音盤狂日録


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5月31日(月): 

 斉諧生はもともとヴァイオリン音楽からクラシックを聴き始めたのだが、このページでもおわかりのとおり、最近はチェロを聴くことが多くなった。
 そして、今日は、更に低い音を求めて(?)、コントラバスの演奏を買ってきた。

ルートヴィヒ・シュトライヒャー(Cb)クラウス・シュトール(Cb)ほか、ボッテジーニ;Cb協ほか(TELDEC)
これは、先日買った『200CD ヴァイオリン』(立風書房)で紹介されていたもの。複数の盤からボッテジーニの作品を集めた様子。
ボッテジーニは、以前、ロッシーニ;弦楽ソナタのイ・ムジチ盤(Philips)にカプリングされていたのを聴いたことがあるが、イタリアの朗々とした歌が、ロッシーニ以上に魅力的だった印象がある。
収録曲は、
シュトライヒャーとハンス・シュタットルマイヤー(指揮)ミュンヘン室内管で、Cb協ロ短調と小品7種、
シュトールとバウマン(Vc)ヘスス・ロペス・コボス(指揮)ベルリン放送響で、VcとCbのための協奏曲ト長調
 
ゲイリー・カー(Cb)ハーモン・ルイス(Org)バッハ;作品集(KING)
これは、大教大オケのコントラバス奏者もーりぃさんからお薦めをいただいた盤。
何でも、これを聴くと、コントラバス・ソロにはまる…とのこと。(^^)
「甘き死よ来たれ」BWV478「目覚めよと呼ぶ声がきこえ」BWV645など、コラールを中心に、「G線上のアリア」「ガヴォット(無伴奏Vnパルティータ第3番)」等も加えられている。ほとんどはカー自身の編曲。

5月30日(日): NHK教育TVで、イリヤ・ムーシン(指揮)京都市響演奏会を見る。
 客席から見ていた感じどおり、実にしっかりした指揮ぶり。
 しかし、ベートーヴェン;交響曲第1番の第3楽章をカットしたのは非道い。ロココ変奏曲をカットして、ベートーヴェンは全曲を放送すべきだったろう。

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、ブラームス;交響曲第1番(ODE)
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、ブラームス;交響曲第4番(ODE)
結論から言えば、ケーゲルに*特別*な演奏を求める向きには落胆ものだが、これはこれで充実したブラームス。
特に両曲とも終楽章が上出来。必聴盤とまではいかないにせよ、満足のいく演奏。これを実演で聴けたら、感動して帰ることになるだろう。
 
第1番は、テープが少々痛んでいるようなノイズが入って、高音のフォルテが硬く響くが、音の状態はまず良好。
第1楽章、冒頭は遅めだけれども流れのいい音楽。いつものケーゲルらしく、弦合奏が実にバランスよく、かつ美しく鳴っている。
オーボエがイマイチ美しくないのは残念。第2楽章でも弦はいい感じ、ヴァイオリン・ソロも美しい。
過不足のない第3楽章を経て、第4楽章の生命感と前へ前へ進む感じは素晴らしい
19小節の弦のピツィカートの痛切さ、30小節以下のホルン(例の「池の鯉」のモチーフ)も雄大だし、それを受けるフルートの音は絶品。
第1主題の弦合奏は、厚みといい和音の美しさといい、惚れ惚れする。そのあとの立体的でスピード感のある快調な進行は聴きもの、十分な満足感とともに終結を迎えた。
 
第4番は、ホルンが遠くトランペットが近い録音バランスの崩れが残念だが、それ以外は、十分満足できる音。
第1楽章はまずまず立派という程度だが、中で面白かったのは、80〜90小節・324〜334小節でのピツィカート強奏の効果。ここに限らず、弦の立体感はケーゲルの特長だろう。
第2楽章では、41小節以降や88小節以降の遅いテンポが感動的。特に後者ではレガートが効果的だ。
第3楽章からは鳴りが非常に良くなって誠に堂々たる音楽。
第4楽章も剛直というか、ガッチリしててホットでノリのいい演奏で、ああ、4番っていい曲だなぁ…と思いながら聴いておりました。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ドレスデン・フィル、エルガー;行進曲「威風堂々」第1番(Delta)
これは、いかにもケーゲルらしい演奏。
行進曲にあるまじきテンポの伸縮が頻出、面白いといえば面白いし、一方、造型を崩している感じは否めない。
ティンパニの強調やブラスの炸裂が小気味よく、また、中間部の弦の美しさはケーゲルならでは。
 
アルヴィド・ヤンソンス(指揮)レニングラード・フィル、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番(intaglio)
これは素晴らしい。オーケストラ演奏の一つの極致に達した芸術だ。
第1楽章冒頭の弦の音からして美しい限り、とてもライヴとは思えない。
42小節で初めてトランペットが入ってくるところの輝き!
展開部に入って(ピアノが鳴り出すところ)、122小節以下のホルンやトランペットの塩辛い音にしびれ、和音の美しさに陶然となる。
再現部以下でのティンパニの打ち込みの凄まじさは肌に粟を生じ、260小節からのフルート独奏の音は絶品といえよう。
第2楽章では、オーケストラが実に気持ちよく鳴っている。金管の音の伸び!
トリオに入る直前、81〜84小節の打楽器群の打ち込みのスピード感!
第3楽章も実に音楽が豊か。ムラヴィンスキーバーンスタインだと、このあたりは殺気立ってくるのだが、そうはならない。
1点を争う攻防というよりも、ワンサイド・ゲームで気持ちよく達成される完全試合というような感じ。リラックスした中で、完璧なパフォーマンスが得られている。
69小節以下のオーボエ独奏の勁い音、それを繰り返すフルート独奏の絶美(94小節以下)!
この楽章随一の聴きどころ、130小節からのチェロの高音も見事に極まっている。
楽章を締める168小節以下のヴァイオリンの音色も美しさの限りだ。
第4楽章は、もう完璧。オーケストラは実に美しく、のびのびと、かつ完璧に鳴っていて、しかも迫力十分、本当に充実した音楽が成立している。
終わった瞬間に凄まじい拍手と喚声でホールが沸き返るのが、納得である。
ショスタコーヴィッチとしては、ムラヴィンスキーみたいな、もっと研ぎ澄まされた演奏がいいのだろうが、こういう音楽には、もう脱帽するしかない。
なお、コーダ(324小節以下)のテンポが少しゆったり目なのが耳をひく。
 
トルルス・メルク(Vc)ミシェル・タバシェニク(指揮)モンテカルロ・フィル、エルガー;Vc協(Lyrinx)
第1楽章、深々とした音色に想いを込めた、素晴らしい独奏だ。
ヴィブラートやアゴーギグに、胸一杯の思い入れを感じさせる。
突然のフォルテや、思い切ったフォルティッシモに、切々たる思いの丈の噴出が、ある。
第2楽章では、メルクの技術が、鮮やかなレジェロとして生きている。
たいていのソリストでも、いかにも難所を通り抜ける感じを与える高音も、危なげなくクリア。
第3楽章後半のアパッショナートの痛烈なこと!
第4楽章は、これまで述べてきたことの集大成。大満足の出来映え。
伴奏は、ちょっと熱くなるところもあるが、よく付けている。
 
ポーラ・ロビソン(Fl)ルース・ラレド(P)「フランス名曲集」(MUSICMASTERS)
この人のフルートは、素晴らしい美音だ。
リリー・ブーランジェ;夜想曲ではヴィブラートをたっぷり効かせて、大きく歌い抜く。フルートによる演奏ではベストといえよう。
またプーランク;Flソナタでは、ヴィブラートを抑制して、清楚で洒落た歌いぶり。
これまた大満足の1枚。
 
ジョン・ウィリアムズ(G)ほか、ジュリアーニ;G協第1番(Sony Classical)
極めて気持ちよい音楽。モーツァルト;「魔笛」の一節を連想させるような楽句も登場。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ペーター・エトヴェシュ(指揮)アンサンブル・モデルン、リゲティ;Vc協(Sony Classical)
こういう現代曲は、ちょっと聴き慣れないので、ジャン・ギアン・ケラス(Vc)ブーレーズ(指揮)EIC盤(DGG)と聴き比べ。
これは文句無く、ペレーニ盤が上。ソリストの技量からして段違い。
オーケストラも、EICは楽器の音を感じさせるが、アンサンブル・モデルンは、もう楽器を超えた、宇宙的(?)な音感覚を呼び起こす。

5月29日(土): 

 とうとう、音盤狂にとっての「恐怖の大王」(^^;Berkshire Record Outletにオーダーしてしまった。
 何が「恐怖」かというと、「早い、安い、ハマる」
 「早い」:オーダーしたのが月曜日、配達があったのが昨日(もちろん仕事で留守だったので、今日、再配達してもらったのだ。)。
 「安い」:今回のオーダーだと、送料を除いて、CD1枚当たり836円。国内の輸入盤店だと2,000円以上するものでも、700〜800円で買えるのだ。
 「ハマる」:Outletだけに何でも揃うというわけにはいかないが、レーベル単位でごっそり入荷するので、入るときには結構珍しい盤が入る。しかも、送料はやや高いなので、ついつい枚数を多く頼むことになってしまう。

アルヴィド・ヤンソンス(指揮)レニングラード・フィル、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番ほか(intaglio)
intaglioレーベルがまだ新品で手に入るとは思わなかった。
これはかねて、奥座敷同人にしてショスタコーヴィッチ全録音蒐集中という工藤さんからお薦めいただいていた演奏。レニングラード・フィルというところも期待をそそる。
聴いてみたいがintaglioではもう手に入るまい…と諦めかけていただけに、歓喜である。
1971年9月13日ロイヤル・アルバート・ホール…というから、プロムスのライヴ録音ということだろうか。まぁ、intaglioのデータ表記は当てにならない部分もあるが…。
チャイコフスキー;「眠りの森の美女」組曲をカプリング。
 
カイ・ラウルセン(Vn)ほか、「26のデンマークのヴァイオリン協奏曲集」(danacord)
CD10枚組の大物である。こういうのはBerkshireのメリット絶大。
最古は1790年作曲のClaus Schall;Vn協第4番から、ニルス・ゲーゼ;Vn協(1880)、ニールセン;Vn協(1911)といった佳曲を経て、1968年作曲のVagn Holmboe;"Concerto 9"までを収める。
録音は、1966〜1978年に渡っており、放送用のスタジオ録音を中心に、ライヴ収録も加えられている。そのせいか、モノラル録音も多い。
ヴァイオリニストは未知の人だが、1924年コペンハーゲン生まれ、デンマーク王立管を経て1951〜65年にイェーテボリ響のコンサートマスター、それ以後1989年まで南ユトランド響のコンサートマスターを勤めながら、北欧を中心に独奏活動を行ってきたという。1996年、このCDの企画制作中に病没。
で、なぜこれをオーダーしたかというと、逸匠列伝に掲載予定のカール・フォン・ガラグリの録音が10曲を占めているから。この人の録音は全部集めるつもりで、このCDのことも前から承知はしていたのだが、10枚組の値がさに手が出なかったのだが、Berkshireで出ていると千駄木音盤要塞司令官殿から通報があり、直ちに出動したものである。
彼については「クラシック招き猫」「名演奏家の名盤はこれだ!」で紹介しているので、そちらをお読みいただければ幸いである。
ガラグリ以外の有名どころは、
オーレ・シュミット(ゲーゼ;Vn協)
マリス・ヤンソンス(ニールセン;Vn協)
ヨルマ・パヌラ(Otto Malling;幻想曲)
といったところか。
 
ポーラ・ロビソン(Fl)ルース・ラレド(P)「フランス名曲集」(MUSICMASTERS)
ロビソンはカザルス(指揮)のマールボロ音楽祭管でよく吹いていた人で、1980年頃にはちょくちょく来日し、レコード等も発売されていた。最近、日本ではあまり名前を聞かないが…。
これは、リリー・ブーランジェ;夜想曲を収めているのでオーダーしたもの。
フォーレ;ソナタ第1番(Vnソナタからの編曲)
プーランク;Flソナタ
ラヴェル;ハバネラ形式の小品
を収める。録音は1985年。

 上記ロビソン盤のデータをリリー・ブーランジェの「作品表とディスコグラフィ」に追加。
 また、昨日のブルックナーを演奏会出没表に追加。


5月28日(金): 今日は、全日、会議のため神戸へ出張。つつがなく用務が終了したので、さあ、大阪で途中下車して…と思っていたら、同行した上司が「梅田でビールでも呑んでいかんか」と言い出した。
 それはそれで結構な話なのだが、問題は時間。
 場所を大阪駅ビルの中のビアホールに誘導し、6時過ぎくらいで切り上げようとしたのだが、話し好きな人がいて、なかなか腰を上げてくれない。
 ついに6時40分、意を決して「すみません、ちょっとお先に失礼します。」
 慌てて駆けつけたのは…

 「大町のブルックナー」@ザ・シンフォニー・ホール
 オーケストラは、大阪センチュリー響大阪シンフォニカーの合同演奏という珍な形態。
 センチュリーは好きなオーケストラだし、朝比奈隆以外のブルックナーというのも珍しいから聴いてみたいし、前から今日の出張が上手く終われば帰りに聴いてもよいなぁと思っていたのだ。
 しかも、センチュリーの首席コントラバス奏者、BASSISSIMO氏の掲示板を今朝見たところ、

コントラバスは総勢10人。その並びが大町先生の思い入れ強いウィーンフィルスタイル。舞台正面・最後列・トランペットトロンボーンの後ろに横一列でずらっと並んで弾いています。(略)
アルコの所であんまり聞こえが悪いからと遂に何カ所かピチカートで弾くように要求され泣く泣く変えました。最後まで抵抗して半分ピッツ半分アルコでということにしてもらいましたが・・・。
 これは面白そうだと、俄然、ぜひ聴きに行こうという気になったもの。
今日の曲目は、
ブルックナー;交響曲第8番
もちろん、1曲だけ。
使用楽譜は、「ノヴァーク校訂第2稿1890年版」とある。
 
ホールに着いたのが7時10分前、チラシを読む間もなくベルが鳴って、さあ開演かと思ったら、オーケストラより先に指揮者が出てきた。マイクを持って、前説を始めたのである。その趣旨は次のとおり。
ブルックナーは、生涯を通じて、教会のオルガンで音楽をつくってきた。
彼の音楽は、教会の中でオルガンが上から鳴っているイメージなのだ。
このシンフォニー・ホールや東京オペラ・シティのような残響の豊かなホールが出来て、はじめてブルックナーがブルックナーらしく響くようになってきた。
ブルックナーの交響曲は、前から音が聴こえてくるのではない。
豊かな残響の中、音が上から降ってくることが、大事なのだ。
 
さて、楽員が出てくると、やはりコントラバスは舞台正面の後方横一列、10人が並んだ様は壮観である。
第1ヴァイオリンが16人だから、かなり多めの人数。
また、ホルンは9人を上手側に配しているから、これまたウィーン・フィル@ムジークフェライン・ザール仕様である。
センチュリーとシンフォニカが、どう組み合わさっているのかは、もうひとつよくわからない。
ホルンに関しては、前列=ホルン専従がシンフォニカ、後列=ワグナー・チューバ持替がセンチュリーという組分けだったのかもしれない。
 
BASSISSIMO氏らがずいぶん苦労したというコントラバスの配置は、かなりの効果があった。低音が、オーケストラの響き全体を包む感じが出ていたのである。
また、チェロの音と、視覚的にも聴感的にも分離していたので、コントラバス が合奏に加わったときの効果が、実によくわかった。
コンサートマスターが、かなりヴァイオリンを持ち上げ気味に構えていたのも、コントラバスへの配慮だったのかもしれない。
配置という点では、上手寄りに独立していたホルンは、実にくっきりと聴こえて面白かったが、もう少しトロンボーンとまとまっていた方が音楽的かもしれない。
また、下手側の舞台面に置かれていたティンパニ(第2ヴァイオリンの後方、同じ高さ)は、少し音の抜けが悪く、ちょっと残念。山台の上にした方が良かったのではないか。
 
ただ、演奏の方は、どうも、乗り切れないものだった。
良いブルックナー演奏だと、胸がどきどき弾む思いがして、あっという間に曲が終わってしまう感覚に襲われるのだが、今日は、残念ながら、そうはいかなかった。
ブルックナーの音楽を破壊するような、トンでもない勘違い演奏というわけではない。
音楽は、終始、じっくりしたインテンポで運ばれ、妙なアッチェランドや粘っこい動きは無かった。
オーケストラは、尻上がりに調子が上がっていった感じで、アダージョのクライマックスでの弦合奏や、フィナーレの終結に向けての金管など、実に良く鳴っていた。
中でも、アダージョのホルンやワグナー・チューバは、ゆったりしたテンポで美しく吹奏されたし、フィナーレ冒頭、ホルン+トロンボーンのフォルティシモの響きとティンパニの最強打は痛快そのもの。
 
ただ、どうも、大町氏は、ブルックナーの「ツボ」を外していたように思われてならない。
言い換えれば、「ブルックナー好きがゾクッとくる細部」の処理が鈍感なのである。
例えば、第1楽章が始まって、最初の聴きどころである、140〜160小節、ホルンに導かれてオーボエが主題を変形するところ。
ここで、神秘感、孤絶感が、ちっとも伝わってこないのだ。
そのあとも、「ここのこの音符は、こういうふうに鳴ってほしい」っていう期待を、どうも満たしてもらえない、という印象が残った。
大町氏は、ベームにレッスンをつけて貰ったことが「売り」の人だが、ベーム盤(DGG)が、ひょっとしたら、こういう演奏だったのではないか。実は聴いたことがないので、あくまで想像だが。
 
また、全体にリズムがベタッとした感じで、鈍重な印象。
例えば「タターン」という音型の切れが悪く、また、アダージョのテーマが美しく流れない。
コントラバスの半分をピツィカートに変えさせたのは、このアダージョのテーマ部分(再現部等でも同様)。
ピアニッシモの八分音符ながらも十分くっきり響かせたい、という指揮者のこだわりだったのだろうが、そこまでしなくても、アルコで大丈夫だったのではないか、という気がする。
また、横一列に並んでいるから、奏者が交互にアルコとピツィカートになり、視覚的にも、やや珍であった。

5月26日(水): 

 

ベートーヴェン全集第20巻「歴史的録音」(DGG)
6枚組の大物だが、十字屋四条店のワゴンセールで、ついに3,000円の値が付いているのを発見し、これが潮時と購入。
最初に出たときは9,600円で、ちょっと手が出なかったのだ。
斉諧生的に重要な演奏は、
カール・シューリヒト(指揮)ベルリン・フィル、交響曲第3番(1941年)
フリッツ・ブッシュ(指揮)デンマーク放送響、交響曲第9番(1951年)
ヨーゼフ・ヴォルフシュタール(Vn)マンフレート・グルリット(指揮)、Vn協(1929年)
ゲオルク・クーレンカンプ(Vn)ヴィルヘルム・ケンプ(P)、Vnソナタ第9番(1935年)
といったあたり。この他、
アルトゥール・ニキシュ(指揮)ベルリン・フィル、交響曲第5番(1913年)
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)ベルリン・フィル、交響曲第7番(1960年)
オットー・クレンペラー(指揮)ベルリン国立歌劇場管、レオノーレ序曲第3番(1927年)
等々を収録。
 
ジョシュア・ベル(Vn)エサ・ペッカ・サロネン(指揮)フィルハーモニア管、コリリアーノ;サウンドトラック「レッド・ヴァイオリン」(Sony Classical)
BBSサロ様と彩ちゃんの部屋で、ずっと話題になっていたものの輸入盤がようやく店頭に並んだので、購入。
映画も公開され始めたので、いずれ見に行くことになるだろう。Sony Classicalの公式Webpageは→こちら

 

エーリヒ・クライバー(指揮)パリ音楽院管、チャイコフスキー;交響曲第4番(DECCA)
これは、ガッカリ。
テープの保存が良くなくて、かなり音の状態が悪い。
そのせいか、演奏の意気も上がらない感じに聴こえる。

5月25日(火): 

 退勤後に、閉店間際のCD屋で買物。帰宅すると、ネットで買ったCDが届いていた。
 Alapageというフランスの通販サイト。初めて使ったところだ。

エーリヒ・クライバー(指揮)パリ音楽院管、チャイコフスキー;交響曲第4番(DECCA)
前に聴いた、この組合せの「悲愴」が、まるでカルロスが振ったらこうなるのではないか…といった凄まじい音楽的エネルギーの放出の演奏で、たいへん素晴らしかった。
今回、同時期に録音された4番がCD化されるというので楽しみにリリースを待っていたもの(1953年)。国内盤。
 
ベンジャミン・ブリテン(指揮)デンマーク国立放送響ほか、ブリテン;シンフォニア・ダ・レクイエムほか(DECCA)
これも上記クライバーと同じシリーズの歴史的録音のCD化。
ブリテンのこの曲の録音は聴き逃せないところ。まして作曲者自演盤とあらば…。
ジュリアス・カッチェン(P)ロンドン響、左手のピアノと管弦楽のための変奏曲をカプリング。
交響曲は1953年、変奏曲は1954年のモノラル録音。
 
ベンジャミン・ブリテン(P&指揮)オールドバラ音楽祭管、モーツァルト;P協第12番ほか(DECCA)
これも同じシリーズ。
ブリテンはピアノも達者で、ロストロポーヴィッチピーター・ピアースとのアンサンブルは有名。
だが、本格的な独奏盤は、初めて見るような気がする。
このモーツァルトは、1956年6月19日のライヴ録音。ブリテンのモーツァルトは交響曲録音も好演であったので、大いに期待して購入。
ハイドン;交響曲第45番「告別」・第55番「校長先生」
をカプリング。この両曲は、LPで架蔵済み。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ペーター・エトヴェシュ(指揮)アンサンブル・モデルンほか、リゲティ;Vc協ほか(Sony Classical)
ペレーニの録音は、全部集めたいと思っている。
これは長く探していたが、なかなか入手できなかったもの。通販サイトで検索して出てきても、実際には品切れ…ということが何度あったことか。
ここでも、ほとんど期待せずにオーダーしたところ、見事入荷して、狂喜乱舞である。
Ueli Wiget独奏のP協13楽器のための室内協をカプリング。

5月23日(日): 今日は亡祖父の七回忌の法要があり、そのあとはお決まりの宴会。音盤の聴けない日曜となった。
 その代わりというわけでもないが、約10日前の分まで記事を補筆したので、できれば遡ってお読みください。

 ノルディックサウンド広島からCDが届いた。

トルルス・メルク(Vc)ネーメ・ヤルヴィ(指揮)ベルゲン・フィル、ブリテン;Vc交響曲ほか(BIS)
最近、御贔屓のチェリスト、メルクの未架蔵盤をオーダーしたもの。彼には、こういう曲が期待できそうに思う。
青少年のための管弦楽入門
4つの海の間奏曲
ペルト;ブリテンの追憶にをカプリング。
ヤルヴィがベルゲン・フィルを振っているのも珍しい。
 
スティーグ・ニルソン(Vn)ホヴァルド・ギムゼ(P)「北欧の夏の夜の音楽」(VICTORIA)
VICTORIAのCDを店頭で見なくなった…と思っていたら、どうもレーベルが消滅したと北欧音楽MLで教えていただいた。
同時に、お薦め盤をいくつかと、ノルディックサウンド広島に少し在庫があるということも御教示いただき、斉諧生的に関心のあるヴァイオリンをオーダーしたもの。
ヤルネフェルト、ニールセン、アウリン、シベリウス、シンディング、ハルヴォルセン、ブル、アルヴェーンら、北欧音楽好きにはこたえられない名前が並ぶ。
ヴァイオリニストは1946年スウェーデン生まれ、1977年以来オスロ・フィルのコンサートマスターとのこと(録音は1992年)。
 
イングヴァル・ヴィクセル(Br)ほか、「バイ・リクエスト」(Bluebell)
ヴィクセルは1931年生まれのスウェーデンのバリトン歌手、これはスタジオ録音の小品や、オペラのアリアのライヴ録音等を集めた1枚。
ステンハンマルが1曲入っているのでオーダーしたもの(演奏時間は2分足らず!)。

 トップページの画像を、季節にあわせて「群れる鮎」に変更。もちろん亡祖父の作品。

実は、去年と同じ絵です。申し訳ありません…m(_ _)m
 昨日のdial盤のデータを逸匠列伝中、レイボヴィッツディスコグラフィに追加。
 また、今日のヴィクセル盤のデータをステンハンマル「作品表とディスコグラフィ」に追加。
 また、市川さんからいただいたリリー・ブーランジェの未架蔵盤のデータを「作品表とディスコグラフィ」に追加。

5月22日(土): 今日は、東京行き。
 ↓のとおり、長谷川陽子さんのエルガー;Vc協を聴くためである。
 今日の演奏会は午後6時開演、8時終演予定なので、最後まで聴いてから新大阪行き最終の「ひかり」に間に合う。この時間設定は嬉しい。

 

今日の曲目は、
P・M・デイヴィス;「チャット・モス」
エルガー;Vc協(独奏・長谷川陽子)
ヴォーン・ウィリアムズ;カンタータ「ドナ・ノビス・パーチェム」
というもの。とにもかくにも目当ては長谷川さんである。指揮は大友直人らしい。
管弦楽は東京交響楽団、会場は東京芸術劇場大ホール。
メインの曲に合唱が入るせいだろう、家族・関係者とおぼしい客も目に付いて、入りは良い。
正面上方のオルガンが、普段のクラシックな木枠のものでなく、モダンな面をこちらに向けてあるのが目を惹く。
こういう仕掛けとは知らなかった。
P・M・デイヴィス;「チャット・モス」
Webのチャットのことではなく、地名らしい。作曲者が「幼年時代の思い出にインスパイアされた」と言っているとおり、ちょっと民謡調の主題を加工した、聴きやすい曲(約6分)。管楽器の編成も小さい。
演奏も手堅く、2曲目以降の出来に期待を持たせた。
エルガー;Vc協
長谷川さんは黒のドレスで登場、落ち着いた面持ちである。ナーバスな感じはしないので少し安心。
第1楽章冒頭のレシタティーヴォ風の力強い楽節を、落ち着いて、気持を込めて弾き始めた。デュ・プレの情熱を噴出させるような演奏とは異なり、内面に集中していって、それが堪えきれずに溢れ出すような趣
この集中力は全曲を通じて途切れることがなく、聴いているこちらも、どんどん引き込まれていった。
第4楽章開始まもなくのカデンツァ風のところの気迫など、最高に凄まじいものであった。
デュ・プレの名盤の後にこの曲を演奏するのは至難だが、十分、存在意義を主張できる完成度を持つ好演だったといえよう。
残念だったのは、会場の音響的な特性か、独奏の音がもう一つ飛んでこない感じで、ちょっともどかしかったこと。
その上、オーケストラの音に少しマスクされていたようにも感じた。弦楽をもう一回り小さくして、全体に音を抑えてほしかった…と残念。
これだけ集中した演奏の後だけに、アンコールはなし。
ヴォーン・ウィリアムズ;カンタータ「ドナ・ノビス・パーチェム」
ソプラノ、バリトン独唱と合唱、オルガンも動員した大規模な合唱曲。
歌も美しく、管弦楽の見せ場にも欠けない、聴き映えのする曲。
とりわけ、第4曲「二人の戦士のための挽歌」の葬送行進曲での金管全開の迫力は聴かせた。

 演奏会に先立って、城多@千駄木音盤要塞司令官殿とお茶の水〜神保町の中古屋等を廻る。

ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響ほか、「ドナウエッシンゲン音楽祭 1950-1990」(col legno)
ロスバウトが多くの現代音楽を初演したドナウエッシンゲン音楽祭の記念CD。4枚のうち、ロスバウトの録音が約2枚分を占めている。
出ているということは知っていたが、京都では見たことがなかったように思う。中古格安ということもあり、喜んで購入。
主な収録曲は、
ハルトマン;交響曲第2番
リゲティ;アトモスフェール
ストラヴィンスキー;ディラン・トマスの追憶に(ピーター・ピアース)
メシアン;鳥たちの目覚め(イヴォンヌ・ロリオ)
といったところ。
 
クラウス・テンシュテット(指揮)シカゴ響、マーラー;交響曲第1番(EMI)
1990年5・6月、シカゴ・オーケストラ・ホールでのライヴ録音。
この曲、昔はそれなりに感動して聴いていたのだが、最近どうもオーケストラのショウ・ピースに聴こえてしまう…と、前に中古音盤堂奥座敷MLで相談したところ、お薦めいただいたのが、この盤。
それ以来、ずっと探していたのだが、意外に店頭に見当たらず、ようやく神保町の汚い中古屋で発見。
あとで気付いたのだが、あまり好きでないアメリカ盤だったのは残念。
実は、斉諧生が最初にこの曲を聴いたのが、テンシュテットのスタジオ録音(ロンドン・フィル)盤であった。その時の感動が戻ればよいのだが。
 
オレグ・カエターニ(指揮)バンベルク響、ラフマニノフ;交響曲第3番(Orfeo)
この盤、前からずっと気になってしかたがなかった。録音は1983年、随分前のものだ。
そのわけは、この指揮者、イーゴリ・マルケヴィッチの忘れ形見なのである。(カエターニは母方の姓)。
この盤が初めて出たときは、ちょっと期待したのだが、どうもその後は鳴かず飛ばずの様子。
買おうかどうしようかずっと迷ってきたのだが、格安バーゲン品を見つけたので、とうとう購入。
 
マルク・ゴレンシュタイン(指揮)ロシア響、ショスタコーヴィッチ;交響曲第5番・室内交響曲op.110a(POPE MUSIC)
未知の指揮者とオーケストラだが、op.110aは集めることにしているので購入。
中古格安盤。
 
ヤーッコ・クーシスト(Vn)アトソ・アルミラ(指揮)クオピオ響、シベリウス;秘曲集(FINLANDIA)
これは新譜。
習作から晩年の作まで、珍しい曲ばかり。シベリウスは買わざるべからず。
op.69のセレナードでは、クーシスト兄弟の兄の方がヴァイオリンを独奏している。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ドレスデン・フィル、エルガー;行進曲「威風堂々」第1番ほか(Delta)
存在は知っていたが、ずっと見たことのなかったケーゲルの「威風堂々」を発見したので、即、購入。
どういう風に振っているのか、興味津々である。
「映画に出てきたクラシック音楽」といった類のオムニバスものCD。ケーゲルはこの1曲のみ。
イエネ・ヤンドー(P)ヤーノシュ・シャンドール(指揮)「ラプソディ・イン・ブルー」というものも入っている。これはこれで興味あり。(^^)
 
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)フランス放送新フィルほか、オハナ;作品集(ERATO)
集めることにしているスクロヴァチェフスキの未架蔵盤を見つけたので購入。
実は新譜の時に見かけているのだが、現代曲なので敬遠していたのだ。
中古格安ということもあり、購入。
 
ゲオルグ・クーレンカンプフ(Vn)トール・マン(指揮)スウェーデン放送響ほか、グラズノフ;Vn協ほか(Bluebell)
往年のドイツの名ヴァイオリニスト、クーレンカンプフのライヴ録音。1948年3月30日の演奏である。
初発のときは、えらく高い値付けで躊躇しているうちに店頭から無くなったりして、なかなか入手できなかったのだが、ようやく中古格安で購入。
…と思ったら、次の店で、もっと安い値で見つかった。(T_T)
チャールズ・バルケル独奏のアウリン;Vn協第3番をカプリング。こちらも楽しみ。
 
ロドリグ・ミロシ(Vn)ノエル・リー(P)、グリーグ;Vnソナタ全集(ADDA)
あまり見かけない盤を見つけた。未知のヴァイオリニストだが、ADDAは、けっこう演奏の質が高いレーベルなので、ちょっと期待して購入。
もちろん、中古格安だった、ということもある。
 
イザベル・ファウスト(Vn)エヴァ・クピエツ(P)バルトーク;無伴奏Vnソナタ・Vnソナタ第1番(HMF)
新譜の時には、星の数ほどいる新人ヴァイオリニスト…と思って見送ったのだが、その後、あちこちで好評を聴くので、いざ探してみたら見つからなくなっていた(特に輸入盤が)。
国内盤扱いで発売されたものの中古を格安で見つけたので購入。
 
ダニール・シャフラン(Vc)アントン・ギンスブルグ(P)ショスタコーヴィッチ;Vaソナタ(Vc編)ほか(Melodiya)
神田の新世界レコード社に立ち寄ったときに購入したもの。(この店、どうしたことかネクタイまで置くようになった。)
名曲として知られるヴィオラ・ソナタが、チェロに編曲されてどうなるか、あるいは、もっと深みを増した名演・凄演が聴けるかもしれないと思って購入。
シャフランのWebpageで調べたら、国内盤でも出ていたらしい。ちょっと落胆。
シューマン;アダージョとアレグロ
ブラームス;4つの厳粛な歌
のVc編曲をカプリング。
 
オッリ・ムストネン(P)ショスタコーヴィッチ;24の前奏曲&アルカン;25の前奏曲(DECCA)
ムストネンの未架蔵盤(かなり前に出たものだが)を格安バーゲン品で見つけたので購入。
 
シモン・ゴールトベルク(Vn)ジョアナ・グラウダン(P)ニコライ・グラウダン(Vc)モーツァルト;P三重奏曲集(日ワーナーパイオニア、LP)
ゴールトベルクのモーツァルト(K.502、K.548)を見つけたので、即、購入。
原盤は米デッカだが、約10年前に日本で復刻されたLP。その時はゴールトベルクの素晴らしさを知らなかったので見逃してしまったのだ。
これも汚い中古屋で格安で売られていたのを発見したもの。
 
ガスパル・カサド(Vc)原智恵子(P)「デュオ・カサド」(日アルファ、LP)
カサドはカザルスの弟子で、「無伴奏チェロ組曲」等の作曲でも知られたチェリスト。この曲は、長谷川陽子さんが去年1年間ずっと手がけておられたので、ずいぶん馴染みになった。
その上、最近カサドのWebpageが出来たこともあり、気になっていた。先日は、バッハ;無伴奏Vc組曲のCDも買ったところだ。
上記の汚い中古屋で壁に掛かっているのを発見、即、購入。
最初は、先日、DENONからCDで出た日本録音の小品集と同じ音源だろうと思ったのだが、長谷川さんの演奏会で逢った上記WebpageのWebmasterに申し上げたところ、それは別録音の筈、と御指摘いただいた。
ライナーノートを読んでみると、1963年、夫妻のソ連演奏旅行の折りに録音されたものであるとのこと。それが1981年になって、初めて国内発売されたLPである。
結構貴重なものを安く手に入れることが出来て、まことに嬉しい。
収録曲は、カサドの十八番ばかり。
フレスコバルディ(カサド編);トッカータ
ベートーヴェン;魔笛の主題による変奏曲
シューベルト(カサド編);アレグレット・グラツィオーソ
グラナドス(カサド編);「ゴエスカス」より間奏曲
フォーレ;エレジー
ラヴェル;ハバネラ形式の小品
カサド;愛の言葉
 
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ほか、ウェーベルン;作品集(米dial、LP)
これは狂喜乱舞の1枚である。
まず、レイボヴィッツの未架蔵LPであること。
また、このdialレーベルは再発されておらず、見つかりにくいこと。
しかも、当時はオーディオ・ファイルとして知られた生々しい録音である。
更に、ほとんど嘘のような格安価格。
これは三省堂の1階でやっていた中古LP市を冷やかしたときに、城多司令官殿が見つけていただいた。感謝感謝、大感謝である。
なお、収録曲は、9つの楽器のための協奏曲テノール・サキソフォンのための四重奏曲
ピアノのための変奏曲4つの歌曲がフィルアップ(レイボヴィッツの指揮ではない)。

5月19日(水): 

 

ピエール・フルニエ(Vc)ジャン・フォンダ(P)ほか、ショパン;Vcソナタほか(DGG)
BBSサロ様と彩ちゃんの部屋でお薦めをいただいたので、買ってみた。
DGGのCentenary Collection、"1959"の1枚である。
お目当てはショパンだが、フリートリッヒ・グルダ(P)とのベートーヴェン;Vcソナタ第3・6番がメインのCD。
なぜか表示は"MONO"だが、音源は3曲ともステレオである。奇怪。
なお、オリジナルのLPではショパンのカプリングはフランクだったようだ。既にCD化されているベートーヴェンよりは、こちらを聴いてみたかったもの。

5月18日(火): 出張の帰りに大阪・梅田を徘徊する。
 ササヤ書店で楽譜を物色するが、高価で手の出ないものが多くて残念。手頃なチェロの小品を3曲、購入。いずれもマイナーなものだ。

 シベリウス;マリンコニア
 ヒナステラ;パンペアーナ第2番
 ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品(第1曲)

 

小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、マーラー;交響曲第1番(Canyon)
「コバケン」の新譜なら買わざるべからず。
特にこの曲は、彼に入れあげるきっかけになったもの。
もう14年ほども前、当時常任指揮者だった京都市響の定期演奏会で、打ちのめされるほどに感動したのである。
ライナーノートは曲目解説だけの簡単なもの(2頁)。ブックレットの隅にプロデューサー江崎氏のWebpageのURLが入っている。
 
ジョン・ウィリアムズ(G)ほか、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ&ジュリアーニ;G協第1番(Sony Classical)
大好きなアルペジオーネ、ギター編曲とあらば聴いてみたく、購入。
前にチェロとギターによるCDを聴いたことがあり、ギター伴奏の味わいに、なかなかいいものがあったのだ。
そういえば、昔、ペーター・シュライヤーがギター伴奏で「水車屋の娘」を歌ったこともあった。
シューベルトの音楽のインティメイトなところが、ギターという楽器に適合するのだろうか。
ところが、である。
ジャケットには明記されていないのだが、この編曲、ギター独奏のものではなく、弦楽アンサンブルの伴奏付きなのである。
つまり、原曲のピアノ・パートを弦楽に、チェロ・パートをギターに割り振ったもの。楽器の性質として逆の組合せにしたわけだ。
これは疑問。「ギターは小さなオーケストラ」と言ったのは誰だったか、1本で十分な表現力がある楽器なのだ。
どういう編曲なのか、ジャケットに明記されていない(開封してブックレットを見ないとわからない)というのは、商品としていかがなものかと思う。
なお、共演はオーストラリア室内管

5月17日(月): 

 

ダニエル・バレンボイム(P、指揮)ベルリン・フィル、モーツァルト;P協第5・6・8番(TELDEC)
バレンボイムのモーツァルト;P協は、若い頃にEMIに録音した、イギリス室内管弾き振りの全集も大変良かった。
TELDECでのベルリン・フィルとの再録音も、ずっと買い続けており、新盤が出たので購入したもの。
最初に発売された後期の作品では少し高域を強調したような録音になっているのが難だったが、最近はそういうこともなくなり、美しい音楽を楽しめる仕上がりになっているはずだ。
 
アムステルダム・ルッキ・スターダストQ、バッハ;「フーガの技法」(Channel Classics)
昨日聴いて気に入った「フーガの技法」、リコーダー四重奏への編曲版である。
これも、ヴァルヒャ盤同様、お薦めをいただいていたので買ってみた。
店頭試聴機で器楽合奏版も聴いてみたが、例えばガンバとチェンバロでフーガを出されても、あまりに音が違いすぎて、かえって聴きづらい気がする。
やはり同種の発音体で構成された版が良いようだ。

5月16日(日):  中古音盤堂奥座敷第17回:プーランクの無伴奏合唱曲の議論のログが公開されました。
 斉諧生は議論に参加しておりませんでしたが、いつもどおり同人の皆さんが質の高い議論をしておられますので、ぜひ御一読ください。

 

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、ブラームス;交響曲第2番(1971年盤)(ODE)
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響、ブラームス;交響曲第2番(1970年盤)(ODE)
結論から言えば、ケーゲル・ファン(マニア、かな?)は別として、ブラームスを聴くCDとしては、お薦めするほどではない。
ケーゲルというと怪演・爆演を期待される向きもあるかもしれないが(^^;、この指揮者は基本的にはきちんとした音楽をやれる人で、この第2番の2枚とも、弦合奏をきっちり整えた立派な音楽である。
ただ、録音が冴えないのと、管楽器が非力なのとで、曲を聴く上ではイマイチ、ケーゲル・ファンのための資料に留まるという感じだ。
録音の状態は、1971年盤は(一応)ステレオ録音で、拍手からケーゲルの足音(^^)から入っているライヴ録音。ホールの吊りマイクか何かだろう、木管が遠く(弱く)感じるし、弦の音も硬め。
1970年盤は(たぶん)モノラル録音で、場所が教会なのと録音日が2日にまたがっているところからすると、放送用録音かも。
音の質は1971年盤よりはましだが、低音のハムが入っているので、録音機材はあまり良質のものではなかったようだ。"Private Issue"とあるのは、そのためだろう。
1971年盤はライヴのせいか、管楽器の非力さが一層、耳につく。
ただし、ライヴの分、感興は豊かで、第1楽章477小節でテンポを遅くしてしみじみした情感を表出するところ、第2楽章のゆっくりした運びで歌う美しいカンタービレ、第4楽章の快速ぶり(拍手は熱狂的)は、なかなかのもの。
2枚のうち、どちらか1枚を採るとすれば、こちらだろう。
カプリングのハイドン変奏曲が、モノラル録音ながら、ふっくらしたまずまず美しい演奏ということもある。
 
トルルス・メルク(Vc)マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル、ドヴォルザーク;Vc協(Virgin)
いつものメルクの技巧の冴えにテンションの高さが加わり、誠に見事な演奏となった。この曲のスタンダードの1枚として数えうる名演だ。
普通に名手といわれる人でも苦しげな音になる高い音域でも、メルクの技巧には余裕が感じられる。
例えば第2楽章のカデンツァでも、最高音域で、なおしみじみとした情感を表出することが出来るのだ。たいていの人は、音自体から非常な緊張感が漂ってしまうのに。
ヤンソンスとオスロ・フィルの伴奏も力感十分、金管は特に優秀で、水準を大きく上回る演奏だ。
トルルス・メルク(Vc)ミシェル・タバシェニク(指揮)モンテカルロ・フィル、サンサーンス;Vc協(Lyrinx)
こういう曲になると、あまりの「あく」の無さが少し物足りない。
もうちょっと色気が欲しくなる。
オーケストラの出来にも特筆したいものはない。
 
ヘルムート・ヴァルヒャ(Org)バッハ;フーガの技法(Archiv)
この曲、バッハの絶筆であり理詰めの曲、思弁的な音楽というイメージが強く、ディスクは2、3架蔵しているものの、あまり聴いたことがなかった。
今回、初めて全曲を通して聴いたのだが、とても面白く、これまで「食わず嫌い」していたのがもったいなかった。
第2曲に入って、基本主題が付点リズムに変わって出てきたのが、楽しくというか、新鮮にというか、何とも気持ちよく感じられ、ハッと目をひらかされた。
第4曲の四分休符―四分音符―二分音符という音型も、バッハのフーガに対して持っていた先入観(偏見)を裏切ってくれた。
第5曲あたりから複雑になってきて、スコアを見ていても置いて行かれそうになったが、第7曲で基本主題が拡大されて出現するのを聴き取ったりしていると、どんどん面白くなってくる。
あとは一瀉千里に、1時間以上の曲を聴き通すことが出来た。
このディスクには、終曲の未完フーガが、原曲のままの演奏(1956年録音)と、ヴァルヒャ自身が補筆完成させた演奏(1970年録音)が収録されている。
未完版の方が、テンポ・音色等、演奏自体重々しく、その存在感が補完版を上回る。
また、補筆された部分の音楽は、心なし、細くなるというか、音楽としての豊かさ・拡がりに劣るような気がする。終結あたりは力が入っていたが…。
これだけの厳密な形式の中に、これだけの音楽を盛り込めたバッハという人には、本当に感嘆するほかない。
もう少し慣れてきて、フーガの解析などできるようになったら、もっと面白く聴けるだろう。
 
ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響ほか、ブラームス;ドイツ・レクイエム(Capriccio)
この曲は実は余りよく聴いたことがないので恐る恐る書くのだが、これは非常な名演奏ではないか。
冒頭から、ほの暗い・柔らかい雰囲気がたちのぼり、終始、硬くならない合唱が美しい。
まことに憂愁の色濃い音楽である。

5月15日(土): 

 通販業者からLPが届く。

ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ・フィルほか、サティ;交響劇「ソクラテス」(米COUNTERPOINT、LP)
レイボヴィッツの未架蔵音源を見つけたので、即座にオーダーしたもの。
 
サミュエル・マトロフスキー(指揮)ロッテ・レーニャ(歌)ほか、ワイル;「三文オペラ」(米MGM、LP)
「三文オペラ」は、ソニー・ロリンズの名盤「サキソフォン・コロッサス」を聴いて以来、お気に入りの曲。
これは英訳詞による全曲録音だが、ジェニーをロッテ・レーニャが歌っているところが貴重である。
モノラル録音だが、年代は不詳。

 上記のサティのデータを逸匠列伝中、レイボヴィッツディスコグラフィに追加。
また、最近入手した盤のデータをステンハンマル「作品表とディスコグラフィ」に追加。


5月14日(金): 

 

ヤーッコ・クーシスト(Vn)ペッカ・クーシスト(Vn)イルッカ・パーナネン(P)ライヤ・ケルッポ(P)、プロコフィエフ;Vnソナタ第1・2番ほか(FINLANDIA)
フィンランドの新進気鋭のヴァイオリニスト、クーシスト兄弟の新譜が出たので購入。
弟・ペッカは前にONDINEレーベルからシベリウス;Vn協とリサイタル盤などが出ていたのを架蔵しているが、兄・ヤーッコのディスクは初めてだ。
第1番を兄とパーナネン、第2番を弟とケルッポで演奏し、兄弟で2本のVnのためのソナタを共演している。

5月13日(木): 京都から、大阪と奈良の県境近く、山の上(!)にある大阪教育大学の柏原キャンパスへ行く。
 近鉄電車の駅を出てから、延々、エスカレーターで登っていくのである。(下りエスカレーターはなく、帰りは膝をガクガクいわしながら長い階段を降りねばならない。)
 何故に、ここへ来たのか?

 この大学には、教養学科芸術専攻音楽コースが設置されているのだが、その新入生歓迎コンサートが行われるのである。
 キャンパスの奥深く、音楽棟内のリハーサルホールが会場、という実に内輪のコンサートなのだが、このオーケストラを指揮するのが、去る3月にブルックナー;交響曲第7番を聴いて、その音楽に感嘆したところの、ズラタン・スルジッチなのである。

今日の曲目は、
シベリウス;交響詩「フィンランディア」
ベートーヴェン;交響曲第5番
というもの。
会場のリハーサルホールは、そんなに広い部屋ではなく、臨時に山台を置いて客席を設置しており、ほとんど金管楽器と正対して音楽を聴くことになる。
言い換えれば、通常のホールなら、いわば舞台の上に当たるような、間近にオーケストラを見る(聴く)ことになり、それだけでも物凄い迫力であった。
ましてや、演奏の迫力といったら…
 
「切れば血の出るような音」というのは、こういう音・音楽を言うのではないか、という感動を受けた。
「フィンランディア」にせよ「運命」にせよ、悪く言えば、手垢の付いた曲である。近頃は、斜に構えてスマートに美しく、という傾向の演奏も多い。
ところが、スルジッチと大教大オーケストラの演奏は、熱い。実に熱い。
音そのものに熱い生命が息づき、音楽には衒いのない情熱が注がれる。
管楽器に多少の弱さは感じないではないが、そういうことは問題にならない(したくない)くらい、ただただ心うたれながら、傾聴していたのである。
真に「心から心へ」と形容すべき演奏であった。
 
「フィンランディア」
曲頭の動機からしてハイ・テンション。1小節目の全音符に猛烈なクレッシェンドを与え、2小節目の四分音符は、ほとんど鳴らないくらいに切って落とす。ここの切れ味の鋭さは見事であった。
驚いたのは、74小節からのアレグロ・モデラートが、実に重々しかったこと。
後から聞いたことだが、95小節からのアレグロ指定とのテンポの違いを、はっきり出すのが指揮者の意図だったという。成る程、納得である。
 
ベートーヴェン;交響曲第5番
こちらは特に変わったことはしていなかったと思うが、上記のように、とにかく熱い音楽を体いっぱいに浴びて、ただただ感嘆するほかはなかった。
とりわけ第4楽章は、やや速めのテンポをとった白熱の名演で、提示部の反復がなかったのが残念なほどであった。
 
なお、このオーケストラは、弦楽の配置が第1Vn-Vc(Cb)-Va-第2Vnという古典的なスタイルをとっているのも興味深い。
 
この驚嘆すべきコンビの次の演奏は、7月の「サマー・コンサート」となる予定である。
詳細が発表されれば、BBSサイトサロ様と彩ちゃんの部屋に掲載されることになっている。
ぜひ、参会されることをお薦めしたい。

 演奏会への途上で、空いた時間を利用して買い物。

ヘルベルト・ケーゲル(指揮)ライプツィヒ放送響ほか、ブラームス;交響曲集(ODE)
一時は発売中止になったという情報も流れた、ケーゲルのブラームスが店頭に並んでいたので購入。この指揮者の録音は、ぜひ全部集めたいと思っている。
当初は全集という話だったが、第3番が欠けている。
5枚(バラ売り)の内容は次のとおり。
Vol.1;交響曲第1番(1961年9月28・29日)
Vol.2;交響曲第2番(1971年11月23日)&ハイドン変奏曲(1961年12月2日)
Vol.3;交響曲第4番(1962年2月5日)
Vol.4;Vn協(独奏Gyorgy Garay、1961年11月14日)&「運命の歌」(1951年9月10日)
Vol.5;交響曲第2番(1970年1月9・19日、"Private Issue"とある)
オーケストラは、すべてライプツィヒ放送響、Vn協の独奏も同響のコンサートマスターである。
Vol.2の交響曲がステレオだが、残りはモノラル録音のようだ。
なお、ジャケット裏に"Authorized by Frau Annerose Kegel and MDR Sinfoniorchester"とあり、正規発売であることが知れる。
(補) 店頭の表示によれば、Vol.5は、前にPILZから出たものの別マスタリングとのこと。「ステレオ」とも書かれていたが、聴感上は左右の広がりはほとんどない。

5月9日(日): 新しいページをオープンしました! フランス近代の作曲家、リリー・ブーランジェのページです。
 ディスコグラフィが中心です。
 まだまだ情報量が足りないし、もっと「お薦め」の気合のこもった紹介文を書かねば…とも思うのですが、まずは、この段階で公開いたします。
 何より、斉諧生はフランス語ができませんので、ディスコグラフィも欧文表記に逃げております。どなたか協力していただければ有り難いのですが…。
 しかし、前回の更新がステンハンマルのページだったから、ほぼ1年ぶりということになる。もう少し、頑張らないと。

 上記のとおり、「作曲世家」リリー・ブーランジェを追加。


5月8日(土): 

 CD-MAILから荷物が届いた。
 やれ嬉しや! 鶴首していたディスクばかりである。

ジャン・クロード・カサドシュス(指揮)国立リル管、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「ペトルーシュカ」・組曲「火の鳥」(FORLANE)
注目の俊秀、JCCの未架蔵盤が検索できたので、オーダーしたもの。
ペトルーシュカは1947年版。これは少し残念。
録音は少し古く1984年、バジェット・プライス盤。なお、リル管の非公式Webpageにディスコグラフィがあるので、参照されたい。
 
トルルス・メルク(Vc)ミシェル・タバシェニク(指揮)モンテ・カルロ・フィル、シューマン;Vc協&エルガー;Vc協(LYRINX)
このところ惚れ込んでいるチェリスト、メルクについて、LYRINXから協奏曲録音が出ていることをメールで教えていただいたので、レーベルからして店頭で探すよりネットが早かろうとオーダーしたもの。こういうところが、HPを公開している妙味の一つだろう。
指揮のタバシェニクは昔、N響にも客演していた。
1990年の録音だが、このうちシューマンはEMIに再録音している(ハンス・フォンクケルン放送響、1994年録音)。
 
トルルス・メルク(Vc)ミシェル・タバシェニク(指揮)モンテ・カルロ・フィル、サンサーンス;Vc協&ラロ;Vc協ほか(LYRINX)
これも同じ組合せ、上記シューマン他と同様にオーダーしたもの。
1991年の録音、フォーレ;エレジーをフィルアップ。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ゾルタン・コチシュ(P)「VcとPのための音楽」(HUNGAROTON)
ペレーニの未架蔵盤が、ようやく手に入った。
1987〜88年録音の小品集。HUNGAROTONのWebpageのカタログにも載っていたが、店頭やアメリカ系通販サイトでは見つからなかったもの。
収録曲は、
バッハ(コダーイ編);3つのコラール前奏曲(BWV743・762・747)
ドビュッシー(コチシュ編);小組曲
ドビュッシー;Vcソナタ
コダーイ;ソナチネ
フォーレ;エレジー
バルトーク(自編);狂詩曲第1番
 
オリヴィエ・ラトリ(Org)デュリュフレ;Org作品全集(BNL)
これも、長い間探していたものが、ようやく入手できた。
これは中古音盤堂奥座敷御亭主、浮月斎大人から、デュリュフレのベスト盤としてお薦めをいただいていた。
使用楽器は、パリのサン=テチエンヌ・デュ・モン教会の大オルガン。
大人のWebpageにはデュリュフレのコーナーもあるので、収録曲等についてはそちらを御覧いただきたい。

5月5日(祝): 

 夕方、更新作業を中断して買い物へ。

マルコ・ロリアーノ(Vn)ロベルト・ティガーニ(指揮)サッサーリ響、ベルワルド;交響曲第2番・Vn協(BONGIOVANNI)
イタリア人が演奏するベルワルド、あるいは下手物かもしれぬと思いつつ、好奇心とベルワルド蒐集欲に負けて(^^;、買ってしまった。
ヴァイオリニストは1967年ローマ生まれ、同地の聖チェチリア音楽院に学び、ルッジェーロ・リッチサルヴァトーレ・アッカルドに師事したという。カザルス・ホールでも演奏したとか。
指揮者とオーケストラのことがよくわからないが、ブックレットの最終頁全面に指揮者のポートレートが掲載されていたが、これが爆笑物!→ここを押して
 
グレゴール・ピアティゴルスキー(Vc)ソロモン(P)ほか、ベートーヴェン;Vcソナタ全集ほか(TESTAMENT)
こういう顔合わせの録音(1954年)があったとは知らなかった。浅学非才を恥じるのみ。
ソロモンのピアノはEMIから出たベートーヴェン;後期ソナタ集でも感心させられたし、ピアティゴルスキーのチェロも一度じっくり聴いてみたく、購入。
アルトゥール・ルービンシュタイン(P)とのブラームス;Vcソナタ第1番(1936年録音)のほか、ウェーバーの小品(1934年録音)も収録。
なお、ライナーノートで古今のスター・チェリストの録音数多ある中、近年出た素晴らしいセットとして、ペレーニ&ラーンキ(Hungaroton)と堤剛&トゥリーニ(CBS)を挙げているのが注目される。
 
ヘルムート・ヴァルヒャ(Org)バッハ;フーガの技法(Archiv)
「フーガの技法」や「音楽の捧げ物」といったバッハ晩年の対位法の粋を尽くした作品は、これまで苦手(というか喰わずナントカ)にしてきた。
最近、知人から薦められたこともあり、ヴァルヒャ盤を購入。ついでにスコアも買ってきた。
1956年ながらステレオ録音。この作品に関しては、ヴァルヒャは再録音しなかった。
なお、バッハの絶筆となった未完のフーガを、ヴァルヒャが補筆完成させたものの録音がフィルアップされている。こちらは1971年録音。
 
ラール・プール・ラール、カーゲル;セレナードほか(CPO)
カーゲルの作品集を買うのは初めて。
これは中古音盤堂奥座敷同人、野々村さんから、あるいは合評会課題盤にと御推輓があったもの。
苦手なジャンルながら、ともかく聴いてみようと購入。

5月4日(休): 

 更新作業の合間に、ミクローシュ・ペレーニの録音を集中的に聴く。

ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ヤーノシュ・ローラ(leader)フランツ・リスト室内管、ハイドン;Vc協第1・2番(Laserlight)
特に第1番が素晴らしい。第1楽章の最初の音から、聴き手の胸を打つ覇気を感じる。気合の入った、乗りのいい演奏だ。第2楽章での昂揚、第3楽章の天馬空を行く猛烈なアレグロ、感嘆するほかはない。
第2番は、少しゆったり歌おうとしたのだろうか? 良く言えば落ち着いた、悪く言えば少々モタモタした感じ。
第2楽章の豊かな歌は、素晴らしい。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)イヴァン・フィッシャー(指揮)ブダペシュト音楽祭管、ドヴォルザーク;Vc協(Laserlight)
ペレーニの独奏は、まさに理想的な出来映え、これ見よがしの派手な動きは排して、美音とカンタービレをじっくり聴かせる。
第1楽章224小節以降の美しい音にたっぷりヴィブラートを効かせたカンタービレから、237小節へかけてディミュニエンドへ沈み込んでいく味わいの、感動的なこと!
オーケストラも悪くない。第1楽章提示部で第2主題を吹くホルンは、特別な表情付けはしていないが自ずから望郷の哀感を漂わす。
問題は録音で、1960年代のライヴ録音のようなクオリティしかない。オケが奥に引っ込んで、音色もモノクローム的。独奏はくっきりきこえるが、音像は小さく、やや迫力に欠ける。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)イヴァン・フィッシャー(指揮)NHK響、ドヴォルザーク;Vc協
衛星放送(1997年3月1日の定期演奏会の生中継)を個人的に録画したビデオ・テープを見直した。
ペレーニはますます素晴らしく、フィッシャーの指揮もCDより積極的。
アンコールのバッハ;無伴奏Vc組曲第3番サラバンドも、絶品!
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)デジュー・ラーンキ(P)ベートーヴェン;Vcソナタ第3番(Hungaroton)
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ゾルタン・コチシュ(P)ブラームス;Vcソナタ第2番(Hungaroton)
この両盤、最大の問題は録音バランスにある。
とにかくピアノが圧倒的に大きく入っており、チェロが往々にしてかき消されてしまうのだ。音の伸びも悪い。
ピアノがただの伴奏になっていてもつまらないが、チェロがマスクされては、なお困る。
勘ぐるならば、当時「ハンガリー三羽烏」としてアイドル的人気を誇ったラーンキやコチシュ(もう1人はシフ)を売るための商法だったのだろうか?
あるいは、オリジナルのLPだと、また聴こえ方が違うのかもしれない。これは探さねば…。(^^;;
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)イェネ・ヤンドー(P)コダーイ;Vcソナタ(Hungaroton)
1976年の録音だが、チェロとピアノはほぼ同等に録音されており、↑2枚でのバランスはますます疑問。
いまやNAXOSで活躍中のヤンドー、いま少しペレーニのチェロと音色の溶け合いがあればとも思うが、ベートーヴェンやブラームスもこの組合せで録音した方が良かったろうに。
コダーイのソナタは初めて聴く曲。
第1楽章は文字どおりの「ファンタジア」で、なかなか佳いが、第2楽章で普通の民俗舞曲になってしまうのは惜しいような。
もっとも、この盤の値打ちは、カプリングの無伴奏ソナタの方にあるのだが。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)塩川悠子(Vn)アンドラーシュ・シフ(Fp)モーツァルト;PトリオK.502(Teldec)
「ハンガリー三羽烏」の中で、いちばん影の薄かったシフが今やTELDECの看板ピアニストになり、ダントツでアイドルだったラーンキは遙かに後塵を拝しているのが、業界の栄枯盛衰を感じさせる。
ここでは、3人ともピリオド楽器、特にフォルテピアノとヴァイオリンはモーツァルト所蔵品を博物館から引っぱり出して使用しているという企画物。
シフの奏法が通常のピアノとあまり変わらないので、フォルテピアノの美質が出ていないようだ。
楽器のせいか、曲の書法のせいか、弦も冴えない。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)塩川悠子(Vn)アンドラーシュ・シフ(P)シューベルト;Pトリオ第1番(Teldec)
これは佳かった。この組合せで、他の曲もどんどん録音してほしいものだ。
録音が、やや音像が遠く、残響に少し癖があるのは惜しい。

5月3日(祝): 今日から更新作業に入ったので、ちょっと「新譜試聴録」は、お休みします。
 ただ、連休中に完成するかどうか、ちょっと自信がありません。遅くとも次の週末には…と考えております。

 先日、更新したリンク集「電網四方八通路」に、一つ大事なWebpageを落としていたので追加。


5月2日(日): 

 

ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)チェコ・フィル、ブルックナー;交響曲第7番(第1楽章)(Supraphon)
久しぶりに聴いたが、いやあ、いいですねぇ。
冒頭の悠然たる主題提示の美しさ。
クライマックスで思い切り鳴らされる金管に、胸がすく。
これでホルンがもう少し腰の重い音を出してくれていれば、文句無しのベスト盤なのだが。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)スロヴェニア・フィル、ブルックナー;交響曲第7番(第1・2楽章)(DENON)
これは1984年録音。
チェコ・フィル盤(1967年録音)と似た表現だが、マタチッチの円熟かオーケストラの性格か、すこし柔らかい感じ。
弦の叙情的な旋律美に優るが、フォルティシモの底力は旧盤に一歩を譲る。
 
デヴィッド・ディ・フィオーレ(Org)スチュワート・カーショー(指揮)オーバーン響、プーランク;Org協(Ambassador)
最近買ったプーランクの聴き比べ。
オルガンはまずまず美しい音だが、細部は今一つくっきりしない。
弦合奏の洗練されない響きは、ちょっといただけない。
 
シェル・ヨンセン(Org)シェル・インゲブレセン(指揮)ストックホルム王立管団員、プーランク;Org協(proprius)
propriusらしいナチュラルな音だが、少し薄い感じがする。録音のせいか、原音がそうなのか。
かなりゆっくり目のテンポをとり、音色の選択も面白い。
これも弦楽合奏が、ちょっと非力。
両盤とも、特筆すべき演奏ではないように思う。
 
マルティン・オステルターク(Vc)ヴェルナー・ゲヌイト(P)ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品(Talent)
 
ニーナ・フライヤー(Vc)チフン・リー(P)ナディア・ブーランジェ;VcとPのための3つの小品(KOCH)
金曜日の記事にあるように、いわば間違って買った2枚。悔しいので、ナディアの曲を聴き比べ。
これが思いの外の佳曲。拾い物とはこのこと。
第1曲の主題は愁いを帯びた抒情が殊の外、美しい。展開に、もうひとひねり光るものがあれば、素晴らしい小品だったろうが…。
第2曲は少し落ちるが、第3曲のリトミックな動きは面白い。
両盤のうちでは、文句なしにオステルターク盤が上。
フライヤーのチェロは、音色は美しいが、音程がやや甘く、第3曲のチェロの出など、音楽になっていない。
オステルタークのは、第1曲では、よりゆったりと情感深く、第3曲では、より速い。歌いこみのテンションも高く、実に聴き応えがある。
ああ、この曲、長谷川陽子さんの演奏で聴いてみたいものだ。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(洪HUNGAROTON、LP)
今日のメイン。いつもは1曲程度を取り出すのだが、全曲を通して聴いた。
やはり素晴らしい!
高い技術に支えられて、技巧至難の第6番でも「表現」ができる十分な余裕を持っている。
しかし、そうしたことはほとんど意識させずに、バッハの音楽だけが響いている感覚を与えてくれる。
こういう演奏を聴いていると、もう、「一生、バッハの音楽だけを歌っていてもいい」という気分になるのだ。
この名演がCD化されていないのは、本当にもったいない。
 
ヤン・ルングレン(P)とオーケストラ、「Something to live for」(SITTEL)
斉諧生のジャズの聴き方は偏っているので、的確な評価ができる自信はないが、ルングレンのピアノは美しく、かつエレガント。極めて気持ちよく聴き通すことができた。

5月1日(土): 

 今日は買い物へ。

シェル・ヨンセン(Org)シェル・インゲブレセン(指揮)ストックホルム王立管団員、プーランク;Org協&ラングレ;Org協第2番ほか(proprius)
またしても、プーランクの未架蔵盤を発見してしまったので購入。
ジャン・アラン;Org組曲(1936)を収録。
オルガニストはオスロで学んだ後、ミュンヘンでカール・リヒターに、パリでジャン・ラングレに師事したという。
使用楽器は、ストックホルム・エンゲルブレク教会のもので、1964年の建造。
ジャケットには表記がないが、録音は1977年。好録音で鳴るpropriusだけに、音的にも期待したいもの。
 
イザベル・モレッティ(Hp)エドモン・コロマー(指揮)セビーリャ・レアル響、ロドリーゴ;アランフェス協ほか(VALOIS)
ギタリストの一枚看板、アランフェスのハープ版。LPにサバレタ盤があったが(EMI)、まだCD化されていないのではなかろうか。
ついこの間店頭に並んだばかりだが、中古屋に格安で出ていたので、購入。
たしか作曲者自編の筈だが、この盤のライナーノートにはニカノール・サバレタの手によるような記述がある。不審なり。
ハープのオリジナル曲、「ヒラルダの調べ(セビーリャ幻想曲)」「セレナード風の協奏曲」をカプリング。
なお、ブックレットには、独奏者が作曲家を訪問した時の写真と、彼の謝辞(サイン入り)が掲載されている。
ふと、2月にTV放送された、村治佳織嬢のロドリーゴ訪問を思い出した。
 
アンナ・ノークス(Fl)ギリアン・ティンゲイ(Hp)「FlとHpのためのファンタジー」(ASV)
これを買ったのは、リリー・ブーランジェ;夜想曲を収録しているため。
前から棚にあるのは知っていたのだが、3分半の曲のためにCD1枚買うのを少々ためらっていた。
これも音盤道と、覚悟を決めたもの(ちょっと大袈裟か(^^;)。
フォーレラヴェルヴィラ・ロボスのほか、ピアソラ;タンゴの歴史が入っているあたりが流行を感じさせる(録音は1996年)。
 
フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀オーケストラほか、モーツァルト;レクイエムほか(GLOSSA)
昨年3月20日の東京芸術劇場ライヴである。録音情報は公演当時から流れていたので心待ちにしていたところ、今日、見つけたので購入。
ブリュッヘンの指揮盤は、揃えることにしているのだ。
よく見ると、ジャケットの挿画は南蛮屏風だし、ブックレットには日本語ページがあって、佐々木節夫氏への追悼の辞と氏が18世紀オーケストラについて書いた文章の摘録が掲載されている。
かなり日本市場を重視したリリースと見た。
冒頭に「フリーメーソンのための葬送音楽」(K.477)と「アダージョ」(K.411)を収録、またレクイエムには冒頭と途中2箇所にグレゴリオ聖歌が挿入される。
 
ジョルディ・サヴァール(Gamb)「人間の声」(AliaVox)
サヴァールが、また移籍したのであろうか、目新しいレーベルである。
久しぶりにヴィオラ・ダ・ガンバの独奏盤を録音(1998年)、無伴奏による。
きっと上質の音楽が聴けるものと期待して購入。
要所にバッハの曲を置きながら、アーベルテレマンマレフォルクレ、あるいはヒュームといった人の作品を並べている。
特にバッハでは無伴奏Vc組曲無伴奏Vnパルティータの楽章を抜粋して計6曲を演奏している。
この人のバッハは、EMIにいた頃にGambソナタの録音があったが、なかなか良かったという記憶である。
なお、ジャケットはGLOSSAのに似た紙製のもの。
 
平尾雅子(Gamb)武久源造(Cem)バッハ;Gambソナタほか(ALM)
平尾さんの独奏盤は、前にマレの曲集を聴いているが、非常に美しい演奏だった。
今回、バッハが出たので、直ちに購入したもの。
チェンバロが武久源造さんというのも注目。この人も暖かく美しい音色の持ち主なので、両者の組合せには期待できそう。
なお、アーベル;無伴奏Gambソナタテレマン;Gambソナタをフィルアップ。
 
武久源造(Cem)「鍵盤音楽の領域vol.5」(ALM)
このシリーズはvol.1を故・柴田南雄先生が絶讃されて以来、ずっと買っている。
今回は、「バロックの終焉」との副題が付され、1741〜47年に発表・完成された作品を、国や作曲スタイルを横断的に取り上げている。
バッハ;3声のリチェルカーレ(「音楽の捧げ物」より)に始まって、ラモーフォルクレC.P.Eバッハを経て、バッハ;平均率クラヴィア曲集第2巻の2曲(18・22番)で締めくくられる。
デザインも美しく、また、ライナーノートは演奏家による20数頁に及ぶもの。大いに讃えたい。
 
当間修一(指揮)大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団、「'98ドイツ演奏旅行ライヴ」(OCM)
合唱団の自主製作盤。昨年8月のドイツ演奏旅行でのライヴ収録を集成したアルバムである。
斉諧生的に重要なのは、柴田南雄;「追分節考」が収録されていること。
柴田先生の作品のCDは買うようにしているし、特に一連のシアター・ピースは好きなので、とにかく購入。
その他、
ジョスカン・デ・プレ;アヴェ・マリア
ブルックナー;アヴェ・マリア
ブリテン;聖セシリア讃歌
等々、いい曲が並んでいる。
ブックレットに演奏会場とされた教会の写真・図版が掲載されているのも興味深い。
なお、「追分節考」は、ベルリン近郊、ポツダム・サンスーシ宮殿内のFriedenskirche(平安教会、とでもいうべきか)での演奏。
 
ヤン・ルングレン(P)とオーケストラ、「Something to live for」(SITTEL)
久しぶりにスウェーデンのジャズ・ピアニスト、ルングレンの新譜を購入。
今回はデューク・エリントン生誕100年を記念してのアルバムである。
オーケストラは木管楽器・ホルンと弦合奏からなっており、エレガントなサウンドを期待できそうである。
タイトルになっているエリントンの曲のタイトル、ジャズの世界ではどう訳されているのだろう?
「生きがい」じゃあ無粋だし。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」に近代スウェーデンの作曲家ステンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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