音盤狂日録

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12月31日(日): 大晦日・元旦と長野県・松本市に出かけた。
目的はサイトウ・キネン・フェスティバル・松本の冬の特別公演を聴くこと。
 
 この日は正午頃に松本着、日が日なので予約したホテルで昼食をと思ったところ、実はオーケストラのメンバーの宿泊先なので(彼らがチェックアウトした後にチェックインする形)、フロントで宮本文昭氏が手続きしておられるわ、レストランで矢部達哉川本嘉子吉野直子の都響系お三方が談笑しておられる隣の席に案内されるわ、そのあとに工藤重典氏が座ったかと思うと岩崎洸氏が合流されるわ…という状態。
もちろん、どなたとも面識はまったくないのだが、どぎまぎしてしまった。

 小澤征爾(指揮) サイトウ・キネン・オーケストラのコンサート@長野県松本文化会館を聴く。
 松本市の中心部からやや外れた文教地区に体育館と隣接してホールが立地している。外観内装に特段の贅は凝らされていないが、感じの良い建物である。
 ロビーではシャンパンが振る舞われていたそうだ。

今日の曲目は、
マーラー;交響曲第9番
ただ1曲。
この曲と第3番の、それぞれフィナーレは、マーラーの交響曲の中で斉諧生が最も愛好する楽章。これに引かれて長野までやって来たようなものである。
20世紀最後の日のマーラー、果たしてどのように響くのであろうか。
 
なお、演奏の模様を地元放送局が生中継していた。
 
第1楽章冒頭、弦の歌が非常に官能的なのに、まず圧倒された。
元来、大地の歌終結の音型を受けている部分だが、「告別」や「嘆き」よりも世紀末(文字どおり!)的な「耽美」の色合いが感じられ、小澤がどのように全曲を振っていくのか、興味を持ったのである。
 
↓で述べるが、名手を揃えたオーケストラはなるほど素晴らしく、座席位置も手伝って、物凄い迫力、物凄い音でマーラーの書いた音楽が鳴り響いた
座席は前から2列目の右寄り、第1Vnと対面したヴィオラの足元のような席である。
指揮者の足踏みの振動が尻に伝わってくるほどの近さ、オーケストラの音響は十二分に堪能できた。
 
ただ、どこかもどかしい。音響は震撼しても、斉諧生の心の底で震撼するもの・共鳴するものがないのである。
第1楽章のクライマックスでも、「世界の崩壊」とか「血を吐くような苦しみ」といったものは伝わってこない。
「きれいな音」と「意味のある音」は違う…とでも言えるだろうか。終結近くのフルートの長大なソロなど、音は極めて美しかったのだが…。
 
その点では、中間2楽章には不満が少なかった。特に第3楽章は名演だったと素直に言えるだろう。
これは小澤の見事な指揮もあずかって力あった(バトンは使っていなかったので「棒捌き」とは言えないが(苦笑))。
素人目に見ても、指揮者が何をやりたいのか、オーケストラがどう付いていけばいいのか、実によく分かる(気がする)。
臨時編成のオーケストラでマーラーが出来るのも、彼の指揮技術ならではだろう。
 
(もっとも、熟成した管弦楽の響きが必要な曲、例えばシューマンとかメンデルスゾーン、あるいはブルックナーなどは厳しいかもしれない。)
 
第4楽章における指揮者とオーケストラが一体となった「乗り」は感動的で、ここまでやってくれるなら難しいことを言わず、これが彼らのマーラーだと納得しよう…という気分になった。
もちろん、「痛切な絶望の叫び・呻き」というものは聴こえない。
例えば122小節以下(第1・2ヴァイオリンだけがfffで奏するところ)でも、音は美しさを保っており、ここでも「きれいな音と意味のある音は違う」という気がした。
 
小澤には、バーンスタイン小林研一郎のような身をよじり声を振り絞るマーラーへの共感はないのかもしれないが、妙技と美音でマーラーが書いた楽譜を音化しきる中に、彼の音楽が再現される…というアプローチなのであろうか。
 
ある人曰く、「『20世紀への告別』としてマーラーの音楽を受け止められる演奏であった。」
 
見事なピアニッシモで終結、長い静寂のあとの拍手喝采は猛烈なもの。
見ていると楽員は楽譜を少し前に繰ってアンコール(第3楽章の一部か?)の準備をしていたが、あれだけのアダージョのあとには蛇足と判断したのか、それは無し。
再び三度、小澤を中心にメンバーが整列してのカーテンコールが繰り返された。
 
オーケストラは評判どおりの見事な腕前。
磨き抜かれた弦合奏…というのとは少し違って音程にやや幅があるものの、高音域でも音程が崩れず音色が硬くならないという点では国内常設のオーケストラはもちろん、外来のトップオーケストラに互すものがあった。
 
先師斎藤秀雄の直弟子はむしろ少数のようで、中には外国人の姿まで見える(コントラバス首席のライナー・ツェペリッツは別としても)。
とはいえ、コンサートマスターに豊嶋泰嗣@新日フィル、トップサイドに矢部達哉@都響を擁し、第2ヴァイオリンは山口裕之@N響、ヴィオラは店村真積@読売日響が首席で(彼のソロは光った)川本嘉子@都響は第3プルト内側、チェロの第1プルトに木越洋@N響の顔が見えるという豪華メンバー。
 
木管は工藤重典(Fl)・宮本文昭(Ob)・カール・ライスター(Cl)・ダグ・イェンセン(Fg、彼のみ席次未確認)というソリストがカルテットを形成。
そしてなによりHrnのトップを吹いたラデク・バボラクの凄かったこと! 彼の超絶に巧いソロを多々聴けただけでも価値のあるコンサートだった。

 ロビーで即売していたCDから、新譜を購入。

安芸晶子(Vn)ジョアン・パネッティ(P) シューベルト;幻想曲&シューマン;Vnソナタ第2番ほか(EPSON)
サイトウ・キネンや水戸室内管のメンバーで、たしかコンサートミストレスをしておられたことがある安芸さんの、たしか初のソロCD。
サブ・タイトルに「ノーフォークから」とあるとおり、安芸さんの活動の本拠、アメリカ・コネチカット州ノーフォークの音楽ホール「シェド Shed」で1999年6月に録音されたもの。総木造の、姿も音も美しいホールだそうな。
新譜ということで大きくディスプレイされていたのだが、曲目に惹かれた。収録順に
シューマン;Vnソナタ第2番
シューベルト;幻想曲
ドビュッシー;Vnソナタ
ガーシュウィン(ハイフェッツ編);そんなことはどうでもいいさ「ポーギーとベス」より
中でもシューマンとシューベルトは斉諧生愛惜の曲、買わざるべからず。
ピアニストはイェール大学音楽院の同僚とのこと。

12月28日(木): 

 

オズワルド・ダンドレア(指揮)Ens.ほか、ヴァイル;「三文オペラ」(仏語版、全曲)(Jacques Canetti)
斉諧生にとって「三文オペラ」はソニー・ロリンズ(Sax)のアルバム「サキソフォン・コロッサス」以来、愛好する曲。その全曲盤がバーゲンのワゴンに並んでいたので購入。
ジャン・クロード・エメリ(Jean-Claude Hemery)の手になるフランス語版というところが珍しい。もっとも日本の輸入代理店のシールが貼ってあったので、こちらが見落としていただけかもしれないが。
マックヒース;モーリス・バリエ(Maurice Barrier)
ピーチャム;アルベール・メディナ(Albert Medina)
ポリー;マリー・クロード・メストラル(Marie-Claude Mestral)
ジェニー;オーレット・テファニー(Arlette Tephany)
らの歌手、また器楽アンサンブルとも聞いたことがない名前なのは、おそらく非クラシック系の奏者なのだろう。
1970年1月、パリ録音。

12月27日(水): 先週末分の記事をようやく書き上げた。m(_ _)m
 まだ引越の荷物が整理できておらず、各種の資料類が取り出せていないので、データ的な記載が不十分になっているが、いましばらく御猶予を頂戴したい。

 土曜日の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。
 また、日曜日に届いた音盤の情報を、ステーンハンマル・作品表とディスコグラフィカザルス・ディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。
 作曲家・演奏家 生没年対比年表に2000年のデータを追加。


12月25日(月): 本業やら転居前後の雑事に紛らわされて、御降誕祭のことをすっかり忘失していた。

 

アーロン・ロザンド(Vn)キース・ベイケルス(指揮)マレーシア・フィル、シベリウス;Vn協&ハチャトゥリアン;Vn協(VOX)
アメリカの実力派、ロザンドの新録(1999年12月)が、いきなりバジェット・プライスで登場したのを早速買ってきた。
ちょっと珍しい(というか不思議な)カプリングで戸惑うが、両方とも好きな曲ではある。
管弦楽がマレーシア・フィルというのも吃驚。ひょっとして初CDだろうか?
上記公式Webpageによれば、ベイケルスは1997年以来、音楽監督をつとめているとのこと。
 
パブロ・カザルス(Vc) バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(NAXOS)
言わずとしれた大名盤。仏EMIのReferenceシリーズで架蔵してきたが、復刻状態が良さそうなので(店頭試聴機でかかっていた)、買い直してみることにした。
安く買う機会を窺っていたところ(もっとも定価でも1,700円弱だが)、某音盤店の年末セールで200円安+割引クーポン使用で購入。(^^)
バッハの小品5曲をフィルアップしている点でもEMI盤に優る。(Pearl盤は未架蔵。)

12月24日(日): Oxford Unversity Pressから"The Musical Quarterly"誌のバックナンバー(1999年冬号)が届いた。
 Webを検索していて、ふとリリー・ブーランジェを扱った論文が掲載されていることを見つけたので、日本の出先にオーダーしたところ、本国から船便で発送、約7週間で到着した。
 キャロライン・ポッターという人の手になる「ナディア・ブーランジェとリリー・ブーランジェ、作曲家姉妹」と題されたもので、全21頁。譜例多数、ナディア・ブーランジェの作品リストが付されているのは貴重。
 英語を読むのは骨だが(苦笑)、いい情報があれば、ブーランジェのページに追加したい。

 Ars AntiquaからLPが届く。

ハンス・ロスバウト(指揮)バイエルン放送響、モーツァルト;セレナード第12番&ブラームス;セレナード第2番(米Mercury、LP)
ロスバウトは全録音を集めてみたい指揮者の一人。
実はハイドン;交響曲第45番「告別」を買い逃して口惜しい気分でいたところ、このLPが入手できたので嬉しい。
モーツァルトは、いわゆる「ナハトムジーク」、ハ短調・K.388の曲である。
 
デジレ・エミール・アンゲルブレシュト(指揮)シャンゼリゼ劇場管、ラヴェル;組曲「マ・メール・ロワ」(仏DUCRETET-THOMSON、LP)
アンゲルブレシュトのドビュッシー録音は有名で、最近もDisques Montaigne盤で出たライヴ音源が別なレーベルから再発されたし、EMI録音もTESTAMENTレーベルで復活するとの情報がある。
ところがフォーレやラヴェルの録音は、なかなかCD化されない(前者のレクイエムも廃盤か)。
これは組曲版(6曲)を収めた10インチ盤。そこそこの値段でカタログに出ており、ダメモトでオーダーしてみたところ、幸か不幸か取れてしまった。(^^;;;;
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ロイヤル・フィル、ムソルグスキー;「展覧会の絵」(ラヴェル編)・「禿山の一夜」(米RCA、LP)
レイボヴィッツが遺した名盤の一つ、"The Power of the Orchestra"と題された1枚。
特に「禿山の一夜」は、逸匠列伝レイボヴィッツの項で紹介したように、指揮者が再編曲した上、録音テクニックを駆使し、ウィンド・マシーンまで繰り出した快(怪)演である。
オーディオ・ファンにも知られた盤であるため、高価かつ入手難。長く捜していたが、ようやく再発のVCS番号の盤を確保することができた(オリジナルはLSC番号)。
 
パブロ・カザルス(指揮)ペルピニャン音楽祭管ほか、モーツァルト;協奏曲集(米Columbia、LP)
1950年、プラドで始まったカザルスの音楽祭は、翌年のみ近郊のペルピニャンに会場を移して行われた。
この時の録音が、商品化まもないLPの箱物3セットとして発売された。その第2集がこれ。
ジョン・ウンマー(Fl) Fl協第1番
マイラ・ヘス(P) P協第9番
ユージン・イストミン(P) P協第14番
ルドルフ・ゼルキン(P) P協第22番
ミェチスラフ・ホルショフスキ(P) P協第27番
をLP4枚に収めている(初期LPは盛り方がゆったりしたもの)。
5枚目にはバッハ;アリアパストラーレBWV590よりを入れているが、これ1曲ではLP片面のごく一部のみ。
裏面はブランクで、カザルスのサインがプレスされている。こういうディスクは初めて見た。
もっとも、この時期の盤は保存状態の良くないものが多いので(現品も傷が目立つ)、ちょっと不安なのだが。(転居後まだオーディオ装置がセットできておらず、音を確かめられないのである。)
 
ルチア・ネグロ(P) ステーンハンマル;P曲集(瑞Bluebell、LP)
ステーンハンマル全録音蒐集プロジェクト上、大きな目標となっていた1枚がカタログに出ており、どきどきしてオーダーしたところ、目出度く入手することができた。\(^o^)/
ネグロは1990年代に入ってBISにピアノ曲すべてを録音しているが、1980年代にもBlubellレーベルで2枚のLPを作っている。これはその1枚(1984年録音)。
彼のピアノ曲を代表する3つの幻想曲晩夏の夜に初期の小品アレグロ・コン・モト・エト・アパッシォナート間奏曲をフィルアップしている。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)スコラ・ディ・アルツィニャーノ管、ドニゼッティ;歌劇「リータ」(伊CETRA、LP)
どこでどういう仕事をしたのか、全貌がわからないレイボヴィッツ。
これはドニゼッティの珍しいオペラ・コミック(作品の紹介が、ミン吉さんのオペラ御殿にある。→ここを押して)。
データ等は不明だが、LPのマージンに"26・4・66"という刻印があるので、ひょっとしたら1966年4月26日のライヴ録音(又は放送用録音)ということかもしれない。
オーケストラの正体も不明(原綴"ORCHESTRA della SCUOLA DI ARZIGNANO")、名題役の歌手は"Graziella Sciutti"。
 
パブロ・カザルス(指揮)ロンドン響、ベートーヴェン;序曲「コリオラン」(英HMV、SP)
再生環境も無いのに、またSPを買ってしまった(格安だったからでもあるが)。
英HMVは音質優秀といわれるが、はたして保存状態は…???
1928年1月の録音、もちろんSP両面で序曲1曲。

12月23日(土): 天皇誕生日は朝から東京へ。…といっても天機奉伺(死語でしょうねえ)のためではない。
 ↓に記したコンサートと、たまたま同日に開かれることになった北欧音楽MLのオフ・ミーティングが目的である。
 後者には例によって(笑)「濃い」面々が集結、マニアックな会話が弾む楽しいひとときであった。

 このページの冒頭に掲げてきた青木 調(Vn)さん&和田記代(P)さんのコンサート@ミュージック サロン サングレースを聴く。
 マンションの最上階にある、広めのレッスン室といった趣の会場(客席60人くらい)は、満席状態。終演後にはワインなど飲み物と手作りのケーキが振る舞われた。

今日の曲目は
ベートーヴェン;Vnソナタ第8番
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番
ブラームス;Vnソナタ第2番
ステーンハンマル;2つのセンチメンタル・ロマンス
ブラームス(ヨアヒム編);ハンガリー舞曲第1番
もちろんお目当てはステーンハンマルである。
 
1曲目のベートーヴェンから、青木さんのヴァイオリンは、きわめて清潔かつ誠実。
端整で美しい音色と正確な音程を持ち(重音の響きが美しかった!)、細部までゆるがせにしない音楽とそれを支える技術がある。
最近CDで売り出されているような若手ヴァイオリニストよりよほど優れている人であり、今後の成長と活躍に期待したい、注目すべき演奏家といえよう。
 
ただ、音楽の感情的な振幅が狭い点は物足りなかった。ちょっとした強弱や長短の扱いからロマンティックな情感を立ちのぼらせるという表現力には、未だしの感がある。
このため特にブラームスの両曲では、もっと聴き手を揺さぶる仕掛けがほしいと思った。これはこちらの嗜好の問題かもしれないが。
あるいは前記のように空間が限られていることから自ずと抑制された面があったのだろうか。
 
したがってバッハ、中でもシャコンヌが最も聴き応えのある名演となった。
誠実かつ正確で力感も十分、バッハの音楽の大きさを堪能することができた。
シャコンヌ以外の曲について、もう少し舞曲的要素が出れば…と思ったが、これは斉諧生の好みの問題だろう。
 
ステーンハンマルについては、もう彼の音が鳴っているだけで嬉しくなってしまい、とても感想など書けたものではない(苦笑)。
弦合奏の柔らかい和音で始まる第1曲の冒頭、これはピアノでは難しかろうと思っていたところに、いきなり絶妙の音を鳴らされてノック・アウト、それからは忘我の数分間。
金属的な音をまったくたてない、ピアノの深く柔らかい響きは本当に素晴らしかった。狭い会場ゆえ、おそらく抑えに抑えられていたのだろうと思うが…。
ヴァイオリンにはもう少し深い歌い込みを求めたい瞬間もあったが、あれだけ美しい音を奏でていただいたからには、贅沢な注文かもしれない。
 
アンコールは、おそらくクリスマスにちなんでのシューベルト(ウィルヘルミ編);アヴェ・マリア

 演奏会前に渋谷の大型輸入盤店で買物。

「ザルツブルク音楽祭の記録―バッハ―」(Salzburger Festspiele)
いわばザルツブルク音楽祭ライヴ盤のサンプラーに当たる盤だが、中味はCD初収録の音源ばかりというもの。新譜で出たときは迷ったが、今日はバーゲン・プライスで出ていたので即購入。
斉諧生的な聴きものは、
まずナタン・ミルシテイン(Vn)による無伴奏Vnパルティータ第1番(1956年8月6日)、
更にディミトリ・ミトロプーロス(指揮)ウィーン・フィル、幻想曲とフーガト短調(指揮者による管弦楽編曲、1958年8月24日)、
あるいはグレン・グールド(P)ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)コンセルトヘボウ管、P協第1番BWV1052(1958年8月10日)
といったところだが、
ゲザ・アンダ(P) パルティータ第2番(1972年8月15日)、
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ウィーン・フィル、ロ短調ミサ(抜粋、1961年8月20日)
も収録。
 
セルゲイ・クーセヴィツキー(指揮)ボストン響 バッハ;管弦楽組曲&ブランデンブルク協(Pearl)
ボストン響のブランデンブルクといえば、シャルル・ミュンシュとのステレオ録音(LP)を架蔵しているが、更に遡ってクーセヴィツキーとの録音があったとは知らなかった。
1945〜49年のSP録音で、ロジェ・ヴォワザン(Trp)等の名楽員がソロを取っているが、第5番のピアノ(チェンバロではない)は作曲家になったルーカス・フォスが弾いている。
こういう大編成のバッハも聴いてみたい…というより、ブランデンブルクはアレコレ集めているので、巨匠クーセヴィツキーの録音は聴き逃せない!と購入したもの。
 
ヴァッサ・プシホダ(Vn)パウル・ファン・ケンペン(指揮)ベルリン国立歌劇場管ほか、ドヴォルザーク;Vn協ほか(SYMPOSIUM)
プシホダのSP録音の新復刻が出ていた。音源としては架蔵済みなので迷ったが、SYMPOSIUMの復刻センスに期待して買ってみた。
協奏曲はDGG原盤、本家の復刻盤も発売されている。まだ引っ越しの荷物が開梱できていないので厳密な比較はできないが、こちらの方が生き生きした音だと思う(ただしサーフェス・ノイズ等は盛大)。
その他、
バッハ;アダージョとフーガ無伴奏Vnソナタ第3番より
タルティーニ;悪魔のトリル
パガニーニ;「ネル・コル・ピウ」変奏曲
バッツィーニ;妖精の踊り
を収録。
 
イザベル・ファウスト(Vn)クリストフ・ポッペン(指揮)ミュンヘン室内管ほか、ハルトマン;交響曲第4番・葬送協ほか(ECM)
期待の若手ヴァイオリニスト、ファウストの新譜が最近続々と出てきているが、今回は戦後ドイツを代表する作曲家の1人、ハルトマン(1905〜63)の協奏曲。
LP期にズザーネ・ラウテンバッハー盤があったが、弦楽合奏を伴った、沈痛な趣の曲である。
ファウストの演奏はフォローしていきたいので購入。
やはり弦楽合奏による交響曲第4番と、ポール・メイエ(Cl)とペーターゼンQをフィーチャーした室内協奏曲をカプリング。
 
鈴木秀美(Vc)赤津眞言(指揮・Vn)ファン・ヴァッセナール管、レオ;Vc協集(BIS)
鈴木さんの録音は聴き逃すことのできないと考えているところ、新譜がいきなりバーゲン・プライスで並んでいたので購入。
レオのVc協は、前にユリウス・ベルガー独奏による「世界初録音」と銘打った2枚組を買っているが、18世紀初頭の作曲だけにピリオド楽器のアンサンブルでも聴いてみたい。
1990年に結成されたアンサンブルは、ヴァイオリン4とチェロ2にチェンバロ1という編成、シギスヴァルト・クイケン門下の多国籍部隊。彼らの演奏も楽しみである。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)フロリアン・メルツ(指揮)南ヴェストファーレン・フィルほか、シューマン;Vc協ほか(ebs)
買い集めているチェリスト、ベルガーの未架蔵録音を見つけたので購入。
1994年の収録、ハンスハインツ・シュネーベルガー(Vn)によるVn協をカプリング。
 
イェゴーリ・ジャフコフ(Vc)ジャン・サルニエ(P) ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ&シュニトケ;Vcソナタほか(PELLEAS)
集めている曲、ショスタコーヴィッチのVcソナタの新しい盤が出ていたので買ってみた。
チェリストは初めて見る名前だが(読みは自信なし、原綴はYegor Dyachkov)、1974年モスクワ生まれ、ユーリ・トゥルノフスキーらに学び、カナダを中心に活動している模様。
標記2曲のほかにプロコフィエフ;Vcソナタをカプリング。
1998年11月、カナダ・ケベックでの録音。
 
エリク・エリクソン(指揮)オランダ室内合唱団、プーランク;世俗合唱曲集(GLOBE)
「合唱の神様」エリクソンとオランダ室内合唱団によるプーランクは、一昨年、宗教合唱曲集が出ていたが、今回は世俗合唱曲集。
前作も見事な(というより完璧な)演奏だったので、大いに期待して購入。
ある雪の夜
カンタータ「人間の顔」
フランスの歌
酒の唄
小さな声
7つのシャンソン
を収録。
そういえば、7つのシャンソンは、かの名盤「超絶技巧合唱曲集」(EMI)にも収録されていたものである。

12月21日(木): 

 

寺神戸亮(Vn)ボヤン・ヴォデニチャロフ(Fp) ベートーヴェン;Vnソナタ第2・4番ほか(DENON)
寺神戸さんの録音は聴き逃すことができないもの、新譜が出ていたので購入。
「フィガロ」変奏曲WoO.40
ロンドWoO.41
6つのドイツ舞曲WoO.42
という珍しい初期の作品を収録。

12月19日(火): しばらく更新を止めておりましたが、この間、転居いたしました。
 これまで京都府亀岡市におりましたが、こんどは大阪府茨木市です(あまり知られていませんが両市は境界を接しております)。
 大阪府民になるのは生まれて初めて、シンフォニー・ホールから1時間以内で帰ってこれるのが嬉しいですね。首席指揮者の交替でつまらなくなりそうな京都市響を見捨てて、大阪センチュリー響に乗り換えようか…などと考えております。
 もっとも職場は相変わらず京都市内ですので、従前同様、京都の音盤屋・演奏会情報が中心になりましょう。

 久しぶりの買い物、購入先は京都の音盤屋。

ハンス・シュミット・イッセルシュテット 名演集(TAHRA)
今年生誕100年を祝ったシュミット・イッセルシュテットの記念盤として3枚組のセットがTAHRAから発売された。
1枚目は1930年代後半にベルリンでテレフンケンに録音したSPの復刻。
バッハ;イタリア協奏曲(指揮者自身による管弦楽編曲)
バッハ;ブランデンブルク協第4番
グルック;ガヴォットとタンブーラン
モーツァルト;序曲「コジ・ファン・トゥッテ」
モーツァルト;序曲「後宮からの逃走」
モーツァルト;序曲「ドン・ジョヴァンニ」
シューベルト;劇音楽「ロザムンデ」のバレエ音楽と間奏曲
ロッシーニ;序曲「ウィリアム・テル」
シベリウス;「悲しきワルツ」
 
2枚目は戦時中の放送録音から
ベートーヴェン;交響曲第2番(ベルリン・ドイツ・オペラ管)(1943年6月7日)
オルフ;カルミナ・ブラーナ(抜粋、ハンブルク国立フィル)(1944年7月29日)
と、1960年代のミュンヘンでのバイエルン放送響とのライヴで
パーセル;弦楽合奏のための3つの幻想曲(1966年5月6日)
 
3枚目は上記パーセル同様、ミュンヘンでのライヴで、
ブラームス;交響曲第3番(1967年11月9日)
R・シュトラウス;「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(1967年11月8日)
ストラヴィンスキー;組曲「火の鳥」(1919年版)(1966年5月6日)
 
戦時中の録音も含め、音質は良好(オルフのみ、やや落ちる)。
なお、1枚目の冒頭に、イッセルシュテットが簡単に自分の経歴等について話している談話の一部が収録され(約3分、ドイツ語)、ブックレットに全部が仏訳・英訳で掲載されている。
 
ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響ほか、マーラー;交響曲第2番「復活」(audite)
auditeから陸続と発売されるクーベリックのライヴ、今度は「復活」である。
1982年10月8日、ミュンヘン・ヘルクレス・ザールにおけるバイエルン放送の収録。
独唱者はエディット・マティス(Sop)とブリギッテ・ファスベンダー(A)。

12月13日(水): 

 

桐山建志(Vn) バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番ほか(CAILLE)
『レコード芸術』12月号の特集「リアルタイム・バッハ」で紹介されていたディスク。
(安田和信)「この<シャコンヌ>に関しては、大変メロウな感じです。もともと彼が持っている音色の特質がすごいメロウな感じで…。
(濱田滋郎)「とてもきめ細かくて、自然にそれが出てくる。内に音楽が溢れてます。
とのコメントに注目していたが、音盤屋の店頭には並んでいない。
先日、ネットサーフの間にヴァイオリニスト本人のページを見つけ、そこからオンラインでオーダーしたもの。→ここを押して
支払いは、商品に同封した郵便振替にて。
標記の曲のほか
伝ヴィターリ;シャコンヌ
ヴァルター;カプリッチョ
シュメルツァー;ソナタ第4番
と、いずれもシャコンヌに関連したバロック期のヴァイオリン音楽を収録。
共演は、諸岡範澄(Vc)、大塚直哉(Cem)。

12月10日(日): 

 Ars AntiquaからLPが届く。

ポール・パレー(指揮)デトロイト響、ラヴェル;ボレロ・組曲「マ・メール・ロワ」ほか(米Mercury、LP)
このところ購入が続いているMercuryの初期ステレオ盤LPである。
いつも書いているように、Mercuryのステレオ盤は概して高価なのであまり積極的には買っていないのだが、これも格安の値(国内価格の約4〜5分の1程度)でカタログに出ていたのでオーダーしたところ、運良く取れた。
パレー十八番のラヴェルにシャブリエ;気まぐれなブーレをフィルアップ。
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)アンサンブル、シェーンベルク;「ナポレオンへのオード」ほか(米dial、LP)
これもずっと捜し求めているレイボヴィッツによるdialレーベルへの新ウィーン楽派録音。
最近、たてつづけに未架蔵盤を入手することができて、嬉しくてしかたがない。(^^)
弦楽三重奏曲をカプリング。

 このところの演奏会のデータを演奏会出没表に追加。
 また、今日届いた音盤の情報を、パレー・ディスコグラフィレイボヴィッツ・ディスコグラフィに追加。


12月9日(土): 

 NHK交響楽団の演奏会を京都コンサートホールで聴く。

今日の曲目は、
ラヴェル;優雅で感傷的なワルツ
ストラヴィンスキー;3楽章の交響曲
ドヴォルザーク;Vc協(Vc;トルルス・モルク)
というもの。
デュトワのラヴェル、ストラヴィンスキーも聴きものであろうが、それ以上に楽しみなのは、今回が初来日のモルクのチェロ。
かねて当「斉諧生音盤志」でも、現代の「チェロの貴公子」として推輓しており、ぜひぜひ実演で聴きたいと願ってきた。
ドヴォルザークはヤンソンスとのCD(Virgin)も素晴らしい出来なので、大いに期待して臨んだ。
 
事情あって会場に遅刻ぎりぎりで駆け込む羽目になり、1曲目のラヴェルは客席最後部に立って聴くことになってしまった。
演奏の方は、まさしく優雅で感傷的、カラフルで嫌みのない好演だった。
カラフルと言ってもパステル・カラー系とでも形容しようか、弦合奏の湿り・曇りを少し帯びた色合いなど絶妙。
しかもオーケストラが楽々とこなしているのが凄い。プログラムには「デュトワとN響のコンビもマンネリ化しているという声もあるが(略)」という趣旨の文章もあったが、そういうマイナス評価のものではないように思う。
まあ、これは日頃接している地元の演奏団体との水準差を痛感したせいかもしれない。東京で聴いてこられた方からは、「このコンビなら、もっとできるはず…」という思いがあるのだろうか。
 
ストラヴィンスキーも良かった。
第1楽章でのリズムの刻みが、程良く重いサウンドで程良くスウィングしていて、この曲の性格を見事に表現し得ていたと言えるだろう。
管楽器連中の出来も素晴らしく、フルート(中野)・クラリネット(横川)はもちろん、最近入ったファゴットの若い人(水谷?)の短いながら冴えたソロも印象的。(オーボエ(茂木)は、ちょっと精彩を欠いていたか…?)
第3楽章でも歯切れの良い音楽が気持ちよく、胸のすく演奏だった。
 
休憩後、いよいよモルクドヴォルザーク
登場したチェリストの体躯の大きさに驚く。チェロが小さすぎて身体を持て余すような感じで、膝が窮屈そう。
ズボンの左膝に白いものがついているのは、ひょっとして弓が膝を擦って松脂が付着したのだろうか。
 
モルクのチェロは期待どおりの完璧なもの。
フォルテの迫力、ピアニッシモの繊細さ、柔らかい高音と渋い低音、ねちっこさや嫌味のない音楽、ただただ舌を巻き感心しながら聴き入った。
とりわけピアニッシモの活かし方に独自の表現があり、第1楽章展開部後半を密やかな弱音で始めたあたり、非凡な感性を発揮した。
 
ちょっと不思議だったのは、弓を持つ右手で、手首をあまり使わない点。
斉諧生はチェロの演奏法に詳しいわけではないが、普通は手首をもっと柔らかく返しながら弓を使うはず。
そこだけ見ていると硬い感じがするのに、音はとても正確で柔らかい。特に高音の柔らかさは他の一流チェリストにも追随を許さないだろう。
 
やはり次世代を代表するチェリストであろうことを確信した。
 
オーケストラも、弦合奏や金管の厚み、木管の詩情など、ドヴォルザークの音楽を満喫できる立派な出来映え。
当たり前といえば当たり前だが、デュトワのパレットの広さに感心した次第。
第3楽章でチェロと絡むヴァイオリンのソロ(堀)も良かった。
 
終演後の拍手喝采は物凄く、このホールでこれほどのボリュームのものを聞いた記憶がないくらい。
それに応えたアンコールは、
バッハ;無伴奏チェロ組曲第2番より「サラバンド」
アンコールということを意識してか、少し粘っこい歌い込みで、斉諧生のバッハへの好みとは少し違ったが、深い情趣が非常に良かった。
もっとも東京での公演では「鳥の歌」だったそうである。ドヴォルザークの後なら、こちらの方が良かったかもしれない。

12月8日(金): 

 終業後、所用あって大阪へ出かけ、ついでに音盤屋へ。(^^;

ブラームス;室内楽曲全集(Brilliant)
CD12枚組が3,600円という超格安盤。
もちろん安いというだけで買ったわけではない。
 
P四重奏曲第1〜3番の演奏にイザベル・ファウストが参加しているのである。彼女のヴァイオリンは最近、バルトークの国内盤が出て話題になっているが、実に見事なもの。
共演者はデレク・ハン(P)、ブルーノ・ジュランナ(Va)、アラン・ムニエ(Vc)と実力派揃い。
1996年8月21〜24日、スイス・シオンでの収録とあり、これがオリジナルの録音であろうか。
また、
Vcソナタ第1・2番; ヘレ・ヤン・ステヘンガ(Vc)フィリップ・アントルモン(P)
が2000年6月28日の収録ということで、初出音源ではないかと思われる。
 
その他の曲は、すべて他社の既出音源のライセンス発売。
Vnソナタ; ジョルジ・パウク(Vn)ロジャー・ヴィニョールス(P) (OTTAVO)
Clソナタ・Clトリオ; カール・ライスター(Cl)フェレンツ・ボグナール(P)ヴォルフガング・ベッチャー(Vc)(NIMBUS)
Pトリオ; ヨゼフ・カリクシュタイン(P)ジェイミー・ラレード(Vn)シャローン・ロビンソン(Vc)(VOX)
Hrnトリオ; ナッシュEns(CRD)
弦楽四重奏曲; 東京Q(VOX)
弦楽五重奏曲; ブランディスQほか(NIMBUS)
P五重奏曲; ナッシュEns(CRD)
Cl五重奏曲; カール・ライスター(Cl)ブランディスQ(NIMBUS)
弦楽六重奏曲; アルバーニQほか(CRD)
と、なかなかの実力派揃いで聴き応え十分という感じ。
なお、Web通販では2,830円で売っている店もある。→ここを押して
 
アレクサンドル・ブルシロフスキー(Vn)イーゴリ・ラズコ(P) フランク;Vnソナタ&R・シュトラウス;Vnソナタ(Suoni e Colori)
メニューインの薫陶を感じさせる誠実な音楽と質朴な音色が気に入っているヴァイオリニスト、ブルシロフスキーの未架蔵盤を中古格安で見つけたので購入。
フランクのソナタは何度聴いても、何枚架蔵してもいいと思う。一方、シュトラウス若書きのソナタの録音は比較的珍しいので貴重。
1992年の録音である。
 
シギスヴァルト・クイケン(Vn) バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(EMI)
最近新録音したという情報が伝わっている、S・クイケンの旧録音。
古楽派の大御所だけに聴かねば聴かねばと思っていたのだが、なんとなく買いそびれていた。1981年のアナログ録音だけにLPで架蔵したいという気持もあったもので…。
最近では見かけなくなった、EMIから発売されていた頃のドイツ・ハルモニア・ムンディ盤が中古格安で出ていたので購入。
 
ジョルジ・シフラ(P) ショパン;練習曲集ほか(Philips)
Philipsから全100巻200枚の規模で出た「20世紀の大ピアニスト」シリーズは、初CD化の音源もあるものの、基本的には既出音源の寄せ集めなので今ひとつ購買意欲が起きずに見送ってきた。
このところ、200枚大揃いを3万円前後で売る店があらわれる等、「投げ売り」状態になっている(例えば→ここを押して)。
今日立ち寄った大阪のワルツ堂(堂島店)では、1巻(2枚組)480円でバラ売りしており、それならばと、知人から薦められていたものを2組購入。
 
昨日のプログラムにあった練習曲集op.10のお薦め盤を、いつもお邪魔している居酒屋オアフ島でお尋ねしたところ、亭主のむ〜む〜さんが、御自身お好きなシフラを挙げてくださった。
ショパン;練習曲集op.10&25
ショパン;「英雄」ポロネーズ
リスト;メフィスト・ワルツ第1番
ほかを収録。
 
ベンノ・モイセイヴィッチ(P) ラフマニノフ;P曲集ほか(Philips)
これも@480円の「20世紀の大ピアニスト」シリーズから。
先だって、メンデルスゾーン(ラフマニノフ編);スケルツォ(「真夏の夜の夢」より)のお薦め盤をラフマニノフはお好き?の掲示板で御相談してみたところ、畏友かとちぇんこさんからお薦めいただいたのが、この盤。
ラフマニノフ;P協第2番(ヒューゴー・リグノルド(指揮)フィルハーモニア管)
メトネル;Pソナタ ト短調op.22
カバレフスキー;Pソナタ第3番
ほかを収録。

12月7日(木): 

 このページの冒頭に掲げてきた和田記代さんのリサイタル@カワイ・ミュージックショップ青山2F「パウゼ」を聴く。
 本業の多忙期ではあるのだが、なんとか都合がついて半日休みが取れ、無事、東京へ出かけることができた。
 レストラン・喫茶を兼ねた会場(客席80人くらい)は、満席状態、休憩時にコーヒー&ケーキが供された。

今日の曲目は
ベートーヴェン;Pソナタ第12番op.26
ステーンハンマル;3つの幻想曲op.11
ショパン;練習曲集op.10
というもの。
 
一見、バラバラに見えるが、ベートーヴェンの第1楽章(変奏曲)はショパンが愛奏したとのこと。
ステーンハンマルもブラームスかショパンのこだまが聴こえるような曲想ゆえ、見事に統一感のあるプログラムであった。
 
お目当てのステーンハンマルは、まことに見事な演奏、この知られない佳曲の魅力を十二分に伝えていた。
第1曲は、かなり速めのテンポで始まったので、「おおっ」と思ったが、そのテンポに乗せた終結へ向けての盛り上がりには素晴らしいものがあり、興奮させられた。
第2曲は、部分部分でテンポを動かすピアニストもいるが、かえって煩わしく感じられる。今日の演奏はテンポの変動が小さく、気持ちの良いものだった。
第3曲の主題の提示は愁色に満ち、その表情に胸を打たれた。
中間部の盛り上がりには抜き差しならない迫力があり、終結の柔らかい音色も美しかった。
 
当夜の聴衆のほとんど(斉諧生以外全員?(笑))は、この曲を初めて聴かれたものと思うが、客席の反応も非常に良かった。これできっと何人かの方はステーンハンマルに関心を持ってくださったことであろう。\(^o^)/
 
ベートーヴェン第1楽章の変奏曲が、遅からず速からずちょうどいいテンポとリズムで始まったときに、ピアニストの音楽性の高さを確信した。
各変奏ごとの描き分けを、もっとくっきりさせるアプローチもあり得たかもしれないが、それよりもソナタの第1楽章としての統一性を重んじたように感じた。
第3楽章の葬送行進曲の昂揚と、それに見合った力感が終楽章に与えられていたことを特筆したい。
とりわけ終楽章は名だたるピアニストの録音でも軽すぎるように感じられることが多く、いわば「龍頭蛇尾」になりやすい曲なのだが、今日は不満なく聴けたのは、まさしく演奏の力だろう。
 
恥ずかしながら告白すると、ショパンは初めて聴いた。
こういう客は、会場に斉諧生ただ一人だったろう。(汗)
さすがに「別れの曲」「革命」には、少し聴き覚えがあったが…。
おかげで1曲1曲が面白く聴けた。印象が強かったのは、やはり「革命」
 
アンコールは、ショパン;練習曲集op.25から第8曲第6曲、更にop.10第3曲をもう一度。
 

 演奏会前に渋谷の大型輸入盤取扱店を探訪。

大町陽一郎(指揮)大阪センチュリー響&大阪シンフォニカー、ブルックナー;交響曲第8番(PLATZ)
1999年5月28日、シンフォニー・ホールでのライヴ録音。
大阪で大阪フィル以外のオーケストラがブルックナーを演奏する、、しかも単独では編成上ブルックナーを演奏できない2団体が合同しての演奏というので話題になった。
斉諧生も、この演奏会は聴きに行っており、オーケストラ、特に弦合奏や金管軍団の美しい鳴りに感心したが、大町氏の指揮は(悪くはないが)ブルックナーの「ツボ」を外した感じで、今ひとつ楽しめなかった。
とはいえ、そのライヴ盤が出たとあっては見逃すことはできない。京都の音盤屋で見当たらなかったので、今日の東京での探索に期待していたところ、目出度く入手できた。
「このCDの音源は、当初記録用として収録されたものです。」という断り書きがある。ちょっと聴いてみた範囲では放送録音のような感じで、音の鮮度はいくぶん落ちるが、シンフォニーホールの豊かな響きに包まれる趣は良く出ている。
 
アリアーガQ、アリアーガ;弦楽四重奏曲第1〜3番(ASV)
ニ長調交響曲を愛惜佳曲書に掲載したアリアーガは弦楽四重奏曲も素晴らしく、見つけるたびに買い求めている。その新盤が出ていたので購入。
演奏団体は、ポルトガル生れの作曲家の名前を冠してはいるが、英米出身。ベルギー楽派の演奏伝統を受け継ぎつつ、ジュリアードQを師と仰ぐという。
なお、第1Vnは、このレーベルからソロ録音を出しているマイケル・ガットマン(Micael Guttman)。
録音は2000年6月。
 
カトリーヌ・クルトワ(Vn)カトリーヌ・コラール(P) シューマン;Vnソナタ第1・2番&プロコフィエフ;Vnソナタ第1番(EMI)
かねてネット上の知人からお薦めをいただいていたピアニスト、カトリーヌ・コラール。
なかでも彼女のシューマンは素晴らしいと聞いており、クルトワとのVnソナタ集もあるとのこと。
このシューマンのVnソナタ、特に第2番の第3楽章は斉諧生が愛惜してやまないメロディなので捜していたところ、↑の知人のお世話で入手することができた。改めて感謝を申し上げる。
シューマンは1980年のアナログ、プロコフィエフは1982年のデジタル録音。
この2人にはフランクルクーの録音もあるそうだ(ERATO)。未CD化と思われるので、LPを捜さねば…。
 
エミー・ヴェルヘイ(Vn)ユーリー・エゴロフ(P) ブラームス;Vnソナタ第3番&バルトーク;Vnソナタ第2番ほか(WVH)
「クラシックWeb上のアンファン・テリブル」ことKUMOさんが「この人!」と推すピアニストの一人、エゴロフ。(紹介は→ここを押して)
気になっていたのだが、ピアノ音楽に関心の薄い斉諧生としては、ヴァイオリンやチェロとの共演盤を求めることになってしまう。
店頭でふと、この盤を見つけたので購入。ヴェルヘイは一時期国内盤も数枚出ていたオランダのヴァイオリニストである。
標記2曲のほかシューベルト;Vnソナタ イ長調D.574をカプリング、1981年5月の録音。
 
タスミン・リトル(Vn)マーティン・ロスコー(P) エルガー;Vnソナタ&バックス;Vnソナタ第2番(GMN)
かねて贔屓のヴァイオリニスト、リトルのCDが出ていたので購入。ディーリアスのソナタ(CONIFER)など、美しい演奏であった。
しばらく新譜を見なかったが、新しいレーベル(公式サイトは→ここを押して)から得意の英国音楽、なかんずくロマンティシズムが美しいエルガーのソナタなので嬉しい。録音は1999年。
 
アンドレ・ナヴァラ(Vc) バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(Calliope)
このところ、バッハの両無伴奏曲をあらためて集めているが、見落とすことのできない大チェリスト、ナヴァラの全曲盤があったので購入。彼のCDは、最近、店頭であまり見かけなくなっているので貴重な収穫だった。
1977年、ナヴァラ66歳の録音。

12月6日(水): 

 

セバスチャン・フォルスター(P)ヤープ・ファン・ツヴェーデン(指揮)コンセルトヘボウ室内管、モーツァルト;交響曲第40番・P協第23番(BMG)
ツヴェーデンの名は数枚のCDを通じてヴァイオリニスト(コンセルトヘボウ管のコンサートマスター)として知っていたので、このCDが出たときには驚くとともに、少し落胆もした。また一流のソリスト(コンサートマスター)が二流の指揮者に転落したか…と。
彼がこの秋、ハーグ・レジデンティ管とともに来日公演をするというので、聴きに行きたかったが、大阪公演はちょうどミクローシュ・ペレーニのリサイタルとかち合ってしまい、果たせなかった。
ところが、実際に聴いた人によると、かなり良かったらしい。Web上にも同様の感想を見る。→ここを押して
俄然気になりはじめ、このCDのことを思い出した。曲目が超ポピュラーでもあるし買うか買うまいか迷っていたのだが、今日立ち寄った中古音盤屋で発見、格安ならばと購入。
1997年4月28日、コンセルトヘボウでのライヴ録音。
ライナーノートがオランダ語なので読めないのだが(汗)、オーケストラは19人程度(写真から数えた)。ピアニストは1975年生まれでアルゼンチン出身の模様。
 
デヴィッド・グリマル(Vn)ジョルジュ・プリュデルマシェ(P) R・シュトラウス;Vnソナタ&フランク;Vnソナタ(HMF)
イザベル・ファウストらを取り上げてきた仏ハルモニア・ムンディの「新人演奏家」シリーズに、注目したいCDが出ていたので購入。
着目したポイントはピアニスト、プリュデルマシェ。
彼が共演してきたのはナタン・ミルシテインをはじめ優れた演奏家ばかり、ならば、この若いヴァイオリニストもさぞかし…というわけである。
ライナーノートのバイオグラフィは、なぜか共演した指揮者、オーケストラ等の固有名詞で埋められ、生年や出身地も記されていない。ただ、パリ音楽院出身で、レジ・パスキエフィリップ・ヒルシュホルンシュロモ・ミンツアイザック・スターンに学んだとある。
なお、今回は、本国ではバジェット・プライスで販売されていることを反映した値付けになっていたので、納得。

12月3日(日): 今日は、長谷川陽子さん後援会ひまわりの関西広場(ネット的に言えば、「オフ」ですね)に出席。
 斉諧生は1997年から連続4回目の参加になる。

 プログラム最初のミニ・コンサートでは、ムソルグスキー;「展覧会の絵」、もちろんチェロとピアノのための編曲を演奏された。(P;浅川晶子)
 これは、来年にフィンランドのアコーディオン奏者ミカ・ヴァユリネンと共演かつ録音が予定されている曲目。一足先に耳にできたのはとても嬉しい。
 気迫のこもった見事な演奏で、胸のすく思いがした。このところ、ミクローシュ・ペレーニ師の求心的な演奏や、鈴木秀美さんのピリオド楽器によるバッハを聴いてきたので、こういう痛快なまでに迫力のあるチェロは久しぶり、実に良かった。
 全曲中では、「古城」の歌が素晴らしく、特筆しておきたい。
 アンコールは「殻をつけたひよこの踊り」をもう一度。
 
 来年の演奏会が今から実に楽しみである。共演のヴァユリネンは、既に「展覧会の絵」のアコーディオン独奏版(自編)のCD(MILS)をリリースしているのだが、これが「強烈」としか言いようのない表現に満ちたもの。そこに長谷川さんのチェロが加われば、どんなものに鳴るのだろう?
 なお、MILSのCDは一般の輸入盤取扱店では見ないが、ノルディックサウンド広島で入手可能。

 あとは、立食パーティーと懇談。料理も美味しく、話も弾んで、楽しい時間となった。
 
 毎年そうなのだが、相手の目をまっすぐ見てお話しになる御様子、誠実な受け答え等々、長谷川さんのお人柄に、感銘を新たにした。これは今日の40名近い参加者が、一様に感じていたことと思う。
 なお、後援会「ひまわり」の公式ページもどうぞ。できれば、あなたも御入会ください。<(_ _)>

 ↑へ出かける前に、BerkshirejpcからCDが、Ars AntiquaからLPが届く。

パブロ・カザルス(指揮)マールボロ音楽祭管、モーツァルト;交響曲第35・40・41番(Sony Classical)
もちろん有名な録音であり、先だって「カザルスの名演奏」で取り上げたばかり。なぜオーダーしたかというと…
国内盤のブックレットに記載がない録音参加者の名簿が輸入盤にはあるのではないか、と常々推測しており、今回、Berkshireのカタログに超格安で出ていたことから、実地に確かめてみることにした。
案の定、3曲についてそれぞれ楽員名簿が掲載されていた。(^^)
先日「マールボロ音楽祭指揮記録」を掲載したが、ゆくゆくは各曲ごとの楽員名簿を完成させたい。
また、これは夢のような話だが、カザルスの指揮で演奏された日本人音楽家の聞き書きができれば…と願っている。
 
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ロイヤル・フィルほか、ドヴォルザーク;交響曲第9番「新世界より」ほか(Regis)
先だって来日して東響や大フィルでブルックナーを振っていったヤルヴィ息子、実際に聴かれた知人の話では非常な名演であったとのこと、聴き逃したのが悔やまれる。
このドヴォルザークも活きのいい好演との噂を耳にして捜していた。本来の英Tringレーベルとは異なるが、ユーディ・メニューイン指揮の交響曲第8番ほかと2枚組になったものがBerkshireのカタログに出ていたのでオーダー(メニューインの方は架蔵済み)。
序曲「謝肉祭」・「スケルツォ・カプリチオーソ」をフィルアップ。
 
ジュリアス・ルーデル(指揮)アマデウスEns、モーツァルト;「魔笛」・「後宮からの逃走」管楽合奏版(MUSIC MASTERS)
「魔笛」には目のない斉諧生、抜粋であろうが仏語歌唱であろうが管楽合奏版であろうが蒐集してしまう。
ニューヨークを中心活動するという管楽アンサンブルによる未架蔵盤をBerkshireで見つけたのでオーダーしたもの。
 
ヨーンダニ・バット(指揮)ロイヤル・フィル、シベリウス;組曲「ペレアスとメリザンド」・組曲「白鳥姫」ほか(ASV)
シベリウスの比較的珍しい(といっても最近は録音の数も増えたが)管弦楽曲の未架蔵盤をBerkshireに見つけたのでオーダーしたもの。
バットはマカオ生まれ(現在はカナダ国籍)、ASVにはグリーグなど北欧ものを何点か録音しており、悪くなかったという記憶である。
ロマンティックなワルツ劇音楽「クオレマ」より交響詩「春の歌」をフィルアップ。
 
トゥオマス・オッリラ(指揮)タピオラ・シンフォニエッタ、シベリウス;組曲「ペレアスとメリザンド」ほか(ONDINE)
新譜として音盤屋の店頭に並んだばかりのオッリラのシベリウスが、早くもBerkshireのカタログに出たのには吃驚。馴染みのない指揮者だし曲目もマイナー、フルプライスでは我慢…と思ったが、超格安価格ゆえ迷わずオーダー。
オッリラは1965年生まれ、最近俊秀を輩出しているヨルマ・パヌラ門下、イリヤ・ムーシンにも学んだとか。
収録曲は標記のほか
カッサツィオーネop.6
プレスト(弦楽四重奏曲 変ロ長調op.4より)
かわいい組曲op.98a
田園組曲op.98b
性格的な組曲op.100
 
レイフ・セーゲルスタム(指揮)ヘルシンキ・フィルほか、シベリウス; カンタータ集ほか
これも新譜の時には曲目のマイナーさにひるんでしまって買いそびれていたCD。Berkshireの格安価格ならシベリウス作品を見逃す手はないとオーダー。
世界初録音となる2曲のカンタータ
1894年度学位授与式典のためのカンタータ
戴冠式カンタータ(1896)
を中心に、
交響詩「フィンランディア」(1899)
アカデミー行進曲(1919)
アンダンテ・フェスティーヴォ(1922)
を収録。
なお、1896年にシベリウスのカンタータで戴冠を祝福されたのは、(最後の)フィンランド大公にしてロシア皇帝であったニコライII世である。
 
ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送響、シベリウス;交響詩「フィンランディア」&ベールヴァルド;序曲「エストレッラ・デ・ソリア」ほか(CONSONANCE)
フェドセーエフに北欧管弦楽曲集があるとかねて聞いており、気に掛けていたところ、Berkshireのカタログに出ていたのでオーダー。特にベールヴァルドは見逃せない。
標記のほか
アルヴェーン;羊飼いの娘たちの踊り(「山の王」より)
クラウス;序曲「オリンパスの悲劇」
リドホルム;コンタキオン(1979)
クス;抒情詩(1988)
を収録。最後の2曲が演奏時間の半分ほどを占める。
ライナーノートによると、リドホルムの曲はストックホルム・フィルがソ連(当時)演奏旅行に際して委嘱した作品でビザンチン聖歌やロシア正教聖歌に基づくもの、クスの曲もロシア民謡の影響を受けたリリカルなものとのこと。
 
ドミトリー・シトコヴェツキー(Vn・指揮)イギリス室内管、モーツァルト;Vn協第1・2・3番(Novalis)
ドミトリー・シトコヴェツキー(Vn・指揮)イギリス室内管、モーツァルト;Vn協第4・5番(Novalis)
1986年、シトコヴェツキーがレコーディング・キャリアを始めた頃に録音したモーツァルト。
この少し前にOrfeoレーベルに録音したバッハやクライスラーが良かった記憶があり、気にかけていたところ、Berkshireに出てきたのでオーダー。
 
ニコライ・ズナイダー(Vn)マルク・スーストロ(指揮)ロイヤル・フランダース管ほか、シベリウス;Vn協&ドビュッシー;Vnソナタほか(Cypres)
先だってニルセン;Vn協ほかのEMI盤を買ったズナイダー。
彼が1997年のエリザベート王妃国際コンクールで優勝した際のライヴ録音を集めたこのCDも素晴らしいと、北欧音楽MLから情報が流れてきたので、jpcにオーダーしたもの。
新譜の時に音盤屋の店頭で見かけていたのだが、ロシア系のヴァイオリニストなら好みに合わないかも…と敬遠していたのである(実際にはデンマーク出身)。
標記2曲のほか
ヴィニャフスキ;ポロネーズ・ブリランテ第1番
ショーソン;詩曲
イザイ;無伴奏Vnソナタ第2番
を収録。
なお、このコンクールの本選でシベリウスを弾いて優勝したのは、ジェイミー・ラレドミリアム・フリード、そして堀米ゆず子以来…とライナーノートにある。
 
田中直子(Vn)ジュリアス・ルーデル(指揮)セント・ルークス管、ヴァイル;Vn協・小「三文オペラ」音楽(MUSIC MASTERS)
ヴァイルのVn協の録音は比較的珍しく(LP期には秘曲同然だった)、しかも斉諧生が好きな「三文オペラ」の組曲版をカプリング。
前からちょいちょい音盤屋で見かけていたCDだが、何となく買いそびれていた。Berkshireでは2ドル弱の超格安、オーダーせざるべからず。
 
パブロ・カザルス(Vc)ほか、シューベルト;弦楽五重奏曲ほか(LYRINX)
先頃出版された『クラシックCDの名盤 演奏家篇』(文春新書)、上梓されるとすぐ買い求めて読了したが、取り上げられているCDを買うということが、ついぞ無かった。
唯一、このCDについて
十八番のシューベルト《弦楽五重奏曲》では、六一年のヴェーグ四重奏団との共演(カザルス八十五歳!)でなく、五三年のプラード音楽祭のライヴを奨める。
 カザルスの覇気が断然違いアンサンブルも若々しいからだが、入手の困難は読者に詫びる。」(福島章恭)
とあるのを読んで、チェリスト・カザルスには興味の薄い斉諧生も俄然、気になりはじめた。
たしかにLYRINXレーベルの旧譜は入手困難、あちこちの通販サイトを検索してjpcで発見、オーダーしたもの。
五重奏曲で共演している4人は、いずれも聞いたことのない名前。録音(1953年7月7日)も、あまり豊かなものではない。
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(Sop)ミエチスラフ・ホルショフスキー(P)によるシューベルト;歌曲集をカプリング。
こちらは1959年7月8日のライヴ録音。
 
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)ブルーノ・カニーノ(P) モーツァルト;VnソナタK.301・K.306・K.454(fone)
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)ブルーノ・カニーノ(P) モーツァルト;VnソナタK.302・K.304・K.378・K.403(fone)
以前、NUOVA ERAレーベルから発売されていたアッカルドのモーツァルトは、K.526が好演だったので、主に中古盤で3枚架蔵していたが、その後見かけなくなっていた。
foneレーベルから再発されたものがBerkshireに出ていたので、未架蔵の2枚をオーダー。
同じレーベルのVn協集もあったのだが、とりあえず辛抱である。(^^;
 
マルコ・フォルナチアーリ(Vn)ダニエレ・ロワ(P) レスピーギ;Vnソナタほか(fone)
昨日の項に書いたデュオ・ハヤシの最初期の録音に、このヴァイオリニストとのラヴェル&フォーレのP三重奏曲がある(fone)。
それがきっかけで、ソロではシューマン;Vnソナタ集(fone)などを聴いてみたが、なかなか良かった。
これも店頭ではしばしば見かけて気になっていたが、手を出しそびれていたところ、Berkshireのカタログに出たのでオーダー。標記のほか
バッツィーニ;ソナタ形式の3つの小品op.44
マルトゥッチ;Vnソナタop.22
を収録。
 
マルコ・フォルナチアーリ(Vn) バルトーク;無伴奏Vnソナタほか(fone)
上記同様、気になっていたCDがBerkshireのカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
標記のほかタルティーニシューベルトクライスラー等の作品を収録した無伴奏アルバムである。
 
ナタン・ミルシテイン(Vn) バッハ;無伴奏Vnパルティータ第1〜3番(EMI)
1954〜56年のモノラル録音、ミルシテインによるバッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)旧盤からパルティータだけを抽出したもの。
国内盤で出た「ミルシテインの芸術」(東芝EMI)にも収録されていることから、新譜の時に買いそびれてしまった(シリーズものを一度に大量発売されるとさすがに買い切れないときがある)。
オリジナル・マスター・テープからのリマスタリングを謳っている点、ずっと気になっており、Berkshireで見つけたのでオーダー。
ちょっと音を比べてみたが、きれいになった分、痩せた感じもある。斉諧生的には国内盤の方が好みに近いが、甲乙をつけるには、オリジナルLPを持ってくるか実演に接した人を連れてくるほかあるまい。
 
マリエル・ノールマン(Hp) リサイタル(LYRINX)
愛惜佳曲書に掲げたデュセック;Hpソナタハ短調を捜す中で、ノールマンに録音があるとの情報に接した。
ずっと探求していたが、↑に書いたとおりLYRINXレーベルの旧譜は入手困難、ようやくjpcで見つけてオーダーしたもの。
ジャケットの表記が「変ホ長調」になっているが、同じ曲である。
レスピーギが弦楽合奏に編んだシチリアーナ等、14曲を収録。
 
ペール・ドレイエル(指揮)ロンドン響ほか、グリーグ;ペール・ギュント(全曲)(諾NKF、LP)
LP時代、「ペール・ギュント」の全曲盤は珍しかった。2枚組になってしまうことも一因であったか。
これは、歌唱はノルウェー語(合唱団はオスロの団体)、作曲者の指定どおり民俗楽器ハルダンゲル・フィドルを用いており、演奏の質の高さで定評のあった盤。
CD化されているが、1970年代終わりのアナログ録音なのでLPで架蔵したい。
英Unicornからも発売されており、そちらがオリジナルであろうが、ジャケット装画の美しさゆえにNKF盤を捜していたもの。
1980年代前半には輸入盤店でよく見かけたものだが、ようやく入手できた。
 
ラルフ・ホームズ(Vn) プロコフィエフ;無伴奏Vnソナタ&バルトーク;無伴奏Vnソナタほか(英Argo、LP)
LP期にシベリウスディーリアスハーティらの美しい録音を遺したホームズ。
彼の未知の無伴奏録音(1975年)を見つけたのでオーダーしたもの。
標記2曲以外にレーガー;シャコンヌop.117-4をフィルアップ。

12月2日(土): 

 

宇野功芳(指揮)アンサンブルSAKURA、ベートーヴェン;交響曲第3・8番ほか(自主製作)
さる7月9日、大阪・いずみホールで行われた演奏会のライヴ録音。
CD2枚組に標記の2曲と、最初の曲目序曲「コリオラン」とアンコールのシューベルト;間奏曲第3番劇音楽「ロザムンデ」より、更にリハーサル風景(約16分)を収録している。
この演奏会は、実際に客席で聴いており、そのときにはここで批判的なことも書いているのだが、宇野氏のCDは買い逃さないことにしているので購入。
店頭にはまだ出ていないようだが、オーケストラから直接入手したもの。
 
小林研一郎(指揮)日本フィル、ドヴォルザーク;交響曲第9番&ストラヴィンスキー;「春の祭典」(EXTON)
これまた買い逃さない指揮者、小林氏の新譜を店頭で購入。
それぞれ2000年8月20日、2000年3月23・24日のサントリー・ホールにおけるライヴ録音。
2曲で77分ほど、CD1枚に収まる演奏時間だが、あえて2枚組(価格は「1枚強」程度)で発売された。その意図についてはプロデューサー江崎氏のWebpageに詳しい。→ここを押して
 
景山誠治(Vn)デュオ・ハヤシ、モーツァルト;P三重奏曲集(日本音楽教育センター)
デュオ・ハヤシはショスタコーヴィッチ他のデビュー盤以来、ずっと買ってきている。
先だって、ファンページようこそ! デュオ ハヤシの楽しい音楽の宝石箱の世界へを見つけたところ、ディスコグラフィに未架蔵盤が掲載されていた。
非売品ながら「(お申し込みいただければ、お分け致します。)」とあるWebmasterの御厚意にすがって入手したもの。
変ロ長調K.502ハ長調K.5548ト長調K.564を収録している。
1991年2月13〜22日、太平スタジオでの録音。

 この間の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。


平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。


平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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