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2005年08月21日

ペトレによるバッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ

ルミニッツァ・ペトレ(Vn)
バッハ;無伴奏Vnソナタとパルティータ(自主製作)
昨日買ってきた今月の『レコード芸術』を読んで、居ても立ってもいられなくなった1枚。
それというのも『海外盤試聴記』でこのCDが紹介されており、
いや、その美しいこと! こんなに楚々として香り高く、ヨーロッパの演奏伝統を確かに感じさせ、洗練されたセンスで、聴き手の胸にすーっと滲みこんでくるバッハが今まであっただろうか。(略)
ペトレはこの演奏をバッハの自筆譜に基づいて行っている。私もファクシミリを見ながら試聴したが、スラーやエコーなどまったく指示通りの演奏であり、多声部の描き出しやリズム表現など、自筆譜の丁寧な記譜法や勢いのある筆致から生まれていることが実感でき、思わず膝を打つと同時に、その誠実さに感銘を受けた。そして背景には、彼女のどこまでも気品高く、自然な音楽性がある。
引用が長くなったが、これは賛辞のごく一部にすぎない(筆者は芳岡正樹氏)。
この曲集を愛聴する者として、この演奏を無視することができようか?
当盤唯一の取扱店というラ・ヴォーチェ京都は、幸い旧知の店である。
偶々本業で京都方面へ出かける用があり、昼休みに電話をかけてみると品切れでもなく(それが怖くて焦っていたのである)、仕事が終わってから引き取りに立ち寄った。
店主・永井さんのペトレ賛をひとくさり聞かせていただき(ルーマニア・ELECTレコードにエネスコ;Vnソナタ第3番のLPがあり、それはそれは素晴らしい演奏なのだそうである)、↑のCDと合わせて購入。
同店の『レコード芸術』広告にも幸松肇氏の
高雅な気品に満ちたその風格と曇りのない技巧は清々しい魅力にあふれており、(略)現代人が到達したいと願っている究極のバッハ像をみるような、理想の姿を実現している。
との文が掲載されているが、その全文のコピーも頂戴できた。
この記事を書きながら聴き始めているが、両氏の絶賛に見合う演奏であることは間違いなかろう。
ラ・ヴォーチェ京都には、まだ在庫もあるようなので(見えた範囲だけでも10セット弱は積んであった)、興味をお持ちの向きは、ぜひぜひ問い合わせていただければと思う。
ペトレには公式Webpageもある。
彼女はルーマニア生まれ、ブカレストで学び、またウィーンでザハール・ブロンのマスタークラスも受講したという。
「ティボール・ヴァルガ」、「ディヌ・リパッティ」、「ジョルジュ・エネスコ」などのコンクールで入賞歴があり、現在はシュトゥットガルト歌劇場管弦楽団のコンサートミストレスを務め、1628年製マテオ・ゴフリラーを使用している。
録音データは記載されていないが、上記Webpageによれば2002年夏にリリースされたようである。

投稿者 seikaisei : 2005年08月21日 23:32

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