音盤狂日録


4月30日(木): 最近、コンピュータ雑誌をあまり買わなくなった。特集に興味を惹かれるものが無いし、WindowのTips、オンライン・ソフト、お薦めホームページといった定食的な記事は、似たようなネタの使い回しになっている。
 最近、各誌各号ともWindows98がらみの特集だ。斉諧生はWindowsユーザーだが98には現時点でまったく関心がないので何も買わないが、これで98正規版が発売されれば、インストール、トラブルシューティング、カスタマイズ、その他Tips等々の雑誌・書籍が氾濫し、皆がそれなりに買い求めることになるのだろう。
 マイクロソフトが業界全体の飯の種になっている面もあるのだ、と実感させられる。

 こっちはよく懲りずに続くものだと我ながら*寒*心。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)バーバラ・ヘンドリックス(S)ロスアンジェルス・フィル、マーラー;交響曲第4番(Sony Classical)
サロネン&ロス・フィルの近年の充実は大いに評価・期待するが(斉諧生もシベリウス全集の録音を切に希望するものである)、これは首席指揮者就任直前の録音なので、意図の徹底未だしと見て、手を出さずに来た。
中古音盤堂奥座敷の次回試聴会でラトル(指揮)マーラー;第4交響曲が取り上げられるので、ぜひ若手(中堅)指揮者の好敵手同士の比較をと思い、中古屋で購入。
斉諧生按ずるに、次代の指揮界は、必ずや、この2人を軸に展開するものならん。
シクステン・エールリンク(指揮)イェーテボリ響ほか、ローセンベリ;交響曲第4番「ヨハネ黙示録」(CAPRICE)
サロネンを買ったら、中古屋のサービス・スタンプが1,000円割引分、溜ったので、買おうかどうしようか迷ったこの盤を購入。
ローセンベリは現代スウェーデンの作曲家、斉諧生偏愛のステンハンマルの弟子筋に当たる。交響曲第4番は第2次世界大戦への抗議として1940年に作曲されたものという。
プロテスト・ソングは好みではないので一旦は見送ったのだが、エールリンクの指揮だし、独唱はホーカン・ハーゲゴール(Br)、合唱はスウェーデン放送合唱団等、と豪華な顔ぶれ、どのような音楽世界か、一聴してみたい。
ロリン・マゼール(指揮)ベルリン・フィルほか、ワーグナー;管弦楽曲集(BMG)
マゼールのワーグナーは、以前TELARCに録音した「歌のない『指環』」等での響きが見事だった。久々のベルリン・フィルとの顔合せに期待大。
ジョス・ファン・インマゼール(Fp)ヴェラ・ベス(Vn)ブルーノ・ヴァイル(指揮)ベートーヴェン;P協第5番「皇帝」&Vn協(Sony Classical)
このカプリング、再発の廉価盤ならいざ知らず、新録の新譜としては空前のディスクでは?
実は、インマゼールより、ベスのVn協が楽しみ。「皇帝」の独奏の書き方からして、フォルテピアノでは十分な演奏効果が期待しにくいと思う。
オーケストラはターフェルムジーク
アレクサンドロス・ミラート(指揮)ラ・カメラータ、マルティヌー;ピアノ、ティンパニと弦楽のための二重協奏曲&オネゲル;交響曲第2番(AGORA)
「愛惜佳曲書」に掲載したマルティヌー;二重協奏曲の新録音なので、購入せざるべからず。
オネゲル;第2交響曲とのカプリングは、第2次世界大戦との関係濃厚な曲同士の組合せと見た。
えてして、こういう「平和コンサート」は、企画した側の思い入れだけで演奏者側は能天気だったりするのだが、ギリシャの指揮者とアンサンブルが、果たしてどのような音楽を聴かせてくれるか、楽しみである。
パオロ・パンドルフォ(Gamba)無伴奏曲集(GROSSA)
前にHMFにバッハ;ガンバ・ソナタの名演奏を録音したパンドルフォ、最近はGROSSAから陸続と新譜が出ていたが、ついにバッハ;無伴奏チェロ組曲第4番(原曲は変ホ長調だがガンバ向けにト長調に編曲)を含む無伴奏曲集を発表、買わざるべからず。
ウルズラ・ホリガー&カトリーヌ・アイゼンホーファー(Hp)2台のハープのためのリサイタル(Claves)
鈴木@Syuzo's Homepageさんの先日の更新で、存在を知った1枚。
「愛惜佳曲書」掲載のフランク;前奏曲、フーガと変奏(原曲:オルガン)を含んでおり、前にシュヴァリエ&フライシュマン盤(CASCAVELLE)も買っていたが、ここはもひとつ、と購入。拙作のMIDIファイルでもヴォイスに使っているように、この曲、たしかにハープ編曲したくなる楽想である。
いずれ、原曲と両盤を聴き比べてみたいもの。

4月29日(祝): 黄金週間の祝日、新譜聴取か更新準備といきたいところだが、よんどころない所用で箕面市まで出かけなければならなりませんでした。(T_T)
 ならばと、帰りに大阪・日本橋に立ち寄り、長年の懸案であったヘッドフォン問題に決着をつけるべく、オーディオ専門店で比較試聴。
 結論は、やはりクラシックなら、ということで、STAX社の"Lambda Nova Signature"というモデル、専用アンプSRM-T1S(真空管式!)がセット。

 STAXはちょっと贅沢のようだが、斉諧生現用のCDプレーヤーとプリアンプには、なぜかヘッドフォン出力が附属しないので、一般的なヘッドフォンでも専用アンプが必要になるので、あまり違わないのです。

 これで夜間にも安心してCDが聴けることになり、「買ったけれど聴いてない」CDが少しでも減るのでは、と期待しています。

 ついでに日本橋で数点購入。

カール・シューリヒト(指揮)シュトゥットガルト放送響、ブラームス;交響曲第2番(独archiphon、LP)
STAXを買ったオーディオ専門店で、他のコーナーを見て回ったときに遭遇した1枚。
CDは架蔵済みの演奏ですが、やはりアナログ時代の録音はアナログで聴きたい気持ちが、「大きな買物をしたばかりだからやめとけよ」という良心の声に勝ってしまいました。
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)ブルーノ・カニーノ(P)モーツァルト;VnソナタKV.481・KV.303ほか(NUOVA ERA)
このアッカルドのモーツァルト;Vnソナタ集、全6枚を初発時に買いそびれてしまい、最近、中古等でポツリポツリと拾っています。
日本橋の中古盤屋で1枚見つけたので、早速購入。
山下和仁(G)バッハ;無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ(G編)(CROWN)
山下和仁(G)バッハ;無伴奏チェロ組曲(G編)(CROWN)
バッハの名作の山下自編、初発時にはずいぶん話題になったもの。でも国内盤フルプライス2枚組に手が出なかったところ、やはり日本橋の中古屋で安くなっていたのを購入。

4月27日(月): 真空管アンプの専門季刊誌『管球王国』第8号@ステレオサウンドを購入。
 おお、宇野功芳*尊師*「名演奏家と管球アンプ」という連載を始められた! (^^;
 第1回は尊師のオーディオ遍歴、といってもスピーカー・キャビネットは40年以上同じ物を使い続けている、アンプは35年間マランツ#7(プリ)+クォードU(パワー)、等々といった調子だ。
 だから、オーディオ機器の話は第1回で完了、次回以降はどうなるのだろう?

 それはそうと、オーディオ・ラック兼用の整理棚の下の方に、菅野美穂;写真集"NUDITY"が入ってますね、尊師(^^)

 

ポール・パレー(指揮)デトロイト響、メンデルスゾーン;組曲「真夏の夜の夢」、交響曲第5番&ハイドン;交響曲第96番(Mercury)
待望していたパレーのドイツ音楽のCD化、ワーグナーに続いてはメンデルスゾーン、これも大歓迎。
思えば、パレーの指揮芸術との出逢いとなったのが、このメンデルスゾーン。
今から7年ほども前のこと、大阪の輸入盤屋の@2,000円コーナーで拾った、この録音のモノラル版LPが始まりだった。
交響曲第5番「宗教改革」での勁烈な響きに魅せられて以来、パレーのLPを大阪や東京のレコード店で探し回り、今では御覧のとおりHPでパレーを取り上げるまでになったのである。
マーキュリー録音のCD化が始まって以来、ずっとフランス音楽ばかり出ていたが、ようやくドイツ物に手がついた。次は、ぜひ、ベートーヴェン;交響曲第1・2番を復活させてほしいもの。
アリ・ラシライネン(指揮)ノルウェー放送響、スヴェンセン;交響曲第1・2番(FINLANDIA)
ノルウェーの交響曲作家として著名なスヴェンセンの交響曲全集である。
意外に録音に恵まれず、めぼしいのはマリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィル(EMI)ぐらいではなかったか。
最近、同レーベルで活発な活動を始めたラシライネン(顔写真をみるとイマイチ指揮者らしからぬ容貌だが。といってもセーゲルスタムよりは…)の棒にも期待を寄せたい。

 パレー・ディスコグラフィに上記のCDの情報を追加。


4月26日(日): 凄いページを見つけた。 某BBSの掲示板からリンクされていたのだが、

Leopold Stokowski: Making Music Matter

が、それである。
 ペンシルヴァニア大学の音楽図書館の仕事のようだが、まぁ、見に行ってください。写真の資料的価値だけでも凄いものです(ちょっと画像が重いけど)。
 例えば、ストコフスキーがオーケストラの配置をどう工夫したか、よくわかります。
 
 当「斉諧生音盤志」も、ああいうページを作れればと思うが、とても力が及ばない。
 でも、ゴールデンウィーク中に、一つ、新しいコンテンツを公開すべく、作業中です。どうぞ、お楽しみに。(更新確率60%)

 未聴のものが溜りすぎていて、何から聴こうか、迷いが多すぎて決まらなくなってしまう。 で、人から「○○はどうでしたか」などと尋ねられると、「あ、まだですけど、今度の週末にでも…」ということで、聴くものが決まる。
 我ながら、何をやってんだか、と思うが、まぁ、それはそれでいいのかもしれない。(^^;
 今日の新譜試聴録では、ブラームスとラフマニノフが、そういうパターン。

ユーディ・メニューイン(指揮、Vn)ポーランド室内管、バッハ・モーツァルト・エルガー・バルトーク(MUZA)
これは本日最大の収穫。カザルスの指揮を評価される方には、是非盤としてお薦めしたい。あれほどの巨大なスケールではないにせよ、非常に近しい世界がある。
もう十数年ほども前の録音だが、メニューインがここまで来ているとは思わなかった。刮目して聴くべし。
バッハ;2つのVnのための協奏曲
アンサンブルは多少雑然としているが(ピッチもイマイチ)、精神力を感じるフレージングである。
強拍を強調しているせいか、すべてのパートが存在感を持って鳴っており、彫りの深さや立体感といったものが実現されている。最近では聴けなくなったが、リヒターとかミュンヒンガーあたりが専家とされていた頃のバッハ演奏を思い出す。
いや、それ以上に、カザルス&マールボロ音楽祭管を想起する。合奏精度の類似からか? (^^;;;
Vnは、もちろんメニューイン本人と、リーランド・チェンという台湾出身の弟子(1965年生れとか)が弾いているのだが、どちらがプリモか断定しかねるほどで、まったく衰えを感じさせない。1984年のライヴだから、78歳くらいのはずなのだが…。
モーツァルト;交響曲第35番「ハフナー」
繰返しをほとんどしていないせいもあって、全曲で19分弱。
まず、冒頭のティンパニの強打に圧倒される。バッハよりもアンサンブルがよくなり、弦の内声が克明に刻むのが音楽の生命を伝える。
この曲でも、すべてのパートがよく鳴っており、第1楽章展開部入りのファゴットの持続音の意味深さや第2楽章での木管の動きなど、面白い。
第3楽章メヌエットのトリオの優しい歌は心に沁みる。
第4楽章は凄い勢いだ。第1Vnの刻みがドライヴ感を生む。ティンパニの轟きも快感。
この曲にもカザルスの名演があった。あの灼熱にはさすがに及ばないが、魂には近いものがある。
エルガー;序奏とアレグロ
裂帛の気合で序奏が始まる。熱い熱いエルガー。でも旋律は懐かしい。
ポーランドのオーケストラだけに、イギリス風味は無く、むしろドヴォルザーク;弦楽セレナードあたりを連想させるサウンドだが、音楽の心は素晴らしい。
アンサンブルも、ずいぶんよくなってきた。
バルトーク;弦楽のためのディヴェルティメント
メニューインは晩年のバルトークと親交があったし、この曲も確かNimbusかどこかに録音していた。オーケストラも、同じ東欧の作品ということで、手の内に入っているのだろう、バッハとは見違えるような素晴らしいアンサンブルを聴かせる。
第1楽章の立派さ、第2楽章の沈潜、第3楽章の舞踏の狂騒、いずれも素晴らしい。
この曲も最近、録音が多いが、凡百の演奏とは次元が異なる感じ。「愛惜佳曲書」に掲載すべきベスト盤かもしれない。いずれ、ドラティ盤と比較試聴してみたい。
エレーヌ・グリモー(P)クルト・ザンデルリンク(指揮)シュターツカペレ・ベルリン、ブラームス;P協奏曲第1番(ERATO)
この曲は苦手で、ほとんどまともに聴いたことがない。第1楽章冒頭の大げさな絶叫調に拒否反応を起こすのだ。
ところが、ここでのザンデルリンクは素晴らしい。実に雄大なスケールで、堂々と、まるでブルックナーのようだ。ここまで徹底されれば、文句ない。
誠に「ピアノ付きの交響曲」の異名にふさわしい、シンフォニックな出来栄えで、最後まで気持ちよく聴けた。
グリモーのピアノも、ここぞというところでは腰の入った響きを聴かせるので、納得させられる。
ゲーリー・カー(Cb)アルフレード・アントニーニ(指揮)オスロ・フィル、クーセヴィツキー;Cb協(米CRI、LP)
カーの技巧に唖然とする。ほとんど、チェロにしか聴こえないくらいだ。
独奏をオン・マイクで捉えた、ややハイ上がりの録音(マスタリング)が、それを助長している。
曲そのものは楽しく聴ける気軽なショウピースだが、カーの意気込みが物凄く、感心させられた。
ゲーリー・カー(Cb)ウロス・ラヨヴィッチ(指揮)ベルリン放送響、クーセヴィツキー;Cb協(KOCH-SCHWANN)
同じくカーの、これは1979年の録音。CRI盤の熱気はないが、録音も自然だし、技巧には衰えがなく、音楽に余裕・深みが出ている。まず、こちらが本命盤だろう。
ニカノール・サバレタ(Hp)ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管、ヒナステラ;Hp協(DGG)
この曲の基本的名演奏だろう。納得して聴いた。
巌本真理弦楽四重奏団、モーツァルト;弦楽四重奏曲第15番・第19番「不協和音」(日AUDIO LAB、LP)
よく仕上がった演奏。録音も鮮烈。
ただ、いかにも生真面目、愉悦感は乏しい。録音も潤い・響きには、やや不足しており、良くも悪くも日本人のモーツァルト。
ポール・トルトゥリエ(Vc)アルド・チッコリーニ(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(英EMI、LP)
ひょんなことからラフマニノフの聴き比べをすることになった。
LP期の代表盤だったトルトゥリエとチッコリーニ唯一の共演。カプリングはショパンのソナタ。調性は同じだし、ピアノが活躍するところも共通する曲同士。ラフマニノフがショパンを下敷にしたものと思われる。
第1楽章の序奏から思い入れ十分、第1主題の語り口も滑らかで堂に入ったもの。
そもそもこの曲は、抒情的な旋律に満ち溢れている上に、チェロがよく鳴る音域ばかり使っている。トルトゥリエも朗々と、スケール大きく、存分に歌っており、この点では5盤中、最右翼である。
チェロに対してチッコリーニのピアノも臆せず自己主張しており、誠に聴きばえがする。
特に第3楽章のラフマニノフらしい憂鬱でセンチメンタルな音楽や、コンチェルタントな第4楽章の出来がよい。
ただ、前半の楽章で強く感じるのだが、この頃(録音は1967〜68年)のトルトゥリエの欠点である音程の甘さと中音の鼻にかかったような響きや高音のかすれ等が耳につく。言葉が悪いが、ヌメヌメした感じに聴こえる(こういうのが好きな人もいるかもしれないが。)。
ピアノの表情にも、時に強引なフシがある。
魅力的だが、ベストには推しづらい演奏だ。
アルト・ノラス(Vc)エーロ・ヘイノネン(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(FINLANDIA)
ノラスはトルトゥリエの弟子といっていい人だが、師匠とは対照的に、甘さを極力抑えた禁欲的なチェロである。
しかし、単調さとは全く縁がなく、音色やヴィブラートの使い分けなど、みごとなもので、時に切々たる歌も聴かせる芸の深さを持つ。
チェロだけをとれば、これが最も斉諧生の好みに近いが、残念なのはピアノ。
伴奏役に徹しようという構えで、ソロをとるところでも自己主張がまったくない。第3楽章冒頭など、本来ならピアノがさらってしまうところ(チェロが霞むところ)の筈なのに、きわめて控え目。ちょっと行き過ぎではないか。
そのため、第4楽章は両者とも大人しすぎて、ちょっと盛り上がりに欠ける結果になった。
リン・ハレル(Vc)ウラディミール・アシュケナージ(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(DECCA)
ノラス盤とは正反対に、チェロに個性味が欠乏した演奏。歌い方など特段悪いわけではないが、音色が美しいとか、押し出しが強いとか、そういった音の魅力というものが欠けているのだ。
一方、アシュケナージは遠慮なく目だっており、特に第3楽章の冒頭など、極めて美しい。ピアノ・パートに関しては最右翼の盤。
ヨーヨー・マ(Vc)エマニュエル・アックス(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(SonyClassical)
CD時代の代表盤とされる演奏である。
ヨーヨー・マ特有の高音の美しい音色、絶品ともいえる節回し、いずれも絶好調。第1楽章第1主題での諦念の美さえ感じさせる深さ、第3楽章でピアノのモノローグを受けて歌い出すときの陰の濃さは、空前絶後、言語道断の素晴らしさだ。
総合点ではこれが一番高いが、かといって本命盤には推しづらい。
例えば、他のチェリストがffで歌い上げるところを、ヨーヨー・マはmfくらいで軽々と(しかし絶妙に)口ずさむ、というような行き方をする時がある。mpのところはppに、といった具合だ。
言い換えれば、この曲本来の持ち味である「陶酔的なロマンティシズム」の裏を行くアプローチをするところがある。第2楽章でスケルツァンドの風味が出ず、第4楽章でコンチェルタントな興趣が盛り上がりにくいのも、そうしたことが原因だろう。
長谷川陽子(Vc)野平一郎(P)ラフマニノフ;Vcソナタ(VICTOR)
長谷川さんはノラスに学んだから、トルトゥリエの孫弟子ということになろう。今日は3代揃ったわけだ。(^^)
第1楽章冒頭は、5つの中で最も思い入れ十分に、強く出る。第1主題の歌い口も低回せず、フレッシュなもの。スタジオ録音ながら、盛り上がるところでの高揚感にはライヴ的な雰囲気を感じる。
第2楽章主部はノラスに似てスケルツァンドを意識した鋭さ、中間部では一転して見事な歌を聴かせ、高音の響きも美しい。
第3楽章でのピツィカートの意味深さ、第4楽章のドライヴ感など、独自の感性を見せている。
とはいえ、ノラスやマに比べ、音色の作り方がやや単調、また、勢いがあるのはよいが、雑に流れる面もなしとしない。
若さを生かした快演として愛でたいが、代表盤として薦められるかというと、ちょっと違うなァ、と思う。
斉諧生は長谷川さんのファンなので、いつか再録音されるときには、師匠ノラスや憧れの人ヨーヨー・マを凌駕する名演を期待しております。

4月25日(土): ハンター@数寄屋橋が、3か月に1回くらい、京都で中古盤セールをしている。今日・明日と会期なので、早速、行ってきた。
 開場は午前10時なのだが、斉諧生の現地着は9時40分頃、既に10人程度の行列ができている。
 時間の都合でLPのヴァイオリン、室内楽、セット物の3コーナーしかチェックできなかったが、まぁ、よしとしよう。戦果は下記新譜買得録のとおり。いくら@800〜1,000円といっても、ちょっと多かったなぁ。(^^;
 でも、買う人は車で乗りつけて100枚近く買っていくのだ。家族同伴組までいる(これはむしろ羨ましいと言うべきか。あるいは他のレジャーと抱き合わせか?)。
 さて、棚から採ってきたLPを検盤台でチェックしていると、周りの人の収穫に目が行く。
 あ、「館野泉・フィンランド・ピアノ曲集」(東芝、LP4枚組)。おい、買うな、買うな、棚へ戻せ! (と、内心の叫び)
 あ〜あ、レジへ行ってしまった…。

 ハンターのセールでは、オーケストラ物は、ほとんどがカラヤンとかベームとかショルティ、メータといったあたりで、面白いものに当たる率が低い。むしろ、弦楽器や室内楽の棚に、珍しい輸入盤や国内製作のLP(廃盤のままのものも多い)といった掘出し物を見つけることができる。
 今日のテーマも、「ヴァイオリンや弦楽器の珍しいLPを捜す」
 下記以外にも面白いものが色々あったのだが、「単に珍しいというだけでは、買わない」・「録音が良さそうというだけでは、買わない」・「今日のテーマから外れるものは、*なるべく*買わない」等々、各種原則を適用して、絞って買ったのだが、うーん、絞りきれなかったと言うべきか…。

スーザン・マクドナルド@吉野直子嬢の師匠のリサイタル盤というのもあった。惜しいことをしたのかもしれない。(^^;

 また、通販業者からLPが1枚、Compact Disc ConnectionからCDが4枚届いた。

ヴァイオリンの珍しいLP
サルヴァトーレ・アッカルド(Vn)ロドヴィコ・レッソーナ(P)ベートーヴェン;Vnソナタ第9・1番(伊FONIT-CETRA、LP)
CETRAというとライヴの放送録音というイメージが強いが、これはそうではなく、正規のスタジオ録音の模様。録音年代等は明記されていないが、ジャケット裏のアッカルドの写真−ちょっとやくざっぽい雰囲気がある−からすると、Philipsにブルッフやシベリウス等を録音する前ではなかろうか。
若い頃のアッカルドの、美音の絶頂を期待して購入。
ダヴィド・オイストラフ(Vn)フリーダ・バウアー(P)シューベルト;VnとPのための幻想曲・二重奏曲(蘇メロディア、LP)
幻想曲は近頃偏愛の曲だが、更に名盤を求めて、今日2枚買った内の一。
オイストラフにこの曲の録音があったとは知らなかった。ステレオだが録音年代不詳。
セルジウ・ルカ(Vn)ヨゼフ・カリクシュタイン(P)シューベルト;VnとPのための幻想曲・ソナチネほか(米Nonsuch、LP)
幻想曲の名盤を求めて、その二。
ルカはルーマニア生れ、イスラエルで育ち、スターンの助力でアメリカに渡ってガラミアンに学んだという経歴。彼はNonsuchに多く録音しているが、この盤は知らなかった。1978年録音。
新井淑子(Vn)館野泉(P)シベリウス;Vnソナチネ&ブラームス;Vnソナタ第1番「雨の歌」ほか(芬FINLANDIA、LP)
フィンランドで活躍する日本人演奏家の顔合せ。ジャケット裏には2人の漢字の署名があるのが微苦笑を誘う。1980年録音。
上記の他、19世紀初めの作曲家ビュストロェムの、代表作とされるVnソナタを収録。
ニルス・エリク・スパルフ(Vn)ほか、ショェグレン;Vnソナタ第1〜5番ほか(瑞POLAR、LP)
ショェグレン(1853〜1918)はスウェーデンの作曲家、ベルリンに留学したりパリをしばしば訪れたりしたようだが、基本的にはストックホルムで教会オルガニストや教職に就いて作曲活動をしていた。
作品には歌曲が多く、ハンス・ベトゲの「中国の笛」(もちろん、マーラー;大地の歌のネタ本)に付曲したものもあるそうだが、Vnソナタも主要なジャンルで、パリで知り合ったエネスコティボーも演奏したという。
6人のヴァイオリニストによる3枚組LP(録音1984〜85年)。
ジェラルディン・オグレイディ(Vn)チャールズ・リンチ(P)、モエラン;Vnソナタ&ファーガソン;Vnソナタ第2番(アイルランドEMI、LP)
斉諧生、北欧音楽についではイギリス音楽を好む。モエランは、前にジェフリー・テイト(指揮)の小品(EMI、CD)を聴いたことがあり、ディーリアスを渋くしたような作風で、興趣がある。
アイルランドEMIのレコードは初めて見るが、モエランもファーガソンもアイルランド系の人、ヴァイオリニストもピアニストもアイルランド出身。1975年頃の録音。
アンドレ・グーソー(Vn)メアリ・エリザベス・セイドゥン(P)ルクー;Vnソナタ&ホイブレヒツ;Vnソナタ(白PAVANE、LP)
全点蒐集を目標にしているルクーのレコードを見つけたので迷わず購入。
ヴァイオリニストはブリュッセル生れ、パリでカルヴェや、コーガンのマスター・クラスで学んだとか。1980年代初めの録音。
アウレリオ・ペレス(Vn)ロナン・マッギル(P)ピエルネ;Vnソナタ&カスティヨン;Vnソナタ(仏Ophelia、LP)
フランス近代の珍しい作品なので買ってみた。ピエルネは捜せば見つかる曲だが、カスティヨン(1838〜73)は世界初録音とのこと。
ヴァイオリニストはシチリア出身でカルヴェやシェリング、グッリに学んだとか。
ヨゼフ・スーク(Vn)ヤン・パネンカ(P)ヤナーチェク;Vnソナタほか(チェコSUPRAPHON、LP)
「チェコのヴァイオリン・ソナタ」と題された1975年録音の2枚組で、ヤナーチェクのソナタや小品のほか、ノヴァークネドバルフォルステルといった20世紀の作曲家の作品を収めている。
ヤナーチェクのソナタは名曲だと思うが、あまり録音されていない。このスークのステレオ録音は本命盤とされる演奏、見つけることができて嬉しい。モノラル録音もあるそうなので、それも探求盤の一。
スタンレー・ヴァイネル(Vn)ウラ・グラーフ(P)ヤナーチェク;Vnソナタ&シベリウス;Vnソナチネほか(白DUCHESNE、LP)
妙なカプリングの盤だが(上記の他にラヴェル;遺作ソナタ、ヴァイネルの自作を収める。)、ヤナーチェク、シベリウスとなると聴きたくなる。
初めて聞くヴァイオリニストだが、このレーベルには数多く録音している模様で、実力の程や如何に。
録音年代は明記されていないが、1970年代末頃か。
デネシュ・コヴァーチュ(Vn)イエネ・ヤンドー(P)ほか、ドホナーニ;弦楽三重奏のためのセレナード&Vcソナタ(洪HUNGAROTON)
1980年代半ばの録音。ジャケットはビニール・コーティングされているし、デザインも綺麗だし、ちょっとフンガロトンと思えない出来栄え(hyperionみたいな感じだ)。
もともとハンガリーは東欧諸国の中では富裕な国なので、そうした国力のあらわれだろうか。
で、ドホナーニは指揮者の祖父に当たる作曲家(というか、昔は、ドホナーニの孫が指揮者をしているらしい、だったのだ)。
1902年に完成したセレナードは、弦楽三重奏の編成ではけっこう有名な曲で、ハイフェッツやパールマンの録音もあった。地元チームの好演を期待したい。
チェロ、コントラバスの珍しいLP
アンナー・ビルスマ(Vc)ウェルナー・ゲヌイト(P)ほか、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタほか(独MPS、LP)
ビルスマのアルペジオーネ! これは聴いてみたい。
「シューベルトの室内楽」と題された2枚組で、フルートのための「『しぼめる花』の主題による序奏と変奏曲」と(独奏はフランス・フェスター)、フルート、ギター、ヴィオラとチェロのための四重奏曲(マティーグカという人の三重奏曲を編曲したもの)を収録。
1970年代初めの録音だが、ジャケットの写真のビルスマ、まだ頭の上に髪がある。(^^)
アンナー・ビルスマ(Vc)ヘラルト・ファン・ブレルク(P)ショパン;Vcソナタ・序奏と華麗なポロネーズほか(独ACANTA、LP)
ビルスマにショパンの録音があったとは! もっとも1835年製のチェロと1840年製のエラールのピアノを使用しているとのことで、やはりピリオド志向。1970年代初めの録音。
ショパンとフランショームの合作になる「『悪魔のロベール』の主題による協奏的大二重奏曲」を収録しているが、これは1993年にSony Classicalに録音したフランショーム;作品集にも収めていた。
エルッキ・ラウティオ(Vc)マルッティ・ラウティオ(P)エングルンド;Vcソナタ&アルト・ノラス(Vc)エーロ・ヘイノネン(P)コッコネン;Vcソナタ(芬FINLANDIA、LP)
この盤、検盤台で隣の人が見ていたのだが、どうも要らない様子だったので、声を掛けて譲り受けた。彼はバロック愛好家らしく、フィンランドの現代音楽など惜しくない口吻だった。
喜んだのも束の間、これは1983年のデジタル録音。斉諧生は、デジタルならCDで聴くのを原則にしているのだ。これは多分、CDでも出ているはず。
ところが、隣の人の手前、棚に返すのも憚られ、まぁいいや、と買ってきた。
で、家に帰って捜してみると、B面のノラスのコッコネンはCDで架蔵済みであった。(*_*)
ゲーリー・カー(Cb)アルフレード・アントニーニ(指揮)オスロ・フィル、クーセヴィツキー;Cb協ほか(米CRI、LP)
ボストン響を育てた指揮者として有名なクーセヴィツキーだが、彼はもともとコントラバスの名人上手として知られ、ソリストとして活動していた。この楽器のソロのレパートリーが少ないのに困った彼は、1904年、自分でこの曲を作ったのである。
クーセヴィツキー遺愛のアマティの楽器を譲り受けたのが、ゲーリー・カー。この曲も、1979年にベルリン放送響と録音した盤があり、CDを架蔵している(KOCH-SCHWANN)。
しかし、その前に(1969年頃)、このアメリカ現代音楽で知られたレーベルへの録音があったとは知らなかった。カーは1941年生れだから、まだ20歳代の記録ということになる。
カプリングはアンタル・ドラティ(指揮)ミネアポリス響、ブロッホ;シンフォニア・ブレーヴェで、マーキュリー原盤の録音。この曲はクーセヴィツキー財団の委嘱作で、クーセヴィツキー夫妻に献呈されており、その関連で、このディスクに収められたものと思われる。
その他
ベルリン弦楽合奏団、ロッシーニ;弦楽ソナタ第1・3・6番、第4・5・2番(日カメラータ東京、LP)
カメラータ東京草創期、1977〜78年の録音で、バラ2枚で全曲。
ベルリン・フィルのメンバーを中心にしたアンサンブルで、Vnは3人ずつ、Vcはヨルク・バウマン、Cbはクラウス・シュトール各1人。78年のセッションからVnに安永徹が入っているが、写真を見ると若いというより可愛らしい。(^^)
ネヴィル・マリナー(指揮)ASMF、ディーリアス;管弦楽曲集(英ARGO、LP)
CDでも持っている録音だが、アナログ期のものは、やはりLPで聴きたい。1977年録音。
ネヴィル・マリナー(指揮)ASMF、ウォルトン;弦楽のためのソナタ&プロコフィエフ(バルシャイ編);束の間の幻影(英ARGO、LP)
1970年代初め、マリナーが最も尖鋭だった頃の録音。プロコフィエフに犀利な感性の表出を期待したい。
ピーター・ゼルキン(P)アレクサンダー・シュナイダー(指揮)イギリス室内管、モーツァルト;P協第14〜19番(米RCA、LP)
横差しボックスの3枚組。この演奏は柴田南雄氏が「早目の、軽いテンポとリズムで運んでいくが、デリケートな優しさ、彼のナイーヴな感じ易い心、がよく伝わってくる。」と評価しておられたので、前から聴きたかったもの。
ニカノール・サバレタ(Hp)ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管、ヒナステラ;Hp協&タイユフュール;Hp協ほか(DGG)
ヒナステラのHp協は興味がある。サバレタ盤があるとは知らなかった。しかもマルティノンの付け。
この盤、なぜかジャケットやレーベルの"Deutsche Grammophon Gesellschaft"のロゴがシールで封されている。EMIの犬マークのように商標権の問題だろうか?
巌本真理弦楽四重奏団、モーツァルト;弦楽四重奏曲第15番・第19番「不協和音」(日AUDIO LAB、LP)
1975年、菅野沖彦氏による録音。CDでも架蔵しているのだが、やはりオリジナルのLPで聴きたい。
エヴァ・クナルダール(P)ヒンダールQ、シンディング;P五重奏曲(Philips、LP)
BISレーベルからグリーグのP曲集を出したクナルダール女史が参加したシンディングの録音、これは聴いてみたいところ。
ヨーゼフ・ウルザーマー(指揮)声楽器楽アンサンブル、テレマン;忠実な音楽の師(独ARCHIV、LP)
最後になったが、本日最大の収穫
テレマンが音楽愛好家向けに1年間隔週で発行した楽譜集から62曲を録音した5枚組(録音1966〜67年)。チェンバロ独奏あり、トリオ・ソナタあり、アリアあり、またゼレンカやヴァイスらの作品も混じっている。
声楽にはエディット・マティスエルンスト・ヘフリガーら、器楽にはハンス・マルティン・リンデ(Fl)、エドゥアルト・メルクス(Vn)らを擁したこの録音、学生時代に国内盤を聴いて楽しさに魅せられて以来、手許に置きたかったのである。少し前にCDも出たが、こういうのはやはりLPでないと、音的に満足できない。
服部幸三氏の日本語解説が添付されているので、直輸入盤として日本ポリドール社から販売されたものであろう。発行日等から見て、本国での発売から間もない時期のようであり、オリジナル盤に準じると考えてよかろう。満足満足。
 
ボイド・ニール(指揮)ボイド・ニール管、バッハ;ブランデンブルグ協奏曲第1・2・4番(米Unicorn、LP)
ブランデンブルグは蒐集しているので(とても全点蒐集とはいかないが…)、ボイド・ニールの演奏はぜひ欲しいと思い、通販業者から購入したもの。
Vnはエマヌエル・ハーウィッツ、Obにレオン・グーセンスを迎えている。また、マスタリングはピーター・バルトークが担当したモノラル録音。
もちろん、残りの3・5・6番も欲しいものだが、さて、いつ手に入るやら…
ジャケット等にオーケストラの名称として"The Boyd Neel Orchestra,Ltd."とあるのだが、"Ltd."がわからない、有限会社???
 
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム室内管、ハイドン;交響曲第22番「哲学者」・第78番・第82番「熊」(Sony Classical)
ここからはCD。
サロネンには珍しい古典派の録音。どんな詰め方をしているか、興味津々。
この盤は、「サロ様と彩ちゃんの部屋」通称「サロ様城」の女城主、彩姫から頻りにお薦めいただいていたので、注文していたもの。
ユーディ・メニューイン(指揮、Vn)ポーランド室内管、バッハ;2つのVnのための協奏曲ほか(MUZA)
1984年4月27・28日のワルシャワでのライヴ録音。モーツァルト;交響曲第35番「ハフナー」エルガー;序奏とアレグロバルトーク;弦楽のためのディヴェルティメントを収録。
これはメニューイン&ミルシテインのページを拝見していたときに、メニューインが10回録音しているというバッハのドッペル・コンチェルトのうち、8回目に当たるこの録音は、「クライスラー/ジンバリストに匹敵する名演」との評があったので、注文してみたもの。
カプリングのバルトークあたりも、楽しみ。
キャロル・ファーレー(Sop)ホセ・セレブリエール(指揮)ディーリアス;「7つのデンマークの歌」・組曲「イルメリン」ほか(DINEMEC)
何がきっかけだったか、もう忘れたが、(^^; DINEMEC SOUNDのWebpageに辿り着いて、カタログをパラパラ見ていたら、ディーリアスの作品の世界初録音というのがあったので、注文してみたもの。
セレブリエールって、ちょっと*爆演*系の人なので、多少心配ではあるが…。
ティエリー・フィッシャー(指揮)ジュネーヴ室内管、フランク・マルタン;小協奏交響曲ほか(DINEMEC)
これもディーリアスと同じく、DINEMEC SOUNDのWebpageで見つけたもの。
ハープ・ハープシコード・ピアノと二重弦楽合奏のための小協奏交響曲は、先日、デュトワがN響定期に掛けていたが、CDは珍しいので注文してみた。
このほか「7つの管楽器とティンパニ、打楽器と弦楽合奏のための協奏曲」「パッサカリア」を収録。

4月24日(金): 京都の十字屋が創業何十周年とやらで、大福引大会をやっている(明後日まで)。
 1,000円の買物に補助券を1枚発行、補助券5枚で福引1回、1等はパナソニックのポータブルCDプレーヤー(公称100本)。
 セール期間中に貰った補助券がムリョ35枚(最近タワーが高くなったので、値上げをしていない十字屋が京都で一番安い店に繰り上がっているから)、都合7回の福引ができるというので、内心ちょっと期待して行った。
 結果は、7本とも*カス*(お買物券@100円)。1回に1枚しか使えないから、全部使おうと思うと最低7枚は買わねばならない。(^^;;;

 

ニコラウス・アーノンクール(指揮)ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス、モーツァルト;交響曲第13・14・20番(TELDEC)
久々の登場、アーノンクールのモーツァルト;交響曲シリーズ。まだ続いてたのか、という感じ。(^^)
離合集散の激しい古楽オーケストラだが、このグループはメンバーがほとんど異動していないようだ。ミラン・トゥルコヴィッチが、まだファゴットを吹いているのには、逆に吃驚。
全集完結まで買い続けるしか、ないのである。
加藤元章(Fl)十束尚宏(指揮)東京フィル、尾高尚忠;Fl協、イベール;Fl協&ハチャトゥリアン;Fl協(ライヴノーツ)
尾高@忠明の父の遺作の録音は久しぶりでは? ひょっとしたらデジタル初録音かも。斉諧生は古いランパル/森正/読響のLPしか知らないのだ。
全然前衛ではないので、もの足りぬ思いをする人もいるかもしれないが、メロディの美しい、ウェルメイドな曲。この曲を聴けるかと思うと、今から胸がわくわくする。
そうだ、「愛惜佳曲書」への掲載を検討しよう。
ミシェル・ルヴァナス(P)ルードヴィッヒQ、フランク;P五重奏曲&ショーソン;弦楽四重奏曲(NAXOS)
フランクの五重奏は、同じ作曲家のVnソナタに優るとも劣らぬ名作、見つけ次第買っている。
カルテットの名前はドイツ風だが、メンバーはパリ音楽院出身のフランス系奏者、ピアニストもヴラド・ペルルミュテールやイヴォンヌ・ルフェーブル、イヴォンヌ・ロリオらに学んだ人。
チリンギリアンQ、ボロディン;弦楽四重奏曲第2番、ドヴォルザーク;弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」&ショスタコーヴィッチ;弦楽四重奏曲第8番(CLASSIC fM)
BMG-Conifer系の新レーベル、尾高/読響のショスタコーヴィッチや服部譲治のバッハやクライスラーも出ているが、買ったのはこれ。
何とも凄いカプリングだが、ショスタコーヴィッチ;第8番はバルシャイによる弦楽合奏編曲版を「愛惜佳曲書」に掲げており、信頼できるこのカルテットの演奏であれば、聴いてみたい。

4月23日(木): 『In Tune』誌5月号を購入。編集後記まで読み進んでびっくり、次号から年5回の発行に変わると云々。
 これも業界の不景気の影響で、広告収入も減る一方、記事や批評を充実させるためにゆっくりしたペースで作りたい、とのこと。
 斉諧生按ずるに、これは危うい
 『In Tune』誌の存在意義は、第1に「『レコード芸術』誌では得にくいマイナー・レーベルの新譜情報が、いちはやく掲載される」点にある。ヒューエル・タークイドナルド・リチー新忠篤ら各氏の記事・批評が読めるのは確かに魅力ではあるが…。
 それが、年5回の発行では六菖十菊、情報より現物が先に店頭に並ぶような状況に陥れば、同誌の将来が懸念されるというものだ。
 もちろん、読者のニーズを踏まえての決定であろうし、上記は斉諧生の独自の見解に過ぎないかもしれない。むしろ、杞憂に終わることを望む。
 斉諧生にとって望ましいのは、もっと短いサイクルで(旬刊か隔週刊くらい)、録音情報や発売情報が素早く入手できることだ。体裁など問わない。ザラ紙に軽印刷、綴じずに二つ折り、というのでもよいのだ。あるいは、Web-Zineとして有料公開されるのでも、Mail-Serviceでも構わない。月500円くらいなら、絶対加入する。
 どんなものだろう。

 

ボイド・ニール(指揮)ボイド・ニール弦楽合奏団ほか、ブリテン;シンプル・シンフォニー&フランク・ブリッジの主題による変奏曲ほか(DUTTON)
この演奏、4月7日の項に書いたように、Pearlからの復刻(番号はGEM0002)を買っている。演奏は気に入ったが、音の状態にやや不満があったので、DUTTONからの復刻を購入してみたもの。
上記の他、ヴォーン・ウィリアムズ;コンチェルト・アカデミコ&タリスの主題による幻想曲を収録。
しかし、いかんなぁ。マニアックな所為だなぁ。復刻の違いを求めるとは…。
で、一聴してみたところ、かなり違う。普通の意味で聴きやすいのはDUTTON盤で、ボディのしっかりした楽音が聴ける。一方、Pearl盤は、あまり整音していないが、その分、元のSPの音に忠実な復刻である。どちらを採るかは、好みの問題のレベルだろう。
斉諧生は、基本的には、加工していないものを好むが、この場合は悩んでしまう。DUTTONの復刻はきわめて上手で、雑音を排したために楽音の生命感まで殺してしまうようなことは、ない。一方、Pearl盤は音源のSPの状態がやや不良のように見受けられる。うーん。
ジョン・ウィリアムス(G)エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ロンドン・シンフォニエッタ、武満徹;「夢の縁へ」&「虹へ向かって、パルマ」ほか(Sony Classical)
『音楽の友』5月号のサロネン・インタビューについては19日の項に記したが、そこで彼が武満徹との交友について話していた。ずいぶん親しく、音楽的にも共鳴していた模様である。
で、今のところサロネン唯一の武満録音である、ジョン・ウィリアムスに付き合ったディスクを購入。
「夢の縁へ」は、前にジュリアン・ブリームラトルのアランフェス協奏曲を買ったときにカプリングされていた(EMI)。そういうと、サロネンとラトルには共通のレパートリーが多い。メシアン;トゥランガリラ交響曲などが直ちに思い浮ぶし、最近ブルックナーをリリースしたところも一緒だ。
で、サロネンも今度マーラー;「大地の歌」を録音したそうだが、既にリリースされているラトル盤と同じくテノールとバリトンでやったらしい。発売されたら聴き比べてみたいものだ。

4月22日(水): 20日(月)に買った矢代秋雄『音楽における郷愁』@音楽之友社を読了。
 まぁ、「残り物の総ざらえ」という趣の、新聞・雑誌・PR誌・プログラム等に掲載された短文の集成で、あまり読みごたえのある文章は無いといっていい。身辺雑記や交友録が、ほとんどである。音楽論を求められる向きには、第1集『オルフェオの死』をお薦めする。
 筆の立つ人なので読んでいて抵抗がないし(團伊玖磨より上手いと思う)、1970年代前半までの文章なのに今読んでも古くさくない感覚はたいしたものだ(矢代は1976年歿)、と附言しておきたい。

 

クリストファー・ウォーレン・グリーン(音楽監督)ロンドン室内管弦楽団、ブリテン;「シンプル・シンフォニー」&「ラクリメ」ほか(Virgin)
中古屋で見つけて購入したもの。
ウォーレン・グリーンは「愛惜佳曲書」ドヴォルザーク;セレナード集を掲げているが、今回は音楽監督を務めるLCOを弾き振り。ブリテンの曲集としては「フランク・ブリッジ変奏曲」とかではなく「ラクリメ」を収録した意欲と、ブリテン編曲のパーセル;シャコンヌ(これも「愛惜佳曲書」に掲載、MIDIファイルつき)をカプリングしたセンスを買いたい。
フィリップ・グラファン(Vn)パスカル・ドワイヨン(P)チリンギアンQ、ショーソン;詩曲(Vn、P、SQ編)ほか(hyperion)
1996年に発見されたという、詩曲の室内楽版(ショーソン自編)の世界初録音。
この編成、お気づきのとおり、ショーソンの名作ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲と同じ。一夜の演奏会で併演するための編曲ではなかったか、とライナーノートにある。
この曲にはVn&P編曲版もあるのだが、ここでのピアノは、管弦楽のハープや打楽器パートを模するだけの軽い書法、オーケストラが弦楽四重奏になって、独奏Vnとのバランスが改善されている、という。
さて、どんな響きが聴けるのか、期待して購入。

4月20日(月): 昨日に引き続き、今日も音楽之友社の出版物を4点購入。

『レコード芸術』5月号
は当然だが、今月の特集「アメリカのオーケストラ'30〜'90」ポール・パレーデトロイト交響楽団が、ほぼ黙殺されているのは情けない。口惜しい。(でも今日、CD屋で得た情報では、このコンビのメンデルスゾーン;組曲「真夏の夜の夢」&交響曲第5番のCDが、近々、発売されるという。慶祝慶祝。これは名演奏です。ぜひ御一聴ください。)
『証言−日本洋楽レコード史(戦前編)』
は資料として重要。こういうのを買い逃すと、後々、臍を噛むことが多い。
矢代秋雄『音楽における郷愁』
はちょっとマイナー趣味かもしれないが、
茂木大輔『うまくなろう! オーボエ』
は、ここまで来ると道楽。斉諧生は別にオーボエを演奏するわけではないが、この人の本は買うことにしているのだ。

 主に中学生・高校生くらいを対象にした本なのだが(これだけでも凄いと思う。10数年前に中・高の吹奏楽部でオーボエを備えていたのは全国大会常連クラスに限られていたものだ)、なかなか面白い。
 目次等も含めて100ページほどの本なのだが、

  1. 楽器の選び方…26ページ
  2. 演奏の心得…28ページ
  3. リードの選び方・作り方27ページ
  4. 目次・資料・Q&A等…24ページ

という構成なのだ。なるほどねぇ。

 

トーマス・イェンセン(指揮)デンマーク国立放送響ほか、ニールセン;Fl協&組曲「仮面舞踏会」ほか(DUTTON)
イェンセンのニールセン演奏は、「愛惜佳曲書」に交響曲第5番を掲げているように、評価している。この盤は、前から承知していたが、先日、サロネンルードで組曲「仮面舞踏会」を買ったので、今日、ふと店頭で目に止まった機会に購入。
ペール・エノクスン(Vn)マリア・ニィベリ(P)ブラームス;Vnソナタ全集(SIMAX)
この間から新譜の棚にあるのを見かけていたが、ブラームスのVnソナタ全集はスークマンもまだ聴いていないし、と思って手を出さずにいた。
ところが、今日、この人は昨日ステンハンマル;2つの感傷的なロマンスを聴き比べたときに、広上淳一盤(FUN HOUSE)で独奏していた人であることに気づいた。繊細できれいなヴァイオリンだったので、ブラームスも是非聴いてみたいと購入。
館野泉(P)シューベルト;初期Pソナタ集(CANYON)
館野さんのシューベルトは、以前に後期3曲の録音があり、とても素晴らしかったので、この初期曲集も是非、と思っていた。ところが例によって国内盤フルプライスには手を出しかねていたところ、CD屋のサービス・スタンプが満願になったので、それを利用して購入。

4月19日(日): 『音楽の友』5月号@音楽之友社を購入。お目当ては特集「音楽ファンのためのデジタル・メディア活用術」飯尾CLASSICAさんの企画とか、普段は買わない「オントモ」だが、これは買わねばならない。
 御本人がWebpageで書かれていたとおり、さして目新しい内容ではないが、よくぞこんな企画が実現したものと、感慨深い。
 また、これとは別に、エサ・ペッカ・サロネンのインタビューもあり、ブルックナーとシベリウスの類似性を語っている発言が目を引いた。

植物が、オーガニックに成長していくように、音楽が空間的に広がり、時間が伸びていく…、そういう感覚が好きなんですね。その意味で、ブルックナーの音楽はシベリウスに近いですね。 (中略)
音の同型反復によって生み出される永遠に持続する時間の感覚が流れている。そういう点でも(シベリウスは)ブルックナーと共通してますね。

ヨーロッパの知識人が、あっさりこういうことを口にするようになったのだから、西洋文明も変化したものだと思う。

 

イヴァン・フィッシャー(指揮)ブダペスト祝祭管、リスト;ハンガリー狂詩曲集(Philips)
昔々、アーサー・フィードラー(指揮)ボストン・ポップス管のLPが家にあって、ケテルビー;「ペルシャの市場にて」とかレハール;「金と銀」なんかと一緒に、よく第2番を聴いていた。同じ頃に家にあった唯一の交響曲レコードは、ストコフスキーの「新世界」(ニュー・フィルハーモニア管)だった…(^^;
久しぶりに聴いたハンガリー狂詩曲第2番だったが、どうも曲が違う。よく見ると、この演奏の管弦楽編曲はドップラーとのこと、へえ、、じゃ、フィードラーは誰の編曲だったのかしら?
演奏は、どの曲も力の入った立派なもの。また、第1番序奏の独奏ヴァイオリンの上手さ、第2番の冒頭のトランペットの渋い音等、オーケストラの地力を窺わせる。
前にも書いたが、このコンビで、ブラームスなりと聴いてみたい。きっと、名演奏になると思うのだが…
藤川真弓(Vn)エド・デ・ワールト(指揮)チャイコフスキー;Vn協&ブルッフ;Vn協第1番(Philips、LP)
序奏のレシタティーヴォから藤川さんの渋い音色が光る。妙に煽らず、落ち着いたテンポでじっくり歌っていくのも、ユダヤ系ヴァイオリニストとの対比が明確で良い。特に第2楽章の主題は「エスプレッシーヴォ」指定を裏切らない、切々たる歌い込みであった。
デ・ワールトの伴奏も安定したものだが、1楽章の展開部、オーケストラのトゥッティが盛り上がる部分では、譜面上の指定より1小節早くダッシュを始め、低弦のアクセントを強調して、突っ走る。カッコいいといえばカッコいいし、そういうフレッシュなところが当時の彼の魅力だったのだろうが、ソリストのテンポからは浮き上がってしまうのも事実だ。
リリアナ・イサカゼ(Vn)ヴェロニカ・デュダロヴァ(指揮)モスクワ響、ブラームス;Vn協(ソMELODIA、LP)
期待して針を下ろしたが、オーケストラの序奏はまるで雰囲気がない。いちおうタテの線は揃っているようだが、微妙に違和感を感じる。どうも、あまり上手な指揮者・オーケストラではないようだ。
イサカゼの音は、かなり細く、またヴィブラートが相当深い。第2楽章など、「嫋々」そのものといった感じで歌い込む。
とはいえ、どうにも盛り上がらない。
独奏のダイナミック・レンジが狭く、オーケストラが左右に分離して、むりやり残響を付加した録音のせいかもしれない。
リリアナ・イサカゼ(Vn)タチアナ・サルキソーヴァ(P)フランク;Vnソナタ(ソMELODIA、LP)
イサカゼの実力はそんなものではないはずと、フランクを聴く。
うん、これはいける。感情の高揚と沈潜が、みごとに音化されている。
彼女の音の細さや、深いヴィブラート(これだけ深いのを常用する人は初めて聴く。ほとんどトリルみたいに聴こえるくらい)、また、少々癖がある音程の取り方(上行するときに狭めになるような感じ)が、いっそう深く暗い情念を感じさせる。
全盛期の演奏が、メロディアのパッとしない録音と製盤でしか耳にすることが出来ないのが、誠に惜しまれるヴァイオリニストだ。
ジョン・ハーレ(Sax)ネヴィル・マリナー(指揮)ドビュッシー;Sax狂詩曲&グラズノフ;Sax協ほか(EMI)
ハーレのサキソフォンは、ヴィブラートを排し、質感が充実した、斉諧生好みの音。
ただ、曲がどうにも馴染めない。ドビュッシーのは未完のものをロジャー・デュカッスが管弦楽編曲したものを、ハーレが自分で再編したというが、どうもドビュッシーの音がしないし、有名なグラズノフの協奏曲も心に響かない。
唯一面白かったのは、ヴィラ・ロボス;Sop.Saxと室内管のための幻想曲か。
アーヴェ・テレフセン(Vn)スティグ・ヴェステルベリ(指揮)ステンハンマル;Vnと管弦楽のための2つの感傷的なロマンス(CAPRICE)
ウルフ・ヴァリン(Vn)パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ステンハンマル;Vnと管弦楽のための2つの感傷的なロマンス(BIS)
ペール・エノクスン(Vn)広上淳一(指揮)ステンハンマル;Vnと管弦楽のための2つの感傷的なロマンス(FUN HOUSE)
ベルント・リセル(Vn)ルシア・ネグロ(P)ステンハンマル;Vnと管弦楽のための2つの感傷的なロマンス(Swedish Society)
ステンハンマルの美しい曲を聴き比べ。最上のものを「愛惜佳曲書」に掲載しようかという目論見だった。
ところが、差がつかないのだ。リセル盤がP伴奏ということで一歩後退するほかは、どれも同じ方向性で、独奏・オーケストラとも繊細な音色で抒情味を生かした好演揃い
甲乙つけ難く、とりあえず「愛惜佳曲書」掲載は見送り。
デヴィッド・ゲリンガス(Vc)ローレンス・フォスター(指揮)ベルリン放送響、「美しいチェロのロマンス集」(独EURODISC、LP)
A面のブルッフ;コル・ニドレイシベリウスのop.77-1、77-2フローラン・シュミット;悲歌を聴いた。
ブルッフは有名曲だが、正直言ってあまり聴いたことがない。ここで聴く限りでは、ゲリンガスは音程・ボウイングともしっかりしていて気持ちよく、まずまず好演と言えると思う。
ところが、シベリウスやF・シュミットも同じ音感覚で弾くのだから、ちょっと首を傾げざるを得ない。失望、落胆してしまった。
デイヴィッド・ヒル(指揮)ウィンチェスター大聖堂合唱団ほか、フォーレ;ラシーヌの雅歌(VIRGIN)
「愛惜佳曲書」掲載の曲ゆえ、期待して聴き始めたのだが、残念ながら、イギリスの団体によるフォーレが陥りやすい欠点が出た。リズムの腰が重く、フォーレの音にならないのだ。
フランスの団体だと、下手でもそのあたりは雰囲気をちゃんと出すし、アンゲルブレシュトのように比較的剛直なフォーレを聴かせる人でも、重くはならない。
不思議なものである。
ジャン・ポール・サラン(指揮)ドメーヌ・ミュジカル管ほか、リリー・ブーランジェ;ピエ・イェズ(ADDA)
これも「愛惜佳曲書」掲載の曲、上出来ならマルケヴィッチ盤との交替もと思って聴き始めたのだが、残念ながら「外れ」。
どうにも録音が不自然。ホールが悪いのか、妙な色付けを感じるし、独唱が奥の方へうんと引っ込んでしまって、器楽伴奏ばかり耳につく。
フランソワ・ルルー(Ob)テレマン;無伴奏Obのための12の幻想曲(Syrius)
オーボエ関連のWebpageを見ると、たいてい、この人について書かれていて、皆さん驚嘆しておられる(例えばオーボエ オーボア)。
このディスクでも、艶やかで強靭な音が50分間、耳を釘付けにする。なるほど、とんでもない奏者だ。

4月18日(土): 長らくお待たせしました。ようやく、先週の日曜日の新譜試聴録を書きましたので、ごらんください。(↓ ここをクリック)
 メモは取ってあったのだが、結局、ほとんど聴き直す羽目になってしまった。(@_@)

 シューベルト以外で聴けたのは、次の1枚のみ。

ジュヌヴィエーヴ・シュヴァリエ&クリスティーヌ・フライシュマン(Hp)、ハープ二重奏曲集(CASCAVELLE)
フランク;前奏曲、フーガと変奏の編曲以外は、作曲者すらほとんど知らないものだが、ジョン・トーマス(ウェールズの人で、ヴィクトリア女王のハープ奏者だったとか)やピエール・ダルヴィメール(パリ・オペラ座のハープ奏者で、ジョセフィーヌ皇后にハープを教えたとか)の曲、なかなか美しい旋律で、楽しめた。
フランクは、冒頭など実に美しいが、全曲を通すと、音色が単調になるハープの欠点も出てしまった感じ。
リオネル・ロッグ(オルガン奏者として著名)やベルナール・アンドレといった現代作曲家のものも、さして尖鋭な音感覚ではないが、まずまず楽しめた。

4月17日(金): 「今日は買うぞ!」と意気込んで行くと、かえって収穫が少なくなるような気がする。

 

スティーヴン・イッサーリス(Vc)マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)パスカル・ドゥワイヨン(P)ほか、サン・サーンス;Vc協第1番&Vcソナタ第1番ほか(BMG)
以前に佐々木CD三昧日記さんが某BBS系サイトで絶讃されていたので、気になっていたところ、中古盤屋で見かけたので購入。
イッサーリスというと、斉諧生などにはhyperionのアーティストというイメージが強く、最近のBMGからのリリースは何となく落ち着かないが…
ハンスイェルク・シェレンベルガー(Ob)ロルフ・ケーネン(P)サン・サーンス;Obソナタ&プーランク;Obソナタほか(DENON)
御贔屓のオーボイスト、シェレンベルガーを中古盤屋で見かけたので購入。
「フランス・オーボエ名曲集」と題され、上記の他にデュティユーのソナタ他を収録。シェレンベルガーの音は、もちろん肉厚のドイツ系だから、あるいはミスマッチかもしれないが、あれだけの美音ゆえ、また違った魅力があるのではないかと期待。
デイヴィッド・ヒル(指揮)ウィンチェスター大聖堂合唱団ほか、フォーレ;レクイエム・ラシーヌの雅歌ほか(VIRGIN)
またぞろフォーレだが、「少年合唱による『ラシーヌの雅歌』」というと、もう手を出さずにはいられない。(^^; (「愛惜佳曲書」でも紹介している曲です。)
1893年版(小編成版)を使用、オーケストラはボーンマス・シンフォニエッタ、歌手はナンシー・アージェンタ(Sop)とサイモン・キーンリィサイド(Br)。
フォーレ以外にピエール・ヴィレット、ジャン・ロジャー・デュカッスという20世紀フランスの作曲家による小品を数曲収録。

4月15日(水): 昨日、この欄に次のように書いた。

この業界では英語のカナ表記に当たって"〜er"には「ー」を使わない風習があるが、"user"を「ユーザ」と書く人はいないように見受けられる。少々不可思議。

 すると、ありがたいことに、早速メールで御教示をいただいた。
 それによれば、

  1. 3音節以上の単語は、語尾の「ー」は省略する。
  2. 2音節以下の場合は、通常、省略しない。
  3. ただし、例外はあり、特に「○ー△ー」の語形の場合、「○ー△」と表記することは珍しくない。「ユーザ」も昔はよく見かけた。
  4. 例;「メーラ」、「サーバ」。

 とのことであった。(文責:斉諧生)
 なるほど、そういわれれば、斉諧生も「サーバ」という用法は見たことがある。
 上村さん、ありがとうございました。<_o_>

 

レオポルト・ストコフスキー(指揮)ニュー・フィルハーモニア管、ブラームス;交響曲第4番ほか(BBC Classics)
昨晩、某BBS系サイトのチャットでストコフスキーの話題が出たので、思い立って、2点、彼のCDで気になっていたものを買ってきた。
これは、ストコフスキーのイギリスでの最後の公開演奏となった日のライヴ録音、ラヴェル;スペイン狂詩曲ヴォーン・ウィリアムズ;タリスの主題による幻想曲クランペラー;メリー・ワルツをカプリング。
クレンペラーの小品に自演盤があることは知られているが、他の指揮者が取り上げていること、しかも、およそ正反対のタイプと思われるストコフスキーが、というので、発売時には*驚愕*を誘ったものだった。(^^;
BBCのライヴ・シリーズ、最近、新譜が出ないがどうしたのかな。ブリテン(指揮)マーラー;交響曲第4番、という情報もあったのだが。
レオポルト・ストコフスキー(指揮)ロサンジェルス・フィルほか、ホルスト;惑星ほか(EMI)
ストコフスキー=大衆的指揮者、というイメージを持つ人が多いだろうが、彼のレパートリーは必ずしも「大衆的」ではない。シェーンベルク;「グッレ・リーダー」アイヴズ;交響曲第4番のような難曲を世界初録音する一方で、カラヤンやバーンスタインのような「名曲」を網羅するような録音プロジェクトには、まるで関心がなかった。
ベートーヴェンの交響曲は9つ揃わないし、チャイコフスキーでも第5番は繰返し録音したが、第4番「悲愴」には比較的冷淡だった。ベルリオーズ;幻想交響曲のような曲でも、晩年に1回録音したきりである。
「惑星」も、この1958年録音が唯一のもので、ロサンジェルス・フィルとの顔合せも珍しい。そういえば、この盤のカプリングは、フランス国立放送管とのラヴェル;道化師の朝の歌ベルリン・フィルとのストラヴィンスキー;ペトルーシュカ(抜粋)と、いずれも馴染みの薄いオーケストラだ。
プラハ弦楽四重奏団、ドヴォルザーク;弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」&スメタナ;弦楽四重奏曲第1番「わが生涯より」(KING)
一部ヴァイオリン・マニアに評価の高いブジェチスラフ・ノヴォトニーを第1ヴァイオリンに戴くプラハSQの新録音。ちょうど1年ほど前に発売されたものだが、宇野功芳*尊師*去年のベスト盤の一つとして推奨していたので、マークしていた。
国内盤フルプライスには気後れしがちなので、ずっと買わずにいたのだが、小売店のサービス・ポイントが溜ったのを機会に、入手したもの。
ヤン・フォーグラー(Vc)ブルーノ・カニーノ(P)シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ&ブラームス;Vcソナタ第1番ほか(Berlin Classics)
「愛惜佳曲書」に掲載しているアルペジオーネ・ソナタの新盤である。旧ETERNA音源ではなく、1997年12月、ハンブルクでの録音。
独奏はBerlin Classicsから売出し中の若手チェリスト、ジャケットには「ストラディヴァリウスのチェロ使用」と特記して、楽器の写真が演奏家より美々しく扱われている。普通はこういうCDは買わないのだが、ピアニストに注目。
イタリアの名手、ブルーノ・カニーノである。彼がコンビを組んでいるからには、若手とはいえ何か見どころがあるのではないか。そう期待して、買ってみた。
ユリウス・ベルガー(Vc)バッハ;無伴奏Vc組曲(全曲)(WERGO)
WERGOからバッハ! これが驚かずにいられようか。
しかも独奏はドイツの実力派として隠れもないユリウス・ベルガー、彼のブルッフは鈴木syuzo's Homepageさんが先週末の更新で絶讃されたばかりである。
この曲集も、もう何組架蔵しているかわからないくらいだが、とにかく購入するしかない。
もちろん2枚組だが、ジャケットの構造が面白い。ちょっと言葉では説明しにくいのだが、いまだかつて見たことのないもの。物体としてのCDに興味のある向きには是非盤だろう。(^^)
アート・ワークも特筆したい。ジャケット表はタキ・マサノリ氏がベルガーに贈った「バッハ」と題する書で、これは「思」を墨痕鮮かに揮毫したもの。いつものWERGOとは全然違う。またライナーノートに数点掲げられたカリグラフィも美麗、使用楽器や録音会場のカラー写真まで掲載という、とにかくWERGOらしからぬ仕上がり。「うちのレーベルから、あえてバッハを出すからには…」という思い入れが感じられるようだ。
以下は斉諧生の勝手な揣摩憶測。ベルガーのバッハ、あと2点出るのではないか。
ジャケット表紙の書、上述のように「思」だが、これは『論語』にある「思無邪」(「思い、よこしま無し」=中国の古典『詩経』について孔子が述べた言葉で、芸術の真髄を喝破したものとされる。)の初字と想像する。
で、残りの「無」「邪」の書もベルガーに贈られていて、それらをジャケット表に掲げたバッハ録音が近いうちにWERGOから発売されるのでは…1つは「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」だろうが、もう1つは、えーと、「音楽の捧げ物」かな?
この予言、当たるか外れるか、責任は負いません。(^^;

4月14日(火): 斉諧生はWindowsユーザーだが(この業界では英語のカナ表記に当たって"〜er"には「ー」を使わない風習があるが、"user"を「ユーザ」と書く人はいないように見受けられる。少々不可思議。)、デザイン・センスについてはMacユーザーが羨ましく、かねてからタスク・バーは画面の上に配置、マイ・コンピュータ等のアイコンはMac風のものを使ってきた。
 とりわけ「ごみ箱」については、Windows標準のアイコンは野暮ったくていけない。
 先日のHDD交換と再セットアップで、これまで使ってきたMac風アイコンが飛んでしまったので、『Windows World』5月号@IDGコミュニケーションズの特集及び附録CD-ROMを利用して、MacOS8風のアイコンをセットしてみた(石川英寛さん作の「デスクトップテーマ for YourSelf」を利用。フリーウェア)。
 でも「ごみ箱」に限っては、OS8では雰囲気が出ないので、昔のMacのものにしてある。

 

ジンガー・プーア、「北欧の声楽」(ARS MUSICI)
女声1・男声5からなるドイツの声楽アンサンブル、ジンガー・プーア。ドイツ語にはSingerという語はないはずだが、singen(歌う)を基にした造語だろうか。プーア"pur"は英語の"pure"("poor"ではありません。)。
男声の5人はレーゲンスブルク大聖堂聖歌隊(ドイツ語名を直訳すれば「大聖堂の雀」だが)の出身、女声はストックホルムの人とか。
購入目的は、昨日のBIS盤同様、全録音蒐集を目指すステンハンマルの曲が収録されているため。
昨日のは2曲で計7分強、今日のは1曲のみ2分弱。ちょっと恨めしい気分だが、もはや「」ですな。

4月13日(月): 地元紙京都新聞の本日付け夕刊、「ミニトーク」というコラムに、井上道義が登場していた。
 一部を引用すると、

「いいオーケストラを振りたい」がこの数年来の口ぐせ。京響を一流楽団に育て上げようとしたが、志半ばで実らなかった。そこで、「モントリオールやバーミンガムのような世界レベルのオーケストラを育てるのは難しい。方針を転換、シカゴ交響楽団など世界の一流楽団から招かれる指揮者になりたい。

とのこと。
 斉諧生按ずるに、客演では彼の良いところがあまり発揮されないのではないか、一つのオーケストラと付き合って、十分な意志疎通の上に、思うような音楽を演奏するタイプではなかろうか。
 彼を翻意させられるだけの演奏力と財政力のあるオーケストラ−国の内外を問わない−が現れることを期待するものである。

 

朝比奈隆(指揮)大阪フィル、ブルックナー;交響曲第7番(大阪フィル自主製作CD)
タワーレコード限定(?)の、朝比奈隆8枚目の第7。平成9年7月31日第310回定期演奏会(フェスティバルホール)のライヴ録音である。
ライナーノートは、期待に反して:-)、小石忠男氏。「定速のテンポ感覚から抜け出し、自己の感受性を自然にあらわしながら、みずみずしく柔軟な音楽を歌っている。」ということである。
斉諧生の第7のインプリントは、朝比奈&大フィルの1975年ザンクト・フロリアン盤なので、これも買わざるべからずだが、さて、今回の出来や如何に。
オーレ・クリスティアン・ルード(指揮)ノールショピング響、シベリウス;「フィンランディア」&グリーグ;抒情組曲ほか(SIMAX)
広上淳一の跡を襲ったルード(「ルー」かな? スウェーデン語は語末のdは日常的には発音しないことが多い、とのこと。)による、ノールショッピング響との有名北欧管弦楽曲集。
上記以外に、ニールセンの組曲「仮面舞踏会」、アルヴェーンの組曲「山の魔王」を収録。北欧音楽ファンとしては、指揮者・オーケストラ・曲目からして買わずにはいられない。
マドレーヌ・グレイ(S)カントルーヴ;オーヴェルニュの歌ほか(Pearl)
「愛惜佳曲書」に「バイレロ」を収めた『オーヴェルニュの歌』の、SP時代から決定的名盤とされてきた1930年の録音。そもそもこの曲集は、グレイに献呈されたのである。
グレイはラヴェルにも愛され、賞讃された。『マダガスカル島の歌』の器楽アンサンブルはラヴェルが指揮し、『ヘブライの歌』ではラヴェルがピアノを弾いた。
そのほか、クレール・クロワザ、イヴォンヌ・プランタンといった今世紀初頭のフランスの名歌姫の歌唱を併録。
アンデルス・アンデルソン(T)「スウェーデンの花束」(BIS)
アルヴェーン、ラングストレムら、スウェーデンの作曲家による歌曲集。購入目的は、全録音蒐集を目指す、ステンハンマルによる2曲が収録されているため。

4月12日(日): 中古音盤堂奥座敷でインマゼール(指揮)のシューベルト;交響曲第6・8番(Sony Classical)を議論している関係で、関連の演奏とグレートを聴き比べ。

 

ジョス・ファン・インマゼール(指揮)アニマ・エテルナ、シューベルト;交響曲第6番(Sony Classical)
フランス・ブリュッヘン(指揮)18世紀管、シューベルト;交響曲第6番(Philips)
ハンス・シュミット・イッセルシュテット(指揮)ロンドン響、シューベルト;交響曲第6番(Mercury)
この「小」ハ長調交響曲、有り体に言えば、シューベルトの作でなければ忘れ去られていたのではなかろうか? まぁ、鳴らしている分にはそれなりに美しく響くが、それ以上の内実には乏しい。
3盤の中では、ブリュッヘン盤を最上とする。リズムに推進力があり、あまり古楽器らしくない響きで、木管など実に色彩的にものを言っている。やや冗長な第4楽章も(ちょっと「大」ハ長調交響曲を思わせる)、味付けで聴かせる。ロココ的にゆったりしたテンポで開始しておいて、第160〜182(401〜423)小節での低弦の凄まじい響きでクライマックスを築き上げるのだ!
インマゼール盤では、木管、特にクラリネットの色彩感が薄く、ブリュッヘン盤に大きく見劣りする。テンポの変動を抑えた第4楽章は、平板になってしまった。
シュミット・イッセルシュテット盤は、第1楽章の序奏など実にものものしいが、主部に入ると簡素な楽想と重厚な弦合奏の響きとのアンバランスが耳につく。第3楽章のトリオでの違和感あたりが最たるもの。
とはいえ、木管のソロの瑞々しさなどロンドン響としては上乗の出来であろう。喧しいことを言わなければ、名匠のリラックスした演奏を楽しめる好演盤かもしれない。
カルロス・クライバー(指揮)ウィーン・フィル、シューベルト;交響曲第8番(「未完成」)(DGG)
オットー・クレンペラー(指揮)ウィーン・フィル、シューベルト;交響曲第8番(「未完成」)(DGG)
カール・シューリヒト(指揮)ウィーン・フィル、シューベルト;交響曲第8番(「未完成」)(DECCA)
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)ウィーン響、シューベルト;交響曲第8番(「未完成」)(Orfeo)
ジョス・ファン・インマゼール(指揮)アニマ・エテルナ、シューベルト;交響曲第8番(「未完成」)(Sony Classical)
「未完成」5連発、さすがに疲れた。(*_*)
カルロスのドライヴ感、クレンペラー盤のウィーン・フィルの美しさ、シューリヒトの意味深さ、マタチッチのうねるようなテンポ、いずれも素晴らしい芸である。
しかし、「未完成」という曲、どうも、聴くほどに変な曲だと思える。指揮者によって違いが出るような、出ないような…。
ちょっと飛躍するが、詰まるところ、この曲の魅力は、
 1) センチメンタルなメロディー
 2) ファンタジー溢れる転調の妙
の2つに尽きるのではなかろうか。
もちろん、陰の濃い部分があることは否定しないが、ピアノ曲や室内楽曲のような、ゾッとするほどの深淵を目の当たりに開くような境地は構築できていない。あまり魅力的な音楽にはなっていないと思えるのだ。
とすれば、響きを濁さず、クリアに上記の2点を聴かせてくれるインマゼール盤は、高く評価できると思う。
カール・シューリヒト(指揮)シュトゥットガルト放送響、シューベルト;交響曲第9番(「ザ・グレート」)(Archiphon)
本日最大の収穫! シューリヒトのライヴの良さ・凄さが十全に発揮された名演奏である。
何よりも、楽器の響きが凡百の演奏とまったく異なり、「命のこもった」と言いたくなる有機的な音色が一貫している。(1956年のモノラル録音だが、音の状態は、きわめて良好である。)
それに、テンポ、リズムの生きていること! 他の指揮者とはまったく次元の違う高さがあり、この「天国的に長い」交響曲を、ちっとも長いと感じさせない。
楽器の出し入れや、ちょっとしたテンポ操作等にも、いつもの名人芸が連発され、とにかく圧倒された。
 
第1楽章:まず、冒頭のホルン重奏の気合の入り方に驚く。遠くの方でロマンティックに響かせるのが普通の演奏だが、ここではむしろ強拍を効かして英雄的な吹奏にしている。続いて出る弦合奏の有機的な響き、ホールでこれを聴いていたら、忽ちノックアウトされたろうと思う。17小節からのヴィオラとチェロも震い付きたくなる。
各楽器の音に命のこもっていること! 31・34小節の木管の和音、楽譜の指定はpだが、fに近い強さで、しかも機械的ではない。196小節からのヴァイオリンのピツィカートも、まさに「生きている」。634〜647小節でのトランペットの音も、渋い、心に響く音色である。
中でも、フルート奏者の意気込みが半端でない。ややマイクに近いのかもしれないが、音量だけの問題ではなく、329小節〜や368〜372小節でのソロも素晴らしいし、木管が瞬くような音型でも、ひときわ冴えた音色を響かせている。
シューリヒトも一瞬たりとも退屈させない音楽づくりで、速いテンポで飛び込むコーダ、662小節で木管に序奏主題が再帰するところでもテンポを落とさず、672小節で弦合奏に移るところでは、ややテンポを緩めるものの、高揚し続ける気持ちを抑えきれないかのように、終結では乾坤一擲! *急加速*するのだ。
普通の指揮者だとリタルダンド気味に「タ・タ・タ・タ・タ・タ、ターン!」と鳴るところなのだが、急激に加速したために最後の三連符の連続が6つ鳴り切らず(ほとんど4つしか聴こえない)、終結和音を切って落とすのだ(「タタタタ・タン!」)。傷といえば傷だが、それよりも*音楽*が生まれるスリリングな場面であると言いたい。
 
第2楽章:一転して、落ち着いたテンポでしみじみとした音楽を聴かせる。
24小節からの副主題でのテンポの落とし方は愁色を帯びて心をうつ。75小節ではルフトパウゼを挿むかのように減速を始め、86〜88小節での哀切なチェロのメロディを聴かせて、93小節からの誠にしみじみとしたテンポと表情へ辿り着く。
112小節からの弦も美しく、とりわけ118・119小節のヴァイオリンの憧れ心は素晴らしい。145小節からがシューマンが絶讃した部分だが、ホルンのみならず、すべての楽器が美しく、弦合奏もひそやかな音色を聴かせる。
この楽章ではオーボエが活躍しているが、続く160小節からの主題再現でも上手いこと! 167・168小節で合いの手を入れるヴァイオリンも美しい。
233小節から249小節までは重めのリズムでテンポを堅持して、かえって無限の厳しさを暗示し、クライマックスのあと253小節からのチェロの音色は慰藉の心に溢れている。257小節からオーボエが重なるとテンポを落とす名人芸!
267小節からは弦の内声部をやや強めて、上声部に負けない美しい対旋律を堪能させる。テンポを落として三現する主部では、358小節でのチェロが最高に美しい音色を聴かせて、楽章終結へ導く。
 
第3楽章:生命感が横溢した弦が飛び出して、楽章が始まる。オーケストラが乗りに乗っており、各楽器とも、この上なく生き生きした表情を見せる
第2部に入って80〜85小節あたり、弦のリズムの生きていること! 125〜144小節へ盛り上がる弦の響き。主部後半を繰り返すのは珍しい処理。
テンポを緩めずに入るトリオでは木管、特にフルートの清澄な音色を強調する。あるいは、この楽器をシューリヒトは偏愛したのかもしれない。
 
第4楽章:何という有機的な音楽! 下手な指揮者だと退屈きわまりない楽章だが、微塵も感じさせない。
エネルギーが噴出するような楽章冒頭のファンファーレ音型を受けて、9小節からはスタッカートを強調して、ちょっと踏み締めるセンスの良さ。
71小節からの木管合奏の生命感! 114〜117小節での金管のコクが効いた音色での合いの手、202小節からのオーボエや222小節からのフルートの音の佳さと跳ねるような表情。
そして、要所では金管の吹奏が*コク*のある音色で音楽を引き締めるのだ(310〜333小節、468〜482小節、688・689小節、898〜921小節、1035〜1057小節)。
楽章全体を通じて、リズムが生きていることは筆舌に尽くし難く、何度聴き返しても舌を巻く。
シューリヒトの芸術を語る上で欠かせない1枚であるとともに、この曲の最も有機的な再現として忘れられてはならない演奏だと思う。ぜひ耳にしていただきたい。
ジョス・ファン・インマゼール(指揮)アニマ・エテルナ、シューベルト;交響曲第9番(「ザ・グレート」)(Sony Classical)
シューリヒトで大感動してしまったので、どうかなと思ったが、これはこれで面白く、まったく新しい音楽を聴く心地さえして、大いに楽しめた。
第1楽章はとてつもなく速いテンポで始まる。指定はアンダンテだが、なんのなんの、アレグレットか、アレグロ・マ・ノン・トロッポでもおかしくないくらい。ホルン重奏もぶっきらぼうな吹奏で、ロマンティックなシューベルトの好きな人は、冒頭2小節でSTOPキーを押してしまうだろう。(^^;
で、29小節まで進むと、初めて金管が入ってくるが、ここの響きが素晴らしい。強奏しているが、うるさくならない。古楽器派の面目躍如である。全曲を通じて金管は常に強奏されるが、音程が良いのだろう、マイルドにブレンドされて、響きに厚みと立体感を生みこそすれ、決してわめかない。快感ですよ、この響き。
ティンパニも強打されるが、気持ちよい音で決めてくれるので(古楽器オーケストラに良くある、ヤカンを叩くような音ではない)、これまた快感。240・242小節、499小節が好例だし、楽章終結の三連符でもティンパニ・ソロの趣のあるバランスだ。
古楽器派らしくディミュニエンドやスフォルツァンド等は、あるいは敏感に、あるいは鋭く、演奏される。244小節以降のfz、610小節のdimが好例。
コーダはシューリヒトと似たテンポ配分で加速していく。ここは好悪が別れるかもしれない。もちろん、最後の急加速はありません。(^^;
第2楽章も同様に速いテンポだが、やはり楽器の音がとにかく美しく、物足りない感じはしない。67・68(219・220)小節のような「節目」のところでは、ブリュッヘンのように粘ることはしないが、金管の音色を効かせて、それなりに重さを出している。
233小節以降の盛り上がりも十分、クライマックスの248小節では誠に凄絶なfffを響かせ、251小節でのppとの対比が鮮か、効果的である。ここは実に素晴らしい!
弱音の美も古楽器派の独擅場、322小節以降のトロンボーンなど、たまらない。
唯一疑問だったのは、例のホルンが降りてくるところで(150〜159小節)、クレッシェンドする弦楽器が強く、ホルンが消され気味になるバランス。
第3・第4楽章でも、上述の特長が聴ける。テンポ設定がやや微温的で、「長さ」を感じさせるのが惜しい。
驚いたのは第3楽章で、今までに聴いたことのない音楽が出てくる。ユニバーサル版(音楽之友社)では112小節と113小節の間に当たるところに、4小節分の音楽が入っている。ベーレンライター社の新版に準拠しているそうなので、それには入っているのだろう。いや〜、びっくりした。
ジノ・フランチェスカッティ(Vn)ユージェニオ・バニョリ(P)シューベルト;幻想曲(米COLUMBIA、LP)
この曲の冒頭はヴァイオリニストにとっては鬼門だとか。アンダンテのテンポの中で、Cの音を1小節半、弓を返さずに、弾き伸ばさねばならない。フランチェスカッティの音が、ここで揺れてしまうのも老齢から来る右手の衰えだろうか。
少々先行きを心配したが、そのあとは、あまり技術的な制約を感じさせない。テンポに妥協はなく、必要なところではしっかりアッチェランドで追い込む。
そこはかとないディミュニエンドやポルタメントの懐かしさ、実に味がある。名人の晩年の境地を伝える、上乗の出来。
音色も、全盛期の輝きはないが、まだまだ十分美しい。よい時期に録音してくれたと思う。良質のCD復刻が行われれば、きっと多くの支持者が得られるだろう。
ミヒャエル・イェルデン(Vn)ファビアナ・ビアシーニ(P)、シューベルト;アルペジオーネ・ソナタ(Vn編)(HERA)
残念ながら、期待外れの1枚。
速めのテンポなのはともかくとして、弾き飛ばし気味なのは肯けない。抒情やファンタジーの感じ方が、実に浅く聴こえる、そんな演奏。
アダージョでは素っ気ない中にも味があるように聴こえたのだが、アレグレットへのブリッジ・パッセージのところが、まったく雰囲気がなく、すっかりコケてしまった。
音そのものは悪くなく、まずまず美音なのだが。
ロベルト・ツァルペロン(指揮)セレニッシマ室内管、モーツァルト;ディヴェルティメントK.136〜138(ISM)
古楽器特有のやや低めのピッチだが、演奏はむしろ現代的なまでに小気味よい。小編成による各声部の絡み合いもくっきり聴こえる。

4月11日(土): 斉諧生のブラウザはネットスケープVer.4.04、「ホーム」は「Yahoo!」に設定、「今日のオススメ」の巡回を日課にしている。
 そのページで今日紹介されていたのが、

爆笑できる? MIDIデータページ

 現在、CMの音楽(「パッ!とサイデリア」ほか12曲)、TV番組の音楽(「何でも鑑定団」の鑑定中の音楽ほか36曲)、アニメの音楽(「大ちゃん数え歌」ほか13曲)、その他笑える音楽(「モデム接続音」ほか13曲)がアップされている。
 うーん、凄い。MIDIはもちろん、採譜・アレンジの手腕は相当なものと見た。ヘビメタ風「ヤン坊、マー坊の天気予報」「若い力(短調バージョン)」等、なかなか笑える。
 元トラキチの斉諧生としては「六甲おろし」も懐かしい。(^^)

 Compact Disc ConnectionからCDが、通販業者からLPが届いた。

スティグ・ヴェステルベリ(指揮)スウェーデン放送響、アッテルベリ;交響曲第2番・組曲第3番(Swedish Society)
スティグ・ヴェステルベリ(指揮)ストックホルム・フィル、アッテルベリ;交響曲第5番「葬送交響曲」ほか(Musica Sveciae)
「スウェーデンの朝比奈隆」と斉諧生が勝手に命名しているヴェステルベリのCDを何点かCompact Disc Connectionに注文していたのだが、届いたのはこの2点のみであった。奇しくも、両方ともクルト・アッテルベリ(1887〜1974、アッターベルクとも)の作品の録音となった。
アッテルベリは近代スウェーデン有数の交響曲作家、特に有名なのは第6番で、1928年、シューベルト没後100年記念の米コロンビア社主催の交響曲作曲コンクールで第1位と賞金1万ドルを獲得、ために「ドル交響曲」の異名がある。ビーチャムが初演し、トスカニーニも録音したこの曲は、近年、我が広上淳一&ノルショッピング響も録音した(BIS)。
交響曲第2番は1911年に着手、翌年、自身の指揮で初演したときは2楽章までであった。ところが「完結していない」との批評に堪えかねて改訂の筆を執り、1913年に3楽章版が初演された。この録音は後者である。
交響曲第5番は1922年の作曲。第5番は、翌年自らベルリン・フィルを指揮して世界初演。その直後にライプツィヒで演奏されたときはフルトヴェングラーが指揮したとか。
リリアナ・イサカゼ(Vn)ヴェロニカ・デュダロヴァ(指揮)モスクワ響、ブラームス;Vn協(ソMELODIA、LP)
イサカゼは近年Orfeoにも録音があるが、オイストラフ門下の実力派。ブラームスの協奏曲とあらば、ぜひ聴いてみたいと購入。
ところで、伴奏指揮者の名前、どう見ても女性名なのだが、どういう人なのだろう? ありそうで聞いたことのないオーケストラとともに、気になっている。
ミハイル・ルディ(P)マリス・ヤンソンス(指揮)レニングラード・フィル、チャイコフスキー;P協第1番&ラフマニノフ;P協第2番(EMI)
ルディは最近気になっているピアニストだが、ヤナーチェクとかショスタコーヴィッチとか、いつも渋めのレパートリーばかりで、こんな大ポピュラー名曲盤があるとは知らなかった。
昔、レニングラード・フィル来日の時、ムラヴィンスキーがやっぱり病気で、代役に無名時代のマリスが指揮したのを聴いたのを思い出す。この組合せも、今となっては珍しい。
夕方、プリンタ用の紙を買いに近くのスーパーへ行くと、なぜか中古盤セールをやっていた。もちろんクラシックなど僅かなものだが、これを見つけたので購入。
フリッツ・ライナー(指揮)メトロポリタン歌劇場管、R・シュトラウス;歌劇「サロメ」&「エレクトラ」(米MET、LP)
「サロメ」は1952年1月19日、「エレクトラ」は同年2月23日の放送録音で、メトロポリタン歌劇場基金に125ドル以上の寄付をした人に頒布される、という趣旨で製作された4枚組(プレスはRCA)。舞台写真満載の豪華リーフレットと両曲のリブレットが附属。
第1〜4面が「サロメ」、第5〜8面が「エレクトラ」だが、裏表の組合せは1/8、2/7、3/6、4/5面。これは昔の米盤によくあったオートチェンジャー仕様だが、このセットが製作されたのは1981年というから、ずいぶん後まで行われていたことになる。で、3/6面にプレス・ミスがあることから格安で入手できたもの。ちょっと大きなものだったので心配したが、音には出るもののトレースには影響ないようで安心。
主な歌手は次のとおり。何とも豪華な顔ぶれである。
「サロメ」
サロメ:リューバ・ヴェーリッチ
ヘロデア:エリーザベト・ヘンゲン
ヘロデ:セット・スヴァンホルム
ヨカナン:ハンス・ホッター
「エレクトラ」
エレクトラ:アストリッド・ヴァルナイ
クリソテミス:ヴァルブルガ・ヴェーグナー
クリテムネストラ:エリーザベト・ヘンゲン
エギスト:セット・スヴァンホルム
オレスト:パウル・シェフラー
デイヴィド・マンロウ(指揮)ロンドン古楽コンソート、「ネーデルラント楽派の芸術」(英EMI、LP)
今日の古楽派の隆盛の基となったのは、マンロウの名盤の数々であることに異議をはさむ人は少ないであろう。つくづく夭逝が惜しまれる。
で、彼の録音は機会あるごとに少しづつ蒐集しているのだが、代表作の一に数えられるジョスカン、オケゲム、イザークらを集めた3枚組が、外箱に傷があるというので格安になっていたものを購入。斉諧生にとっては、こういうのが一番ありがたい。
なお、録音参加メンバーには、器楽でナイジェル・ノースクリストファー・ホグウッド、声楽でジェイムズ・ボウマンポール・エリオットらが含まれている。

4月9日(木): 中山康樹『スイングジャーナル青春録 大阪編』@径書房を読む。軽い文章の上、電車に乗っている時間が長い日だったので、400頁ほどの分量だが、1日で読了。
 著者は『スイングジャーナル』誌の元編集長、大阪・堺市に生まれ、プロレス少年を経てビートルズ、ビーチ・ボーイズに出会ってレコード・マニアとなり、マイルス・デイビスの音楽の虜になって梅田、難波のジャズ喫茶に入り浸る。やがてミニコミ誌の発行を始め、それがきっかけで『スイングジャーナル』誌の編集部に入るまでの回想録である(編集者時代の続編の刊行も予告されている)。
 斉諧生は、ジャズはごくわずかしか聴かないが、ジャンルは違えど、レコード・マニアの気持ち・ふるまいが、まことに生き生きと描かれている。

 著者がジャズという音楽を聴こうと決意したとき(高校1年生)、まずしたことは半年分の『スイングジャーナル』誌のバックナンバーを注文することであった。
それらを読破・分析して、今いちばん「旬」のミュージシャンはマイルス・デイビスであると結論し、1万円の予算で5枚のLPを買うとして、うち3枚はマイルス、1枚をゲイリー・バートン(Vib)、1枚はブルーノート・レーベルの輸入盤、という計画を立てて、大阪・心斎橋のヤマハへ向かうのである。

 うん、わかる、わかるなァ!

 で、斉諧生も退勤後、心斎橋のヤマハへ向かった。(^^)
 目標はマイルス…ではなく、シューベルト;交響曲第6番等のスコアである。現在、中古音盤堂奥座敷でインマゼール盤を取り上げており、異演盤との聴き比べ用に是非参照したいのだ。
 欲しかったベーレンライター社の新全集版は在庫がなく、オイレンブルク社の慣行版を入手。あと、ショスタコーヴィッチ;Vcソナタ(全音)も。
 で、そのあとは、タワーレコード、HMV、JJ(中古)と、お決まりの巡回。

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)フィルハーモニア管、シベリウス;交響曲第5番(Sony Classical)
うーん、またサロネンを買ってしまった。(^^;
このところのサロネン蒐集、シベリウスは真っ先に買ってもいいはずなのだが、控えていた。以前買ったような気がしたのである。ところが、どう探しても出てこないので、たぶんまだ買っていないのだろうと判断、今日、中古CD屋の棚で発見したので購入。
レオン・シュピーラー(Vn)アルヴィド・ヤンソンス(指揮)ほか、ローセンベリ;Vn協第2番ほか(CAPRICE)
北欧のVn協の未架蔵盤を中古CD屋で発見、買わざるべからず。
アルヴィドはマリスの父、と言わないと分からなくなってきてるんだろうな。
ジョン・ハーレ(Sax)ネヴィル・マリナー(指揮)ドビュッシー;Sax狂詩曲&グラズノフ;Sax協ほか(EMI)
ハーレは、シャイーのマルタン;協奏作品集(DECCA)で聴いて感心して以来、Saxの定番協奏作品を収録したこの盤を探していたが、なかなか見つけられなかった。今日、ようやく中古CD屋で発見、狂喜して購入。
ジャンルカ・トゥルコニ(Vn)マルコ・サラ(P)ピツェッティ;Vn曲全集(DUCALE)
ピツェッティのVnソナタは20世紀前半の名作、それを含むVnとPのための作品全集、これは是非にと購入。
ザヴィエル・フィリップス(Vc)フセイン・セルメット(P)ショスタコーヴィッチ;Vcソナタほか(HMF)
上述のように、この曲の楽譜を買ったので、CDも新しいのを1枚欲しくなった。
近年の人気曲ゆえ、未架蔵のマイナー・レーベル盤が数枚あったが、HMFの「新しい演奏家」シリーズのものを購入。
このシリーズ、ObのルルーやHrnのジュランなど、「当たり」が続いているし、ジャケット写真の面構えも、なんとなく気に入った。
ミシェル・ベロフ(P)ドビュッシー;前奏曲集第2巻ほか(DENON)
腕の故障から再起したベロフの新録音のうち、第2巻を中古CD屋で見つけたので購入。
ベロフの旧録はLPで愛聴していたので、新譜の時から欲しかったのだが、@3,000円というのが、ひっかかっていた。中古格安、また「6つの古代碑銘」をカプリングとあっては、買わざるべからず。
柴野さつき(P)サティ;ピアノ・コレクション2(メディアリング)
近年流行のサティ、斉諧生は柴野さん以外では買わないことにしている。デジタル初期にキングから2枚、新録がメディア〜社から1枚出ていて、これが2枚目。
なぜ柴野さんかって? 御想像にお任せします。(^^)
ジョージ・セル(指揮)ウィーン・フィル、R・シュトラウス;歌劇「薔薇の騎士」(Arlecchino)
長く探していた盤を、やっとHMVの棚で見つけたので、3枚組で少々高目の値ながら、文句なしに購入。本日一番の収穫であった。
1949年8月12日のザルツブルク音楽祭ライヴ、中古音盤堂「奥座敷同人 1997年の5盤」浮月斎大人が選定されたものなのである。
「この曲は私は全く無価値な作品と思っているが、セル盤は実に見事で瑞々しく、これだけの快演を聴くとちと降参。」とのこと。これは聴きたかった。
ローラン・エイラベディアン(指揮)エクス・アン・プロヴァンス現代合唱団ほか、ダラピッコラ;「囚われ人の歌」ほか(ACCORD)
ダラピッコラは20世紀前半の名作で、マルケヴィッチも名盤を残した曲(残念ながら未架蔵)。オリヴァー盤、サロネン盤、ツェンダー盤と入手してきたが、今日、別な録音を見つけたので購入。

4月8日(水): 『文學界』5月号@文藝春秋を読む。
 立花隆「武満徹・音楽創造への旅」がついに最終回を迎えた。連載開始が平成4年6月号、5年11か月に及ぶ長期連載の終わりに、立花は

むしろ武満は、私たちが彼と別れた後も、
「目を凝らし、耳を澄ませば、私たちは、自然のハーモニーに共振して、まだ、うたうことが可能なはずだ」(「生命連鎖の宇宙構造」『時間の園丁』所収)
という武満の声に耳を傾け、うたいつづけることを望むだろう。

と記して筆を置いている。
 「この連載は加筆修正の上、近いうちに文藝春秋より単行本として出版する予定です。」と附記されているので、楽しみに待ちたい。

 中古CD屋を発見した(といっても京都最大手、十字屋の一店舗の隅だが)ので、覗いてみたところ、量は少ないものの、@600・700円で変な盤がゴロゴロしていた。

ロベルト・ツァルペロン(指揮)セレニッシマ室内管、モーツァルト;セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ほか(ISM)
ファビオ・ビオンディがリーダー席に座っている録音。ビオンディは好きなのだが、初出の時に買いそびれていたもの(けっこう高かったと思う)。今日は、中古格安だったので購入。
グスタフ・ホルスト(指揮)ロンドン響ほか、自作;「惑星」ほか(EMI)
一時期、かなり大量に出た"Composers in Person"シリーズの1点。
上記のほか、
エドワード・エルガー(指揮)ロイヤル・アルバート・ホール管、自作;変奏曲「エニグマ」
を収録、ともに録音は1926年。
アンタル・ドラティ(指揮)ストックホルム・フィルほか、ブロムダール;組曲「シジフォス」ほか(CAPRICE)
ブロムダールは1916年生れのスウェーデンの作曲家、「シジフォス」はバレエ音楽を基にした組曲で1954年の作。わりと有名な曲で、1987年にエサ・ペッカ・サロネンがスウェーデン放送響と来日したときのプログラムにも入っていた。
柴田南雄『おしゃべり音楽会』@青土社(現在は講談社文庫)によれば、「イタリアのダラピッコラの初期やスイスのフランク・マルタンのある時期のような、いわば応用派十二音技法とでもいいますかね。」とのこと。
ドラティは1966〜74年にストックホルム・フィルの首席指揮者を勤めており、これはその時期(1967年10月)の録音。
エンリケ・バティス(指揮)メキシコ・シティ・フィルほか、ヒナステラ;Hp協、バレエ組曲「エスタンシア」ほか(ASV)
先日、ユッタ・ツォフの独奏(Berlin Classics)で聴いたHp協が面白かったので、もう少し聴いてみたかったところ、ナンシー・アレンとバティスによる演奏を見つけたので購入。

4月7日(火): マニュエル・ロザンタール『ラヴェル その素顔と音楽論』@春秋社を読了。
 ロザンタール(1904年生れ、まだ存命だそうだ)は、仏Adesにドビュッシーとラヴェルの管弦楽曲集の録音がある指揮者だが、もとは作曲家志望で、1925年から1937年のラヴェルの死まで師事し、また親しく交際していた。本書は、彼の回想をもとに編集したものということである。
 ラヴェル晩年の人となりや、作曲家・演奏家との交友についての見聞はもちろん、折に触れてラヴェルが漏らした音楽観や、ラヴェルの創作活動でのエピソードについての証言は貴重なものである。
 2、3を同書から引用すると、

ラヴェルは自らの一番お気に入りの子供については、自分の方からよく話してくれた−《ラ・ヴァルス》だ。彼によれば、ワルツのリズムこそ人間性と密接にかかわるものだという。「なぜなら、これは悪魔のダンスだからだ。とくに悪魔は、創造者の潜在意識につきまとう。創造者は、否定の精神とは対極の存在だからね。創造者の中でも音楽家の地位が一番高いのは、ダンスの音楽を作曲できるからだ。悪魔の役割とは、われわれに芸当をさせる、つまり人間的なダンスをさせることなのだが、人間の方も悪魔にお返しをしなくてはならない。悪魔とともにできる最高の芸当は、悪魔が抵抗できないようなダンスを踊ることだよ。」
「ドビュッシーと私は、今では評判のよくない二人の作曲家から、多大な影響を受けているよ。サティとマスネだ。サティから得たものについては、《マ・メール・ロワ》のなかの〈美女と野獣〉を参照してほしい。これは一種の《ジムノペディ》だからね。残念ながら、サティのこの作品のほうが、私よりもよくできているが。」
「君は、グリーグの音楽がパリに紹介されたときの感激はわからないだろう。突如として窓が開いて、田園の風景が目に飛び込んできたんだよ。これまで、窓も扉も閉ざされたアパルトマンで生きていて、川も樹木も鳥も見ることなく生きていたことに気づいたんだ…。」

 

ボイド・ニール(指揮)ボイド・ニール弦楽合奏団ほか、ブリテン;シンプル・シンフォニー&フランク・ブリッジの主題による変奏曲ほか(Pearl)
ブリテンの代表作の世界初録音に当たるSPをCD復刻したもの。
上記のほか、
モリソン少年合唱団;キャロルの祭典(Hp;マリア・コルチンスカ)(r.1943/44)
マルコム・サージェント(指揮);青少年のための管弦楽入門(r.1946)
を収録。
「キャロル〜」のみ、前にBELAUHから復刻されていた(番号は1PD14)。一聴してみたところ、BELAUH盤はSP特有の針音は盛大に入っているものの、その分、楽音自体も生き生きしている。Pearl盤は聴きやすいが、少し詰まった感じになっており、この曲だけでよい向きには、BELAUH盤がお薦め。
ただ、BELAUH盤はカプリングに有名曲が入っていないのが難点。

 平日の夜だが、買ってきたCDを少し聴いてみた。

ボイド・ニール(指揮)ボイド・ニール弦楽合奏団、ブリテン;シンプル・シンフォニー(Pearl)
録音は1939年10月10日、第2次世界大戦が始まっているが、まだ本格化していない時期に当たる。音は悪くないが、盤面がやや傷んでいたようで、ところどころ再生音が不安定である。
「愛惜佳曲書」掲載のとおり、この曲には作曲者自演の決定的名盤が残されているが、かえってそのために、どの指揮者の演奏も同じ傾向になっている面がある。
その点、初演後、数年のうちに録音されたニールの演奏は、なかなかユニークで、存在価値が高い。
特に第3楽章「感傷的なサラバンド」では、噛んで含めるようなじっくりしたリズムをとって、誠にしみじみした温かい味わいを醸し出している。所要時間実に8分3秒(ブリテン自演盤では7分53秒)。
この曲を好きな人に限り、是非盤としてお薦めしたい。

4月5日(日): HDDの交換作業・再セットアップ作業が、ようやく一段落。今日も予想以上に手間と時間を要したので、音盤に手が出せたのは夕方近い頃だった。

 

エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ロサンジェルス・フィル、バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(Sony Classical)
「愛惜佳曲書」にも掲載した「弦チェレ」、サロネン盤を中心に、買ったまま未聴だったものを比較試聴。
この曲は、精密な書法によっている一方、バルトーク特有の「闇」から民俗的な舞曲による歓喜の噴出に至る多様な情念が込められており、十全な再現は至難であろう。
サロネン盤は、精密なスコアを精密に再現することに傾斜した演奏
第1楽章は神秘的なまでの弱音で開始され、精妙なフーガの絡み合いが見事である。その頂点−第57小節、大太鼓がfで鳴るところ−から弦の下降グリッサンドが2回繰り返されるあたりで、音力が抑制され、解放感を与えないのは、この楽章を全曲のプレリュードとして把握しようということだろうか。
第2楽章ではスピード感十分な進行が小気味よい。第200小節以降、ピアノが特異なリズムを刻むところなど、鮮やかさは比類ない。
ただし、その一方で、迫力・凄まじさといった要素が後退しているのも事実だが。
第3楽章、シロフォンに導かれてヴィオラが歌う嘆きには心が感じられるが、それ以上に見事なのは色彩感
第20小節以降、弱音器を付けた弦のピアニッシモのグリッサンドとピアノの和音が絡む中を、ヴァイオリン2本とチェレスタが半音階的な旋律を奏する聴かせどころだが、ヴァイオリンの歌ふしを抑えて色彩感を生かしているのである。
また、そのあと第35小節からチェレスタ・ハープ・ピアノのアルペジオ・グリッサンドが連続するところでも、それを支える弦合奏が、"flaut"指定を生かしたのであろう、羽毛のような軽い美音で奏され、神秘的な音彩を損なうことがない。
第65小節以降でも、チェレスタ・ハープ・ピアノの絡む音彩の中で、ハープに与えられたsf指定の音が、鋭く、しかし美しく、印象的に響く。
弦よりも、ハープ、ピアノ、チェレスタといった楽器の響きを大切にしているのも、サロネンの演奏の特徴で、第1楽章終結近くでも、チェレスタと弱音器付きのヴァイオリンとが融合する美しい色彩を聴くことができた。
第4楽章の舞曲では民俗的なパワーはないが、軽やかなリズムとスピード感が心地よい。第29小節以降のピアノのリズム等が、好例である。
細部の冴えた描写も光っており、第142小節での弦合奏のクレッシェンドの決め方、第205小節以降のティンパニとチェレスタの意味深さ等、素晴らしい。
そして、第277小節からのヴァイオリンのエスプレッシーヴォの美しい音色に導かれて、堂々たる歩みへラレンタンドしていく楽章終結のスケールの大きさ。これは他の演奏からは聴くことができないものだ。
最近聴いているサロネンのCDは、どれも録音が素晴らしいが、このバルトークも、美しい音で録れている上に、作曲者が指定した楽器配置(注)が自然な、しかしはっきりした音場感で再現される。
(注)鍵盤・打楽器を中に置き、その周りを2群の弦楽合奏−Vn・Va・Vc・Cb・Vc・Va・Vnとシンメトリカルに配置−が取り囲むというもの。
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィル、バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(EMI)
1960年の録音、この頃がカラヤン&BPOの全盛期だったかもしれない。
精密さと迫力を両立させようとした演奏といえるだろう。
中でも他の盤を圧倒して素晴らしいのは、第4楽章第150小節以降、テンポ・プリモ(=二分音符130)からストリンジェンドしてヴィヴァーチッシモ(=二分音符176)からプレスト・ストレピトーゾ(=二分音符210)へ、音力を決して弱めずに飛び込んでいく迫力! これでこそ、第204小節でモルト・モデラートに着地する快感が十全に味わえる。BPOの面目躍如といったところだ。
とはいえ、全体を通じてみれば、精密さではサロネン盤に及ばず、バルトークの多面的な情念の表現に関してはライナー&シカゴ響盤に一歩も二歩も譲る。LP時代にはライナー盤、ブーレーズ&BBC響盤と並んで代表盤に数えられた演奏だが、現時点では、そこまでの評価は難しいだろう。
なお、録音にやや濁りが感じられるのは年代からしてやむを得ないが、中抜けのピンポン傾向になる部分や、ミキサーでの操作を想像させる不自然なバランスが散見されるのは不満。
ピエール・ブーレーズ(指揮)シカゴ響、バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(DGG)
ブーレーズの新盤。これには首をひねった。
上手いことは上手いのだが、サロネン盤のような緊張感がなく、カラヤン盤のような表現意欲に欠けるのである。
色彩感の面白い第3楽章だけは採れるが、あとはどうもいただけなかった。
ジャン・ジャック・カントロフ(指揮)タピオラ・シンフォニエッタ、バルトーク;弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(BIS)
正直申して、あまり期待せずに聴き出したのだが、なかなかどうして、感心させられる演奏であった。ちょっと普通の指揮者のバルトークとは違った視点が感じられるのだ。
第1・3楽章で顕著なのは、弦楽器の音色に雰囲気があること。これはカントロフのヴァイオリニストとしての力量が生きているのだろう。
第2・4楽章では、パワーや重さはないが、鋭いフレージングやスピード感で緊張感を生みだしている。第4楽章終結のひねったテンポの取り方も面白い。
いわゆるバルトークらしさはないが、ユニークさで光る演奏であり、ブーレーズ盤より余程聴いていて面白かった。
ピエール・デルヴォー(指揮)コンセール・コロンヌ管、ラヴェル;ボレロ&スペイン狂詩曲(米Command、LP)
やはり管楽器、特に木管系の音色感が良い。ボレロでのファゴット−バッソンと言うべきか−など、今では聴けない音だし、クラリネットの硬質な味わいも素敵だ。また、サキソフォンもヴィブラートを抑制した吹き方に品の良さが感じられる。
残念ながら、弦合奏は極めて大雑把。音的にも、管楽器のソロはよく録れているが、全体の響きは失われている−録音というより製盤の問題かもしれない−ので、余計にその感じがする。
デルヴォーの指揮は、オーケストラを締めつけず、のびのび泳がせている感じが伝わってくる。フランス音楽の指揮者として、やはり一級の人だったと思う。中でも、スペイン狂詩曲中「ハバネラ」での鄙びた気怠いリズムの妙を特筆したい。
同じ35mmフィルム録音でもエヴェレストやマーキュリーが、それぞれCD化されて日の目を見ているのに、コマンドは遺産を引き継いでいるレーベルすら見当らないのは寂しい。このデルヴォーのラヴェル・ドビュッシーや、ヴァンデルノートの幻想・展覧会の絵、スタインバーグのブラームス等、丁寧にCD復刻してくれないものか。
ルネ・レイボヴィッツ(指揮)パリ・コンセール・サンフォニーク協会管、ラヴェル;ボレロ(Chesky)
デルヴォー盤に触発されて、パリ音楽院管の変名とされるレイボヴィッツ盤を聴く。やはり木管楽器の音色感が佳いが、フランス風の味は少し薄れている。もっともヴィンコ・グロボカールとされるトロンボーン・ソロはデルヴォー盤より上手いし面白い。
レイボヴィッツの棒も冴えており、終結に向けてヒタヒタと盛り上げていく演出は見事なもの。
なお、録音・復刻は極めて良好、最新録音にひけをとらない。
マリエル・ノールマン(Hp)アラン・マリオン(Fl)ほか、トマジ;春の協奏曲ほか(仏LYRINX、LP)
1960年代の作品で、調性感が薄く、どうも前衛に色目を使ったような折衷的な作風で、あまり感心しなかった。
中野振一郎(Cem)「イージー・ウィナーズ」(DENON)
コンピュータで作業中のBGMとして、楽しく聴かせてもらった。
マンデル・ロウ(G)ほか、「ポーギーとベス」(BMG)
これも作業中流していたCD。
当時の精鋭揃いらしく上質のプレイだが、原曲の味わい、感情とは無関係な演奏になっている感じがした。

4月4日(土): 昨日・今日をHDDの交換作業に費やす。
 職場の同僚からMOドライブを借用して、現用HDDの完全なバックアップを取った上で、HDDを外して新しいのを挿入。HDDの領域確保、フォーマット、セットアップFDDとCD−ROMによるWindowsの再セットアップ。
 続いて、ネットスケープとTA関係のソフトをインストールし、ネットに接続してWindows95の修正プログラムや各種のシェアウェア、プラグインをダウンロード。
 パッケージ版で持っているソフトも、たいてい、ネットで修正プログラムを入手してアップデートしているから、けっこう大変である。
 デバイス・ドライバー系をさわると、たいてい再起動を要するから、それを待っている時間も、積み上げれば結構長いものになるだろう。
 データ・ファイルをMOからHDDへ戻すのはもちろんだが、アプリケーション・ソフト等の設定情報を収めたファイルを探してデフォルトのファイルに上書きすることも必要。これができないと、特にキー・カスタマイズなど、元へ戻すのは難しい。
 
 2日かけて、おおよそ、交換前の状態に復元できたが、なぜかデジタルカメラから画像を読んでくれない。
 斉諧生現用はCoolPix100@Nikon、ケースを外すとPCカードになって、そのままスロットに挿入でき、JPEG形式で画像を読み込めるというのが特色なのだが、挿入しても十分には認識してくれないのだ。週明けにでもNikonのサポートに電話する必要があるだろう。

 このため、昨日のオフ会の写真が、まだ読み出すことができずにおります。参加された皆様、ごめんなさい。m(__)m

  とはいえ、さすがに3.2GBは広大、前みたいにWindowsファイルを削れるだけ削ったりしなくても、十分な余地がある。手間をかけても交換する価値は、十分あると言えるだろう。

教訓1:MO等、大容量メディアによるバックアップは不可欠。
理論的にはフロッピーでもよさそうだが、何かファイルを探すときには大容量のものでないと、とても無理。
教訓2:ネットからダウンロードしてきたソフトは、元の圧縮ファイルを保存しておくこと。
いちいち探しに行って落とすのは大変。
教訓3:「コントロールパネル」中、「システム」の「デバイスマネージャ」が重要
上手くいかないときは、ここで「?」のついているところをチェック。その「プロパティ」→「ドライバ」→「ドライバの変更」で、インストールし直すとクリアできることが多い。

 家の近所に古本屋(といっても漫画や文庫本などを大量に扱う、新しいタイプのほう)が出来ているのに気づき、CDやゲーム・ソフト、PCソフトもあるという看板に釣られて、店に入ってみた。中古CDの大半はJ-POPSだが、棚の隅の隅にクラシックが捨値で突っ込んであるのに気づき、食指の動く1枚を買ってきた。

中野振一郎(Cem)「イージー・ウィナーズ」(DENON)
中野は京都出身、なぜかチェンバロでスコット・ジョプリンらのラグタイムを弾くという企画でCDデビューしたもの。
一度、実演に接したい人なのだが、まだその機会に恵まれない。本当はバッハあたりを聴いてみたいのだが、値段の安さと「ながら」聴きのできる気楽さにひかれて購入。

4月3日(金): 3月31日に買ってきたHDDの交換作業については明4日に詳細を記すとして、今日は「ナニワ音盤道」ミニオフ会に参加したことが最大のニュース。
 斉諧生はネットのオフに参加するのは初めてだが、昔、アマチュア無線をしていた頃に(中学〜高校生の時です)、声(あるいはモールス信号)しか知らない話し相手と顔を合わすという、同様の催しがあったのを思い出す(当時、ハムの世界では"eyeball-contact"と称していた)。
 中古音盤堂奥座敷では毎日のようにやりとりをしている鈴木syuzo's Homepageさん、佐々木CD三昧日記さん、工藤Yosuke Kudo Homepageさんと初対面、また、YASUOKAさんを始め、あなぼぉさん、むーむーさん、もとじまさん、そしてAYAサロ様と彩ちゃんの部屋さんといったナニワ音盤道の常連の方々にお目にかかることができた。
 これは鈴木@syuzo's Homepageさんが力説されることだが、普段、職場等ではクラシックの話題−しかも結構deepな−は取り上げることができないが、こういう場では存分に会話ができる。約2時間が瞬く間に過ぎてしまった。ほとんど舞い上がっていて、何を話したのかも、ろくに記憶していない有様である。
 いやー、もう、楽しい一夜であった。
 なお、2軒目は天下一品北新地店という、これまたdeepなコースでありました。

 ナニワ・ミニオフに先立って、ワルツ堂堂島店を数年ぶりに訪問。中古CDコーナーを漁るが、もうひとつ。オフの集合時間も迫ってくるので出ようとしたら、隅に中古LPコーナーがあるのに気づき、つい、棚をパラパラ掻き回すと、妙なものがいっぱい出てきたので、ついつい買い込んでしまった。
 集合場所のタワーレコード梅田店でも皆さんを置いて新譜のコーナー等をチェック、数点を購入。
 斉諧生としては人を待たせているので大急ぎで片付けたのだが、どうもこれが傍目には「物凄い勢いで買いまくる」ように見えたらしい。*少し*誤解ですよ。(^^)
 なお、午前中にMusic Boulevardから数点届いた。

エリオット・ガーディナー(指揮)ORR、シューマン;交響曲全集(ARCHIV)
この全集はタワーレコードが目玉価格で売っているのだが、京都店ではずっと品切れだったので、ぜひ今日、梅田店で買っておきたかったもの(しかもポイントカード3,000円引きを使うのだ)。
そんなわけで新譜の棚からまず手に取ったところ、後ろの方で「あ、すでに1つ取っている」との声あり。(+_+)
ハワード・グリフィス(指揮)チューリヒ室内管、グリーグ;「ホルベアの時代から」ほか(NOVALIS)
タワーレコードでシューマンの次に手に取ったのがこの盤。「ホルベア〜」は見たら買わずにいられない曲だし、それ以外にもシベリウス;ロマンスニールセン;小組曲ヴィレン;セレナードと、北欧の弦楽合奏の名曲揃い、これを見逃すわけにはいかない。
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム室内管ほか、ストラヴィンスキー;バレエ音楽「ミューズを導くアポロ」ほか(Sony Classical)
新譜の次は、AYAサロ様と彩ちゃんの部屋さんがおられる以上、サロネンを買わないわけにはいかない。(^^)
「アポロ〜」は京都の各店の棚では見掛けないし、カプリングが「ニ調の協奏曲」なのも魅力なので購入。
もっとも、「ハイドンも買ってくださいよ」とのお言葉であった。(^^;
エサ・ペッカ・サロネン(指揮)ストックホルム放送響ほか、ストラヴィンスキー;オペラ・オラトリオ「オイディプス王」(Sony Classical)
これはMusic Boulevardから。
前に、北欧の名門合唱団オルフェイ・ドレンゲルのWebpageを見つけたときに、同団のディスコグラフィに掲載されていたので、これは聴きたいと思ってオーダーしたもの。
届いてみたら、歌手にはヴィンソン・コールアンネ・ゾフィー・フォン・オッターサイモン・エステスハンス・ゾーティンニコライ・ゲッダ、語りはパトリス・シェローと大物ばかりで驚かされた。
イェヒム・ブロンフマン(P)エサ・ペッカ・サロネン(指揮)バルトーク;P協全集(Sony Classical)
これもMusic Boulevardから。前に国内新譜の時に、どこかで宇野*尊師*が褒めていたのでWantListに載せていたCD。
しかし、また3枚もサロネンを並べてしまった。オフ会でも、どなたかに、「わりと渋めの盤ばかりだったのに、突然、サロネン・サロネン・サロネンっと来て、もう誰の影響だか、まる分かりですね!」と言われたばかりなのだが。
スティグ・ヴェステルベリ(指揮)ストックホルム王立歌劇場管ほか、「王立歌劇場の序曲集」(STERLING)
クラウスやベルワルドら、18〜19世紀にストックホルム王立歌劇場で活躍した作曲家による序曲集。名前を聞いたことのない曲ばかりである。(^^;
実は、ヴェステルベリの指揮したものが聴きたくなって、Music Boulevardに何点かオーダーしたのだが、これ以外は"Out of Stock"だったのだ。
エルヴェ・ジュラン(Hrn)ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)マリー・ジョゼフ・ジュード(P)、ブラームス;Hrn三重奏曲(HMF)
カントロフは出れば買うヴァイオリニストの1人だが、この録音は初発の時に気づかず、『レコ芸』3月号の月評記事で知ったもの。
国内盤は高値なので、輸入盤を探したが店頭になく、Music Boulevardで検索したところ、$5少々だったので、「これは$15のところを間違って入力したのに違いない」と内心ほくそ笑みながらオーダー。
で、届いたものは、ブラームス1曲だけ、30分弱の収録、なるほど$5だろうと納得してしまった(国内で出た盤は、シューマンの2曲をカプリングして50数分の収録)。
でも、カントロフが入っているのはブラームスだけなので、斉諧生としてはお得な買物だったといえる。
ヨーヨー・マ(Vc)エマヌエル・アックス(P)、ブリテン;Vcソナタ&R・シュトラウス;Vcソナタ(Sony Classical)
ブリテンのソナタは、少し前に長谷川陽子さんが取り上げておられたので気になっていたが、店頭ではロストロポーヴィッチ&作曲者の録音しか見当らず、食い足りない思いをしていたところ、ワルツ堂堂島店の中古CD棚で、この盤を見つけたので、これ幸いと購入。
ピエール・デルヴォー(指揮)コンセール・コロンヌ管、ラヴェル;ボレロ&スペイン狂詩曲(米Command、LP)
以下はワルツ堂堂島店で購入した中古LP。
デルヴォーは、日本ではほとんど無名ながら、フランスの名匠といっていい人。松尾葉子さんがデルヴォーに学んだのではなかったか。CDでは、東芝の廉価盤でシャブリエが出ていたのと、千住真理子さんのショーソン;詩曲ほかの伴奏、ウルフ・ヘルシャーのサンサーンス;Vn協全集の伴奏あたりが主なところ。
そのデルヴォーのラヴェル、またオーケストラも古き佳き仏蘭西の香りを期待できる、往年のコンセール・コロンヌ。期待したい。
ジャケット裏の情報ではラヴェルでもう1枚(ダフニス第2組曲、ラ・ヴァルス、道化師の朝の歌)とドビュッシー(海、イベリア)の録音がある模様。うーん、欲しいなぁ。
コマンドはステレオ初期に35mmマグネティック・テープを使ったハイファイ録音で名を揚げたレーベル。同じテープを使ったマーキュリーが3本マイクのワン・ポイント収録だったのに対し、こちらは徹底したマルチ・マイク方式だった。
ただし、この盤自体は1970年代初めのプレスなので、音的にはどこまで期待できるか…?
マリエル・ノールマン(Hp)アラン・マリオン(Fl)ほか、トマジ;春の協奏曲ほか(仏LYRINX、LP)
「愛惜佳曲書」で「12のコルシカの歌」を掲載したトマジの作品は耳にしておきたく、購入。
1985年2月マルセイユでの録音だが、"numerique"の表示がないところを見るとアナログ録音だろうか。LYRINXの音にも期待したい。
アルヴェ・テレフセン(Vn)オッコ・カム(指揮)ほか、シンディング;Vn協第1番&Vnと管弦楽のための組曲ほか(諾NKF、LP)
例によって北欧物だが、(^^; シンディングは19世紀末に活躍したノルウェーの作曲家。「組曲」はハイフェッツの録音で有名になった佳曲で、パールマンシベリウス;Vn協の2回目の録音(プレヴィンとのEMI盤)のフィルアップに入れていたが、CDではどうなっているかしら?
その「組曲」に加えてVn協奏曲や「伝説曲」を、「北欧のオイストラフ」ことテレフセンのソロで聴ける盤、買わざるべからず。
館野泉(P)ヨルマ・パヌラ(指揮)ヘルシンキ・フィル、パルムグレン;P協第2番「河」&エングルンド;P協(東芝、LP)
北欧物、続く。(^^; 
ライナーノートによれば、パルムグレンは1912年の、エングルンドは1955年の作品だが、ともにあまり前衛的な作風ではないらしい。
まぁ、曲というより、館野泉さん初期の(たぶん1970年代初め)珍しい録音なので、ついつい購入。
このほかカム&日フィル(たぶん分裂前)とのグリーグというのもあるはずで、本当はそっちが欲しいのだが、なかなか見つからない。
余談だが、佐々木@CD三昧日記さんのファースト・ネーム、いつも「I・SASAKI」と御署名のところ、館野さんと同じく「泉」だとは今日知った。
デヴィッド・ゲリンガス(Vc)ローレンス・フォスター(指揮)ベルリン放送響、「美しいチェロのロマンス集」(独EURODISC、LP)
なかなかメジャーにならないチェロの名手、ゲリンガス。その原因か結果か、録音するレーベルも次々に変わっている。この間はキャニオンにバッハとハイドンを録音していたが、ここではオイロディスクに登場。
ブルッフ;コル・ニドレイサンサーンス;白鳥は超有名曲だが、斉諧生をしてこの盤を購入せしめたのは、シベリウスの2曲(op.77-1、77-2)フローラン・シュミット(「悲歌」op.24)を収録しているから。
1980年、ベルリン・イエス・キリスト教会でのデジタル録音と表記されているが、CDは出ていないのでは?
Jaco van Witteloostuyn編著"The Classical Long Playing Record"(BALKEMA)
これはタワーレコードで購入した輸入書籍。"In Tune"誌に広告が出ていたもの。
23,000円と高価だが(タワーだからかな? 他でもっと安く売ってたらどうしよう?!)、ジャケットやラベルのカラー図版を満載しているほか(印刷も美しい)、各レーベルの年代別レコード番号一覧表は信じ難い労作と言えるだろう。
永久保存版の1冊である。

4月2日(木): 数日、更新が途絶えたが、これはCD屋へ行っても収穫が無かったりしたため。
 一昨日(31日)、再び京都・寺町の電気店街へ行った。もちろん、29日に書いた、大容量HDDを購入するためである。
 現用ノート型PCに対応した、内蔵用3.2GBのHDDを購入。ついでに、バックアップ用のMOディスク(ドライブは知人から借用)、前川武弘『自分でできるウィンドウズの再インストール』@DARTも。
 帰宅後、さっそくMOのドライバをインストールして、MOドライブを接続、HDDのバックアップをとる。特にファイルの選択はせず、全面的にコピー。とはいえ、800MB弱のHDDゆえ、MO(230MB)4枚に十分納まってしまうのであった。
 明日朝から、いよいよHDD交換と再インストールに取り掛かる予定である。ドキドキ。

 

エフレム・クルツ(指揮)フィルハーモニア管、「パヴロヴァを讃えて」(EMI&山野楽器)
先日、ショスタコーヴィッチ等を購入したエフレム・クルツの別なCDを見つけたので購入。1955年、フィルハーモニア管全盛期のモノラル録音である。
曲目はいずれも今世紀前半に活躍した不世出のプリマ・バレリーナ、アンナ・パヴロヴァの十八番、彼女の生誕75周年記念の企画であった。
ショパンのピアノ曲の編曲によるバレエ組曲「枯葉」がメインだが、パヴロヴァの代名詞ともいえる「瀕死の白鳥」−音楽はもちろんサン・サーンスの「白鳥」−は、もちろん収録。
マンデル・ロウ(G)ほか、「ポーギーとベス」(BMG)
これはジャズのCD。「ポーギーとベス」には目がないのである。
1958年7月にNYで録音されたもので、「サマータイム」をはじめ、「ポーギーとベス」の有名なナンバー10曲を演奏。
斉諧生はジャズ演奏家には必ずしも詳しくないので、詳細はわからないが、当時の精鋭メンバーによるという。
また、”LIVING STEREO”のロゴ付きで、これもGOOD。

 「斉諧生自序」中のCDの枚数を平成9年度末現在の数字に置き換える。


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