音盤狂日録


お詫びとお願い

 去る2月13日深夜、音盤狂日録の執筆中に、突然、ハードディスクが異音をたててクラッシュしてしまいまいした。(T_T)
 当「斉諧生音盤志」のデータは、もちろんサーバー上にありましたし、一部の失われたファイルは知人がローカルに保存していたものを送ってもらったりして、復元できています。
 ところが、メールについては、バックアップもとっておらず、全部消失してしまいました。
 誠に申し訳ありませんが、返信がこないと思っておられる方、お手数をかけますが、よろしければ再度送信してくださいますよう、お願い申し上げます。<(_ _)>


2月29日(火): 閉店間際の音盤屋と書店に駆け込んでから帰宅すると、Barnes & Nobleから本1冊とCD1枚が届いていた。
 本は、"GREAT CONDUCTORS in Historic Photographs"(Dover)という100頁弱の写真集。
 1860〜1960年に活躍した指揮者のポートレート(ほとんどは営業用のもの)を集めている。
 残念なことに、ポール・パレーら、指揮列伝に立伝した人の写真が、1枚もない。
 オシップ・ガブリローヴィチファビアン・セヴィツキーなど、相当マイナーな人まで掲載されているというのに。
 なお、同じシリーズに作曲家篇、器楽奏者篇、歌手篇があり、それらは楽譜屋のDover版の棚によく見かけるが、この指揮者篇は見たことがない。上記Barnes & Nobleのサイトの"Out of Print"の検索で発見してオーダーしたもの。
 送料込みで24ドル弱、まずまずお買い得だったと思う。

 

エリオット・カーター;室内楽曲集(Arion)
カーターというと前衛バリバリのイメージで、壮年の作曲家を想像するのだが、1908年生まれというから随分高齢である。
ふつうならこういう盤を手にすることはないのだが、アルト・ノラス師匠が録音に参加しているとあらば、買わざるべからず。
"Con Leggerezza Pensosa"(1990年、Cl・Vn・Vc三重奏曲)
"Enchanted Preludes"(1988年、Fl・Vc二重奏曲)
の2曲、合計約11分に登場しておられる。
そのほかの演奏者は、モーリス・ブールグ(Ob)、パトリック・ガロワ(Fl)、ミシェル・レティック(Cl)、ジェラール・プーレ(Vn)ら、フランスの名手ばかり。
1999年4月、パリでの録音。
 
ネヴァ・ピルグリム(Sop)スティーヴン・ヘイマン(P)ほか、「女性たちの声;歌の500年」(Leonarda)
リリー・ブーランジェ全録音蒐集プロジェクトの一環としてオーダーしたもの。
歌曲集「空のひらけたところ」から、第6曲"Si tout ceci n'est qu'un pauvre rêve"のみ、収めている。
それ以外は、アン・ブリン(1507〜1536、ヘンリー8世の2人目の妃ですな)の作と伝えられるものからエリザベス・ヴェルコー(b.1941)なる人まで、28人の女性作曲家の歌曲を収録。
もちろん定番のファニー・メンデルスゾーンクララ・シューマン、あるいはアルマ・マーラーといったところの作品も欠いてはいない。
Leanardaは、アメリカの女性作曲家専門レーベル。Webpageもある。→ここを押して

2月27日(日): 

 朝寝を決め込むいつもの日曜と違って、7時起き。それというのも…

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響、シベリウス;交響曲第1・2・7番
これはWOWOWの放送を視聴。
スウェーデン放送協会が全曲を収録したものを3回に分けて放送する、第1回。
放送順は1・7・2番で、収録は1番が1996年、あとの2曲は1992年。
 
全体に、求心力の強い、緊張感の高い演奏で、まことにシベリウスの音楽にふさわしい、素晴らしいものだった。
速めのテンポで進んだ第2番、終楽章で主題が全貌をあらわすところも敢えて速いテンポを一貫させたのは見事な着想。素晴らしかった。
第1番では緩急の振幅を大きくつけていたが、第7番は静謐な響きが美しく、中でも終結で弦合奏だけになるところなど、感涙もの。
「感涙」といえば、第2番の第2楽章で、指揮者の両目から、本当に、こぼれていたのには吃驚。
 
演奏にライヴ的な感触があった割に、映像はかなり緻密にカット割りされたものだった。カメラやマイクもほとんど見えず、会場(ストックホルム・ベルワルド・ホール)も無人の様子で(一瞬だけ人で埋まった客席が映るカットがあったが)、ひょっとしたら、映像と音声は別録りかもしれない。
いずれにせよ、映像のDVD化か、音声だけCD化するか、一般に発売してほしいものである。>Sony Classical様、よろしく。
 
来週日曜(3月5日)には第3・4・5番の放送が予定されている。
 
ところで、解説の奥田佳道氏が、
「(サロネンには)日本にも熱狂的なファンがいて、『サロ様』などと(笑)、アイドル的な人気も」云々と喋っていたが、斉諧生の知る範囲では、該当者は一人だ。(爆)

 午後からは演奏会へ出かけた。
 京都市交響楽団特別演奏会(指揮:岩城宏之)@八幡市文化センターである。
 初めて行くホールだが、音響は非常に良い。開演前、軽く鳴らしている楽員の音が、びんびんと、後ろの方のブロックまで飛んでくる。本拠地とは正反対。
 いくぶん席数が少ないのと、交通の便が悪いイメージがあるので損をしているホールだと思う。京阪本線の八幡市駅から約1.5kmと、そんなに遠くないし、今日はホールへ直通の臨時バスも出て、非常に便利だった。
 座席の間隔が狭くて足元が窮屈なのと、ロビー周りが貧相なのは残念。

岩城宏之が京響を指揮するのは珍しいと思うが、オール・ベートーヴェン・プロで、
序曲「コリオラン」
Vn協(Vn:加藤知子)
交響曲第7番
というもの。
お目当ては加藤知子さんのヴァイオリン。知人に熱烈なファンがいて、ぜひ一度とお誘いいただいていたのである。
 
その加藤さん、良く鳴り、良く歌うヴァイオリンで、なかなか良かった。
中でも第2楽章、弦楽のピツィカートに乗って歌うところが素晴らしく、感心した。
音程が斉諧生の好みとは少し異なったのが残念。音色や歌い方などは、いわゆるジュリアード系ヴァイオリニストと違っていて好感が持てただけに…。
カデンツァはクライスラーのものを使用。ソリストのアンコールは無し。
 
序曲・交響曲は、内声部をきっちり鳴らしてガッチリ組み上げた音楽で、オーケストラも気合いの入った演奏ぶり、まずまず京響としては上乗の出来映え。
管楽器をだぶらせない二管編成だったが、弦は通常の14型。交響曲の第2楽章のクライマックスで木管の音型が不鮮明になったのは惜しまれる。
ホルンを強奏させるなどコクと厚みのある響きが指向されていたと思うが、その分、トランペットの深みのない音色が目立つことになった。オーボエと並んで、強化を要すると思われる。
第1楽章→第2楽章と、第3楽章→第4楽章は、アタッカで入った。後者はよくあるが、前者は珍しいだろう。吃驚した。
 
特別演奏会らしく、アンコールつき。やはりベートーヴェンで、トルコ行進曲
打楽器出身ということからか、岩城さんがトライアングルを叩いて指揮するというパフォーマンス、ちょっと「題名のない音楽会」ふう。

 演奏会の帰りに音盤屋を覗くと、BBCのライヴ・シリーズの新譜が並んでいたので購入。

カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)フィルハーモニア管、ムソルグスキー(ラヴェル編);「展覧会の絵」&チャイコフスキー;交響曲第6番「悲愴」(BBC Legends)
1961年9月7日、エディンバラ・アッシャー・ホールでのライヴ録音。
重量級の2曲の組み合わせ、まるでマルケヴィッチのようなプログラミングだが、一晩の演奏会の記録である。
1961年といえばフィルハーモニア管は少し盛りを過ぎた頃だが、新進気鋭(当時)ジュリーニの気迫溢れる演奏を期待して購入。
モノラルだが、試聴してみたところ、状態は非常に良い。
 
ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)BBCノーザン響ほか、マーラー;大地の歌(BBC Legends)
1972年4月28日、マンチェスター・ホールズワース・ホールでのライヴ録音。
ホーレンシュタインのマーラーは、ユニコーン・レーベルの第1・3・6番やEMIの第4番をはじめ、けっこう引き締まった好演が多く、今回の「大地の歌」にも期待して購入。
歌手はジョン・ミッチンソン(Ten)、アルフレーダ・ホジソン(A)。
まずまず良好なステレオ録音である。約3分のインタビューつき。
 
マイラ・ヘス(P)マルコム・サージェント(指揮)BBC響、ベートーヴェン;P協第2・5番(BBC Legends)
バッハ;主よ人の望みの喜びよのピアノ編曲で名高いマイラ・ヘスのベートーヴェン、どんなものかと興味を起こして購入。
ブックレット所載の写真に見る彼女、あのバッハの曲趣に似合わぬ(失礼!)ごつい体格だったので吃驚。
第5番が1957年9月12日、第2番が1960年8月12日、いずれもロイヤル・アルバート・ホールでのライヴというから、プロムスでの収録だろうか。
やや古めかしい音の(特に第2番)、モノラル録音。約7分半ほどのインタビューつき。

 昨日届いた音盤の情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。


2月26日(土): 

 

アメリカン・ヴォーカルアーツ・クインテット、リリー・ブーランジェ;「再生」ほか(Titanic)
Compact Disc Connectionからの荷物が届いた。
もちろんリリー・ブーランジェ全録音蒐集プロジェクトの一環。
この曲のCDは既に2つ出ているが、いずれも合唱と独唱で歌っている。四重唱で演奏したものは、これが初めて。
音盤の存在は、つとに浮月斎pseudo-POSEIDONIOS大人から御教示いただいていたのだが、入手できていなかったのである。
このボストンに根拠を置く団体、ライナーノートによると新日フィルと共演したことがあるそうだ。
ブラームス;ジプシーの歌シューマン;ミンネシュピールほかをカプリング(というよりブーランジェがフィルアップなのだが)。

 

飯守泰次郎(指揮)東京シティ・フィル、ブルックナー;交響曲第7番(Fontec)
美しい演奏だが、ちょっと物足りなさも感じた。
第1楽章冒頭、チェロに被さるホルンの音色が利いていて、利いたことのない美しい色合い。
スケルツォのトリオが終わるあたり、109小節から116小節で、ゆったりとかかるリタルダンドも、最高に美しい。ここだけでも聴く価値がある。
ノヴァーク版だとアッチェランドの指定がある第1楽章コーダも、いっさい加速せず、堂々と締めくくるあたり、また、弦合奏の対位法を生かした立体感など、飯守のブルックナー解釈は素晴らしい。
ただ、手放しで褒めるわけにもいかない。
ヴァイオリン合奏が高音域で貧相な響きになるのが残念。また、ライヴゆえの安全運転か、第1楽章(359〜362小節あたり)や第2楽章のクライマックスで、金管が盛り上がりきらないのには、少々不満を覚えた。
アダージョの頂点、ノヴァーク版に従って打楽器が加わるあたりの響きは壮麗だが、それを導く(はずの)トランペット吹奏(172〜175小節)や、そのあとの(ひょっとしたら真のクライマックス)ワーグナー・チューバとホルンの最強奏(190〜192小節)などは弱いと思う。やはりシティ・フィルの限界なのだろうか。
ともあれ、まだまだ続きそうなこのシリーズ、今後も期待していきたい。
 
ハンス・グラーフ(指揮)ザルツブルグ・モーツァルテウム管、ブルックナー;交響曲第8番(ノヴァーク版)(VFMO)
必ずしも上手いオーケストラではないのだが(とりわけ木管に弱さが目立つ)、しっかり聴かせるブルックナーになっているのは、さすがだ。
弦合奏の音程にも、そこそこ幅があるのだが、あまり汚くは感じない。↑の東京シティ・フィルとは違う。このへんがヨーロッパ人の身についた和音感覚というものなのだろうか。
フィナーレのコーダのみ、ちょっと巨大さを描ききれない憾みはあるが、満足しながら聴けた。
1994年8月18日、フェルゼンライトシューレでのライヴ。
 
ペトリ・サカリ(指揮)アイスランド響、シベリウス;交響曲第4番(NAXOS)
曲の良さを損なわずに伝える演奏ではあるが、ベスト盤を争うほどのレベルにはない。美しいが、つよさ・緊張感に乏しいと感じた。
第1楽章冒頭の弦合奏の和音は美しいが玄妙な奥行きに欠け、続くチェロ独奏も下手ではないが表出力に乏しい。
清らかな木管のソロは好感が持てるが、優しすぎて音楽の神髄に届かない憾みがある。第2楽章後半(練習番号「K」以降)、曲調が一変するはずのところで顕著。
この曲の核心である第3楽章でも同様の弱点を感じる。弦合奏の磨き方も少々足りず、所々で粗い響きが聴こえるのも残念。
この楽章終結近くでのトロンボーン強奏や、第4楽章後半の金管の「警告」の意味深さなど、光るところもあるので、サカリのシベリウスの今後には期待したいと思う。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ウラディスラフ・ツァルネッキ(指揮)プフォルツハイム南西ドイツ室内管、レオナルド・レオ;Vc協集(ebs)
やはりというかさすがというか、チェロも弦合奏も冴えており、この曲集が、どうして今まで録音もされずに埋もれていたのか、疑問に思わせる。
中でも、ヘ短調の曲(L40)は愁いを帯びた情趣が印象的。
 
ヤーッコ・クーシスト(Vn)ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)ほか、「タンゴ・フォー・フォー TANGO for four」(FINLANDIA)
これは素晴らしい。ヴァユリネンのアコーディオンの雄弁なこと!
クーシストのヴァイオリンも面白い。精一杯、タンゴのヴァイオリンを弾こうとして、それなりにあれこれやっているのだが、すぐにクラシックの音色・音程になってしまうのである。
ただ、フィンランドのタンゴは、ちょっといただけない作品が多い。
 
シュテファン・フッソング(アコーディオン)ヤマダ・ミカ(P)ユリウス・ベルガー(Vc)ピアソラ;「革命家」(THOROFON)
フッソングのアコーディオンは美しいものだが、タンゴ(ピアソラ)特有の「突っかかっていくようなリズム」には欠ける。
ル・グラン・タンゴのベルガーも、いつもの切れ味がないような。

2月25日(金): 

 

飯守泰次郎(指揮)東京シティ・フィル、ブルックナー;交響曲第7番(Fontec)
昨年11月に発売された第4番が素晴らしかった飯守のブルックナー第2弾が出たので、即購入。
前回同様、ノヴァーク版を使用しているが、ライナーノートによれば、テンポ等については変動の小さい演奏になっているという(ハース版の指示に近い)。
とにかく楽しみ。
1999年2月25日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
 
浦川宜也(Vn)モーリーン・ジョーンズ(P)シューマン;Vnソナタ第1・2番ほか(FONTEC)
浦川さんは中欧的な音色が佳く、CDも、たいてい架蔵している。
今回はシューマンのソナタ集。この第2番、特に第3楽章の美しく哀感満ちたメロディは大好きなので、早速購入。
ディートリヒブラームスと合作したFAEソナタ全曲をカプリング。これは珍しい。ブラームスによるスケルツォだけの録音は多いが。
 
荒井英治(Vn)木村徹(P)「パガニーニアーナ」(Meister Music)
東京フィルのコンサートマスター、荒井英治の新録音。
パガニーニの作品「うつろな心」による序奏と変奏曲と、パガニーニにちなんだ他の作曲家の作品4曲
ミルシテイン;パガニーニアーナ
ロックバーグ;カプリース変奏曲
シュニトケ;ア・パガニーニ
ロッシーニ;パガニーニによせてひとこと
を収める。ロッシーニ以外は無伴奏曲。
同じ趣向のアルバムはクレーメルにもあり、ミルシテイン・ロックバーグ・シュニトケの3曲は共通している。
この盤、買おうかどうしようか迷っていたのだが、『レコード芸術』3月号によれば、長岡鉄男氏が
「カミソリのような切れ味を見せるかと思うと、真綿でくるんだようなソフト・タッチの音も聴かせる。歪み感はまったくない。」「方舟でテスト・ソースとして使っている」と録音を絶讃。
斉諧生の音盤購入原則の一つに、「録音が良いというだけでは買わない」というのがある。今回は、演奏・録音合わせて一本、ということで購入。

2月23日(水): 

 

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管、シベリウス;交響曲全集&管弦楽曲集(EMI)
バルビローリのシベリウス録音集成、ファン待望のCD化(輸入盤)である。
交響曲全曲と管弦楽曲9曲、すなわち、
フィンランディア「カレリア」組曲ポヒョラの娘悲しきワルツトゥオネラの白鳥レミンカイネンの帰郷「ペレアスとメリザンド」組曲歴史的情景(抜粋)恋する人ロマンス
が収められている。
実は、これらの演奏、昔に国内盤LPで買ったまま、ほとんどCDでは持っていなかったので大歓迎。
唯一、第4番を「HS-2088リマスター・シリーズ」で架蔵しており、少し聴き比べてみた。「HS2088」の音が茫洋と広がるところ(良くいえば奥行きが深い感じ)がクリアになっている。一般的には今回の輸入盤の方がいいのではないか。
CD5枚組だが2枚用のケースに収納されているのもありがたい。特価4,990円。
 
ケラーQ、キム・カシュカシュアン(Va)ミクロシュ・ペレーニ(Vc)チャイコフスキー;弦楽四重奏曲第3番・「フィレンツェの思い出」(ERATO)
これはamazon.ukから届いた荷物。もちろんペレーニの未架蔵盤ゆえオーダーしたもの。
彼がERATOにも録音していたとは知らなかった。ケラーQはハンガリー出身、そんなところから共演したのであろうか。
かつて国内盤でも出たことがあるのだが、その頃はペレーニのことなどほとんど知らず、見逃していた。
畏友かとちぇんこKlassischer Platzさんに教えていただき、あちこち探して、上記のイギリス・アマゾンで見つけたのである。

2月22日(火): 

 

ユリウス・ベルガー(Vc)ウラディスラフ・ツァルネッキ(指揮)プフォルツハイム南西ドイツ室内管、レオナルド・レオ;Vc協集(ebs)
このところ惚れ込んでいるチェリスト、ベルガーの未架蔵盤を見つけたので購入。
レオ(1694生〜1744没)は、A・スカルラッティ(1660〜1725)やペルゴレージ(1710〜36)といったあたりと前後して、イタリアのナポリで活躍した作曲家。
CD2枚組に彼のチェロ協奏曲を6曲収めているが、ジャケットには「世界初録音」とある。
ライナーノートを拾い読みしてみると、独奏楽器としてチェロを用いた最初期の協奏曲という意義がある…らしい。
現代音楽の演奏でも知られるベルガーだが、先日のヴィヴァルディも素晴らしかったので、同じイタリア・バロックであるこの曲集にも期待したい。
 
ヘンリク・シェリング(Vn)アルトゥール・ルービンシュタイン(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第5・8・9番(BMG)
先日買ったブラームス同様、アルトゥール・ルービンシュタイン・コレクションからの分売。
CDは既に架蔵しているのだが、リマスタリングというので買い直したもの。
5・9番は1958年12月、8番は1961年1月の録音。
 
ナンシー・グリーン(Vc)コダーイ&トヴェイ;無伴奏Vcソナタ(JRI)
先日、クラシック招き猫の「巷の評盤」を読んでいたら、このディスクを絶讃しておられる投稿があった。
「高音はグリーンでは、『泣き』という言葉がふさわしく、低音の響きは慟哭となって聞こえてくるのです。」「ここまで深い情感をもった演奏に出会うのは久方ぶりの経験」(コダーイについて)
とのこと、この曲は先日、ペレーニの実演に感銘を受けたばかりでもあり、興味を惹かれた。新譜で見たときには見送ったのだが、今日、店頭で見つけて購入。
カプリングのトヴェイはイギリスの作曲家(1875〜1940)。カザルスが高く評価したことは知っていたが、作品を聴いたことはない。
上記投稿によれば、「明確なバッハへの敬愛が生んだ逸品…音楽に対する真摯な姿勢と、豊かな音楽性が生んだ作品」とのこと、興味津々。
チェリストは、ボストン生まれ、レナード・ローズリン・ハレルに学び、現在はロンドン・ギルドホール音楽院の教授だそうである。

2月20日(日): 月曜に新しいPCを購入して以来、日夜、「調教」に励んできたが(笑)、ようやく一段落。
 しかし、音盤を聴く時間を、ずいぶん失ってしまった…(T_T)

 最近入手した音盤の情報を、レイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


2月19日(土): 休日のこととて朝寝を決め込んでいると、次々と配達がやってくる。まあ、こちらがそう指定したからだが。(^^;;;
 楽譜の通販サイトSheet Music Plusからは
 ブラームス;ドイツ・レクイエム(ミニチュア・スコア)
 ガーデ(ゲーゼ);弦楽のためのノヴェレッテop.53&58(大判スコア)
 バッハ;VcとP(Cem)ソナタ(演奏譜)
が届いた。いずれも日本の楽譜屋で買うより安く、そもそもガーデ(この曲は愛惜佳曲書に掲載)など見かけたことがない。

 CDの荷物はCDnowバークシャー
 しかし、こうパラパラ来るようでは送料等が勿体ないし、無計画と言われてもしかたないなァ…。

ミハエル・ギーレン(指揮)ベルリン放送響ほか、シュレーカー;室内交響曲・あるドラマへの前奏曲ほか(Koch-Schwann)
先だってから、ちょっとした「マイ・ブーム」になっているシュレーカー、コンロン盤(EMI)も良かったが、やはり実力者ギーレンあたりも聴いてみたいと考えてオーダー。CDnow。
標記の2曲はギーレンの、「ゆっくりしたワルツ」「夜の間奏曲」カール・アントン・リッケンバッヒャーの指揮。
なお、「前奏曲」は「烙印を押された人々」の、「間奏曲」は「はるかなる響き」第3幕のものの演奏会用に拡大された版。
 
ラザール・ゴスマン(指揮)ソビエト亡命者管、チャイコフスキー;弦楽セレナード&ショスタコーヴィッチ;室内交響曲op.110ほか(OLYMPIA)
中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんのWebpageで紹介を読んで以来、ずっと探していたところ、バークシャーで検索できたので驚喜してオーダー。他はついでに頼んだ…といっていいくらい。
詳細は工藤さんのページを御覧いただきたいが、
弦楽四重奏曲第8番による室内交響曲作品110は、「どの一音をとっても血が吹き出そうな充実度を持っており、聴き終えた後の満足感は筆舌に尽くしがたい。」と、
弦楽八重奏のための2つの小品作品11は「初期ショスタコーヴィチの前衛的なスコアが、実に凄惨な響きとして音化されている。」と評されている。
室内交響曲は、通常演奏されるバルシャイ版ではなく、指揮者自身がアレンジしたもの、同様に「弦楽八重奏〜」もゴスマンのオーケストレーション。
なかんずく室内交響曲は見たら買っている好きな曲、大いに期待している。
なお、このオーケストラ、1979年にソ連(当時)からの亡命音楽家を基幹にアメリカで結成された室内管とのこと。録音は1986年頃の様子だが、その後、どうなったのだろうか?
 
ヴィクトール・シモン(Vc)ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送響ほか、ハチャトゥリアン;Vc協ほか(Audiophile)
このチェリストのことは、東京フィルのコンサートマスター荒井英治氏が『クラシックCDベスト・テン2000』(音楽之友社)で「人間性の最も深いところから発せられている音色」と絶讃している。
その記事で、彼の唯一の協奏曲録音としてこのCDが挙げられており、バークシャーにあったのでオーダーしたもの。
曲の方は全く聴いたことがないと思うが、優れたチェリストについては興味津々、非常に楽しみ。
カプリングは同じ作曲家のVn協で、RubenAgaronyan(Vn)RafaelMangasaryan(指揮)アルメニア放送響の演奏。
 
ポーラ・ロビソン(Fl)ケネス・クーパー(Cem)ティモシー・エディ(Vc)ヘンデル;Flソナタ集(Vanguard)
木質感のある清楚な音色が好もしいロビソン、バッハを見たことがあるで探してみたが、CDnowでもヘンデルしかでてこないので、そっちをオーダー。
1978年のアナログ録音。チェンバロはヨーヨー・マバッハに付き合っていた人だ。
CD2枚で収録時間は82分、ちょっともったいない。
 
ヤープ・シュレーダー(Vn)ジョス・ファン・インマゼール(P)モーツァルト;Vnソナタ集vol.1(BMG)
バークシャーでモーツァルトのVnソナタを検索していると、インマゼールの古い(1980年代初期)演奏が出てきて、興味を惹かれたのでオーダー。
彼のピアノもさることながら、この頃はシュレーダーのヴァイオリンもしっかりしているはず。
第1集ではK.296K.376K.377を収録。
 
ヤープ・シュレーダー(Vn)ジョス・ファン・インマゼール(P)モーツァルト;Vnソナタ集vol.2(BMG)
↑の第2集。
K.378K.379K.380を収録。
LPで出ていたはずだが、当時はあまり話題にならなかったのだろうか(まだ古楽演奏が物好き扱いされていた頃だ)、あまり印象にない。
2人のモーツァルト、ブックレットに掲載されているカタログでは、この2枚限りの模様。
 
ジャック・ズーン(Fl)ベルント・ブラックマン(P)プーランク;Flソナタほか(Vanguard)
コンセルトヘボウ管の首席奏者からボストン響に転じたズーン、日本のディスク・ファンには1997年録音のヴィヴァルディ;Fl協集(Canyon)の名演で知られるようになったが、これはその直前の録音。
「20世紀フランスのフルート音楽」と題されたディスクで、標記プーランクのほか、ルーセルデュティユーメシアンジョリヴェ等を演奏している。
プーランクの名演を期待して、バークシャーにオーダーしたもの。
 
カール・ズスケ(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(Berlin Classics)
実はこの名盤をまだ架蔵していないので、バークシャーに出たのを機に購入。
 
ウート・ウーギ(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(BMG)
↑のついでに、こちらも。
(そういう気にさせるのがバークシャーの甘い罠なのだが…。7.98ドルという値段を見ると、ついつい…。(^^;)
ウーギのよく歌う美音がガルネリの銘器を得て、どういうバッハを聴かせてくれるか、それはそれで興味あり。
 
スーザン・マクドナルド(Hp)ロセッティ&デュセック;Hpソナタ集(Orion)
吉野直子嬢の先生として名前を知っていたマクドナルドがデュセックを弾いたCDが検索で出てきたので、愛惜佳曲書で取り上げているハ短調のソナタが入っているのではないかと期待してオーダー。
ところが、現物が来てみると、その曲は入っていない。(T_T)
…まあ、1.99ドルだからいいかぁ…と思ってしまうのもバークシャーならでは(^^ゞ
 
ゲルト・アルブレヒト(指揮)ハンブルク国立フィルほか、シュレーカー;歌劇「宝探し」
↑のギーレン盤同様、最近追っかけているシュレーカーのオペラをCDnowにオーダーしたもの。
大野和士ファン・ページシュレーカー特集によれば、ワーグナー作品のパロディらしい…というので興味を惹かれたのである。(あらすじは→ここを押して)
ジャケットに"Live from Hamburg State Opera"とあり、1989年5月24日〜6月2日にハンブルク国立歌劇場で録音されている。ライヴ収録かどうか少し聴いてみたが、演奏ノイズ・客席の物音は入っていないようだ。
歌手のうち聞き覚えがある名前はヨーゼフ・プロチュカくらいだが、何人かは「はるかなる響き」の録音にも参加していた。
なお、オーケストラの名称は歌劇場管がピットを出たときのもの。
 
ポール・オデット(Lute)ロジャース・カヴィ・クランプ(Ten)ほか、「古代舞曲とアリア」(hyperion)
レスピーギが管弦楽組曲に編んだものの原曲を集めた企画である。
編曲の、特に弦楽合奏の第3組曲は昔から好きなので、ずっと探していたところ、先日東京に行ったおり渋谷のタワーレコードで平積みになっているのを発見。これなら京都の同店でも買える…と思ったのに、そちらでは入荷せず、臍を噛んでCDnowにオーダーしたもの。
ジョン・ホロウェイ(Vn)やナイジェル・ノース(Lute)、クリステル・ティールマン(ヴィオール)が参加している。

2月18日(金): 

 帰りがけに音盤屋で買い物、帰ると通販サイトから1枚届いていた。
シャルル・デュトワ(指揮)モントリオール響、ショーソン;交響曲ほか、(DECCA)
ショーソンはパレーも名演を残した佳曲、その新録音(といっても1995年の収録だが)とあらば買わざるべからず。
シャンタル・ジュイエ独奏の詩曲フランソワ・ルルー(Br)独唱の愛と海の歌という魅惑的なカプリング。
 
ペトリ・サカリ(指揮)アイスランド響、シベリウス;交響曲第4・5番(NAXOS)
このコンビの全集録音も後期の曲にさしかかった。最初から買い揃えるつもりで付き合っているので、早速購入。
次は6・7番だろうが、カプリングは何になるのだろうか? 「タピオラ」を期待したいところだが。
 
レナード・ペナリオ(P)ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロイヤル・フィル、リスト;P協第1・2番ほか(BMG)
このレイボヴィッツの演奏がCD化されているとは知らなかった。マルP1995、古地図をジャケットに使った廉価盤といえば一時期輸入盤店にありふれていたもの。見落としたのが恥ずかしい。
もちろんレイボヴィッツ・ディスコグラフィのために購入。
問題はオーケストラで、架蔵のオリジナルLPには「ロンドン響」と表記され、別な資料でもそうなっているのだが、このCDでは「ロイヤル・フィル」となっている。
たしかに当時のレイボヴィッツはロイヤル・フィルとの共演が多かったし、あるいは新しい情報を採るべきかもしれないが、間違いとしてもありそうにないし、昔よくあった契約上の問題による変名にしても実在する団体を名乗るとは思えない。
ディスコグラフィは修正せず、CDのデータを参考に記すにとどめる。
なお、アーサー・フィードラー(指揮)ボストン・ポップス管による前奏曲ほか2曲をフィルアップ。
これはamazon.ukで見つけたもの。
 
ナイジェル・ノース(Lute)「種々のリュート練習曲」(LINN)
オーディオ・メーカーでもあるLINNのCDは、いずれも好録音。しかもノースのリュート、美音の美演に疑いなく、購入。
表題の曲集は、ロバート・ダウランドが1610年に出版したもので、父ジョン・ダウランドの作品を中心に、ホルボーンモーリーらの小品を編んだもの。

2月16日(水): 

 帰宅するとCDnowから荷物が届いていた。
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)ユリウス・ベルガー(Vc)ヴェルナー・アルベルト(指揮)バンベルク響、プフィッツナー;Vn協&二重奏曲ほか(cpo)
通販サイトで好きな作曲家・演奏家を検索してみて未架蔵盤を注文するのは楽しくもあり怖くもあることだが(笑)、これは確かヴァイオリニストの方で見つけた盤だったと思う。
もちろんチェリストも最近御贔屓の人、オーダーしないわけにはいかないだろう…。
ドイツ・後期ロマン派の作風を「墨守」したなどと書かれることもあるプフィッツナー、Vn協は1924年の作品。二重奏曲は名前と違って管弦楽付き、こちらは1937年のもの。
管弦楽のためのスケルツォ(1888年)をフィルアップ。
 
シュテファン・フッソング(アコーディオン)ヤマダ・ミカ(P)ユリウス・ベルガー(Vc)ピアソラ;「革命家」(THOROFON)
バッハ;ゴルトベルク変奏曲フレスコバルディの作品集が良かったフッソング、あれこれ探していたら、ピアソラ・アルバムが見つかった。
しかもル・グラン・タンゴでは贔屓のベルガーが共演、これは捨て置けぬとオーダーしたもの。
そのほか、タンゲディアIIIリベルタンゴフーガと神秘など計11曲を収録。
ノビタンゴトード・ブエノスアイレスといった、やや渋めの選曲が目を惹く。
なお、スロヴェニアの作曲家ウロス・ロイコ(1954〜)がピアソラに捧げたタンゴという作品をフィルアップ。
ドイツ盤ながら小沼純一氏の邦文解説を併録しているのに吃驚。ピアニストも日本人だが漢字表記等不詳。

2月15日(火): 

 DOS/V機への乗り換えということで、周辺機器との接続ケーブルを買い換える必要があり、買い揃えに行ったついでに音盤屋を覗いた。
ラファエル・クレティアン(Vc)フランツ・ミシェル(P)ヒナステラ;Vc作品集(Dapheneo)
ヒナステラは夫人がチェリストだったこともあって、その楽器のための佳品をいくつか残している。
中でもパンペアーナ第2番は有名で、長谷川陽子さんのアルバムにも収められていた。
また、フルニエが編曲したトリステも哀愁のメロディが泣かせる。
このほか優品Vcソナタ、無伴奏チェロのプネーニャ第2番、ピアノ独奏で12のアメリカ的前奏曲ロンドを収める。
チェリストは1972年パリ生まれ、フィリップ・ミュレールに学んだ人で、京都でも演奏したことがあるとライナーノートにある。
このディスクについては『レコード芸術』2月号の「海外盤試聴記」に掲載されており、それ以来探していたもの。ようやく京都の店にも入荷したと見えて、即購入。

2月14日(月): 実は日曜深夜、日録を執筆していると、突然、ハードディスクが異音をたててクラッシュしてしまった。(T_T)
 大げさに言えば、いまや一日たりともPCあるいはWebなしには生きていけないので(^^;、終業後すぐに職場を出て日本橋へ行き、ソフマップのアウトレット/中古フロアでFMV-BIBLO NE2/43Lという、富士通のノート・パソコンの型落ちモデルを購入。セレロン433MHz、14.1インチTFT、メモリ64MB、HDD8.4GBというスペックである。
 これまではNECのPC9821Na12でペンティアム120MHzだったから、性能的にはかなりの向上。
 もっとも、旧98規格から初めてDOS/V機になるので、周辺機器の接続など、けっこう面倒そうである。

 日本橋の帰り、梅田に来るとどうしても音盤屋を覗きたくなる。大きな荷物をさげながら買い物。
 また家に帰るとアメリカのレーベルから直販の荷物が届いていた。

エルマー・オリヴェイラ(Vn)ジェラルド・シュウォーツ(指揮)シアトル響、ブラームス;Vn協&サンサーンス;Vn協第3番(ARTEK)
アメリカの実力派オリヴェイラはかねて斉諧生注目のヴァイオリニスト。
先日、ネットをあれこれ検索していると、本人のWebpageを見つけてしまった。→ここを押して
そこのディスコグラフィに掲載されていた未知の録音に、重要なものが2点。
まず、ブラームスの協奏曲はヴァイオリニストの試金石、これは聴きたい。
録音年月は明記されていないが、↓のソナタより後の番号なので、1998〜99年のものであろう。
 
エルマー・オリヴェイラ(Vn)ロバート・ケーニック(P)レスピーギ;Vnソナタ&ピツェッティ;Vnソナタ(ARTEK)
何といってもピツェッティは見逃せない。知る人ぞ知る佳曲である。
SP時代にメニューインの名演があり、CDでも数種類出ているが、手に入る限りは聴いてみたい。
既に数種類集まっているので、いずれ、きちっと聴き比べをしなければ。
 
2枚とも聞き慣れないレーベルだが、公式Webpageがある。→ここを押して
上記Webpageで販売も行っている。オンラインの注文もできるようにはなっているが、セキュア・サーバーではないので、FAXで注文した。オーダーから到着まで約1週間。
もっとも、後で気がついたのだが、Compact Disc Connectionあたりでも取れるようだ。しかも直販より安い。(^_^;)
 
ヤーッコ・クーシスト(Vn)ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)ほか、「タンゴ・フォー・フォー TANGO for four」(FINLANDIA)
北欧系レーベルのピアソラ好きも面白い現象だが、やはり「南への憧れ」のなせる業なのだろうか。
しかしこの顔合わせは嬉しい。
去年秋にラハティ響のコンサートマスターとして来日、凛とした演奏姿で聴衆の注目を集めたヤーッコ・クーシストと、若きアコーディオンの魔術師ミカ・ヴァユリネン。これは聴き逃せないと購入。
カッレ・エルコマ(P)とヤーン・ヴェスマン(エレクトリック・ベース)が加わった四重奏で、ピアソラを7曲とフィンランドのタンゴ(!)4曲を演奏している。
ピアソラ作品は、アディオス・ノニーノオブリヴィオン悪魔のロマンスブエノスアイレス零時ブエノスアイレスの秋チキリン・デ・バチンリベルタンゴ
これは通販ではなく、音盤屋で購入したもの。

2月13日(日): 久しぶりにゆっくり音盤を聴くことにあてられる日となったが…。

 

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ロサンジェルス・フィルほか、マーラー;交響曲「大地の歌」(Sony Classical)
サロネンの音楽は、いつもながら明快なバランスと美しい響き。
そしてときどきハッとするような表現。終楽章中間部の終わり、369小節の低弦のスフォルツァンドは、聴き手の胸をグサリと刺す。
あえてアルトでなくバリトンを起用しただけあって、スコウフスの歌唱は素晴らしい。
フィッシャー・ディースカウの押しの強さはないが、言葉への反応は敏感、終楽章389小節の"immer tonlos"と指定された"er sprach"の表現など息を呑む。
問題は、やはりドミンゴ
オーケストラを突き抜けて声を響かせることしか考えていないのではないかという歌と、それを助長する録音バランス、精妙なオーケストレーションを生かそうというサロネンの棒とは相容れない。
声も、あまり美しいとは思えない、詰まった感じ。表現も大味。
この組み合わせ、どこに意図があったのか見当がつかない。サロネンには、もっと細くて美しい声の歌手を起用し、もっと抑えたバランスで録音した方が、ずっと良い結果が得られると思う。
 
マレク・ヤノフスキ(指揮)フランス放送フィル、シベリウス;交響曲第7番(Le Chant du Mond)
冒頭のティンパニ+低弦の音型から「神秘」はなく、非常にくっきりとした演奏。
この曲の鍵といっていいトロンボーンのモチーフがくっきり響かせられるのは歓迎するが、それ以外は、もう一つ、共感できないシベリウスだった。
終結の直前、弦だけになって、ffの、そして"Affettuoso"指定の、痛切な響きを聴かせるはずの部分も、意味が感じられない。
↓のムント同様、やはり独墺系指揮者でシベリウスの世界を再現できる人は少ないということだろうか。このセットは、他の曲、特にワーグナーブルックナーに期待したい。
 
ウーヴェ・ムント(指揮)京都市響、シベリウス;「フィンランディア」「悲しきワルツ」「カレリア」組曲(ARTE NOVA)
このCDに聴く京響の演奏は、現在の彼らのベストといってよく、合格点をつけられると思う。地元のファンとして大いに喜びたい。
とりわけ「悲しきワルツ」の弦楽合奏は、実演同様、すばらしい出来。ムントの棒もテンポの伸縮、ちょっとした間の取り方等、堂に入ったものだ。
ついでは「カレリア」組曲の序奏の緻密な描出が光り、第2曲「バラード」も美しい。
次に出るはずの「我が祖国」や、更に続くといわれる録音に期待したい。
逆に、よく演奏会で物足りないと思うところも、出てしまっている。
特に、金管合奏の響きが薄い点(内声部を担当する奏者の力不足だろうか?)が耳につき、「フィンランディア」で昂揚を欠く結果になっている。
「カレリア」組曲の終曲「行進曲風に」は、本来なら聴いているだけでウキウキする音楽であるのに、そういう「心の弾み」や「楽しさ」が伝わってこない。これは先日の定期でハイドンを聴いていても感じたことだ。ちょっとリズムが重いのだろうか。
また、ムントとシベリウスの音楽の間に、相性のずれも感じる。独墺系指揮者にはありがちなことだが、立派・堅固な音楽だが、リリシズムや森厳さに不足するものがある。
 
ジゼル・ベン・ドール(指揮)ソフィア・ゾリステン、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメント(CENTAUR)
そつのない音楽だが、バルトークの民俗的熱狂も、ましてや底知れぬ「闇」も感じられない。
この演奏の録音は1994年、斉諧生は、その前年に別な指揮者と来日したソフィア・ゾリステンで、やはりこの曲を聴いている。それも外形が整っているだけの演奏だった。
録音も硬い感じ。
 
ジゼル・ベン・ドール(指揮)サンタ・バーバラ響ほか、レブエルタス;「旅程」・「コロリーネス」(KOCH)
↑の耳直しにベン・ドールお得意の南米音楽を聴くことにした。
やはり断然精彩を放つ。
「旅程」中間部の悲歌風の情趣、「コロリーネス」のリズムの弾み、いずれも「音楽の生命」を伝えるものだ。
このコンビで、「春の祭典」あたりを聴いてみたいもの。
 
フランシスコ・ガルバロ(Vc)チャールズ・ゲルハルト(指揮)ナショナル・フィル、コルンゴルト;『愛憎の曲』(Vc協)(BMG)
オーケストラは派手に鳴って、華やかなオーケストレーションを楽しませてくれるが、チェロが頼りない。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ヴェルナー・アルベルト(指揮)北西ドイツフィル、コルンゴルト;Vc協(cpo)
↑とは逆に、チェロは良いが、オーケストラが地味に思える。比較試聴したからよけいに感じるのかもしれないが。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)シュテファン・J・ブライヒャー(Org)ヴィヴァルディ;Vcソナタ集(Orfeo)
古典の格調と歌心、両方を全うした素晴らしい演奏。
聴いていて、心が音楽で満たされる悦びを感じる。
少し他のチェリストでも聴いてみたが、古い世代はややもたれ気味だし、古楽器では少しせわしない。
このチェリスト、ますます好きになった。
 
クリスチャン・フェラス(Vn)ピエール・バルビゼ(P)フランク;Vnソナタ(DGG)
これは今日、最も胸を熱くして聴いた。CDを聴き終わったあと、LPでも繰り返したくらい。
少し翳りを帯びた音色も美しく、和声の感覚が非常によい。少し癖のようなものも感じるが、かえって曲趣に適っている。
第1楽章は少し早めのテンポ、第2楽章の後半あたりから熱を帯びてくるが、音楽の美しさは決して失われない。
派手さや大げさな身振りのない第3楽章だが、感情はいっぱいに溢れている。
清冽可憐にロンド主題を歌って始まる第4楽章、前の楽章の主題を引用して盛り上がる展開部での昂揚が激しくも美しい。
この曲の名演として逃すことの出来ないものだと思う。これまで等閑視されていたのが不審。
 
エルマー・オリヴェイラ(Vn)ロバート・ケーニック(P)ルクー;Vnソナタ(Biddulph)
いつもの美音、ポルタメントをつけて甘美に歌う。
その分、やや「はかないものへの慈しみ」に欠けるような気がする。
曲への共感において、斉諧生の感じ方と、いまいちシンクロしないというか。
ピアノはずいぶん変わった鳴り方で、コロコロした響き。
 
セミー・スタールハンメル(Vn)エステル・ボディン・カルペ(P)ラングストレム;詩曲(Phono Suecia)
これは少々期待はずれ。音色・音程とも未熟な感じで、新盤(nosag)の方がずっと上出来である。

2月11日(祝): 

 Compact Disc Connectionからコルンゴルトが大量に届いた。
 また、所用で出かけたついでに音盤屋で少し買い物。

 
今日届いたコルンゴルトCDは、すべて先日読んだ早崎隆志『コルンゴルトとその時代』(みすず書房)の巻末「CDガイド」で知り興味を持ってオーダーしたもの。
 
ゲルト・アルブレヒト(指揮)ベルリン放送響、コルンゴルト;大管弦楽のためのシンフォニエッタ(Varese Sarabande)
作品5のシンフォニエッタは、演奏時間が43分を超すコルンゴルト最初の大作。世界初演はワインガルトナーが指揮するウィーン・フィルによって行われた。時にコルンゴルト16歳(!)
しかも、ニキシュがベルリン初演、そのほかR・シュトラウスF・ブッシュアーベントロートらが次々と取り上げたという。
「世界初録音」と謳われたアルブレヒト盤は1983年のもの。
「(アルブレヒト盤の)輝かしい響きの魅力には抗しがたい。」(早崎)
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ヴェルナー・アルベルト(指揮)北西ドイツフィル、コルンゴルト;弦楽合奏のための交響的セレナード・Vc協ほか(cpo)
セレナードは、ナチスによるオーストリア併合後にアメリカに逃れて映画音楽に携わっていたコルンゴルトが、戦後、ヨーロッパ楽壇に復帰を飾るためにものした意欲作。
1950年、フルトヴェングラーウィーン・フィルによって初演されたものの、十二音音楽の全盛期とあって、時代錯誤の烙印を押され黙殺されてしまった。
近頃贔屓のベルガーが独奏しているVc協は、映画「愛憎の曲」の劇中音楽として書きおろされたもの。チェリストと作曲家とピアニストの三角関係の物語だったそうである。
1928年、次男ゲオルグ(ジョージ)の誕生を記念した赤ちゃんのセレナードをカプリング。
このレーベルは、アルベルトの指揮でCD4枚分のコルンゴルト管弦楽曲集を製作しており、「スタンダードとも言うべき文句のつけようのない立派なもの」
「(セレナードは競合盤もあるが)アルベルトの演奏の右に出るものではない。」(早崎)とのこと。
 
マレク・ヤノフスキ(指揮)ミュンヘン放送管ほか、コルンゴルト;歌劇「ヴィオランタ」(Sony Classical)
作曲者が10代後半で書いた2作目のオペラ(一幕もの)。1916年、ワルターの指揮で初演され、絶讃を博したとか。
ヴァルター・ベリー(Bar)、エヴァ・マルトン(Sop)、ジークフリート・イェルザレム(Ten)と、歌手の顔触れもなかなかのもの。
 
1930年代半ばから、コルンゴルトはアメリカで映画音楽を手がけるようになった。詳細は早崎さんのWebpageを参照されたい。→ここを押して
以下の4枚は、それらのオリジナル・スコアを1970年代に録音したもの。
映画そのものには思い入れがないので、オリジナルのサウンドトラック盤を聴くよりも、録音の良い方が有り難い。
なお、指揮者ゲルハルトは、もとプロデューサーで、リーダーズ・ダイジェスト・レーベルでレイボヴィッツベートーヴェン;交響曲全集等を担当していた。
下記のうちBMG盤では、そのときコンビを組んだケネス・ウィルキンソンが録音エンジニアとして参加している。英DECCAの名職人として高名な人だ。
 
チャールズ・ゲルハルト(指揮)ナショナル・フィル、『シー・ホーク』(BMG)
コルンゴルトの映画音楽の中でおそらく最も名高い表題作はじめ、『人間の絆』、『ロビンフッドの冒険』、『革命児フアレス』、『嵐の青春』、『永遠の処女』、『海賊ブラッド』、『風雲児アドヴァーズ』、『二つの世界の狭間で』、『愛憎の曲』など12本の聴きどころを収める。
 
チャールズ・ゲルハルト(指揮)ナショナル・フィル、『女王エリザベス』(BMG)
表題作のほか、『放浪の王子』、『風雲児アドヴァーズ』、『海の狼』、『愛憎の曲』(=Vc協)、『砂漠の朝』(主題はVn協に転用)、『人間の絆』の7曲。
上記の盤と重複する映画もあるが、別演奏で、それぞれ少し長めに収録されている。
 
チャールズ・ゲルハルト(指揮)ナショナル・フィル、『海賊ブラッド』(BMG)
俳優エロール・フリンの代表作のための音楽を集めたもの。
コルンゴルトの作品は表題作のほか『シー・ホーク』、『ロビン・フッドの冒険』(2つ上の盤とは別録音)。
 
チャールズ・ゲルハルト(指揮)ナショナル・フィル、『嵐の青春』(Varese Sarabande)
これは標記の映画の音楽だけで1枚のCDになっている。
「輝くばかりのコルンゴルトのオーケストレーションを堪能させてくれる名演」(早崎)
 
以下は音盤屋にて。
 
小林研一郎(指揮)日本フィルほか、ベートーヴェン;交響曲(EXTON)
1999年12月27日、サントリーホールでのライヴ録音。
昨夏、1998年末の九州響盤が出たばかりだが、コバケンの新譜は買わざるべからず。
ソプラノ歌手(高橋薫子)まで共通している…(^^;;;
 
小林研一郎(指揮)日本フィル、ベルリオーズ;幻想交響曲(EXTON)
これまたコバケンの新譜、買わざるべからず。1993年7月7・8日のサントリー・ホール・ライヴ。
昔は録音がろくになくて、飢えていたものだが、そろそろ満腹感を通り越しているような気もする。(^^;;;
幻想はキャニオンにハンガリー国立響盤(1990年11月録音)とチェコ・フィル盤(1996年6月録音)があったのだから。
舞台に立てばライヴ録音が出るようになった(というのはちょっと大袈裟か)朝比奈さんは、既に新譜を追いかけるのを諦めてしまった。
もっとも、問題は中味だが。
 
マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル、ブラームス;交響曲第2・3番(SIMAX)
最近、ウィーン・フィルとの共演が多くなり、またピッツバーグ響の音楽監督にもなっているヤンソンスだが、オスロ・フィルの音楽監督は1979年以来、ずっと続けている。
EMIからの新譜は最近見かけないが、地元ノルウェーのSIMAXレーベルからのリリースが始まったようだ。
斉諧生的には、あまり重視している指揮者ではないので、第1作の「ティル・オイレンシュピーゲル」「火の鳥」はパスしたが、このブラームスについては北欧音楽MLで美演の好録音であるとの情報が伝えられたので、買ってみることにした。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ジークフリート・マウザー(P)ヒンデミット;Vc作品集第2巻(WERGO)
2日に第1巻を購入したベルガーのヒンデミット。そのとき、
>「Vc作品集Vol.1」とあるが、Vol.2以降もベルガーで出ているのだろうか?
と書いたが、何とそれが地元の輸入盤店に並んでいた。(^^;;;
1988〜89年の録音で、
Vcソナタ(1948)とVc小ソナタ(1942)と小品2曲を収録。

 立春を迎えたので、トップページに山本紅雲描く「四季之花」を掲載。
 また、リンク集電網四方八通路に新着サイトを追加。


2月9日(水): 

 

セルジュ・チェリビダッケ(指揮)シュトゥットガルト放送響、ブルックナー;交響曲第7・8・9番ほか(DGG)
チェリビダッケのブルックナーは、ミュンヘン・フィルとのセット(EMI)が、聴く者を金縛りにするような音楽だった。
もちろん、シュトゥットガルト時代の録音も聴き逃すことはできないので購入。
曲目と録音年月日は
第7番(ハース版)(1971年6月8日)
第8番(ノヴァーク版第2稿)(1976年11月23日)
第9番(ノヴァーク版)(1974年4月5日)
シューベルト;交響曲第5番(1979年10月31日)
ボーナスCDに、リハーサル風景が40分ほど収められている。
曲は第7番と第8番で、それぞれ上記ライヴと同時期のもの。
この時期のチェリビダッケの演奏、斉諧生の学生時代に、よくFMで放送されていたのだが、一切、無視してしまった。
最初に聴いたベートーヴェンが当時の斉諧生には「?」だったからなのだが、今なお悔やまれてならない。
 
佐渡裕(指揮)ラムルー管、シャブリエ&ラヴェル;管弦楽曲集(ERATO)
同じ京都の同じ年の生まれ、佐渡裕が手兵ラムルー管を振ってのフランス名曲集、ようやく輸入盤が出たので購入。
エラートではこれまでフランス放送フィルを振っていたので、ラムルーとの組合せはNAXOSのイベール以来となる。
収録曲は、シャブリエでスペイン狂詩曲楽しい行進曲序曲「グヴァンドリーヌ」ほか2曲、
ラヴェルが「高雅で感傷的なワルツ」「ボレロ」
 

2月7日(月): 

 退勤後、音盤屋を廻って帰ると、イギリス・AmazonからCDが1枚届いていた。

ジゼル・ベン・ドール(指揮)ソフィア・ゾリステン、バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメントほか(CENTAUR)
ヒナステラレブエルタスで見事な指揮を聴かせるベン・ドールのCDを捜していたら、なんとバルトークの弦楽合奏曲集が見つかった。
ディヴェルティメントはバルトークの中でも特に好きな曲ということもあってオーダーしたもの。
よく演奏されるルーマニア民俗舞曲と、珍しい「子どものために」の弦楽合奏編をカプリング。
後者は、ハンガリーやスロヴァキアの民謡をバルトークがピアノ編曲したものを、更にレオ・ヴァイネルミハーイ・ホルヴァート等が学生の弦楽合奏用に編んだもの。
ブックレット所載の略歴に、ベン・ドールがハンガリー・テレビのコンクールで「バルトーク賞」を受けたとあり、あるいはそれを記念しての録音か。1994年。
 
以下は音盤屋にて。
 
ウーヴェ・ムント(指揮)京都市響、シベリウス;4つの伝説曲ほか(ARTE NOVA)
『グラモフォン・ジャパン』1月号等で録音情報が伝えられていたムントと京響のワールド・リリース、第1弾はスメタナ;「わが祖国」と言われていたが、続篇のはずのシベリウスが先に出た。
曲目は、昨年9月25日の特別演奏会と同じで、
「フィンランディア」
4つの伝説曲
「悲しきワルツ」
「カレリア」組曲
録音日は9月27〜29日とあるので、演奏会終了後、更に彫琢を加えて成ったものとみえる。通常は、録音で仕上げてから舞台にのせるもの、けっこう力を入れたことがわかる。
録音場所も、これまでのCDで使っていた京響の専用練習場ではなく、本拠地・京都コンサートホール。
舞台から音が飛んでこない傾向があり客席では今ひとつ評判がよろしくないが、音自体は美しいホールなので、録音には適しているのではないか。
演奏会は斉諧生も聴いたが、「悲しきワルツ」をはじめ弦合奏が実に美しかったことが強く印象に残っている。
 
ピエール・ドゥカン(Vn)テレーゼ・コシェ(P)ほか、「未発表音源 第2集」(自主製作)
パリ音楽院の名教授として知られたドゥカンが遺した録音を未亡人のプライヴェート・アルヒーフから復刻したもの。
彼はエラートにフォーレシューマンを録音しているが未聴。どんなヴァイオリンなのか、ぜひ聴いてみたく購入。
収録曲は
モーツァルト;VnソナタK.380
ラヴェル;Vnソナタ
バルトーク;Vn協第2番
ソナタのピアニストは夫人自身、バルトークの付けはヤーノシュ・フェレンチク(指揮)フランス国立放送管
アクロンショスタコーヴィッチの小品各1曲をフィルアップ。
まったくのプライヴェート盤として製作された第1集が非常に好評、今回は正規の流通ルートに乗せられることになったとか。
実は第1集を入手し損ね、臍を噛んでいる。(@_@;)
 
「ウェストミンスターのアーティストたち」(Westminster)
CD2枚組のサンプラーだが、そっち以上に貴重なのがブックレット。
この彷徨える名レーベルの歴史とディスコグラフィを丹念に記録した、本当に価値のある仕事である。
発売は少し前だが、タワーレコードのポイントが貯まったのを利用して購入。

2月6日(日): 

 通販業者からLPが届く。

ポール・トルトゥリエ(Vc)フィリップ・レッジャー(指揮&Cem)ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズほか、ヴィヴァルディ;Vc協集(英EMI、LP)
ずっと集めているトルトゥリエのLP、未架蔵のヴィヴァルディがカタログに出たのでオーダーしたもの(音源としてはCDで架蔵済み)。
RV.400、401、424、531、561の5曲を演奏した、アビー・ロード・スタジオでの録音(1979年11月)。
2本のVcのためのRV.531では夫人のモード・トルトゥリエが、更にVnが加わるRV.561ではジャック・フランシス・マンゾーネが共演。
このヴァイオリニストの名前、どっかで聴いたことがあると思ったら、フレデリク・ペラッシーハイドン;Vn協のCD(BNL盤)で指揮をしているのである。

 最近入手した音盤の情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。


2月2日(水): 本業のやりくりをつけて、午後から東京へ。一泊できる余裕は無いので、帰りは夜行バス。

 ↑のような強行日程を組んだのも、ミクローシュ・ペレーニ;無伴奏チェロ・リサイタル@カザルス・ホールを聴きたいがため。
 一昨年秋の来日時には、日程が合わなくて、聴くことができず、非常に口惜しい思いをしたのである。
 なお、このホールは初めての訪問。

今日の曲目は、
バッハ;無伴奏チェロ組曲第3番
ヴェレシュ;無伴奏チェロ・ソナタ
バッハ;無伴奏チェロ組曲第2番
コダーイ;無伴奏チェロ・ソナタ
というもの。
今、ミシャ・マイスキーバッハ;無伴奏全曲を持って全国を回っているそうだが、斉諧生的には、こちらこそ聴く価値のある演奏会。
やはり知る人は知っているもので、満席の盛況、当日券(学生券)の売り出しにはチェロ・ケースを抱えた行列ができたとか。
 
1曲目のバッハ;第3番プレリュードの冒頭の音と音階降下は、派手さのない鳴らし方。
意外に音量が小さめなのに、少し吃驚。
プレリュード後半のオルゲルプンクトも、抑えめに響かせる。
ペレーニが弾き進むにつれ、どんどん、心が満たされてゆく。
もう、毎日毎晩、このバッハを聴いていても、他の音楽が何もなくても、それでいい…という思いで、胸いっぱいになってしまった。
サラバンドのテンポが少し速めだったが、そういうことは、どうでもいいのである。
 
ヴェレシュ;無伴奏Vcソナタは1966/67年頃の作曲とか。
十二音技法を使っているとのことだが、聴いている間は、あまり意識しなかった。
とにかく、ペレーニの音が鳴っているだけで、聴き惚れてしまう。
第2楽章で、ピツィカートに大きなグリッサンドを組み合わせた面白い音の効果が、印象深かった。
この曲では↑で書いた音量の問題はなかった。おそらく意図的なもので、コンチェルトなどでは、もっともっと大きな音を出せるに違いない。
 
休憩を挟んで、バッハ;第2番
これも第3番同様、素晴らしいとしか言いようのない音楽。
通常より遅いテンポでじっくり弾かれたメヌエットで、IIの部分では更にテンポを落とし、その情趣は「しみじみ」というか「切々」といおうか、誠に比類無いものであった。
 
思うに、ペレーニのチェロは、
右手(弓の方です)が物凄く上手くて、弾きはじめのところで汚い音が出たり、弓の先の方で音が揺れたりということが、全くない。
音程は弦のどこへ行っても完璧、和音の美しさも比類がない。
音色は少々渋めだが、斉諧生的には好み。
強いて言えば、最高弦の高音が、やや硬い音になることだろうか。もっとも他のチェリストに比べれば、ずっと上のレベルでのことだが。
 
弾いているときの表情が、また佳い。本当に暖かな微笑を湛えるのである。
挙措動作も訥々として、誠実で仁慈ある人柄を想像させる。
音楽もまた然り。どこまでも誠実で、もっともっと聴いていたい、そんな気持ちでいっぱいになった。
 
最後のコダーイ;無伴奏Vcソナタも、まさに「天下一品」と唱うべき名演。
技術的な完璧性に情熱や気迫が加わり、ただただ心を奪われるばかり。
第2楽章の、どこか馬子唄のような、民俗的旋律の味わいに熱いものを感じた。
 
アンコールは、
バッハ;無伴奏Vc組曲第4番より「アルマンド」
バッハ;無伴奏Vc組曲第1番より「アルマンド」
 
コダーイを堪能した後のバッハは、斉諧生的には気持の切り換えができなくて、ちょっと厳しかった。
何もやらないか、鳥の歌でもあっさり弾いて終わり、でもよかったかもしれない。

 演奏会までの時間を利用して、音盤屋廻り。

ヤシャ・ホーレンシュタイン(指揮)ウィーン・プロ・ムジカ管、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番&ヤナーチェク;組曲「タラス・ブーリバ」(VOX)
ホーレンシュタインのマーラー(Unicorn)は引き締まった好演奏という記憶があるが、Cheskyレーベルで聴ける「新世界」は金管をバリバリ吹かせて演出濃厚、あきれるほど。
これも「ケレン全開」で面白いらしく、購入してみた。
ショスタコーヴィッチが1952年、ヤナーチェクが1955年のモノラル録音。
 
ペーター・マーク(指揮)ロンドン響、モーツァルト;セレナータ・ノットゥルナK.239ほか(DECCA)
今や「最後の巨匠」に接近しつつある(日本限定かな?)マークが、まだDECCAの若手花形指揮者だった頃、1959年の録音。
"Legends"シリーズでリマスタリングされたので購入。
標記の曲の外、
ノットゥルノK.286
序曲「ルーチョ・シッラ」K.135
歌劇「エジプトの王タモス」より4つの間奏曲K.345
交響曲第32番K.318
6つのドイツ舞曲K.600〜605より
と、収録時間は80分を超す。
 
インゴ・メッツマッハー(指揮)ハンブルグ国立フィル、「20世紀音楽は怖くない」(EMI)
原タイトルは"Who is afraid of 20th century music?"
"Millennium Concert"という副題がついているのは、1999年12月31日と2000年1月1日、両日のコンサートからのライヴ録音であることから。
選曲と配列の妙(というか「ご乱行ぶり」)については、閑古鳥こと長木誠司氏のWebpageに詳しい。→ここを押して
煩を厭わず列挙すると、
バーンスタイン;序曲「キャンディード」
ヘンツェ;『バッカスの巫女』より「マイナスの踊り」
カーゲル;行進曲第10・4番
アイヴズ;「夕闇のセントラル・パーク」
ストラヴィンスキー;サーカス・ポルカ
ラヴェル;ラ・ヴァルス
ヴァイル;序曲「銀の湖」
プラーテ;「あなたは旅を一人で終えねばならない」(新作の世界初演)
ヒンデミット;ラグ・タイム(バッハの平均律による)
B.A.ツィンマーマン;「静寂と反転」
ショスタコーヴィッチ;「黄金時代」のポルカ
ハチャトゥリアン;「仮面舞踏会」のワルツ
アンコールとして
プロコフィエフ;「3つのオレンジへの恋」の行進曲
ハチャトゥリアン;「剣の舞」
こういうCDが出るのも、メッツマッハーがベルリン・フィルの次期音楽監督の選考に最後まで残った、というニュースのおかげだろうか。
 
ジャン・フランセ(Cem)エミール・ナウモフ(指揮)ザールブリュッケン放送響ほか、フランセ;Cem協ほか(WERGO)
作曲者自演のCem協(1959)では、このところ追っかけまわしているナウモフが、ここでは指揮をしている。
カプリングのPトリオ(1986年)にはサシュコ・ガヴリーロフが参加していることもあって、購入。
G協(1982/83年)も収録。
フランセは、あまり聴いたことがないので、この盤で勉強してみるつもり。
1988〜89年の録音。
 
ヘンリク・シェリング(Vn)アルトゥール・ルービンシュタイン(P)ブラームス;Vnソナタ全集(BMG)
シェリングは、第二次世界大戦をきっかけに、ポーランドからメキシコに移住して教育活動に専念していた。
ところが1954年、演奏旅行でメキシコを訪れた同じポーランド出身のルービンシュタインが彼を「発見」し、再び演奏活動に引っぱり出す。これはその頃、1960年12月の録音。
一部の曲は既にCDを架蔵しているが、リマスタリングということもあって購入。
アルトゥール・ルービンシュタイン・コレクションからの分売、京都の輸入盤店では見たことがない。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ジークフリート・マウザー(P)ヒンデミット;Vcソナタほか(WERGO)
このところ集めはじめたチェリスト、ベルガーを見つけたので購入。
WERGOのヒンデミット・エディションの1巻で、1987年の録音。
Vcソナタop.11-3(1919/21)とVc小曲集op.8-1〜3(1917)をカプリング。
「Vc作品集Vol.1」とあるが、Vol.2以降もベルガーで出ているのだろうか? また捜し物が増えた。(^^;;;
 
ユリウス・ベルガー(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲全集(Orfeo)
ベルガーのバッハは年末年始にWERGO盤を聴いたが、このOrfeo盤は旧録音に当たる1984年のもの。
新盤には過激なまでの表現意欲が満ちていたが、約10年前の演奏はどうだったのだろう。
オーソドックスな中に古楽風味を効かせた、充実の好演かもしれないと興味津々で購入。
面白いのは、全曲を5弦のチェロで弾いていること。第6番を5弦チェロで弾くのは、ビルスマ旧盤(Seon、1979年)あたりからの流行だが…。
楽器は、1700年アムステルダム製、Jan Pieter Rambouts作というから、新盤の第6番で用いていたのと同じものだろうか。
 
なお、Web上にベルガーのファン・サイトがある。→ここを押して
 
イヴァ・ビトヴァ&ドロテア・ケレロヴァ(Vn)バルトーク;44のVn二重奏曲(RACHOT/BEHEMOT)
これは野々村さんが1999年の5盤の記事で触れられた録音。
ビトヴァは実験音楽系のヴァイオリニスト/ボーカリストだそうで、「原曲に声のパートを即興で加えて、これがぴったり。」とのこと。
 
フー・ツォン(P)シューベルト;Pソナタ第21番ほか(Meridian)
ショパンやモーツァルト録音で(それ以上にメニューインの女婿として)有名なフー・ツォンだが、これは1997年5月11・16日のセント・ジョンズ・スミス・スクエア(ロンドン)でのリサイタルから編集した、オール・シューベルト・アルバム。
最後のソナタのほか、12のドイツ舞曲D.790ワルツ(抜粋)D.146ドイツ舞曲D.769・841等の小品を収録。
この盤は、先だって刊行された『クラシック輸入盤パーフェクト・ガイド』(音楽之友社)に掲載されていた。
ピアノ曲には関心が薄い斉諧生だが、このソナタは例外的に愛好する曲なので、
「こまやかなタッチの随所に彼岸の微光が揺らめき、各フレーズが実に多彩なニュアンスを放っている」(田中利治)
というコメントに興味を惹かれていた。
通販等でも入手しづらかったのだが、今日、店頭で発見したので即購入。
 
エミール・ナウモフ(P)ドビュッシー&フォーレ&プーランクほか(WERGO)
ナウモフ、また見つけた。購入。
収録曲が、ピアノに疎い斉諧生には、判りかねるところもあるのだが、
ドビュッシー;映像(1894年、というから普通に演奏されるのとは別なもの)
フォーレ;夜想曲第7・13番
プーランク;「パストゥーレル」・「フランス組曲」・「村人たち」(1927、1935、1927)
ナウモフ;「Impasse」(1983)
というもの。録音は1985年。
自作はともかく(笑)、ドビュッシー、フォーレ、プーランクという並びは非常に魅力的。
 
クロード・トムソン(指揮)トロワ・リヴィエール少年聖歌隊、フォーレ;合唱曲集(REM)
少年合唱によるフォーレの合唱曲集、もう、買うしかない。
ましてやラシーヌの雅歌を歌っているとあっては…。これは斉諧生青春の想い出の曲(羞)なのであります。→愛惜佳曲書
その他、各種のモテット13曲と、メサジェと合作したミサ曲を収録。
合唱団はカナダ・ケベックの団体。「ラシーヌ〜」やミサ曲では、器楽アンサンブルを伴っている。

平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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