクールの5位入賞くらいだが、ベルギー国内ではずいぶん愛され評価されていたようだ。ブックレットに記されたオビチュアリが泣かせる。
 
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)カレル・アンチェル(指揮)ベルリン・フィルほか
ストラヴィンスキー;Vn協&ショスタコーヴィッチ;交響曲第10番(DGG)
DGGの"ORIGINALS"シリーズの新譜が何点か並んでいた。幾つか興味を惹かれたものもあったが、買ったのはこれだけ。
ウィーンのヴァイオリニストの代表のような人とストラヴィンスキーとの組合せに違和感を覚えていたのだが、先日、知人と話していると、この演奏を非常な名演と評価しておられた。
気になっていた矢先にリリースされたので「渡りに舟」と購入したもの。
1962年のステレオ録音で、アンチェルとベルリン・フィルの顔合わせも珍しかろう。
カプリングのショスタコーヴィッチ(こちらはチェコ・フィル)は、あまり気にしていなかったのだが、例によって工藤さんのページを拝見すると、
第1楽章のクライマックスの金管の叫びには、背筋の凍るような思いをさせられる。全編に渡って攻撃的な音楽が繰り広げられるが、表現の懐は実に深く、一本調子に陥ることがないのも素晴らしい。(中略)演奏本位で考えると間違いなくトップ・クラスの演奏である。
との高い評価。リマスタリングの成果にも期待したいところだ。
1955年10月、ミュンヘン、ヘルクレス・ザールでのモノラル録音。

3月11日(月): 書店で新刊 中野雄 『なるにはBOOKS 音楽家になるには』(ぺりかん社)を見つけ、購入。著者は、TRIOやART UNIONのプロデューサーとして活動、最近では著書『丸山眞男 音楽の対話』『クラシックCDの名盤』(ともに文春新書、後者は共著)で高名である。

 本を読んで音楽家になろうという発想や、この本が読める程度の年齢(高校生程度?)になってから志を立てることに、果たして意味があるのかどうか…(嘆)。
 とはいえ、昔は『新聞記者になるには』とか『看護婦になるには』という雰囲気だったこのシリーズ、最近では『お笑いタレントになるには』『自然保護レンジャーになるには』『杜氏になるには』といった調子であるから、まあ、不思議ではないともいえよう。→ここを押して

 大真面目に書いておられる著者には少々申し訳ないが、"how to"部分は、いわゆる「ネタ」としてしか読めないのではないか。「教師選びとコンクール」はともかく「自主リサイタルを開く」「CDを制作する」と続くのであるから…。以下、「CDを制作する」の章から引用。

 では、どうすれば「音の名刺」であるあなたのCDがつくってもらえるだろうか。
 フィリップス、ドイツ・グラモフォン、ソニー・ミュージックなど、世界のメジャーレーベルから声がかかってCD録音が行われるアーティストはきわめて少ないと私は書いた。あなたの場合、座って待っていても機会は永久に訪れない可能性が高い

 否定的なことから書いてしまったが、にもかかわらず、買ったのには理由がある。
 上記の"how to"は、実は本のごく僅かな部分を占めるに過ぎない。大半は、親交のある指揮者・演奏家からの聞き取り・対話の記録で、それが実に興味深い。
 人選も面白く、小澤征爾内田光子小山実稚恵天満敦子諏訪内晶子といったビッグ・ネームもさることながら、三石精一(指揮)、田村宏小森谷裕子(以上P)、藤原浜雄安芸晶子(以上Vn)といった渋筋が登場するのである。

 

アンドレ・イゾワール(Org)エドモン・コロメール(指揮)ピカルディ管
プーランク;Org協・シンフォニエッタほか(assai)
先日フォーレを買ったピカルディ管、パリッとしたサウンドが気に入ったので、公式Webpageのディスコグラフィで見つけたプーランクを購入。
Org協は好きなので、新譜の時に買おうかどうしようか迷ったあげく棚に戻した盤が、まだ残っていたので(笑)、今日はレジへ連れていった。
使用楽器は、ラオン(Laon)司教座教会設置のH.Didier作(1899)。
フランス組曲をカプリング。
 
トルルス・モルク(Vc)ホーヴァル・ギムセ(P)ほか
グリーグ;Vcソナタ・弦楽四重奏曲(Virgin)
「チェロの貴公子」モルクの新譜が出ていたので飛びついて購入。
ソナタは、1993年にジャン・イヴ・ティボーデとの共演で同じレーベルに録音している。
今回(2000年9月)は、ノルウェー・トロルハウゲンのグリーグ博物館(作曲家旧邸)において、所蔵のピアノを用いて録音した…というから、↓2月25日の項に書いたアンスネス抒情小曲集盤(EMI)と同じ趣向である。
ラース・アネルス・トムテル(Va)等と組んでの弦楽四重奏曲は、もちろん初めて、2000年10月オスロでの録音。

3月10日(日): 

 昨日購入した音盤の情報をカザルス・ディスコグラフィ(2)に追加。


3月9日(土): 書店で新刊 朝岡聡 『笛の楽園 僕のリコーダー人生』(東京書籍)を見つけ、購入。著者はもちろん「ニュースステーション」等で有名なアナウンサー(現在はフリーとのこと)。
 好楽家でおられることは夙に有名だが、「製作家に注文製作してもらった木製リコーダーも10本以上…」というリコーダー・マニアだとは知らなかった。
 リコーダー名曲の紹介(これもかなりマニアック。パーセル;3本のリコーダーのためのシャコンヌ ヘ長調など)、某銘器コレクションの紹介(美麗カラー口絵多数)も魅力的。

 

パブロ・カザルス(指揮)ペルピニャン音楽祭管ほか
「カザルス音楽祭−ペルピニャン 1951 II」(Pearl)
カザルスの指揮盤がCD復刻されていたので吃驚、直ちに購入。
2枚組の収録曲は、
モーツァルト;交響曲第29番
モーツァルト;Vn協第5番(エリカ・モリーニ(Vn))
モーツァルト;協奏交響曲K.364(アイザック・スターン(Vn)ウィリアム・プリムローズ(Va))
モーツァルト;Fl協第1番(ジョン・ウンマー(Fl))
と、Vc独奏によるベートーヴェンの2つの「魔笛」による変奏曲(ルドルフ・ゼルキン(P))
米COLUMBIA音源で、既にSony ClassicalからCDが出ているものも多い。上記ではFl協が初復刻か。
いくつか比較試聴してみたが、概ね明瞭度はPearl盤の方が高い。特に日Sony盤しかないVn協やK.364での差は顕著。
交響曲では仏Sony盤と一長一短か。Pearl盤は明瞭だが痩せた感じ、Sony盤は歪みが残っているが音に力がある。
なお、タイトルに「II」とあるが、「I」が出ているのかどうかは不明。PearlのWebpageは、「II」も未掲載である。
 
オットー・クレンペラー(指揮)王立デンマーク管
ベートーヴェン;交響曲第3番&ブラームス;交響曲第4番ほか(TESTAMENT)
クレンペラーの未発表ライヴが出ていたので購入。標記2曲は、ある意味でクレンペラーの二枚看板、このディスクでも名演を期待している。
ブラームスは1954年1月28日、ティヴォリ・コンサート・ホールでのライヴ録音。
同日演奏された
ベートーヴェン;「レオノーレ」序曲第3番
モーツァルト;交響曲第29番
をカプリング。
2枚目はベートーヴェン1曲のみを収録、こちらは1957年4月26日、同じホールでのライヴ。
いかにも実況録音風の、ややマイクが遠く細部が残響に埋もれる感じだが、聴きやすく美しい音質。
 
カール・シューリヒト(指揮)ウィーン・フィルほか
ブルックナー;交響曲第8番ほか(IMG)
『20世紀の大指揮者』シリーズ、シューリヒトは既発音源ばかりなので見送っていたのだが、標記ブルックナーがリマスタリングされて音質一新というので購入。
なにぶん、クナッパーツブッシュ盤(Westminster)、ケーゲル盤(PILZ)と並んで、同曲音盤のベスト・スリーに数えている名演だけに、聴き逃すことはできない。
架蔵してきた独EMI"CDZ25 2925 2"と比較試聴したが、音のボディがしっかりし、音場の厚み・奥行きが増して、改善のあと著しい。輸入盤量販店では1,500円程度で取り扱っていることも考えれば、買い換える価値はあるだろう。
2枚組の1枚目には、
モーツァルト;交響曲第35番「ハフナー」(DECCA音源)
ベートーヴェン;交響曲第1番(これのみパリ音楽院管、EMI音源)
シューベルト;交響曲第8番「未完成」(DECCA音源)
メンデルスゾーン;序曲「フィンガルの洞窟」(DECCA音源)
を収録。
 
フェリックス・スラトキン(指揮)ハリウッド・ボウル響ほか
ガーシュウィン(ラッセル・ベネット編);交響的絵画「ポーギーとベス」ほか(UNESCO CLASSICS)
見つけ次第買っているラッセル・ベネット編曲の未架蔵盤が廉価で出ていることに気づき、さっそく購入。
輸入元が付けた帯によれば「代金の一部がユネスコに寄付され」るという触れ込み、音源はEMI、Disky社の製造販売である。
もっとも、「録音;1990」と刷り込んであるのは感心しない。そもそも、指揮者は1963年に没している。1990年は、デジタル・リマスタリングされ初めてCDの形で発売された年ではないか。
検索してみると、この指揮者を扱ったWebpageが見つかったが(→ここを押して)、ディスコグラフィに録音年代は記載されていなかった。
レナード・ペナリオ(P)を独奏に迎えての
ラプソディ・イン・ブルー
3つの前奏曲
パリのアメリカ人
をカプリング。
 
フランティシェク・イーレク(指揮)ブルノ響ほか
カプラロヴァ;作品集(MATOUS)
Webをうろうろしていて、ふと、夭折の女性作曲家を見つけた。ヴィチェスラヴァ・カプラロヴァ(1915〜1940)である。→ここを押して
マルティヌーと親しく、ナディア・ブーランジェに作曲を学んだ時期がある…というので、俄然、関心を持った。もしかしたら「第2のリリー・ブーランジェ」を発見することができるかもしれない。
出世作軍隊風シンフォニエッタ(1937)をはじめ、絶筆リトルネロ(1940)まで、代表作7曲を集成したアルバムが店頭にあったので購入。
 
ヘルマン・クレバース(Vn、指揮)アムステルダム室内管
アルビノーニ;アダージョ&ペルゴレージ;コンチェルト・アルモニコ第1番ほか(Sony)
中古屋でクレバースの未架蔵盤を見つけ、歓喜して購入。
1960年代半ばの録音で、標記2曲をはじめマルチェッロマンフレディーニなどバロック系の8曲を収録している。
 

3月6日(水): 

 Alapage.comからCDが届いた。

フレデリク・プラッシー(Vn)ペテル・フェラネツ(指揮)オストラヴァ・ヤナーチェク・フィル
ベートーヴェン;Vn協&ロマンス第1・2番(BNL)
斉諧生的には最も思い入れのあるヴァイオリニストの一人、プラッシー。
ふとAlapage.comで検索したら、ベートーヴェンの新譜が発売予定になっていたので、毎日のようにチェック、ようやくリリースされたのでオーダー。
彼の高音の美しさはピカイチ(死語か(笑)?)、ぜひぜひ耳にしていただきたいものである。来日公演を待ち望んでいるのだが、果たしてステージで聴ける日が来るだろうか…?
2001年10月、チェコ・オストラヴァでの録音。オーケストラの公式Webpage(→ここを押して)によれば、10月11・12日の定期演奏会に登場しており、その前後に録音されたものであろう。
なお、ジャケットには、"Cadences de Rodolphe Kreutzer"と表記されている。
ロドルフ・クロイツェルといえば、ベートーヴェンVnソナタ第9番を献呈されたヴァイオリニスト・作曲家(1766〜1831)だが、聴いたかぎりでは、最もよく用いられるクライスラー作のカデンツァと変わりないように思える。
 
ヴィクトリア・ムローヴァ(Vn)アンドレ・プレヴィン(指揮)ロイヤル・フィル
ショスタコーヴィッチ;Vn協第1番&プロコフィエフ;Vn協第2番(Philips)
このところ、買い続けている渡辺和彦『ヴァイオリニスト33』の参考CDから。
同書に特段のコメントはないが、工藤さんのショスタコーヴィッチ・ページでは、
技術的には抜群の出来。特に第2楽章の切味は最高。第1楽章や第3楽章での表現にもう少し深さを要求したいところではあるが、雰囲気は十分出ている。プレヴィンの伴奏もツボを押えた優れたもの。
と、星4つ半の高い評価が与えられている。→ここを押して
なぜか、このヴァイオリニストの輸入盤は手に入りにくくなっており、方々の店舗と通販サイトを捜した末、Alapage.comで見つけてオーダーしたもの。
 
ニコラス・ドトリクール(Vn)ロラン・ヴァグシャル(P)アリー・ファン・ベーク(指揮)オーヴェルニュ管
ショーソン;Vn、Pと弦楽四重奏のための協奏曲ほか(Calliope)
見つけ次第買っているショーソンの佳曲の新譜(2001年10月録音)が出ていたのでオーダー。
なぜか、通常は弦楽四重奏のところを弦楽合奏で演奏している。ライナーノートにも特段の記述はない。
独奏2人はともにパリ音楽院出身の若手。ヴァイオリニストはカントロフの、ピアニストはイヴォンヌ・ロリオ及びベロフのクラスを卒業して、活躍中とのこと。
メンデルスゾーン;VnとPのための二重協奏曲ニ短調をカプリング。

3月5日(火): 月刊『大阪人』4月号で、朝比奈隆氏の追悼特集を組んでいる。→ここを押して
 関係者・知人のコメントが中心で、目新しい情報には乏しいものの、氏の存在の大きさが、まざまざと伝わってくる。
 なお、宇野功芳師が、「朝比奈隆の名盤ベスト5」を選定しておられる。すなわち、

ベートーヴェン;交響曲第3番(1977年、VICTOR)
ベートーヴェン;交響曲第9番(1997年、CANYON)
ブルックナー;交響曲第3番(1993年、CANYON)
ブルックナー;交響曲第7番(1975年、VICTOR)
ブルックナー;交響曲第8番(2001年、EXTON)

というもの(順位は付されていない)。コメントについては書店で御確認を。


3月4日(月): 

 Alapage.comからCDが届いた。

エドモン・コロメール(指揮)ピカルディ管ほか
フォーレ;組曲「マスクとベルガマスク」・組曲「ペレアスとメリザンド」ほか(assai)
『レコード芸術』3月号「海外盤試聴記」で紹介されていたCD。
フォーレの管弦楽曲、特に「マスクとベルガマスク」は昔から好きな曲なので、ぜひ聴きたいとオーダーしたもの。
上記記事によれば
よく訓練された弦の歯切れのよい合奏や、上品なブレンド感で淡彩の美しさを打ちだした木管は耳に心地よく、(中略)アルカイスムが趣味よく再現されているのは聴きものだ
と評価されており、期待したい。
ピカルディ管(公式Webpageは→ここを押して)は、メンバー表を見るかぎりでは第1・2Vn合わせて14人、Va・Vc各4人、Cb2人、2管編成で、Hrn以外の金管はエキストラを呼ぶ様子。
エマニュエル・ストロセール(P)の独奏によるバラード・幻想曲をカプリング。
 
ウルズラ・ホリガー(Hp)ヨハンネス・シュレーフリ(指揮)バーゼル室内管ほか
ヒナステラ;Hp協&ピアソラ;タンガーソほか(pan)
見れば買うことにしているヒナステラのHp協、架蔵漏れがあったのでオーダーしたもの。
たしか独奏者はハインツ・ホリガーの奥さんのはず。
標記2曲のほか、
ヴィラ・ロボス;ブラジル風バッハ第5番(Sop独唱 バルバラ・スッター)
ミヨー;ブラジルの郷愁
をカプリング。
 
ローラン・コルシア(Vn)ジャン・マルク・ルイサダ(P)
フランク;Vnソナタ&フォーレ;Vnソナタ第1番ほか(BMG)
LYRINXレーベルから出たイザイバルトーク以来、注目しているコルシアの新譜が出たというのでオーダーしたもの。
小品4曲をフィルアップ。
イザイ;子供の夢ショーソン;私たちの思い出シャミナード;スペインのセレナードドビュッシー;美しい夕暮という、ちょっとひねった選曲で楽しみである。
共演のルイサダ、NHKが放送した1985年のショパン・コンクールのドキュメントで、ブーニン優勝の大騒ぎの中、飄々と表彰式の舞台に立っていた姿を(5位入賞)、今でも思い出す。
 
エッカルト・ルンゲ(Vc)ジャック・アモン(P)
ピアソラ;「ル・グラン・タンゴ」・「アディオス・ノニーノ」ほか(ARS MUSICI)
面白そうなVcのCDがあったのでオーダー。
ピアソラ作品5曲(標記のほかフーガ 9ニ調のミロンガ忘却)と、
ラヴェル;ハバネラ形式の小品ヴィラ・ロボス;アリアファリャ;火祭りの踊りヒナステラ;プネーニャ第2番を収録。
ちょっと「グラン・タンゴ」を聴いてみたのだが、遅いテンポの異色な演奏。ドイツ人が弾くと、ピアソラもこうなるのか。。。
なお、ピアニストはチリ生まれ、なかなかの名手ではなかろうか。公式Webpageを見つけた。→ここを押して

3月3日(日): 昨日届いた『タゴール著作集 第6巻 戯曲集』から「チットランゴダ(チトラ)を読む。
 むせ返るように官能的な、愛の苦悩と快楽の歓びを謳いあげた戯曲で、ほとんど俗に言う「18禁」の世界である(笑)。さすがは『カーマ・スートラ』の国だ。
 サロネン盤のブックレットに、当時の舞台写真が掲載されており(→ここを押して)、ステーンハンマルの音楽の清澄さとの齟齬に首をひねっていたが、この戯曲を読むと納得がいく。

 そのステーンハンマル;「チトラ」の諸盤を聴き比べ。

ヘルベルト・ブルームステット(指揮)ストックホルム・フィル(瑞EMI、LP)
(組曲版)
オーケストラがかなり大きな編成で、そのためか響きにいくぶん鈍重なところがある。特に第2楽章は、随分のんびりした音楽になってしまった。
ただし第3楽章の熱っぽさは評価できる。
録音には古さを感じる(1966年頃)が、オン・マイクで録られたチェレスタは、最も「鐘」らしく響く。
 
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響(MUSICA SVECIAE)
(組曲版)
サロネンが作りだす響きは清澄な上にも清澄、美しさの極み。
弦合奏の精妙な和音とチェレスタの柔らかい響きが聴き手を陶酔させる第1楽章からは、夢幻的な雰囲気が立ちのぼり、終結では浄福感さえ漂う。
第2楽章の序奏の哀切さは他盤から得られない。また、主部の軽やかなこと!
この音楽が、快楽の日々の最後の夜に、最も燃え輝きたい…と願う場面に付されたとは信じがたい。
チットランゴダ(チトラ)姫が愛の苦悩を訴える場面に付されたという第3楽章は、細めに磨き上げられた弦合奏の音色ゆえに、むしろ可憐に響く。
タゴールの戯曲からは最も遠いかもしれないが、斉諧生がステーンハンマルの音楽に求めるものには最も近い。ベストに挙げたい演奏である。
 
ミカエル・バートシュ(指揮)ムジカ・ヴィタエ(INTIM MUSIK)
(組曲版)
第1楽章の弦合奏は響きがまとまりきっておらず、サロネン盤に比べると分が悪い。
もちろん優れた演奏には間違いなく、特に厚みと弾みのある第3楽章は、サロネン盤とは違ったアプローチから、ステーンハンマルの音楽の魅力を描き尽くしている。
 
ネーメ・ヤルヴィ(指揮)ヨェーテボリ響(BIS)
(7楽章版)
オーケストラの響きは、ムジカ・ヴィタエ盤とサロネン盤の中間くらい。癖はないが特長にも乏しいと言えるかもしれない。
第4楽章(組曲版第1楽章)のテンポは指定どおりアンダンテ、これだと戯曲の場面には似つかわしいものの、組曲版の諸盤が採るアダージョに近い遅さの方が、音楽の美しさを活かしている。
第7楽章後半は組曲版第3楽章の後半と同じ音楽だが、ここでも指定どおりアンダンテのテンポを採るので、奇妙に遅く感じる。
これを聴くと、ルーセンベリは上手に組曲を編んだものだと感心せざるを得ない。
 
ウプサラ室内合奏団(LCM)
(弦楽五重奏による7楽章版)
5人とは思えない厚みと温かみのあるいい音で、しかも透明感にも欠けるところがない。
第1楽章(組曲版第3楽章前半)や第3楽章(組曲版では省略)の熱っぽさ、第2楽章(組曲版第2楽章)の濃やかな表情など、素晴らしい音楽である。
ただ、第5楽章(組曲版第1楽章後半)でのチェレスタの音が冴えないのが残念。
 
この団体(編成)で組曲版を演奏すれば、もしかするとベスト盤が生まれるかもしれない。

 ステーンハンマル・作品表とディスコグラフィに、2月27日に届いたPREISER盤の情報を追加。また、附随音楽「チトラ」 op.43のページを大幅に増補し、タゴールの略歴や戯曲のあらすじ等を掲載。

 音盤狂昔録平成14年2月分を追加。


3月2日(土): 福岡の古書店あしび文庫に注文していた『タゴール著作集 第6巻 戯曲集』が届いた。
 先日、ムジカ・ヴィタエ盤を購入したステーンハンマル;組曲「チトラ」について、オリジナルに当たる劇音楽の脚本を確認してみようと思い立ったもの。
 「日本の古本屋」で検索したところ見事にヒット、出品店であるあしび文庫のWebpageからオーダー。わずか4日ほどで落手できた。

 CrotchetからCDが届いた。

ルジェロ・リッチ(Vn)
パガニーニ;奇想曲(DECCA)
このところ、少しずつ買っている渡辺和彦『ヴァイオリニスト33』の参考CDから。
膨大な録音のあるリッチだが、斉諧生的にはあまり印象の良い人ではなかった。
先年、ハチャトゥリアン;Vn協(DECCA)で見直したこともあり、渡辺氏が
敬意と親しみをこめて、むしろ『フィドラー』と呼びたい。
大家は自己の欠点を魅力に変えて芸の一部とする。
と讃える演奏を聴いてみたくなった。
彼の音盤なら、まずパガニーニというわけで、1959年の録音をオーダーしたもの。

平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。
平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。
平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。
平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。
平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。
平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。
平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。
平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。
平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。
平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。
平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。
平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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