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2004年11月27日

ヒンク・遠山のモーツァルト;ソナタ集

ウェルナー・ヒンク(Vn) & 遠山慶子(P)
「モーツァルトに酔う午後」
今年1月から斉諧生の住む高槻市にウィーン・フィルのヒンクがやってくるというので、駅1つ隣の高槻現代劇場まで出かける。
公的助成が入っているのか、2,000円というから有り難い。
 
ここにはスタインウェイ・ピアノを備えた音楽用ホールもあるらしいが、「シャンソン・フェスティバル」か何かで塞がっており、「レセプションルーム」という、要するに宴会用の大部屋が会場になっていた。天井が低く、床は総カーペット貼り、さてはてどうなることやら…と心配。
幸い、早めに出かけたので前から2列目に席を取ることができ、独奏者から3m程度の距離で直接音を聴くことができた。
 
今日の曲目は、タイトルどおり
モーツァルト;Vnソナタ第30番 ニ長調 K.306
モーツァルト;Vnソナタ第24番 ハ長調 K.296
モーツァルト;Vnソナタ第28番 ホ短調 K.304
モーツァルト;Vnソナタ第40番 変ロ長調 K.454
と、オール・モーツァルト。
 
ヒンクの音色には、まろやかな木質感があり、ffからppまで柔らかな美音を保っている。特に重音の和声感が誠に美しく、これぞ文字通りの「フィル・ハーモニー」と感じ入った。
遠山さんのピアノも、実に典雅で美しい。おそらく古典調律だろう。一音々々から、暖かみを帯びた、そこはかとない哀しみが立ち上る。
 
前半の2曲はオペラのアリアを歌っているような雰囲気が愉しい。
それでもK.296アンダンテ楽章、ソット・ヴォーチェの弱音で歌われた音楽の、身に沁みたこと!
 
母の死を背景に持つというK.304でも、音楽は抑制され、古典の矩を越えた踏み外しは聴かれない。それでいて惻々とした悲しみを歌うのは、2人の音楽性の高さであろう。
 
K.454は、前半の曲と違って器楽的な発想が前面に出ているようだ。
やはり弱音が強調されたアンダンテ楽章での合奏の見事さ!
目に見える限りでは、ほとんど顔も向けることなく演奏しているのだが、音楽は緊密に結びつき、反応しあっている。
 
温かく幸福な、そして哀しい、モーツァルトの音楽に浸り堪能したコンサートだった。

投稿者 seikaisei : 2004年11月27日 22:32

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