音盤狂日録


おしらせ
 10月10日〜16日の間、斉諧生は「ラハティ交響楽団来日公演」を(残念ながら全公演ではありませんが)追っかけておりました。
 この記念碑的なシベリウス・チクルスについては、通常の「音盤狂日録」から独立させて、特集ページを製作しました。→ここを押して
北欧音楽ML参加の方から頂戴した、徳山での演奏会のアンコール情報等を追加しました。(10月31日)
各地での演奏会の情報等をお寄せください。
なるべく掲載させていただきます。

10月31日(日): 

 京都アルティ弦楽四重奏団第2回演奏会@京都府立府民ホール「アルティ」に行く。
 昨年、ホール開館10周年を期して結成された座付きのクァルテットによる2回目の演奏会。次のような素晴らしいメンバー。

豊嶋泰嗣(Vn)@新日本フィル&九響
矢部達哉(Vn)@東京都響
川本嘉子(Va)@東京都響
上村昇(Vc)@京都市立芸大

 これだけのメンバーなのに当日券が残っているのはチト解せないが(^^;、ほぼ満席の入り。いつもの京都の演奏会以上に客層の平均年齢が高い感じである。

ハイドン;弦楽四重奏曲第1番「狩」
ハイドン最初期の四重奏で、5楽章制のディヴェルティメント風の楽曲。
第1Vnは豊嶋。ピンと立った、実にしっかりした音で、グイグイ弾いていく。ちょっとメタリックな感じに響き、もう一段、音色そのものの魅力がほしいところ。
矢部・川本による内声が、柔らかく美しく、音楽を充たしている。
 
バルトーク;弦楽四重奏曲第1番
引き続き豊嶋が第1Vn。
第1Vn中心のハイドンから一転、内声の2人も音の出し方をガラッと変えて、積極的に主張し始める。
第1楽章中途でチェロのドローン風の音型からヴィオラが噛み付くような楽句を奏するところの衝撃や、第3楽章の追い込みなど、なかなか迫力に富み、終始、引き込まれながら聴いていた。
これで上村のチェロの音が、もう少し立っていたら、なお凄かったろうが。
実は斉諧生は弦楽四重奏には(も)全く疎く、この曲もCD・実演を通じて初めて耳にする。予習も怠ってしまった。(^^;;;
バルトーク27歳の作品とのこと、音楽的にも初期シェーンベルクのような、最末期の後期ロマン派のような感じを受ける。
もちろん、ハンガリーの民俗音楽素材や、後年のバルトークの作品に聴かれる語法も出るのだが、彼の世界を特徴づける「闇」を感じることはできなかった。
曲の力か、演奏者の問題か、はたまた斉諧生の感受性不足か…?
ともあれ、この曲が今日の演奏会の白眉。
 
モーツァルト;弦楽四重奏曲第19番「不協和音」
休憩後は矢部が第1Vnに座る。
当たり前のことかも知れないが、アンサンブルの響きが一変した。1曲目のハイドンとは、曲趣の違いもあろうが、全く異なる。
矢部のヴァイオリンの音色は、豊嶋と異なり、柔らかく、優に美しい。ソロとして聴くなら、断然、こちらだろう。
ところが、全体の響きが、どうもまとまらない感じを受ける。
豊嶋・川本の内声の和が崩れたようにも、低声3人の上に乗る矢部の音程の収まりが悪いようにも聴こえる。あるいは、その両方か。
一方で矢部の音色を楽しみつつ、一方で四重奏としての溶け合った響きを楽しめないままに、終わってしまった。
 
アンコールはモーツァルト;弦楽四重奏曲第15番のメヌエット楽章。
これは去年と同じ。

 次回は2000年2月25・26日にベートーヴェン;第12番を軸に、モーツァルトのハイドン・セットの曲を組み合わせたプログラムで開かれるとのこと。
 このアンサンブルが今後も京都で聴き続けられることを願いつつ、自分自身も、もう少し弦楽四重奏の世界を聴き込んでいきたい。特に、常設の団体ならば、どのような響きになるのか、興味あり。

 通販業者からLPが届いた。

エルマー・オリヴェイラ(Vn)ジョナサン・フェルドマン(P)フランク;Vnソナタ&サンサーンス;Vnソナタ第1番(米CBS、LP)
アメリカの実力派、オリヴェイラが1978年のチャイコフスキー・コンクールに優勝した直後に録音したデビュー・アルバム。
かねてこの人には関心があるので、オーダーしたもの。
 
イーゴリ・マルケヴィッチ(指揮)ベルリン・フィルほか、モーツァルト;「戴冠式ミサ」ほか(米DECCA、LP)
マルケヴィッチの同曲は、ラムルー管ほかを指揮したステレオ録音(1961年)が有名で、DGGのORIGINALSシリーズでも発売されている。
これは旧録音(1955年)に当たり、元来は独DGGから25cm盤LPで発売されていた。
米DECCA盤は、たいてい音質が悪いので好きではないのだが、あまり高くない盤をカタログに見つけたので、とりあえずオーダーしたもの。
合唱はベルリン聖ヘドヴィヒ大聖堂聖歌隊、独唱はマリア・シュターダー(Sop)、ジークリンデ・ワーグナー(A)、ヘルムート・クレプス(Ten)、ヨーゼフ・グラインドル(Bs)。
カプリングはベルリン・フィルを振ったモーツァルト;交響曲第35番で、これは独盤LPを架蔵済み。
 
アンドレス・セゴビア(G)バッハ;無伴奏Vc組曲第3番(G版、デュアルテ編)ほか(英MCA、LP)
セゴビアのバッハは聴いてみたかったところ、あまり高くない盤がカタログにあったのでオーダーしたもの。
カプリングは、ボッケリーニ;Vc協をチェリスト・作曲家のカサドがギター用に編曲したもの、付けはエンリケ・ホルダ(指揮)シンフォニー・オヴ・ジ・エア
なお、米DECCA原盤だが、英DECCAがプレスした盤である。斉諧生的には英プレスの方が好適。

10月30日(土): トムヤム研究室現代音楽研究室を主宰する「ともちゃん」さんが本業系(だと思うのだが)で開催された「中国茶を楽しむ会」に参加。
 斉諧生は1988年に中国に旅行して以来、茉莉花(ジャスミン)茶を愛飲しているが、今日のように上等の茶葉をちゃんとした淹れ方で供していただけると、比べものにならない芳醇な香り・味わいが楽しめた。

 お茶会の前に音盤屋に立ち寄る。

オスモ・ヴァンスカ(指揮)BBCスコットランド響、ベートーヴェン;交響曲第6・8番(BBC Music)
これは雑誌"BBC Music"の付録CDであるが、雑誌は買っていない。
今月号の特集がエサ・ペッカ・サロネン、これに狂喜されたサロ様城城主が○冊(特に数を秘す)を御購入になり、付録CDが何枚もあってもしかたないと、1枚を斉諧生に下賜されたもの。
ヴァンスカは先日のラハティ響来日公演も良かったが、このベートーヴェンも面白いとの情報が入ってきており、楽しみである。
6番は1998年3月20日、8番は同年4月26日の、グラスゴーにおけるライヴ録音。
 
シュテファン・フッソング(アコーディオン)フレスコバルディ;作品集(THOROFON)
フッソングのアコーディオンは、先日買ったバッハ;ゴルトベルク変奏曲をチラリと聴いたところ、実に折り目正しい音楽で小型のオルガンと聴き紛うほど、感心した。
新譜の棚にフレスコバルディを発見。この作曲家も以前にレオンハルトでチェンバロ作品集を聴いて良かったので、是非聴いてみたいと購入。

10月29日(金): 

 

オットー・クレンペラー(指揮)フィルハーモニア管、ベートーヴェン;交響曲第9番(TESTAMENT)
最近、あっと驚く音源のリリースが続くTESTAMENTレーベルから、クレンペラーの未発表の「第九」が発売されたので、さっそく購入。
この演奏については、『レッグ&シュヴァルツコップ回想録 レコードうら・おもて』(音楽之友社、1986年)にも書かれている(305頁)。
1957年11月15日、ロイヤル・フェスティバル・ホールでのライヴ録音。「ロンドン・ベートーヴェン音楽祭」のクライマックスだったとか。
ソリストは、
オーゼ・ノルドモ・レフベルィ(Sop)
クリスタ・ルートヴィヒ(A)
ヴァルデマール・クメント(Ten)
ハンス・ホッター(Bs)
なお、同じ顔触れによるスタジオ録音の録音データは、上掲書のディスコグラフィによれば、同年10月30〜31日、11月21〜23日となっている。
クレンペラーのライヴのベートーヴェン、聴く前からワクワク&ドキドキである。
 
グィド・カンテッリ(指揮)フィルハーモニア管、メンデルスゾーン;交響曲第4番&ブラームス;交響曲第3番(TESTAMENT)
またまた、あっと驚く音源、カンテッリの未発表の「イタリア」である。
これまで行われてきたのは1955年8月の録音で、既にTESTAMENTからCD化されているが、今回は1951年10月の録音。
彼が早世しなければ、今のクラシック界は相当変わっていたかもしれない。貴重な録音ゆえ、買わざるべからず。
なお、カプリングのブラームスは既出の音源。
 
飯守泰次郎(指揮)東京シティ・フィル、ブルックナー;交響曲第4番(fontec)
一部に非常に高く評価する人のいる飯守だが、まだ演奏には、録音であれ実演であれ、接したことがなかった。
ブルックナーが出たので、店頭試聴機でチラッと聴いてみたところ、なかなか良さそうなので、購入してみた。
ライナーノートによると、第4楽章後半にグロッケンシュピールを入れるなど、一部に変更を加えているという。
原典版流行の御時節、よほどの信念と見た。期待したい。
 
オスモ・ヴァンスカ(指揮)BBCスコットランド響、ピツェッティ;管弦楽曲集(hyperion)
レクイエムVnソナタが素晴らしいピツェッティの管弦楽曲集が出たので、興味を惹かれて購入。
先日、素晴らしいシベリウスを聴いたヴァンスカの指揮というのも頼もしい。
曲目なのだが…、イタリア語がも一つよくわからないので、申し訳ありませんが、省略します。<(_ _)>
(附記)CDすら珍しいピツェッティのVnソナタの実演が聴ける。
井上隆平という若いヴァイオリニストが、1999年12月17日、京都のバロック・ザール@青山音楽記念館(Tel.075-393-0011)で開くリサイタルの曲目に上がっているのである。
本業の方が危なそうな時期ではあるが、ぜひ聴きに行きたいもの。(10月31日)
 
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)北ドイツ放送響、モーツァルト;レクイエム&ワーグナー;楽劇「ワルキューレ」第1幕&ヴェルディ;「レクイエム」(TAHRA)
このレーベルからの放送録音の復刻、第4弾。
イッセルシュテットは、斉諧生がクラシック入門以来、追いかけている指揮者。地味な人だと思っていたが、こうして新譜がリリースされるのは大慶の至り、さっそく購入。
ワーグナーは、前に"Blla Voce"レーベルから出ていたものと同じではなかろうか。1953年10月1〜5日の録音とある。
歌手は、ビルギット・ニルソンセット・スヴァンホルムヨーゼフ・グラインドルという顔触れ。
モーツァルトは1952年3月31日、ヴェルディは1961年4月10日、いずれもモノラル。
なお、このシリーズ、従来はライナーノートにけっこう充実した記事が掲載されていたが、今回はモーツァルトの曲目解説のみとなっている。

10月28日(木): 

 ポーランド室内管@奈良公演を聴く。
 メニューインとの演奏や録音で有名な団体だが、一方でシンフォニア・ヴァルソヴィアに発展改組したとの話を聞いたこともあり、実体はよくわからぬ。
 なぜ出かけたかというに、当夜のソリスト、大江章子サロ様城城主、Anjaさんの母君ということから。

さて、今日の曲目は、
クルピンスキ;序曲「2つの小屋」
ショパン;P協第1番
ベートーヴェン;交響曲第3番「英雄」
というもの。
指揮はトーマス・ブガイという1950年生まれ、ワルシャワ音楽院でヴィスロツキに学んだという人。
会場は、奈良県文化会館国際ホール。肘掛けの中にテーブルが仕込んであったり同時通訳用のイヤホン・ジャックが付いていたり、いかにも多目的ホールという感じで、不吉な予感。
 
クルピンスキ;序曲「2つの小屋」
クルピンスキ(1785〜1857)は、もちろんポーランドの作曲家・指揮者で、ショパンのデビュー演奏会で指揮をしたとか。
冒頭の弦合奏は柔らかめでいい音、続くオーボエやクラリネットのソロもなかなか艶やかに美しく、これは期待できるかな…と思った。
次の瞬間、鳴ったフォルテの響きの凄まじいこと! 無茶苦茶に混濁している!
これはホールのせいで、音が舞台の上にこもってしまうような感じ。
音楽自体は、J・シュトラウスの知られざる(失敗した?)オペラと言われたら信じてしまいそうな、ドイツ音楽の語法に民族色を溶かしこんだ感じだった。
 
お目当てのショパン;P協第1番
第1楽章の序奏は、やや速めのテンポ。省略せずに演奏。
ブガイの棒は、いわゆる楽長スタイルというか、かなり振り回してみたり、全然振らずにいたりといった趣。あまり几帳面なものでも、巨匠風のものでもない。
 
独奏が入っても、やはり音が客席に飛んでこず、低音など弦合奏に埋もれてしまう。非常に残念であった。
ピアノは非常にまろやかな音色で、弦楽器との相性が良さそう…と感じた。
斉諧生はピアノ音楽に疎いのだが、左手やリズムをおろそかにしない、骨格のしっかりした音楽…という印象。
まあ、もう少し、音響のいいところで、ソロか室内楽を聴いてみたいところである。
 
更に残念なことに、管弦楽は極めて鈍重。
ピアノがリズムの切れ味よく弾いているのに、管のソロはべったりのんびり吹いている…等々。
まあ、演奏旅行先で、いきなり合わせても…と言うことかもしれないが。
 
これでは…と、後半のベートーヴェンはパスすることにし、来会のサロ様城の常連さんたちとのオフ会を繰り上げ実施してしまった。(^^;;;
 

10月25日(月): 

 

小林研一郎(指揮)日本フィル、ブラームス;交響曲第2番(EXTON)
昔は(LP末期〜CD初期)、ホンの数えるほどしかなかった小林研一郎の録音も、CanyonやEXTONから陸続と発売されるようになり、ファンにとっては嬉しい悲鳴である。
とにかく彼の録音は買わざるべからず。
今回のブラームスは、今年4月22日、サントリー・ホールでのライヴ録音。
プロデューサー、江崎氏のWebpageによると、同日に第1番も録音されているのだが、そちらは果たしてリリースされるのであろうか?
 
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)シュトゥットガルト放送響、R・シュトラウス;「英雄の生涯」ほか(DGG)
DGGが出し始めたチェリビダッケのライヴ・シリーズ第3弾を購入。
R・シュトラウス;「ドン・ファン」(1976年6月22日)
R・シュトラウス;「死と変容」(1982年11月11日)
R・シュトラウス;「英雄の生涯」(1979年11月8日)
レスピーギ;「ローマの松」(1976年6月20日)
を収録、また「死と変容」と「ローマの松」のリハーサル風景(1972年11月)をボーナスCDで添付。
 
セルジュ・チェリビダッケ(指揮)シュトゥットガルト放送響、ドビュッシー&ラヴェル作品集(DGG)
DGGが出し始めたチェリビダッケのライヴ・シリーズ第4弾を購入。
ドビュッシー;「夜想曲」(1980年11月15日)
ドビュッシー;「海」(1977年2月11日)
ドビュッシー;「イベリア」(1980年2月29日)
ラヴェル;「道化師の朝の歌」(1973年12月)
ラヴェル;「スペイン狂詩曲」(1976年6月22日)
ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲(1974年3月8日)
ラヴェル;「クープランの墓」(1978年10月26日)
ラヴェル;「ラ・ヴァルス」(1976年11月)
を収録、また「海」のリハーサル風景(1977年1月)をボーナスCDで添付。
 
トルルス・メルク(Vc)イェフディ・メニューイン(Vn、指揮)ポーランド室内管、ヴィヴァルディ;Vn&Vc協ほか(EMI)
期待のチェリスト、メルクの録音のうち、あちこち店頭や通販サイトを探しても見つからなかったヴィヴァルディが、ようやく入手できた。
当『斉諧生音盤志』を御覧いただいている方から、東京の某店で見かけたとの情報をいただき、さっそく電話して確保したのである。記して感謝の意を表したい。
このディスクの主役はメニューインで、彼と4人のソリストによる、ヴィヴァルディの2つの独奏楽器のための協奏曲集、というわけである。
メルクはRV546とRV547の2曲に登場。
その他では、Vnがリラン・チェン(2曲)、Obはニール・ブラック(1曲)、Orgにデヴィッド・ベル(2曲)という顔触れ。
いずれも1990年7月、ロンドンでの録音。
 
鈴木雅明(指揮)バッハ・コレギウム・ジャパンほか、バッハ;マタイ受難曲(KING)
この指揮者と団体のCDは、基本的に買うことに決めているし(「第九」のピアノ版はさすがに買ってないけど)、「マタイ」も買うことにしている曲。
BISの輸入盤を待った方が値段的には安いのだろうけれど、国内製作奨励の意味も込めて、購入(こじつけかなァ)。

10月24日(日): ふと思い立って、スピーカー・スタンドの足元に、『レコード芸術』誌のバックナンバーを積み上げて重石にしてみた。
 どうやら大正解で、音がしっかり出てくるようになった感じである。
 オーディオ・マニア的には「鉛のインゴット」とかになるのかもしれないが、まあ、当分このままにしておこう。
 スピーカーのセッティングは大事だということを、久しぶりに思い知らされた。

 実は先日来、少々風邪気味で寝たり起きたりの一日。ロマン派以降の大曲には手が伸びなかった。

ファビオ・ビオンディ(Vn)エウローパ・ガランテ、バッハ;Vn協BWV1052・1056(Virgin)
今朝、いつもの巡回でCLASSICAを読みに行くと、この演奏が取り上げられていて、「ドキドキさせられるような躍動感をこれだけ満喫できたのは久しぶりっす。」とのこと、これはこれはと聴いてみた。
BWV1052の方は(かつての)僚友リナルド・アレッサンドリーニによるCem協盤(OPUS111)と比較試聴。
ふむふむ、これはヴァイオリンの方が面白い。ニ短調という調性の「色」がよく出ているというか、陰の濃い「心の嵐」が、より一層くっきりと表出される。
その点、チェンバロは、その音色が、この場合には災いしてしまう感じだ。
録音的にも優れており、厚み・暖かみのある音で古楽器の音色がリアルに捉えられており、音場感も豊か。
 
ライナー・クスマウル(Vn)ハイデルベルク室内管、バッハ;Vn協第2番(英ORYX、LP)
↑のあとはモダン楽器のバッハが聴きたくなったので、これを。
30年前、22歳の録音だが、やはり当時から厚手の充実した音色が素晴らしい。
もちろん音楽はしっかりしたもの。
盤質の加減か、やや硬く響くのが残念。
 
マインハルト・フォン・ツァリンガー(指揮)シュターツカペレ・ベルリンほか、モーツァルト;歌劇『魔笛』(抜粋)(独ETERA、LP)
ちょっと間延びしかけてるような気がしないでもないリズムに、少し隙間のあるアンサンブル、下手ではないけどそれほど上手くもない歌手、まあ「鄙びた」モーツァルトなのだが、それでも「魔笛」の音楽は病中の耳に快い。
歌手の中ではパミーナが気に入ったが、ジャケットの表記がちゃんとしていないので特定できないのは残念。
なお、ホルスト・シュタイン(指揮)ベルリン放送響による序曲は、渋い音色、端整で対位法の線をしっかり出した音楽が、素晴らしかった。
 
ハインツ・ヘニッヒ(指揮)PCA・ハノーヴァー少年合唱団ほか、モンテヴェルディ;『聖母マリアの夕べの祈り』より「マニフィカト」(ARS MUSICI)
「ヴェスペレ」の聴き比べといきたいが、時間も体力もないので、斉諧生的な「さわり」、マニフィカトだけを。
冒頭の"Ma-"の入りがずれるのもライヴ録音らしいが(笑)、少年合唱の音色は、やはり好もしい。やはりライヴ的に、音程が決まらないところもあるのだが。
20年前の演奏のこととて、現在の古楽演奏に比べると、やや分厚い響きだが、PCAは上手いもので、暖かく、美しい響きである。
 
フリーダー・ベルニウス(指揮)シュトゥットガルト室内合唱団ほか、モンテヴェルディ;『聖母マリアの夕べの祈り』より「マニフィカト」(BMG)
これは10年前の演奏、ヘニッヒ盤との間の10年での古楽演奏の進歩が如実にわかる。
合唱は女声によるので、安定した美しい響きが得られる(斉諧生的には少年合唱の音色の方が好みだが)。
ちょっと辛かったのは、「マニフィカト」のあとに、まだアンティフォナがあって、最後を「『サンタ・マリア・オラ・プロ・ノビス』によるソナタ」で締めるところ。
ライナーノートによれば、「宗教上の観念からは、最後に置かれるのがふさわしい」とのことだが、音楽的には、壮麗な「アーメン」で締めくくってほしいと思える。
 
ジャネット・ソレル(指揮)アポロズ・ファイヤほか、モンテヴェルディ;『聖母マリアの夕べの祈り』より「マニフィカト」(ECLECTRA)
決して変な演奏ではないが、やはり声楽・器楽とも少し技量が落ちる。
また、音楽の性格が、健康的というか元気すぎるというか、あえて言えば、敬虔さに欠けるところなしとしない。
また、教会の残響を活かした録音…とも言えようが、少し響かせすぎではなかろうか。少なくとも、響きの質があまりよろしくない。
 
リシャール・ガリアーノ(アコーディオン)ガブリエル・ミラバッシ(Cl)「コロリアージュ」(EGEA)
斉諧生は、さほどジャズは聴き込んでいないのだが、これは感心しながら聴いていた。
前進的で乗りのいいリズム、音のエネルギー、間然とするところがない。
数年前のものだが、ガリアーノの最近の録音より優れているような気もする。

10月23日(土): 

 演奏会出没表に、先週のラハティ響 シベリウス・チクルスの特集ページを掲載。
 リンク集電網四方八通路に新着サイトを追加し、更新。


10月22日(金): 

 通販業者からLPが届いた。

ミクロシュ・ペレーニ(Vc)デジュー・ラーンキ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ・変奏曲集(洪HUNGAROTON、LP)
どんどんペレーニのLPが集まって嬉しい限り。
これはCD化されていて架蔵しているのだが、ブラームス同様、ピアノを偏重したようなバランスが非常に聴きづらく、ぜひLPで聴いてみたいと願っていたもの。
ただし、変奏曲3曲は、いずれもCDに収録されていないので、これは貴重!
1979年頃録音の3枚組。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)エステル・ペレーニ(Vn)ギュラ・キシュ(P)ブラームス;ピアノ三重奏曲第1番ほか(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニの未知の録音をカタログに発見、驚喜してオーダーしたもの。
ヴァイオリニストは1943年生まれの女性、ピアニストは1944年生まれの男性である。
曲について"2nd version (1891)"と書いてあるのだが、手元のデュメイ盤(DGG)には"Revised version: 1889"とある。
同じ版で、改訂年代に関する見解の相違なのだろうか?
<10月24日附記>
上記の年代の問題について、いちむら@板橋ブラームス記念館さんから御教示をいただいた。
改訂が行われたのが1889年、改訂版の出版が1891年ということだそうである。
疑問氷解、ありがとうございました。m(_ _)m >いちむらさん
 
ジョルジ・パウク(Vn)ペーター・フランクル(P)バルトーク;Vnソナタ・狂詩曲集ほか(洪HUNGAROTON、LP)
パウクのヴァイオリンは暖かみがあって好きだし、祖国のバルトークの録音とあらば是非にとオーダーしたもの。
フランクルは英国系の演奏家、と思っていたのだが、ブダペシュト生まれでリスト音楽院育ち、パウクとは子どもの頃から共演してきた…とのこと。
ソナタ2曲・狂詩曲2曲に、アンダンテ(1902)、「ハンガリー民謡」(「子どものために」より)をフィルアップ。
 
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)スウェーデン放送響ほか、ステンハンマル;交響カンタータ「歌」(瑞Caprice、LP)
ステンハンマル晩年の大作の、現在のところ唯一の全曲録音である。CDでは架蔵していたが、オリジナルのLPを見つけたのでオーダーしたもの。
王立スウェーデン音楽院の創立150周年記念の作品で、美しい「間奏曲」が単独で、よく演奏され録音も多い。
1982年のデジタル録音である。

 今日届いたLPのデータをステンハンマル 作品表とディスコグラフィに追加。


10月20日(水): 

 

ファビオ・ビオンディ(Vn)エウローパ・ガランテ、バッハ;Vn協集(Virgin)
いつの間にかVirignに移籍したビオンディの新譜。彼のヴァイオリンはなるべく聴くようにしているので購入。
評判になった「四季」は、あまり感心しなかったが、無伴奏アルバムなど、素晴らしかった(OPUS111)。
収録曲はやや異色で、お馴染みのBWV1041、1042は入っていない。
Cem協からの復元曲であるBWV1052ニ短調、BWV1056ト短調、それにVnとObのためのBWV1060に、これはVn協BWV1042から復元されたCem協BWV1054を収めている。
アルフレート・ベルナルディーニ(Ob)、セルジオ・キオメイ(Cem)が共演。
 
ヤーッコ・クーシスト(Vn)フォルケ・グレスベック(P)シベリウス;初期Vn曲集(BIS)
シベリウスの習作時代のVn曲集である。
CDのタイトルには「第1巻」とあり、1884〜1887年頃、作曲者は1865年生まれだから、20歳前後の作品が収められている。作曲と並行してヴァイオリンを学んでいた頃である。
演奏者は、先のラハティ響来日公演で、素晴らしいコンサートマスターぶりを見せたヤーッコ・クーシスト。
既に弟ペッカ・クーシストと共演したプロコフィエフが出ているが(FINLANDIA)、初のソロ・アルバムである。
ペッカ君はラハティ響にソリストとして同行し、大喝采を浴びたが、斉諧生的にはヤーッコ君の方が好み。
彼は今年5月からラハティ響にいるらしいが、もっとソロ活動をしてほしいもの。
 
鈴木雅明(Cem)バッハ;インヴェンションとシンフォニア(BIS)
鈴木雅明氏のCDは、指揮盤・独奏盤とも買うようにしている。
あまりに有名な曲集であるが、どのような世界を聴かせてくれるのだろうか、実に楽しみ。
ブックレットのテキストは、富田庸氏の手になるもの。
それにしても、まだバッハ・コレギウム・ジャパンの実演に接する機会に恵まれないのは残念。早く何とかしよう。
 
有田正広(Fl)有田千代子(Cem、P)平尾雅子(Gamb)「パンの笛」(DENON)
副題に「フルート、その音楽と楽器の400年の旅」を掲げた2枚組。
巻頭にドビュッシー;シランクスを掲げ、クープラン;恋のうぐいすから福島和夫;「冥」まで16曲を13種のフルートで吹き分けている。
もちろん、なるべく作曲年代に近い時代に作られた、その曲にふさわしい楽器(一部レプリカを含む。)が使用されている。
解説は、いつもどおり有田氏自身の手による、質・量とも素晴らしいもの。

10月19日(火): 

 CD屋に寄った後、不在時に届いていたLPの荷物を郵便局から引き取ってくる。

カルロ・ゼッキ(指揮)チェコ・フィル、ベルリオーズ;幻想交響曲(チェコSupraphon、LP)
知る人ぞ知る名演として令名高い演奏。未CD化のはず。
昔、神戸の中古盤屋で一度見つけながら買いそびれたことがあり、ずっと探し続けていたのだが、ようやく入手できた。
赤いレーベルの初期プレスなのは嬉しいが、経年変化か誰か余計な薬剤でも塗布したのか、パチパチ…という盤面ノイズが激しい。これでは、もう1枚探さないと…。(T_T)
それにしても、このイタリア人指揮者、どうして東欧圏でのレコーディングが多かったのだろう?
 
ポール・トルトゥリエ、モード・マルタン・トルトゥリエ(Vc、指揮)イギリス室内管、ボッケリーニ;Vc協ほか(英EMI、LP)
わが長谷川陽子さんが学んだアルト・ノラス師匠の、そのまた先生、トルトゥリエ大師匠の録音も蒐集中。
これは大師匠夫妻共演の1枚、標記の曲では妻が指揮、夫が独奏。
ヘンデル;Vcソナタト短調(2本のチェロとオーケストラのための編曲)
パガニーニ;ロッシーニの主題による変奏曲(2本のチェロのための編曲)
では並んでチェロを弾き、
ヴィヴァルディ;Vc協ニ長調op.3-9
は夫の弾き振り。
2人の出会いは、終戦直後、彼女がモーリス・マレシャルの生徒だった18歳のとき。トルトゥリエの自作が課題曲になったことから、作曲者が教室に招かれ、そこでトルトゥリエが一目惚れしたそうである。
「彼女が本当にルノワールかグルーズの絵から抜け出てきたようだと思いました。彼女は夢のように美しく、光り輝いていました。」とは夫の回想。
 
ポール・トルトゥリエ(Vc)コダーイ;無伴奏Vcソナタ&トルトゥリエ;無伴奏Vc組曲(英EMI、LP)
最近、ヨーヨー・マ盤が出たコダーイのソナタ、ようやくトルトゥリエ盤が入手できた。
カプリングは1944年作曲の自作、バッハに倣った舞曲構成の組曲である。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ゲザ・オーベルフランク(指揮)ブダペシュト・フィル、ドヴォルザーク;Vc協(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニの旧録音、1977年頃か。
彼のバッハ;無伴奏Vc組曲(HUNGAROTON、未CD化)に深い感銘を受けて以来、とにかく、この人の録音は全部集めるつもり。
新録音はイヴァン・フィッシャーとの共演、CDが出ている(LASERLIGHT)。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ジョルジ・レヘル(指揮)ブダペシュト響、ルトスワフスキ;Vc協&マルタン;Vcと小管弦楽のためのバラードほか(洪HUNGAROTON、LP)
ペレーニの未知の録音をカタログに発見、驚喜してオーダーしたもの。
この人は現代音楽も好んで弾くところがある。
フェレンツ・ファルカシュ;「古風な小協奏曲」をフィルアップ。これはCD化されており架蔵済み。
そのCDのデータによれば、1974年録音とのことである。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)カルロ・ゼッキ(P)バッハ;ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ集(洪RADIOTON、LP)
これは待望の1枚。
ペレーニの無伴奏Vc組曲に魅せられて以来、確かガンバ・ソナタもあったはずと探しに探していたもの。何度かカタログに見つけていたが、その都度、売り切れていて口惜しい思いをしたのだが、ようやく購入できた。
1983年10月、ゼッキのハンガリーでの最後のものとなった演奏会のライヴ録音である。
 
ミクロシュ・ペレーニ(Vc)ティボール・ヴェーネル(P)コダーイ;Vcソナタ&ショパン;Vcソナタほか(洪Qualiton、LP)
1965年録音ゆえ、ペレーニ17歳のときということになる。ジャケット装画の演奏者も紅顔の美少年。
シューマン;アダージョとアレグロをカプリング。
コダーイにはイェネ・ヤンドーとの再録音があり、CDにもなっているが、その他は唯一の録音のはず。
全く未知の音源であり、ドキドキしてオーダーしたもの。
とはいえ、年代的にはステレオ盤があってもいいので、これまた探索の対象が増えた。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送合唱団・交響楽団、ヴェルディ;聖歌四篇(独ETERNA、LP)
これも入手できて狂喜乱舞の1枚である。
浮月斎大人から、ケーゲルにこの美しい曲の名演があると御教示いただいて以来、これまた探しに探していたのものが、ようやく見つかったのでオーダーしたもの。
合唱指揮にホルスト・ノイマンの名が掲げられている。
なお、この曲集の第1曲、無伴奏のアヴェ・マリアは、斉諧生にとって中学・高校時代のクリスマスと関わり深い想い出の曲なのであります。
 
ヨウコ・ハルヤンネ(Trp)ユッカ・ペッカ・サラステ(指揮)フィンランド放送響、フンメル;Trp協&ハイドン;Trp協ほか(FINLANDIA)
京都の地元大手CD店十字屋四条店に立ち寄ったところ、来月1〜15日の間、改装のため閉店するとのこと、それに先立つ在庫処分のワゴン・セールをやっていた。
なぜかFINLANDIAレーベルが多数供されており、気になっていたのにずっと見つけられなかった2枚を購入。もちろん格安である。(^^)
髭面の名Trp奏者、ハルヤンネの代表盤。
標記は古典派の名曲だが、ハルトマンツィンマーマンらの現代作品をカプリング。
ブックレットには使用楽器も明記されているのだが、"Yamada Eb trumpet model 9610"ってのは気の毒だなァ。
 
カレヴィ・キヴィニエミ(Org)「剣の舞」(FINLANDIA)
「オルガンの魔術師」というキヴィニエミの異名を決定的にした1枚である。
なにしろジャケット写真で、赤い照明に照らされたオルガンをバックに、黒マント・黒帽子に身を包み、不気味な笑いを浮かべているのである。
アンコール曲集ゆえ、曲目全部は挙げないが、プレトリウススザートといったルネサンス期の舞曲から、「熊蜂の飛行」「剣闘士の入場」「ジムノペディ第1番」といった有名小品、「ピンク・パンサー」といったポピュラー曲、あるいはメンデルスゾーン;結婚行進曲による即興演奏など、多彩なアルバムになっている。
なお、ブックレット内部には、更にパワーアップ(?)したコスプレ写真(??)が掲載されていて、楽しいというか何というか(苦笑)。

10月18日(月): 

 通販サイトからCDが届いた。

ペーター・ザードロ(Perc)「マリンビッシモ」(KOCH-schwann)
前に聴いたバッハ;無伴奏Vc組曲第1番の演奏が素晴らしく、続編はないかとネットを検索したところ、このアルバムがあるのがわかった。
ところがCD屋をあちこち探しても見つからず、通販サイトでも滅多にひっかからない。
ようやくCD Teleshopで取れたもの。ここはオランダの店で、ギルダー建てなのが面白いが、ちょっと割高かも。
さて、期待のバッハは、無伴奏Vc組曲第3番を収録。第1番も入っているが、これは前のアルバムと同じ演奏の模様。
それ以外では、
バッハ;前奏曲ハ短調
パガニーニ;ラ・カンパネッラ
と、安部圭子ほかの作品6曲が収録されている。

10月16日(土): 東京2日目。終演後、最終の「のぞみ」で京都に戻る。

 ラハティ交響楽団東京公演第4日@すみだトリフォニーホールを聴く。

 昼前から渋谷のHMVとタワーレコードで音盤を渉猟。
 今日の主目的はラハティなので、あまり駆け回らず、ゆっくりホールへ赴いた。

アンデルス・エングストレム(Fg)トール・スヴェルンド(指揮)イェーテボリ響、「スウェーデンのFg協」(INTIM)
これは、珍しく、ちょっと「衝動買い」気味の1枚。(笑わないように!>読者諸賢)
ラハティで一つ感心したのが管楽器の音色感で、特にオーボエの透明感とファゴットの「寂び」は、他の地域の団体では聴くことができないものだった。
それで、ちょっと北欧のソリストのものを買ってみようという気になったのである。
ベルワルド(1828年)、ブレンドレル(1828年)、フェルンストレム(1947年)、クルーセル(1829年)の作品を演奏。
 
ヨーゼフ・シゲティ(Vn)ベラ・バルトーク(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第9番&ドビュッシー;Vnソナタ&バルトーク;Vnソナタ第2番ほか(Vanguard)
CDでは買いそびれていた有名なライヴ録音を購入。
1940年4月13日、ワシントン議会図書館での演奏をアセテート盤に刻んだ、ピアニスト・バルトークの至芸を伝える貴重な音源である。
標記のほか、バルトーク;狂詩曲第1番を収録。
 
ヨーゼフ・シゲティ(Vn)ベラ・バルトーク(P)ほか(Biddulph)
Biddulphによる歴史的録音の復刻は、なるべく揃えていきたいと思っているのだが、このところ店頭で見かけなくなっていたシゲティの2枚組を発見したので購入。
1940〜41年頃の録音が収められており、1枚半はアンドール・フォルデスとの共演でシューベルト;Vnソナチネ第1番ドビュッシー;Vnソナタブロッホ;「バール・シェム」アイヴズ;ソナタ第4番、その他ポピュラーな小品。
残りが作曲者をピアノに迎えてのバルトーク;狂詩曲第1番「コントラスツ」、後者はもちろん初演メンバーのベニー・グッドマンとの録音である(1940年5月13日)。
狂詩曲第1番は、上記Vanguard盤とは別音源の模様(1940年5月2日)。
 
パガニーニ・アンサンブル、シューベルト;弦楽五重奏曲(THE NATIONAL TRUST)
この五重奏曲は大好きな上、ジャン・ジャック・カントロフ率いるパガニーニ・アンサンブルの演奏とあっては買わざるべからず。
カントロフ以外のメンバーはジョン・トラスラー(Vn)、ウラジミール・メンデルスゾーン(Va)、藤原真理ジャン・マリー・トロテロー(Vc)。
なお、イギリスの「ナショナル・トラスト」については林望の著書に詳しいが、ライナーノートによると、録音場所となったパックウッド・ハウスはチューダー様式の建物で、17世紀に整備された美しい庭園(何でもキリストの「山上の垂訓」をテーマにしているのだそうだ)を持ち、現在はナショナル・トラストが保有しているそうだ。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)ゴードン・バック(P)バッハ(シューマン編);無伴奏Vnソナタとパルティータ第1集・第2集(P伴奏付き)(THE NATIONAL TRUST)
これも上記シューベルトと同様、イギリスの「ナショナル・トラスト」が、財団保有の歴史的建築物を使って録音し、売上げの2%が財団に寄付されるというシリーズ。
シューマンがピアノ・パートを付加した「余計なお世話」版だが、何といってもカントロフのバッハは聴き落とせないので購入。
第1集にはソナタ第2番・パルティータ第1番・ソナタ第1番を、第2集にはパルティータ第3番・ソナタ第3番・パルティータ第2番を収録。
 
ハインツ・ヘニッヒ(指揮)ハノーヴァー少年合唱団、デュリュフレ;レクイエム&ヴィエルネ;荘厳ミサ(ARS MUSICI)
デュリュフレは、これまた好きな曲なので、なるべく買っているのだが、ドイツの団体というので敬遠していたところ、特価品で見つけたので購入してみた。
この曲については、ジュラシック・ページに詳しい。
それによれば、この曲にはフル・オーケストラ版オルガン版室内オーケストラ版と3つのヴァージョンがある。
このヘニッヒの演奏は室内オーケストラ版。このページの筆者からは、芳しくない評価を貰っているようだが、果たしてどうなのか、興味あり。
 
ジャネット・ソレル(指揮)アポロズ・ファイヤほか、モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(ECLECTRA)
「ヴェスペレ」の見かけたことがない盤を見つけたので購入。
1998年11月の録音というから、あるいは新譜に近いものか。
器楽アンサンブルは古代ギリシャの音楽の神、アポロにちなんで名付けた…とあるが、「クリーヴランド・バロック管」と併記されている。創設は1992年。
指揮者ソレルは、ブックレット裏表紙の写真で見る限り、俗に言う「陽気なヤンキー娘」という感じで、実は少々不安なのだが(^^;グスタフ・レオンハルトらに学び、古楽系のコンクールで第1位を獲得したこともあるという。
 
リシャール・ガリアーノ(アコーディオン)ガブリエル・ミラバッシ(Cl)「コロリアージュ」(EGEA)
これはジャズのコーナーで見つけたもの。
ピアソラに続く世代のアコーディオン奏者として近年有名になっているガリアーノだが、斉諧生が彼の名前を知ったのは小沼純一著『音楽探し』(洋泉社、1993年)であった。
ここで小沼氏が「ガリアーノ最上の録音」として絶讃していたのが、この盤。
セロニアス・モンク;リフレクションズピアソラ;チキリン・デ・バチンの他、ガリアーノのオリジナル曲を演奏している。
長く探していたが、最近、別なレーベルから再発されたようで、ようやく入手できた。1992年、イタリアはペルージャでの録音。

10月15日(金): 今日は、午後から休暇を頂戴して、東京へ。
 終演後にクラシック招き猫系の「シベリウス小OM」に参加。20数人が集まっての盛会となった。
 東京に一泊。

 ラハティ交響楽団東京公演第3日@すみだトリフォニーホールを聴く。

 ホールへ行く前に、新宿のタワーレコードと秋葉原の石丸電気3号店へ寄る。
 石丸は11日に行ったばかりなのだが、そのとき、架蔵しているかどうか迷ったあげく見送ったものが2セットあった。帰宅してから確認したところ、両方ともまだだったので、再度、立ち寄って購入したもの。

カール・ベーム(指揮)シュターツカペレ・ドレスデンほか、R・シュトラウス;「英雄の生涯」・「死と変容」ほか(DGG)
これを見てピンとこられる方も多いかもしれない。
クラシック系Webpageの定番サイトの一、An die Musikで激賞されていた演奏を含むセット(CD3枚組)である。
「英雄の生涯」(1957年録音)については「スタジオ録音なのに、激しすぎて、ところどころ技術的に破綻しかけている箇所もある。それが演奏のキズにならず、えもいわれぬ臨場感を表出している。これこそベームの本領だろう。」と、「死と変容」(1972年録音)については「映画音楽並みのスタイルをもった交響詩が、忘我の境地に達したカール・ベームの手にかかると、まるで黙示録の世界に様変わりしてしまう。私のようにR.シュトラウスの交響詩に冷ややかな人間でもドキドキしながら聴いてしまうし、怖いほど感動する。」とのこと。
こう書かれては、買わずにはいられない。
もちろん京都でも手に入るディスクだが、タワーの特別価格で一段と安かったので購入。
なお、上記以外にアルプス交響曲(1957年)、「ドン・ファン」(1957年)、「ツァラトゥストラはかく語りき」(1958年)、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」(1963年)等を収録。
 
ピエール・フルニエ(Vc)ジャン・マルティノン(指揮)ラムルー管、ラロ;Vc協&サン・サーンス;Vc協第1番ほか(DGG)
フルニエ全盛期の有名な録音である。ORIGINALSシリーズで発売されたので、音質の向上を期待して購入。
上記の他、ブルッフ;コル・ニドライブロッホ;シェロモを収録。
ブロッホのみアルフレート・ウォーレンシュタイン(指揮)ベルリン・フィル、もとのLPではエルガー;Vc協とカプリングされていた音源である。
 
スティーヴン・イッサーリス(Vc)マイケル・コリンズ(Cl)スティーヴン・ハフ(P)ブラームス;Clトリオ&シューマン;おとぎ話ほか(BMG)
イッサーリスのチェロはどうしても気になるので、新譜を購入。
またハフは贔屓にしていた時期もあるピアニストである。
フリューリンク;Clトリオシューマン;トロイメライ(ハフによるClトリオへの編曲)をカプリング。
余談だが、このCDのジャケット、色の使い方が、何となくDECCAのイメージである。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)フィルハーモニア管、R・シュトラウス;歌劇「アラベラ」(抜粋)ほか(EMI)
この演奏がCDになっていると気づかなかったのは迂闊だった。
オットー・アッカーマン(指揮)の「4つの最後の歌」ほかとカプリングされていたのである。
最近、マタチッチを、きちんと集めておこうと思い、京都で捜したのだが見つからず、ようやく新宿タワーで発見したもの。
1954年10月、マタチッチがEMIに重宝されていた時期の録音で、もともと抜粋のみの録音。
LPでは「アラベラ」だけで1枚だったが、ここで収録されているのは約30分。CD化に漏れたシーンがあるのかどうかは未確認である。
 
リタ・シュトライヒ(Sop)ほか、「民謡と子守歌」(DGG)
これもORIGINALSシリーズの一。
「世界の民謡集」(1962年録音)と「子守歌と民謡」(1964年録音)の2枚のLPをCD1枚にまとめたもの。
シュトライヒのピンと張った可憐な声は、実はLP時代からファンなので、シメシメと買ってしまった。
なお、「さくら、さくら」が収録されている。
 
ハインツ・ヘニッヒ(指揮)PCA・ハノーヴァー少年合唱団ほか、モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(ARS MUSICI)
 
フリーダー・ベルニウス(指揮)シュトゥットガルト室内合唱団ほか、モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(BMG)
この2セットを石丸で購入。
この曲「ヴェスペレ」は集めているのだが、これまでドイツ系の団体では「外れ」が多かったので、両盤とも敬遠してきたのだが、格安特価品で発見したので購入に踏み切ったもの。
ヘニッヒ盤は1979年のライヴ録音で、ロンドンのプロ・カンティオーネ・アンティクワコレギウム・アウレウムが参加している。
ベルニウス盤は1989年のスタジオ録音でプロデューサーはヴォルフ・エリクソン(現・Sony Vivarte)、独唱にはペーター・コーイら、最近の古楽シーンで見かける名前が連なっている。

10月14日(木): 

 通販業者からLPが届く。

マインハルト・フォン・ツァリンガー(指揮)シュターツカペレ・ベルリン、モーツァルト;歌劇『魔笛』(抜粋)(独ETERA、LP)
「魔笛」は抜粋であろうが管楽合奏への編曲であろうが、とにかく目のない斉諧生、未知の音源をカタログに発見したので、オーダーしたもの。
歌手は全員知らない名前だし(しかも誰が何を歌っているのか明記されていない)、合唱は(なぜかシュターツオーパーではなく)コーミッシェ・オーパーの男声陣。
また、序曲のみホルスト・シュタイン(指揮)ベルリン放送響という変則ぶり。
まあ、良いのだ。とにかく「魔笛」なのだから。(^^)

10月12日(火): 

 

エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)ボストン響、マーラー;交響曲第1番・第3番(BMG)
"High Performance"シリーズの一。
1番は1962年10月、3番は1966年10月の収録だから、まだマーラーが比較的珍しかった頃の録音である。
3番は好きな曲なので、「オーケストラの貴族」と呼ばれていた60年代のボストン響の響き、首席奏者の腕前を確認してみたい気持ちもあり、購入。
余談だが、ハリー・ディクスン著『ドルチェで行きましょう―わが愛するボストン交響楽団の30年(鈴木道子訳、文化放送、1974年)によれば、ラインスドルフは、リハーサルで気に入らないことがあると、いつもセクションのリーダーに注意したという。
「○○君、君のセクションでこのパッセージをしっかりあげておいて下さい」といった調子で。
ディクスンは「彼の音楽的知識に敬服はしているけれども、こういうやり方をされると、楽員間に階級差をつけられているみたいで面白くない気がしないでもない」と書いている。

10月11日(祝): 今日は、東京へ日帰り。マチネだったので、比較的楽だった。

 ラハティ交響楽団東京公演第1日@すみだトリフォニーホールを聴く。

 ホールへ行く前に、秋葉原の石丸電気3号店へ寄る。
 輸入盤の流通事情については、どんどん東京と京都の差は小さくなってきた。喜ぶべきか、つまらなくなったというべきか…。
 したがって、買ったものは特価品が中心。
 コンピュータのアウトレット品取扱い店舗(この種の店は京都では成り立たない)、真空管アンプ取扱い店舗(これもほぼ同様)にも立ち寄ってみた。
 欲しいものは山ほどあるのだが、まぁ、辛抱である…

フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)ロリン・マゼール(指揮)ベルリン・フィル、チャイコフスキー;Vn協&プロコフィエフ;Vn協第1番(EMI)
1987年6月の収録だから、FPZのかなり初期の録音である。
一時期、FPZはマゼールとの共演が多かったような気がする。NHKで映像が放映されたこともあった。
プロコフィエフの1番は好きな曲だし、FPZもデビュー以来、好きなヴァイオリニスト。
で、当然、これは架蔵していると思っていたのだが、どこを探しても出てこない。
どうやら記憶違いであろうと判断して捜し始めたのだが、京都・大阪の店でも通販サイトでも見つからない! プロコフィエフの協奏曲・ソナタの2枚組が出て、無くなってしまったのか?と焦っていた。
ようやく見つかり、安堵して購入。これはレギュラー・プライス。
 
ライナー・クスマウル(Vn)フレデリク・メインダース(P)シェーンベルクQ、ドビュッシー;Vnソナタ&ショーソン;Vn、PとSQのための協奏曲ほか(KOCH-schwann)
少し前までベルリン・フィルのコンサートマスターに招かれていたクスマウル、もちろんずっと以前から、ソリストあるいは室内楽奏者として有名であった。
ハイドン;Vn協(OLYMPIA)が非常に良かったので、それ以来、彼のCDは見つけたら買っている。
また、ショーソンの曲も見つけ次第買っている。
となれば、買うしかないディスクというわけである。
なお、デュティユ;弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」をカプリング。
 
サシュコ・ガヴリーロフ(Vn)アルヌルフ・フォン・アルニム(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第8番&ブラームス;Vnソナタ第3番ほか(PODIUM)
上記FPZの先生でもあり、それ以上に戦後のヨーロッパで現代曲を一手に引き受けてきたヴァイオリニスト、ガヴリーロフ。
彼の古典有名曲録音なら、ぜひ聴いてみたいと購入。
これは1995年3月録音のリサイタル盤、上記ソナタ2曲の他、クライスラーファリャチャイコフスキーらの小品を収める。
ブックレットに簡単なディスコグラフィがついているのだが、バッハ、ベートーヴェン、チャイコフスキー等のVn協がある(たぶんLP)。ううむ、また蒐集欲を刺激されてしまう…(^^;;;
 
エルマー・オリヴェイラ(Vn)バッハ;無伴奏Vnソナタ第1番・パルティータ第2番ほか(ELAN)
日本ではあまり知られていないそうだが、アメリカの実力派ヴァイオリニスト、オリヴェイラ。
EMIにレナード・スラトキンとのバーバー;Vn協があり、それ以来、評価している人なので、ぜひバッハを聴いてみたいと思い購入。
マルティヌー;VnとVaの3つのマドリガルをカプリング、Vaはサンドラ・ロビンズ

10月10日(日): 

 ラハティ交響楽団大阪公演@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。


10月9日(土): サッカーの五輪予選中継を見たりしていたため、あまり音盤を聴かない1日となった。

 

アンドルー・デイヴィス(指揮)ストックホルム・フィル、ステンハンマル;セレナード(FINLANDIA)
とはいっても、これは聴かねば!
美しい演奏で、オーケストラも上手いし録音も上乗、まだこの佳曲を御存知ない方が聴かれても、十分に堪能できる盤であろう。
とりわけ第2楽章「カンツォネッタ」が上出来で、序奏のあとに出るクラリネットやヴァイオリン・ソロの美しさは特筆したい。
ただ、ベスト盤というわけにはいかない。
サロネン盤(Musica Sveciae)の繊細な抒情美の極み、ヴェステルベリ盤(EMI)の共感みなぎる歌には一歩を譲る。
わずかな差ではあるのだが、やや、響きが厚くリズムが重い。第1楽章など、浮遊感というか疾走感が足りないと思われる。
斉諧生的には第4楽章「ノットゥルノ」でフルート・ソロが冴え冴えと浮かび上がってほしい。サロネン、ヴェステルベリ両盤は、その点満足できるのだが(録音バランスを操作しているのかもしれないが、それでもかまわない)、デイヴィス盤にはそういう意識が乏しいように見受けられるのも、やや減点。

10月8日(金): 

 

トルルス・メルク(Vc)サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市響、エルガー;Vc協&ブリテン;Vc交響曲(Virgin)
メルクの新盤が出たので、さっそく購入。
両曲とも再録音に当たるが、付けがラトルというのは期待したいところ。ラトルはVirginレーベル初登場だろうか?
なお、旧録音は、エルガー→ミシェル・タバシェニク(指揮)モンテ・カルロ・フィル(LYRINX)、ブリテン→ネーメ・ヤルヴィ(指揮)ベルゲン・フィル(BIS)。
 
ヘンリク・シェリング(Vn)ユージェニオ・バニョリ(P)リサイタル(aura)
シェリングのライヴ盤、買わざるべからず。
初めて見るレーベルだが、Ermitageに似た、スイス・イタリア語放送局の放送音源のCD化である。
1975年9月、アスコナでの録音で、曲目は
ベートーヴェン;Vnソナタ第1番
ブラームス;Vnソナタ第1番
バッハ;無伴奏Vnパルティータ第2番
というもの。
 
ヒロ・クロサキ(Vn)ほか、モーツァルト;「魔笛」(4本のVnのための編曲)ほか、(ERATO)
斉諧生は「魔笛」が大好きで、編曲ものも蒐集している上、モーツァルト;Vnソナタ集(ERATO)が良かったクロサキとあれば、買わずにはいられない。
彼以外に、サイモン・ヘイエリック木村三穂子イザベル・セラノが参加、いずれもラ・プティット・バンド等のバロック・アンサンブルの常連である。
「魔笛」の編曲は、1792年の無名氏による2本のVnと2本のFlのためのものをもとに、演奏者自身が行ったもの。
カプリングは、ラモー「ピグマリオン」等の有名なオペラの序曲や舞曲を組曲仕立てにしたもの。
これも1761年の2本のVn用の編曲から、演奏者によって4本用にアレンジされた。
 
小松亮太(バンドネオン)ほか、「来たるべきもの」(Sony)
ピアソラ・ブームの中から燦然と登場した若きバンドネオン奏者、小松亮太の新作。
バンドネオン2本、弦楽五重奏、ギター、ピアノという九重奏編成で、ピアソラ他のタンゴ作曲家の作品を演奏。
平吉毅州の作品が混じっているのには吃驚。合唱曲で有名な人だが、昭和30年代にはタンゴ・ピアニストだったとのこと!
ピアソラの音楽に造詣深い中古音盤堂奥座敷同人、野々村さん工藤さんが揃って絶讃しておられたので、購入。

10月6日(水): 

 

アンドルー・デイヴィス(指揮)ストックホルム・フィル、ステンハンマル;セレナードほか(FINLANDIA)
これは鶴首待望していた1枚。録音情報はかなり早くから伝えられていたのだが、なかなか店頭に並ばなかった。
ステンハンマルの楽曲の中でも斉諧生が最も愛する曲、N・ヤルヴィ新盤(DGG)以来、久々の新録音である。
通常の5楽章版による演奏。
なお、ブラームス;セレナード第1番をカプリング。

 昨日・今日のCDのデータをステンハンマル 作品表とディスコグラフィリリー・ブーランジェ 作品表とディスコグラフィに追加。
 また、一昨日の演奏会のデータを演奏会出没表に追加。


10月5日(火): 発売中の『週刊朝日』10月15日号のカラー・グラビアで、5ページにわたって村治佳織さんが紹介されている。
 村治佳織 K-Villageによれば、これで初めて明らかになった事実もいくつかあるとのこと。
 ポートレートも美しく、ファン必見といえよう。(^^;

 音盤屋を廻って帰ってくると、ノルディックサウンド広島から荷物が届いた。

スティーグ・ヴェステルベリ(指揮)ストックホルム歌劇場管ほか、ラングストレム;ディヴェルティメント・エレジアコほか(Swedish Society)
以前聴いたガラグリ盤(瑞Caprice、LP)で気に入った曲、小林さんのWebpage北欧クラシックCDで調べたところ、ヴェステルベリ盤があるというので、上記ノルディックサウンド広島にオーダーしていたもの。
この盤はラングストレム作品集の趣、バレエ組曲『令嬢ジュリー』、ピアノのための組曲『モーラレン湖の伝説』、管弦楽付き歌曲『エリク王の歌』その他、録音時期も編成も様々な音源の集成である。
ディヴェルティメント・エレジアコは、1960年の録音である。
 
加藤元章(Fl)野平一郎(P)「近代フランス作品集III」(LIVENOTES)
ダマーズ;演奏会用ソナタが佳曲であると教えてくれた人があり、村松楽器のWebpageで検索してみて、この盤が入手容易だろうと見当をつけた。
退勤後に立ち寄った音盤屋で、予想どおり発見。購入してみたもの。
プーランク;Flソナタが収録されているのも嬉しい。
それ以外にゴーベール;Flソナタピエルネ;Flソナタ(Vnソナタからの編曲)をカプリング。2人とも指揮者としても活躍した点で共通している。
 
クリスチャン・ラルデ(Fl)小林道夫(P)「フルート名曲集」(Sony Classical)
上記のダマーズを探したとき、ついでにリリー・ブーランジェを検索したら、なんと未架蔵の国内盤があることを発見、音盤屋の店頭にあったので、慌てて購入したもの。
彼女の作品で最も録音の多い夜想曲が収録されている。
これは1975年6月、ラルデ来日時に世田谷区民会館ホールで録音されたもの。LPでも度々発売されていたのだが、気づいていなかった。不覚!
グルック;精霊の踊りフォーレ;シシリエンヌドビュッシー;シランクスドップラー;ハンガリー田園幻想曲をはじめ、フルートの有名小品を多数収録。
 
レイフ・セーゲルスタム(指揮)ストックホルム歌劇場管ほか、ステンハンマル;歌劇「ティルフィン」(抜粋)(STERLING)
これも上記ノルディックサウンド広島にオーダーしていたもの。
ステンハンマルの初期の力作で、全てを破壊する魔力を持つ宝剣「ティルフィン」と女戦士ヘルヴォルの伝説をもとにしたものという。
↑でもわかるようにワーグナー;「ニーベルングの指環」の影響を強く受けているとされているが、これまで音で確かめることができなかった。
どういう音楽が聴けるのか、実に楽しみである。
今年3月9日のライヴ(演奏会形式)、もちろん世界初録音。
 
小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、マーラー;交響曲第5番(フジテレビ、DVD)
「コバケン」ファンの斉諧生としては、DVDプレーヤーを導入すると決めたときから、これだけは購入しようと思っていた。
日本への演奏旅行中、1997年11月15日、福井県立音楽堂でのライヴ収録である。彼らは3日後にシンフォニー・ホールでも同じ曲を演奏し、斉諧生も聴きに行った。
録音は江崎友淑氏が担当。氏のWebpageでも、この時の演奏が素晴らしいものであったと伝えられていた。
DVDの特性を生かして、第1楽章は別アングルの画像が用意されている。指揮者を追い続けたものと、プラハあたりの風景を撮したものと。また、指揮者のインタビューも収められている。
斉諧生的には風景やインタビューはいらないから、指揮者アングルを全楽章につけてほしかったところである。

10月4日(月)

 大阪センチュリー交響楽団第56回定期演奏会(指揮:高関健)@ザ・シンフォニー・ホールを聴く。

今日の曲目は、
エルガー;Vn協(Vn:漆原朝子)
シベリウス;交響曲第4番
というもの。
先月末の京都市響から来週のラハティ響にかけて、シベリウス月間の様相である。(^^)
斉諧生的には嬉しいプロだが、あまり一般的とはいえないせいか、2・3階の入りは、やや寂しかった。
 
センチュリー響の配置は、第1Vn―Vc―Va―第2Vn、木管の後ろの正面奥にCb(4本横一列)、右手奥に金管とティンパニというもの。
山台は使わず、全員が舞台平面上に位置する。
なお、今回の演奏会から、創立時のコンサートマスター、ナンドール・セデルケニが2年半ぶりに復帰。名前は東欧系だが、カナダ出身とのこと。
 
斉諧生はVn音楽を好んできたが、エルガー;Vn協は、実は苦手。
そういえば、この作曲家で聴き慣れているのは、Vc協くらいである。
今日、漆原さんの熱演に接して、ようやく「ああ、情熱的に歌い抜く曲なんだ」ということがわかったように思う。
漆原さんのヴァイオリンを聴くのは、今日が初めて。
席が1階の前から3列目の中央、ソリストを間近に見上げる場所だったこともあり、独奏を堪能できた。
彼女のヴァイオリンは、いわゆるジュリアード系で、音程の取り方や粘っこい歌い込み方は、斉諧生的な好みからは少しずれるのだが、音が美しく、またメカニカルな面では非常に上手いので、安心して聴いていられた。
あまりポピュラーな曲とはいえないエルガーだが、かなり思い入れを込めて演奏しておられるように拝察。
いずれ機会があれば、ロマン派の大曲あたりを聴いてみたい人である。
 
さて、お待ちかねのシベリウス;交響曲第4番
第1楽章冒頭、低弦の「ゴウッ」という音が実に厳しく、いわゆる北欧の「自然音」なのに感心。今日は「いける」のではないか、と期待できた。
続いて出る有名な独奏チェロは、まずまずの出来映え。斉諧生的には、まだまだ剛直な方が良かったが、全曲を通じて、よく弾いていた。
いつもながら、センチュリー響の弦合奏には感心。シベリウス演奏に不可欠な清澄な音色が、きれいに出せている。
惜しいと思うのは木管で、日本のオーケストラの通弊かもしれないが、もう少し性格的な強さがほしい。
第2楽章の後半のモチーフなど、もっとキツい音色でないと音楽の厳しさ、孤高さが発揮できないと思うのだが。
また、金管も、頑張ってはいるのだが、シベリウスの音楽では、もっともっと「バリッ」とした音を聴きたい。無機的なまでに響いてもよいと思うのだが。
 
この曲は、第3楽章が全曲の中心だと思う。それにふさわしい出来映えだった。
よくやっているが、もう少し…という感じだった第1・2楽章のあと、かなりの間が置かれた。
第1楽章から第2楽章へは、ほとんどアタックで入っただけに、このときの「間」には、重さを感じた。
そのせいか、オーケストラも客席も、第3楽章では非常に集中していたと思うが、どうだろうか。
特に、弦合奏の出来は、いっそう素晴らしく、シベリウスの音楽を堪能できた。
管も、それまで以上に気合の入った音を聴かせてくれたし、この楽章については、日本のオーケストラで望みうる第一級のシベリウス演奏だったのではないか。
 
この緊張感は第4楽章にも引き継がれた。
斉諧生的には、もう少し「軽み」も出していいと思うのだが、これは人によるだろう。
終結も、消え入るように…というのが好みだが、楽譜の指定はmfだから("dolce"が付されている)、くっきり弾かせて締めくくりをつけた高関氏の解釈も、成立しうると思う。
なお、いつも問題になる打楽器は鉄琴を使用。かなり豊かな響きで、良い結果だった。

10月3日(日)

 

ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)N響、ブルックナー;交響曲第8番(東芝EMI、LD)
1984年3月7日、NHKホールで収録された映像である。音声はCD化されている(DENON)。
長いこと見ていなかったが、指揮棒無しで、手は胸のあたりでぶらぶらしているだけ、目玉で指揮しているみたいな印象が残っていた。
久しぶりに見直してみて、驚いた。
たしかに拍の振り方などは素人目にも疑問だが、ちょっとした目つき・表情・身振りで、音楽が見事に伝達されている。
N響も、それにしっかり反応しており、約80分間、全く飽きることがなかった。いや、画面に釘付けになっていたといっていい。
やはり偉大な指揮者だったのだと、あらためて思わされた。
そういえば、今年は生誕100年に当たる。記念盤の企画など皆無のようなのは寂しい。
この曲や、前に放送されたベートーヴェン、ブラームスなど、NHKに残っている1984年の映像がDVDか何かにならないものだろうか。
 
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)ウィーン・フィル、ブルックナー;交響曲第8番(DGG)
中古音盤堂奥座敷試聴会に関連しての聴き比べの一環。
新譜の時には非常な評判になった演奏だが、斉諧生としては全く駄目なブルックナーだった。
まず、リズムが粘っこいこと。
遅いだけなら構わないが、こういうもっさりしたのは、ちょっとついていけない。
それでいて、音楽の呼吸は短いのだ。
奏法としては、どこが違うのだろうか? 弦を歌わせすぎるのか?
この奏法と関係があるかもしれないが、弦の音色が湿潤にすぎ、ブルックナーの晴朗な音楽が損なわれている。
アダージョの終結など、むしろ、マーラーの緩徐楽章を思わせる。
更に、金管の和音が、あまりきれいな響きでないのが、非常に気に障った。トランペットの音程の収まりが悪いように思ったが、どうだろう?
それに、ブルックナー特有の弱奏→強奏の切り換えの部分で、響きが全然変わ らないのも、気に入らない。
いわゆるオルガンの音栓の操作に喩えられる対応が、ないのだ。
また、独奏ヴァイオリンや、木管のちょっとした対位法に鈍感。せっかく美しい音楽があるのに…。
総じて、いわゆる「ブルックナー・サウンド」とは正反対の響き、音楽だと言 えよう。
直前に聴いた(見た)マタチッチ&N響の演奏が素晴らしかっただけに、何とも 辛い八十数分間だった。
しかし、遅いテンポに乗って、ホルンは実に気持ちよさそうに吹き上げており、これは聴き応えがあった。
こういうところに耳が向くのはフォルカーの部屋の影響だろう…。(^^;;;
 
小林研一郎(指揮)名古屋フィルほか、サン・サーンス;交響曲第3番(G.face)
「コバケン」の特徴が非常によく出た演奏で、指揮者・オーケストラとも、集中力、緊張感が素晴らしい。これについては絶讃したいと思う。
ところが、熱が入れば入るほど、曲と乖離していくのである。
第1楽章後半(ポコ・アダージョ)など、10分46秒を要しているが(パレー&デトロイト響盤では9分16秒)、音色・テンポ・表情とも重くなりすぎる。
斉諧生思うに、サン・サーンスの音楽は、良くも悪くも愉悦感によって成立しているので、それが見えなくなってしまうのだ。
付け加えれば、録音が最高、とてもライヴとは思えない。スタジオ録音でも、これだけの鮮度、音場感のものは滅多にない。
 
ジーナ・バッカウアー(P)アンタル・ドラティ(指揮)ロンドン響、ブラームス;P協第2番(Chesky)
実に雄々しく、骨太なロマンに満ちた演奏である。
バッカウアーは女流だが、ひ弱さは微塵もなく、ピアノを底まで鳴らしきっている。
ロンドン響も、イギリスの団体とは思えない重心の低い響き、とりわけホルンの雄々しさは素晴らしいし、第3楽章のチェロも骨太である。
それでいて、各楽章の第2主題系の部分では、ドルチェ、グラツィオーソといった標語がぴったりの表情を見せる。
録音も実在感のある素晴らしいもの、最近店頭に見なくなりつつあるCheskyレーベルだが、お薦めしたい盤である。

10月2日(土): 昨日の項に書いたとおり、斉諧生宅にLD/DVDコンパチブル・プレーヤーが、やってきた。
 少し機械の丈が高く、TVラックの改造から始めなければならなかったため、セッティングや結線にけっこう時間をとられた。
 とりあえず収まってからは、しばらく見ていなかったLDや、昨日買ったピアソラのDVDを取っ替え引っ替え、試してみた。
 中でも"Art of Conducting"(Teldec、LD)ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)N響、ブルックナー;交響曲第8番(東芝EMI、LD)には感動を新たにした。


10月1日(金): 

 

HK.グルーバー(指揮)アンサンブル・モデルンほか、ヴァイル;「三文オペラ」(BMG)
ソニー・ロリンズ(Sax);「サキソフォン・コロッサス」以来、「三文オペラ」に目のない斉諧生ゆえ、新しい全曲盤を即購入。
ましてや腕利き集団アンサンブル・モデルンとあらば文句はない。
歌手は未知の名前が並んでおり、ブックレットに紹介もないのが、ちょっと残念。
なお、新クルト・ヴァイル全集による録音とクレジットされている。
ブックレットの最後にブレヒトの肖像写真が掲載されているが、これが凄い。
葉巻を手に、ちょっと斜に構えて、カメラを見ているだけの何気ないポートレートなのだが、眼の光、くっきりした鼻、口元の線に、皮肉と不羈と知性と…、この作家の本質を表現してやまない。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ザグレブ・フィルほか、モンテヴェルディ;聖母マリアの夕べの祈り(NUOVA ERA)
音盤屋のモンテヴェルディの棚を眺めていて、ふと目に留まった。
リリースされたのはずっと前で、海賊盤だと思って買わずにいたのだが、手にとってみると、ジャケット裏の隅に「マタチッチ財団」というロゴが見えた。
これならオーソライズされた音源と、慌ててレジへ持っていったもの。
マタチッチは好きな指揮者だし、なによりモンテヴェルディのこの曲は見たら買うことにしているのだ。
ブルックナーやワーグナーを得意にした指揮者がモンテヴェルディとは、ちょっとイメージが混乱するが、たしかマタチッチはN響でも上演していたと思う。
1974年6月5(6)日、ザグレブ「ヴァトロスラフ・リシンスキ」コンサート・ホールでのライヴ録音。日付はブックレット内に矛盾する複数の記載があるが、あるいは2日間の公演だったのか?
ブックレットには製作関係者の氏名も明記されており、やはり海賊盤ではないようだ。
 
アストル・ピアソラ(バンドネオン)ほか、「1984年モントリオール国際ジャズ・フェスティヴァル・ライヴ」(日本コロンビア、DVD)
実は、明日、斉諧生宅にDVDプレーヤーがやってくる。
故障しっぱなしのLDプレーヤーをそろそろ新調しないとハードが無くなってしまう…と思い、ついでにDVDもと、コンパチブル機をオーダーしたもの。
で、何かソフトをと探したのだが、意外に、まだ品数が揃っていない。既にLDで持っているものもある。
そんな中で見つけたのが、ピアソラのライヴ。
1984年7月2日の収録で、中古音盤堂奥座敷同人、工藤さんの記事によれば、
「現在入手できる映像の中では、もっとも満足できるものです。収録時間もたっぷりですし、カメラワークもばっちり。」
とのこと、期待して購入。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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