音盤狂日録


6月30日(金): 

 

武久源造(Fp)硲美穂子(Vn)モーツァルト;Vnソナタ第24・28番ほか(ALM)
武久氏の「鍵盤音楽の領域」シリーズの第6巻が出ていたので購入。
このシリーズは第1巻を故柴田南雄先生が絶讃されて以来、ずっと買っている。
今回は、モーツァルトの作品集。ロンドK.511を中心に置き、前後に標記のVnソナタ(ハ長調とホ短調)、Pソナタ第8番きらきら星変奏曲幻想曲とフーガK.394を並べ、間に即興演奏を収録。
フォルテピアノの弦やハンマーを覆う革も厳選して、「モーツァルトの精妙で豊穣な音の世界に相応しい響き」を目指したとのこと、大いに期待したい。

6月24日(土): 

 Alapage.comからCDが届いた。

ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)ベートーヴェン;Pソナタ全集(TRANSART)
CD10枚組の大物、ソナタ32曲とディアベリ変奏曲を収める。
1998年7〜8月、フランス・Reimsの町で開かれる夏の音楽祭"Flâneries Musicales d'Eté de Reims"での連続演奏会のライヴ録音。
これは、中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんからお薦めをいただいたもの。
「ものすごい完成度です。ヴェデルニコフやミケランジェリと比べても遜色のない演奏が続きます。」
との太鼓判、ピアノ曲には疎い斉諧生だが、これは見逃せないとオーダーしてみた。送料を含めても1万円強だったので、けっこうお買い得である。
聞き慣れないレーベルだが、Webpageを見ると本業はコンサート・エージェンシー。
このCDは特別に製作・発売した様子で、特集ページも公開中。
なお、使用楽器は、第4のペダル"The harmonic pedal"を備えた特製のスタインウェイだそうで、その解説も上記Webpageに掲載されている。→ここを押して

6月23日(金): 出張の帰りに大阪に出る。
 東西線北新地駅を降りると大阪駅前第2ビルの入口が正面に。このビルにササヤ書店があることを思い出して、行ってみた。
 目的は、アンゲルブレシュトのピアノ連弾曲「子供部屋」の楽譜。
 ふとしたことで拝見した『楽しいれんだんの部屋』に、「アンゲルブレヒトの作品」というページがあり、国内版が全音楽譜出版社から出版されているとの情報を得たのである。
 2巻とも店頭にあり、さっそく入手。…もっとも斉諧生はピアノが弾けないので(苦笑)、眺めてみるだけなのだが。(笑)

 ↑に従い、アンゲルブレシュト・ディスコグラフィ(作品篇)で、フランス語のまま掲載した曲名を邦訳題名に修正。
また、曲集の題も「子守歌」から「子供部屋」に変更。

 

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送チャイコフスキー響、チャイコフスキー;交響曲第5番ほか(RELIEF)
フェドセーエフのページで絶讃されているチャイコフスキーの新録音は既に第1・3・4番を架蔵済み、いよいよ第5番が、しかもライヴ録音で出たというので購入。。
クラシック招き猫フェドセーエフ・ページでは非常に好評なので捜していたのだが、なぜか京都では見つからず、大阪遠征と相成ったもの。
二重唱「ロメオとジュリエット」歌劇「スペードの女王」(抜粋)をフィルアップ。
録音日については、ジャケットに「1998年10月1〜4日、1998年12月5日、1999年5月6〜8日」とあるので、CDへの収録順に交響曲・二重唱・歌劇抜粋の日付を表示していると考えられる。
もっともライナーノートでは、歌劇抜粋について「1999年5月24日、モスクワ音楽院大ホールでの録音」と表記されているのだが…?
 
広上淳一(指揮)ロイヤル・リヴァプール・フィル、ベルリオーズ;幻想交響曲&プーランク;バレエ音楽「牝鹿」(組曲版)(RLPO LIVE)
日本人若手指揮者(そろそろ「中堅」に数えるべきか)の中では最も期待する人、広上淳一のライヴ録音が、オーケストラの自主製作盤で出たというので購入。
クラシック招き猫広上淳一ホームページでリリース情報に接して以来、ずっと捜していたのだが、これもなぜか京都では見つからず、大阪遠征と相成ったもの。
いずれも1999年2月17〜18日、リヴァプール・フィルハーモニック・ホールでのライヴ録音。
幻想にはロイヤル・フィルを振ったスタジオ録音(1996年、DENON)もあったが、ライヴならではの熱気を期待したい。プーランクも楽しみ。
なお、ブックレットで2頁を費やして、オーケストラの首席打楽器奏者が幻想交響曲(第5楽章)の「鐘」について執筆している。
それによると、通常使用されるチューブラ・ベルではなく、ロンドン名物ビッグ・ベンを鋳造した会社に特注した、3個のチャーチ・ベル(G、C、E-flat)を使っているそうである。

6月22日(木): 

 MikrokosmosからLPが届いた。

ヴィクター・アラー(P)フェリックス・スラトキン(指揮)コンサート・アーツ弦楽オーケストラ、ショスタコーヴィッチ;P協第1番(加Capitol、LP)
集めている曲の、これは工藤さんのページで星4つ半が付いている好演。
ずっと探していたところ、10インチ(25cm)盤が格安でカタログに出ていたのでオーダーしたもの。
実は10インチ盤には手を出さないことを原則にしているのだが、これはやむを得ない。
指揮者はレナードの父親、ハリウッドQの第1Vn奏者としても活動しており、このピアニストとはフランクショスタコーヴィッチのP五重奏で共演している(TestamentレーベルでCD化)。
録音年月はジャケットに記載がないが、1953年頃と思われる。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ティボール・ヴェーネル(P)コダーイ;エピグラム(抜粋)&テッサリーニ;Vcソナタ(洪Qualiton、LP)
ペレーニの初期録音@未架蔵盤、これも10インチLPだが見逃せないとオーダーしたもの。
ジャケット写真は半ズボンにハイソックス、ライナーノートには1960年にローマ・聖チェチーリア音楽院に留学してエンリコ・マイナルディに学ぶところまでしか記述がないので、あるいは12歳頃のものだろうか(彼は1948年生まれ)。
コダーイの題名は「警句」、「諷刺詩」の意味。全9曲のうち第1〜5・7番の6曲を演奏。
テッサリーニ(1690〜1762)はヴェネツィアのヴァイオリニスト・作曲家でヴィヴァルディの弟子とのこと。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ゾルタン・コチシュ(P)「チェロ・アンコール曲集」(洪Hungaroton、LP)
これまたペレーニの未架蔵盤。1985年1月ブダペシュトでのデジタル録音だが、CD化されていないはず。
実は、CDで架蔵しているもののLPだろうと思ってオーダーしたのだが、届いてみれば未知の音源だった。狂喜乱舞である。
全14曲を収録、煩を厭わず挙げれば…
パガニーニ;常動曲
シューベルト;「楽興の時」第3番
メンデルスゾーン;無言歌op.poth.109
ポッパー;マズルカ第1番op.11-3
ショパン;夜想曲変ホ長調op.9-2
グラナドス;間奏曲歌劇「ゴイェスカス」より
フォーレ;夢のあとに
サン・サーンス;白鳥
フォーレ;蝶々
ドビュッシー;メヌエット小組曲より
コダーイ;カプリッチオ
ダヴィドフ;泉にて
ラフマニノフ;ヴォカリーズ
R・コルサコフ;熊蜂の飛行 (収録順)

6月20日(火): 

 

ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)トルルス・モルク(Vc)ほか、ブラームス;P五重奏曲&シューマン;P四重奏曲(LYRINX)
この人の録音ならばとにかく買うという2人、カントロフとメルクの新譜が出ていたので逃すべからずと購入。
共演はジャン・クロード・ペネティエ(P)ゴルダン・ニコリッチ(Vn)ブルーノ・パスキエ(Va)と、これまた嬉しい顔触れ。
一昨年、ブラームス;P四重奏曲全集が出ていたが、その続編とおぼしい。
ブラームスは1995年12月、シューマンは1998年5月、マルセイユでのスタジオ録音。

6月18日(日): 

 

アマティQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第4番(DIVOX)
中古音盤堂奥座敷試聴会の課題曲を聴く。
技術的に非常に確実、ガッチリ弾けている…というのが第一印象。
あるいは、このガッチリさは、ドイツ系(ドイツ系スイス人?)の団体というところから来ているのかもしれない。
第1楽章の熱さ・気合いは、なかなかの迫力である。
第2楽章の切迫感にはただごとならぬ凄まじさがあり、145小節以下のスル・ポンティチェロの表出も見事。
これで、終楽章(特に後半)に燃えるような高揚感があれば、ベストを争ったかもしれない。
また、強奏で楽器が重なるときの響きが濁る気味があり、この点も少し残念。

 最近入手した音盤の情報を、ステーンハンマル 作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィパレー・ディスコグラフィアンゲルブレシュト・ディスコグラフィに追加。


6月17日(土): 

 外出のついでにCDを1枚購入、その前にH&B Recordings DirectからCD1組、通販業者からLP1枚が届いた。

ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(Vc)ベンジャミン・ブリテン(P)ほか、ショスタコーヴィッチ;Vcソナタほか(DECCA)
ロストロポーヴィッチのショスタコーヴィッチ録音、見逃すべからずと購入。彼のVcソナタ演奏は、作曲者とのモノラル録音1種しかなかったから、貴重なリリースだ。
ショスタコーヴィッチと親交厚かったブリテンのピアノにも期待。
DECCAが出し始めたオールドバラ音楽祭のライヴ・シリーズの1枚で、1964年6月14日、オールドバラ教区教会での収録。
カプリングは、
ガリナ・ヴィシネフスカヤ(Sop)エマニュエル・ハーウィッツ(Vn)ロストロポーヴィッチ(Vc)ブリテン(P)ショスタコーヴィッチ;A・ブロークの詩による7つの歌曲(1968年6月24日)
ロストロポーヴィッチ(Vc)ブリテン(P)ヤナーチェク;VcとPのための「おとぎ話」(1967年6月27日)
ノーバート・ブレイニン(Vn)ピーター・シドロフ(Va)マーチン・ラヴェット(Vc)ブリテン(P)フランク・ブリッジ;幻想四重奏曲(1967年6月22日)
 
ヴィト・パーテルノステル(Vc)バッハ;無伴奏Vnのためのソナタ&パルティータ(Vc編、全曲)(musicaimmagine)
店頭ではついぞ見たことのない盤だが、メニューイン&ミルシテインのページバッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ聴き比べで、N.M.さんが並み居るヴァイオリニストの名盤を抑えて、ベストに推しておられる盤。
コメントに曰く、
「いわゆる『語る』演奏ですが、この高雅さ、荘厳な雰囲気、それでいてシェリングのように重苦しくなく軽快でしかも神童時代のメニューインを思わせる力と熱があるというのはとてつもないことです。」
編曲者は未詳、ベルリンのアルヒーフに所蔵されている手稿で、原曲からオクターヴと5度、下げられているそうである。したがって調性も
ソナタ第1番ハ短調
パルティータ第1番ホ短調
ソナタ第2番ニ短調
パルティータ第2番ト短調
ソナタ第3番ヘ長調
パルティータ第3番イ長調
に変更されている。
長く"Backorder"になっていたが、ようやく届いたもの。
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)バンベルク響、モーツァルト;交響曲第31・35番(独BASF、LP)
モーツァルトを得意にしたイッセルシュテットが最晩年に録音したLP。
音源としては昨年、独ACANTA盤を購入、最近では珍しくなった、ゆったりしたモーツァルトに感心した。
ようやくオリジナルの独BASF盤を見つけたので購入。
もっとも、ジャケット・デザイン、スタンパーはACANTA盤と同じ。業だなぁ…(苦笑)。

6月16日(金): 

 

イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ソビエト国立響「モスクワ・コンサート」(LYS)
マルケヴィッチが、モスクワ音楽院で指揮法を教えていた時期のライヴ録音。蘇メロディアからLPで出ていたもののCD化。
いずれもモスクワ音楽院大ホールでのライヴ録音で、CD2枚に
ブラームス;交響曲第4番(1960年11月25日)
ショスタコーヴィッチ;交響曲第1番(1963年2月28日)
チャイコフスキー;羊飼の踊り(バレエ「胡桃割人形」より)(1960年11月25日)
グリンカ;「ルシアンとリュドミラ」序曲(1960年2月28日)
グリンカ;ワルツ(歌劇「イワン・スサーニン」より)(1964年11月30日)
ボロディン;韃靼人の踊り(歌劇「イーゴリ公」より)(1960年5月25日)
「タンホイザー」序曲
「ワルキューレの騎行」(「ワルキューレ」より)
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲
「前奏曲と愛の死」(「トリスタンとイゾルデ」より)
「ジークフリートのラインへの旅」(「神々の黄昏」より)(1963年5月25日)
を収めている。
LPは架蔵しているが、マルケヴィッチゆえCDでも持っておきたく、購入。
 
クリフォード・カーゾン(P)ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、モーツァルト;P協第23・27番(audite)
カーゾンのモーツァルト、買わざるべからず。
彼の第27番は、死後にようやく日の目を見たブリテンとの録音(DECCA)があり、同曲CD中ベストを争う。
また、クーベリックと共演したライヴでは、既発の第21・24番も素晴らしかった。
今回リリースされた1970年1月15日、ミュンヘン・ヘルクレス・ザールでのライヴにも大きな期待を寄せるものである。
なお、先にバレンボイム(指揮)イギリス室内管との1979年9月11日のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音がBBC LEGENDSから出ており、それとの比較も興味深い。
カプリングの第23番には、イシュトヴァン・ケルテス(指揮)ロンドン響との正規録音(DECCA)もあったが、今度の盤の方が期待できそうな気もする。
こちらは1975年6月21日、ヴュルツブルク・カイザー・ザールでのライヴ録音。

6月14日(水): 毎日愛読している根津さん@N響ひとりごと、この間、先週の定期で演奏されたステーンハンマル;セレナードをめぐる文章が目だっていたが、昨日付けの記事で当『斉諧生音盤志』に触れていただいている。御紹介に感謝申し上げたい。<(_ _)>
 それ以上に、「技術的にはとても難曲ですが、弾いていてもとても楽しめる曲で特に各楽器のソロの持ち味を遺憾なく発揮できる曲です。」等、演奏者としてのコメントは極めて貴重だといえよう。

 帰宅するとamazon.ukから荷物が届いていた。

モントリオール室内楽グループ、ヴィエルヌ;P五重奏曲・Vcソナタ(CBC)
ヴィエルヌのP五重奏は好きな佳曲なのだが録音が少なく、これまでジャン・ユボー他のERATO盤と室内楽曲全集のtimpani盤しかなかった。
ようやく別録音を見つけたのでオーダー。
演奏団体はモントリオール響の弦楽器奏者を主体としたもので、五重奏曲のピアノはジェイミー・パーカーという若い人が弾いている。
 
アンヌ・ロベール(Vn)シルヴィアーヌ・ドゥフェルヌ(P)ヴィエルヌ;Vnソナタほか(CBC)
上記のP五重奏曲で第1Vnを弾いているロベールが独奏している盤。
ヴァイオリニストはモントリオールの生まれ、ロンドンでマヌーグ・パリキアン、インディアナでヨゼフ・ギンゴールドに学び、1985年以来モントリオール響の第1Vn奏者だとか。
ロパルツ;Vnソナタ第3番メシアン;主題と変奏をカプリング。

6月13日(火): 

 

「シカゴ響 20世紀の名演奏」(シカゴ響自主製作)
話題のボックス10枚組、ついに買ってしまった。(@_@;;;
何といっても収録されている顔触れ・曲目が凄い。
フリッツ・ブッシュ、ベートーヴェン;交響曲第1番(1949年2月3日)
レオポルト・ストコフスキー、ベートーヴェン;交響曲第2番(1962年10月7日)
ヤーノシュ・フェレンチク、ベートーヴェン;交響曲第7番(1979年3月22・24日)
ブルーノ・ワルター、シューベルト;「未完成」交響曲(1958年3月13日)
クラウス・テンシュテット、ブルックナー;交響曲第7番(1984年5月31日・6月2日)
ジャン・マルティノン、マーラー;交響曲第3番(1967年3月23〜25日)
フリッツ・ライナー、チャイコフスキー;交響曲第4番(1957年11月21日)
キリル・コンドラシン、プロコフィエフ;交響曲第3番(1976年4月8・9・11日)
シャルル・ミュンシュ、ルーセル;交響曲第3番(1967年2月16・18日)
シャルル・ミュンシュ、ラモー(ダンディ編);組曲「ダルダニュス」(1963年2月27日)
カルロ・マリア・ジュリーニ、モーツァルト;セレナード第11番(抜粋)(1967年3月2・3日)
ピエール・モントゥー、ワーグナー;「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕への前奏曲(1961年1月1日)
ハンス・ロスバウト、R・シュトラウス;組曲「町人貴族」(1960年11月13日)
エルネスト・アンセルメ、ドビュッシー(アンセルメ編);六つの古代碑銘(1968年1月25・26日)
エーリヒ・ラインスドルフ、ドビュッシー(ラインスドルフ編);「ペレアスとメリザンド」より前奏曲と間奏曲(1986年11月26・29日)
…ああ、とても書ききれない!
しかし値段が…。(T_T) まあ、ボーナス月だから勘弁してもらおう…。
 
ピエール・ブーレーズ(指揮)ウィーン・フィル、ブルックナー;交響曲第8番(DGG)
昨年10月に国内盤が出たブーレーズ初のブルックナー録音、ようやく輸入盤が店頭に並んだので購入。
1996年、リンツの聖フローリアン修道院で開かれたブルックナー没後100年記念コンサートのライヴ録音。
斉諧生的には、最近、マーラーで再評価しているブーレーズだが、はたしてブルックナーはどうか、興味津々。
 
寺神戸亮(Vn)鈴木雅明(指揮、Cem)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;Vn協集(BIS)
寺神戸さんの録音、鈴木さんのバッハ、いずれも出れば買うことにしているものであり、問題なく購入。
収録曲は最もオーソドックスなもので、BWV1041〜43と、VnとObのためのBWV1060の4曲。
BWV1043の第2Vnは若松夏美さん、BWV1060のObはマルセル・ポンセール
恥を忍んで申せば、最初店頭で見たときに「あ、カンタータの第1集が再発されたのか…」と思って見送っていたもの。(^^;;;;
 
ヤーコ・クーシスト(Vn)フォルケ・グレースベク(P)シベリウス;初期Vn曲集第2巻(BIS)
昨年10月に第1巻が出た、シベリウスの習作時代のVn曲集の続編。
この巻には、主に1885〜1891年、20歳代前半の作品が収められている。フィルアップの無伴奏作品4曲(後年のものも含む)ともども、ほとんどが世界初録音とのこと。
珍しさ以上に、クーシスト兄の独奏に期待して購入。

6月11日(日): 

 ドイツの通販サイトjpcから荷物が届いた。
 ここも、ユビュ王の食卓のリンク集に掲載されていて知ったもの。
 今回はオーダーから到着まで約1カ月、他のサイトで取れなかった盤も含まれており、ドイツ系の通販サイトで使えるところが増えたのは大歓迎である。

ヴラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送チャイコフスキー響、チャイコフスキー;交響曲第4番ほか(RELIEF)
フェドセーエフのページで絶讃されているチャイコフスキーの新録音は既に第1・3番を架蔵済み、いよいよ後期三大交響曲の一。
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」をフィルアップ、両曲とも1998年の録音。
意外なことに、いつも使っている通販サイトでは見つからないことが多く、ようやくオーダー・入荷したもの。
 
アマティQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第3・4・6番(DIVOX)
中古音盤堂奥座敷合評会の課題盤エマーソンQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第4番(DGG)の比較盤として購入。
奥座敷同人野々村さんによれば、アルバン・ベルクQとアマデウスQのいいところだけを受け継いだともいうべき素晴らしい演奏とのこと。期待大。
 
エーリク・エーリクソン(指揮)アクサントゥス室内合唱団、「スカンジナヴィア」(assai)
これは狂喜乱舞の1枚。
合唱の神様エーリクソンによって、ステーンハンマル;3つの無伴奏合唱曲集が演奏されているのだ。
これはありそうでなかったもの、検索結果を半信半疑で眺めてオーダーしたのだが、1999年録音の新譜であった。
資料によれば、LP時代にスウェーデン室内合唱団との録音があるらしいのだが、未架蔵、未CD化。
その他、可憐なヴィカンデル;「すずらんの王様」や、アルヴェーン、サンドストレムらの無伴奏合唱曲を収める。
合唱団はフランスの団体、エーリクソンに学んだローレンス・エキルベイという人が主宰している。
ブックレットに記載されたメンバーは33人、ソプラノに「いっしき・かおり」という日本人名が見える。
 
ジンガー・プーア、「声楽作品集」(ARS MUSICI)
女声1・男声5からなるドイツの声楽アンサンブル、ジンガー・プーアによるステーンハンマル録音は、既に3つの無伴奏合唱曲集より第2曲「後宮の庭園に」があった。
この盤では、同曲集の第1曲「9月」が演奏されているので、オーダー。
その他、ハスラーラッススからブラームスドビュッシー、はてはケージリゲティまで、20曲を歌っている。
 
「女性の調べ」(EMI)
リリー・ブーランジェの曲が入っている…というのでオーダーしたのだが、届いてみれば既発音源のコンピレーション・アルバム。
ブーランジェでは、架蔵済みのイェフディ・メニューイン(Vn)クリフォード・カーゾン(P)「夜想曲」「行列」が入っていた。
エセル・スミス;女性の行進を先頭に、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンからグバイドリーナまで14人の作品20曲を収録。
 
ジャッキー・テラソン(P)ほか、「ジャッキー・テラソン」(BLUE NOTE)
歴としたジャズのアルバムだが、なんとなんと、ピアニスト自作の「リリー・ブーランジェへのオマージュ」という曲が入っている…というのでオーダーしてみたもの。
演奏者は、ジャッキー・テラソン(P)ウゴンナ・オケーゴ(Cb)レオン・パーカー(Ds)。その道では知られている人達の模様である。
ブックレットは演奏者の写真のみ、テラソンとブーランジェと一体どういう関わりがあっての曲か、さっぱりわからない。
Webで検索してみたが、ピアニストのバイオ公式ページ(?)は見つかったものの、上記の疑問に答えてくれるものではなかった。
国内盤は「アイ・ラブ・パリ」というタイトルで東芝EMIから出ているらしいのだが、そのブックレットには何か書いてあるのかもしれない。
ジャズの掲示板で尋ねてみようと思ったのだが、クラシック招き猫のような大規模なBBSサイトが見つからない。
どなたか御存知の向きあらば、御教示くださいませ。<(_ _)>

 WOWOWの放送を視聴。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響、シベリウス;交響曲第3・4・5番
スウェーデン放送協会が全曲を収録したものを3回に分けて放送する、第2回。
今年2月27日に第1回の放送(第1・2・7番)があり、続きを待望していたもの。
曲順どおりの放送で、収録は3番が1997年、4番が1990年、5番が1994年。
 
前回同様、美しい響きの中、求心力の強い、緊張感の高い演奏で、まことにシベリウスの音楽にふさわしい、素晴らしいものだった。
DVDで出るか、せめて音声だけでもCD化されれば、ベストを争う全集になると思う。何とか商品化を期待したい。
 
速めのテンポで勢いの良い第3番、第1楽章の練習番号13(第2主題が弦合奏に出るところ)で、一転、広々としたテンポをとったところは、聴いていて胸が熱くなるような見事なものだった。
第4番では厳しさと美しさの両立が驚異的。中でも第3楽章のクライマックスや全曲の終結は最高。
これはスウェーデン放送響も素晴らしく巧いと思われる。ヴァイオリンの高音で音程が崩れないのは超一級だろう。
第5番ではティンパニの打ち込みの迫力が凄かった。
第3楽章でホルンが初めて主題の全容を吹く直前、楽譜ではmfのところ、あえてffに叩かせたアイデア!
 
次回には第6番・「クッレルヴォ」の放送が予定されている。

 昨日・一昨日の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。


6月10日(土): 昨日に引き続き、首都圏での演奏会。

 今日は、横浜へ移動して沼尻竜典(指揮)日本フィル(横浜みなとみらいホール)を聴く。

今日の曲目は、
アーノルド;Gと弦楽のためのセレナード
ロドリーゴ;アランフエス協奏曲(以上G独奏;村治佳織)
マーラー;交響曲第4番(Sop独唱;澤畑恵美)
 
賢明なる読者諸氏がお見通しのとおり(笑)、ギタリストに惹かれてチケットを買ったもの。
なお、マーラーのソプラノは、当初予定されていた歌手が急病のための代役。
 
斉諧生にとって、みなとみらいホールは初めての見参。
構造は京都コンサートホールに似ているが、音響は優れているようだ。2階バルコニー(RCブロック)に席を取ったが、実にバランス良く聴こえ、しかも音がしっかり飛んでくる。
残響は少な目で響きが混濁しないので、特にマーラーなどの大編成の管弦楽曲には適しているだろう。
周囲の商業施設や飲食店も充実しており、コンサートと併せて1日楽しめそうである。
 
斉諧生にとって、ギターと管弦楽の演奏会も初めて。
席からステージを見下ろすと、ソリスト席の後ろと指揮台の斜め奥にスピーカーが見えた。
ギターの胴にマイクを付け、ワイヤレスで音声信号を飛ばして、増幅された楽音を流す仕組みである。話には聞いていたが、こういうものかと思った。
演奏が始まってみると、あまり大きな増幅は行わず、補助的なレベルに留まっていた模様。
それが良い見識というものだろうが、困ったことに、それでは斉諧生の席まで十分な音量で聴こえなかったのである。
特に低音の動きはオーケストラの音に埋もれてしまうことが多かったし、また、音は聴こえても細かいニュアンスまではほとんど把握できなかった。
 
アーノルドロドリーゴも、耳に届いた範囲の情報から推察するに、きっと良い演奏だったと思われるので、余計に残念。
アーノルド冒頭の弦合奏の美しさに感心したことを特記しておきたい。(コンサートマスター;木野雅之)
 
後半のマーラーは、きちんと整理された音楽で、オーケストラも好演、心地よく聴くことができた。
もっとも、真に深い響きや戦慄するような緊張、心の底からの幸福感…といったようなものが、存在しなかったのも事実である。
華麗といえば華麗な、しかし落ち着きのない指揮姿と、この音楽がリンクしているように感じられてならなかった。

6月9日(金): 午後から東京へ。

 今日の目的は、アラン・ギルバート(指揮)NHK交響楽団(NHKホール)を聴くこと。
 それというのも…

今日の曲目は、
北爪道夫;始まりの海から
ステーンハンマル;セレナード
ベートーヴェン;P協第3番(P独奏;アンドレ・ワッツ)
というもの。ステーンハンマル、しかもセレナードの実演、これは何があろうが逃すことはできない。
御迷惑をおかけしました。m(_ _)m>職場の皆様
 
なお曲順は、当初、北爪→ベートーヴェン→ステーンハンマルと発表されていたが、直前になって変更されたもの。
まあ、満場熱狂、拍手喝采鳴り止まず…というような曲調ではないので、やむを得ないか。(苦笑)
 
北爪;始まりの海からは、弦合奏の持続音の上に管楽器や多種類の打楽器の音彩が乗りながら頂点を築き、静かなエピソードが付属する…といった趣。
ふ〜ん、そうですか…といった類の曲で、格別な新しさとか魅力といったものは感じなかった。
採るとすれば、エピソード冒頭の静かな弦の響きだろうか。
 
さて本命のステーンハンマル;セレナード
このために席も1階前方の、いいところを奢ったのである。(笑)
 
第1楽章「序曲」は、軽やかに始まった。
強奏時の響かせ方など少し体温が高い感もあるが、決めどころはしっかり決めてくれる
ヴィオラとチェロが、それぞれ四重奏になる抒情的なパッセージなど、音楽の美しさを十全に表現してくれたと思う。
↑ここをはじめ、弦合奏のアンサンブルはかなり高い精度で、初めて演奏する曲としては非常に良かった。これで、フォルテの音色にもう少しつややかさがあれば、言うことないのだが。
 
第2楽章「カンツォネッタ」では、弦の序奏に乗って最初に出るクラリネット(横川晴児)が、まことに見事なソロを聴かせた。
楽譜の指定はドルチェ・エスプレッシーヴォ、音色の柔らかな美しさといい、エレガントなフレージングといい、一瞬でノックアウトされてしまった。
これに触発されたのか、全体に木管のソロは非常に良かったと思う。
フルートは見慣れない若い人だったが、木製の楽器で渋い音を響かせていた。文句ない巧さだが、音色にもう少し清涼な輝きがあれば…というのは斉諧生の好みの偏りか。
 
第3楽章「スケルツォ」は快調。ギルバートの健康さが明瞭に発揮された感あり。
中間部で行進曲風の楽想を導くホルンのファンファーレはpppの指定だが、これも美しかった。
 
全曲の白眉第4楽章「ノットゥルノ」も良かった。
木管のソロは引き続き好調、クライマックスの弦合奏は胸が熱くなるような響き。
締めくくりの低弦もしみじみと情感を湛えたものだった。
 
冗長になりがちな第5楽章「フィナーレ」だが、緩急・メリハリを心得た造型で、上乗の出来。
中間部の金管の吹奏も綺麗だったし、コーダに入ってのヴァイオリンも美しかった。
 
残念だったのは、随所で美しい旋律を引き受けるヴァイオリンのソロが、やや脂っこい弾きぶりだったこと。N響は3人のコンサートマスターが交替で出演するが、巡りがちょっと不運だった。
 
全体として、この美しい曲の紹介として十分に高い水準の演奏だったと思う。これだけやってくれれば非常に満足、京都から駆けつけた甲斐が、十二分にあった。
初日(木曜)の演奏は土曜夜に衛星第2放送で放映されたし、これをきっかけに、ステーンハンマルの音楽が、もっともっと普及すればよいのだが。
N響は昨年序曲「高みへ!」を演奏してくれたので、次は交響曲第2番を希望したいところ。
 
本当は
セレナード
2つのセンチメンタル・ロマンス
交響曲第2番
という、オール・ステーンハンマル・プロが理想なのだが、どこかのオーケストラで実現してくれないものか。
 
休憩後のベートーヴェン;P協第3番は、ちょっと不思議なピアノだった。
mpから下の音量では見事なコントロールなのに、fから上が「グシャ・ベシャ・ガタン」という鳴り方をするのである。とてもスタインウェイとは思えなかった。
あるいは、ピアニストは、大ホールでフル・オーケストラを相手に轟然と渡り合う…というベートーヴェンではなく、室内楽的なアプローチを目指していたのかもしれない。
ちょっと特殊な演奏だったと思うが、ピアノに詳しい人には上手さが印象的だったのだろうか、けっこう拍手喝采ブラヴォーの嵐だった(アンコールは、なし)。
 
オーケストラは、ステーンハンマルとは全く違ったドイツ古典の響きで、見事なサポート。ギルバートの非凡な才能を印象づけられた。
それにしてもこの人、川平慈英そっくり(笑)。体格はずっと大きいが。

6月5日(月): 

 帰宅するとamazon.ukから荷物が届いていた。

キム・カシュカシュアン(Va)ペーター・エトヴェシュ(指揮)オランダ放送室内管、バルトーク;Va協ほか(ECM)
贔屓のヴィオラ奏者、カシュカシュアンがバルトークを録音した…というので急いでオーダーしたもの。
付けが現代音楽の腕利きエトヴェシュ(先頃、新日フィルに客演した)というのも注目したい。
エトヴェシュ;レプリカクルターク;ムーヴメントをカプリング。
 
クレール・デゼール(P)モラゲス管楽Q、キャプレ;Pと管楽のための五重奏曲&ラヴェル;編曲集(LE CHANT DU MONDE)
フランクフローラン・シュミットマニャールヴィエルヌといった近代フランスのピアノ五重奏曲に目のない斉諧生、ドビュッシーの高弟キャプレのものというので心動かされた。
もっともこれは管楽との五重奏だが、名手モラゲス兄弟ほかの五重奏団とあらば聴かざるべからず。
しかもカプリングがラヴェルのクープランの墓亡き王女のためのパヴァーヌマ・メール・ロワのピアノと管楽合奏のための編曲…となると、余計に興味をそそられる。(編曲はデヴィッド・ワルター、五重奏団のオーボエ奏者)
なお、このディスクの存在はクラシック招き猫の投稿で知ったことを付記しておきたい。

6月4日(日): 

 中古音盤堂奥座敷試聴会に向けて、バルトーク;弦楽四重奏曲第4番の課題盤や同曲異盤の聴き比べ。
 実を言うと、バルトークの弦楽四重奏、きちんと聴くのは今回が初めてなのである。(^^;;;;

エマーソンQ(DGG)(1988年録音)
これが課題盤。そのため、議論のログが公開されるまで、コメントは非掲載といたします。
 
ハンガリーQ(独DGG、LP)(1961年録音)
リズム、フレージングなど、民俗感に富む(特に第1・4楽章)。
第3楽章の震えるような繊細さなど、第1Vnゾルタン・セーケイのセンスには、さすが作曲者と親交あつかった人物…と思わされる。
ただ、他のメンバーの技量が、他盤に比べて遜色あるようだ。
 
ジュリアードQ(日CBSソニー、LP)(1963年録音)
一世を風靡した演奏だが、やはりさすがである。バルトークの管弦楽曲におけるライナー&シカゴ響盤(BMG)のようなものか。
抜群の技量と強固なアンサンブルで、とにかく圧倒。
第1楽章の力強さ、第2楽章のスピード、第3楽章の上手さ(冒頭、ノン・ヴィブラートのピアニッシモで重音を奏する弓のコントロールの見事なこと!)、終楽章の鋭角的なスピード感。
この演奏が、いわば金字塔であり、後進の団体にとって「お手本」的な存在になっているような感もある。
 
ヴェーグQ(VALOIS)(1972年録音)
ジュリアードQが音符そのものを追求して突き詰めたところに作曲者の精神を見いだした演奏ならば、こちらはハンガリーのフォークロアからそれにアプローチした趣を持つ。
第2楽章の妖しい(不気味な)雰囲気など、特徴的なものだ。
終楽章は、今日の比較試聴の中で最高の出来。単に勢いがあるという以上に、「生の高揚」さえも感じさせる。
他の演奏で緩みがちな105〜120小節の間も、「<>」指定を活かしたメリハリ・緊張の持続が見事。
残念なのは、第3楽章の仕上がりが少々雑なこと。ピアニシモの和音が少しざらつくし、終結の2小節は無造作すぎる。
なお、第1Vnシャーンドル・ヴェーグの音の張り、輝きは非常に魅力的。
 
東京Q(独DGG、LP)(1980年録音)
第1楽章の勢いが素晴らしい。アクセントを効かし、気迫とスピード感に満ちている。
しかしながら、それ以上の、音楽的な力、内容に欠ける憾みがある。
第2・3楽章には音色的な魅力が乏しく、第4楽章も速いわりにはリズムの「乗り」がよくない。
終楽章も(勢いはいいのだが)ヴェーグQの高揚感には及ばない。
 
アルバン・ベルクQ(EMI)(1985年録音)
ヴェーグQと同様に民俗色に目配りしつつ(第2楽章の雰囲気など)、メンバーの技量に裏付けられて非常に高いレベルの演奏を実現している。
第1楽章のグリッサンドや第3楽章のピアニッシモも実に上手い。全曲を通じて音色の多彩さも特筆すべき。
残念なのは録音。残響過多で少し色づけを感じる。これがほの暗い雰囲気を作っている面もあるのだが。
 
アルディッティQ(Gramavision)(1990年録音)
技術的には上手だし、表情には余裕さえある。
その一方で、表現に独自色が薄く、時に手ぬるさを感じるなど、あまり突き詰めて追求していないように思う。

6月3日(土): 

 西宮市を本拠に活動するアマチュア・オーケストラかぶとやま交響楽団第23回定期演奏会@いたみホールを聴く。
 このオーケストラには中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんが参加しておられ、この演奏会でもコンサートマスターを勤めておられた。

今日の曲目は
ショスタコーヴィッチ;ロシアとキルギスの民謡による序曲
シベリウス;交響曲第3番
ブラームス(シェーンベルク編);P四重奏曲第1番
という「こだわり」集団らしいもの。
とりわけシベリウスの3番は、斉諧生偏愛の曲、実演は極めて珍しいので、知人が所属するオーケストラでなくても聴きに出かけるところだ。
またショスタコーヴィッチについては、工藤さんのWebpageに詳しい記事がある。→ここを押して
なお、いつもどおり、弦の配置は1stVn-(Vc+Cb)-Va-2ndVn
 
演奏はいずれも立派なもの。
 
ショスタコーヴィッチは初めて聴く曲だが、民俗的な旋律とショスタコーヴィッチの管弦楽法の迫力が、ともに十分楽しめた。
 
シベリウス中後期の作品には、ややもすると曲の本質を破壊する演奏が多いのだが、不満なく音楽の魅力を堪能でき、終結の和音では思わず鳥肌が立った。
刮目したのは第2楽章の冒頭、フルートによる主題提示を先導するホルン四重奏の鬱然たる音色。これはウィンナ・ホルンで揃えた「かぶ響」ゆえの魅力だろうが、御本家のCD(マゼール旧盤)からも聴けないものだ。
木管がしっかり聴こえるバランスの良さに感心したことも特筆しておきたい。
 
ブラームス/シェーンベルクも力演。
しっかり「ブラームス」していた弦合奏の音色、鮮やかな打楽器の彩り、なかなかに冴えたソロの数々。
精彩ある音楽が一貫し、速めのテンポによる終楽章が見事な畳みかけで終結した。
 
もちろんアマチュア・オーケストラゆえ、木管のピッチの不揃いとか各種の事故は起こっているのだが、それを乗り越えて伝わってくるものがある。音のイメージ、音楽のイメージがしっかり共有されているからだろう。
 
このオーケストラ、次回定期演奏会ではステーンハンマル;セレナードを取り上げる。
2001年1月27日18時30分から伊丹アイフォニック・ホール、北欧音楽ファンは必聴であろう!  
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して

 通販業者からLPが届いた

東京Q、バルトーク;弦楽四重奏曲全集(独DGG、LP)
中古音盤堂奥座敷の合評会、次回課題盤エマーソンQ、バルトーク;弦楽四重奏曲第4番(DGG)の比較盤として購入。
東京Qは最近BMGに再録音を果たしたが、これは旧盤にあたり、第1ヴァイオリンが原田幸一郎。いちどCD化されたことがあるが、現在では入手難である。
LPを捜した方が早い…と思っていたところ、カタログにかなり安価で掲載されていたのでオーダーしたもの。
録音は第2・6番が1975〜76年(この2曲のみ先行して発売済み)、他4曲が1979〜80年。
国内盤LPの発売は1981年8月、作曲者生誕100年の記念企画として。当時はかなりセンセーショナルに取り上げられたことを記憶している。

平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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