音盤狂日録


3月31日(金): 

 毎春、京都で行われている京都フランス音楽アカデミーの講師連中によるコンサート、コンセルヴァトワールの巨匠たち@京都コンサートホール(小)を聴きに行く。

モーツァルト/アダージョとフーガK.546
ジェラール・プーレ(Vn)森悠子(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレ(Vc)
各奏者ともフランス風の弦の音色が美しいが(特にプーレとミュレ)、そのゆえにドイツ音楽のガッとした和音にはならないので、欲求不満が残った。
フーガ後半の熱っぽい盛り上がりは良かったが。
 
ベルリオーズ/オフェリアの死&R・シュトラウス/オフェリアの歌
アンヌ・マリー・ロッド(Sop)ドミニック・メルレ(P)
ロッドの声は、細いがよく透る美しいもの、特段大きな表情は付けないのだが、自ずと感じられる哀傷が印象的。
ドイツ語で歌われたシュトラウスより、フランス語のベルリオーズの方に、その特長が出ており、フランス歌曲で揃えてほしかったものである。
 
ルクー/P四重奏曲より第1楽章
ドミニック・メルレ(P)ジェラール・プーレ(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレ(Vc)
ルクーの遺作となった四重奏曲、第2楽章までで未完に終わった。
しかしながら、第1楽章の(ちょっと病的な)熱っぽさ、あまりにも甘美な第2楽章、あるいは有名なVnソナタ以上の音楽だと思う。
今日は、この曲を目当てに入場料を払ったようなものである。実演で聴けるときが来るとは思わなかった。
チラシ等では「ピアノ四重奏曲の楽章」と書かれており、両楽章を演奏してくれるか…と期待していたが、結果的には第1楽章だけ。これは残念。
冒頭からヴァイオリンのプーレが腰を半分浮かし加減に気持ちのこもった演奏ぶり、音楽の熱っぽさに見合って、陶然たるものがあった。
特に、弦楽器の音色が自然に持つ翳り・悲しみは、なかなか録音では捉えきれず再生しきれないもの、それを堪能できたのはコンサートならでは。
楽章終結に向けての盛り上がりも良く、熱烈な拍手が送られた。
 
残念だったのは、ピアノの音に詩情が乏しかったこと。第2主題の提示など、気持ちが入りすぎたのか、やや単調なフォルテになってしまった。
これがプリュデルマシェだったら…という思いが頭をかすめたものである。
 
このコンサートでは、去年もヴィエルヌ;P五重奏曲という秘曲を演奏しており、来年にも期待したい。
 
ジョリヴェ/リノスの歌
フィリップ・ベルノルド(Fl)森悠子(Vn)タッソ・アダモプロス(Va)フィリップ・ミュレール(Vc)フセイン・セルメット(P)
ベルノルドの金のフルートはヴィブラートを抑えたまろやかな音、斉諧生好み。
おそらく技巧至難と思われる曲を鮮やかに吹ききり、拍手喝采。
 
ラヴェル/スペイン狂詩曲(四手ピアノ)
ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)フセイン・セルメット(P)
プリュデルマシェが低音部とペダルを、セルメットが高音部を担当。
詩的なタッチと切れのいいリズムが冴えて、当夜の白眉となった。
 
バルトーク/コントラスツ
ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)レジス・パスキエ(Vn)横川晴児(Cl)
プーレに比べて、パスキエの音色は、よりインターナショナルなものに近く、しかもバリバリ弾く感が強い。
横川のクラリネットともども、技巧的にはきわめて達者で、妙技には感心。
ところが一筋縄でいかないのがバルトークの演奏至難なところで、舞曲楽章の民俗的な味や、緩徐楽章の凍り付くような雰囲気には、乏しかったと言わざるをえない。
第2楽章でのプリュデルマシェのピアノに、その片鱗が見られたのが救いだった。
 
アンコール等は、なし。
 
このあと3日に大阪、6日に東京、18日にパリで巡演するとのこと(同じプログラム)、お薦めしたい。

3月30日(木): 

 アメリカの通販サイトexpress.comから荷物が届いた。
 ここの取扱商品の中心は、DVDソフト。
 実は、DVDにはリージョナル・コードという仕組みがあって、アメリカで売られているソフトを日本で売られているプレーヤーにかけても再生されない…ということになっている。

先日来、ニュースになっているプレイ・ステーション2の「バグ」は、この制限を無効にする「裏技」があった…というもの。

 アメリカでの販売価格はずいぶん安い上に、日本で出ていないタイトルも多いので、これまで指をくわえて眺めていたのだが、このDVD Home Theaterのページで勉強したところ、どうやらそうでもないらしい。
 以下は受け売り。
 元来この仕組みは、例えば「アメリカでは劇場公開された後にDVDソフトが発売されたが、日本ではまだ公開されていない」という映画があったとき、「輸入盤DVDが自由に流通しては日本で劇場公開したときの興行収入が悪化する」との理由で設けられたもの。
 したがって、公開から相当の年月を経たタイトルについてはリージョナル・コードで制限する意味が乏しく、実際にはコードを掛けていないソフトが多いらしい。
 上記express.comでは、検索結果に"RC"という項目を設け、"Yes"ならコード制限あり、"No"は実質フリー、と表示されている。
 従って、"RC=No"のタイトルであれば、通販で買って自分のプレーヤーで見ることができる…というわけである。(例えばこんなふうに→ここを押して)
 もっとも、「日本語の字幕が出ない」という最大の問題があるわけだが…。(^^;;;;

ケン・ラッセル(監督)『サロメ』(Pioneer)
ケン・ラッセルは、クラシック音楽や作曲家を度々取り上げている。
中でも素晴らしいのは、ディーリアスの晩年を描いた「夏の歌」と、白黒フィルムでドキュメンタリー風に撮影した「エルガー」。これらは以前NHKで放送されたことがある。
その他、劇場映画「マーラー」も、10年くらい前だったか日本でも公開され、話題になった。
ずいぶん猥雑な映画も撮る人だが(「チャタレイ夫人の恋人」とか(笑))、上記の2作でファンになり、この人の作品は機会があれば見るようにしている。
彼のフィルモグラフィは→ここを押して
 
これは1987年の作品で、斉諧生も劇場で見た。
もちろんオスカー・ワイルドの戯曲(というかR・シュトラウスのオペラ)を下敷きにした作品で、原題は"Salome's Last Dance"。
映画には、ワイルド自身が登場して、ロンドンあたりの怪しげな娼館を訪れ、そこで何かの余興(?)に上演される自作を観る…という枠組みで進行する。
娼館の主人がヘロデ王を、女主人がヘロデアを、ワイルドの愛人(もちろん男)が洗礼者ヨハネに扮し、イモージェン・ミレ・スコット演じるサロメは娼館の女中か何かということになっていたと記憶している。
このサロメが、ちょっと独特で、最初はギョッとしたのだが、観ているうちにどんどん引き込まれてしまった。ラストにはちょっとしたどんでん返しもあり、感嘆したものである。
この映画の雰囲気は、DVDのパッケージをごらんいただくとわかるかもしれない。→ここを押して
 
もう一度見たいものと思っていたが、レンタル・ビデオ等でも見かけず、残念に思っていた。アメリカではDVD化されているのも気づいていたが、リージョナル・コード問題で諦めていたところ、express.comの表示に気づいて、ものは試しとオーダーしてみたもの。
ほぼ即日、発送のメールがあり、1週間程度で届いた。
 
早速、プレーヤーに掛けてみたところ、何の問題もなく再生された。
10年ほども経つと、記憶違いや忘れていることもあるものだ(「七つのヴェールの踊り」のシーンに付けられた音楽がグリーグ;「ペール・ギュント」「山の魔王の宮殿にて」だったことなど)。

3月29日(水): 

 ノルディックサウンド広島からCDが、別な業者からLPが届く。

エドワード・セロフ(指揮)ヴォルゴグラード・フィルほか、プーランク;Org協ほか(MILS)
1月末にノルディックサウンド広島の店舗に伺ったおりに試聴して気に入ったが在庫がなく、入荷を待っていたもの。
ロシアのオーケストラによるフランス名曲集という妙な企画で(笑)、
ドビュッシー;牧神の午後への前奏曲
同;Clのための狂詩曲第1番(Cl;ヴィアチェスラフ・チェルノフ)
ラヴェル;ツィガーヌ(Vn;マンフレード・グレースベク)
序奏とアレグロ(Hp;イリーナ・アモゾヴァ)
プーランク;Org協(Org;マイヤ・レフトネン)
という構成。
1990年6月9日、演奏旅行途上のラハティで、コンサート終了後に一晩で録りきったライヴ収録同様のCDながら、MILSの社長自慢の好録音と、お店の方から伺った。
ソリストのうち、VnとOrgはフィンランドのソリスト、ClとHpはオーケストラのメンバー。
 
セッポ・ラーマネン(Vc)ヨウニ・ソメロ(P)「ノルディック・チェロ」(MILS)
グリーグ;Vcソナタ
シベリウス;マリンコニアロマンス
ヤルネフェルト;子守唄
など、北欧のチェロの名曲の数々、これは聴きたいと購入。
そのほか、マデトヤメリカントクーラの曲を収める。
チェリストは、生年が明記されていないが、1930年頃の生まれか。シベリウス・アカデミーやポーランドの国立音楽院、モスクワでロストロポーヴィッチ等に学び、1961年からフィンランド放送響の首席奏者を務めているとのこと。
 
ヴェイッコ・コソネン(Va)セッポ・ラーマネン(Vc)ヨウニ・ソメロ(P)ほか、クーラ;室内楽作品全集第1巻(MILS)
1月にお店で第2巻を買ったとき、「第1巻も素晴らしいですよ」とのお言葉で、オーダーしていたもの。
Pトリオop.7のほか、ヴィオラのための小品や弦楽合奏のための作品を収録。
後者ではティムール・ミュンバエフ(指揮)ミンスク室内管が演奏している。
なお、MILSのクーラ作品集については、ウッドマンさんのユビュ王の食卓に詳しいレビューがある。→ここを押して
 
ミカ・ヴァユリネン(アコーディオン)「ディエス・イレ」(MILS)
最近、FINLANDIAからピアソラ・アルバムなども出たヴァユリネン。
ラフマニノフ;ヴォカリーズが収録されているので、店頭でちょっと試聴してみたところ、弱音・遅いテンポによる、なんとも物凄い演奏だった。
これは買わねばと思い、品切れだったのでオーダーしていたもの。
その他、
ボエルマン;ゴシック組曲
スカルラッティ;ロ短調ソナタ
ゾロタルヨフ;ソナタ第3番
等を収録。
アルバム・タイトルは、ゾロタルヨフ(原綴Zolotarjov、読みは自信なし)の作品のクライマックスで、このモチーフが引用されることに因むとか。
 
ソルヴェイグ・フンセト(P)「女性作曲家たち」(Swedish Society)
リリー・ブーランジェ全録音蒐集プロジェクトの一環で購入。
古い庭で明るい庭で行列を演奏している。
こうした企画の定番、ファニー・メンデルスゾーンクララ・シューマンの他、エルフリダ・アンドレー(1841〜1929)、アガーテ・グレンダール(1847〜1907)、ヴァルボルィ・アウリン(1860〜1928)という北欧の作曲家を取り上げている。
ピアニストの略歴等はブックレットに記載がない。
 
グンナー・エリクソン(指揮)リルケ・アンサンブル、「短い人生」(Swedish Society)
ステンハンマル全録音蒐集プロジェクトの一環で購入。
3つの無伴奏合唱曲の第2曲「後宮の庭園に」が収録されている。
リルケ・アンサンブルは、1980年に創設された、12名を基本メンバーとする合唱団。指揮者は「合唱の神様」エリク・エリクソンの弟子の一人。
その他、スウェーデンの合唱曲22曲を収録。アルバム・タイトルは、北欧の短い春と夏を歌った曲を集めたことに由来するとか。
 
ジャクリーヌ・エマール(P)レーヴェングートQ、フランク;P五重奏曲ほか(仏Philips、LP)
この曲は、かねて集めているところ、ましてやフランスの名四重奏団と聞こえたレーヴェングートQとあっては、買わざるべからず。
LP時代、彼らによるこの作曲家の弦楽四重奏曲の録音は、名盤として有名だった。
カタログによれば1956年のモノラル録音とのこと。
ピアノ独奏による前奏曲、コラールとフーガをフィルアップ。
ピアニストのことは詳しく承知しないが、その方面では有名な人なのだろうか?
 
ベルンハルト・パウムガルトナー(指揮)カメラータ・アカデミカほか、モーツァルト;戴冠式ミサ(仏PRESIDENT、LP)
1960年ザルツブルク音楽祭に当たり、当地のマリア・プライン教会でライヴ録音されたもの。
長くザルツブルク音楽祭を支えたモーツァルテウム音楽院長、パウムガルトナーの生気溢れるモーツァルトは、かねて斉諧生の好むところ。
しかも曲が戴冠式ミサとあっては買わざるべからず。
合唱は「ザルツブルク放送室内合唱団」と表記され、独奏者については記載がない。
なお、演奏会場のマリア・プライン教会は、このミサ曲が初演されたと伝えられてきたところ(近年では疑問視されているそうだが)。
ジャケットには、交響曲第40番ハフナー・セレナードも発売されている記載がある。このあたりも欲しいところだが、さてはて、手に入る可能性があるのやら…。

3月27日(月): 

 

カヤ・ダンチョフスカ(Vn)カジミシェ・コルト(指揮)ワルシャワ国立フィル、シマノフスキ;Vn協第1・2番ほか(accord)
シマノフスキのヴァイオリン曲は好きで、特に第2番の協奏曲は聴き逃せないと思っているので購入。
このあたりも一度きちんと聴き比べをして、自分のベスト盤を考えておきたいものだが…。
ダンチョフスカは、デビューした頃にクリスチャン・ツィマーマンとDGGにフランク;Vnソナタとシマノフスキの神話を録音していて、そのときから注目している。
演奏会用序曲op.12をフィルアップ。
 
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;カンタータ全集第12巻(BIS)
BCJのバッハは揃えるつもりなので、購入。
久しぶりに、有名曲BWV147と、BWV21を収録。
来月22日には、彼らのマタイ受難曲の実演を聴く予定。今から楽しみである。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)ローリィ・ウォルフィッシュ(P)ほか、エネスコ;Vcソナタほか(ebs)
これは通販。ユリウス・ベルガーの未架蔵盤ゆえ購入したもの。
Vcソナタは1935年作曲、カザルスに献呈された作品だが、初演は別なチェリストと作曲者のピアノ(!)で行われたとか。
op.26-2とあるが、26-1は何だったのだろう。
そのほか、
Pソナタop.24-1
ルーマニア狂詩曲op11-1(ピアノ編曲版)
を収録、後者の独奏はジュリアン・ムサフィアという人。
いずれの曲も、世界初録音と表記されている。(録音は1993年10月)
 
ペーター・ホフマン(Ten)「ロック・クラシックス」(Sony)
これは長年の探求盤、ようやく入手できて感無量。
一時期、ワーグナー・テノールとして持てはやされたホフマンが、
「スカボロ・フェア」
「イエスタデイ」
「明日に架ける橋」
など、昔懐かしいロックの名曲10曲を歌ったアルバム。
平成3〜5年にかけて文芸専門誌『文學界』(文藝春秋)塚本邦雄氏が連載していた「世紀末花傳書」の一回で取り上げられた。(その後、同社から単行本として出版)
「『スカーボロー・フェア』は類を絶し、心胆を寒からしめる。(略)鋼の冴えを思わせる張りつめた声が、肺腑を衝くかに響き渡ると、ついうっかり、ワーグナーの散逸楽劇『嵐が丘』あり、その主役ヒースクリフの第一幕まくぎれのアリアだと、真赤な嘘でもつきたくなるほどの迫真力あり。」
とのこと、一度聴いてみたいものと願っていた。
 
当時は国内盤もあり、いつでも買えると甘く見ていたら、ホフマンが歌劇場から姿を消すとともにカタログから消滅、ドイツ本国でも廃盤の運命をたどった。
その後、偶然、彼のクリスマス・アルバムを中古盤で入手。ワーグナーのパロディのような編曲と歌唱に、一聴仰天、爆笑した。
これは是が非でも、「ロック・クラシックス」を手に入れねば…と思い、あちこちの通販サイトで検索していたが、なかなか見つからなかった。
先日、教えてもらったドイツのアマゾンのサイトで、ようやく発見。あるいは再プレスされたのか。
狂喜してオーダー、ほぼ即日、発送のメールが届いたのだが、それから到着まで約2箇月かかった。(苦笑)
 
編曲と指揮はローラント・ヘックゲルト・ケーテという人、ドラムスやシンセサイザー等も参加しているが、オーケストラはベルリン・ドイツ・オペラ管のピックアップ・メンバーとのこと。
「スカボロ・フェア」ではデボラ・サッスーン(Sop)が参加、塚本氏が「その至妙な絡み合いが聴いてほしい」と書いたカノン部分を歌う。

3月26日(日): 

 日本フィルハーモニー交響楽団京都演奏会(指揮:小林研一郎)@京都コンサート・ホールを聴きに行く。
 今日も、3階LDブロックの1列目に席を取る。

曲目は、先週、サントリー・ホールで行われた第518回定期演奏会と同じで、
ショパン;P協第1番(P:中村紘子)
ストラヴィンスキー;バレエ音楽「春の祭典」
というもの。
知名度のあるソリストのわりに客席の入りは芳しくなく、2階席正面など、けっこう空席が目立った。
東京から来るオーケストラより地元・京都市響の定期の方が入りがいい、というのは、ある意味で喜ばしいことだが。
もっとも、ピアニストのアンコールなど、最後の音の余韻が響く中で拍手をする人がおり、京都人の音楽的成熟もまだまだ…である。
 
ショパン;P協冒頭の弦合奏による主題から、先週の大阪センチュリー響とも聴くことが出来た、豊かで暖かいハーモニーが拡がる。
ピアノ独奏の出は、良く言えば決然とした、悪く言えばやや乱暴にも感じる音。
音を別にすれば、気合いの入った独奏で、堂々とオーケストラと渡り合い、弱音部ではそれなりに思い入れも見せていた。
アンコールはショパン;ノクターン(遺作)
 
休憩後の春の祭典は、いっそう充実した好演だった。
スマートではないが、ズッシリした響きを一貫させ、要所々々でのfffの追求も怠りない。
際立って目を惹くような新解釈や個性味には乏しいものの、曲のイメージを十全に構築していたと思う。
小林研一郎という指揮者の芸術は、そういうところにあるのではないか。「炎のコバケン」などとチラシにも書かれたりしているが、それは他の指揮者が燃えなさすぎるのである。
逆に、この曲やショスタコーヴィッチ;交響曲第5番のような、指揮者がテンションを上げる(煽りまくる)曲では、かえって彼は目立たなくなるのではなかろうか。
 
オーケストラは各楽器とも上手、中でも金管(特にトロンボーンあたり)・打楽器の健闘が印象的。第1部の終結など、鳥肌だつ凄まじさ。
第2部冒頭が、もう少し良い音程・美しい響きで推移して、緊張感・凄みが出れば、最高の「ハルサイ」になっただろう。
 
アンコールは、「ダニー・ボーイ」、弦合奏の暖かい豊かな響きが最高に美しく、当夜の圧巻。
このときは最後の音が消えゆくまで客席も静寂を守り、素晴らしい幕切れとなった。

 上記のコンサート会場で、日本フィルの自主製作CDを購入。

ジャン・フルネ(指揮)日本フィル「フランス管弦楽名曲集」(日本フィル)
フルネのCD! これは購入せざるべからず。
日本フィルは、以前から自主製作盤を作っており、小林研一郎広上淳一らの貴重な音源を出してくれる。
楽団公式Webpageにも、そのコーナーがあるのだが、これはまだ掲載されていない。→ここを押して
収録曲は、いずれも昨年の来日時の共演の記録で、
デュカス;「魔法使いの弟子」(1999年5月8日、横浜みなとみらいホール)
ビゼー;「アルルの女」第2組曲(1999年5月23日、サントリー・ホール)
ドビュッシー;交響詩「海」(1999年5月27日、サントリー・ホール)
ラヴェル;ラ・ヴァルス(1999年5月9日、東京芸術劇場)

 今日の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 昨日の音盤の情報を、ステンハンマル 作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。
 また、電網四方八通路に新規サイトを掲載。


3月25日(土): Syuzo's HomepageのMLKna-parc MLのオフ・ミーティングに参加。
 会場はメンバーの一人が御自宅を開放してくださり、昼過ぎから深夜まで(^^;;;、クナッパーツブッシュをはじめ、往年の巨匠指揮者のSP・LP・CD、映像を堪能させていただいた。

 

ヤーノシュ・ソリュオム(P)スティーグ・ヴェステルベリ(指揮)ミュンヘン・フィル、ステンハンマル;P協第2番ほか(瑞EMI、LP)
さる方から譲っていただいたLP。
音源としてはCDで架蔵しているのだが、オリジナルのスウェーデンEMIのLPは珍しく、御無理をお願いした次第。ありがとうございました。
またジャケット装画が素晴らしい。ピアノに向かうステンハンマルの有名な肖像画の前で、ピアニストが同じポーズをとっている…というもの。→ここを押して(約77KBありますので御注意)
問題は録音年月日で、CDには1970年9月と記載されていたが、ここでは1970年11月20〜22日となっている。新しいデータが正しい場合もあるが、当面、オリジナルLPを優先して後者の日付をステンハンマル 作品とディスコグラフィに記載する。
リスト;死の舞踏をカプリング。
 
クリスティン・シーシンスキー(Sop)テッド・テイラー(P)ほか、リリー・ブーランジェ;歌曲集「空のひらけたところ」ほか(米Leonarda、LP)
帰宅するとLPが1枚届いていた。アメリカの女性作曲家専門レーベル、Leonardaに直接オーダーしていたもの。
ブーランジェのピアノ伴奏歌曲のうち、唯一まとまった作品である歌曲集「空のひらけたところ」の貴重な全曲録音である。
上記公式Webpageのカタログに記載されており、電子メールで海外への販売について問い合わせた上、FAXでオーダーした。
歌手はアメリカ人で、1977年にジュネーヴ国際コンクールで1位を得、メトロポリタン歌劇場などでフィオルディリージ伯爵夫人などを持ち役にしているとか。姓の原綴は"Ciesinski"、読みに自信はない。
姉妹キャサリン・シーシンスキー(M-S)によるアルマ・マーラー歌曲集を併録。

3月24日(金): 退勤後、大阪へ。ミン吉@オペラ御殿さんを歓迎してのオフ・ミーティング。

 集合場所の音盤屋で買物少々。

カール・ハース(指揮)ロンドン・バロック・アンサンブル、モーツァルト;セレナード第11・12番&ドヴォルザーク;管楽セレナード(TESTAMENT)
平凡な名称の団体だが、シドニー・サトクリフ(Ob)、フレデリック・サーストンジャック・ブライマージェルヴァーズ・ド・ペイエ(Cl)、セシル・ジェイムズ(Fg)、そしてデニス・ブレイン(Hrn)等、1950年代イギリスのトップ・クラスの管楽器奏者を網羅。この顔ぶれの録音とあらば、とても買わずにすませることはできない。
ブレインの評伝スティーヴン・ペティット『奇跡のホルン』(山田淳訳、春秋社)にも、このアンサンブルの録音活動についての記述が散見される。
特にドヴォルザークについては、
「メヌエットのトリオにおいて、デニスは驚くべき速さで上行音階を奏しているが、完璧な敏捷さと絶妙なフレージングのコントロールを駆使し、終わりにあたっては消え入るような効果を生んでいる。」
と特筆されている。
録音はモーツァルトが1952年、ドヴォルザークが1951年。LPは英パーロフォンから出ていたとのこと。
 
鈴木秀美(Vc)小島芳子(Fp)ベートーヴェン;Vcソナタ第4・5番(BMG)
鈴木さんの独奏CDは欠かさず買うようにしているが、ベートーヴェン全集の完結篇が発売されたので購入。国内盤。
第1弾の第3番(シューベルト;アルペジオーネ・ソナタをカプリング)が出たのは1996年末だったから、足かけ5年になる。
ライナーノートには鈴木さんの手になる録音ノート…というより味わいの佳いエッセイが掲載されている。
 
パメラ・フランク(Vn)クロード・フランク(P)シューベルト;Vnソナタ・ロンド・幻想曲(ARTE NOVA)
ヴァイオリンとピアノのための作品の中で、斉諧生最愛の曲の一つ、シューベルトの幻想曲。
その新録音というだけでも食指が動く上に、かねて評価しているパメラ・フランクの独奏とあっては、買わざるべからず。
イ長調のソナタ(D.574)、ロンド(D.895)をカプリング。
ARTE NOVAのバジェット・プライスというのも嬉しい。
 
オッリ・ムストネン(P)ベートーヴェン;Pソナタ第30番・民謡の主題による変奏曲(BMG)
あまりピアノ独奏CDを買わない斉諧生だが、数少ない例外がムストネン。
ベートーヴェン作品では、先だってディアベリ変奏曲をリリースしていたが、第30番のソナタの新譜が出ていたので購入。
聖典視されることもある後期三大ソナタの一つに、どのような表現を見せるのか、興味津々。
カプリング(というより収録時間はソナタの倍以上を占める)の変奏曲(op.107)は聴いたことのない曲、フルート(またはヴァイオリン)のオブリガートが付くこともあるそうだが、ここではピアノのみ。
 
エミール・ナウモフ(P)自作;4つの前奏曲・Pソナタほか(WERGO)
これのみ、通販サイトCD Teleshopから届いたもの。
近頃贔屓のピアニスト、ナウモフのCDを検索していたところ、自作自演の1枚が引っかかったので、オーダーしたもの。このほかにも頼んでいたのだが、それらはバックオーダーになった。
いずれもピアノ独奏で、
4つの前奏曲(1988)
逸話集(1988、原題"Anecdotes"、13の小曲集)
Pソナタ(1980)
袋小路(1983、原題"Impasse")
 
エリーザベト・シュヴァルツコップ(Sop)フィルハーモニア管ほか、バッハ;カンタータ第199・202番&モーツァルト;コンサート・アリアK.505ほか(TESTAMENT)
シュヴァルツコップの未発表録音とのこと。ライナーノートには、発売されなかった事情については特記されていない。
斉諧生的には、史上最強のオーケストラ・50年代フィルハーモニア管の音源として重要。
特にシドニー・サトクリフ(Ob)の名前がジャケットにクレジットされており、彼のソロをたっぷり聴けるなら買い逃すことはできない。
1955年モノラル録音のモーツァルトは、オットー・アッカーマンの指揮、ピアノ・オブリガートはゲザ・アンダ
1957〜58年ステレオ録音のバッハは、サーストン・ダートが指揮している。標記2曲のほか、第68・208番のアリアを3曲収める。

3月23日(木): 

 

村治佳織(G)山下一史(指揮)新日本フィル、ロドリーゴ;アランフェス協&カステルヌオーヴォ・テデスコ;G協第1番ほか(VICTOR)
この春一番の話題盤(?)、村治嬢のアランフェスを購入。
熱心なファンは予約した上で「22日のうちに入荷するはず」と昨日のうちに買っているようだが、斉諧生的には発売日に買えれば十分。予約もしていないが、予約特典のはずのサイン入りジャケットシートやポスター(2点)まで貰えた。
アーノルド;ギターと弦楽のためのセレナード
ディアンス;タンゴ・アン・スカイ(Gと弦楽合奏版)
をフィルアップ。
度々のTV出演や既発アルバムの好調な売り上げを反映してか、ブックレットはミニ写真集的なつくり。
なお、公式Webpageに特設ページが出来ている。→ここを押して(要パスワード)
また録音時のエピソードは、産経新聞のWebpage内にある村治佳織の気ままにアルペジオの第29・30回に掲載されている。

3月21日(火): 

 

イモージェン・クーパー(P)ラファエル・オレグ(Vn)ソニア・ヴィーダー・アサートン(Vc)シューベルト;P三重奏曲第1・2番、アルペジオーネ・ソナタほか(BMG)
新譜の時にチラッと見て「メジャー・レーベルにしては、えらく渋い顔ぶれだなぁ…」と思って見過ごしていた。
今日、ふと、このチェリストが、前にブラームス;Vcソナタ(LYRINX)のCDを聴いて力強い音と渋い音色に感心した人であることを思い出した。
で、ぜひアルペジオーネ・ソナタを聴いてみたくなり、仕事の帰りに音盤屋を捜したところ3軒目で発見、購入したもの。2枚組ながら価格は1枚分。
なお、ピアニストはロンドン、ヴァイオリニストはパリ、チェリストはサンフランシスコと生地はバラバラだが、パリ音楽院に学んだことが共通している。
ノットゥルノD.897をフィルアップ。

3月20日(祝): 

 連休の最終日、やっと家でゆっくり過ごすが、それを見透かしたかのように、通販の荷物が届く。(苦笑)

マルティン・ジークハルト(指揮)リンツ・ブルックナー管、シューベルト;交響曲第8・9番(ARTE NOVA)
ドイツの若手では期待している一人、ジークハルト。
このシューベルトが良いという話を聞いて、輸入盤店で気をつけて見ていたが、なかなか出会えないので、ALPHAMUSICにオーダーしたもの。
 
エルリンク・ブロンダル・ベントソン(Vc)ニーナ・カフタラゼ(P)ラフマニノフ;Vcソナタ&ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ(Kontrapunkt)
先週、バッハほかが届いたベントソン、同時期に発注していたCDが届いた。
長谷川陽子さんもこのカプリングで録音していた、ロシアのVcソナタ2曲で、1989年の録音。特にショスタコーヴィッチの曲は集めているところ。
ピアニストはグルジア出身でレフ・オボーリンの弟子だそうだ。原綴は"Nina Kavtaradze"、読みには自信がない。
 
デュオ・ビロバ、N・ブーランジェ;3つの小品ほか(BLUE CALVIN)
ALPHAMUSICをあれこれ検索していて見つけたCD。1999年の新録音で、ナディア・ブーランジェのVcとPのための可憐な小曲集を収めている。
このデュオは、クリスティアーネ・パーペ(Vc)とアンネ・カタライン・ヨルダン(P)のコンビ。デュオ名の由来は不明。
シュニトケ;Vcソナタをメインに、
ヤナーチェク;おとぎ話
シューマン;アダージョとアレグロ
をカプリング。
 
エットーレ・グラチス(指揮)ラ・フェニーチェ劇場管ほか、ダラピッコラ;歌劇「囚われ人」ほか(MONDO MUSICA)
昨年末、デュトワ&N響の実演に接し、その前にサロネン&スウェーデン放送響盤(Sony Classical)でさんざん予習したダラピッコラ、別な録音を見つけたのでオーダーしてみた。
ヴェネチアの名門歌劇場における、1967年2月22日(ジャケットには2日とあるがブックレット本文ではこうなっている)のライヴ録音。
指揮者のグラチスは懐かしい名前、独ARCHIVにペルゴレージ;スタバト・マーテル等の録音があった。歌手はあまり知らない名前。
放送用?とおぼしきモノラル録音、あまり上質ではないが、聴きづらくもない程度の音。
CD2枚組で、もう1枚は約30分の宗教劇「ヨブ」が収められているのだが、なぜか、キャスト等、一切のデータが記載されていない。
 
以下はLP。
 
ヤーノシュ・フェレンチク(指揮)ハンガリー国立響、モーツァルト;交響曲第39・41番(洪HUNGAROTON、LP)
かとちぇんこ@Klassischer Platzさんが紹介しておられるフェレンチクを聴き直したいと思っていたところ、モーツァルトがカタログに出ていたのでオーダー。
上記ページのディスコグラフィによると1968年の録音で、CDも出ているようだが、こうしたアナログ録音はLPで聴きたいところだ。
 
アルヴィド・ヤンソンス(指揮)ソビエト放送響、ベートーヴェン;交響曲第6番(蘇MELODIYA、LP)
前にショスタコーヴィッチ;交響曲第5番を聴いて名人ぶりに驚嘆したヤンソンス父。
さらに聴いてみたいと思っていたところ、「田園」がカタログに出ていたのでオーダー。目を付けている人が多いのか、何回か品切れで取れなかったが、ようやく入荷したもの。
オーケストラ名の表記は通販業者のカタログに従った。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響ほか、コハン;管弦楽のための協奏曲ほか(独ETERNA、LP)
ケーゲルの未架蔵音源がカタログに出ていたのでオーダー。この人の録音はいったいどれくらい残っているのだろうか?
コハン(Kochan)は1930年生まれ、具体的な略歴等はライナーノートに記載がない。
「管弦楽のための協奏曲」は1962年の作曲、録音は1965年。
カプリングは1957〜58年作曲のP協(P独奏;ディーター・ツェヒリン)で、こちらは1961年録音。
 
ヴァーツラフ・フデチェク(Vn)ヤロミール・ノヘジ(指揮)プラハ響ほか、パガニーニ;Vn協第1番ほか(チェコPANTON、LP)
最近あまり名前を見ないが、1970年代にチェコの俊英として騒がれていたフデチェクの、これはデビュー盤らしい。
1952年生まれのヴァイオリニストによる1970年録音だから、当時18歳。
A面は
ヘンデル;Vnソナタイ長調op.1-3ヨゼフ・ハーラがなんとチェンバロを弾いて、フランティセク・スラマというチェリストと通奏低音を担当。
ラヴェル;ツィガーヌ、ピアノはハーラ
標記のパガニーニは珍しいヴィルヘルミによる1楽章版。これは編曲というより改作に近いもので、昔はともかく、今ではほとんど演奏されない。
ソ連時代のクレーメルも録音していたから、旧・東側では1970年代まで演奏習慣が残存していたのだろうか。
 
イツァーク・パールマン(Vn)ユージン・オーマンディ(指揮)フィラデルフィア管、チャイコフスキー;Vn協・憂鬱なセレナーデ(英EMI、LP)
これは懐かしい演奏。学生時代、カセットテープでさんざん聴き込んだものだ。
その後、何やかやで、LPもCDも買いそびれたままでいた。
1978年のアナログ録音ゆえ、買うなら英盤LPでと思っていたところ、通販業者のカタログに安く出ていたので、オーダー。
結局、パールマンはこの頃がピークだったと思う。
 
ネル・ゴトコフスキー(Vn)エリアフ・インバル(指揮)フランクフルト放送響ほか、ワイル;Vn協ほか(仏RCA、LP)
面白い顔ぶれのLPを見つけたのでオーダーしてみた。
ワイルは1975年1月9日のライヴ録音、インバルも、まだ売り出す前に当たる。
そもそもワイル自体、今のようには評価されていなかった。1980年代初めでも、Vn協は珍曲の部類だったのを記憶している。
B面にはイヴァール・ゴトコフスキー(P)との共演で、
ウェーベルン;4つの小品
シェーンベルク;幻想曲
をカプリング。
 
ジェラール・ジャリ(Vn)ジョルジュ・プリュデルマシェ(P)ほか、アントワーヌ;Vnソナタ・P四重奏曲(白Musique en Wallonie、LP)
このレコードのことは古畑銀之助さんの『ザ・レコード』(羊書房)で知った。
ジョルジュ・アントワーヌはフランクの孫弟子に当たるベルギーの作曲家、1892年に生まれ、第一次世界大戦に出征、1918年に26歳で戦病死した。
これは塹壕の中で推敲を重ね、野戦病院で亡くなる直前に完成したという作品。
「長期の塹壕戦で一人死に二人死にする悲劇を込めて書き上げた音楽の訴えるものが心を打つのだ。」と書いておられ、ぜひ耳にしたいと願っていたもの。
10年来の探求盤がカタログに出ており、勇躍オーダー、目出度く入荷したもの。
カプリングの四重奏ではセルジュ・コロ(Va)、ミシェル・トゥルニュ(Vc)が共演。豪華な演奏陣である。
この人の作品、ほかに録音があるのだろうか?
 
アーノルド・シュタインハート(Vn)ヴァージニア・エシュキン(P)リリー・ブーランジェ;「夜想曲」・「行列」ほか(米Northeastern、LP)
ブーランジェの録音を発見して驚喜、オーダーしたもの。
タイユフェールバウアーシャミナードビーチと、女性作曲家によるヴァイオリンやヴィオラの曲を集めた盤。1984年の録音である。
シュタインハートはグァルネリ四重奏団のメンバーだから、こういうフェミニズム系企画には珍しい大物。
ピアニストはパリでナディア・ブーランジェに学んだ経歴もあるとか。
 
グスタフ・ショークヴィスト(指揮)ノルショピング響ほか、アルヴェーン;主の祈り(瑞Bluebell、LP)
交響詩「夏至祭」で有名なアルヴェーンだが、合唱曲も多数作曲している。
この曲は1899年夏に読んだスタグネリウスの詩に感動して付曲を始め、1901年4月に完成させたカンタータ。
ずっと以前に何かで美しい曲と紹介されており、CDも出ていたはずなのだが、ずっと買いそびれていた。今回、カタログにオリジナルのLPを発見、オーダーしてみたもの。1982年の録音。

 水曜・日曜の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 今日届いた音盤の情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。


3月19日(日): 連休の中日、久しぶりに大阪のザ・シンフォニー・ホールへ。

 朝日放送主催「ザ・シンフォニー名曲コンサートVol.42」、演奏は大阪センチュリー交響楽団演奏会(指揮:小林研一郎)である。

「森と海の浪漫」というサブタイトルがよくわからないのだが(笑)、
シベリウス;交響詩「フィンランディア」
グリーグ;P協(P:田部京子)
ブラームス;交響曲第4番
という曲目。
小林研一郎はたびたび書いているように好きな指揮者だし、センチュリーも好きなオーケストラ、このコンビでは以前に「英雄」の超名演も耳にしている。
ステージは初めて聴く田部さんのピアノも楽しみ。わざわざ横浜から追っかけに来た知人と同道。
 
メインのブラームスが、内奥の充実した素晴らしい音楽だったことを特筆しておきたい。
小林研一郎というと「炎の指揮者コバケン」が通り相場だが、単に外面的に派手な演奏をする人ではない。今日の演奏も特に変わったこと・目を惹くことはしていない。
小林が好む"Homogehen"という言葉があり、彼自身は「オーケストラ全体がオルガンのように共同体となる」と訳している。
今日の大阪センチュリー響は、まさしくその言葉どおり、オルガンのように美しく豊かで暖かいハーモニーを響かせ、一つになって息の長い旋律を歌い抜いていた。
室内管編成ゆえ、弦楽器は第1Vnから順に10-8-6-6-4だったが、それを全く感じさせない見事な鳴りっぷり。
 
内声まで充実した弦合奏に加え、ホルン(5本に増強)をやや強めに吹かせたことが更に音楽を立体的にしていた。
ホルンは首席のソロなども素晴らしかった。
これで木管がもっと「濃い」音楽を持っていたら、理想的だったのだが。
第4楽章第12変奏(97〜104小節)でのフルート・ソロなど水際だったものだったから、あのレベルで各パートが揃えばさぞかし…と思えてならない。
概して木管が薄味なのは日本のオーケストラの通弊、あるいは民族性に根ざすものかも。
 
前半の2曲では、斉諧生的には、その暖かさが裏目に出て、透明感や厳しさが今ひとつ不足する音楽になっていた感がある。
中ではグリーグの第2楽章が良かった。まさしく「心の歌」。
「フィンランディア」も熱演だったが、粘っこさがマイナスに感じられた。
 
ピアノの田部さん、噂どおりの美しい音に感心した。
グリーグ冒頭からしてヒステリックにならない、まろやかな和音。
第2楽章でピアノが入ってくるところや第3楽章中間部の終結でのゾクッとするような弱音の美。
モーツァルトの協奏曲やシューベルトのソナタなど、もっと本領を発揮できるプログラムで聴いてみたい人である。
 
アンコールがあり、ブラームス;ハンガリー舞曲第5番
遅いテンポで始めて加速、途中で踏みしめて「タメ」をつくる、いつものコバケン節。
指揮台から飛び出す終結の爆発もお馴染み(笑)。

 マチネだったので、知人を新大阪駅で見送ったその足で京都の音盤屋へ。
 実は十字屋三条店が決算処分バーゲン中。最終日の夕方ゆえ、枚数的にはちょっと寂しかったが、ヴァイオリンものを中心に、何枚か買ってきた。

アンドレ・クリュイタンス(指揮)ベルリン・フィル、ベートーヴェン;交響曲第6番「田園」&シューベルト;交響曲第8番「未完成」(TESTAMENT)
これはバーゲン品でなく新譜。
クリュイタンス&BPOのベートーヴェンはステレオの全集が有名だが、これは1955年のモノラル録音。ブックレット記載のデータによればLPで出ていたようだが、知らなかった。
クリュイタンスの評価は日本でのみ高いようだが、音楽家としての実力は高いと思う。
しかも1950年代半ば、フルトヴェングラーの薫陶が色濃く残っている頃のベルリン・フィルの音を聴けるのだから楽しみは大きい。
オーレル・ニコレ等、強者どものソロも聴けるはず。
「未完成」は1960年のステレオ録音。LP時代、東芝からやたらに廉価盤が売られていたが、斉諧生的には初めて聴く。
 
レミ・グーソー(指揮)フランス・フィル団員、バッハ;ブランデンブルグ協(全曲)ほか(BNL)
ブランデンブルク協の未架蔵盤をバーゲンで購入。BNLは好きなレーベルなので、これは前から気になっていたのだが、買いそびれていたもの。
現代楽器による演奏だが、フランス管楽器の魅力を味わえるのではないかと期待。
Cem、Fl、Vnのための三重協BWV1044をフィルアップ。
1987年の録音。
 
クリストフ・ブーリエ(Vn)イワン・アンゲロフ(指揮)モンテ・カルロ・フィル、パガニーニ;Vn協第1番&ハチャトゥリアン;Vn協(REM)
これもバーゲンで購入。
ブーリエのCDは、同じレーベルのフランク&ルクー;Vnソナタを架蔵しているが、こういうアクの強い協奏曲でどんな音楽を聴かせるのか、興味がある。
 
ローラン・コルシア(Vn)ジャン・エフラム・バブゼ(P)バルトーク;Vnソナタ第1番・無伴奏Vnソナタ(LYRINX)
LYRINXも好きなレーベルの一つ。コルシアのイザイ;無伴奏Vnソナタも架蔵しているが、なかなか良いヴァイオリニストだという情報もあり、このCDもずっと気になっていた。
それがバーゲンで出ていたので迷わず購入。
この人、ミシェル・オークレールの弟子だとか。
 
アレクサンダー・ベイリー(Vc)イアン・ブラウン(P)ブリテン;Vcソナタ・無伴奏Vc組曲第1番(ETCETERA)
ロストロポーヴィッチに献呈されたブリテンの無伴奏組曲は、ずっと気にかけている曲。
このCDも、棚に並んでいるのを見てはどうしようか迷っていたが、とうとう(笑)バーゲンに出てきたので購入。
ベイリーは1956年イギリス生まれ、ジャクリーヌ・デュプレの演奏に接してチェロの魅力にとりつかれたとか。
 
ゴルダン・ニコリッチ(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(全曲)(Syrius)
ニコリッチは1968年生まれ、ジャン・ジャック・カントロフに学び、バロックと現代音楽に特別な関心を持っているとか。
オーヴェルニュ室内管ローザンヌ室内管のコンサートマスターを歴任後、ロンドン響のコンサートマスターに招聘された。ロンドン響のWebpageにも紹介がある。(→ここを押して)
このレーベルも渋いところなので気になっていたのだが、バーゲンで発見、迷わず購入。
 
アレクサンドル・ブルシロフスキー(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(Vol.1)(Suoni e Colori)
またまたバッハ;無伴奏がバーゲンで出ていたので購入。
ブルシロフスキーは1953年ウクライナ生まれ、ユーリ・ヤンケレヴィッチレオニード・コーガンらに学び、1985年以降はフランスに移住しているとのこと。
演奏活動のほか、メニューインの学校でも教えているとかで、ブックレットには彼の「ブルシロフスキーは(略)素晴らしい音楽家でありヴァイオリニスト」という讃辞が掲げられている。
ソナタ第1・2番、パルティータ第1番のみで多少半端だが、これが良かったら第2巻を捜すことにしよう。
 
ホプキンソン・スミス(Lute)バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(Lute編・全曲)(Astree)
またまたまたバッハ;無伴奏、これは新譜。
ホプキンソン・スミスはジョルディ・サヴァールのアンサンブルで長く活躍していたが、近年はソロ活動をしているようだ。公式Webpageもある。→ここを押して
バッハの編曲ものには、ついつい手を出してしまう斉諧生、無伴奏Vn曲集のリュート編にはナイジェル・ノース盤も愛聴していることから、これも買わざるべからず。
 
イェルク・バウマン(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(TELDEC)
またまたまたまたバッハ;無伴奏、今度はチェロの方の未架蔵盤をバーゲンで見つけたので購入。
1981〜83年のデジタル録音。当時ベルリン・フィルの首席奏者として知られていたバウマンがLP末期に出した録音。当時はあまり話題にもならなかった。
斉諧生的にも全然気にしておらず、ずっと買いそびれていたが、先の聴き比べ企画の頃から気になっていたもの。
 
シュテファン・ミクス(作曲、演奏)「アトス」(ECM)
あれこれ漁ったものがあまりに多すぎるので、買うものを半分くらいに絞ってから、ふとジャズの箱に目をやったときに見つけた1枚。
アトス(Athos)といえばギリシア正教の聖地、斉諧生の好きな東方教会音楽の本場である。
"A Journey to the Holy Mountain"という副題や、尺八が用いられている(!)あたりからして現地での録音でないことは確かなので迷ったが、バーゲン品でもあり、一か八かで購入してみた。
ミクス(Stephan Micus)がどういう人かは全然知らないのだが、ECMからかなりのCDを出しているようだ。
自筆のブックレットを読んでみたところ、1988年に初めてアトス山を訪れた3日3晩の印象を表現したものという。
最初と最後に往復の旅を象徴する器楽曲を置き、典礼が行われる「夜」には東方聖歌を模した無伴奏声楽曲を、エーゲ海沿岸の美しい自然に接した「昼」には器楽曲を当てはめたとか。
声楽曲は22声部を一人で多重録音、器楽曲にはシタールや尺八、ナイなどの民俗楽器と水を張って音程を調整した花瓶(!)を用い、これも一人で多重録音。
いったいどんな音楽が聴けるのか、興味津々。

3月15日(水): 本業多忙期ではあるが、なんとか都合がついたので、演奏会へ。

 京都市交響楽団第422回定期演奏会(指揮:ウーヴェ・ムント)@京都コンサート・ホールである。
 今日は3階LDブロックの1列目、舞台から少し離れた位置。ここだと直接音がちゃんと飛んできて、しかも楽器の位置関係に聴感上の違和感がない。
 試行錯誤してきた、このホールでの座席、ようやく結論を得たように思う。

今日は
マーラー;亡き子をしのぶ歌(M-S:永井和子)
ブルックナー;交響曲第7番(ノヴァーク版)
というもの。
ムントが指揮すると京響が一段とグレードアップして鳴る上に、ブルックナーでは常任就任直前(1998年1月第401回定期)に指揮した第8番が、なかなかに素晴らしく、ぜひ聴きたかった。
マーラーとブルックナーの取り合わせは、ちょっと疑問だが。
 
そのブルックナー、予想を更に上回る素晴らしさで、感激してしまった。京響からこのような音楽が聴ける日が来るとは…!
ブルックナーの名演の常で、何がどうということは難しいのだが…。
大阪で朝比奈&大フィルのブルックナーに接しておられる方にも、ぜひお聴きいただきたい。
また、最近CDでシリーズが出ている飯守&シティ・フィルも悪くない演奏だが、それを上回る出来だと思う。このところ途絶えているが、東京でもコンサートを開いて、ムント&京響のブルックナーを鳴り響かせてほしいものだ。
 
ノヴァーク版によるとされているが、演奏に当たってはハース版の指定を取り入れているようで、悠然として、しかも弛みのないテンポが一貫し、美しい歌が横溢していた。
ブルックナー演奏の定法どおり、外見の効果を狙ったアッチェランド等を排し、誠実に楽譜を音化。
第1楽章冒頭のチェロ合奏から、ブルックナーの美しさが流れはじめ、通常は曲の出来が一段落ちると感じられる第4楽章でも不満を覚えなかった。
一昨年の8番ではやや厳しさに欠ける憾みがあったのに対し、今日はそういうことを感じなかった。曲の性格がムントに適しているのだろう。
欲を言えば、音の悦びを開放する場面があっていいとも思うのだが、そこまでは彼の持ち味ではないのかもしれない。
 
オーケストラの演奏も極上、なかんずく弦合奏の美しさとホルンの雄壮な吹奏が際立っていた。
工藤・渡邊両コンサートマスターが出演、特に内側に座った工藤氏は体を大きく使っての熱演。
ヴァイオリンは高音の音程も良く、大きめのヴィブラートの粒まで揃っているかのような見事な合奏。
力演のコントラバス・パートが支えた弦全体の美しいハーモニーが全曲を通じて輝いていた。
ホルンは舞台向かって左、ワーグナー・チューバは右に各4人が位置。後者には少し弱さを感じたが、前者は出色の出来。
野田篁一のトップ・ソロの巧さはもとより、第1楽章終結や第2楽章190〜192小節などでのユニゾンの雄々しい音色は感涙もの。(情けなかった昔のことを思えば特に…)
弱奏でも音程が崩れず、安心して聴いていられた。
 
そのほかではトロンボーン・パートの健闘、フルートとクラリネットのソロの素晴らしさが目立った。
残念だったのは、トランペットの音に力強さが欠け、例えば第2楽章のクライマックスで、ホルン・トロンボーンの轟然たるフォルティシモの上に、壮麗な虹をかけ損なったこと。
オーボエとファゴットのソロが冴えず、第3楽章トリオ第2部の美しさを表出しきれなかったのも悔やまれよう。
 
また、終曲後の拍手が早く、せっかくの美しい残響がかき消されたのも、もったいなかった。
この点、京都コンサート・ホールの音響は良好だと思う。直接音の飛びが悪く(特に1階席や2階正面)、「音響が悪い」と言われているが。
 
ムントのブルックナーは、来年1月の定期で第4番が予定されており、今から期待が高まる。ぜひ御来聴を。
 
なお、前半のマーラーについては語る資格がないので、コメントは省略させていただきます。

3月14日(火): 岡田節人『アルマ・マーラーに恋した生物学者』(哲学書房)を読了。
 岡田節人(ときんど)さんは、京都大学ほかで長く発生生物学を研究された方、『試験管の中の生命』(岩波新書)『細胞の社会』(講談社ブルーバックス)などの啓蒙書も著しておられるが、著者紹介に「この本はマーラーの交響曲を聴きながら書いた」と記した好楽家。
 京都コンサートホールでの京都市響演奏会では必ずといっていいほど、ちょっと派手な色づかいの服を着こなしたお姿を拝見する。たしか「京響友の会」の会長か何かもなさっていたはず。
 もちろん生物学関係の著作は多いが、このほど念願かなって(と拝察する)、音楽に寄せる想いを本にまとめられた。
 
 表題を見て、てっきり
「あ、岡田さんは、アルマをお好きなのか。アメリカには留学しておられたから、ひょっとして晩年の彼女と接触があったのかも。」
と思ったのだが、読んでみると大違い(苦笑)、パウル・カンメラー(1880〜1926)という人物のことだった。
 カンメラーについては本書をお読みいただくとして、「生命のしじまと音楽の抽象性を結ぶ」と帯に記されているように、昆虫、鳥、あるいは生命にちなんだ様々な音楽が取り上げられている。

ハイドン;交響曲第22番「哲学者」
ヨハン・シュトラウス;ワルツ「螢」
ヨーゼフ・シュトラウス;ポルカ「蜻蛉」
ルーセル;「蜘蛛の饗宴」
ケックラン;「ジャングル・ブック」
マルティヌー;「胡蝶と極楽鳥」
シベリウス;「樹の組曲」
ブリテン;春の交響曲

等々…

 中でもたびたび言及され、熱い讃辞を捧げられているのが、
 ラウタヴァーラ;「極北への頌歌 Cantus Arcticus」
である。

 そのラウタヴァーラを聴こうとCDを買ってきた。

オスモ・ヴァンスカ(指揮)ラハティ響、ラウタヴァーラ;「極北への頌歌」ほか(BIS)
ラウタヴァーラは1928年生まれ、「第二のシベリウス」に擬せられることもある現代フィンランドを代表する作曲家の一人。
「極北への頌歌 Cantus Arcticus」は副題を「鳥たちと管弦楽のための協奏曲」といい、作曲者がフィンランド北部の森と湖で録音した鳥の声を独奏楽器に見立てた、「北欧の大自然からの人間の心への素晴らしいメッセージ」(岡田)であるという。
同様の趣向はレスピーギ;「ローマの松」にもあったが、ここではもっと大規模に使用されており、終楽章では「沸き立つ如くに渡りの旅路へ向かう白鳥の音楽のすごい迫力」が聴かれるそうである。
岡田さんがプロデュースした演奏会「音楽に聴く生命誌」(1997年10月5日・京都コンサートホール、井上道義(指揮)京都市響)に際しては、フィンランドの出版社から楽譜一式とテープが送られてきたとか。
交響曲第7番「光の天使」Fl協「風との踊り」をカプリング。
 
プーランク;室内楽曲全集第1巻(NAXOS)
これは岡田著とは無関係。
Flソナタをはじめ好きな曲が多い上、クラシック招き猫の「突撃!隣の盤ごはん」で好意的な評が書き込まれていたので、買ってみた。
第1巻は管楽器のための曲集で、
六重奏曲
Obソナタ
Ob、Fg、Pの三重奏曲
Flソナタ
ほかを収録。
アレクサンドル・タロー(P)を中心に、
フィリップ・ベルノール(Fl)
オリヴィエ・ドワズ(Ob)
ロナルド・ファン・スペンドンク(Cl)
ローラン・ルフェヴル(Fg)
エルヴェ・ジュレン(Hrn)
と、フランス・ハルモニアムンディあたりで名前を見るパリの若手演奏家たちの顔ぶれにも興味を惹かれる。

3月12日(日): 今日はちょっと体調がすぐれず、まったく音楽を聴けなかった。

 通販業者からLPが届く。

コンスタンティン・クルカ(Vn)カジミシュ・コルト(指揮)ポーランド放送響、ラロ;スペイン交響曲&サン・サーンス;序奏とロンド・カプリチオーソ(独TELEFUNKEN、LP)
独盤だが、ポーランドMUZAの音源である。
クルカは好きなヴァイオリニストの一人だし、コルトの指揮にも濃いめの表現が期待できると考え、オーダーしたもの。
 
ピエール・アモイヤル(Vn)フランソワーズ・レグナ(P)ほか、プロコフィエフ;Vnソナタ第1番ほか(仏Le club francais du disque、LP)
アモイヤルのプロコフィエフは、LPでERATOにミシェル・ベロフと、CDでHarmonia Mundiにフレデリック・チュウとの全曲盤があったが、それらよりも前の録音の模様。
アモイヤルは買うことにしているのでオーダーしたもの。
音はモノラルだが、アモイヤルの年齢を考えれば、オリジナルはステレオ録音かもしれない。
ミシェル・ドボ(Fl)クリスチャン・イヴァルディ(P)によるFlソナタop.94をカプリング。
これはVnソナタ第2番の原曲なので、筋の通った組み合わせである。

3月11日(土): 

 休日出勤から帰宅すると、CDが届いていた。

エルリンク・ブロンダル・ベントソン(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(danacord)
 
エルリンク・ブロンダル・ベントソン(Vc)コダーイ;無伴奏Vcソナタほか(danacord)
ベントソン(発音には自信なし、原綴はBengtsson)は1932年コペンハーゲン生まれ、10歳で公開演奏を行った「生まれながらのチェリスト」。
第二次大戦後アメリカに渡ってグレゴル・ピアティゴルスキーに学び、カーティス音楽院でその助手を務め、更に教授職を引き継いだ。
その後、デンマークを中心とする北欧と、アメリカで演奏と教育に活躍しているとのこと。
ホルンボーの協奏曲の録音を聴いた知人が、音色を褒めていたので興味を持ち、danacordレーベルのWebpageでオーダーフォームを作成し、Faxでオーダーしたもの。僅か1週間で現品が到着した。
 
ベントソンはdanacordレーベルにチェロの主なレパートリーを録音しているが、とりあえず「お試し」には無伴奏の2枚を選んだ。
バッハは1984年の、コダーイは1994年の録音。
なお後者には、
ヒンデミット;ソナタop.25-3
ダラピッコラ;シャコンヌ、間奏曲とアダージョ(1945)
ヘンツェ;セレナード(1949)
ハチャトゥリアン;ソナタ幻想曲(1974)
も収録されている。

3月10日(金): 

 帰宅すると、CDが届いていた。
 ドイツのALPHAMUSICという通販サイトで、ユビュ王の食卓のリンク集に掲載されていて知ったもの。
 オーダーから1週間で発送のメール、更に1週間で現品が届いた。
 データベースが多少弱いが、ドイツ系の通販サイトで使えるところがなかったので、貴重な発見。

ユリウス・ベルガー(Vc)ジャック・マルティン・ヘンドラー(指揮)ダル・アルコ室内管、C.P.E.バッハ;Vc協集(ebs)
今日届いたのは、最近集めているチェリスト、ユリウス・ベルガーの未架蔵盤2点。
こちらは1989年にエマヌエル・バッハの3曲を録音したもの、イ短調Wq170イ長調Wq172変ロ長調Wq171を収録。
ジャケットに「初の全集録音」とあるが、その後アンナー・ビルスマ鈴木秀美盤が登場している。
 
ユリウス・ベルガー(Vc)アンドレイ・ストラシンスキ(指揮)ポーランド国立放送管、エルガー;Vc協ほか(ebs)
ベルガーがVc協の一方の雄、エルガーを録音しているとあらばオーダーせざるべからず。
ドヴォルザーク;「森の静けさ」・ロンド
R・シュトラウス;ロマンス
をフィルアップ、後者は「世界初録音」とジャケットにある(1988年3月、カトヴィツェでの録音)。

3月8日(水): 

 退勤後、音盤屋に立ち寄る。不思議なもので、買う気満々タクシーで乗り付けたりすると欲しいものが何もなく、あまり買う気のない時に「おおっ」というものがある。今日は後者。
 しかも、帰宅するとフランスの通販サイトAlapageから荷物が届いていた。

フリッツ・ライナー(指揮)シカゴ響ほか、マーラー;交響曲第4番(BMG)
ライナーとシカゴ響の録音は全部聴く価値があると思っている。"LIVING STEREO"シリーズのリマスタリングが出たので買い直し。
終楽章のソプラノはリーザ・デラ・カーザ
1958年録音。
 
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)シカゴ響、マーラー;交響曲第9番&シューベルト;交響曲第8番「未完成」(DGG)
LP時代、マーラー;第9番の決定盤的扱いを受けていたジュリーニ。CD化されたこともあったが、マスタリング時に雑音が混入しているという話だったので買いそびれていた。
今回、"The Originals"シリーズのリマスタリングが出たので、ようやく購入に踏み切ったもの。
マーラーは1976年、シューベルトは1978年の録音。
 
トーマス・ビーチャム(指揮)ロイヤル・フィル、シベリウス;交響曲第4・7番ほか(BBC Legends)
BBCのライヴ・シリーズの新譜。
シベリウスを得意にしたビーチャムのライヴ、買わざるべからず。
CD2枚組の大部分は、1955年12月8日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールにおける「シベリウス生誕90年記念コンサート」のライヴ。
当日演奏された
英国国歌・フィンランド国歌
組曲「白鳥姫」
交響曲第4番
組曲「ペレアスとメリザンド」
交響詩「タピオラ」
とアンコールの「ニンフの踊り」(劇音楽「テンペスト」より)が、ビーチャムのスピーチ(と聴衆の笑い声)付きで収録されている。
更に1954年9月16日のロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ、
交響曲第7番
を収め、ビーチャムのシベリウスについての談話(1955年11月24日、約15分)がフィルアップされている。
モノラルながら美しく聴きやすい音質。
 
エマニュエル・クリヴィヌ(指揮)リヨン国立管ほか、ヴィラ・ロボス;ブラジル風バッハ第2・5番、G協ほか(ERATO)
これはM.M's Classical Music Gardenの「リスニング・ルーム」で紹介されているのを拝読して興味を持ったCDが、棚に並んでいたので早速購入したもの。
第5番でのソプラノ独唱はマリア・バーヨ、上記のページで「可憐で美しく、曲の持つ微妙な感情を的確に表現した歌唱力は、絶賛に値するものと思います。」とM.Mさんが書いておられ、大いに期待。
また、G協の独奏者ロベルト・アウセルは、ピアソラが彼のために「五つの小品」を作曲したことでも知られており、こちらにも期待したい。
更にブラジル風バッハ;第2番の終曲「トッカータ」は別名「カイピラの小さな列車」、愉快な標題音楽であり、これも楽しみ。
初期の管弦楽曲「アマゾナス」をフィルアップ。
 
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)ヴィルヘルム・ケンプ(P)ベートーヴェン;Vnソナタ全集(DGG)
これもDGGの"The Originals"シリーズの新譜。こういう往年の名ヴァイオリニストの録音を聴き逃すことはできないので購入。
シュナイダーハンは1915年生まれ、1937年にウィーン・フィルのコンサートマスターに就任したが、ソロ活動に重点を移すために1949年に退団した。これは、その3年後、1952年9月にウィーンで録音されたものである。
シュナイダーハンにはカール・ゼーマンとのステレオ録音による全集もあるが、やはり、より若い頃の演奏で聴いてみたい。
 
ヤシャ・ハイフェッツ(Vn)ウィリアム・カペル(P)ほか、ブラームス;Vnソナタ第3番ほか(BMG)
"William Kapell Edition"からの分売。
1950年のSP録音で、"The Heifetz Collection"でも復刻されていたが、今回は新たなマスタリング…となると買わざるべからず。この曲の代表的な演奏の一つである。
両盤を比較試聴。旧盤の復刻状態も良かったが、今回(Ward Marstonが担当)は更に生々しい音になっている。
カプリングの
ウィリアム・プリムローズ(Va)ブラームス;Vaソナタ第1番(1946年)
エドモンド・クルツ(Vc)ラフマニノフ;Vcソナタ(1947年)
も楽しみ。
 
エミール・ナウモフ(P)ほか、ドビュッシー;3つのソナタ(Saphir)
これはAlapageから届いたもの。
最近、贔屓にしているピアニスト、ナウモフを中心にした作曲家の最後のソナタ集だが、共演者の顔ぶれが凄い。
Vcソナタローラン・ピドゥー(Vc)
Vnソナタパトリス・フォンタナローザ(Vn)
ナウモフが入らないFl、Va、Hpのためのソナタでは
ジャン・ピエール・ランパル(Fl)
ブルーノ・パスキエ(Va)
マリエル・ノールマン(Hp)
この3曲をカプリングしたものとしては決定盤になりかねない。買わざるべからず。
検索結果を画面で見たときは「ランパルって、まだ演奏活動しているの?」と半信半疑だったが、届いてみると間違いなく、1999年3〜4月の最新録音。
 
ラルフ・カークパトリック(クラヴィコード)バッハ;平均律クラヴィーア曲集第1巻(ARCHIV)
これも"The Originals"シリーズの新譜。
チェンバロよりも小型で発音機構も単純な、クラヴィコードによる演奏。録音はけっこう古く、1959年。
クラヴィコードは、音量は小さいながら、チェンバロと異なって強弱を付けることが可能で、ヴィブラート的な効果も出すことができる。独特の味わいに根強いファンがいる。
この演奏は、前に知人から薦められたことがあり、LPを買うかどうか迷ってきたが(けっこう高価)、今回、CD化されたので喜んで購入。
たしか第2巻は録音されなかったように思う。
 
マリア・ジョアオ・ピリス(P)シューベルト;Pソナタ第21番ほか(CASCAVELLE)
ピアノ・ソナタは苦手な斉諧生だが、例外的に好きな曲が、この変ロ長調ソナタ。
シューベルトを得意とするピリスの録音とあらば聴いてみたいと購入。
マルC+P 1999年とあるので新譜かと思ったが、前にERATOから出ていた1985年録音が再発されたものらしい。発売時には『レコード芸術』で「特選」とされたものだ。
即興曲第3・4番op.90-3・4をフィルアップ。
 
エミール・ナウモフ(P)ショパン;リサイタル(GEGA)
これもAlapageから届いたもの。
斉諧生は、ピアノ独奏曲を全くといっていいくらい聴かない。ショパンなど、ルービンシュタインの名曲集が1枚あったきりではなかったか。
とはいえ、演奏家を追いかけだすと全部の録音を集めたくなるのが常で、今回、ナウモフの未架蔵盤を見つけたのでオーダー。
ナウモフの生国ブルガリアのレーベルだが、録音は1996年にカナダ・モンタレーの個人宅で行われている。ノイマンのマイクを2本だけ使い、編集は一切行っていないという。
全17曲の詳細は省略。マズルカ8、前奏曲3、ワルツ4、夜想曲練習曲各1という構成である。
 
ピエール・ローラン・エマール(P)メシアン;幼子イエズスに注ぐ20のまなざし(TELDEC)
エマールはアンサンブル・アンテルコンテンポランの首席ピアニストだった奏者。
以前CDで聴いたリゲティ;練習曲集(Sony Classical)や実演に接したメシアン;世の終わりのための四重奏曲での音色の美しさ、音彩の移ろいの見事さには圧倒された。
あるいはこの曲集の決定盤となる可能性もあり、期待して購入。
生前のメシアンとも交友があったようで、ブックレット(カラー印刷の美しいものだ)には、それを偲ばせる写真が数点掲載されている。

3月7日(火): 

 amazon.ukから荷物が届いた。
といっても1枚だけ。ずっと1枚ずつ届いている。
送料はまとまった時と変わらないようなので、こちらの損にはならないが、少々もったいない気もする。

ケネス・ペイジ(指揮)オーケストラ・ダ・カメラ、「青柳の堤―イギリスの音楽―」(Meridian)
聞いたことのない団体と指揮者だが、1957年創立、バーミンガムに本拠を置く、その名のとおりの室内管弦楽団と、その主宰者である。
これまたタイトルのとおり、バターワース;「青柳の堤」をはじめとして、
ヘンデル;シバの女王の到着
ディーリアス;春初めての郭公を聴いて
エルガー;夜の歌・朝の歌
パリー;ラドノー嬢の組曲
ジェフリーズ;セレナード・ビックレイ牧歌
クレメンティ;交響曲ニ長調
を収録。
バターワースとディーリアス、買わざるべからず。

3月5日(日): 先週日曜にWOWOWで放送があったエサ・ペッカ・サロネン(指揮)スウェーデン放送響シベリウス;交響曲全集、今日に予定されていた第2回が急遽変更、シャイー(指揮)コンセルトヘボウ管の再放送になってしまった。
 延期の予定等もアナウンスされておらず、極めて残念かつ不安。先週の3曲が名演だっただけに、ぜひ全曲を放送してほしいものである。

通販業者からLPが届く。
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)スウェーデン放送響、ベルワルド;交響曲第3番ほか(瑞SR、LP)
ベルワルドの交響曲の中で最も好きな第3番の未架蔵盤がカタログにあったのでオーダーしたもの。
ブロムシュテットは、1990年代初めにサンフランシスコ響と第1・4番を録音しているが(DECCA)、なぜか全集には発展しなかった。
これは1977年12月、彼がこのオーケストラの首席に就任したシーズンのスタジオ録音。
バロック期のルーマン;シンフォニア・ホ短調、現代のリドホルム;管弦楽のためのリトルネッロをカプリング。
 
ジョルジュ・プレートル(指揮)ニュー・フィルハーモニア管、シベリウス;交響曲第2番(米RCA、LP)
あっと驚く指揮者と曲の組み合わせ、プーランクなどフランス系音楽のスペシャリスト、プレートルのシベリウスとは!
実は既に第5番のLPを架蔵しており、全くの意外というわけではないのだが、第2番も録音していたとは気が付いていなかった。
どういう音楽になっているか、半分怖くもあるのだが(笑)、聴き逃せないとオーダー。
明記されていないが、1960年代終わり頃の録音らしい。
 
フランティシェク・ヴァイナル(指揮)チェコ・フィル、ショスタコーヴィッチ;交響曲第15番(チェコSupraphon、LP)
未知の指揮者だが、この交響曲は見たら買うことにしているので、オーダーしたもの。ジャケットにも紹介がないので、どういう人かよくわからぬ。
意外に新しく、1980年1月の録音。東欧の民主化以前だが、チェコのオーケストラのショスタコーヴィッチ、特別な共感があるのではないかと期待している。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ベルリン・フィル、ワーグナー;管弦楽曲集(独DGG、LP)
マルケヴィッチの未架蔵音源が安価でカタログに載っていたのでオーダーしたもの。なんといってもベルリン・フィルとの顔合わせ、逃すべからず。
ヴェーヌスベルクのバッカナーレ(「タンホイザー」)
ワルキューレの騎行(「ワルキューレ」)
ジークフリート牧歌
を収める。ちょっと組み合わせが妙な気もするが。
1950年代終わり頃のモノラル録音らしい。
なお、マルケヴィッチのワーグナーには、ラムルー管とステレオで録音した序曲・前奏曲があり、CD化されたこともある。
 
マルセル・クーロー(指揮)フランス国立放送室内合唱団ほか、ダラピッコラ;「囚われ人の歌」ほか(仏ERATO、LP)
ダラピッコラの「囚われ人の歌」、ERATO盤があるとは知らなかったが、見つけたら買っているのでオーダー。
器楽合奏はアンサンブル「アルス・ノヴァ」という、やはりフランス国立放送が組織した現代音楽専門の団体が担当。
カプリングは、いずれも名前さえ読めない人で(汗)、N.Castiglioni;"Gyro"J-P.Guezec;"Reliefs Polychromes"という曲。

 どうも思うように聴く時間をとれないのがもどかしい。

マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル、ブラームス;交響曲第2番(SIMAX)
充実したブラームスで、なかなか気に入った。
オーケストラの響きには、ややザラッとした感触もあるが、木質感というか「生成り」の風合いで、むしろ好もしい。
何より、すべてのパートが、血の通った音、いのちを感じる音を出しているのが良い。第1楽章477小節以下の最高のエスプレッシーヴォは、ヤンソンスの棒もさることながら、オーケストラが心から感じていなければ不可能ではなかろうか。
録音も素晴らしい。特に低弦の実在感は、聴いたことがないくらいの素晴らしさ。
木管の音色がやや淡彩かと思えるが、北欧のオーケストラに求めるのはお門違いかもしれない。
 
エルマー・オリヴェイラ(Vn)ジェラルド・シュウォーツ(指揮)シアトル響、ブラームス;Vn協(ARTEK)
この曲には硬軟両派のアプローチがあるが、オリヴェイラはその中庸を行く感じ。
ゆったり目のテンポに乗って、よく歌うところは軟派のアプローチだが、その歌い方に込められた熱・テンションは、かなり高い。
美音の人であるが、重音による激しいパッセージでは汚い音も厭わない。ツルツルに磨き上げるのではなく、ざらりとした味わいがある。
シュウォーツの指揮も、第1楽章冒頭など実に美しいし、第3楽章でのシンフォニックな鳴らし方等、全体に堅実なもの。
聴きものの第2楽章のオーボエ・ソロは、ゆったりよく歌ってはいるが、音色的には最上と言えないのが残念。
なお、読者の方から教えていただいたのだが、このARTEKレーベルは、オリヴェイラ自身のレーベルだそうだ。
 
加藤知子(Vn)シュテファン・フッソング(アコーディオン)バッハ;Vnソナタ集(DENON)
さて困った。
ヴァイオリンそのものとしては、心のこもった音色、献身的なまでの歌いぶり、素晴らしいのだが…。
バッハの音楽との相性の問題なのか、どこか「ちょっと違う…」という感じがして、聴いている気持ちが落ち着かないのである。
もっとも、彼女の無伴奏の実演を聴いたことのある人が「本当に素晴らしかった」と言っておられたので、こちらの問題なのだろう。耳が古楽派やドイツ系のヴァイオリニストのバッハに慣れてしまっているせいかもしれない。
それとも、アコーディオンと音が今一歩、溶け合っていないせいか。
やはりこの人は、ロマン派の音楽で聴きたいと思う。

3月4日(土): 

 休日出勤の帰りに音盤屋に立ち寄る。

エリカ・モリーニ(Vn)ジョージ・セル(指揮)シカゴ響、モーツァルト;Vn協第5番&ベートーヴェン;「レオノーレ」序曲第3番ほか(VAI、ビデオテープ)
シカゴ響のTV放送フィルムのビデオ化、第7巻は再びセル、ウィーン出身の名花モリーニの姿を見られるのも楽しみで購入―というかタワーレコードのポイントで交換―。
1961年12月10日の映像とのこと、前の第2巻(ベートーヴェン;交響曲第5番ほか)は同月17日の収録とあった。
モーツァルト;序曲「フィガロの結婚」をフィルアップ。
セルとモリーニの共演というと、数年前に出たザルツブルクでのライヴ(1959年)を思い出す。曲は同じ、オーケストラはフランス国立放送管だった(Sony Classical)。

3月3日(金): 

 

ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響、マーラー;交響曲第1番(audite)
auditeから出ているクーベリックのライヴ、今度はマーラー;第1。
最近、ちょっと苦手にしている曲だが、彼のライヴなら見逃すわけにはいかない。スタジオ録音とはずいぶん違う人だったらしいので。
1979年11月2日のヘルクレス・ザールでのライヴ録音。バイエルン放送協会の正規音源からのリリースである。
 
マルタ・アルゲリッチ(P)シモン・ゴールトベルク(指揮)オランダ室内管ほか、モーツァルト;P協第25番ほか(EMI)
アルゲリッチのライヴ盤がEMIから出た。協奏曲とソロが各1枚。
彼女のモーツァルトは珍しいので買った…のではなく、お目当てはゴールトベルクの指揮。(^^;
この曲、不思議に大指揮者が取り上げる、クレンペラー(バレンボイム、EMI)、ライナー(A・チャイコフスキー、RCA)等々。振り甲斐のある管弦楽パートなのだろうか。特にクレンペラーの棒は凄かった。
活きた古典派を振れるゴールトベルクの棒に期待高し。
ハインツ・ワルベルク(指揮)コンセルトヘボウ管、ベートーヴェン;P協第1番をカプリング。この曲にはシノポリとの快演もあった(DGG)。
 
加藤知子(Vn)シュテファン・フッソング(アコーディオン)「ル・グラン・タンゴ」(DENON)
先週の日曜に実演を聴いて感心した加藤さん、次に買うなら最近注目しているフッソングとの共演盤と考えていたところ、店頭で見つけたので購入。
ピアソラ作品は、タイトルの曲のほかニ調のミロンガエスクアロ言葉のないミロンガイ調のタンゴを収めている。
ところが、新譜のときに話題になったのは、間にバッハ;Vnソナタを2曲、挟んでいること。
あまり演奏されないホ短調BWV1023と、有名な6曲の第4番に当たるハ短調BWV1017
通常はチェンバロと演奏されるが、弦楽器との相性には多少疑問があり、かねて小型オルガンの方が相応しいのではないかと思っている。フッソングのアコーディオンは、オルガンに似た堅牢な音楽と、オルガンより高い運動性を持っており、あるいは素晴らしい結果が得られるのではないかと期待。
 
ブランディスQほか、シェーンベルク;浄められた夜&R・シュトラウス;メタモルフォーゼン(弦楽七重奏版)ほか(Nimbus)
第1ヴァイオリンのトマス・ブランディス、チェロのヴォルフガング・ベッチャー、コントラバスのライナー・ツェペリッツら、ベルリン・フィルの元・現メンバーによる、ドイツ後期ロマン派の弦楽六重奏曲集。
標記2曲の他、R・シュトラウスの「カプリッチオ」前奏曲を収める。
シェーンベルクは弦楽合奏版が有名だが、元来は六重奏だし、「カプリッチオ」も歌劇の前奏曲ながら実質は六重奏。
一方、「メタモルフォーゼン」は23丁の弦楽器のための曲だが、当初シュトラウスは弦楽七重奏曲として構想しており、部分的に楽譜も残っているらしい。
それも利用しつつ、1994年にルドルフ・レオポルトが完成した七重奏版による録音である。
シェーンベルクはかねて六重奏で聴き込んでみたいと思っていたし、シュトラウスも各々美しい曲なので興味津々。
通販サイトのカタログをぼんやり見ていて目に留まり、オーダーを考えていたところ、店頭で見つけたので購入したもの。
 
ミシェル・プラッソン(指揮)トゥールーズ・キャピトル管ほか、デュリュフレ;レクイエムほか(EMI)
レクイエムの中でも一、二を争うくらい好きなデュリュフレの新盤。国内盤は昨年11月に発売されていたが、ようやく輸入盤が出たので、即、購入。
オルフェオン・ドノスティアーラという合唱団は初めて聴く団体だが、独唱がアンネ・ゾフィー・フォン・オッタートーマス・ハンプソン、オルガンがマリー・クレール・アランと強力な面子。
ミサ「クム・ユビロ」グレゴリオ聖歌の主題による四つのモテット主の祈りをカプリング。
『レコード芸術』1月号では「特選」扱い、大いに期待したい。

3月1日(水): 当「音盤狂日録」に誤記がある旨、読者の方から御指摘をいただいたので訂正します。
 2月18日に「新譜買得録」、同26日に「新譜試聴録」に掲載した、NAXOS盤のシベリウス;交響曲第4・5番の指揮者を、「オラモ・サカリ」と書いておりましたが、正しくは「ペトリ・サカリ」です。
 うっかり思いこみで書いてしまいました。お詫び&訂正をいたします。

 日曜の演奏会の記録を、演奏会出没表に追加。
 昨日届いた音盤の情報を、リリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。


平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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