後期交響曲の中で最もよく演奏される曲である。晦渋さがなく、金管の動機が広々と雄渾に高揚して終結するあたりが人気の源泉であろうか。ジョルジュ・プレートルやエンリケ・バティス等、到底シベリウス指揮者のイメージがない面々の録音さえ存在する。 全曲の終結が、まことに特徴的。総奏の和音が6回、全休止を挟みながら、轟然と鳴らされる。休止符のところで耳を澄ますと、指揮者の足音、唸り声、指揮棒を一閃させるときに腕が空を切る音などまで聞こえるのが面白い。(笑) ここで楽譜上の問題が一つ。 6回の和音のうち、1・5・6番目のみティンパニが加わるのだが、1番目には2つの、5・6番目には1つの前打音が付されている。 特に後者では、ティンパニがフライングしたか、そうでなくても、えらく間が抜けたように聴こえることが多い。このため、前打音を省略する場合も少なからずある。 一般的に言えば、昔は省略させるケースが多く、原典指向の風潮が強い最近では叩かせることが多い。 ベリルンドの演奏に関しては、1970年代のボーンマス響盤から、楽譜どおりの処理となっている。現在 Wilhelm Hansen社から出版されているスコアは彼が校訂したものであり、そうした学識のゆえであろう。 なお、出版譜には楽章の区分がないが、ここでは通用に従って3つの楽章区分を用いる。 |
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