音盤狂日録


深謝二十万件

このほど、当「斉諧生音盤志」が200,000アクセスに到達いたしました。
公開が平成9年8月8日、100,000アクセス到達が平成12年7月でしたので、
大幅にペースアップしたことになります。
これもひとえに皆様日頃の御愛顧の賜であります。
相変わらず本業多忙につき、二十万件記念企画には
まだまだ着手できそうにありませんが、
不日その責めを果たす覚悟でおりますので、
今暫くの御猶予をお願い申し上げます。
併せて、今後とも変わらぬ御愛顧を頂戴できますよう、
恐々謹言、乞い願い上げ奉ります。  <m(_ _)m>
平成13年11月4日
斉諧生   

11月30日(金): 

 

ホアキン・アチュカロ(P)ギルバート・ヴァルガ(指揮)バスク・ナショナル管、ラヴェル;P協・左手のためのP協ほか(CLAVES)
現在来日中のスペインの巨匠アチュカロについては、畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが、つとにファン・ページを開設しておられる。
関西公演もあったのだが(会場は→ここを押して)、何とも残念なことにロジェ・トリオの京都公演と重なってしまい、聴くことができなかった。
会場でこのCDが販売されているとの情報があり、ラヴェルは好きな曲ゆえぜひ聴きたいと、知人の御好意にすがって東京公演の会場で買ってきていただいたもの。
店頭で見たことがないのも当然、2000年9月・2001年6月の最新録音である。収録場所はブリュッセルとのこと。
指揮者はヴァイオリニストティボール・ヴァルガの子息、管弦楽のみによる道化師の朝の歌がフィルアップされている。
なお、オーケストラの公式Webpageは→ここを押して
 
イェフディ・メニューイン(Vn)ベンジャミン・ブリテン(P) ドビュッシー;Vnソナタ&シューベルト;幻想曲ほか(BBC LEGENDS)
ピアノも良くしたブリテンが好んで演奏したシューベルト。
(ロストロポーヴィッチアルペジオーネ・ソナタピーター・ピアース「水車屋」「冬の旅」を録音している。)
出来不出来の多かった頃のメニューインゆえ少し不安もあるが、ともかく「幻想曲」蒐集の一環としては落とすことができないものゆえ購入。
ハイドン;Vnソナタ ト長調シューベルト;Vnソナタ イ長調をカプリング。
幻想曲のみ1957年6月16日、その他の3曲は1959年6月27日の、いずれもオールドバラ音楽祭でのライヴ録音。
モノラルだが、明瞭でしっかりした音質。
 
ユーラ・ギュラー(P) ショパン;マズルカ・夜想曲選集(Dante)
ギュラーは晩年の録音(ベートーヴェン;Pソナタ第31・32番、小品集)を架蔵しており、特にベートーヴェンは優れた演奏である。
このショパンは1956年録音、マズルカ11曲と夜想曲5曲を収めている。
上記の知人から拝領したCD。改めて御礼申し上げる。<(_ _)>

11月29日(木): 

 オリヴィエ・シャルリエヴァイオリン・リサイタル@京都コンサートホール・小ホールを聴く。
 某大学の周年行事関連ということで、Vn業界への広報が行われなかったのだろうか、パリ音楽院ヴァイオリン科教授のリサイタルとしては寂しい入りだった。

今日の曲目は
サン・サーンス;序奏とロンド・カプリチオーソ
ルクー;Vnソナタ
(休憩)
ドヴォルザーク;4つのロマンティックな小品
ドルドラ;想い出
マスネ;タイスの瞑想曲
アルベニス;タンゴ
モンティ;チャルダッシュ
というもの。前半にソナタ、後半に小品集という、古き佳き時代のスタイルである。
もちろん最大の目当てはルクー。
この曲を実演で聴くのは、初めてである。なかなかステージにかからない上に、少ないチャンスを他の演奏会との重複や本業関係で逸してきた。
それをシャルリエの独奏で聴けるというので、心待ちにしてきた演奏会。
 
ピアノは増永憲行、福井市出身で現在はパリで活躍中とのこと。
 
とにかくCDに聴く以上の美音。最高域でも金属的にならない、まろやかな気品の高い柔らかい音を基本にしている。
高音から低音まで、音色のつながりも良い。更に、フランス系Vn奏者にありがちな低い方の弦で詰まり気味の音色になってしまう、という欠点も免れている。
弓の根元を使ったダウンボウ(下げ弓)でフォルテを出す際に、音の頭が少し潰れることがあるが、それもごく些細な傷にすぎない。
ピアノも柔らかく美しい音色で、シャルリエを良く支えていた。
 
サン・サーンスの序奏ではグリッサンドの多用が少し煩わしかったが(これは好みの問題か)、ロンドの節回しの自在さ、その粋なこと!
この「耳タコ」の曲を、次にどんな華麗な表現が、どんな美しい音が飛び出すか、ワクワクしながら楽しみに待てる、実に新鮮な演奏であった。
 
さて本命のルクー
第1楽章、冒頭は一節ひとふしを慈しむように丁寧に弾き始め、徐々に熱っぽさを加えていく。
これは…と期待したのだが、第2楽章では、上記サン・サーンス同様、グリッサンドが目立ち、この楽章に漂う、やり場のない孤独感、寂しさを損うことになってしまった。誠に残念。
第3楽章は、概ね急速な音楽なので、そうした欠点が顔を出す場面は少なく、熱っぽい盛り上がりに身を任せることができた。
 
休憩後のドヴォルザークには疑問が残った。
あれこれやってみせるのだが、なんとも魅力のない平凡な音楽。
とにかく、音の感覚が、まるで曲と合わないのである。ラテンとスラヴの民族性・音楽性の違いとしか言いようがないと思う。
したがって、小品集の中では、マスネが最も良く、ドルドラがこれに次ぐ出来栄えであった。
モンティでは、節回しには手のこんだ芸を見せるものの、ジプシー風の、これぞヴァイオリン!という土臭い悦びが聴こえてこなかった。やはりスラヴ系の曲には相性が悪いようだ。
 
アンコールは、
グルック(クライスラー編);メロディ
チャイコフスキー;舟歌 「四季」より(Vn編曲者不詳)
 
ルクーで不満が残ったのは惜しかったが、やはり美音の、フランス音楽に素晴らしい感覚を示すヴァイオリニストには相違ない。
年明け1月に、また来日し、フランク;Vnソナタを含む演奏会も予定されているようだ。ぜひ聴きに行きたいもの。(演奏会情報は→ここを押して)
なお、シャルリエの演奏姿をとらえたWebpageを見つけた。サカリ・オラモとのリハーサルの様子。→ここを押して

11月28日(水): 

 

河原泰則(Cb)ライナー・ホフマン(P) 「コントラバスの魂」(LARGO)
ケルン放送響の首席Cb奏者、とにかく下手なチェリストより正確な音程の名手、河原氏の4枚目(このレーベルからは3枚目)になる小品集が出ていた。
店員さんの作業台上で発見、店頭に出るより先に(苦笑)購入。
2000年3月の新録音で、
エックレス;ソナタ イ短調 (Vnソナタ ト短調からの編曲)
バッハ;ソナタ イ長調 (Gambソナタ第2番 ニ長調からの編曲)
ヒンデミット;Cbソナタ
をメインに、
フォーレ;エレジーシューマン;トロイメライなど計7曲を収める。

11月27日(火): 

 今日は、我らがマエストロ、ズラタン・スルジッチ(指揮)大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース@大阪国際交流センター大ホール の第45回定期演奏会を聴きに行く。
 プログラムの前半、声楽専攻による合唱ブラームス;ジプシーの歌には間に合わなかった。

管弦楽のプログラムは、
ベートーヴェン;交響曲第3番
ワーグナー;歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
チャイコフスキー;P協第1番(独奏;河江 優)
というもの。
 
演奏順も上記どおりで少々吃驚、心と耳の準備が整わないうちに1曲め「英雄」第1楽章冒頭の主和音が鳴り響いた。
宇野功芳師のように、この和音を思いっきりズッシリ鳴らす人もいるが、スルジッチ氏は新古典的な引き締まった響き。
続く音楽も、全体にキビキビした、オーソドックスなものである。
かといってあっさりした無感動な演奏ではなく、第2楽章では、じっくりしたテンポから燃焼度の高い響きが奏でられ、胸に熱いものが伝わってきた。いつもながら、この団体の弦合奏は優れた能力を持っている。
 
いつもは力不足を感じさせる金管楽器群が、今日は素晴らしい出来。
第2楽章での寂びのきいたTrpの音色や、第3楽章トリオでのHrnによる見事な角笛の響きなど、堪能させてもらった。
 
第4楽章も堂々たる音楽だったが、ちょっとリズムが重く、わずかながら、もたれる感じがあった。
また、この楽章くらいでは、もう少しケレン味というか、聴き手を引きずり回すような強引さがあった方がベートーヴェンらしいと思うのだが、これは趣味の問題だろう。
一昨年5月の「運命」では白熱の指揮を聴かせたスルジッチ氏も、オーケストラの成長に合わせて、音楽づくりを熟成させているのかと推測する。
 
なお、第1楽章の提示部の反復は省略、コーダのTrpは主題どおりに補足して吹かせる式。
 
「ローエングリン」でも、金管は極めて好調、輝かしい演奏となった。
 
チャイコフスキーは、ピアノ、オーケストラ共々、あまりスラヴ色はなく(スルジッチ氏はクロアチア出身だが、ウィーンの伝統に学んだ人だ)、端正な音楽であった。
特に第1楽章での歌ふしを奏でたVn群の音色の美しさには感銘を受けた。
 
独奏は大学教官、蛇足ながら、男性である。
おそらく楽器の状態が悪いのだろうと思うが、ピアノの響きを楽しむには至らなかった。技術的には高いものを持った人だろう。メシアンあたりを聴いてみたいと感じた。
 
アンコールは、なし。

 

ダヴィード・オイストラフ(Vn)レフ・オボーリン(P)スヴィアトスラフ・クヌシェヴィツキー(Vc)ほか、;ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲第2番ほか(praga)
演奏会前に音盤店に立ち寄ったところ、昨日京都では見つからなかったものが見つかり、驚喜して購入。
すなわち、工藤さんの音盤評で「傑出している」・「作品の内容を余すところなく表現しきった名演」とされた演奏である。
オーイストラフとオボーリンの巨大で圧倒的な音楽と非の打ち所のない技術が、大変素晴らしい。(略)
 まさにショスタコーヴィチが頭の中に描いていた音楽そのものを、極めて高い精度で再現した演奏といえるだろう。
 微細なニュアンスから圧倒的な力強さに至るまで、とにかく不満を感じる部分は皆無。
とのこと。
1961年5月26日、プラハでのライヴの放送用録音で、モノラル。
工藤さんは「録音はお世辞にも良いとは言えない」と書いておられるが、斉諧生のところでは明瞭でしっかりした音で鳴っている。
チラッと聴いただけでも、圧倒的な音楽だ。

11月26日(月): 

 

ワディム・レーピン(Vn)ボリス・ベレゾフスキー(P)ドミトリー・ヤブロンスキー(Vc) チャイコフスキー;P三重奏曲&ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲第2番(ERATO)
11月23日(祝)にロジェ・トリオの演奏に接して好きになった、ショスタコーヴィッチの第2トリオ。
既に2、3枚架蔵してはいるのだが、別な演奏で聴いてみたいと思い、例によって工藤さんのページを参考に、何枚かをピックアップ、そのうち音盤屋の店頭にあったものを購入。
高い技巧を生かした、スケールの大きな名演で、強奏部でも決して音が汚くならない上に、きれいごとではない曲の内容も見事に表現しきっている。
 わずかながら淡白な部分も残っているが、とても若い演奏家による演奏とは思えない、成熟した演奏だ。
とのこと。

11月25日(日): 

 「パーヴォ・ベリルンド(ベルグルンド)のシベリウスは、どの演奏を選ぶか」第2回
 
 第6番を取り上げた第1回から、1月以上経ってしまった。(汗)
 今日は、第3番を。この曲は全集盤3点のみ、単発の録音はない。
 
 カラヤンオーマンディといった有名シベリウス指揮者が録音を残さなかった曲である。全7曲中、おそらく実演で取り上げられる回数が最も少ないものだろう。録音にしても、全集企画の中で取り上げられることがほとんど。
 第1楽章冒頭で低弦が素朴な舞曲のリズムを刻むあたりがナイーヴすぎるのか、第3楽章が今ひとつ弱いせいか。特に後者は演奏会にかけるには致命的かもしれない。所要時間約30分で前プロには長いが、メインに持ってくるには終結が盛り上がらない感じになるから…。
 しかし、第2楽章の抒情(主題の歌謡的な美しさ!)は、音楽に親しむ人なら誰もが好むものではなかろうか。また、第1楽章での金管の咆哮なども、後期様式の先駆として考えられると思う。
 斉諧生按ずるに、第3番は、チャイコフスキーやワーグナーの影響が強い初期(第1番など)から後期の様式へ作風が移行していくさまを示す曲であり、シベリウスの音楽を愛好する者にとっては捨てがたい佳曲であろう。

ボーンマス響盤 (Disky) (1977年6月)
一聴して感じるのは管楽器の弱さである。
第1楽章で弦の第1主題に呼応する木管のパッセージで、すでに響きの薄さが感じられ、その後の高揚(第2主題が出る直前)でも、Hrnに音の濁る奏者がいることが聴きとれる。このHrnは、楽章を通じて、金管合奏の足を引っ張っている。
弦合奏がpppに沈み、静けさのなかでFlが吹く印象的なモチーフでは、腰が重いというか、蒼天に涼風が吹き抜けるような清涼感が得られない。もっとも、これは奏者ではなく指揮者の問題かも知れない。
ややあってHrnの持続音とVaの刻みに乗ってFgが第2主題を吹くところも、pp指定に拘っているのか、espressivoの味わい(濃さ)が出ていない。こういうところで寂びのきいた剛直な音が聴こえると、北欧の風土感がサッと立ちのぼるのだが。
もっとも弦合奏はよくやっており、広々とした風景が眼前する。
第2楽章も同様で、主題を提示するFlが重く、憂愁味が勝ちすぎており、斉諧生的には採りたくない。シベリウスの憂愁は晴朗でなければならない。
弦の歌が一段落したあとのVcが三声部に分かれるパッセージの柔らかな音色は素晴らしいが、それに応える木管群の響きに落胆。
更に弦のピツィカートに乗ってFlとObが主題を歌い交わす部分や、主題再現前にリタルダンドがかかってObがカデンツァ風に吹く部分では、Obの音の薄さ(チャルメラ的な音)が気になる。
第3楽章でも管楽器の弱さは目立ち、特に終結がオルガン的な綺麗な和音になっていないのは大減点である。
ただ、この楽章では、ベリルンド自身、あまり力強く表現しようとはしていないようだ(後述)。
また、管弦楽の響きが整理し切れておらず、シベリウスの精妙な書法をじゅうぶんには生かせていないように聴こえる。
 
ヘルシンキ・フィル盤 (EMI) (1987年8月)
ボーンマス響盤から引き続いて聴くと、弦合奏の透明度が一段、上がったように感じる。あるいは録音の技術的な問題かも知れないが…。
不思議なのは、第1楽章冒頭、VcとCbにVaが加わる直前、指定もないのに音を弱める点である。これは小細工というものだろう。
それ以外ではボーンマス響盤の欠点が、ほぼ解消され、理想的な演奏になっている。
楽章終結の和音などで、金管の生々しい音を抑え、柔らかい響きを作り出しているのは、是非はともかく、特筆しておきたい。弦に第2主題が出るところでTimpの漸強弱を強調しないのも同然である。
第2楽章の主題を出すFlは、まさしく「晴朗な憂愁」。
引き継いで歌ってゆく弦合奏は、少しざらっとした手触りの、暖かい響きが懐かしい。
力強い足どりを思わせる低弦のピツィカートに導かれた主題再現でも、この手触りの良い暖かい響きは美しい
第3楽章も、ほぼ理想的な演奏になっているのだが、2点だけ、意にそわない表現がある。
1つめは、楽章後半、Vaに顔を出した主題が、VcとCbを加えて、mf から f に音量を高めるところで、"con energia"という指定があるにもかかわらず、2小節目ですぐに音量を弱め、少しクレッシェンドしたかと思うと、また6小節目で落としてしまうところ。
12小節目にディミヌエンドがあるのに連動させたのかもしれないが、ここの漸強弱が楽章全体の構造・性格を曖昧にしていると言わざるをえない。
2つめは、木管やHrnが主題を変形させて英雄的に吹き上げたあと終結に向かう部分。
弦の刻みには f → ff → sempre ff という指定が与えられており、滔々、轟々と膨らんでゆくべきなのに、ベリルンドは、ff の箇所で逆に抑えてしまうのである。
おそらく、ここから金管が入ってくるのを際立たせる意図だろうし、しばらくあとに再びクレッシェンドして ff に戻すのだが、これではせっかく手に汗握りかけたのが拍子抜け、と言わざるをえない。
思うに、ベリルンドには、この楽章を第2番の終楽章のようにはしたくない、この曲は混沌(闘争)から主題が姿を現し歓喜の終結に至るという直線的な図式の音楽ではない…という大きな意図があるのではなかろうか。
斉諧生としては、この表現意図に賛同すべきか、まだ意を決し切れていない。正直申せば、現時点では否定的である。
なお、残響が多めで、ほの暗い雰囲気の録音になっており、この点も好みを分かつと思われる。
 
ヨーロッパ室内管盤 (FINLANDIA) (1997年10月)
弦合奏が、Vnは第1・第2合わせて18人、Va6人、Vc5人、Cb4人という編成、その上、音程が良く、加えて録音の抜けも良いことから、すべてのパートが実に明快に聴こえてくる。
第1楽章冒頭の低弦にかぶさってくるHrnの和音もクリアそのもの、Vcの第2主題も憂愁味が薄まって清冽に響いている。
明快すぎるような気もしないではないが、この晴朗な音楽には、代え難い喜びを覚える
また、埋もれがちな音型などが浮かび上がって聴こえる快感があちこちにある。
例えば弦に第2主題が出るところ、木管の生き生きとした表情やTimpの漸強弱も面白いが、CbとTrbが同時に加わって和音が充実する効果など、実に素晴らしい。
これで木管に、もう少し表現力があり詩情があればと思うが、望蜀の嘆というものであろうか(特にOb)。Hrnは3種の中で最も上手いだろう。
第2楽章では、冒頭のFl重奏に表情が付きすぎているのが気になるが(これは斉諧生の好み)、弦合奏の音程が良く、また第2VnとVaの内声がくっきり聴こえるのは、たいへんに気持ちが良い。新しい美を発見させてくれる。
FlとObが主題を歌い交わすところで、Obが少しリズムを変形させる部分がある。その中で八分音符2つにスタッカートが付いているが、この音は軽みを帯びて憧れに満ち、聴く者の胸を衝く。このオーケストラのObには、これまでたびたび疑問を付してきたが、ここは本当に素晴らしい。
もっとも、主題再現直前のカデンツァ風音型では、いつもどおり冴えないのだが…。(苦笑)
主題再現から楽章終結までの弦の響きは最高に素晴らしい。
また、Timpがマルカートで叩く音が実在感に満ちていること! (これは録音エンジニアの勝利かもしれない。)
第3楽章では、シベリウスが書いた弦合奏の絡みの立体感がみごとに表出され、Hrnのfpやゲシュトップ音の処理など、解釈の成熟が手に取るようにわかる。
ヘルシンキ・フィル盤で疑問を呈した1点めの主題の漸強弱は、この盤では見られない。音量を落とす代わりに、ドルチェの表情を与えている。
これが、すなわち楽章後半の基本的な性格を「エネルジコ」ではなく「ドルチェ」としているところが、新盤の大きな特徴である。音楽をゆったりと運び、けっして力まない。金管の音色も軽めの柔らかいもの。
ヘルシンキ・フィル盤の2つめの疑問点は、この盤では更に徹底しており、弦合奏は最後まで f で押しきり、 ff には上げない。
 
思うに、ベリルンドにとって交響曲第3番は、室内楽的表現をもって良しとする曲なのだろう。第2番の流れを汲む英雄的な音楽ではなく、第4番や第7番を導く音楽なのであろう。
そういう彼の意図が最もよく現れているヨーロッパ室内管盤をベストとしたい。
ただ、斉諧生としては、この曲にはシンフォニックな表現を求めたい気持が強く、他の指揮者も含めてのベスト盤であれば、ブロムシュテット(DECCA)、C・デイヴィス(BMG)、ヴァンスカ(BIS)といったあたりから選びたいと思う。

11月23日(祝): 

 長谷川陽子さんの演奏会は、ずっと聴いてきているが、初めてロジェ・トリオとしての演奏会@府民ホール「アルティ」を聴く。
 もちろんメンバーは長谷川さんに加えてパスカル・ロジェ(P)、小林美恵(Vn)。

今日の曲目は
ドビュッシー;ピアノ三重奏曲
ラヴェル;ピアノ三重奏曲
ショスタコーヴィッチ;ピアノ三重奏曲第2番
というもの。
 
ドビュッシーは、十数年前にようやく楽譜が出版された若書きの作品。
もちろんドビュッシーの真面目を発揮した曲ではないが、美しい主題と気の利いたパッセージの豊かな佳品である。
特に第3楽章アンダンテの冒頭、チェロが主題を歌い出すあたり、長谷川さんの美しい音に陶然となる。
今日の演奏会を通じてチェロの音色の美しさ、音の伸びはみごとで、更に一段の進境をうかがわせるものであった。
少々問題なのは小林さんのヴァイオリンで、音色(ヴィブラート含む)・音程がチェロの音と溶けあわない。
常に、自分の音・音楽を立てていく感じで、敢えて悪く言えば、ピアノとチェロを伴奏にソナタでも弾いているような調子なのである。ソリスト気質というものなのかもしれないが…。
 
一方、ラヴェルでは、曲の書き方の違いだろうか、ヴァイオリンがグイグイ弾くのも、ドビュッシーよりは抵抗なく聴けた。
まあ、音程だけは、もっと美しいハーモニーをチェロと作ってほしいが…。
ロジェのピアノは、美しい音色と的確なニュアンスの与え方が素晴らしく、全体のアンサンブルをがっちり支えていて(これは3曲ともに言える)、誠に聴き応えがあった。
なお、この曲は6月に録音が行われ、来春にCDがリリースされる予定とのこと。→ここを押して
 
ショスタコーヴィッチは、実は初めて聴く曲(三重奏以上の室内楽には疎いのである)。
解説によれば親友の評論家ソレルチンスキーの死を悼んだ作品とのことだが、ちょっと常軌を逸したような、狂気じみた音楽である。
第1楽章冒頭からして、チェロがフラジョレットで悲痛な歌を綿々と歌う、という異様な開曲ぶり。
ここでの長谷川さんのフラジョレットは見事だった!
もっとも、その上に小林さんが相変わらずヴィブラートたっぷりに歌って入ってきたのには、ちょっと違うんじゃないか?と思ったが…。
 
第3楽章は短い(5分程度)とはいえ、ショスタコーヴィッチの緩徐楽章の典型で、荒漠たる寂寥感に満たされている。
冒頭の悲愴な和音も十分に重々しく、ロジェのピアノが美しいだけのものでないことを、よく示していた。
 
第4楽章では、よく聴く室内交響曲op.110aというか弦楽四重奏曲第8番で執拗に繰り返される旋律が登場し(作曲は三重奏曲が先)、やはり「死」もしくは「狂気」との関連性をうかがわせる。
この楽章での緊張感の高まりは凄まじく、特に小林さんには鬼気迫る「乗り」が感じられ、かつ、それが空回りせずに、ちゃんと音化されていた。さすがである。
長谷川さんも強烈なピツィカートなど高いテンションで応じておられたが、受けにまわりがちだったのは否めない。数年前のカサド;無伴奏Vc組曲にみられたような、激情のほとばしりで対抗してほしかったところだ。
とはいえ、三者の白熱ぶりは素晴らしく、手に汗握りながら、このままいったら、いったいどうなってしまうのだろう?とドキドキしていたところ…
なんと、ブッツリ、長谷川さんの弦が切れてしまった!
 
舞台袖で弦を張り替えるため暫し中断、第4楽章冒頭から弾き直しとなったが、やんぬるかな、小林さんの「憑き物」は落ちてしまっていた。
もちろん楽章終結へ向けて、再び盛り上がっていったし、それはそれで上出来な演奏だったとは思うが、どうしても「あのまま突き進んでおれば…」という嘆きが頭をかすめる。
 
アンコールにはシューベルト;P三重奏曲第2番から第2楽章
この楽章の主題、なんとなく早坂文雄の音楽を思い出す。
 
アクシデントは残念だが、内容は良かった。このトリオによる次回の演奏会が楽しみだ。
できれば長谷川&ロジェなり小林&ロジェの二重奏も聴きたいところだが、どうだろう?

11月22日(木): 

 

ジャン・フルネ(指揮)群馬響ほか、ベルリオーズ;幻想交響曲ほか(ALM)
フルネの新譜、買わざるべからず。
彼の「幻想」は、昭和62(1987)年に京都で都響との実演を聴いた。まさしく「平凡の非凡」と讃えるべき名演であったことは今も記憶に鮮烈である。
カプリングはオネゲル;フルートとイングリッシュ・ホルンのための室内協奏曲。フランス音楽の聴かれざる佳曲を重視するフルネらしい選曲である。
この曲での独奏者はパヴェル・フォルティン(Fl、群響首席)とミリアム・ハンネカート・ジェークス(イングリッシュ・ホルン、オランダ放送フィル)。
いずれも2000年10月14日、群馬音楽センターでのライヴ録音。
 
小林研一郎(指揮)チェコ・フィル、チャイコフスキー;交響曲第2番(EXTON)
コバケンの音盤は買わざるべからず。
これで、このコンビによるチャイコフスキー全集は完成。次はブルックナー;交響曲第8番という話だが、はてさてどうなることやら…。
 
タスミン・リトル(Vn)マーティン・ロスコー(P)ほか、ペルト;フラトレスほか(EMI)
かねて贔屓のヴァイオリニスト、タスミン嬢の未架蔵盤が中古格安で出ていたので購入。
彼女は標記曲のほか、「鏡の中の鏡」・「タブラ・ラサ」を演奏。後者ではリチャード・スタッド(指揮&Vn)ボーンマス・シンフォニエッタが共演している。
その他、オーケストラのみで「ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌」・「スンマ」・「フェスティナ・レンテ」を収録。
なお、彼女の公式(?)Webpageは→ここを押して
 
村治佳織(G)ホセ・ラモン・エンシナル(指揮)マドリッド州立響ほか、ロドリーゴ;アランフエス協ほか(Victor、DVD)
村治嬢のアランフエス、昨年春にCDが出たばかりだが、映像で再録音されたので、やはり一二もなく購入。
CDでは、独奏は素晴らしかったものの、管弦楽が演奏録音とも貧相だった。スペインのオーケストラとの共演に期待したい。
小品8曲(再録音数曲を含む)をカプリング。
初版限定のメイキング映像と「期間限定スペシャル・サイト」へのURL(+パスワード)を添付。
前者は9分強、後者では村治嬢のインタビュー映像(2分半程度)とアンケート+プレゼントのページを見ることができる。
 
野村万作・萬斎ほか、「野村万作狂言集 第四巻」(角川書店、DVD)
先だって家人と映画「陰陽師」を観てきた。(映画の公式サイトは→ここを押して)
両人とも夢枕獏(ないし岡野玲子)ではなく荒俣宏の著作等で安倍晴明を知ったくち、近頃の流行ぶりはむしろ残念なくらい(苦笑)。
ともあれ話のネタにでもと行ってみたところ、晴明役の野村萬斎の動きの美しさに(のみ)、非常に感心することとなった。
斉諧生は、元来、狂言は好きなのだが、京都に本拠を置く大蔵流茂山家(公式サイトは→ここを押して)の芸に親しんできており、和泉流の野村家には疎遠だった。これでちょっと見直した次第。
また映画公開とタイミングを合わせたとおぼしい『萬斎でござる』の文庫化(朝日新聞社)を読んで、ますます、この若者(といっても、もう三十代半ばだが)に感心、ぜひ舞台姿を観たいと考えた。
野村家の公式Webpageによると数点のDVDやビデオテープが出ている模様、そのうち演目に興味を惹かれた第4巻を購入。
「木六駄」(きろくだ)「川上」「柑子」(こうじ)「奈須与市語」(なすのよいちのかたり)を収めている。
もっとも主役はいずれも父君・万作で、萬斎は茶屋@「木六駄」と女房@「川上」のみ。

11月21日(水): 

 

ゲルハルト・タシュナー(Vn)コール・デ・グロート(P)ほか、「SP録音集成」(Archiphon)
第二次大戦中、19歳でベルリン・フィルのコンサートマスターに採用されたことで知られるタシュナーは、最近あちこちから復刻CDが出るようになった。(放送音源についてはClassical CD Information & Reviewsさんがまとめておられる。→ここを押して)
彼が1941〜48年にSP録音した音源を集成した2枚組が発売されていたので購入。
1枚目は
ヘンデル;Vnソナタ ニ長調(1943年2月26日)
フランク;Vnソナタ(1943年2月23日)
がメインだが、ベルリン・フィル就任と同じ年に録音したバッハ;シャコンヌが聴けるのは興味深い。
ライナーノートによれば、フルトヴェングラーを感心させ、ベルリン・フィルの演奏会のプログラムにも取り上げられた(無伴奏曲なのに!)という。
2枚目はもっと妙な音源で、
メインのアルトゥール・ローター(指揮)ベルリン・フィル、チャイコフスキー;Vn協は、LP初期に"フリッツ・マラコフスキー(Vn)ヨーゼフ・バルツァー(指揮)ベルリン響"という変名で発売されていたものというし、
ブルッフ;Vn協第1番は、先にヘルマン・アーベントロートの指揮で1944年12月16日の演奏が発売されていたが(Archiphon)、今回は、その1月前にフリッツ・レーマンと共演した第2・3楽章のみ(第2楽章は別テイク付き)が収められている。

11月20日(火): 

 日帰りで東京へ出張、用務先から東京駅へ戻る際に乗換の新宿で某音盤店へ。

ジョージ・セル(指揮)クリーヴランド管、ブラームス;交響曲第3番&ドビュッシー;交響詩「海」ほか(Ars Nova)
セルとクリーヴランド管のライヴはスタジオ録音を上回る出来を示すことが多いように思う。
この1965年5月19日にレニングラードで収録されたという演奏、正規音源なのか明記されていないので少々不安だが、旧ソ連のテープに権利関係の明確さを求めても無理だろうと思い、とりあえず購入。
ロッシーニ;「泥棒かささぎ」序曲ドヴォルザーク;スラヴ舞曲第3番をフィルアップ。後者はアンコールか。
ところどころ、歪みやテープの保管状態に起因すると思われるノイズも聴かれるが、まずまず鑑賞に堪える音質である。
 
ペーター・エトヴェシュ(指揮)グスタフ・マーラー・ユーゲント管ほか、バルトーク;管弦楽のための協奏曲・「不思議な中国の役人」(BMC)
いつもお世話になっているユビュ王の食卓@WOODMANさんの掲示板で教えていただいたCD。
ベートーヴェン;交響曲第5番ほかの盤も並んでいたのだが、現代音楽で知られるエトヴェシュゆえ、シャープでアグレッシヴなバルトークが聴けるのではないかと期待して、こちらのみ購入。
「オケコン」は1992年5月、イタリア・ベルガモのドニゼッティ劇場でのライヴ録音。
また「マンダリン」はユンゲ・ドイツェ・フィル(公式Webpageは→ここを押して)との共演で、1994年、西ドイツ放送による録音とのこと。
もっとも、帰宅してからチェックし直したら、WOODMANさんはベートーヴェンの演奏を高く評価しておられた(→ここを押して)。出し惜しみせずに2枚とも買うべきだったか(悔)。
なお、指揮者の公式Webpageは→ここを押して

11月18日(日): 秋は本業で休日のイベント等が多く、めぼしい更新ができませんが、御容赦ください。m(_ _)m

 

アンドレ・コステラネッツ(指揮)コステラネッツ管、「クライスラー、ロジャース、カーンの音楽」(VOCALION)
Barnes & Nobleから届いたCD。
コステラネッツがクライスラーのヴァイオリン曲を管弦楽編曲したものがCD化されているというので、興味を惹かれてオーダーしたもの。
愛の喜び愛の悲しみウィーン奇想曲中国の太鼓オールド・リフレインほか1曲を収録。
そのほかリチャード・ロジャース11曲、ジェローム・カーン5曲を収めている。
いずれも1940年代のSP録音。
聞き慣れないレーベルだが、英DUTTONの一部門である。カタログは→ここを押して
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ヤーノシュ・シャンドール(指揮)ハンガリー放送響ほか、ハイドン;Vc協第2番ほか(洪HUNGAROTON、LP)
国内の通販業者から届いた1枚。ペレーニの未架蔵音源であり、無事入手できて狂喜乱舞である。
ペレーニの同曲には、1979年録音のヤーノシュ・ローラ(リーダー)フランツ・リスト室内管盤があったが、こちらは番号等から見て旧録音に当たると思われる(データ不詳)。
カプリングはヴィルモーシュ・タートライ(リーダー)ハンガリー室内管、J.M.ハイドン;交響曲第20番(作曲者はハイドンの弟とのこと)。

 最近入手した音盤の情報をレイボヴィッツ・ディスコグラフィペレーニ・ディスコグラフィに追加。


11月17日(土): 

 HMVセット物半額セールで発注したうち、既に半分ほどが納品されたが、今日は更に4分の1ほどが届いた。

ブライデン・トムソン(指揮)ロイヤル・スコットランド管、ニールセン;交響曲全集(CHANDOS)
好きな指揮者の一人、トムソンのニールセンは、第3・5番を中古で入手しており、おいおい揃えるつもりだったが、店頭で見ることが少なくなった。
いずれ…と思っていたところ、今回のセールに出ていたのでオーダー。CD3枚組で3,000円強。
 
タカーチQ、バルトーク;弦楽四重奏曲全集(HUNGAROTON)
以前、第4番の聴き比べをしていた頃、注目すべき全集盤という情報を得ていたタカーチQ旧盤(新盤はDECCA)。
店頭で見かけないこともなかったのだが(最近、再プレスされたのか、よく見るようになった)、レギュラー・プライス3枚組の値段に買いそびれていた。
今回のセールでは3,000円強、喜んでオーダーしたもの。
 
サンソン・フランソワ(P) ショパン;P曲集成(EMI)
EMIの今年のクリスマス・セールBOXの一。四千数百円前後で出回っているが、そのさらに半額だから、レギュラー・プライス1枚分でCD10枚組が手に入ったことになる。
ここまで安くなると少し気が引けるものの(苦笑)、やはりオーダーせざるを得ない。
ピアノ曲に疎い斉諧生、ショパンといえばルービンシュタインのベスト盤(BMG)のほか2、3枚くらいしか架蔵しないので(協奏曲・Vcソナタを除く。)、まとまったものが欲しかったところ。
コルトーのSP復刻かフランソワで…と思っていたのである。

11月15日(木): 

 

ピエール・モントゥー(指揮)ロンドン響ほか、ベルリオーズ;劇的交響曲「ロミオとジュリエット」 ルネ・レイボヴィッツ(指揮)ウィーン国立歌劇場管、ベルリオーズ;幻想交響曲(Westminster)
嬉しやモントゥーがリマスタリングされた!と思って、棚からCDを取り出せば、なんとカプリングがレイボヴィッツ!
これはもう驚喜の沙汰である(笑)。即購入。
音質的には、それぞれ改善が見られる。
前のリリースも丁寧な復刻だったモントゥーは驚くほどの違いではないが、透明度がすこし向上した感じがするし、レイボヴィッツの改善は著しい。歪みっぽさがとれ、抜けのよい美しい音色で甦った。

11月12日(月): 

 

レナード・ローズ(Vc)レオニド・ハンブロ(P) シューベルト;アルペジオーネ・ソナタほか(Sony Classical)
近頃素敵なWebpageを見つけた。
すなわちGUT & GATTOさん、チェロを中心に濃密なコレクションを紹介しておられる。
なにより「その実力のわりに、日本では名前が知られていない現役チェリスト」として、アルト・ノラスミクローシュ・ペレーニエルッキ・ラウティオマリオ・ブルネロといったところを挙げておられるのが心強い。
そちらで、このCDを取り上げておられる。→ここを押して
ニコロ・アマティの素晴らしい名器から紡ぎだされる甘く琥珀色の音色がシューベルトにはピッタリと合う。是非、聞いてもらいたい一枚。
とおっしゃるからには間違いあるまいと買ってみた。
1953年ニューヨークでの録音。
ジャケットやレーベルのデザインをオリジナルLPに合わせているところは、斉諧生の好きなMasterworks Heritageシリーズに似ているが、ブックレットはごく普通のつくりで、すこし寂しい。
ボッケリーニ;Vcソナタ第6番 イ長調サンマルティーニ;Vcソナタ ト長調をカプリング。

11月11日(日): 

 Ars AntiquaからLPが、jpcCD-MailBuywellからCDが届いた。

ラファエル・クーベリック(指揮)バイエルン放送響ほか、マーラー;交響曲第3番(audite)
auditeから出てくるクーベリックのライヴは全部買っているところ、新譜がjpcに出ていたのでオーダー。国内の音盤店にはまだ入っていないようなので、ネット通販のメリットを有り難く思う。
1967年4月20日、ヘルクレス・ザールでのライヴ録音。やや古い音源ということになるが、音質は美しい。
これで、このシリーズのマーラーは第1〜3・5〜7・9番が揃ったことになる。
 
イザベル・ファウスト(Vn)クリストフ・ポッペン(指揮)ミュンヘン室内管、ハイドン;Vn協第1・3・4番(PAN)
先日、ネット上の知人から、彼女の公認ファン・ページ@日本を御教示いただいた。→ここを押して
彼女の音盤は全部持っているつもりだったが、ここのディスコグラフィを見て愕然、このハイドンは存在すら知らなかった。1997年の録音で、彼女の2枚目のCDとのこと。
慌ててjpcで検索、オーダーしたもの。
 
ジュリアス・カッチェン(P)ペーター・マーク(指揮)ロンドン新響ほか、モーツァルト;P協第13番ほか(豪DECCA)
オーストラリア・デッカ独自の復刻盤を当地のBuywellにオーダーしたもの。
このシリーズについては、夙に畏友かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが紹介しておられるが(→ここを押して)、音盤原産地主義から逡巡していた。
しかしながら、ペーター・マークのモーツァルトが聴けるとあっては、やはり捨て置けなくなってオーダーに踏み切った。
CD2枚組、標記以外の収録曲は、
ベートーヴェン;P協奏曲第4番&合唱幻想曲(ピエロ・ガンバ(指揮)ロンドン響)
モーツァルト;P協奏曲第20番&25番(カール・ミュンヒンガー(指揮)シュトゥットガルト室内管)
モーツァルト;Pソナタ第11番「トルコ行進曲付き」
 
ノエル・ミュートン・ウッド(P)ワルター・ゲール(指揮)コンサート・ホール響ほか、ショスタコーヴィッチ;P協第1番ほか(ABC)
豪ABCによるオーストラリアゆかりの演奏家の復刻シリーズを当地のBuywellにオーダーしたもの。CD3枚組。
ミュートン・ウッドは1922年メルボルン近郊に生れた。神童として知られ、ロンドンに移ってシュナーベルに師事。盛んにレコーディングするなど将来を期待されつつも、1953年、31歳の若さで自死した。恋人(男性!)の急逝をはかなんだともいう。
標記のショスタコーヴィッチ作品の蒐集の一環としてオーダーしたものだが(1953年録音)、名手マックス・ロスタル(Vn)とのブゾーニ;Vnソナタ第2番(1952年録音)が入っているのも嬉しいところ。
その他の主な収録曲は、
ベートーヴェン;P協第4番(ワルター・ゲール(指揮)ユトレヒト響、1952年録音)
チャイコフスキー;P協第2番(ワルター・ゲール(指揮)ヴィンタートゥール響、1952年録音)
シューマン;子供の情景(1950年頃録音)
 
アレクサンダー・ブルシロフスキー(Vn)パスカル・ゴダール(P) ルクー;Vnソナタ&ピエルネ;Vnソナタ(Suoni e Colori)
メニューインの薫陶を感じさせる誠実な音楽と質朴な音色が気に入っているヴァイオリニスト、ブルシロフスキー。
彼にルクーの録音があることは以前から知っていたが、なかなか入手できなかった。
近ごろ御無沙汰していたフランスの通販サイトCD-Mailを検索したところ、在庫があるようだったのでオーダー、目出度く入荷して万々歳である。
ピアニストは1971年フランス生れ。パリ音楽院でイヴォンヌ・ロリオに学び、東京国際音楽コンクールへの入賞歴もあるそうな。公式Webpageは→ここを押して
 
パトリック・ビスムート(Vn)アンヌ・ゲールズ(P) エネスコ;Vnソナタ第3番&ラヴェル;ツィガーヌほか(ZIG ZAG)
以前買ったバッハ;無伴奏Vnソナタ&パルティータが良かったビスムートの新譜をCD-Mailで見つけたのでオーダー。エネスコのソナタも蒐集している曲なので。
CD2枚組で、「民族的性格を持つ舞曲」というタイトルが付けられている。
1枚目にはエネスコのソナタと「子供時代の印象」を、2枚目にはラヴェルやクライスラーの作品でラ・ヒターナ(ラ・ジターナ)など民族色豊かなもの、モーリス・エマニュエル;ギリシャ民謡による組曲を収録。
なお、ピアニストの姓は原綴"Gaels"、発音には自信なし。ラヴェルのみピアノ(エラール製)ではなく作曲者オリジナルの指定どおりリュテエルで演奏している。
 
アルフレート・カンポーリ(Vn)エリック・グリットン(P)和田則彦(P)、「クライスラーを讃えて」(DECCA)
オーストラリア・デッカ独自の復刻盤を当地のBuywellにオーダーしたもの。
序奏とアレグロ愛の悲しみ愛の喜び美しきロスマリンベートーヴェンの主題によるロンディーノ等のクライスラー作品と、モーツァルト;ロンド ディヴェルティメント第17番よりシューベルト;アヴェ・マリア等、彼の愛奏曲を計22曲収めている。
これも上記カッチェン盤同様、かとちぇんこ@Der Nachtwindさんが"KLASSISCHE MUSIK 1!2!3!"で御紹介しておられたもの。
紹介文を引用しようとしたが、この美しい言葉を省略することはできない。オリジナルを御覧いただきたい。→ここを押して
カンポーリのクライスラー作品&愛奏曲集は国内盤も出ているが、ここで触れられているバッハ;アリオーソなど和田則彦伴奏による日本録音分(7曲)は含まれていない。
クライスラーと直接の関係はないが、山田耕筰(カンポーリ編);赤とんぼ・城ヶ島の雨という珍しいものも収録されているので、ほんとうに貴重な復刻である。
 
ジャン・ギアン・ケラス(Vc)アレクサンドル・タロー(P) コダーイ;無伴奏Vcソナタ・Vcソナチネ・アダージョほか(HMF)
リゲティ;Vc協(ブーレーズ指揮、DGG)やブリテン;無伴奏Vc組曲など、現代作品の録音で登場してきたケラスの新譜。
これも国内の音盤屋店頭ではまだ見ないもの。jpcで発見してオーダーした。
標記のほか、ヴェレシュ;無伴奏Vcソナタクルタークの無伴奏作品6曲を収録。
 
マリー・アントワネット三重奏団、「ヴェルサイユの音楽」(CAMPANELLA)
初耳の団体だが、メンバーはハンスイェルク・シェレンベルガー(Obほか) マルギット・アンナ・ジュス(Hp) クラウス・シュトール(ヴィオローネ)と、このレーベルの中心人物たち。
団体名に惑わされて無視していたところ、『レコード芸術』8月号の月評で皆川達夫先生が
とくに出色の名演はマレ『スペインのフォリア』である。
 ほぼ二十分もする長丁場を、ひとつのテーマだけで押してゆく持続の確かさ、スケールの大きさにほとほと感嘆した。
と絶讃。シェレンベルガーの音色も以前から大好きなので、これは是非と思っていた。
国内盤は3,000円近いが、jpcでは15.5ユーロ(邦貨約1,670円)と格安だったのでオーダー。
 
ポール・パレー(指揮)デトロイト響、サン・サーンス;交響曲第3番(米Mercury、LP)
Ars Antiquaのカタログに、パレーのオリジナルLPが安価で掲載されており、オーダー。
演奏は同曲随一の名演であり、録音も折り紙付きであることは言うまでもない。
オルガン独奏は幼馴染みの盟友マルセル・デュプレ
 
レオポルト・ストコフスキー(指揮)全米青年管、シベリウス;交響曲第7番ほか(米レオポルト・ストコフスキー協会、LP)
ストコフスキーのシベリウスは、フィンランディア・トゥオネラの白鳥は別にして、1・2番のLP録音と4番のSP録音が有名だが、第7番があったとは…!と驚いてオーダーしたもの。
(もっとも、既にCD復刻されているようだ。→ここを押して)
1940年9月22日のSP録音。このLPが初発売だったとジャケットにある。
また、復刻はワード・マーストンが担当、マーク・オーバー・ソーンがアシストしたと記されている。素晴らしいスタッフだ。
シベリウスの後ろにシューマン(ストコフスキー編);トロイメライをフィルアップ、裏面はカウエルクレストンモートン・グールドスティルと、米国作曲家の作品。
 
サウリュス・ソンデツキス(指揮)リトアニア国立フィル室内管、バッハ;シャコンヌほか(露MELODYA、LP)
もちろん無伴奏Vnパルティータ第2番の終曲。
ストコフスキー斎藤秀雄の編曲が知られているが、ここでの編曲者名は表記されていない。
聴いた感じでは、一部に小型のオルガンが加わるものの、概ね弦合奏によるもので、上記2者のアレンジよりも原曲のイメージに近い。
録音データも一切不明だが、モノラルの10インチ盤である。
裏面にはバッハ;プレリュード ロ短調コレッリ;ソナタ第3番をカプリング。
 
ポール・パレー(指揮)デトロイト響、「フランス序曲集」(米Mercury、LP)
これもパレーの未架蔵LPが(比較的)安く出ていたのでオーダーしたもの。
もちろんCDでは架蔵済み、収録曲は
エロール;「ザンパ」序曲オーベール;「王冠のダイアモンド」序曲トーマ;「ミニヨン」序曲・「レーモン」序曲ボワエルデュー;「白衣の貴婦人」序曲アダン;「我もし王者なりせば」序曲
 
フェルナン・キュイネ(指揮)リエージュ管、ルクー;2つのアンジュ地方の民謡による幻想曲ほか(白DECCA、LP)
ルクーの珍しい管弦楽作品を収めたLPを発見、これは聴き逃すべからずとオーダー。
曲目については、リチェルカーレさんに解説がある。→ここを押して
指揮者の自作交響的楽章ヨンゲン;パッサカリアとジーグをカプリング。
録音データは明記されていないが、良好なモノラル録音である。
指揮者の名前は原綴"Quinet"、発音には自信なし。
 
マリオ・ブルネロ(Vc)ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)モスクワ・フィル、チャイコフスキー;ロココ変奏曲&フレンニコフ;Vc協第2番(露MELODYA、LP)
素晴らしいバッハ;無伴奏全曲盤以来、集めているチェリスト、ブルネロ。彼の未架蔵盤ゆえ、一二もなくオーダーしたもの。
彼が1986年のチャイコフスキー・コンクールで優勝したときのライヴ録音である(1986年7月2日、チャイコフスキー・コンサート・ホール)。
今月末〜12月初めに来日するようだが、近畿圏での演奏会日程が入っていないのは残念。→ここを押して

11月10日(土): 

 MikrokosmosParnassus RecordsからLPが届いた。また、外出のついでに音盤屋に立ち寄る。

ジョン・バルビローリ(指揮)ハレ管、モーツァルト;交響曲第35番&ベートーヴェン;交響曲第7番ほか(BBC LEGENDS)
1966〜67年のライヴ録音集。
バルビローリのライヴは、買わざるべからず。前にOrfeoから出たブラームス;交響曲第2番など綿々たる情趣の名演であった。
標記2曲ももちろんだが、それ以上にワーグナー;ジークフリート牧歌に期待している。
ワーグナーは1966年4月22日の録音(スタジオ?)、モノラルというのが惜しいが音質的には問題ない。
モーツァルトは1967年8月12日ロイヤル・アルバート・ホール、ベートーヴェンは1968年4月24日ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでの収録(いずれもステレオ)。
前者は良好だが、1年新しいベートーヴェンがザラザラした音で少し聴きづらいのは残念至極。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)フィルハーモニア管、ブルックナー;交響曲第3番(BBC LEGENDS)
1983年7月23日という新しい年代のライヴ録音。ロイヤル・アルバート・ホール、プロムスにおける収録である。
マタチッチのブルックナー、しかも正規音源のない第3番、かつ最晩年の表現が聴けるというからには、買わないわけにはいかない。
 
ハンス・ロスバウト(指揮)南西ドイツ放送響、ブルックナー;交響曲第7番(米VOX、LP)
既に英TURNABOUT盤LP、米VOX盤CDで架蔵している名演だが、LP2枚組にカッティングされているものが安価で出ていたのでオーダー。
厚みのある生々しい音だが、米盤の通弊とも言える歪みっぽさがあり、定位に妙なところがある。CDの音も素晴らしいので、そちらで十分だったか。
 
アントニオ・ヤニグロ(指揮)ザグレブ・ソロイスツ、ロッシーニ;弦楽ソナタ第1〜6番ほか(米VANGUARD、LP)
ヤニグロの指揮盤からは、弦楽器の名手の指揮に共通する、暖かい響きを聴くことができるので、このところ少しづつ蒐集しているところ、ロッシーニ少年時代の佳作の全曲盤がカタログにあったのでオーダー。
この脳天気なまでに上機嫌な曲は、ひそかに愛聴している。まあ全曲演奏会とか聴き比べとかは遠慮したいが…(笑)。
惜しむらくは、1枚目の第1〜4番がモノラル録音を電気的にステレオ化したものであったこと。音は損なわれていないが…。
2枚目のA面に第5・6番、B面に(伝)ハイドン;セレナーデボッケリーニ;メヌエットパラディス;シシリエンヌなど名曲集を収録。
 
パーヴォ・ベリルンド(ベルグルンド)(指揮)ボーンマス響、ハルヴォルセン;ロシア貴族の入場行進曲ほか(英EMI、LP)
ベリルンドが1970年代末につくったスラヴ〜北欧系管弦楽小品集。
吹奏楽の世界でも知られているらしい標記の曲のほか、
シベリウス;「春の歌」
ブル;「羊飼いの娘たちの日曜日」
といった北欧ものと、
グリンカ;幻想的ワルツ
R・コルサコフ;歌劇「五月の夜」序曲
グラズノフ;演奏会用ワルツ第1番
などを収録。
北欧の佳曲を聴きたく、オーダーしたもの。
クオドラフォニック・エンコード盤だったのは少し残念。
 
ゲルハルト・ボッセ(Vn&指揮)ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハ管、バッハ;ブランデンブルク協(全曲)(独ETERNA、LP)
近年、神戸市室内合奏団をはじめ、日本でオーケストラを熱心に指導しておられるボッセ氏。
旧東独時代のブランデンブルク協がカタログに安く出ていたのでオーダー。
メンバーに高名なソリストは含まれず、マティアス・アイゼンベルク(Cem)、ハインツ・ヘルチュ(Fl、第5番)等の名前が並んでいる。
1981・83年の録音とのこと。
 
エルリンク・ブロンダル・ベントソン(Vc)ヤーノシュ・フェレンチク(指揮)デンマーク放送響ほか、ホルムボー;Vc協ほか(瑞BIS、LP)
前にバッハコダーイの無伴奏作品を聴いたベントソンの旧譜がオリジナルのLPで出ていたのでオーダー。
名匠フェレンチクの指揮というのもポイントが高い。
カプリングはコペル;Vc協(こちらの指揮はオーレ・シュミット)
 
ペンティ・ラウタヴァーラ(Vc)ユッシ・ヤラス(P) ベートーヴェン;Vcソナタ第3・5番(芬FINLANDIA、LP)
シベリウスの女婿、指揮者ヤラスがピアノを弾いている録音が珍しく、オーダーしたもの。
この人のシベリウス作品の指揮は好きなのだが、ベートーヴェンではどんなピアノを弾くのだろうか?
チェリストは1911年生まれ、1965年没。1947年以降、ヘルシンキ放送響の首席奏者であった人とのこと。
1963年9・10月の放送用録音らしい。モノラル収録。
 
ジノ・フランチェスカッティ(Vn)ロベール・カサドシュス(P)ギレーQ、ショーソン;Vn、Pと弦楽四重奏のための協奏曲(米COLUMBIA、LP)
この曲の代表盤の一つだが、未架蔵であったところ、安価な盤(いわゆる六つ目、再発ものである)がカタログに出ていたのでオーダー。
ジャケット表に「ショーソン生誕100周年記念」とあり、1955年頃の録音であったと知れる。
 
マックス・ロスタル(Vn)コリン・ホスレイ(P)ほか、ディーリアス;Vnソナタ第2番&Vcソナタほか(米Westminster、LP)
ディーリアスのVnソナタは蒐集しているところ、名ヴァイオリニスト・ロスタルの録音というので飛びついてオーダー。
現物は米盤だが英Argoとの共同製作の模様。
カプリングのVcソナタはアンソニー・ピーニ(Vc)とウィルフレッド・パリー(P)による。
ピーニらによるカプリースエレジーセレナード(「ハッサン」より)をフィルアップ。
 
ジャン・ジャック・カントロフ(Vn)ジャック・ルヴィエ(P)フィリップ・ミュレ(Vc) ショスタコーヴィッチ;P三重奏曲第2番&マルティヌー;P三重奏曲ほか(独DA CAMERA MAGNA)
カントロフの未架蔵盤がカタログにあったのでオーダー。彼のショスタコーヴィッチは珍しい。
ショスタコーヴィッチといえば工藤さんのWebpageだが、この演奏についてのコメントは→ここを押して。★4つ半という高い評価を与えておられる。
 
イェフディ・メニューイン(Vn)ニカノール・サバレタ(Hp) ボワエルデュー;VnとHpのためのソナタほか(仏EMI、LP)
メニューインとサバレタに共演盤があるとは知らなかった。
両者とも好きな演奏家なのでオーダーしてみたもの。
標記のほか、ポッリーニシュポーア等の二重奏曲を収録している。
1980年10月、ロンドンでのデジタル録音。

11月8日(木): 

 

ジョージ・セル(指揮)アムステルダム・コンセルトヘボウ管、ブルックナー;交響曲第8番(AUDIOPHILE)
1951年6月28日のライヴ録音。
セルのブルックナーは、以前Sonyから出た第7番(ザルツブルク・ライヴ)など、世のブルックナー教徒の眉を顰めさせる出来だったのだが、ともかく第8番のライヴ、しかも1950年代のコンセルトヘボウ管とあらば、買わざるべからず。
音質はあまり芳しくないが、聴くに堪えないほどでもない。年代相応というところか。
 
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィル、シベリウス;交響曲第1・4〜6番ほか(EMI)
先だって国内盤を買ったばかりのカラヤン最後のシベリウス録音。
EMI自慢のartリマスタリングというのだが、そこまで買い替えるほどでも…と思って控えていたところ、某音盤店で1,000円を切る価格で並んでいた。
この値段なら、未架蔵の第1番と「カレリア」組曲だけの値打ちと思っても損はないので購入に踏み切った。
リマスタリングも良好、やや薄めながら綺麗な音に仕上がっている。国内盤はエネルギー感はあるものの、やや歪みっぽい。

11月5日(月): 

 

一噌幸弘(能管・田楽笛)ほか、「フィア・ティーレ」(clockwise)
先月29日にアルバム「リーヤリ」を買った一噌幸弘、アルバム中、彼の即興ソロ「ふきあげ、ふきかえし」など実に見事、素晴らしい音楽。
さっそく、公式ページに掲載されていたCDをオーダーしたもの。
ペーター・ブレッツマン(サクソフォン又はバスCl)、川端民生(ベース)、古澤良治郎(ドラムス)というメンバー(誰も詳しくは知らない)による即興演奏4セッション合計およそ55分を収める。
1993年7月7日、新宿ピット・インでの収録。

11月4日(日): 

 通販専門店アリアCDからCDが届く。ここは初めての利用。

ティボール・ヴァルガ(Vn、指揮)ティボール・ヴァルガ音楽祭管、チャイコフスキー;弦楽セレナードほか(Tibor Varga Collection)
その暖かい弦楽の響きが大好きなヴァルガと彼の弟子達のアンサンブル。
その演奏記録はティボール・ヴァルガ財団@スイスから順次発売されており、ずっと買ってきている。
これは既発売ながら未架蔵だった第18巻が、上記Webpageのカタログにあったのでオーダーしたもの。
標記のセレナードは1966年録音で、LPでも出ていた。カプリングは
エレジー イヴァン・サマーリンの追憶に(2000年録音)
瞑想曲 op.42-1(ボリス・メルソンによる管弦楽版、編曲者の指揮による。1967年録音)
 
ティボール・ヴァルガ(Vn)ほか、ブラームス;弦楽六重奏曲第2番&チャイコフスキー;弦楽六重奏曲「フィレンツェの想い出」(Tibor Varga Collection)
これは第24巻で、最も新しいリリース。店頭では見たことがないものであり、勇躍オーダーしたもの。
音源としてはブラームスが1972年、チャイコフスキーが1980年の録音で、後者はLPでも出ていた。
 
和波孝禧(Vn)土屋美寧子(P) 平尾貴四男;Vnソナタほか(「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」実行委員会)
和波さんの未架蔵盤を発見したのでオーダー。
紹介記事によれば、毎年秋に紀尾井ホールで開催されている「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」という演奏会シリーズをライヴ収録したものとのこと。
ブックレットによると、上記実行委員会には寺西春雄池辺晋一郎遠山一行林光が名を連ね、新日鐵文化財団との共催となっている。
これは第2巻にあたり、1940年代の室内楽作品を収録している。
標記の平尾作品は、1947年、復員後最初の大規模な作品で、古典的な3楽章形式により、演奏時間は約25分。
和波さんの公式ページをよく見ると、演奏されたとき(1998年9月18日)の感想が掲載されていた。→ここを押して
他に池内友次郎安部幸明清水脩の作品が収められているが、和波さんは参加していない。

 先日入手した音盤の情報をペレーニ・ディスコグラフィに追加。


11月2日(金): 

 先月20〜21日にネットを震撼させたHMVセット物半額セールで発注したうち、半分ほどが届いた。
 斉諧生は、20日の夜にClassical CD Information & Reviewsさんで情報に接し直ちに出動、全3,800点をチェックして、かねてから購入を検討していたもの等13点を発注。翌21日は朝から本業で外出し、帰宅した頃にはセールが実質終了していたので(値引率が15%程度に縮小)、ほんとうに幸運だった。
 ↓のとおり、バジェット・プライスの箱物が多いせいもあるが、CD1枚当たりの単価は400円ほど。Berkshireも顔負けである。
 また、hänsller社からも荷物が届いた。
 新譜ギーレンマーラー;交響曲第6番が掲載されており、ちょうど聴き比べを計画していたので、それに間に合わせようと直接レーベルにオーダーしたのだが、なんと船便でしか発送できないという。
 それならば店頭で買う方が早かろうとキャンセルしようとしたのだが、既に発送済みというので泣く泣く諦めた。到着まで約5週間、代理店ルートとほとんど同時になってしまったのは偶然か。

 
まずHMV分から。
イェフディ・メニューイン(指揮)シンフォニア・ヴァルソヴィアほか、モーツァルト;交響曲第35〜41番ほか(Virgin)
メニューインがVirginレーベルに遺したモーツァルト録音の集成5枚組。
交響曲を3枚に収め、ディヴェルティメントK.136・セレナード「ポストホルン」等とFl協第1〜2番・Fl&Hp協で各1枚という構成(Hpは吉野直子さん)。
管弦楽曲と協奏曲の2枚は架蔵済みだが、メニューインが指揮する音楽に通底する独特の暖かさを交響曲に期待して購入。
 
ロリン・マゼール(指揮)ウィーン・フィル、マーラー;交響曲全集(Sony Classical)
今回随一の大物、CD14枚組。
この全集がリリースされ始めたのは、LP最末期で、第5番を買った記憶がある(たしか宇野功芳師推薦だったはず)。しかし、その後、マーラーから遠ざかったので、CDでは何も買わずにいた。
この演奏が気になりはじめたのは、フォルカーの部屋を拝見して。佐々木@フォルカーさんが「御神体」と崇めるフォルカー・アルトマンの代表的名演(「アルトマン福音書」)として、第9番における存在感あふれる2番ホルンを挙げておられるのである。→ここを押して
最近のレコード会社の商法からして、いずれ全集がバジェット・プライスの箱物で出たときに買う方が良かろう…と待っていたところ、今回のセールでレギュラー・プライス3枚分程度の価格で出たので、これが潮時と購入したもの。
 
サンソン・フランソワ(P)ほか、『フランソワ稀覯名演集』(EMI)
CD8枚組。
フランソワのショパン;P協第1番は、ルイ・フレモー(指揮)モンテ・カルロ国立歌劇場管とのステレオ盤が有名だが、演奏だけをとればジョルジュ・ツィピーヌ(指揮)パリ音楽院管盤(1954年録音)が上との評を目にしたことがあり、長く気にしていた。
このセットが初めて出たとき、よほど買おうかと思ったが、やはり値段を考えて手が出せずにいたところ、今回のセールで発見したのでオーダー。
収録曲目は多岐にわたるが、興味を惹かれるものを掲げれば、
プロコフィエフ;P協第3番(管弦楽はアンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管)
ヒンデミット;4つの気質(管弦楽はルイ・オーリアコンブ(指揮)トゥールーズ室内管)
フランク;P五重奏曲&フォーレ;P四重奏曲第1番(共演はベルネードQ)
といったあたり。
 
クン・ウー・パイク(P)ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮)モスクワ放送響、ラフマニノフ;P協全集(BMG)
去る7月の来日公演以来、非常に気になる指揮者となったフェドセーエフによるラフマニノフというので、かねて注目していたセット。
協奏曲4曲とパガニーニ狂詩曲で3枚組、このところ3,000円程度で店頭に並んでいるが、更に格安で出ていたのでオーダー。
 
ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ(Vc)ほか、『ロシア時代 1950〜1974』(EMI)
4年ほど前に、国内盤では『ソヴィエト・レコーディング・シリーズ』として全13枚が分売されたもの。
ロストロポーヴィッチに献呈されたピアソラ;ラ・グラン・タンゴの決定的名演(1996年録音)が含まれているので、ぜひ聴きたかった。
ところが輸入盤の分売を見たことがなく、セットで買うか、日頃の「原産地主義」を捨てて国内盤を買うか、ずっと悩んでいたところ、今回のセールでレギュラー・プライス2枚分程度になっていたのでオーダー。
その他にも注目すべき音源は多いが、工藤庸介さんがショスタコーヴィッチ・ページで満点の★5つの評価を与えておられるショスタコーヴィッチ;Vc協第1・2番を挙げるにとどめる。(工藤さんのコメントは、第1番は→ここを押して、第2番は→ここを押して)
 
グレン・グールド(P) 『バッハ・オリジナル・ジャケット・コレクション』(Sony Classical)
グールドがCBSレーベルにスタジオ録音したバッハを、初発LPのデザインの紙ジャケットで集成したCD12枚組のセット。
彼のバッハはちゃんと聴いておきたいところなので、今回のセールを機会にオーダー。
収録曲は
ゴルトベルク変奏曲(1955年盤)
2声と3声のインヴェンション
平均律クラヴィア曲集第1巻
イタリア協奏曲
パルティータ第1〜6番
トッカータ集
フーガの技法(Org盤)
Cem協集BWV1054・1056・1058
など。
フーガの技法の1枚がCD-ROMになっており、楽譜を追いながら演奏を聴いたり、演奏のビデオを見たり(こちらはピアノによる)、ライナーノート等を読んだりすることができる。
 
モーリス・デュリュフレ&マリー・マドレーヌ・デュリュフレ(Org) バッハ;Org曲選集(EMI)
作曲家デュリュフレがオルガニストとして、夫人とともに録音したバッハ。1963〜65年のステレオ録音、CD5枚分の選集である。
バッハ演奏家としてのデュリュフレについては、浮月さんの影響もあって、聴きたいと思っていた。
もともと安く出たセットだが、買いそびれているうちに店頭で見なくなっていたところ、今回、ミドル・プライス1枚分ほどの値段で出たのでオーダーしたもの。
 
以下はhänsslerから。
クルト・ザンデルリンク(指揮)シュトゥットガルト放送響、ブルックナー;交響曲第7番(hänssler)
1999年12月のライヴ録音で、今年の2月頃に新譜で出た際に名演として大きな話題になった1枚。「最後の」巨匠、ザンデルリンクのブルックナーは聴かざるべからず。
ところが、製盤上の問題で、プレーヤーによっては第4楽章が正常に再生できないという情報があったので、購入を見合わせていた。
半年経過したので、製造元から直接買えば、再プレス後の正常品が届くのではないかと考えてオーダーしたもの。
幸い、音楽には異常なし(終演後の拍手で音飛びが生じたが…)。
 
ミヒャエル・ギーレン(指揮)南西ドイツ放送響、マーラー;交響曲第6番ほか(hänssler)
今回到着分の眼目、ギーレンのマーラー。現存の指揮者では聴き逃すことのできない1人なので、さっそくオーダーしたもの。
1999年9月7〜10日、バーデン・バーデン祝祭劇場での録音である。「ライヴ」とは表記されていない。
カプリングは
ベルク;管弦楽のための3つの小品(1993年3月3〜8日録音)
シューベルト;アンダンテ 交響曲第10番第2楽章(ニューボールド版)(1998年9月5日録音)
なお、オーケストラの名称は、本来なら「バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送響」と記すべきところだが、いくらなんでも長いので省略する。
 
ジョルジュ・プレートル(指揮)シュトゥットガルト放送響、ビゼー;交響曲&ラヴェル;「ダフニスとクロエ」第2組曲・「ラ・ヴァルス」(hänssler)
一時期、首席指揮者をつとめていたプレートルによるライヴ録音(収録時期は1991〜97年にわたる)。
プレートルのフランス音楽、特に好きなビゼーの交響曲を聴きたいと思いオーダーしたもの。
彼のこの曲には、バンベルク響とのCDもあった(BMG)。
 
ジョルジュ・プレートル(指揮)シュトゥットガルト放送響、R・シュトラウス;「薔薇の騎士」組曲・「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」・「ドン・ファン」(hänssler)
プレートルといえばフランス音楽というのが通り相場だが、以前、Orfeoレーベルから出たウィーン響とのワーグナー;管弦楽曲集がカロリーの高い見事な演奏だった。
このシュトラウスにも名演を期待してオーダー。
いずれもライヴ録音(1995〜98年)。特に「薔薇の騎士」組曲はウィーン・ムジークフェラインザールに乗り込んでの収録、気合いの入ったところが聴けるのではなかろうか。

11月1日(木): 

 

ギュンター・ヴァント(指揮)ベルリン・フィル、ブルックナー;交響曲第8番(BMG)
国内盤と同時に輸入盤が出回っていたのでさっそく購入。
彼を「神格化」しているわけではないが、ヴァントのブルックナーは聴き逃せない。
2001年1月19〜22日のライヴ録音、いつもながらハース版を使用。
これで第8番は、LPを含めれば、5回目の録音であろうか。すなわち、
ケルン・ギュルツェニヒ管(1975年頃、BASF、LPのみ)
ケルン放送響(1979年、DHM)
北ドイツ放送響(1987年、DHM)
北ドイツ放送響(1993年、BMG)
となる。
 
ミクローシュ・ペレーニ(Vc)ジョルジ・レヘル(指揮)ハンガリー放送響、ミハーイ;Vc協ほか(HUNGAROTON)
ペレーニ師の新しいCDが出た。既にLPで架蔵しているが、一二もなく購入。
ミハーイは1917年生れ1993年没。優れたチェリストでもあり、1953年のVc協は技術的可能性を窮めつくした作品とのこと。
LPではわからなかった録音年が、1971年と判明。これだけでも買った甲斐があった…と思ってしまう。これも音盤道か(苦笑)。
ダヴィド;Va協サライ;春の協奏曲をカプリング。後者はFlとVcのための曲だがチェリストは違う人。
 
カレファックス管楽五重奏団、バッハ;フーガの技法(MD+G)
バッハの中では苦手な曲だが、前にヴァルヒャ盤(Org)を聴いて、その玄妙さに触れる心地がした。
Org以外では、今のところ同族楽器のアンサンブルで聴きたいと思っている。弦楽四重奏による演奏にはやや違和感を覚え、リコーダー合奏がまずまず…というところだった。
先日、ただものさんのページを拝読していたら、この曲の特集ページが作られており、CD情報のページでは15種のCDについて"*"印で評価が加えられている。
そのうち最多の"*******"評価だったのがこの盤(コメントはつづきもの中、6月22日の項)。同族楽器による演奏でもあり、ぜひ聴いてみたいと購入。
団体の英語名は"Calefax Reed Quintet"。すなわちOb、Cl、Fg、サクソフォン等からなる。本拠はアムステルダムとのこと。公式ページは→ここを押して、日本語による団体紹介も(ただし画像ファイル)→ここを押して
 
古澤巌(Vn)ほか、タイフーン/旅立ち(Epic)
ポップス擦り寄り系の演奏家にはあまり興味がないのだが(固有名詞を挙げるのは差し控える)、古澤巌は例外的に買って聴いてきた。彼の公認ファンページは→ここを押して
シャーンドル・ヴェーグイヴリー・ギトリスという師匠筋が面白いし、イザイ;無伴奏Vnソナタや、ショーソンフォーレP四重奏を組み入れた選曲にも興味を惹かれる。
アルバム第1作「マドリガル」から第9作「タイフーン/ドリーム」まで架蔵しているが、その後は買いそびれていた。
第10作が中古格安で出ていたので購入。メンバーの自作や東欧ジプシー系音楽の中に、ショーソン;P四重奏曲よりアニメフォーレ;P四重奏曲第1番よりアダージョが収められている。
 
なお、第9作「タイフーン・ドリーム」に、ルクー;P四重奏曲(未完)が収められているが、カットを加えて第1楽章6分51秒、第2楽章7分50秒にまとめたダイジェスト版(?)である。

平成13年2月3日(土):ドメイン"www.seikaisei.com"を取得しサーバーを移転。「音盤狂日録」の過去ログを「音盤狂昔録」として公開。

平成12年9月10日(日):「提琴列伝」に、ミクローシュ・ペレーニを掲載。

平成12年1月8日(土): バッハ;無伴奏Vc組曲聴き比べを掲載。

平成11年10月24日(日): ラハティ交響楽団シベリウス・チクルス特集を掲載。

平成11年8月28日(土): 「逸匠列伝」にカール・フォン・ガラグリを掲載。

平成11年5月9日(日): 「作曲世家」にリリー・ブーランジェを追加。

平成10年5月5日(祝): 「作曲世家」にステーンハンマルを掲載。

平成10年2月8日(日): 「逸匠列伝」にルネ・レイボヴィッツを掲載。

平成9年11月24日(休): 「名匠列伝」に、アンゲルブレシュトを追加。

平成9年9月15日(祝): 「畸匠列伝」に、マルケヴィッチを掲載。

平成9年8月24日(日): 「名匠列伝」にカザルスを追加。

平成9年8月8日(金): 『斉諧生音盤志』を公開。


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